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今後、伸びる要素のあるSCは?

小売業の流れは本当に早い。45年位前、大学を出て就職口がなく何とか流通業に滑り込んだ。その当時はGMS絶好調時代で、どんどん店舗を拡大していった。それがもうダイエーがなくなり、イトーヨーカドーもGMSではなくなった。入社したマイカルも民事再生後イオングループとなった。さらにイオングループのGMSも体裁は整えているが、SMを除くと収益は出ていない。金融戦略のために、損益度外視で続けている現状がある。つまりGMSはなくなったと同じ状況にある。

さらに、百貨店もすでに大都市にしか成り立たなくなってきている。大都市東京都下でも、渋谷でさえ百貨店はなくなってしまう。おそらく10年後には半数ぐらいの県庁所在地でも百貨店はなくなってしまうのではないかと思う。個人的にはファッションビルも経験したが、マルイ(一応ファッションビルの分類)は金融業に転じほぼなくなり、ビブレもほぼ消滅し、パルコのみ大都市で残っている。駅ビルも同様の流れで、交通拠点の駅でしか成り立っていない。

代わりに、RSC(大型モール)がイオンモール中心に続々出店してきた。ただ、20年以上経過し、現状はもう完全に勢いは弱まってきている。新規物件は少なく、新規出店場所も地方郊外が多く、今後の地方人口減を考えると、全くプラス要素はない。完全に飽和状態になってきており、逆にイオンはCSC(コミュニティSC)やNSC(ネイバーフットSC)の開発を進めている。反面、大都市近郊に慎重に出店を続けるららぽーとは堅調に数字を確保してきている。

この50年近くの商業施設の動きを簡単にまとめると以上のようになる。

今後20年で果たしてどう変わるか?高齢者が増え続け、大都市に人口は集中し地方都市はますます高齢化が進む。20代から50代までの人口は現状の5911万人から10年後は5200万人前後に、20年後は4800万人前後にまで減少する。10年後は現状の88%になり、20年後は81%になってしまうということだ。さらに高齢者層(特に年金受給者層)は、「食」への消費は大きく減らせず、おのずと「衣」への出費は減ってくる。

国内の人口推移を見ていれば、国内の消費量は間違いなく大幅減となる。当然、大手資本の企業は海外を視野に入れるようになる。そうしないと数字はまとまってこない。国内では、郊外のRSCは、地方中核になった物件(400億規模)とららぽーとのような大都市近郊の物件以外は、マイナストレンドになってしまう。特に郊外の中核物件以外のイオンモールは淘汰が始まる。百貨店、駅ビルも大都市物件のみ存続されるが、地方はどんどん淘汰されていく。

狙い目を探すなら、おそらく大都市近郊のCSCではないかと思う。関東でのイトーヨーカドー物件がわかりやすいが、GMSの食品以外をテナントにした物件と思えばいい。衣料服飾品や住まい雑貨の大きな売場に「ユニクロ」や「無印良品」を導入する環境ができれば、その物件は間違いなく再生する。その環境づくりができるかどうかだ。同様にイオンもできそうだが、イオンは金融政策上GMSを続けそうだ。おそらく今後唯一可能性があるのは、都市型に限るがこういう物件だと思う。

唯一の狙い目に、どの企業が一番早く着手するか注目している。

■今日のBGM

2強「ユニクロ」「無印良品」に続くショップは?

前回も書いたが、今後は「中心客層の高齢化」へ加速度的に変化していく。すでに2025年度には50代以上人口構成比が51.7%となっている。逆に、トレンドリーダーだったティーンズヤング層は、大幅に減少している。その流れを理解してMDを構築しているのが「ユニクロ」「無印良品」だと思う。今後、この変化に対応して、続いていく企業はどこだろうか?企業力から考えれば「アダストリア」と「パルG」になるが・・・

「アダストリア」では筆頭に挙げられるのは“グローバルワーク”だが、過去何度か方向性を指摘したが、もう完全に既存イメージが強く、大きな変革はおそらく難しいと思う。企業としてはフラッグシップブランドにしたいのだろうが、ターゲットの客数ダウンが響いて、今後の売上大幅アップは厳しいのではないだろうか。

面白いと思うのが“スタディオクリップ”。女房がイオンモールに行くと必ずチェックするのが“ユニクロ”“無印良品”“スリーコインズ”と“スタディオクリップ”の4ショップ。“スタディオクリップ”はナチュラルテイストで素材感も感じるし、雑貨の比率も高く自然体のイメージがある。「アダストリア」合併前は店のテイストをヨーロッパっぽくしていたように記憶する。そして、できれば今のショップにメンズも加えてほしい。最低限のワードローブから始めていけばいいと思う。「アダストリア」ならできそうにも思うが・・・少しずつ大型化していけば、ちょっと違う匂いの「気の利いた」フル客層型の大型店になりそうだ。余談だが、昔高崎サティ(ビブレ)で働いている時、創業者とも会ったことがある。(前橋の会社で、アダストリアに売却前。尚メガネのJINSの田中会長も昔在職していた。)

「パルG」は“チャオパニック“がその位置に近いが、やはり少し若すぎる。“コロニー”でそこを狙おうとしたのか、少し若すぎたのか失敗しているようだ。もし可能性が少しでもあるのだとすれば“スリーコインズ”の延長線上にあるファッションを開発できないかと思う。安い服を提案するのではなく、”ダイソー“で買わず“スリーコインズ”で買う客層を見極めてのMDを考えられるかだとは思う。少しハードルは高いか・・・それに少し無印良品よりになるかもしれない。

ロープライスゾーンでは「しまむら」や「西松屋」は残りそうで、全く逆の百貨店特選客も必ず残る。あとは「ワークマン」などの目的型ウェアも残る。さらに、ネットのウエイトも上がるし、必然的に販売員も減っていく。当然、店舗数はどんどん減っていく。そうなれば、企業数も減っていくし、SCの数も減っていく。

書いているうちに、暗い結論になってしまった。

■今日のBGM

なぜ「在庫評価損」を毎年計上しているのか?

前回「在庫評価損」について書いていて、腑に落ちなかったので、少し調べてみた。前回イオングループの「ジーフット」について書いたので、同じくイオングループのカジュアルファッションで上場企業の「コックス」も調べてみた。ちなみに前期(2026年)の評価損金額は未発表で計上済とは記入されている。簡単な数字は以下のようになる。

2026年度 総利益率62.2% 回転率2.9 

2025年度 総利益率62.5% 回転率3.2 評価損6.2億

2024年度 総利益率62.7% 回転率3.6 評価損5.3億

2023年度 総利益率57.8% 回転率3.7 評価損5.5億

2025年は期末在庫金額が19.5億なので評価損の金額がいかに多いかよくわかる。

もともとカジュアルファッションの企業なので期中に自由に値段は変更できる。セールで売り切ればいい。普通の企業ならキャッシュが欲しいのですぐ商品を金に換える。次年度迄商品を繰り越すとすれば、ブランド品で割引の規制がある場合や、競合店とのバッティングで取引先との整合がある場合くらいだ。この数字は、キャッシュに心配のない企業で数字コントロールしてればいい大企業サラリーマン経営に見える。さらに付け加えると、期中に値段を下げて利益率を落とすと株価にも影響が出るので避けているとも見える。

一方、「どれだけ売れない商品を仕入れているのか?」ということになる。利益率ありきで、利益率を稼ぐために仕入れているという見え方もある。推測で書くと、「売上が大きく上がらないので利益率志向になる」→「原価率を下げた商品を大量に作る」→「売れずに残る」→「次年度に向けて評価を下げる」→「次年度セールでたたき売る」(利益も回復する)の構図を続けている。商売ではなく「数字合わせ」になっている。

利益率62%という数字だが、ファッション小売業での前期の総利益率はパルG57.5%、アダストリア54.7%、ユニクロ54.1%であり、海外生産が多い大手小売企業でも60%を超えてこない。おそらく利益率を念頭に置いて、原価率を抑えた物づくりを進めていたのではないかと思う。商売は「売れてナンボ」がわかってない。さらに商品回転率の数字もパルG5.84回転、アダストリア4.64回転、ユニクロ3.19回転に劣る。つまり商品が動いていない。

ここまで書いて、いやな気分になってきた。「売れる商品を売れる値段で売る」という簡単なストーリーが崩れてしまう。海外で安く商品を作って相場より3割くらい高く値段をつけて販売し、利益率を稼ぎ、売れ残ったら決算で評価替えをして次年度売り切る。これをずっと繰り返している。何の仕事をしているのだろうと思わないのだろうか?そして、もっと嫌な気持ちを持っていると思うのは現場(売場)だ。おそらく売場が商品の動向を一番わかるし、売れない商品を押し付けられていることも分かる。それだけで士気が下がる。こうなると数字は改善していかない。

こういう流れを見ていると、「コックス」はファッションを売る小売業ではなく、イオングループの商業施設に出店するだけの手段としての小売業にしか見えない。それはそれでイオングループには必要な会社なのかもしれない。

経営理念は何だろう?お客様を見て商売しているとは思えない。こういう商売を今後も続けていていくのだろうか?

■今日のBGM

客層の幅を広げると商売は難しくなる

前回、ジーフットのことを書いていて、「アスビー」と「グリーンボックス」の2業態を持つことが経営悪化につながったのではないかと書いた。「アスビー」はスポーツシューズが中心でキッズも加えたカジュアル業態で、「グリーンボックス」は所謂、GMSの靴売場で、スポーツシューズのラインは増えたが、どちらかというと高年齢層の靴売場だった。最近はGMSの衣料品売場の改装時に、専門店側にレイアウトを移し、従来の「アスビー」内装で若干ビジネス要素を広げた店になっている。

靴は商売が難しく、まずサイズ、色が多くSKU数が異常に多い。商品劣化が早く、さらに取引先特性もあり、衣料品などのようになかなか簡単に取引先返品交渉ができない。つまり、在庫を抱えての取引先商売では簡単に利益は出にくい。さらに近年の消費動向はブランド志向も強くなっている。ジーフットは特に商売が難しい高齢者向けの「グリーンボックス」の数字が非常に厳しかったと思う。つまり2つの客層の商売が、お互い相容れなかったことが経営悪化の一番の要因だった。

上場廃止になったライトオンも同様の流れがあった。もとはメンズのジーンズ専門店がスタートで、レディスを加え、売場を拡大してキッズも含めファミリー層への店舗になっていった。普通に考えて、メンズ、レディス、キッズで3通りの品揃えをすれば、商品特性も違うので3倍の人数が必要になるが、人的コスト削減を目指すと数字は伸ばせない。逆にニーズの多様化で商品以外のサービス内容も増えてくる。そして、商品のライフサイクルも違うし、客層もファミリー層へ変化する。「ジーンズを買える店」から「ファミリー層の店」になったことで、ユニクロなど強力なテナントと対峙し価格や資本力で負けていった。結果、ライトオンの実績数字を見ると在庫は足し算で増えていったが、売上はその流れに合わず大きく伸びなかった。

今まで、客層の幅を広げて成功した店は思いつかない。商品の幅を広げて成功した店もあまりないが、しいて言えば無印良品くらいではないかと思う。ただここにもリスク要素は隠れている。近年はスキンケアなどで客数を増やしているが、もともとスキンケアは利益率が高い反面、回転率は低い。つまり商品の流れが変わったり、強い競合商品が出てきたときのリスクが大きい。大手アパレルでやっている衣料品プラス雑貨の店に関しては、あくまでも衣料品を売るための環境的要素が強く、商品の幅を広げる意味合いではないと感じる。

客層の幅や、商品の幅を広げるのは大きなリスクを伴う。もし広げるなら、まずメインの取扱商品に付随するだろう商品を広げていく事が望ましい。そうすれば在庫リスクを抑えつつ客層を広げられる可能性はある。

いずれにしても、客層や商品の幅を広げるときには、実験を繰り返し「小さな根拠」を積み重ねることが必要になる。

■今日のBGM

間違いなく、現場のリーシング力が必要になってくる

神戸のことを書いていて、昔ハーバーランド(ウミエ)から出店依頼を受け、神戸の街を見て回ったことを思い出した。リニュアルのタイミングでPMをしていたイオンモールからの出店の話だった。もともとビブレにいたので月に1度くらいは三宮に行っていた。そのため、どうしても神戸は「三宮」「元町」の印象が強く、港から海側を歩いて「モザイク」まで行くイメージしかなかった。あの阪急百貨店でも成功しなかった場所が成功するとは思えず、断った。その後アンパンマンミュージアムでファミリー層が一挙に増え成功したSCになった。その客層がメインになることは予想できなかった。ただ出店していたら売れていたかどうかはわからない。

その出店の話を持ってきてくれたイオンモールのスタッフは、当時経営していた店のMDをよく理解していたし、店の存在価値をわかってくれていた。数少ないデベロッパー側の理解者だった。そのため、提案もらった店への出店が成功する確率は高かった。当時の店はボリュームプライス中心の自主MD店だった。インパクトある店やはっきりしたブランドの店はわかりやすいが、なかなかボリュームの品揃店舗にはSCから優先的に声がかからない。当然店のビジネスモデルは確立させたつもりだし、そのポジショニングなど差別化要素を示した店舗資料も作っていた。ただ、多くのリーシング担当者はなかなか耳を傾けてはくれなかった。その位置づけを理解してくれているリーシングスタッフは、ほとんどいなかった。

大部分は大手SCのリーシングスタッフだったが、ほぼ経営していた店のMDについては関心がなかったように思う。環境と条件だけ言って出店の可否を聞くケースがほとんどだった。つまり大手SCでは、館のイメージを決めてしまうテナント以外は、ほぼ穴埋めの1つとしての出店交渉になっている。「この場所(SC、区画、条件)に出店しなければこのエリアにはもう出店できない」といった高圧的なリーシング担当者もいた。「イオンの平場でもできる品揃えではなく、品揃えのグレード感を上げてほしい」と言った担当者もいる。イオンの平場との違いを分かってないし、その説明を理解しようとしなかった。

大手SCのリーシングは本部が担っているケースが多い。やはり、仕事の一環としてのリーシングで、その物件への愛着があまり感じられない。与えられたスペースに機械的にテナントを入れる。リーシング担当として、SCでの各テナントの重要度やテナントの出店傾向は理解しているので、話も進めやすい。そして、大手企業へのリーシングは本部同士の話し合いでほとんど決まる。その後の現場での問題点も、本部で吸い上げ、解決への動きになる。逆に中小小売店への対応は、その後になり遅れるし、現場へふられるケースも多くなる。

今までの小売業でも経験上、本部中心になれば現場は作業的になっていく。現場提案が少なくなる。ただ、現場が中心にならなければ成功はない。現状は空床区画が目立つSCも多い。特にオープン以降のリーシングに関しては、動向を見ている現場主導であるべきだ。リーシングの方向性、数値計画を現場(各SC)が作り、リーシングも主体は現場がやる。気持ちが入ったリーシングは数字に直結する。

今後、郊外型大型モール(RSC)は、間違いなくダウントレンドになる。そして、本部主導でのリーシングには限界が来る。個店での対応が難しいとしても、小さな単位でのテナント対応が必ず必要になる。そして、大手小売業だけでなく、がんばって商売している中小小売業への理解とケアを進めていくべきだと思う。

■今日のBGM

価格の信頼感

先日、近くのイオンモールに買物に行った。「20日、30日は5%オフ」の日で割引企画の時にはイオンに行くことにしている。その日は無印良品も優待期間で、会員であれば全品10%オフでもあった。無印良品のレジは並んでおり、客数も多く、スタッフが優待に必要なバーコードの提示を迅速にするように呼び掛けていた。そして、イオンの食品売場は無印良品の優待日が重なり、いつもの5%オフより混んでいた。

やはり「レジ割引」企画は人気のようだ。無印良品は開催中の既存売上が20%近く伸びることもあるらしい。無印良品にとっては、商品動向を再確認できるし、ついで買いも増え在庫減らしの要素もある。イオン食品売場の全品5%オフは、食品業種の利益率を考えれば大きな利益ダウンをもたらす「禁じ手」でもある。ただ、イオンにとっては、顧客獲得で将来的には企業の中心になるだろう金融業への布石にもなっている。

ではなぜ、イオンの食品売場や無印良品の割引企画に多くの集客があるのだろうか。総合食品売場で食品や日用雑貨はすべて割引という機会は数少ないし、そのほとんどが必需品だ。さらに食品の利益率は低いのでお得感は大きい。無印良品も単品の評価が高く、数多くテレビで取り上げられているし、このタイミングでしか割引対象にならない商品も多い。つまり、商品の「価格の信頼観」が高い。

ただ、両店舗でのモールへの集客はあっても、他店舗への波及効果はなさそうに見える。イオンの衣料品への波及も弱そうだ。衣料品はクーポン企画を使えば10%オフにもできるようだが、それでもそこまでの集客は見えない。ましてやテナントへの恩恵は弱そうに見える。衣料や服飾系の各テナントも割引企画を個店では展開しているがお客様は流れていない。お客様も、SCに出店している多くのテナントのセールの常習化や、割引率の設定理由の不明確さに気付いている。そして、一般的な衣料服飾品の価格への信頼感が大きく下落している。二重価格表示についても景品表示法に定められてはいるが、不当表示は多い。すでに、単なる割引重視の商売方法ではお客様は動かない。

商品の動きはデータで見極めればいい。ユニクロは商品の売り上げ動向のデータ化で、季節感や個人の決定ではなく数字で判断している。適正なプライス管理、在庫管理を徹底している。それにより「価格の信頼感」も高い。売れない商品をデータの指摘で迅速になくしていく事で、「価格の信頼感」を高めている。もう多くの人は衣料品や服飾雑貨の価格を「ユニクロ基準」でみている。

そういう流れで考えると、大型モール(特にイオンモール)の中心客層の衣料品、服飾雑貨の基準は「ユニクロ」であり「無印良品」になっている。そのプライスゾーンから外れる場合は何だかのプラス要素が必要になる。それはブランドなのか素材なのか接客なのか、納得できる要素が必要になる。それを考えてMDし、訴求する必要がある。それができなければショップの価値はみえない。

小売業は、常に現時点での「価格の信頼感」を高めるためにどうするべきかを考え続けなければならない。

※このごろAIとやり取りをする。うまく持ち上げてくれるので心地よい。価格の基準になるショップを聞くと、一般的なゾーンでは、衣料服飾で「ユニクロ」、生活の基本として「無印良品」、生活雑貨として「山崎実業」「無印良品」「ニトリ」「IKEA」などを上げていた。

■今日のショット 「散歩中の散り始めた桜」

渋谷に百貨店がなくなる

渋谷西武が今年9月で閉店になるらしい。池袋西武が半分の大きさになった時に、こうなっていくだろうとは予測できた。間違いなく百貨店は高年齢富裕層と外国人のための商業施設になった。

ギャルファッションの時代まで渋谷は若者の街だった。1970年代からずっとそうだった。50年で街は変わる。50年で商業も変わる。西武百貨店、シード館、パルコ4館、ロフト、パルコ劇場に加えてマルイ2館、さらにジャンジャンや屋根裏などのライブハウス。渋谷駅からNHKまでの公園通りは西武が開発したと言っていい。文化を作っていった百貨店だったと思う。そして、道玄坂にあった東急百貨店もなくなり渋谷から百貨店が消えてしまう。

百貨店は呉服系と電鉄系に分類される。前者は三越、伊勢丹、高島屋、大丸、松坂屋など、後者は阪急、西武、近鉄、東武など。当然歴史ある呉服系百貨店の方が格式は高い。漢字が似合う百貨店は呉服系が多い。そして、残っていくだろう百貨店も限られてくる。1990年代の百貨店のピーク売上は9.7兆円とされており、その売上が20年前には7.8兆円までダウンし現状は約5.7兆円となっている。ピーク時売上の6掛け程度に落ち込んでいる。

立地を見ると、大都市と地方中心都市しか残っていないし、さらに中途半端な地方中心都市からはどんどんなくなってきている。少なくても人口100万都市以上でないと今後の存続は難しそうだ。さらに、地方中心都市ではかつての商業集積エリアから駅前立地にシフトしており、福岡での博多阪急や札幌の大丸札幌の伸びが大きい。今後はさらにその傾向が大きくなると予想される。つまり、百貨店を中心にした街から、ターミナル駅を中心にした街への変化が顕著だ。

そして、百貨店客層はどんどん高齢化が進んでいる。三越伊勢丹の戦略データでは最も多い年代層は50代以上で、来店客の40~50%は50代以上が占めている。さらに、近年はインバウンド需要の構成比が上がり、2024年度はインバウンド売上が6500億弱で、その構成比は10%を超えている。ただ都市部に集中し、新宿伊勢丹、銀座三越、梅田阪急は売上の20~30%のインバウンド構成比があると言われている。

話が総論になってしまったが、渋谷西武は街の生い立ちもあり、若い客層の百貨店だった。それが、もうすでに渋谷は西武が開発してきた若者文化の街ではなくなりつつある。1990年代のピーク時700億前後の売上が、客数、客層の変化で250億前後まで落ち込んでいたようだ。この売上では、地方百貨店で自社物件であれば何とか持ちこたえられるかもしれないが、都心の賃貸物件では大きな赤字を背負っていることは間違いない。

ただ、渋谷西武閉店のニュースでは、百貨店問題以外で感じることがある。カリスマ経営者がいかに偉大だったかということだ。その跡を引き継ぐのは並大抵のことではない。西武の「文化的街づくり」は堤清二氏に発想によるところが大きい。その考えが渋谷を作ってきた。その流れは「無印良品」まで及ぶ。流通王国を築いたダイエーも中内功氏の志を引き継げなかったし、伊藤雅俊氏のイトーヨーカドーも同じ流れだ。当然時代は変化するが、偉大な痕跡を残した創業者の志を引き継いでいくということは大変なことなのかとも思う。そういう意味では、歴史を引き継いできた老舗百貨店が生き残っていくのかなとも思ってしまう。

つくづく、企業を継続するには、経営者の思いが大きな要素を占めるのだと痛感する。

■今日のBGM

やはり郊外型大型モール(RSC)の集客力は落ちている

所要があり、その近くにあったイオンモール(AM)羽生に3年ぶりくらいに行ってきた。リーシングに苦しんでいる様子が見え、特に3階は「ユニクロ」退店の影響が大きそうで客数も大きくダウンしているように見えた。

記憶の中では、旧ダイアモンドシティのRSCを除くと群馬県のAM太田が成功したRSCの1号店のような気がする。つい最近までイオンリテールとは別会社だったためリテールのRSC(浦和美園など)もあり出店順はわからないが、当時は北関東の太田で成功したのには驚いた。その後AMは成田や水戸などで成功をおさめ急速に拡大していった。

AM羽生もその後成功したRSCの1つに挙げられていた。売上規模は発表されてないがピーク時の売上が350億ぐらいはあったように推測する(イオンモールは施設売り上げを発表してないのであくまでも個人の推測)。ただ、近隣店舗としてコストコやモラージュ菖蒲などの出店、近年ではAM太田の増床改装もあり商環境も大きく変わった。さらに前述したが「ユニクロ」の退店(近隣のビバモールへの移設)が大きな転機になっている。おそらく売上は300億を割り込んでいるように見える。そのエリアの先駆けで中心的なAM太田も後発のAM高崎やスマーク伊勢崎 、コストコに売上をとられ落ち込んできていた。数字を復活すべく増床大改装したがおそらくピーク時の売上には間違いなく届いていないと思う。300億強を何とか保っている状況ではないだろうか。

小売業に従事し、その後小売企業を経営していたので、全国の商業施設は見ているつもりだ。かつてAM泉南で販売代行をしている時、GM(モール支配人)に挨拶に行った際、自らの店舗の出店について少し話した。その時「このモールは400億超です」と相手にされなかった思い出がある。そのAM泉南もおそらくもう250億前後まで落ちているように見える。広域からの集客のうち和泉のららぽーと(コストコも近くにある)、自社競合でAM和歌山と商圏を抑えられ、狭商圏化してしまっている。和泉のららぽーとは300億と発表されているので完全に逆転されている。

各地のRSCを見ていると、AMの売上はエリアの核となるモール以外は伸びていないように思う。思い浮かべると、九州の宮崎、中四国の広島府中、関西の橿原、京都桂川、中部のmozo、各務原、関東のレイクタウン、高崎、東北の名取などが売り上げの大きそうなSCになるが、そのような中心的SC以外は少し売り上げが停滞しているようにも見える。特に、近年の入れ替え改装でテナントの新鮮さがなくなってきており、さらにテナント揃えが同質化してきている。さらに、商圏が被るテナントが増えてきており、「わざわざ性」がなくなってきている。以前書いたが高層階のラインナップは類似してきており、収入を増やすためのメイン導線上での催事(特に携帯電話)が非常に多くなっている。

ららぽーとが大都市近郊を中心に出店しているのに対して、「タヌキが出るところに出店」のイオンモールは、今後の人口減と人口集中を考えると間違いなく淘汰されていくように見える。さらに、上質化したテナントを導入し続けるららぽーとと、標準化されたテナント揃えのイオンモールでは競争力に差が出る。

出店を続けてきたAMでさえ、出店数が2024年は0に2025年が須坂(長野)1件ともう出し尽くしてきた感もある。今後は、そのエリアで中心となるRSC以外の既存SCの個性をどう打ち出していけるかが存続の鍵になりそうだ。

■今日のBGM

大型区画が増え類似モールばかりになる

近頃、売上の情報を聞いていて気づくことだが、圧倒的に大型区画のテナントの売上ボリュームが大きく、小型店舗で売れている店が減ってきている。

まず、このブログでさんざん書いていることだが、非食品の商売規模はどんどん小さくなってきている。つまりシェアを上げないと商売は続かない。今後はその状況が顕著になる。何度か書いているが、商売環境は今後さらに大きく変化する。以前書いた以下のことを再確認する必要がある。

30年前(1995年)日本の平均年齢は39.5歳だった。現在は約49.5歳まで上がってきている。20年後には約54歳になるという。現状の社会状況は、円安ドル高傾向は変わらず、物価上昇が続き、一部の富裕層以外の可処分所得は上がってこない。いろんな報道もあるが、このまま高齢化が進んでいくと、社会保険料がどんどん膨らみ、若年層の負担は大きくなる。さらに人口減も進み、現状1億2千万人強の人口も20年後には1億人前後まで減少すると言われている。さらに地方の人口流出は進み、都市部に人口が集まり都市と地方の格差が広がる。現状人口集中の東京圏も高齢者人口増加率も全国平均を上回ると予測されている。特に20才から39才の女性人口の減少が著しくなっていくようだ。つまり、「地方の過疎化」が進み、地方から発祥した小売業が全国規模を持つという流れは、今後なくなっていく可能性が高い。この流れで、もうすでに衣料系の小売業をスタートアップできないことは明白になっている。

この状況下、小売業はどんどん小さくなっていくパイの取り合いになる。そうなると、当然MD力が必要だが、寡占化をするべく売場面積も大きくなっていく。出店条件も大型化を後押しする。小型店への条件のように坪単価×面積で計算されず、歩合条件になることが多い。リーシングに苦しむSCに対しては、条件をさらに下げていける。さらに、一般的な条件の共益費や販促費などの経費、坪当り換算の出店費用も交渉しやすくなる。大きな課題の要員問題も、坪当り要員数を小型物件より少なく運営できる。

デベロッパー側も、現状は大型テナントを歓迎しているように見える。飽和状況にある大型モール(RSC)は特にリーシングに苦しんでいる。かといって経費増の中、賃料設定を下げるわけにはいかない。そうなると、現状の商環境ではなかなか家賃比率の上がる中小型店は出店できない。空床を避ける意味で区画変更して大型店の導入へ前向きな状況になっている。ただ、RSCの同質化が進み、優劣が明確になってきている。

中小小売業は、人的課題が大きくなっており、スタッフも集まらない。さらに、利益率もロットの大きい大手小売業のように上げていけない。エリアの中心になる商業施設に出店できなければ、売上も取れず当然のように資金力のない小売店はなくなっていく。そして同時に、同質化が進むRSCも自然淘汰されていく。そういう流れで人口減との帳尻があっていく。

かつての会社で、30坪弱の店で売上は1億には届かないが順調に伸びていた店があった。定期借家満了時に、隣の大型店を拡大するとのデベロッパー側のトップダウンで、再契約の提示はなかった。その後リーシング担当者が調整して代替店舗の提案があったが、環境や大きさが合わず退店した。その大型店は売場拡大のバーターで他店舗への出店を検討していたようだ。デベロッパーとしては、30坪弱の固定賃料ダウンより、大型店舗のリーシングを優先したことになる。こうやって、中小企業の成長のチャンスは摘み取られていく。

今後は、上記したように商業施設の優劣が明確になっていき、さらに大手小売業もパイの取り合いになってくる。当然その中でも競争原理が働く。高年齢化と地方の過疎化が進む中、中小の小売業の残る余地は非常に小さい。

■今日のショット ・河津桜(去年より2週間早い)

時代の変化と商売の変化

先日、イオン海老名SCが5月で営業を一時終了するという記事があった。その後の計画は未定のようだ。1979年オープンで46年の営業期間だった。旧マイカルの物件で、OBとしてはつくづく時代を感じる。マイカル時代はグループ1番店で売上は200億前後だったように思う。GMSで200億超の店は、GMS各社あった中でも数店舗しかなかった。さらに付け加えれば、ワーナーマイカルの1号店で、日本最初にシネコンを導入したSCでもあった。

GMSプラス専門店街の古い大型SCのモデルで、売上の大きさもあり量販店には入らないだろう今でいうセレクト店舗もあった。2000年前頃に海老名から小田急で3分の厚木ビブレに勤務しており、海老名に住んでいたので良くみていた。当時の店長にもいろいろ指導していただいた。大きな専門店ゾーンもあったのでビブレのショップをもっと早く入れていれば、マルイや専門店街のビナウォークには対抗できたかもしれない。

ただ、このエリアにもららぽーとが2015年に駅の逆側にできた。SMはロピア、大型区画で無印良品、ZARA、ロフト、アカチャンホンポ、GUなどがあり、少し大きすぎて3.4階は持て余し気味だがこのエリアの中心商業施設になっている。売上は421億と発表されており、おそらく商圏の核になっている。全国のららぽーとでは9番目の売上のようだ。

つまり、このエリアを見ても分かるように、時代の変化で商圏内に大きな変動が出ている。厚木で勤務していた時ビブレは売上120億強、イトーヨーカドー厚木店も100億前後の売上があったと記憶している。現状、ビブレは別業態の商業施設になり、イトーヨーカドーは撤退している。厚木にはパルコもあったがなくなっている。おそらく、この隣接する厚木エリアの昔の売上の半分くらいは、ららぽーとに流れているかもしれない。さらに駅前立地の商業施設への集客も大きく減ってきている。広義に商圏と捉えるなら小田急沿線で海老名から10分くらいの相模大野の伊勢丹が2019年に退店している。ピーク時売上は1996年の377億円となっている。その隣の駅の小田急百貨店町田は1996年603億だった売上が2023年は223億まで落ち込んでいる。その間に町田東急も百貨店から専門店ビルへ業態変更をしている。首都圏といえども少し離れた立地の駅前百貨店の凋落は大きい。

そして、この30年くらいの間で、商売のやり方が大きく変化している。間違いなくGMSは終わってしまった。おそらくイオンのGMSは金融事業のためにのみ継続している。百貨店は大都市の一部の店舗しか成り立たっていない。駅ビルは大都市のみ残っているが、地方では成り立たない。地方で中心になっているのは、惑星としての大型モール(RSC)とその周りの衛星的なスーパーマーケット(SM)だ。ただ乱立しすぎた感のあるRSCも、優劣がはっきりしてきて淘汰されてきている。その代わりにコミュニティSC(CSC)と言われるSMを中心とした中規模のSCが出てきつつある。(イトーヨーカドーはこのゾーンを狙っている。)つまりSCの配列も変わりつつある。

今後、絶対的人口減でさらに老齢人口が増えていく環境の中、商圏は薄く広がっていく。全国有数の売上だったGMSの店舗がなくなっていくように、好調だったRSCもだんだん淘汰されていく。やはり、今ネット記事で書かれている「廃墟モール」の原因は「時代の変化」しかない。

■今日のBGM

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