イオンモールには過去多店舗出店していたし、北海道、東北、北陸以外のイオンモールは、新店を除けば、ほぼわかる。レイクタウンや各エリアの中心となる大型モール以外にはもうファッション(おしゃれ感)を打ち出したショップはいらないと思っている。現役から離れ、小売業を冷静に見るようになってつくづく感じる。
一番大きな変動は、中心客層の変化で、高齢者比率の増加にある。郊外モールがスタートした30年前と比べて人口は減っており、そのうち60才以上は181.5%と大幅増で、人口構成比も19.3%から35.4%となっている。年金だけの世帯収入は平均年200万弱とされている。つまり30年前にファッションを語っていた客層がどんどん高年齢層に突入している現実があり、ファッションを語るべき層は激減しているということになる。
好調を続ける企業は「ユニクロ」、「無印良品」、「ニトリ」や「ABCマート」などのフル感性ターゲットの企業が多い。そしてまさしく「これがいいより、これでいい」という「無印良品」の目指す満足感が主流になっている時代のような気がする。そしてここではよく書いているが、「生活感」を感じる商品のニーズが強い。「生活感」の定義には、商品や着装感だけでなく、買いやすさや親しみやすさなどの売場環境も含まれている。
月度毎に発表される上場企業の9月の売上状況を見ていて、事業再生中の「タカキュー」が前年比79.7%と異常に悪い数字に終わっていた。企業譲渡された「ライトオン」が84.6%であり、その数字をも下回っている。もっとも、9月は日曜が前年より少なく、猛暑が続いており、衣料店舗には大きなアゲインストがあった。
実は、少し「新タカキュー」には違和感を持っていた。HPが変わったのだが、IRを見てファッションアパレルへの変化を感じた。企業のイメージ戦略を意図的に大きく変えたのだろうが、ニュースリリースや代表挨拶は昔のファッションブランドのようだ。(ポーズした社長の写真は必要?)決算説明会資料も余り響かず、イメージ戦略的に見える。
決算数字だが、最近の数字では第二四半期決算数字が発表されており、売上高は前年比91.2%、前前年比86.1%とマイナストレンド、売上総利益率は本年が62.4、前年62.1、前前年61.5と微増になっている。上期営業利益はそれぞれ3157(千)、101519(千)、55811(千)で、第二四半期時点の在庫で回転率は今期1.23、前期1.34、前々期1.48となっている。大きく変化はないが、売上は厳しくなりつつあり、利益率を上げる方向に向かっているように見える。そして営業利益は厳しい数字になっている。量販系の専門店と思っていたのだが、60%以上の利益率は必要なのだろうか?
近隣のイオンモールに出店しているので店もよく見ているが、たしかに整然とされており、ストアメイキングマニュアルに沿った売場だが、入りやすくはない。商品も手に取りにくい。つまり、整然としており、着装感を演出強化しているが、SCの客層とはあってなさそうに見える。もう少し価格訴求をしたりして、賑わいを作り、入店を促した方がいいように感じる。現状では、郊外モールよりターミナルに近い商業施設の客層のほうがマッチしているのではないだろうか。イオン系の企業だったためにイオン系のSCに多く出店しており、新しくした目指すべきコンセプトと客層感の違いが少し大きいかもしれない。
RSC(大型モール)とGMSが両立していた時代は終わり、GMSは淘汰されようとしている。そのためか、現状のRSCの客層はGMSの客層に近づいてきている。特にイオンモールの客層には、その変化を強く感じる。その流れをつかめない店は、他のSCで戦うか、RSCの主流になりつつある客層に対応していかねばならない。もう標準型のイオンモールにはファッション(おしゃれ感)を打ち出す店は、多くはいらないのではないだろうか。
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