GW中で、企業の本部は休みでIRもなく、春物と夏物の切替期でもありファッション業界での発信も少ない時期だ。そういう時期なので、このブログでは再三書いてきたが「在庫を持つ商売」について現状の検証をしてみたい。
小売業は「売上」「利益率」「在庫」が3大要素だが、どうしても「売上」の額、前年比に目が行き、その次に利益額を算出する「利益率」に注目する。「在庫」はPL(損益計算書)には出てこないので見落としがちになる。「売上」を上げていくには売れる商品を仕入れて売っていく事になる。売れない商品や売れなくなった商品は値段を下げて処分していく。値段を下げると「利益率」はダウンする。「利益率」を維持するために処分せず値段を下げないでいると、「在庫」が増えていく。
「在庫回転率」という指標がある。月度では「売上」÷「在庫」(平均在庫)で計算される。その数字に12(12ヶ月)をかけると「年間回転率」が出る。単純に四季で商品が入れ替わるとすると年間4回転になる。つまり入荷した商品が3か月後になくなったことを意味する。一般的な商売の基本は、業者(メーカーなど)に対して支払いは仕入れ月の翌月末であることが多い。その商品の利益の幅(原価率)にもよるが、2ヶ月でなくさなければ代金は支払えないことになる(その他いろんな取引条件はある)。そして、売価(販売価格)と売上原価の差が利益額になり、それで経費を支払うのが小売業の金の回り方だ。つまり回転率が悪化すればキャッシュインが遅れ支払いに間に合わなくなる。原価率によって利益額は違うので一概には言えないが、当然回転率が悪くなるとキャッシュフローは厳しくなる。
このブログでも、回転率の悪い上場企業を指摘してきた。ジーニングを打ち出した「ライトオン」「マックハウス」、ビジネスイメージが強い「タカキュー」、靴の「ジーフット」。各社とも、すべて中心商品のサイズが細かい。つまり、中心商品を広げると在庫過多になりやすい。さらに、別カテゴリーだが、商品の幅が広すぎる「ヴィレッジヴァンガード」。近年、そのすべての企業体に変化があった。そして5社とも過去の決算時に在庫評価損を計上している。極論になるが、これは在庫金額を正しく評価せず、決算を重ねてきたということに等しい。正しい評価をすると利益率が大きく下方修正され、それにより決算数字が悪化するため、在庫評価の先延ばしをしてきたということだ。詳細は別途まとめることにする。
上記各社の商品回転率を調べてみる。評価損計上年度があるのでその影響がなさそうな年度で、「ライトオン」2023年1.43回転、「マックハウス」2024年2.17回転、「タカキュー」2022年度1.83回転、「ジーフット」2024年度1.44回転、「ヴィレヴァン」2024年度0,99回転という結果になる。この数字を見ると、年間2回も商品が変わらないということになり、平均すると入荷して6カ月たっても商品が売れてないということになる。ヴィレヴァンに至っては、1年たっても商品は売れてないことになる。商品が売れないと金は回らない。
一般的には商品回転率は3~4.5回転くらいが標準範囲になっている。前期の決算時の回転率ではユニクロ3.1回転、アダストリア4.75回転、パルグループ5.84回転、しまむら7.75回転、ニトリ4.17回転などとなっている。売上好調の無印良品は2.36回転と低い。しかし、無印良品は回転率の低さを意識しており、「在庫コントロール部」を作り、商品部以上の権限を持たせようとしている。
小売業で一番大事なことは、「売上」を増やすことではなく、商品をうまく回転させて入れ替えていく事だと思っている。自らも商品回転率を一番大事なチェックポイントだと思って仕事をしてきた。近年、企業譲渡や株主変更があった小売企業は、すべて商品在庫の処理を怠った結果だと確信できる。
■今日のBGM









