前回イトーヨーカドーのことを書いたが、ここでは以前も記したが、イオンのGMSについても触れたい。企業の動き方や方向性の違いがあるが、イオンもGMSはもう終わりに近いと感じる。

イオングループの決算説明会の資料を見ると、2024年度はGMS事業で3.4兆円(関連会社込み)の売上で企業での構成比35.4%、で営業利益は283億円で構成比は11.2%となっている。グループの営業利益は金融、デベロッパー、ヘルスウェルスの順で、その3事業でグループの56.3%を占めている。近年は合併を重ねてSM(スーパーマーケット)事業が大きく伸長しており、営業利益ではGMS事業を大きく上回っている。尚、GMS事業のうちSM(食品)の構成比は2023年で63%であり、物販は食品に負うところが大きい。多少の計算方法の違いはあるかとは思うが、ヨーカドーの2021年度の食品構成比は67.1%となっている。以下に述べるテナント賃料の計上次第だがヨーカドーの状況とほぼ変わらない。

決算数値の詳細は、各社違ってくるので一概にジャッジはできない。イオンの大型モール(RSC)にはイオンモールが運営している物件と、GMSであるイオンリテールが運営している物件がある。この営業利益はどう分けているのかわからないが、おそらくそれぞれに計上されていると思われる。この営業収益は大きい。2013年にイオンリテール物件の管理運営をイオンモールが受託しているが、あくまでもイオンモールの収益はPMフィーということと発表されている。この時点でイオンリテールのモール型物件は54モールと記述されており、モール物件自体はイオンモールに移管されていない。とすればイオンリテールのテナント収益は大きく、衣料品売上構成比はヨーカドーより低いかもしれない。

おそらくGMS事業の非食品の構成比はどんどん下がっているだろうし、赤字状況だと思う。イオンリテールの衣料月坪売上は100千以下だと聞く。普通に考えれば商売になっていない。もともとGMSの衣料の儲けの大半は、インナーウェアだった。肌着からスタートしたGMS企業も多かった。利益も取れるし、商品の回転も早い。呉服からのスタートが多い百貨店との違いが現代の商売の違いにつながる。得意なインナーを「ヒートテック」や「エアリズム」のユニクロや他の専門店に奪われ、中心客層の高年齢層までが専門店に目を向け始めたことが、GMSの衣料品からの客離れの要因の1つだと思う。

衣料品は、もともとEDLP(エブリデイロープライス)と言い続けていたのが、どう間違ったのか「イオンスタイル」で付加価値を求め始め、失敗した。ヨーカドーが伊勢丹からカリスマバイヤー?を招聘して失敗したのと同じ道をたどった。

GMSはもう完全に終わっている。イオンはデベロッパー業態のイオンモールも安易なショップMDで頭打ちになってきている。イオンモールの成功のポイントは当初三菱商事と合同で開発運営しており(ダイヤモンドシティ)、流通業以外からのポジションで開発したSC(営利よりあるべき姿を求めた)でスタートしたことが非常に大きかった。近年はその魅力が薄れてきておりテナントMDはららぽーとに後れを取っている。小売業としてのイオングループの課題は、GMSを解体して思い切った収益の構造変革をすることが必要になっている。逆にそれがデベロッパー業であるイオンモール自体の活性化にもつながるかもしれない。さらにSM事業やヘルスウェルス事業の活性化にもつながる。

鈴木敏文氏がいなくなったヨーカドーは、株主である外資が決断を迫った。イオンは誰が創業者一族の首に鈴をつけに行くのだろう?

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