このブログの2023年9月に「回転率からみる在庫の信憑性」という標題でライトオン、マックハウスの在庫について書いている。2023年11月に「再び在庫と利益」という題名でライトオンのことを記している。さらに2024年2月に「厳しい会社ほど在庫回転率は低い」とタカキューのことを書いている。ライトオン、マックハウスは、指摘した通りその後経営が悪化し、経営母体が変わっている。
小売業は在庫が一番のポイントで、その在庫額で収益は大きく変動する。それが自分自身の信条であり、在庫に一番注意を払っていた。それは在庫金額であり、在庫評価でもある。そのせいか小売業の数字を見る時は在庫にかかわる数字を注視する。
在庫の評価は誰が決めるのか?究極はお客様が決めることになる。その商品を設定価格で満足して買っていただけるなら、その値段が適正価格になる。売れなければ、売れる値段(適正価格)にする必要がある。そしてその商品がどれくらいの期間で売れるのかもポイントになる。生鮮品なら2日くらいでなくす必要がある。そのために賞味期限が近付くと値段を下げて売り切る。衣料品も長くても春夏秋冬の季節はあるので、季節感でいうと3か月くらいでなくすことが望ましい。ただ、支払いのサイトもあるので、弱小企業はその支払いまでに売れないと商品代金を支払えないということになる。衣料品なら、おおよそその期間は2~3か月になる。
今回はビレバンの在庫数値について驚いたので、また机上にあげた。まず前期(2024年度)の期首在庫(原価)は14675(百万)で期末在庫は15890となっている。平均すると15282となる。年度売上(原価)は15118となっているので。年間在庫回転率は売上÷在庫で0.99となる。業種は違うがしまむらの前期の平均在庫は55706で年度売上は416529であり在庫回転率は7.48。アダストリアは平均在庫が25759で年度売上は123242となり年度回転率は4.78となっている。回転率が1回転以下ということは1年間で売れない商品も多くあるということになる。書籍の回転率は低いだろうが、衣料品は最低、春夏物、秋冬物で入れ替わるはずだし、菓子スナック類はもっと早くなくなっていくはずだ。そして何よりも商品が売れて、金に変わらなければ、支払いもできない。
ビレバンの前期決算は934(百万)の赤字になっており、コロナ期2020年5月期以来の赤字決算になっている。ちなみに今期中間期も577(百万)と赤字が継続している。さらに現金に比べて借入金が非常に大きい状況が続いている。
ここで、前期決算期末在庫での回転率計算で仮に1.1回転にしたとして計算してみる。これでも低すぎる回転率ではあるが・・・ 計算すると期末商品を12813(百万)にする必要があり、原価在庫を2147(百万)減らさなければならない。現状の原価率から売価在庫は3525(百万)になり、その金額分をなくす必要がある。つまり35億分の商品を廃棄するのと同様の状況ということになる。それでもやっと年間1.1回転にすぎない。そしてそれを実行すると手計算ではあるが売上総利益率は39%から29.6%になり、総利益額が2331(百万)減る。そしてその金額分の赤字が上乗せされることになる。
商品の値段は第3者が口をはさめないが、これだけ売れない商品が多い状況で今後会社が続くわけがない。ビレバンはこの危機的状況をどう乗り越えるか?思い切った店舗の削減は必要だが、店を閉めるにも大きな金が必要になる。もうそんなに時間はなさそうだが・・・
つくづく「在庫」で「利益」は調整できると感じる。
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