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店長に考えてもらいたいこと ➁

前回、店長もキャッシュフローを考えて売場をマネジメントするべきだと書いた。毎日売上ばかりを念頭に置いて仕事するのだろうが、本当に自分で金を持っての商売ができているのか自問自答して欲しい。昔と比べると、店長の平均年齢も上がっているように見える。もう一度商売の理屈や目標を見つめなおしてほしい。

単純に30坪の店を出店するのにいくらかかるのか?出店費用だが、敷金として坪100~200千は必要だ。ここでは坪150千として考えると4500千となる。敷金は返ってくると思っているかもしれないが、撤去時に撤去費用でその金額位は必要になる。つまり返っては来ないと考えるべき経費となる。内装工事に関して、共用部の負担金、内装管理費、現場協力金などで最低でも2000千は必要になる。さらにオープン販促費なども必要で、デベロッパーに支払う金額は概算合計7000千くらいになる。さらに内装費だが、ABC工事含めると安くても10000千は必要になる。おそらく今なら、物価高騰もありその金額では済まない。つまり、30坪の店を出店するにはその他諸経費を含めると20000千は必要になる。そこに、オープンするための商品の金額が必要になる。商品在庫を上代で坪500千とすれば、原価50%として7500千の金額が必要になる。つまり、少し多く見積もるが30000千くらいの金を投入することになる。

少し前に、ソフトバンクの無担保社債の募集があった。利率は4.75%であり税引き後3.785%となっていた。ソフトバンクの存続のリスクがあるが、ソフトバンクが7年続けば毎年利払いが続く。そしてその後原資は返却される。海外ではリスクが大きいと言われていたようだが、完売している。この社債に30000千を投資すれば、毎年税前で1425千の利払いがある。つまり、金を動かすだけの方が安全で堅い商売として映る。商売をやっていくということは、それ以上の収益がなければ、社会的な価値はないと考えることもできる。

企業には理念がある。昔立ち上げた会社は、そんなことは考えてなかったが、「やっていく業態は、他の企業が手を付けてないターゲットに向けた商売」だと思っていた。所謂「小さなブルーオーシャン」と感じたからスタートした。大きな理念はなかったが、ターゲットさえ間違わなければ成功すると思って始めた。そして、その考えが浸透していれば、企業は続いていくと思っていた。

では、今の物販小売業の店長はどういう気持ちで働いているのか?毎日ルーティン業務をして生活基盤としての収入をもらっているのか?大きな投資を受け止めて、その投資を回収していこうと前向きに動いているのか?おそらく前者のほうが多い。

このブログで再三書いているが、今後の顧客層は高年齢化し、その数は激減する。つまり、普通にやっていれば、中小の小売業は淘汰される。上場企業でさえ、どんどんなくなっている現実もある。もう一度、企業目的を徹底して話し合い、店長として何をするべきか、何を基盤に仕事をしていくのかを明確にしてほしい。

でも、走っている途中にはなかなか考えられないか・・・

少し説教じみたブログになってしまった。

■今日のBGM

「ハッカキッズ」ブランド休止と子供服業界

先日、子供服の「ハッカキッズ」がブランドを休止する旨を新聞で知った。このブログでは「雑談」として書いた方がいいのかもしれないが、「ハッカ」ブランドには過去お世話になった。

このブログでは過去の仕事としてよく書いているが、群馬県高崎駅前の「ニチイ」を改装し「SATY」の業態を作る時、商品部にいた。俗にいうDCブランドの誘致も主な仕事だったが、商圏には百貨店2店舗あり、路面店にはブランドが軒を連ねていた。「ビギ」や「ニコル」は有名なFC先があり、後発のSCには見向きもされなかった。その時一緒に仕事をしてくれた店のフロア責任者が、路面店で「ハッカ」を経営していた。その方には大変お世話になったのだが、そのおかげで「ハッカオム」は導入できた。その後、子供服ブランドブームの時には「ハッカキッズ」も店舗を構えることができた。

あの当時のDCと言われたブランドのほとんどが消えていった。「ビギ」グループは三井物産傘下に、「ニコル」グループは岐阜アパレル傘下になり、その他のブランドもほぼ消滅した。「ハッカ」ブランドは、その当時規模は大きくないがブームから離れて自分たちの方向を向いていたように思う。その後「Madu」など飲食と融合したショップを開発し、きちんと立ち位置を確保している。当時は、須賀社長(当時)にも営業担当者にもお世話になった。西麻布の本社にもよく伺った。

その後、子供服ブランドブームがあり、うまく地元FCオーナーと交渉ができて、「コムサフィユ」「ミキハウス」「べべ」のテナント出店や「ミニバツ」「ミニK」「メゾピアノ」などと「ハッカキッズ」をSATY直営にしてゾーニングができた。地方でこれだけのブランドが揃うのは珍しく、活況を呈した。ただブームが去ってからは、SCが「ビブレ」になると同時にすべてなくなった。「なくなった」というか「なくした」。思い出すと1996年のことだった。

平成子供服ブランドブームは、バブル崩壊後どんどんマイナストレンドになっていった。もともと子供服は、ベビーサイズ、トドラーサイズ、スクールサイズに分けられ、さらにサイズも身長の10センチピッチで、細かい。つまりジーンズ専門店がなくなっていったのと同様、在庫を抱える商売になる。さらに子供の成長は速く、着飾れる期間は短い。ただトドラーサイズは子供が最もかわいい時期になり、ジジババ戦略でのギフトで最も売れる。

子供服を取り巻く環境だが、国内出生数の変化を見ると、1990年は約122万人が2022年には84万人、2025年には70万人前後まで落ち込んでおり、1990年の60%を割り込んでいる。つまり、完全に商圏は小さくなっている。さらに1990年代に「ギャップ」が日本上陸し、サイズ観念が変化していったこともあり、子供服市場が変化し、特にスクールサイズが一般衣料品市場に加わっていった。ただ売上数字を見ると、子供服市場は大きなマイナスはないらしい。高級志向、インバウンドニーズで高価格帯の子供服は売れており、「ミキハウス」「ナルミヤ」などは堅調に伸ばしてきている。さらに「西松屋」「ユニクロ」「GU」のボリューム層も数字は大きい。見え方はそうだが、スクール需要をどう捉えるかで、数字は変わる。おそらく、昔のセグメントで考えれば減少の度合いは大きい。さらに、過去の子供服専業メーカーは寡占化が進み、中小のメーカーは姿を消している。

今後、大手の海外展開や効率化で維持できるメーカーは少なく、さらに寡占化が進むと思われるが、「服」以外への取り組みが必ず必要になってくる。一部の大手のブランドを除いては、子供服専業のメーカーは間違いなく消えていく。

■今日のBGM

「売る」責任と「仕入れる」責任と「コントロールする」責任

晩期の売場を見ていると、企業の状況がよくわかる。特に商品コントロールのやり方で企業力は出る。姿を消していった企業はここでのミスが多い。「売る責任」も大きいが「仕入れる(作る)責任」も大きい。そしてそれをコントロールできて企業は成り立つ。

昔、「ビブレ」という業態に在籍した。他のファッション系SCとの大きな違いは、自主MDでの売場が多かったということだと思う。開発型ショップを入れると50くらいの売場が自主MDだった。壁面を背負ってのブランドオンリーショップは取引先出店が多かったが、品揃え型店舗や、大型区画は直営展開が多かった。そうすることによって賑わいも出て活性化が図れた。つまり、ブランドで集客し自主売場で稼いでいた。自主売場には本部のMD担当者がいたが、主用業務は全店共通の商材を手配し、その売場の数字を管轄することだった。ただ、店の大きさにもよるが、店担当者の仕入れ権限が大きかった。店舗数が増えていく中で、仕入技術の問題や、当然のように売上の大小で、店舗間格差はでてきた。晩期は自主MDでの弊害の方が大きかった。

自分で店を始めてからも、店仕入を中心にスタートした。当然集約して展開する商品は本部でまとめて発注したが、その比率は低かった。何より、店舗数が少ないうちはまとめて発注するメリットは小さい。ただ規模が大きくなるにつれ、店仕入中心では厳しくなってくる。

小売業は回転率を考えて、売上予算と在庫予算を決定する。このブログでも再三書いている。商品を仕入れてその商品を売って、取引先に仕入れ代金を支払う。一般的には末締め翌末払いの条件が多い。ということは2ヶ月で完売すれば利益は残る(売価-原価)。掛け率50%なら2ヶ月で半分売れれば支払いはできるが、儲けは出ない。そして、その儲けで経費を払う。回転率が低い商品(高額商品等)や回転率の高い商品(セール商品、定番商品等)があって全体の回転率が計上される。売価在庫で図る時は、回転率は売上÷平均売価棚卸額(在庫)で計算できる。その数字が0.5なら2ヶ月で商品が入れ替わるということだし、0.33なら3ヶ月ということになる。いろんな仕入れ形態はあるが、立ち上げた会社では月度回転率0.5を目標にしていた。同じように上場企業ではパルグループが回転率を重視している。

ただ、仕入れ担当者にそこまでの数字感覚があるかどうかだ。自分の懐は痛まないし、「売りたいものを仕入れたい」と考えるのは自然なことだ。財布の中の金額を気にしないで買い物をすることは楽しい。そこに大きな問題がある。当然、売場提案を実施するが、そこに信頼関係がなければ、「売る側」は押し付けられたと感じることも多い。

そこで「仕入」と「販売」をコントロールするポジションが必要になる。小さい会社なら社長がやるべきだ。そして、ある程度の規模になれば必ず必要なポジションだ。商品はわからなくても数字でジャッジするスタッフが必要だ。どの商品群が回転率を落としているか、そして回転率を適正にするためにどうするかをジャッジする。当然回転率を上げるには、商品をなくしていく事になる。商品をなくすのは返品するか、値段を下げて売り切るしかない。つまり「在庫」をコントロールするポジションが必要になる。

そこで「売上」を優先させるか、「利益」を優先するか、「在庫」を優先するかを決めるのが経営だ。「売上」を優先させれば「利益」は落ちるし「在庫」は減る。「利益」を優先させれば「売上」は伸びないし「在庫」も減らない。そこをジャッジするのが、経営の一番大事なことだと思う。結局、昔在籍した「ビブレ」は経営危機になり、キャッシュを得るために「売上」を優先し、「在庫」を減らし「利益」を減らした。そして倒産した。

小売業は「売上」「利益」「在庫」をきちんとコントロールできる体制を持った企業しか存続できない。

■今日のBGM

企業力で仕事のやり方が違ってくる

今年の夏の流れは、6月の大失速をカバーするためバーゲンの長期化で取り戻そうとしているが、去年と同様の流れでは6月分のマイナスを引きずるだけの結果になるように見える。事実、店頭を見ていても、ユニクロは値段を下げて夏物処理を急いでいるようだが、対極として無印良品の動きはマイペースで在庫処理が進んでいないように見える。大手はそれなりに機動力があると思うが、他社の動きはどうなのだろうか?おそらく去年ベースで夏物を手配していれば、夏物商品はだぶつく。

ユニクロはICタグとAIを活用してデータ分析し、リアルタイムに商品の消化予測をしている。その商品動向を毎週の「商売検討会」で話し合い、処理の指示を店舗へ一斉配信するようだ。当然レジシステムも連動されている。一般的に販売から4週間後に計画を下回っていれば即座に値下げ対象になる。ユニクロの店サイドの仕事は「売り込む」ことが業務であり、VP(ビジュアルプレゼンテーション)や細かな売場変更などでの売上管理が主業務になる。

少し話はずれるが、大昔の話をする。大昔は、商品についている値札は店で付けていたことが多かった。商品が入荷し、商品管理担当者が検品して、値札がない商品(半分ぐらい)は値付け場所に伝票をはさんで置いていた。その商品に値付けする担当者がいて値札を作り、かぎ針で値段をつけていた。それを売場に持ってきて、売場で値札の裏に品番やアイテム、取引先を書いた。毎日その売れた半券を持って帰り、売れている商品の分析をした。アイテムごとに売れている値段の分析、単品売上数のチェックなど単品管理表を作った。それをもとに追加発注や商品動向から値下げ処理をしていった。

さらに商品の値下げをするときは、値下げの詳細と金額のトータルを記入し、売価還元法で利益計算表を作成し、利益率ダウンを記入、今後の予定仕入額に合わせて期末の利益シミュレーションも作成した。そのシミュレーションを持って値下げ決済をもらった。その決済印を持って値付け担当者に赤札(値下げシール)を作成してもらい、それを値札に貼った。当然決済をもらうときは文句を言われた。今になって考えると、商売の仕組みを教えてもらったように感じる。

現状は、ユニクロ以外の大手小売業でも、一般に上記の値段を下げる作業以外では、入庫時のバーコードスキャンと売上時のレジでのスキャンでPOSデータとして単品管理されている。つまり、単品管理は非常に簡素化されている。当然手計算で行っていた数値管理も、データですぐ出てくる。さらにシステム上は、適正在庫日数を入力すればそれに合わせた、在庫処理の指示も出てくるようだ。ユニクロ式の業務が店の仕事であれば、ずいぶん店の仕事は単純なものに変わってきている。責任の所在が明確であればいいが・・・

では、店は売上だけを求めていけばいいのだろうか?値段の指示を待っていればいいのだろうか?ユニクロのようなシステムがない企業は、店の権限はどうなっているのだろうか?いろんな数値責任が明確でないと、店頭での仕事が混乱する。ここに企業力の差が出る。

ただ、売場を見ていると、大企業ほど販売が仕事で、処分計画や在庫、利益計画には携わってないようにも見える。安定した職業にはなるのかもしれないが、商売として面白いのかなと思ってしまう。

■今日のBGM

FC事業中心の小売業

以前数回FC事業について書いたことがあるが、詳しくわからないのでできるだけ触れないでいた。先日、昼のワイドショーでコンビニの衣料戦略について多くの時間を割いて説明していた。その内容についての個人的な意見は、数回前に触れた。

その番組は、「画期的でバラ色」のようなことを言っていたが、おそらく1年後には間違いなくトーンダウンしている。前回も触れたが、コンビニはFCビジネスで直営展開ではないからだ。コンビニは回転率の高い商品を販売し、オーナーが利益を得るシステムとなっている。FC先企業が回転率の高い商品を投入することで、コンビニのキャッシュフローは成り立つ。衣料品はトピックになっても商品として回転率は低い。つまりコンビニ主力商品と違ってキャッシュインが遅れる。そうするとコンビニオーナーのキャッシュが円滑に回らない。おそらくFC先企業が条件を優遇するとは思うが、回転率が悪いと資金繰りに影響が大きい。FC先企業のニュースにはなっても、FC経営者にはその恩恵はすぐに手元に来ない。そして何よりもその商材は緊急時だけ必要で、普通はユニクロで買えばいい。さらに、利益率が高いと言っているが、売れなくなった時のリスクも大きい。ただ、セブンイレブンも追随するということには驚いた。故鈴木社長なら絶対しないだろうとは思うが・・・

他のFC事業中心の小売業と言えば、ワークマンがある。ニュースでは「暑さ対策」や「リカバリーウェア」商品で取り上げられている。数年前に少し調べて、このブログにも上げているが、どうも興味はわかない。

ワークマンのFC条件は細かく聞かないとよくわからないが、簡単にまとめると、①内装費はワークマン持ち、➁家賃もワークマン負担、③経費は電気代と人件費(ただし夫婦で働くことが前提)④仕入原価は60%(ほぼ委託、支払いは初回以外原則なし)⑤初回在庫の支払い3000万前後(低金利での借入も可)※売価在庫4500万前後からの逆算 ということのようだ。平均実績ベースで売上1400万前後、粗利36%として粗利額500万、FC取り分200万でそこから人件費(アルバイト)電気代の負担があり、夫婦で140万前後の収入と想定される。当然人件費負担が増えるとオーナーの取り分は減る。そして、そこから当然借入金の返済はある。この数字なら比較的手堅い商売かもしれない。

ただ、ワークマンも既存の「ワークウェアの店」から変わりつつある。「ワークマン女子」(失敗後店名変更)を立ち上げ、リカバリーウェアやヒート対策ウエアなどの積極投入を続けている。ある意味トレンド商品に手を出しているが、今後はどう取り組んでいくのだろうか?少しずつ従来のワークマンから変化しているようにも見える。

コンビニもワークマンも別事業に手を広げているように見える。ただ、その成功は企業だけではなく、販売先であるFC企業が前向きに動くかどうかが成功のポイントになる。前述したが、コンビニのキャッシュフローの変化にFCオーナーが耐えられるか?ファッションやトレンド志向商品の展開にワークマンのFCオーナーが付いていけるかどうか?

今までのルーチンワークに何か加われば、当然手間がかかる。そうなれば、従来の人員体制で運営ができなくなる。さらに商品知識もプラスされる。FCオーナーの負担も増える。そして何より、ファッショントレンドに立ち向かうには大きな競合(ユニクロなど)と戦わねばならない。

この流れにFCビジネスがうまく乗っていけるのだろうか?

■今日のショット(今回の旅行…上高地)

地方の百貨店の存続は難しい

群馬県の県庁所在地である前橋市のスズラン百貨店が今年11月をもって閉店するという記事があった。また地方中心都市から百貨店が消えていく。

昔の地方中心都市は、現在では好立地ではない。鉄道を引くにあたって、街の中心地は難しかったため、少し離れた場所に駅を建設していった。つまり、昔は交通網としての駅中心の街ではなかった。地方都市の旧市街地が駅と離れているのは、そういう歴史がある。旧市街地の衰退は、鉄道の充足により影響を大きく受けている。前橋もその影響は大きい。

また昔の話になって申し訳ないが、前橋は社会人として小売業に従事した最初の土地であり、初めて行った街でもあった。それまで北関東以北には足を踏み入れたこともなかった。当時の前橋は中心市街地に前三百貨店(三越系)、西武2館(西友西武)、スズラン百貨店に加えて量販店のニチイ(マイカル)、長崎屋があった。この当時のGMSは今の郊外型ではなくニチイも6層の駅ビルタイプだった。ちなみに隣接している高崎には、スズラン百貨店高崎店、高島屋高崎店、藤五(伊勢丹系列、その後BIBI)があり、量販店ではダイエー(6層)ニチイ(8層)の大型物件があった。

今回の前橋スズラン閉店により、県庁所在地の中心市街地から百貨店がなくなることになり、過去5つもあった大型商業施設が消えてしまうことになる。ちなみに高崎市街地にあるスズラン百貨店高崎店も移転し、物販3層の2000坪位に縮小しており、もう百貨店の姿ではない。結果的に群馬県の百貨店は、高島屋高崎店1店舗になってしまうことになる。

その高島屋高崎店の売上は2025年2月期で161億円と公表されている。30年くらい前はスズラン百貨店計で420億位の売上(高崎スズランが約200億)だったと記憶する。当時の高島屋も200億超くらいで、後に別会社化されていたような気がする。私事ではあるが、その当時は高崎サティ、ビブレの店長を務めていたのでそういう記憶がある。現状、高島屋はスズラン百貨店の移転縮小で数字が辛うじて回復しているようだ。ただ、百貨店客層の戻りはそんなに大きくない。伸びてきているとはいえ、現状の売上では百貨店としての存続は非常に厳しいラインではないだろうか?高島屋でも売上はワースト2(ワーストは大宮)のようだし、今後前橋の百貨店客層をどう取り込むことができるかが、存続のポイントになりそうだ。

ただ、群馬県の商業の現状を見ると、完全にRSC中心に変わってしまっている。駐車場施設が少ない駅前に、わざわざ電車を利用して買い物に来る客数が増えるとは思えない。特に百貨店中心客層の高年齢層は、外出の機会も減っていく。さらに地方駅前のメイン客層はティーンズ層であり、そのターゲットの人口減も重なる。10年先を考えると駅前での百貨店の存続はないとしか思えない。

近隣の北関東の百貨店の数字を調べてみると。栃木県は東武宇都宮百貨店が2024年2月期売上269億円であり、近年は200億前後という情報もある。損益面も2024年純損失8.4億円という数字がある。茨城県では水戸京成百貨店は2025年2月期売上232億円、純損失6.4億円という数字となっている。両店とも地方関連会社としての扱いなので正確な帳票でないのかもしれないが、収益は赤字の状況のようだ。逆に栃木県の福田屋百貨店は大型RSCのような郊外物件で、未上場で数字は公表されてないが売上は2022年415億円(単店ではない)のようだ。

つまり、北関東各県に残っている百貨店はすべて赤字の状況が続いているということのようだ。いよいよ地方百貨店の存続は難しくなってきている。

■今日のBGM

コンビニについて考えてみた

セブン&アイの鈴木元会長が亡くなられた。コンビニの「生みの親」と言われている。お会いしたことはないが、以前も書いたことがあるがイトーヨーカドーの体質はよくわかっている。特に鈴木氏が作り上げた「セブンイレブン」(以下セブン)は小売業の1つの大きな柱になっている。

マイカルをやめる前、イオンの経営者養成の社内研修を受けた。1年以上の研修で非常に厳しく、課題解決などのスキルを学び、最終的にチーム分けされ、出された課題について岡田会長にプレゼンするというような研修だった。課題はいくつかあったが、チームには「今後のコンビニを活性化させるには?」というテーマが与えられた。おそらくイオンの課題をテーマにしていたと思うが、チームで必死に検討した思い出はある。(途中で退社したが・・・)その時のプランは「ガソリンスタンドとの協業」や「店内での酒含めた飲食」(その後どこかで実現していた)などをまとめていた記憶がある。ただ、いろいろ分析すると「セブン」には勝てないなとは感じていた。

近年のコンビニ業界を見ていると、「都心対策」が一番注目されているような気がする。イオンの「まいばすけっと」対策で値段に太刀打ちするためにどうしていくか。各コンビニの個性をどう出していくのか。等… そのためにファミリーマートがTシャツ中心にアパレルに参入し、セブンも再びアダストリアとコラボするというニュースが出てくる。このアパレル参入については非常に厳しい見方をしてしまう。商品を見てどうこう言う以前に必要あるのかということだ。

コンビニはFC事業で成り立っている。いろんな仕組みはあるが、結果的には仕入れ代金はFCのオーナーが支払うことになる。つまり商品を早く売って、現金を回収しなければならない。一般的なコンビニの回転率は月2.3~2.5回転で、セブンに至っては3.5~4回転以上のようだ。その中にファッションを入れてどれくらい回転するのか?肌着としての感覚でも、衣料品よりは回転するが、月0.5回転くらいではないだろうか?ファミマのファッションのコンビニでの売り上げは200億を超え300億に近づいているようだが、ファミマ全体の売上からすると0.6%くらいしかない。什器も3台くらい使うそうだから陳列台別にも効率は良くない。本部がリスクを持つ条件かもしれないが、現場からするとイメージ以外プラスの感覚はあまりないように感じる。急に必要ならネットでもすぐ買えそうだ。つまり、商売より大都市のコンビニ間の差別化が一番の目的になっているようにも感じる。

イオンの研修の時に感じたことは、過疎地にも出店しているセブンが最終的には残っていくだろうなということだ。近年特に感じるが、高齢化と大都市集中で将来的に地方はどんどん過疎化が進んでいく。行政が3セクをFC化してセブンを運営していく事も考えられる。実際、もうそうなっているところもあり、役所の中にコンビニができていたりする現実もある。金融面(セブン銀行)や宅配のシステムも整っている。収益面では大きくならないが「公」と組むことでリスクヘッジができるかもしれない。ライフラインとして絶対に必要になるし、それを想定しての店舗網ではなかったのかと感じる。

ただ、最終的には都心の数字が企業の幹にはなる。現実的にコンビニの最優先課題は、既存商品外の商品での差別化より、現状の品揃えのレベルアップと人的課題の対策になると思う。日販の数字を見る限り、セブン独走の気がするが・・・

■今日のBGM

マルイのフィンティックセグメントとイオンの戦略

フィンティックセグメント・・・カード決済、家賃保証で稼ぐ金融事業

簡単に言うと上記の意味になる。今後小売業を立ち上げ、頑張って、収益企業にできるのだろうか。そう考えていて、「人」以外で弊害になりそうなことはデベロッパー企業の「金融事業化」ではないかと思った。近頃、イオンのカード戦略の拡大を感じていて、決算を見ていても「金融事業」を基幹にしようと動いていることがよくわかる。その先例であるマルイの事例を少し調べてみた。

我々世代のマルイは、「ヤングファッションをカードで買う店」だった。DCブランド全盛期のマルイ渋谷ファッション館(特に2階)は男1人では歩けないほど、華やかだった。それが今のマルイの店を見ていると、まずまず維持できているのは有楽町くらいではないだろうか。先日もぶらっと覗いたが、一時は基幹店だった上野店もコンセプトの見えないデベロッパービルになっていたし、新宿3館も同じだ。大阪のなんばマルイも駅前再開発で絶好の立地にもかかわらず、雑居ビル化している。渋谷も今は改装中でショールーム型の施設になるということだ。つまり、館のターゲットやフロアコンセプトを明確にした商業ビルではなくなってしまっている。

DC全盛時代マルイの決算を見ると、1991年売上高5628億、経常利益621億、そのうちフィンテック事業の営業利益は20~30%で「赤いカード」としてハウスカードの利益中心だった。最近の決算数字では2026年売上高2787億、営業利益502億と最高益であり、フィンテック事業は営業利益470億と大半を占めている。カード会員は2011年450万人が830万人になり、マルイ以外での利用が95%まで広がっている。売上高の減少は、小売業からデベロッパーへの変革で売上高が賃料収入に変わったことが大きい。つまり百貨店などの消化売上、委託売上などの物販売上から、場所貸しの賃料収入の売上に変わったということになる。 

ここで、テナント側からの視点で見てみる。かつてモディ店舗に出店していたが、当初は商環境を考えたリーシングをしており、利益額は大きくはないが収益店舗だった。途中で完全にデベロッパー業へ方向が変わり、賃料優先の場所貸しに変わった。空き店舗に他のテナントにそぐわない異業種の導入が始まった。それと同時に売上は低迷し退店した。つまり、上記した現状のマルイ店舗のように変わっていった。おそらくかつてのマルイの物件は「駅前のマルイ」としての好立地であり、今の物件も不動産価値が高ければ個別に出店もあるが、商業としてのコンセプトがないため高層階に行くにつれてその価値はなくなっている。

マルイは今後もフィンティックセグメントを推し進めていくという。ただ、現状のヤング層の今後はそこまで明るくない。大幅な人口減と老齢化に向かっていく中、他のカード会社の生活感を持った戦略に太刀打ちできるのかは疑問が残る。その意味で、イオンのカード戦略は今後増え続ける高年齢層へのアプローチと考えていいかもしれない。

マルイが金融業で企業体制を変えたように、イオンもその方向に向かっている。大きなポイントは、年代別人口の変化により、エポスカードを使う場所よりイオンカードを使う場所の方が多くなってきているということだ。そしてその差は、今後ますます大きくなる。イオンが、あえて赤字のGMSを残しているのはそういう戦略があるからかもしれない。

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持論「在庫を持つ商売は失敗する」の検証 ②

前回からの続きで、少し趣旨が違うかもしれないが、「在庫評価損」について書く。前回指摘した企業の決算期で近年の「在庫評価損」は以下の通りとなっている。

・「ライトオン」2024年15.6億、2022年23.3億、2020年25.4億

・「マックハウス」2023年12.7億、2022年12.4億、2021年13.2億

・「ジーフット」2024年20.5億、2023年21.2億、2022年33.3億

・「タカキュー」2021年12.3億 ・「ヴィレヴァン」2025年24.7億

この数字は決算期で評価を落とした金額である。この金額はあくまで原価なので、売価にするとこの倍の金額ぐらいにはなる。極端に言うと「ライトオン」は2024年の決算期に15.6億分の商品を捨てたことになる。実際は捨ててないが次年度売れる値段で販売していることになる。もし0評価にして次年度いくらかの値段で売ればその分利益率は回復する。今期「ヴィレヴァン」の利益率が改善されたように見えるのはそのためだ。

なぜ、毎年決算期に評価損を計上するのだろうか?商品消化率が悪く、季節商品をキャリーしたが、次年度消化できる値段ではなく、消化できる値段に決算期に落としたということかもしれない。売り切るにはさらに期中で利益を落とすしかないが、競合、取引先等の絡みもあり、期末での処理になったという理由かもしれない。ただ毎年のように繰り返し大きな金額の評価損を計上していて、例年在庫金額が減らず回転率が悪化しているのを見ると、経営状況を疑わざるを得ない。そして、上記企業は慢性在庫過多で仕入れコントロールが全くできていない。

前回書いたが、上記企業はすべて在庫回転率が悪い。つまり金がうまく回っていない。在庫回転率を上げるには、売上が伸びなければ在庫を減らしていくしかない。つまり、仕入れを減らすということで、仕入を減らすと原価率の改善がなければ、当然利益率の回復はない。そうなると、前年と同じ金額を仕入れないと利益率は維持できない。そのため、その繰り返しの状況になっていたことは、想像できる。

評価損の数字を探していて、気が付いたことがある。上記したすべての企業の最後(株主変更前)の決算短信には在庫評価損の記載はあるが、それ以前の数年間は決算短信には記載がなく、有価証券報告書には記載されている。つまり一般開示はされているが企業のHPでは見ることはできず、手続きが必要になる。数十億単位の商品が消えたことを調べなくてはわからないということになる。さすがに企業譲渡や上場廃止という大きな節目には発表せざるを得なかったということだと思う。それが、旧経営陣や監査体制が問題点を先延ばししてきた結果として表れている。詳細はわからないので、あくまでも憶測でしか書けないが、もしそうなら従業員や株主をないがしろにしている。問題を先送りしていたことになる。

結果的に、各社これだけの金額の商品を毎年捨てていたという事実がある。売れなかった商品が毎年これだけたまっていたことになる。それを毎年繰り返している。毎期大きな在庫評価損を出し続け、現場スタッフを放置した経営陣の責任は非常に大きい。毎年繰り返した先送りのツケを従業員の解雇や店舗閉鎖という形で払わされてきたということだ。

ここに至ったのは「在庫回転率の低さ」が主要因だ。年間2回転前後の小売業としての商売は、商売の仕組みが完全に壊れていた結果だし、何より在庫に対する認識の低さが導いた結果だ。上記5社の大きな経営課題はそこにある。

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持論「在庫を持つ商売は失敗する」の検証 

GW中で、企業の本部は休みでIRもなく、春物と夏物の切替期でもありファッション業界での発信も少ない時期だ。そういう時期なので、このブログでは再三書いてきたが「在庫を持つ商売」について現状の検証をしてみたい。

小売業は「売上」「利益率」「在庫」が3大要素だが、どうしても「売上」の額、前年比に目が行き、その次に利益額を算出する「利益率」に注目する。「在庫」はPL(損益計算書)には出てこないので見落としがちになる。「売上」を上げていくには売れる商品を仕入れて売っていく事になる。売れない商品や売れなくなった商品は値段を下げて処分していく。値段を下げると「利益率」はダウンする。「利益率」を維持するために処分せず値段を下げないでいると、「在庫」が増えていく。

「在庫回転率」という指標がある。月度では「売上」÷「在庫」(平均在庫)で計算される。その数字に12(12ヶ月)をかけると「年間回転率」が出る。単純に四季で商品が入れ替わるとすると年間4回転になる。つまり入荷した商品が3か月後になくなったことを意味する。一般的な商売の基本は、業者(メーカーなど)に対して支払いは仕入れ月の翌月末であることが多い。その商品の利益の幅(原価率)にもよるが、2ヶ月でなくさなければ代金は支払えないことになる(その他いろんな取引条件はある)。そして、売価(販売価格)と売上原価の差が利益額になり、それで経費を支払うのが小売業の金の回り方だ。つまり回転率が悪化すればキャッシュインが遅れ支払いに間に合わなくなる。原価率によって利益額は違うので一概には言えないが、当然回転率が悪くなるとキャッシュフローは厳しくなる。

このブログでも、回転率の悪い上場企業を指摘してきた。ジーニングを打ち出した「ライトオン」「マックハウス」、ビジネスイメージが強い「タカキュー」、靴の「ジーフット」。各社とも、すべて中心商品のサイズが細かい。つまり、中心商品を広げると在庫過多になりやすい。さらに、別カテゴリーだが、商品の幅が広すぎる「ヴィレッジヴァンガード」。近年、そのすべての企業体に変化があった。そして5社とも過去の決算時に在庫評価損を計上している。極論になるが、これは在庫金額を正しく評価せず、決算を重ねてきたということに等しい。正しい評価をすると利益率が大きく下方修正され、それにより決算数字が悪化するため、在庫評価の先延ばしをしてきたということだ。詳細は別途まとめることにする。

上記各社の商品回転率を調べてみる。評価損計上年度があるのでその影響がなさそうな年度で、「ライトオン」2023年1.43回転、「マックハウス」2024年2.17回転、「タカキュー」2022年度1.83回転、「ジーフット」2024年度1.44回転、「ヴィレヴァン」2024年度0,99回転という結果になる。この数字を見ると、年間2回も商品が変わらないということになり、平均すると入荷して6カ月たっても商品が売れてないということになる。ヴィレヴァンに至っては、1年たっても商品は売れてないことになる。商品が売れないと金は回らない。

一般的には商品回転率は3~4.5回転くらいが標準範囲になっている。前期の決算時の回転率ではユニクロ3.1回転、アダストリア4.75回転、パルグループ5.84回転、しまむら7.75回転、ニトリ4.17回転などとなっている。売上好調の無印良品は2.36回転と低い。しかし、無印良品は回転率の低さを意識しており、「在庫コントロール部」を作り、商品部以上の権限を持たせようとしている。

小売業で一番大事なことは、「売上」を増やすことではなく、商品をうまく回転させて入れ替えていく事だと思っている。自らも商品回転率を一番大事なチェックポイントだと思って仕事をしてきた。近年、企業譲渡や株主変更があった小売企業は、すべて商品在庫の処理を怠った結果だと確信できる。

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