投稿者: retailjam (13ページ目 (17ページ中))

ららぽーと門真

久しぶりに大阪に行き、新店で見たかった「ららぽーと門真」に行ってきた。

大阪は私にとってホームタウン的な場所であり、出店エリアは商業施設過密状態で厳しい場所だと思っていた。ネット等で概要は知っていたが、概況はほぼ想定通りの状況だった。

やはりテナントリーシングに苦しんでいる。2階をアウトレットにしているので、他のららぽーとより一般のテナント数は少ない。にもかかわらず、内容が薄く、大型テナントが多い。以前も書いたが、破産した「オーサムストア」を入店させていること自体、ららぽーとらしくない。その他、今までのららぽーとなら入店させるかどうかのボーダーラインのテナントが多い。尚、どこでも出店してきた「ライトオン」は出店していない。

アウトレットはもともと鶴見にあり、それを閉鎖して門真に移転させてきた。ある程度リーシングも容易だっただろうが、全くインパクトがない。このアウトレットの内容なら、アウトレット目的客はやはり神戸北や泉南のプレミアムアウトレットに行く。

ららぽーとの力を持っても、この内容かというテナント揃えだった。意識したのかどうか、スポーツ系やアウトドア系が多い気がした。ショッパーを持っているお客様が非常に少ない。(1回しか見てないので断言はできないが・・・)

飲食は非常ににぎわっていた。「黒門市場」もあり大阪グルメも打ち出し、フードコートもどこにでもある店が少なく、個性あるラインアップになっている。レストラン街も順番待ちも多く夏休み明けにしてはにぎわっていた。

食品スーパー「ライフ」は集客がなかった。昼前でレジ3台稼働はどうなのだろうか?足元客はやはり分散傾向のままだと思う。

飲食が現時点では引っ張っているが、それだけの目的で広域から集客できるかなと感じる。足元商圏を競合と食い合っており、狭商圏では優位性のあるアウトレットでどれだけ競合店に差をつけられるかという感じがする。

予想通りRSC(郊外型大型ショッピングセンター)は苦戦している。

  ・・・それはともかく、2日で15 時間の酒はきつい。

■今日のBGM

道の駅

先日,所用で群馬に行ったとき、テレビで取り上げられており新しくできた「道の駅 まえばし赤城」に立ち寄った。先輩夫婦と車で東北旅行した時には道の駅に十件以上(十駅?)も立ち寄っていて少し興味もあった。

「道の駅」はどういう目的でできたのだろう。昔のドライブインを民間と共同で公共事業の一環として作っていっているのだろうか?地元でとれた農産物や水産物を直接販売しているところが多く、地元色を出したドライブインというところだろうか?

「まえばし赤城」については少し車のアクセス(導入アクセス)が悪く、一般のSCやNSCも好立地でも出店を躊躇するかなと感じた。ただ好立地で幹線道路沿いにあり集客は十分あるところではある。足元商圏も多く、申し分ない。内容を見ると、商業施設ととらえると中途半端であまり魅力を感じない。地元名産品館と鮮魚館、フードコート館、温浴施設、広いパブリックスペース(ドッグラン、子供が遊べる。)という概要になっている。ドライブイン機能に「ファミリーで楽しんでもらう」というコンセプトを加えた道の駅となっている。7ヘクタールとあるので東京ドームの1.5倍くらいの大きさになる。小さ目なRSC(郊外型SC)に匹敵する。

お客様の利便性を考えると、広域から遊びに来る客層を考えても、なんだかのデイリー的な買い物ができたほうがいいだろうと思う。単純にSMがあれば十分商売は成り立つ。地域特産のお土産としての食品にデイリーの食品を加えたほうが来街者は喜ぶに決まっている。いくらでも儲けることは考えられるが、おそらくいろんな規制があるのだろうと思う。

「公」だから儲けてはいけないのだろうか?民間なら収益を上げるようどうするか考える。「まえばし」の例ではないが、一般的な「道の駅」は欠品だらけだし(地元の限られた商品中心なので)スタッフ(おそらく3セク)も活気が見えない。東北の「道の駅」敷地内でビール醸造所を併設したレストランがあったがそこはにぎわっていた。もう少し手を加えるだけで活性化するのではないだろうか?儲けられるのではないだろうか?

「公」の仕事について少し考えさせられた。予算は全部使う。例えば、例年年度末になれば道路の補修が増える。それを受注する企業が毎年の売上なので必死でとりに行く。所謂企業の「・・・族」ができていく。毎年その繰り返しになってくる。道路修繕が緊急でなければ先送りして、その金をほかに回せないものなのだろうか?「道の駅」(公)も儲かれば、もっと他方面に有効的に金を使えるのではないだろうか?

無駄に金(税金)を使っているように見えた・・・

■今日のBGM

専門店はコロナ前まで回復したか?

毎月、月初に上場企業は前月度の月次数字を報告する。会社を経営し始めてから専門店の数字はチェックしてきた。ここ数カ月はインバウンド景気もあり、商業が活性化したと報じられていて、売り上げ前年比は大幅に改善しているようである。ただ現状の小売業界はそこまで活性化しているようには見えない。果たしてコロナ前まで回復したのだろうか?実際はどうなのだろうか?

ふと思い立って、毎月月初に発表される各社の売上数値をもとに簡単に計算してみた。IR情報には過去の履歴も残っておりその数字を参考にして、コロナ後前年比数字(今回は8月数値)からコロナ前数値比を簡単に出してみた。計算方法は単純に2019年8月を起点に2020年8月から2023年8月までの既存店前年比を毎年乗じただけである。当然その期間に既存店の退店があったり、イレギュラー数字も出てくるが、とりあえず単純に毎年の既存前年比を乗じてみた。おそらくこれは各社の正しい数値ではなく、あくまでも参考数値として理解してほしい。(未発表の会社もあるし、発表日が10日以降の会社もあるので、留意した会社のみの数字ではある。)

2019年比(くどいようだがあくまでも推定数字)

100%以上 ABCマート112.6 アダストリア109.5 西松屋104.5      シマムラ 103.0

90%台  ユニクロ97.6 無印96.1 サックスバー93.8 ユナイテッドアローズ93.3 ハニーズ92.7 トーキョーベース92.2 ニトリ90.1

80%台  青山89.7 コックス80.7

80%以下 ライトオン74.1 タカキュー71.3 マックハウス63.7  

以上のようになっている。

100%を超えている会社が4社のみということは、まだまだ数字は回復途上というところだろうか?コロナ後は完全停滞期になっているという状況だ。比較的値段志向の会社が上位にあり、アダストリアが独自のポジションをとっているようにも見える。メンズ業界は非常に厳しい状況で、「家計が厳しくなるとメンズ業界への支出が減る」という構図となっているのかもしれない。大型店舗を展開する会社の数字が安定していることも共通項になる。

ファッションに関してはユニクロの流れがバロメーターになるのかもしれない。いろんな環境や各社の動向を見てもファッションの「新しい波」は当分現れそうにない。

■今日のBGM

専門店の商品部

小売業をやってきて規模が少しずつ大きくなってくると、当然本部組織も大きくなってくる。経理や人事などの後方部隊の仕事は明確なもので、存在目的ははっきりするが、商品部がどういう位置づけかが課題になる。

ユニクロなどのSPA企業は商品部の位置づけは明確だし、「商品を売る人」「商品を取引先から買う人(作る人)」の立ち位置が明確な場合は大きな問題にはならない。企業が発展途上にある場合、店に仕入れの裁量を持たせるケースが多い。中には店仕入れのウェイトが大きい会社もある。昔、在籍していた「ビブレ」も店仕入れのウェイトが高く、定番志向の強い「アンダーウェア」や「生活雑貨」以外はほぼ店仕入れだった。セグメントごとに商品部のバイヤー(MD)が2名くらいいた。その後立ち上げた会社も店仕入れの比率が高く商品部専任のスタッフは配置しなかった。(ライン職が兼任で組織してきた。)

店に仕入れの裁量を与えている会社には商品部は不要だと思っている。理想かもしれないが、全店で展開する商品を作ったり、セレクトしたりする仕事も主要な店長(ライン職)がすればいいと思う。その商品のジャッジするする人間は当然必要だが、経営幹部がそれをやればいい。

むしろ、商品登録をしたり商品データを管理するべきスタッフが必要だといえる。「ディストリビューター」と言われたりするが、どちらかというと「商品を販売サイクル上どうしていくか」をジャッジするスタッフが必要になる。データ分析して、「増やすべき商品、なくすべき商品」を的確に指示が出せるスタッフということになる。そのデータから利益計画、在庫計画につながっていく。それを商品部というなら、商品部は必要になる。そのポジションが最も必要なポジションだと思う。管理職がすべき仕事かもしれない。

商売はあくまでも現場だ。本部にスタッフが多いと経営職や管理職と顔合わせする機会も増える。いろんな質疑に答えねばならないので、質疑の回答への矛先は店スタッフに流れる。そうすると店スタッフの仕事が増える。本来の仕事ができなくなる。わかりやすく言うと質疑の回答を書類作成するために店からデータ招集をするケースが多く、店スタッフがその資料を作成する。「お客様向け」の労働時間を割いて「社内向け」の仕事が多くなってくるということだ。

「物を買う」「物を作る」ことは取引先情報もありそんなに難しいことではない。仕入れた商品、作った商品をどうやって売っていくか、商品をどうやって消化していくかのほうが大きい。それを考えるのが現場ラインの大きな仕事になる。その戦略を作成し指示するのが商品部の仕事ではないかと考える。

今日のBGM

小売業の本業回帰?

セブンアイが「そごう西武」を売却した。何回か書いてきたが、小売業が描いてきた、「夢」や「街づくり」や「文化への貢献」など数字に表せないものはいらないということかと感じた。セブンアイの本業はセブンイレブンになり高効率で高収益を目指すということだ。セブンアイのもう一つの本業のイトーヨーカドーはGMSからSMに凝縮し収益確保を目指す。

今後グループの会社も淘汰されていくと思われる。「フランフラン」の株も売却されている。(フランフランはセブンアイ傘下になったらイオンモールから退店させられて、セブンアイの持ち株比率が下がったらまたイオンモールに出店し始めた。)「アリオ」を中心とするデベロッパー事業も不動産として売却されるかもしれない。効率や収益を考えすぎた余り、全く魅力のないSCになってしまっている。「タワーレコード」もいらないし、「ロフト」も売上総利益率が40%未達なので収益的には厳しい。結局効率を追求したセブンイレブンが軸になっていく。ただセブンイレブンを軸にしたビジネスは大きな魅力になることは間違いない。あれだけの店舗数は魅力だし、今後の大都市集中を考えると、大都市以外ではいろんな起点になる。

業界2位のイオングループも完全に「不動産」と「金融」頼みとなっている。「狸の出るところに出店」を続けていたモール事業も国内は完全に行き詰っており、今後はGMS他社が消えていった時と同様、淘汰されていく。完全に国内より東南アジア、中国へのシフト強化が必須となる。イトーヨーカドーと同様にGMS(ジャスコ)は厳しい状況で、イトーヨーカドーより具体的な戦略は見えてこない。「タカキュー」を中心に子会社の数字も上がってきていない。今後は「金融」を使ったお客様の囲い込みが戦略の中心になりそうだ。さらに「国内より国外」戦略強化のイメージが強い。

百貨店は間違いなく大都市のみ存在価値があり、地方都市は淘汰されていく。

専門店はどうすればいいのか?流れに踊らされずに当初描いていた店の位置づけ、方向性を改めて再確認し、慌てないで冷静にジャッジすることが必要だと思う。そんなことしか言えない。小売業界3位のユニクロの「セオリー」や「プラステ」の動き方はユニクロの中にいてすごく冷静に見える。慌てて動くと絶対失敗しそうな気がする。

「SEIBU」がなくなるのは、時代の大きなターニングポイントになった。

■今日のBGM

百貨店

池袋西武がいよいよストライキに突入とのことで、ニュース等で百貨店についていろいろ報じられている。

このストライキは「そごう西武売却」に対してのアンチテーゼであり、雇用確保の問題よりも今後の百貨店としての存続についての対応だと思う。セブンアイほどの企業であれば雇用確保については十分対応はできると思う。

「もう百貨店はいらないのか?」という問題が常に根底にある。2022年の百貨店単店の売上トップ10は東京4店、大阪3店、愛知2店、神奈川1店と完全に大都市集中となっている。2023年7月の百貨店協会発表数字では10大都市の百貨店の伸び率は+8.2%でそれ以外は+0.4%となっている。渦中の池袋西武の2022年売り上げは1768億、2022対比+14.8%であり、売上規模は単体百貨店では新宿伊勢丹、梅田阪急につぎ3位となっている。名古屋高島屋、日本橋高島屋、日本橋三越より上位である。ちなみに2022年売り上げのうち地方店で最も大きい売り上げは大分のトキハ本店で487億とあったが、おそらくこれは別府店とインターパーク店の合算だと思う。博多阪急が414億とあるので地方では単店で300億も厳しくなっていると思う。

現状、消費者は完全に2極化していると思う。円安によるインバウンド需要もあるブランド人気や、貨幣価値低下から物の価値上昇への変換による富裕層の購買力アップで大都市の百貨店は大きく売り上げを伸ばしてきている。逆に市場では価格志向の店もどんどん拡大志向にある。百貨店は大都市以外、もう必要なくなっている。今後地方の百貨店はどんどん淘汰されていくと思う。現在百貨店の看板でも「百貨店らしさがあるのは半分くらい」の店がほとんどになっている。メインエントランスや低層階は百貨店でそれ以外は専門店の形態になっていくと思う。

今回の問題は、売却を決めたセブンアイが百貨店の方向性についての整合ができてなかったところにある。収益の出ない業態を売却して売却して得た資金を本業につぎ込むという自社だけのことを考えて決定したことにある。小売業最大手として小売業の今後の方向を考えず動いたところにある。社会的責任もあることに気づいてなかった企業の責任だ。梅田阪急や名古屋高島屋がヨドバシに変わると大きな話題になると思う。各方面から意見が出ると思う。池袋西武の次は渋谷西武や千葉そごうもヨドバシに変わってしまうという報道もある。小売業自体の図式が大きく変わってしまう。

投資ファンドは小売業の将来のビジョンは描いてくれない。

■今日のBGM

商品の値段は誰が決めるのか?

販売価格は適正なのだろうか?「売れる値段」が適正なのか「取引先がつけた価格」や「自分たちで設定した値段」が適正なのか?

小売業は棚卸をする。棚卸とは「商品の手持ち数量または金額またはその両方とを、確認すること、さらにその価格を確定すること。」と記されている。現金と棚卸資産以外は常に会計帳簿上に明記されている。現金も必ず手持ち現金を調べているので、資産高で不確定なものは棚卸資産だけとなる。その商品の価値はどう判断するのだろうか?棚卸時はその時点での値段で棚卸資産を確定するが、その価格は正しいのだろうか?小売業の一番見えないところだと思う。

経営していた会社では、一般仕入れ商品は商品回転率を0.5回転/月(月に10点の在庫が5点売れるということ)、俗にいう別注商品は0.3回転/月をほぼ念頭に置いていた。(別注は当然利益率が高いので。)つまり一般商品は入荷して2か月で、別注商品は3か月前後でなくなることを商品のサイクルと考えていた。なぜ2か月かというと以前書いたが、商品の支払いがほぼ2か月後になるからだ。

それでは0.5回転以下の商品の値段はそのままでいいのか?その値段では売れてない、つまり適正な値段ではないということではないだろうか?当然その商品特性も加味する必要はあるが。

値段を下げると利益率はダウンする。ただ売れない商品をそのままにしてはおけない。当然演出を強化したり、レイアウトを変えたり、接客を強化したりする策は当然ある。それでも売れないときはなくすべきだと考える。ではどうしてなくせばいいのか。

まず、店舗数が多い時は他店と情報交換し、データが見える場合はそのデータを確認して消化状況の良い他店に引き取ってもらう。取引先と交渉して返品する方法もある。ただ他店で売れていて自店で売れてないということは少し自店の販売努力が足らないとも考えられる。

一番簡単な方法は値段を下げて売りきってしまうことになる。

そこで問題になるのは「利益」と「在庫」になる。利益を重視して販売期間を伸ばすか、早く在庫をなくして、その処分した売上金で新しく商品を仕入れるかという問題になる。当然その後の利益計画を再度作成する必要はある。

「在庫」と「利益」に常に相関関係にありずっと課題になり続ける。

日本には「春」「夏」「秋」「冬」の季節がある。ファッションで考えると「衣替え」があり「色の変化」がある。そのタイミングで商品をなくすことができる。さらにSCや各店にはいろんな販促活動がある。売れない商品はそのタイミングで適正な値段に変えて、なくすことが最も必要なことだと考える。

「売れる値段」が商品の値段なら、値段を決めるのはお客様になる。

今日のBGM

出店計画について

小売業の一番の投資は出店投資になる。資金力のない企業は出店の失敗は会社の危機につながる。以前30坪の店をSCに出店するだけで2000万円以上の資金が必要と書いた。敷金は当然退店時返却されるが、撤去費として考えるとほぼそれぐらいになる。

それでも、店舗数を広げない意図があり、囲い込んだ顧客商売以外の業態であれば、店舗数の拡大によるメリットは当然大きい。

出店計画については、ここしばらく話題にしている人件費のアップや、人材不足の問題以外にも検討すべきことが多い。冷静に分析する必要がある。

自分のことを振り返ると、経営していた会社で出店数は全部で31、退店は8.退店理由で見ると3店舗は営業不振による退店。後はSCの都合と契約満了。営業不振の3店舗はMDのミス(新業態の失敗)と出店場所のミス。契約満了での退店理由は人員問題(販売員が慢性的に不足)が3店舗。デベロッパー側の会社都合はマスターリースしていたSCが出店場所を返却したためが1店とゾーニング変更に伴う代替区画の交渉決裂が1件。振り返ると失敗店舗は営業不振による退店の3店舗かなと思う。

出店時に考えることは当たり前のことだが、収益が出る物件かどうかということに尽きる。出店検討で必ず作成していたのは契約期間での収益予測。ここで考える必要があるのは普通の店のPLに加えて、投資の経費と償却を加味するということになる。

投資経費で大きいのは内装投資になる。経営していた会社ではまず経費計上分(10万以下の備品、30万以下の什器(※年間出店店舗数による))を内装投資の20%で想定し初年度に経費計上、年間減価償却は計算上(投資額-経費計上額)×30%で想定し試算していた。(当然実処理は会計基準に準ずる。)想定店PLから出店コストまで考えて検討はしていた。これで2年目からは単年度黒字を出店のハードルにしていた。ある意味高いハードルで出店計画をクリアしても退店はあった。

今は、出店のまず一番目のハードルは「人」(販売スタッフ)がいるかどうかになってくる。

さらに高くなった損益分岐点売上をどれだけ下げることができるかの賃料交渉になる。デベロッパーの認識が従来と変わらず、従来と変わらない条件提示だと、健全な会社は絶対出店していかないと思う。逆にデベロッパーは条件を下げてでも売り上げは上げてくるテナント、例えば歩率は下げても売り上げが上がることによってデベロッパー収益は減少しないだろうテナントを導入する必要が出てくる。

果たして今後デベロッパーは妥協してくるのだろうか?

■今日のBGM

テナントリーシングについて望むこと

売場ゾーニングプランはSC開発する上で最も重要なものであり、そのプランでSCの命運を左右される。SCのコンセプトに基づいてテナントを配置する。そのプランに基づいてテナントを誘致する。

そのSC(駅ビルも含める)がどの客層を集めるかによって、テナント構成は変わってくる。20年以上前はどれだけプレステージの高いテナントを導入するかが戦略の1つだったと思う。今でも優先度の高い戦略だとは思うが、客層ターゲットによっては大きな変化が出てきているように感じる。

RSC(リージョナルSC)スタート期は、まずSCイメージを出すため、百貨店ボリューム客層を集客することに加えてトレンド客層も取り組むことを狙ったと思う。オンワード、ワールド、イトキンとの開発で百貨店ブランドディフュージョンショップを多く取り入れた。RSCのグレード感を確定できたことは、その後のSC開発には大きく役立った。「SM+専門店」のイメージから、ある程度従来のSCよりボトムアップし年齢層も若くしたRSCが確立されていった。

それから20年以上経過し、ファッションの流れも変わり、お客様のニーズも大きく変化してきている。プライス志向が強まり、それに伴いテナントの大型化が進んできている。以前にも書いたが、「テナントの大型化」=「SC収益のダウン」という流れは否めない。

SCの出店ラッシュのつけがきて、SCの差別化がなくなってきており、今後は淘汰の時代を迎える。現状もそうだが間違いなく空床スペースは増えていく。退店後に入店するテナントは明らかに「通信系(携帯ショップ)」「美容系」「食品関連」などが多く、他は「ユニクロ」「ABCマート」など好調大型テナントの増床が目立つ。空きスペースは携帯ショップの催事も多く、おそらくお客様からのクレームも多いと思うが、賃料カバーのためやらざるを得ない状況となっている。おそらくこのままではどんどんSCの魅力がなくなっていってしまう。

イオンモールスタート期に、今後伸びるだろうテナントを積極的に導入したように、新しいテナントや出店したいテナントをどんどん開発してほしい。投資やSCの収益のことよりも面白いテナントを開発してほしい。それが差別化にもつながるし、それがSCの存続にもつながる。これも以前書いたが、内装は個性的なものを作るのと引き換えに催事契約でいいと思う。テナント、SC双方がリスクヘッジする契約よりも、お互い少しはリスクを持ってスタートする契約を話し合っていけばいいと思う。

流通系SCにはそれぐらいの度量が欲しい。

今日のBGM

今後の出店について思うこと

お盆商戦は大きく前年売り上げをクリアして好調という声が多い。ただ、去年はコロナがまた増えてきて集客に陰りがあった時期で、コロナ前と比べるとまだまだそこまでは戻ってないような数字のようだ。

コロナ3年間の傷は大きく、今年の春夏で退店が目立ったようだ。以前書いた自宅の最寄り駅15Km圏の安定的な商業施設を確認すると、さいたま新都心コクーンでワンズテラスなど衣料雑貨系で4店舗、飲食で4店舗の退店、イオンモール浦和美園でもスピンズなど衣料雑貨系で5店、飲食で2店舗の退店が確認される。

小売業の利益は売上から単純に仕入れ原価との差益を計算したのが売上利益額になり、そこから営業費を差し引いた金額が営業利益になる。SCに置き換えると各テナントの売上計はSCの売上高(管理売上というべき?)とすれば、売上総利益高は家賃収入(共益費なども含める)となる。

ということは、SCは退店が増えると総利益高が減るということになる。いろんな営業費(もちろん人件費も入る。)や資本費(償却など)などで収益は調整できるが、SCで一番大事なのは総利益高を減らさないこと、つまり賃料収入を減らさないことだ。退店が増えるということは賃料収入が減ることは誰でもわかる。そのために新しいテナントを探して出店してもらう。その時に、今までの賃料より少ない賃料でテナントを導入すると、総利益高は減るということになる。新テナントを探すがその時のジャッジの基準が問題になる。テナントリーシングについてはまた改めて書くが、まず大前提は賃料最低現状維持となる。

つまりよほどSCにとってメリットがあるテナントでない限り、賃料は大きく下げてこないということになる。売れているSCなら当然賃料が第一基準になる。逆に空床が目立つ厳しいSCなら条件の交渉がしやすくなる。

従来の出退店は賃料交渉や売場ゾーニングが一番大きなポイントになったが、ここにきて大きな問題が出てきた。「スタッフが集まらない。」「給与基準のアップ」という「人」の問題だ。最低賃金が時給1000円になればフル勤務で月160時間(1日8時間×週休2日)働いて給与は最低1人16万となる。交通費や会社負担の社会保険料などを考えて会社負担を25%とすると、人件費として最低1人20万が経費計上される。4人体制でその他の社員経費を考えると最低1200千/月は必要になる。とすると人件費率20%として(高いが・・・)月度売上は30~50坪の店でも最低6000千以上は必要になる。さらに先に書いたが「スタッフは集まらない。」。

どう考えても、普通の小売屋はよほど数字が想定できて、場所が良く、さらに人の手配がスムーズに対応できそうな店しか、出店はできない。出店投資が大きなリスクになる。

やはりどんどんSCは淘汰される。

■今日のBGM

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