昔は「洋服好き」だったけど、現役を離れると、おじさんが着てはいけない「無印」で買ったパーカーに、昔の「Lee」や「リーバイス」のデニム、寒いときは何年も前の「バブアー」のキルティングや、いつの時代かわからない「モンクレール」のダウンを着て買い物に行っている。毎週のように出張していた時に着ていた服はタンスの中に眠っている。そうなってくるとSCに行っても立ち寄る店は決まってくる。あるデータ会社によればSCの客層は50代以上がほぼ半数を占め、30代以上がほぼメインの客層になっている。仕事真っ盛り世代から外れてくると同じようなワードローブになるし、見に行く店も決まってくる。ましてやGMSの洋服は全く見ない。
イトーヨーカドーの売却の話題もあり、このブログでもGMS不要と言ってきている。ただSCがなくなればよいとは言っていない。RSC(大型モールイオンモール、ららぽーとなど)、CSC(旧GMS型SC)、NSC(SMを中心とした小型版)は形を変えながら残っていくとは思う。
昨年からイトーヨーカドーの衣料服飾の売場とコラボしているアダストリアの「ファウンドグッド」をたまに見ている。おそらく各店舗の立地と客層の差が大きくて戸惑っているのではないかと思う。立地を選んで出店してきた企業(アダストリア)だけに、アリオ型店舗とGMS型店舗のギャップに対応できていないようだ。アダストリアのブランドなら出店しない立地にも展開せざるを得ない。ユニクロのニーズが強そうな客層の店と、しまむらに近い客層の店のギャップに苦しんでいそうだ。どちらかというとミセスシフトになってきているように見える。GMSが苦労している衣料品の難しさに直面しているようだ。現状の取引条件がわからないが、商品リスクが今後の課題になりそうな気がする。
近隣のイオンの2階衣料の改装は、モールの弱いところをイオン直営で補おうという改装に見えた。本来はGMSの売場は確立されていて、GMSで満足できないところをテナントで補い、客層の幅を広げ、広域からの集客を図るのがモールの考え方だと思う。おそらくそのイオンの売場が本来狙うべきターゲットは「ユニクロ」や「無印」に奪われてしまっており、テナントで補えていない「子供」や「高年齢層」に売場をシフトしてしまっている。GMSの標準的な売場でなく、イレギュラーな売場に変化している。雑貨関連も同様でGMSの売場は「ニトリ」や「無印」、「ABCマート」「100均,300均」で代替えできそうな気がする。
食品は、売場の大きさから品ぞろえの幅が広く、定期的な「全品%オフ」の販促で一定の評価はあるが、近年のSMのパワーは強く、逆に大きすぎることが買いにくさにつながっているようにも見える。
イオンのGMSは、過去のGMSの出店計画とモール(RSC)の出店計画にギャップが出てきており、標準化されたつもりのGMSが標準化されていない現実がある。つまり従来ならGMSで出店しなかった場所に出店していくのでMDにずれが生まれている。さらに得意とするボリュームゾーンも大型化されたテナントに顧客を取られてしまっているのが現実だ。一方、成功したGMSの定義を踏襲していたヨーカドーは、モールの出現でコアターゲットのお客様を奪われ、モールに行きにくい客層(高齢者など)が多くなり、今までのGMS成功の定義が通用しなくなりGMS業態から退いていった。
ららぽーとのようにGMSをキーテナントにせず、個性あるテナントミックスをしたRSCのほうが買いやすいのかもしれない。ただ、イオンモール先行の中、現状では成功する場所は限られているとも思う。
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