散歩をしていて見つけたのだが、1駅隣にあるダイエーの店頭に大きく「2026年1月31日完全閉店」と掲示されていた。確かに古く厳しそうな店だったので、改装してマックスバリュにでもなるのかと思って通り過ぎていた。ネットを見るとダイエーの閉店が続くらしい。

少し調べると、関東のダイエー事業を「マックスバリュ関東」に経営統合すると発表されている。これにより、イオン傘下の株式会社ダイエーは関西のSM(スーパーマーケット)及びGMS(量販店)事業のみとなる。関東の大型店だった市川コルトンプラザ店もイオンスタイルになり、ほぼ大型店はイオンに移管されている。今後の関東のダイエー事業はSM事業のみとなっていくようだ。

イオン傘下になったダイエーは優遇されていた感はある。同じく傘下になったマイカルは比較的大型店が多かったせいか、迅速にイオンに代わっていき、名前が消えていった。GMS事業の整理ができつつあり、さらに建物の老朽化もある関東エリアのダイエーはSM事業として再編されることになる。おそらく近畿地方のダイエーも同じ流れになることが予測され、GMSはイオン名での「SM+テナント」化、もしくは「そよら」型のCSCへの移行が考えられる。おそらくSMの店名も「マックスバリュ」に変更になり、ダイエーの名前も消えていくことになりそうだ。

昔のことになるが、ニチイ(マイカル)に入社した時、GMSでは当然「ダイエー」が業界No1で、次いで「イトーヨーカドー」、「西友」、「ジャスコ」、「ニチイ」の順だったと思う。その中でも「ダイエー」と「イトーヨーカドー」が別格扱いでそれ以下の3社はほぼ似たような状況だった。規模感では「ダイエー」で、一番企業力の評価が高かったのが「イトーヨーカドー」だった。現在では、転換期にモール事業を見出し、さらに事業の多角化を成功させた「イオン(ジャスコ)」のみ生き残っており、「ダイエー」と「マイカル」などを傘下に収め巨大企業となっている。

マイカル在籍時、最後はビブレにいたのであまりGMSを見る機会はなかったが、マイカル退社後、コンサルとしてイトーヨーカドーとは「アリオの立ち上げ」、ダイエーとは「再建コンサル(会長が現横浜市長時代)」、西友とは「リビン再生案」でかかわった思い出がある。その当時はもうGMSの衰退期であり、迅速に事案が進まなかった記憶がある。現役(店長)時代に競合として相対したのは「イトーヨーカドー」のみで食品は完敗だった記憶がある。

GMSについては、何度か書いているが、ほぼ崩壊している。無理してイオンは続けているが、売り上げは大きいものの収益は安定せず、存続はイオンの大きな課題になっていると感じる。

最後に勝手ながら、GMS大手5社の個人的な印象を簡単に書いてみる。

ダイエー・・・小売業の変革をした企業でカリスマ(中内氏)についていけなかった。値段打ち出しの「主婦の店」が印象的。多角化しすぎて本業に手が入らなかった。駅前の自社物件に集中し資金繰りも厳しくなり、郊外大型化の流れにも乗れなかった。

イトーヨーカドー・・・小売業で最も偏差値の高い企業。数字を優先した経営。当然、「タヌキが出るところ」に店は出さない。効率化優先のため、郊外大型化SCの流れに乗れなかった。正論だと思う現戦略「GMSをCSCに変換」が言葉通りになるかが今後のポイント。

西友・・・西武流通グループで上品な会社のイメージ。なんといっても「無印良品」を立ち上げた功績は大きい。トライアルグループとなり、特に首都圏の店舗がどうなっていくか、そして認知されるかが注目される。大きくMDは変わりそうな気がする。

マイカル・・・発想は面白く何でもやってみるが、成功しない。現在の大型モール(2核1モール)の先駆けとなったマイカルタウン(本牧、小樽、明石・・・すべて商圏が半分海)、シネコンのワーナーマイカル(現イオンシネマ)、スポーツジムのエグザス(現コナミスポーツ)、リゾナーレもマイカルが開発。

イオン(ジャスコ)・・・関東の色でもなく、関西でもない。「タヌキが出るところ」に郊外大型モールの開発し、素早く店舗網を拡大。そこから金融戦略、海外戦略にも手を広げ、現状は流通業最大手。

ダイエーがなくなりそうなことで、いろいろ書いてしまった。何度も書いているが、GMSは過去の産物になっている。

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