このブログを書き始めて、厳しい状況を分析してきたライトオン、マックハウス、タカキューの3社は自主再建ができなかった。売場や数字を見ているとその状況はよくわかったし、さらにそういう結末も予測していた。特に持論でもある「在庫過多」から導かれた結果だったように思う。そういう経緯もあり、現状の3社の決算状況は四半期ごとに興味深く見ている。

ライトオンもマックハウスもジーンズカジュアルを打ち出した専門店で、その業界では1位、2位の企業だった。その2社がそのビジネスモデルで自主再建できずにTOBされたということは、もうその分野では成功はできないということになる。当然、商売の失敗はあったが、環境変化も大きな要因だった。ライトオンの直近の決算を見てもまだ企業のマイナスを処理中の印象しかない。戦略としてもEC強化くらいしか前向きなものは見えない。親会社にあたるワールドにとってのメリット部分は活かしていくとは思う。別の交渉にはなるが、好立地物件へのグループブランドの出店などは想定できる。ただワールド傘下ということもあり、規模の縮小はあっても継続事業を確実に進めていく気配は見える。

マックハウスは親会社のチヨダからのTOBを経て再生ファンドの傘下に入っている。出資しているジーエフホールディングスという会社を調べたのだが、どうもよくわからない。傘下のアパレル企業としてはジャバG(神戸の老舗企業、ブランドはロートレアモン、子供服のべべなど)、シティヒルなどがある。このTOBの経緯も分かりにくい。間違いなく親会社チヨダは切り離したかったということはわかる。市場取引価格330円の株が32円でのTOBということに現れている。ただファンドの思惑と違い、その後の株価が低迷し、そのため資金調達スキームが崩れそうになったようだ。そこで金融事業と題してビットコイン投資を始めている。レディスカジュアルのアナップと同じ手法だ。ジーニングカジュアルとしての企業再生とはかけ離れているようだ。コアの事業として従来の事業が継続できるかどうかも不確実な状況のような気がする。

債務超過だったタカキューは昨年の1月に官民ファンドによる再生支援を受け、金融機関、投資ファンドから第3者割当増資を受けている。そして同時にイオンとの提携を解消している。債務超過解消した前年数値は、落ち込んでいた売上も96.2%まで戻した。ただ今期第一四半期は90,8%と伸び悩み、前期に比べて利益率は+2.4%だが在庫は119.0%と増加している。ちょっときれいになったHPに違和感を覚えたが、イオングループとして再生に取り組んだ方法とは違った角度で取り組んでいる様子は伺えた。ただイオングループの力は相当大きかったと思うのだが・・・

この3社の取扱商材はもう大きな市場ではなくなりつつある。ジーンズ業界はコアの客層は、地元にあるセレクト店舗に流れ、そうでない客層はユニクロなどで充分間に合っている。スーツを中心にしたビジネス顧客に向けたファッションも、カジュアル化が進んでおり、市場全体が小さくなっている。さらにそのターゲットのカジュアル衣料を扱う店は山ほどある。小さくなったターゲットで商売できるようにダウンサイジングするか、他の業種を取り組むしか対策は考えられない。

現状の数字や再生支援している企業を見ると、存続に向けた大幅な縮小案と現状の立地の有効利用が可能なワールドがバックアップするライトオンしか、先が見通せないように感じる。それでも規模は大幅に縮小されると思う。さらに、ファンドを利用しての再生は短期間での収益改善を目指すケースが多く、永続的な企業運営には疑問符が付く。

今後の数字も確認していこうと思う。

■今日のBGM

業界大手2社がTOBされたジーンズカジュアルは大幅規模縮小するしかない