パルコが「今期の夏のバーゲンの開催を中止する」と新聞発表があった。気温上昇で夏物の販売期間が延びていることや、小売り各社もAIによる需要予測で在庫を減らせるようになったことが主要因とのことだ。確かに、昔の「2月8月は売れない月」から8月は「売れる月」に変わっている。新聞の論調は好意的な見方のようだ。
言わんとすることはよくわかる。ただ、7月になってなぜ発表したのだろう。おそらくずっと前に決定され、発表が今になったということだとは思う。当然各テナントには事前に通達していたと思う。そうでなければデベロッパーの信頼度は全くなくなる。
パルコはデベロッパーであり、小売業ではない。つまり賃料をもらってその賃料でコストを支払い、収益計上する。「最低賃料+歩率」「共益費」「販促費」などが各テナントとの契約となっており、それがデベロッパーの売上になる。つまり大きく言えば、歩合賃料などは変動要素になるが、テナントの店舗売上はそのままデベロッパー売上につながるわけではない(大型売り場は売上歩率だけというケースもある)。小売業(テナント)として考えると、当然売上は実売上であり、デベロッパーに払う家賃などは経費となる。わかりやすく言えば売上1000万、家賃(共益費込み)200万、販促費20万とすると。テナントの売上は1000万だが、デベロッパーの売上は220万+α(デベロッパーに支払う経費分)ということになる。デベロッパーの売上は当然実売上によって変動要素はあるが、テナントの売上の変動よりは安定しているといえる。
何を言いたいかと言えば、小売業は前年のセール時の売上に対して当然MD計画を組んでいて、最低でも前年数字を確保しようとする。ここでデベロッパーから「館としてバーゲンをやらない」と言われれば、売り上げダウン要素になってしまう。おそらく各店舗のバーゲンは自由にやっていいのだろうが、館としての販促効果はなくなり、各店舗のマイナス要素は避けられない。逆にデベロッパーとしては、バーゲンの代替企画は当然あると思うが、バーゲンの大きな販促企画経費(グランバザールとしてのCM、演出、媒体などのプロモーション経費)のコストカットの要素も見えてくる。
小売業は夏が長期化との考えはあっても、前年の数字は絶対確保しようとする。それに向かってMDも組んでいるし、セール商材も調達している。夏が長期化する傾向はわかってはいるが、前年の数字は追いかける。他の駅ビルや全国のイオンモールもバーゲンタイトルを変え、時期は遅らせてはいるが恒例のバーゲンはするし、新宿伊勢丹も6月26日にスタートしている。日曜日にイオンモールに食品を買いに行ったが、専門店はバーゲン一色だった。ただでさえ6月の数字は良くない企業が多い。当然売り上げ確保に全力投球する。
パルコも過去には「ポーカーフェイス」や「コレクターズ」「ローズマリー」など小売企業が傘下にあった。小売企業に寄り添うデベロッパーであったはずだ。さらに、地方のヤング層にファッションを提案してきたパルコから、渋谷、心斎橋のようなラグジュアリーやインバウンド要素の高い店に変わってきており、「身近な小売りの現場に寄り添う館」のイメージが消えていっているように見える。
何度も言うが、「夏のバーゲン中止」はおそらくもっと早く決定しており、各テナントとは調整をしての発表だとは思うが、頑張っている日本の小売業には寄り添ってないような気がしてならない。
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