投稿者: retailjam (10ページ目 (17ページ中))

小売業の2極化

そこまで景気動向に精通してはいないが「円は戻ってまた高くなる。」ということはもうないのではないかと感じる。経済評論家でなくてもわかるような事態だと思う。

円安が続いている。国債を発行しすぎているので金利を上げると、国は金利負担が増す。さらに借入金の金利も上がり、一般市民にも影響が大きい。円安で輸出企業は儲けている。代表的な業種は「車」関連があげられる。ただ流れは電気自動車に変わってきている。今の状況では「車」業界も完全に弱くなる。さらに電気に変わることでガソリンでのサプライチェーンは大きな転機を迎える。それに代わる輸出産業が出てこなければますます流れは悪くなる。さらに日本は資源を持っている国ではない。資源を持っている国への依存度が高い。

物価の高騰に合わせて、「給料を上げていく」と国は大号令をかけるが、その原資はどこから来るのか?労働者の70%を占める中小企業従事者はどうやって給料が上がっていくのか?

そういう中で小売業はどうなっていくのだろう?限られた百貨店でインバウンドや高所得者の「貨幣より物」化で増収は起こっている。逆にしまむらや西松屋のように低価格を打ち出している専門店の伸びが大きい。SMもオーケーやロピアのように値段での打ち出しが強い店が好調だし、イオンも値下げを打ち出した商品が増えてきている。ファッション専門店も低価格帯のユニクロや、若干そのゾーンに引っ張られる流れのアダストリアが中心になっている。

上下に引っ張られて、真ん中が希薄になってきている。前回書いたきっかけになったサマンサタバサの記事の中にこう書かれていた。【「中途半端なブランド」を一体どの層が支持するのか。「どっちつかず」ということは「どの層も支持しない」ことでもある。】記事の内容はもうすでに周知されているようなことだったけど、このコメントは鋭いと思う。

中流を意識したSC特にRSCはさらに厳しくなると思うし、その収益のマイナス分をテナントに向けると、テナントは動かない。テナントは無理して出店できないので、出店する場所や機会が減ってくる。特にコロナの痛みが大きい中小企業はさらに厳しい。低価格志向のテナントが増えるし、好調テナントの大型化は進む。どんどん悪循環が続きそうだ。

厳しい時代になってきている。

■今日のBGM(年越しにyoutubeででも聞いてください。心が洗われます)

セレクトショップはどうなるのか?

ヤフーでセレクトショップの意味を調べると、「独自のコンセプトに沿って複数のブランドの商品を仕入れ、販売する業種。」とある。ここに「個性ある複数のブランド」と入れるのが正しいのかもしれない。ここについて話すといろんな意見があり、特に癖のある意見が多いのであくまでも私見で書く。

セレクトショップと大手アパレルの大きな違いは、仕入れて直接お客様に売るか卸業を中心にするかの違いにある。昔から付き合いがあるところはビームスやユナイテッドアローズも地方ではFCをしている会社もあるが、非常に少ない。ほぼ直営店の展開である。名の知れたセレクトショップもあれば、地方で独自にブランドを仕入れているセレクトショップもある。

個人的なことでは、大学生のころ上野アメ横の店「ミウラアンドサン」でスタジャンを買った思い出がある。その後もインポート商品のバイヤーをしていたころはシード館、インターナショナルギャラリー、伊勢丹スライスオブライフは定点観測していた。トゥモローランドに「ボルジー、マカフィー」の出店交渉もしたし、完全にあしらわれたが「ビームス」の出店交渉もした。まだ千駄ヶ谷の小さい事務所だった今のベイクルーズと布帛(シャツ)の商談をしたこともあった。

その当時とは規模もMDも大きく変わっている。トレンドを追いかけてセレクト中心から完全に自主MD商品中心の店に変わっている。上場しているユナイテッドアローズの前期の売上は130135(百万)売上総利益率51.6%と完全に大手小売業としての位置づけだ。買取仕入れだけではここまで利益は出ない。「ソブリン」や「ディストリクト」などで出店していた高感度の店はほぼなくなっている。

大手セレクト店舗はアウトレットのウエイトが上がってきたのではないかと思う。アウトレットも完全に作りこんで利益を稼ぐMD商品が中心になっている。ここ数年はこのアウトレット業態で売上と利益を稼いできたように見える。このターゲット客層は少しずつアウトレット用の商品とわかってきたようで、ここからはそこまで伸ばせないように感じる。できるだけ早くフェイドアウトするべきだと思う。

先日何人かの40代前後の知り合いと話したが、あまりファッションには興味はないが「洋服はアローズやビームスで買う」と言っていた。その人たちは比較的高収入の部類だとは思う。ユナイテッドアローズの上期の前年比は107.5%で11月は118.2%まで伸びている。インポートは高い、ユニクロは皆着ている、選択肢の中では安心感があるので選んでいるようだ。そういわれると昔よりこのゾーンの敵は増えていない。ノンポリでそこそこ収入がある客層はまだ購買客のようだ。アウトレットで安易にショップ名のバリューで引き寄せて売ることは減らしていき、給与労働者30%が属する大企業社員をターゲットに品質や接客を最重点で取り組めば大きくマイナスはしないかもしれない。競合は限られてきており、きちんと囲い込めば今後も安定的なマーケットとも感じる。

関係ないが、昔出店の話も真剣に考えてもらい(断られたが・・・)、誠実なアウトレットを運営し、伊勢丹にもインポートブランドに併設してコーナーをもって、着実に商売しているように見える「トゥモローランド」をメジャーでは一番応援する。

■今日のBGM

ブランドの持続力

ヤフーニュースで「サマンサタバサ」の記事が出ていた。状況は非常に悪いといろんなところで書かれているが、そもそもティーンズヤング対応のブランドは長持ちしない。何度も書いてきたが、お客様は年をとり、ファッションの流れも変わるからだ。

ファッション業界でブランドはどれくらい持続するのか?30~40年前のDCブランドで残っているブランドはほんとに少ない。ビギもニコルももう会社自体が別のものになっているし、あれだけ売れたコムサも今は見かけない。残っているのはクリエイター系でノンエイジ志向が強かったブランドくらいだと思う。ギャルソンやそこから続くデザイナーブランドや一度は倒産したがヨウジヤマモトやケンゾーなど。あとは年代層を広げたブランドが百貨店中心にシフトして続いている。

ティーンズ寄りのブランドの賞味期間はさらに短い。あっという間に落ち込んだストライプインターナショナルの各ブランドもそうだし(もうティーンズ系ではない?)サマンサタバサもその部類に入る。多感な時期で流れがすぐ変わる。それを前提に会社はどう動いていくことが必要だと思う。

もう一つ記事で指摘していた「中流層中心のMDの失敗」はまさにその通りだと思う。完全に2極化が進んでいると思うし、中流層ターゲットにすれば逆に2極化の流れでは「どの層も支持しない。」が正論だ。

ブランドビジネスは難しい。生き残っているブランドには何か「成功の鍵」(KFS)がある。クリエイター系だけでなく百貨店客層をターゲットにシフトしたブランドは続いている。さらに量販店でも販売員付きコーナーブランドは、周りのスタッフの少なさの中、接客面で優位に立ち数字を維持しているとも聞く。企業としては客層の幅を広げるべくブランド数やショップ名を増やして維持していっていくか、深く掘り下げていってコアの客層に向けていくしかない。

サマンサタバサはある意味予測されていた事態で、前オーナーはうまく手放したし、コナカのM&Aの失敗ということになる。なぜ買収したのだろう?最近ではマッシュグループもM&Aされたが、複数のブランドがあり、持っている他のブランドの客層の幅も広いが牽引してきた「ジェラードピケ」はおそらく失速すると思う。今後の動向は要チェックかもしれない。

ティーンズはすぐにヤングに、ヤングはすぐにヤングミセスに、ヤングミセスはすぐにミセスになる。ターゲットを固定していれば当然新しい客を取り組まなければならない。ティーンズヤングは感性が時代ごとに変化しさらに細分化していく。当たれば大きいが、その分消えるのも早い。

ブランドは「誰に売るのか?」「その顧客の特性は?」「ブランドにとってメリットのある市場の定義は?(例えば機能性なのか、ファッション性なのか?デイリーなのかビジネスなのかなど)」「その市場規模は?」を十分に吟味することが必要で、さらに途中での顧客動向の変化を素早く見極めることが必要だ。

■今日のBGM

商品の値段はだれが決める?

商品の値段の下げるタイミングが変わってきたような気がする。季節感も変わってきているので春、夏、秋、冬での値下げもしにくくなってきた。この頃は「全品20%オフ」とか雑な値段の下げ方が多いような気がする。

量販店にいた時は、本部からの指示があり値段を下げていた。主に販促(周年祭、創業祭、感謝祭など)によるセールスチャンスのタイミングでの値下げだった。今はできなくなったが消し札によるセール商材も入荷していた。(取引先の不稼働をまとめて買ったもの。)その当時でもイトーヨーカドーはデータ管理をしていて、ディストリビューター(DB)が商品の売価変更の指示を出していたと聞く。

ブランドビジネスをやっていた時は、完全に年2回しかセールをしなかった。たとえ買取契約であってもその時期以外のセールはできなかった。数年はセールで完売してうまく商品が入れ替わった。その時はブランドへのこだわりが強く、ブームとしての成功だった。

専門店ブランド(ナショナルブランド)は取引先が値段を下げる時期を指定していたように思う。特にメインブランドが百貨店中心の販路の商品は特に、バーゲンのフライングには厳しい。取引先がジャッジするブランドは委託や消化契約が多いが、取引上の契約で買い取りの場合もある。(完全に力関係。)

年2回のバーゲンのインパクトが全くなくなってきているし、かといって細かく値段を下げているように見えない。一時はストライプインターナショナルの各ショップやアナップなどのタイムサービスが目立ち、その流れで現状も細かい販促時においても「全品~%オフ」が目立つ。専門店ではやはりユニクロが細かく管理しているように見えるし、アダストリアはどちらかというとバーゲン期間に比重を置いているように見える。

ほとんどの専門店がデータ管理をしている。当然商品動向がわかる。このデータで不稼働商材の管理をどれだけやっているか。どのタイミングで値段を下げるか?このジャッジが一番必要だと思う。キャッシュフローから考えると「買い」の商材は最長3か月、「メイキング」商材でも4か月くらいで売れないと成功とはいえない。月度0.3回転くらいが値段を下げるポイントのような気がする。

小売業全体に言えることだが、後ろ向きの発言(売れないなどのネガティブ発言)は嫌われるし、上司からよく思われない。ただ数字で話をすることが一番大事だと思う。どうしても会社は利益を追求するが、価格変更ジャッジが遅れることで利益を大きく失うことが多い。商品の値段は、社内発言力のある人間が数字で判断して決定すべき事項だと思う。

季節変動で夏のバーゲンのインパクトが弱まっているので、特に冬のバーゲンでの各社の取り組みで将来性が見えるような気がする。

■今日のBGM

RSC(大型SC)への提言 ➁

絶対にRSCは食い合いになって淘汰されていく。GMSが出店にしのぎを削り、生存競争に残った最後のGMSだったイトーヨーカドーも解体されていく。以前に書いたのだが自分のまわり15km圏に8つのRSCがある。小さめのアリオなど含めればもっとある。将来的に最低2つは成り立たなくなる。その他もNSC(近隣型SC)としては残るが不要なテナント部分が稼働しないRSCは想定できる。

GMSが厳しくなって、イオンやイズミはRSCで生き残った。そこにららぽーとや独立系も参入してきており、その形態も現状はリートやファンドに組み入れられている物件も多い。ここからは淘汰が始まる。

厳しくなってくると会社はどう動くか?当然改装計画を立案し、審議し、改装を実施する。イオンモールなどでは「活性化計画」と言われている。改装計画を審議し当然のように投資をかけることによって増益になる計画を承認する。今までの経験から考えると、流れが悪くなってきた物件を改装等の計画でその流れを止めることができた物件は、増床以外でほぼ見たことがない。店名を変えたりしたがその成功は長くは持たない。特に厳しくなったモールに新しいテナントを現条件で入店させるのは至難の業だし、その条件で入るのは同質化したテナントやサービス系テナントだけになる。増床計画があったRSCの改装でも、成功した物件はそんなに多くない。テナント側も増床部分は厳しいとすでに理解している。つまり改装効果を追い求めるあまり、将来的にさらに厳しくなる予測が現実的である。(短期的にはリニュアルセールでにぎわっても結局はもとに戻る。)

現実的には現状の流れを食い止めて、顧客の流出を防ぐ改装を考えることを優先すべきではないかと考える。つまり、投資した分を必ず回収する改装より、「投資経費をかけて発生するだろうマイナスを止める」改装を実施するべきではないだろうか。消耗品費や修繕費のように儲けるためではなく、維持する必要経費と考えるべきだと思う。営業数値の減少を止めるべき投資と考えるべきだと思う。

経費だけ使って数字の上振れがなければ、当然減益になる。ただ将来の大きな減益を止めることはできる。何年か経たないとその結果は出ないかもしれないが、投資基準は別として、間違いなくそういう改装も必要になってくる。非常に難しい問題だけれど、何年か後に優位性を持つことも大きな戦略だと思う。

■今日のBGM

RSC(大型モール)への提言

NSC(小型モール)の役目は生活関連商品の買いやすさと利便性にあると思う。RSCはそこに「わざわざ買いにいく」商材やテナントが付け加えることで成り立っていると思っている。当然広商圏ロケーションや規模や行きやすさなどが加味されるが・・・

「わざわざ買いに行く」テナントはRSCができ始めたころは出店していたが、次第に姿を消していく。中には当初はそういうテナントだったが、その後客層に合わせていって成功していったテナントもあるし、消えていったテナントもあるし、さらに消えていきつつあるテナントもある。

現状のRSCは近隣に乱立し全く差別化ができなくなっている。わざわざ性のあるテナントがなくなり、どこに行っても同じショップMDになっている。さらに好調企業はショップの大型化を図り、それによってさらに各SCの同一化が進んでいる。当然そういう状況が続けば、SC間の競合力の差で淘汰が始まる。GMSが乱立した時と同じ状況になる。

「わざわざ買いに行く」つまり差別化できるテナントはなぜ出店しなくなったのか?そういうテナントと出店を続けるテナントは大きな違いがいくつもある。差別化できるテナントはコンセプト自体が、極端に言うと「お客様を選ぶ」「自分たちの考えを理解してくれるお客様だけでいい」「仕事のペースが違う」などなど・・・

RSCに出店しない理由を順不同で列挙すると

  1. 営業時間が長い。どんどん長くなる。定休日がない。
  2. SCのセールや販促イベントが多すぎる。
  3. SCでの会議や打ち合わせが多い。 
  4. 客層の幅が広く、目的客の比率が低い。
  5. 賃料や他の経費が高い etc

つまり、自分たちの空間、世界を作りにくいということ。そこを解決すれば出店の糸口はできる。

そこで提言である。

  • 本部や店のリーシング担当がどうしても入れたいテナントを探し10店舗くらいでまとめる。→この見極めが最も大事だが、リーシング担当は絶対に入れたい店舗は数店舗想定に必ずある。(それがなければ仕事をしていない。)
  • SCの1画に500坪から1000坪くらいの場所を確保する。→現状それぐらいの面積は十分まとめて開けることは可能だと思う。それは3階の奥でもいいしデッドスペースでいい。
  • その1画にリーシング担当の推薦する店舗を検討の上リーシングする。

その時の候補テナントへの想定条件を考えてみた。

  • 賃料はすべて込み(共益費、販促費など)で10%以内の1年契約(再契約あり)
  • 営業時間は9時間(例えば10時~19時)定休日は毎週1日(例えば火曜日)→その1画だけは上記時間のみの営業とする。
  • 内装は各テナントがイメージに合った内装で出店。→内装イメージを高くする。当然内装はSCがチェックし決定する。
  • テナントが出店する1画はSCでイメージを持った環境整備をする。
  • 全体販促参加は強要しない。

  

こんな絵空事を提言しても絶対受け付けてくれない。間違いなく却下される。でも考える必要はあると思う。

こうすることによってSCの差別化が図れるし、運営能力も間違いなく向上する。

こういうところにしか生き残り戦略の糸口はない。

■今日のBGM

12月の商売

12月の商売は昔と大きく変わった。11月末にブラックフライデーが始まって、ボーナスサンデーの流れが弱まり、ギフトニーズも減ってきた。さらに元旦営業が普通になり、年末の必需品の駆け込みもなくなった。ブランド時代はギフトとプレセール等でにぎわったが、年を開けてのバーゲンもなくなり20日過ぎからバーゲンが立ち上がる。

商売の妙があるのが12月の商売だった。12月最量販期、1月バーゲンでそのための商品を仕入れなければならない。取引先もここで在庫をなくさないとデッドストックになってしまう。商談で原価交渉をして「半値7掛け、半値6掛け」(原価35%,30%)での仕入れをしてバーゲンでダウンする利益の補填をする月だった。

そういう商売を今もしているのだろうか?秋冬売れなかった商品をなくすための利益計画を策定してプライスダウンする準備をしているのだろうか?12月バーゲンに向けて売れなかった商品の処理計画をしているのだろうか?

買い物に行って売り場を見ると、そういう気配はあまり感じず、例えば「全品10%オフ」とか「20%オフ」とか計画的に処理をしているようには見えない店が多い。細かい商品アイテムごとの処理計画はないのだろうか?例月と12月商戦はそんなに変わっていない。売り場を見る限り12月の特別さを感じない。

この頃、しまむらが気になっているので、しまむらのチラシを見る。「総力祭」という打ち出しで均一訴求となっている。300円、500円、700円、900円、1500円、2000円、3000円でのくくりでカットソーは1000円以下均一、コート1500円、掛布団2000円、ダウン3000円が目玉商品。問屋や名古屋、岐阜の取引先から安く仕入れて、自店の不稼働商材も併せてマークダウンしてプライスのくくりで売っているのだろうと思う。昔からの商売をやっている。お客様も12月を感じる。

しまむらの利益率は過去3年33.9%,34.1%,34.1%と大きく変化はない。当然企業としては利益率の改善は取り組んではいるだろうが、回転率を重視している経営なので大きな改善は難しいのかもしれない。ただ買取商材はきちんと販売期間内でなくすという姿勢は正しい商売だと思う。売っていた商品は違うが、商売の考え方はしまむらのほうが好きだ。

ブラックフライデーの時も大きくプライスダウンコーナーを取っていたのはユニクロだけだった。セールスチャンスに不稼働商材をマークダウンするのはごく普通だと思う。利益率重視はいいが、商品の鮮度はお客様にはすぐばれる。自発的に不稼働商品をプライスダウンし売り込んでなくしていくというより、セールに協賛しているだけのような取り組みの店が多すぎる。

12月の商売も例年盛り上がらないようになってきている。

■今日のBGM

もう一度ビジネスモデルを見直す

少し寒くなってきたので防寒が売れだし、少しは数字が上向いてきているようだ。ただやはり資本力のある企業中心の流れで、体力のない専門店に流れは戻ってきていない。少し戻しては来ても、コロナ融資の返済や人件費の高騰などがあり収益改善は進んでこない。

先月の売上を見ていると無印が既存昨対122.6%と大幅伸長している。前年は厳しかったが伸長率は高い。内訳を見ると衣料服飾108.4、食品114.0、生活雑貨138.0とあり、生活雑貨の伸びが大きい。無印のスタートコンセプト通り「これがいい」より「これでいい」という流れがお客様にあってきているからだと思う。

大きく伸長できず行き詰ったときは、小手先で対策を立てて実行していってもなかなか変化が現れない。もう一度会社の原点に立ち戻る必要がある。会社のスタートしたコンセプトやそのビジネスモデルを再度確認し、現状とのギャップを整理する時期だと思う。私自身もコロナ禍で数字を冷静に見直すべくやってみた。今まで学んできたことを自己流にアレンジして分析した。

会社はそれぞれ、市場、競合を分析してKFS(成功する鍵)を見つけ出しており、そのKFSと現状のギャップを明確にする必要がある。つまりこのターゲットを狙って、こういうゾーンを中心にこのプライスラインで打ち出せば成功するというコンセプトが、現状どうなっているかを分析するということだ。さらにそこに自社独自のKFS(成功の鍵)はぶれてないか再度確認する。

何度か書いたが、昔好調だった店が厳しくなる。昔10代~20代のお客様が中心で売れていたのだが20年たってお客様はその分年を取った。年を重ねればファッションに向かう気持ちも変わるし、かける金も変わる。KFSが変化しており、それがなくなっているのかもしれない。今後どうするかを明確にしないと成長がなくなる。

3C分析という言葉がある。3Cは、カスタマー、カンパニー、コンペチターを指す。カスタマー(お客様)の分析をしてカンパニー(会社)の戦略と合致しているのか、コンペチター(競合)はどう動いているのかを分析し再度KFSを確認する。そのKFSが脆弱になっていればそこに対する対策が必要になってくる。カスタマー、コンペチターが変化ないのに厳しい結果になっているのであればカンパニーの戦略ミスということになる。

厳しい時期は現状の会社の置かれた環境を分析し、ここまで成長してきたKFS(成功の鍵)がぶれてないかどうかを冷静に確認する時期だと思う。

■今日のBGM

会社の人間関係

賞与の時期なので・・・

先日、イチローとユニクロの柳井社長(当時)の対談をYouTubeで見た。2人とも自信満々で主張していて、途中で見るのをやめた。柳井社長は強すぎて、仮に自分が正義であってもユニクロではおそらくのし上がれないなと感じた。

会社は人間関係があり、大きくなればなるほど権力を持ちたがり、権力を持った人間の周りに人が集まる。うまく立ち回った人間が階段を上っていく。そうなると結果に対する評価ではなくなり、忠誠心への評価になっていく。

大手流通業(マイカル)にいたとき、そんな場面をいやというほど見てきた。自分としては数字だけは実績として残そうと頑張ってはいたが、結果的には数字よりも大きいものが人の人生に影響を与えてきた。そういうことが多かった結果、倒産する。

おそらくユニクロにいたとしたら、やはりがむしゃらに結果を出そうとすると思う。禁じ手(何を指すかわからないが)ぎりぎりでも数字を残す。そうしないと言われっぱなしのような気がする。その結果、もしそこが(会社)居心地がいいのなら残るだろうし、そのためには数字しか自分を認識させることはできない。誰かは見てくれている。

やはり人事評価は業績評価の比率を高めるべきだと思う。役職が上がればその比率は100%に近づけるべきだ。使いやすい部下でも数字については冷静にジャッジすべきだと思う。使いやすさと実績が違うと会社の求めるものがわからなくなってくる。そこが狂うと会社のモラルが落ちていく。結果を出し、出す努力を続けていれば周りの見方も変わってくるし、本人も間違いなく成長する。

ただ数字を上げても、強い上司と戦うと疲れる。仕事へのモチベーションがどこまで続くか?現状の小売業を見て、そういう状況の中で戦っていける企業は多くないのではないか?そういう企業風土を作れる会社しか残っていけないと思う。

あの社長がいる限り、ユニクロはまちがいなく残っていくだろうな・・・

■今日のBGM

やはりファッション系の出店は少ない

SCに出店する店は少なくなってくると予測してきた。コロナで傷んだ企業が、同じくコロナで傷んだ大企業がやっているSCには出店できない。利潤を追求する大企業は当然賃料を下げるわけがない。現状維持かそれ以上を言ってくる。その条件に対応できるのは利益率の高い新業態か、収益が安定している企業になる。収益が安定している企業はさらに大型化を模索し、省力化を図り、坪家賃も引き下げる。全体の坪数は変わりないので、賃料のしわ寄せは、当然他の出店テナントに来る。

実際に現場を見てないが、イオンモールのリニュアル店舗のHPをみる。(新しい順)※新改装店のみ。あくまでも公式発表でなくHPでの個人的な検索数。

■イオンモール京都 11/2オープン

新店15    飲食系7 通信(携帯等)2 その他(保険、体験型等)3       衣料1(ワークマン女子) 雑貨1(ゾフ) 催事1(イケア) 

■イオンモール幕張新都心 9/15~順次オープン

新店22     飲食6 その他(車、家、ゲーム等)9 生活雑貨2       衣料系3(古着2、オフプライス1)雑貨2(サックスバー、ABCマート)

■イオンモール広島府中 9/22~順次オープン

新店14    飲食5 その他(ゲーム、ヘアー、ペット等)3 生活雑貨2       衣料系3(ハニーズ、スタイルミキサー、ワークマン女子)雑貨1(チェルシーニューヨーク)    

やはりファッション系の出店は少ない。当然リニュアルは多いが政策的な出店と思える「ワークマン女子」(ベイシアとイオンの確執はなくなった?)とバロックの新業態「スタイルミキサー」が目立つ程度。雑貨でも数字は厳しいと思われる「チェルシー」やイオンモールではあまり望まれてないだろう「ハニーズ」の出店は、きついリーシングを物語っているし、あとは大手の「ABCマート」と「サックスバー」の大型化出店。その他、飲食や携帯、保険、ペットなどの出店が多い。ファッション関連ではリニュアルの目玉になりそうな出店は見当たらない。コロナで入れ替わりの激しい飲食やメインフロア外の改装が中心になっている。

広島府中や幕張新都心はイオンモールの中では大型SCであり、リーシングも力を入れただろう物件だ。見てもなく失礼だが、大きな目玉のないリニュアルのような気がする。

今後も、今まで改装の目玉だったファッション店舗の導入は減っていき、好調店舗の大型化と「その他業種」の導入中心のリニュアルが中心になっていくことが予測される。それによってテナントの好不調の差が広がり、大型SCの魅力がどんどん薄れていくように思う。

■今日のBGM

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