この数年、めっきり服を買わなくなった。行動範囲が狭まったこともあるし、出かける頻度も減ってきた。調べると60代以上の人の洋服平均月購入額は約4000円となっている。そして、3~4か月に一度程度の購入頻度が一番多くなっている。さらに高齢者世帯(65才以上)の年平均所得は318.3万円(令和3年)というデータもある。以前も書いたが65才以上の構成比は2024年度で29.1%となっており、過去最高を更新している。ちなみに65才以上構成比は1985年に10%を2005年に20%を超えており、どんどん上昇している。

つまり、少子化と高齢化で完全に中心となる消費人口は大幅に減っているし、今後はさらに減少していく。当然小売業もマーケットはどんどん小さくなっていく。そして、流れ通りに好調企業はデイリーマーケット中心になり、どんどん規模を拡大している。類似企業は整理され、癖がある企業は、淘汰されるか大企業の傘下になってきている。

先日、都内に所要があり、その帰路、池袋東武百貨店立ち寄って「御座候」を買って帰った。今までも出かけた際は、都内では新宿高島屋、立川高島屋、大宮では大宮そごうでよく買って帰っていた。「御座候」は関東でいう大判焼きか、今川焼のことで関西では回転焼きか「御座候」と呼ばれている。赤と白(餡)を5個ずつ買って10個で1100円。それでもいつも数人並んでいる。女房は関東人だが、この類では一番おいしいと言っている。10個で1100円は値上げした価格だが、この値段でも「御座候」の販路はほぼ百貨店となっている。調べてみると北海道から広島、徳島まで(九州は売っていない)で79店舗あり、近畿地方以外では30店舖で、駅ビル百貨店以外では3店舗しかない。関西でも駅ビル百貨店以外は49店舗中7店舗しかない。1個110円の今川焼(回転焼)のほとんどの販路が実演販売での百貨店への出店になっている。そして企業としては、創業75年で2024年売上高は67億円となっている。

今後小さくなっていくマーケットで狙っていくには、ニッチマーケットしかないかなと思っている。「御座候」はそこでうまく生き残っている。

ニッチマーケットで残っていくのは、わかりやすい切り口とコンセプトを変えず背伸びをしないことだと思う。ファッションでもいろんな切り口で過去登場してきた。Tシャツを切り口にしたり、帽子だけのショップだったり、パンツの専門店だったり・・・そこでもいろんな試行錯誤を繰り返している。例えばTシャツ中心の「グラニフ」は一挙に広がったが、取扱商品の幅を広げたり、売場を大型化したりして少し迷走しているように見える。レディスのパンツショップの「ビースリー」は当初、郊外モールにも多く出店していたが、客層を見定めて百貨店志向に変えて安定した立ち位置を確立している。

私自身立ち上げた店も、隙間を狙ったMDだったが、なかなかわかりやすく標準化を整理できなかった。市場を分析し、理論上の売上も充分あったのだが、現実として売場の大きさや立地、区画の形状でイレギュラーが出てきた。多店舗になっていくにつれ、会社の考え方がぼやけてきたようにも感じる。もう少し徹底するべきことを明確にして、守るべきだったと反省している。

小売業の現状の流れに当分変化はないように感じる。ただ、ニッチマーケットは必ずある。そのマーケットの特性を細かく把握して、ビジネスモデルを真剣に考えれば、新しいことは必ずスタートできると思う。

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