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小売業で売上総利益率だけ上げることは簡単なこと

友人から、ある売場写真が送られてきた。その売場は数年見てないが、ある程度想像はできた。ずっと思っていたことを書く。

標題の利益率を上げるには。

● 原価率の低い商品をどんどん仕入れる

利益率40%で在庫が売価で10,000(千)ある店の利益率を50%にするには、原価率40%の商品を売価10,000(千)仕入れればよい。

→簡単な話である。但し、4,000(千)の支払いが発生する。資金力があれば別に問題ない。

● 売れなくても値段は下げない

値段を下げると利益率は落ちるので、値段を下げず定価販売を心がける。

→上記設定で、当初在庫を売れないので全品20%オフにすると利益率は44.4%まで落ち込む。そんなことはしない。

● 無理しても売場には陳列し、もしそれが不可能なら古い商品は倉庫へ送る

売場が商品であふれかえり、当然通路幅も狭くなるが売場に置ければ問題ない。ボリューム感が出ていい。

→以前、ライトオンやジーフットについて書いたように期末に在庫評価損として利益率を調整し計上する。

● 売場イメージと会わない商品でも利益率優先で仕入れる

売場コンセプトの整合ができないが買上げ率が上がる商品を導入する。売れて利益率がアップすればいい。

→接客をせずに売れればベスト。人件費も多くかからない。

残念ながら、私自身は商売を長くやってきて、ずっと反対の事がいいと思っていた。

● 売れる(売っていきたい)商品を仕入れる。原価率は低い方がいいが、売れることを最優先する。

→キャッシュフローは店別の管理をする。さらに在庫金額は予算上でも設定する。

● 納入からの消化率を見て、不稼働商品は値段を下げる指示をする。

→まず不稼働商品の処理を優先する。金に換える。企業戦略商品のデータ管理で、回転率を優先し他店移動や価格修正の指示を出す。

●「商売の基本は在庫」の意識を持って、常に回転率の指標に向かって数値管理をする。

→倉庫は持たない。通路幅も最低90センチ以上を徹底する。

● 売場のメイン客層ターゲットに向けた品揃えを徹底する。

→客層の幅はできるだけ広げない。広げると在庫が増え、ターゲット客層の商品密度が薄くなる。誰に向かって商売しているのかわからなくなる。

小売業として「売上」「在庫」「利益」は大きな3つの指標となる。3つの指標がうまくバランスが取れればいいが、「在庫」と「利益」が相反関係にあることが多い。「売上」を確保するのに「利益率」を優先するか、「在庫」を優先するかで考え方が全く違ってくる。個人的には間違いなく「在庫」を優先してきた。当然「利益率」は高い目標を目指すが、あくまでも商売の結果だと思っていた。

最後に、写真を送ってきた友人からのコメント。「在庫量は増加、品揃えの質が悪化」。

■今日のBGM

金の事を考えないスタッフには大事な仕事は任せない

前回のブログを読み返していて、少し大きな世界の事を書きすぎたと反省した。個人としてサラリーマンも会社経営も経験して、大切なことは「金の事を考えて仕事をする」ということだ。

企業を経営すると一番気になるのは資金繰りだ。上場企業になると営業と管理に別れそれぞれの与えられた範囲での仕事になる。中小企業はそうもいかない。特に中小小売業は毎月のキャッシュ残高を気にしていかねばならない。大企業で働いていた時はいかに気楽に仕事をしていたのかと痛切に感じた。

「お前の好きなように仕入れてやってみたらいい」。小売業ではよく聞く言葉だ。例えば好きなように仕入れた金額が300千だったとして、もし自分で商売をやっていればどういうことか考えるべきだ。その300千は自分の貯金残高で足りるのか?いつ払うのか?ちゃんと売れてキャッシュインするのか?どういう金の流れになっているのか?つまり「人の金」だから簡単に行動できる。そして、複数店舗に仕入れるとしたらさらに金額は大きくなる。また、そういう指示を簡単にする上司も多い。そうなると責任の所在が分からなくなる。

在庫管理にしてもそうだ。商品の「先入れ先出し」は食品でよく使われるが、衣料服飾品でも在庫を新鮮に見せる努力は必要だ。常に売場の鮮度を高めるためにどうすべきか考えて仕事をする。やはり単品データを細かく見て他店比較し、売り方、見せ方を定期的に変えるようにしているかは大事なことだ。売る努力が必要で、売れない商品は手を加えなければもっと厳しい商品になってしまう。つまり値段を下げることも必要になってくる。

本部で仕入れにかかわるスタッフは、金に関しては一番責任が重い。このブログでもよく書いているが、昔のイトーヨーカドーのDB(ディストリビューター)のような立場のスタッフは、絶対に必要だ。仕入れ枠の管理を徹底する人間が必要で、商品内容でなく絶対的数字でジャッジする必要がある。今ならAIを使う会社がありそうだ。

つまり商品は「金」の意識を持たないと、商売は潤滑に回らない。すべて自分の金で仕入れた意識を持ち、その「金」が回っているかどうかを確認することが一番大事なことだ。数字で言うと支払いサイト(支払い日数)と在庫日数をチェックすればいい。過去小売業を経営していた時、キャッシュフローを細かくチェックしていたが、毎年黒字計上にもかかわらず、月末にキャッシュ不足になることが年1.2回はあった。銀行の当座貸越などでしのいだが、やはり12月支払い期の2月末のキャッシュ残で1年の商売が終わる感覚を持ったことを思い出す。

その他、開発のスタッフも大きな金が動くという意味では、責任は大きい。以前も書いたが、売場内装への投資金額は大きい。その責任の所在も不明確な事も多い。出店計画書を細かく話し合い、その結果への責任も明確にする必要があると思う。

小売業は「金」のジャッジが難しい。そして、それは結果でジャッジされる。一番必要なのは、「金」の流れを冷静に見極め、迅速に途中で軌道修正できる体制だと思う。

■今日のBGM

数字と感性(思い)

以下の状況を簡単に分析してみる。

①20店舗の店を持つ会社のバイヤーが発注をする。原価3000円、売価6000円で各店1型10点の発注。支払い(2カ月後)20店舗×10×3000=600(千)。その商品を3型発注するとして支払い1800(千)。

→1型2カ月で100点消化 4カ月で40点消化、残り60点は半額で処理 完売

➁取引先が店に来て商談する。個性あるこだわり商品を店長は発注する。5型2色原価7500円売価15000円各1での発注。支払10×7500=75000。

 →2ヵ月で3点消化 4カ月で2点消化 残りは継続販売

では、この商品にどれだけ責任を持てるか?自分の金でも発注できるか?(商品代金は2カ月後現金支払い)

①2ヶ月消化率50%→支払いは締め日に売上で相殺できる。導入数の3割半額処分のため利益率は41.1%にダウン。

➁2ヶ月消化率30%→単品の売上では支払いはできない。利益率は変化ないも在庫負担になり今後の仕入金額が減る。今後売れ行きが改善しなければ利益ダウン要因になる。

理解すべきことは、①では ・値段を下げると利益は当然下がる ・利益は下がるが在庫処理が進む ・新商品を導入しやすい(売場に鮮度が出る) ➁では ・利益は下がらない ・支払いができない(借入する) ・仕入れが厳しくなり売場に変化が出ない  などの事が考えられる。

さて、こういう簡単な数字分析を、事業部内や商品部内で行っていて、その問題点や対策を話し合っているのかということだ。そしてそこに問題があれば、早急な改善を実行しているかどうかだ。

ここに小売業の課題がある。小売業では、まだまだ数字で話ができにくい風土がある。あくまでも商品主体での話になりがちにある。商品を語る言葉は熱いが、その後の数字に表れる情報に対する対応は遅い。さらに業態開発や、ショップ開発などでも、数字よりも「思い」が強くなり、数字データでの分析内容が信憑性に欠け、説得材料になりにくい。

実は、金融業や不動産業などとのPM業務がスムーズに進まないのは、そこに問題があると思っている。感覚や感性中心の小売業と、利益や効率を重視する金融業とでは話がつながりにくい。特にフィーで契約していれば小売側の立場も弱い。ただ金融、不動産側も、簡単に小売業の事を考えすぎではある。数字でのつじつま合わせの感もある。例えば、今進行中の池袋西武の改装も「ヨドバシ」+「西武」で今までの数字には届くとは思えない。

今までの経験上では、小売業にはまだまだ、「思い」や「感覚」が優先されているように感じる。「数字」だけでなかなか図りにくい面も多い。ただ、もう少し「数字」が討論の土台になる土壌を作るべきだと思う。

■今日のBGM

夏物はないのか?必要ないのか?

近頃、モール(RSC)に行って売場を回っていると感じることは「夏物はいらないのか?ないのか?」ということだ。ほぼ全店秋物での売場になっている。ただ、ユニクロには前面ではないが、最終処分としての夏物商品のコーナーはまだある。それ以外では、靴売場にオールシーズンと言えるセールコーナーもある。去年の猛暑、残暑を想定しての今年の品揃えだと、6月の不振分の夏物商品もあり、まだまだ各企業には夏物は残っているようにも思う。

では、各企業はもう夏物は売り切ったのだろうか?アウトレットやネットでなくしていくのだろうか?では、アウトレットを持たない店舗はどう処理していくのだろうか?デベロッパーから「秋物に全面的に切り替え」指示があるのだろうが、企業として今後どうやってなくしていくのだろうか?特に中小小売業は、「商品の現金化」を急ぎたい。逆に、近年はデベロッパーからの指示を遵守しないと問題になりそうな気配が見える。昔の「話し合って、臨機応変に対応する」イメージがなくなりつつある。ユニクロは対象外だが・・・

RSCのスタート期には、各店舗がある程度の規制内で、自由に商売をしていたように思う。値段の規制も強くなく、セール期間の規制も厳しくなかったように思う。さらにセール晩期には、ホワイトスペースでクリアランスの催事も定期的に行ってきた。それが、見え方や売り方の問題なのか徐々に減ってきた。

現状ではいろんな面で規制が厳しくなり、もう大企業以外ではRSCには簡単には出店すらできなくなってきている。さらにテナントリーシングも大型テナントや大手企業中心になってきており、希望のエリアやフロアには出店は難しい。そして、大型売場が増えてくる中、小型売場への柔軟な条件での出店も難しくなっている。リーシングしたい大型売場が優遇された条件での出店ならば、条件面でのしわ寄せは小型店舗に向かう。今後どんどんこの傾向は進んでいきそうだ。

そのしわ寄せに対応しているのが、ファッション以外の業種になる。近年RSCの3階に多く見られる、「携帯ショップ」「保険」「クリニック」「アミューズメント」などの出店が増えてきているのはそのためだ。当然インフラとしては必要だが、モールとしてのイメージ要素の強いファッション店舗の減少はモールの魅力減少につながっている。

少し話がずれたが、現状のモールは、標準化が進んでいるように見える。店や商品の個性もあるのだが、売り方も標準化の方向に向かっている。それが、面白さを消しているようにも見える。併設しているGMSの食品売場は商品の多様性や値段、さらに売り方の変化で集客しているのだが、他業種ではなぜ標準化に向かっているのか?食品にライフサイクルがあるのと同様に衣料服飾品にもライフサイクルはある。そしてお客様のニーズも多様化している。

「値段が下がった夏物」のニーズはまだある。RSCが向いている方向が少しずれてきているのではないか?「お客様」に目線が向いているのだろうか?

■今日のBGM

店長に考えてもらいたいこと ➁

前回、店長もキャッシュフローを考えて売場をマネジメントするべきだと書いた。毎日売上ばかりを念頭に置いて仕事するのだろうが、本当に自分で金を持っての商売ができているのか自問自答して欲しい。昔と比べると、店長の平均年齢も上がっているように見える。もう一度商売の理屈や目標を見つめなおしてほしい。

単純に30坪の店を出店するのにいくらかかるのか?出店費用だが、敷金として坪100~200千は必要だ。ここでは坪150千として考えると4500千となる。敷金は返ってくると思っているかもしれないが、撤去時に撤去費用でその金額位は必要になる。つまり返っては来ないと考えるべき経費となる。内装工事に関して、共用部の負担金、内装管理費、現場協力金などで最低でも2000千は必要になる。さらにオープン販促費なども必要で、デベロッパーに支払う金額は概算合計7000千くらいになる。さらに内装費だが、ABC工事含めると安くても10000千は必要になる。おそらく今なら、物価高騰もありその金額では済まない。つまり、30坪の店を出店するにはその他諸経費を含めると20000千は必要になる。そこに、オープンするための商品の金額が必要になる。商品在庫を上代で坪500千とすれば、原価50%として7500千の金額が必要になる。つまり、少し多く見積もるが30000千くらいの金を投入することになる。

少し前に、ソフトバンクの無担保社債の募集があった。利率は4.75%であり税引き後3.785%となっていた。ソフトバンクの存続のリスクがあるが、ソフトバンクが7年続けば毎年利払いが続く。そしてその後原資は返却される。海外ではリスクが大きいと言われていたようだが、完売している。この社債に30000千を投資すれば、毎年税前で1425千の利払いがある。つまり、金を動かすだけの方が安全で堅い商売として映る。商売をやっていくということは、それ以上の収益がなければ、社会的な価値はないと考えることもできる。

企業には理念がある。昔立ち上げた会社は、そんなことは考えてなかったが、「やっていく業態は、他の企業が手を付けてないターゲットに向けた商売」だと思っていた。所謂「小さなブルーオーシャン」と感じたからスタートした。大きな理念はなかったが、ターゲットさえ間違わなければ成功すると思って始めた。そして、その考えが浸透していれば、企業は続いていくと思っていた。

では、今の物販小売業の店長はどういう気持ちで働いているのか?毎日ルーティン業務をして生活基盤としての収入をもらっているのか?大きな投資を受け止めて、その投資を回収していこうと前向きに動いているのか?おそらく前者のほうが多い。

このブログで再三書いているが、今後の顧客層は高年齢化し、その数は激減する。つまり、普通にやっていれば、中小の小売業は淘汰される。上場企業でさえ、どんどんなくなっている現実もある。もう一度、企業目的を徹底して話し合い、店長として何をするべきか、何を基盤に仕事をしていくのかを明確にしてほしい。

でも、走っている途中にはなかなか考えられないか・・・

少し説教じみたブログになってしまった。

■今日のBGM

店長も店のキャッシュを管理する

このブログでは何度も書いていることだが、仕入れ担当者はキャッシュフローを再確認する必要がある。企業は、黒字であり続けても、現金がなくなり調達できなければ倒産する。そんな事例は山ほどある。店長も仕入れに参加しているなら、当然店舗のキャッシュフローを再点検すべきだ。そしてその意識を持って仕事に携わってほしい。

まず、当月のキャッシュインだが、テナント入店の場合はいろんな入金方法があるが、ここは簡易的にわかりやすく当月の売上が当月キャッシュインされると設定する。

次にキャッシュアウト。ここも支払いにいろんな時差はあるが、簡易的に当月のキャッシュアウトと設定する。まず賃料等。当然出店条件をわかっているとは思うので、賃料、共益費、販促費、事務手数料(クレジットが多くなると想像以上に大きい)、駐車場負担金は算出できる。次に人件費。店舗勤務者の給与を総支給で合算する。社会保険料は会社が支払い給与の約15%は負担しないといけないので、その分も人件費に上乗せする。さらに、電気代、電話代、店で発生するショッパーズなどの消耗品費、出張すれば交通費も発生する。

具体的に想定数字を考えてみる。

まず、キャッシュインでは売上を5,000千と想定。

キャッシュアウトで賃料、共益費、駐車場負担金、販促費で900千(イオンモールで30坪弱の店想定)。人件費は1,200千+200=1,400千(社保会社負担込み)。支払手数料100千、電気代、電話代、消耗品で100千 概算で2,500千。

つまりキャッシュはこの段階でキャッシュイン5,000千-キャッシュアウト2,500千=2,500千となっている。

ここで考えなければならないのが、商品の支払い分になる。キャッシュイン5,000千―キャッシュアウト2,500千=2,500千で商品の支払いをしないと足らなくなる。2,000千の仕入ならキャッシュは残るが、3,000千の仕入ならキャッシュは足らない。あくまでこの仕入数字は原価だということを再度理解する必要がある。

PL(損益計算書)で計算すると売上総利益率が仮に50%なら総利益が2,500千になり、経費分2,500千を引くと0になる。つまり儲けも損もない。つまり、概算ではあるが経費が大きく変動されなければ、損益分岐点売上は5,000千ということになる。ただここで仕入れが上記したように3,000千あればキャッシュは500千足らない。損益は赤字ではないが、支払い代金が払えない状況ということになる。例えば売上が5,200千で経費が変わらないとすれば200千の黒字になるが、仕入がこのままでキャッシュが足らず、さらに資金の手当てができなければ黒字倒産になる。(当然、数字上の事で交渉余地はある)

つまり、PL(損益計算書)上では黒字でも、仕入れ過多で支払いができなくなっていれば会社は倒産する。言い続けているが、仕入れ過多は在庫過多になり、支払いができなくなる。昨今の「ライトオン」「マックハウス」「ヴィレッジヴァンガード」はすべてこの状況から数字が悪化していった。

企業が大きくなると、細かく管理ができなくなるが、小売業をしているのなら、各店舗のキャッシュフローはチェックする必要がある。特に、現場で店長が仕入れに参画しているなら、店長もバイヤーとして最低限キャッシュフローはチェックするべきだと思う。

■今日のBGM

「ハッカキッズ」ブランド休止と子供服業界

先日、子供服の「ハッカキッズ」がブランドを休止する旨を新聞で知った。このブログでは「雑談」として書いた方がいいのかもしれないが、「ハッカ」ブランドには過去お世話になった。

このブログでは過去の仕事としてよく書いているが、群馬県高崎駅前の「ニチイ」を改装し「SATY」の業態を作る時、商品部にいた。俗にいうDCブランドの誘致も主な仕事だったが、商圏には百貨店2店舗あり、路面店にはブランドが軒を連ねていた。「ビギ」や「ニコル」は有名なFC先があり、後発のSCには見向きもされなかった。その時一緒に仕事をしてくれた店のフロア責任者が、路面店で「ハッカ」を経営していた。その方には大変お世話になったのだが、そのおかげで「ハッカオム」は導入できた。その後、子供服ブランドブームの時には「ハッカキッズ」も店舗を構えることができた。

あの当時のDCと言われたブランドのほとんどが消えていった。「ビギ」グループは三井物産傘下に、「ニコル」グループは岐阜アパレル傘下になり、その他のブランドもほぼ消滅した。「ハッカ」ブランドは、その当時規模は大きくないがブームから離れて自分たちの方向を向いていたように思う。その後「Madu」など飲食と融合したショップを開発し、きちんと立ち位置を確保している。当時は、須賀社長(当時)にも営業担当者にもお世話になった。西麻布の本社にもよく伺った。

その後、子供服ブランドブームがあり、うまく地元FCオーナーと交渉ができて、「コムサフィユ」「ミキハウス」「べべ」のテナント出店や「ミニバツ」「ミニK」「メゾピアノ」などと「ハッカキッズ」をSATY直営にしてゾーニングができた。地方でこれだけのブランドが揃うのは珍しく、活況を呈した。ただブームが去ってからは、SCが「ビブレ」になると同時にすべてなくなった。「なくなった」というか「なくした」。思い出すと1996年のことだった。

平成子供服ブランドブームは、バブル崩壊後どんどんマイナストレンドになっていった。もともと子供服は、ベビーサイズ、トドラーサイズ、スクールサイズに分けられ、さらにサイズも身長の10センチピッチで、細かい。つまりジーンズ専門店がなくなっていったのと同様、在庫を抱える商売になる。さらに子供の成長は速く、着飾れる期間は短い。ただトドラーサイズは子供が最もかわいい時期になり、ジジババ戦略でのギフトで最も売れる。

子供服を取り巻く環境だが、国内出生数の変化を見ると、1990年は約122万人が2022年には84万人、2025年には70万人前後まで落ち込んでおり、1990年の60%を割り込んでいる。つまり、完全に商圏は小さくなっている。さらに1990年代に「ギャップ」が日本上陸し、サイズ観念が変化していったこともあり、子供服市場が変化し、特にスクールサイズが一般衣料品市場に加わっていった。ただ売上数字を見ると、子供服市場は大きなマイナスはないらしい。高級志向、インバウンドニーズで高価格帯の子供服は売れており、「ミキハウス」「ナルミヤ」などは堅調に伸ばしてきている。さらに「西松屋」「ユニクロ」「GU」のボリューム層も数字は大きい。見え方はそうだが、スクール需要をどう捉えるかで、数字は変わる。おそらく、昔のセグメントで考えれば減少の度合いは大きい。さらに、過去の子供服専業メーカーは寡占化が進み、中小のメーカーは姿を消している。

今後、大手の海外展開や効率化で維持できるメーカーは少なく、さらに寡占化が進むと思われるが、「服」以外への取り組みが必ず必要になってくる。一部の大手のブランドを除いては、子供服専業のメーカーは間違いなく消えていく。

■今日のBGM

ユニクロの出店戦略変更で商業地図は変わる

日経新聞の1面のメインに「ユニクロ旗艦店を倍増」という記事があった。柳井社長の言葉を細かく記事中に入れている。「日本の主要都市すべてに旗艦店が必要だ。10年以内にやりたい」「出店は全て旗艦店戦略に変える」「商品を売るだけの通常店は増やしても意味がない」。トップダウンが強い企業なので、間違いなく出店戦略は変わっていく。このブログでも何度も書いているが、「人口減少による出店エリアの縮小」「ネット通販の普及」がこの言葉を後押ししている。

この記事通りであれば、今後の出店は都心中心で郊外店舗への出店はなくなる。店舗開発担当者は企業の方針に沿って動く。ちなみに、ユニクロの国内店舗数はピーク期の2013年8月末の850店から785店と減少している。

大都市はさておき、地方都市や郊外モールはどうなっていくのか?ユニクロの事しか言ってないので、GUの出店が加速するのかもしれない。GUの位置づけを変えるのかもしれない。ただ現状の地方都市駅前物件や大型モール(RSC)は、間違いなくユニクロがモールの柱になっている。ユニクロが店舗数を緩やかに減らしていく事を考えれば、RSC(特にイオンモール)は求心力を失う。

ただ、もうすでにRSCも開発できる場所はないのかもしれない。イオンモールに至っては至近距離のイオンモール出店過多で、もうRSCではなくCSC化(コミュニティSC)している物件も多い。おそらく、すでに出店は鈍化しているが、イオンモールもSC数は増えていかないと思う。 

現状、国内専門店小売業はユニクロと無印良品が2強とみていたが、今後はRSCに至っては無印良品の出店が増えそうだ。ただ無印良品も大型化を進めており、路面店も含めて大きさや出店条件を吟味しての出店になっていく。そして、無印良品も含めて旗艦店戦略のユニクロに追随する企業は間違いなく増える。

以前まとめたことを再度書く。まず10年後、20年後の人口予測とその構成比だが、総人口は10年後−730万、20年後−1500万、65才以上の高齢者の比率は現状30.3%が10年後33.3%、20年後35.3%と増える。さらに15才までの年少人口は減り続ける。そして生産者年齢人口も減り続ける。次に、人口現状30万以下の地方都市の高齢者人口は20年後50%を超え、人口も2020年比で−30%~50%の状況になると想定されている。つまり、東京、地方の大都市に人口も集中する。ただし、東京、大都市も高齢化は進み人口も減少していく。

そのデータを見て、国内戦略を考えると、当然国内では大都市戦略になっていき、地方ではEC化が進む。その意味で、ユニクロの国内戦略は理にかなっている。海外戦略では近年のアメリカ、ヨーロッパ戦略も旗艦店、大型店中心で成功している。

おそらく今後のファッション小売企業は人口減もあって、国内だけでは企業の成長はない。内部充実も大事だが、売上分母が大きくならなければ成長はない。海外進出や商売分野の拡大などの長期的なビジョンが描かれなければ、存在できなくなる。

■今日のBGM

「売る」責任と「仕入れる」責任と「コントロールする」責任

晩期の売場を見ていると、企業の状況がよくわかる。特に商品コントロールのやり方で企業力は出る。姿を消していった企業はここでのミスが多い。「売る責任」も大きいが「仕入れる(作る)責任」も大きい。そしてそれをコントロールできて企業は成り立つ。

昔、「ビブレ」という業態に在籍した。他のファッション系SCとの大きな違いは、自主MDでの売場が多かったということだと思う。開発型ショップを入れると50くらいの売場が自主MDだった。壁面を背負ってのブランドオンリーショップは取引先出店が多かったが、品揃え型店舗や、大型区画は直営展開が多かった。そうすることによって賑わいも出て活性化が図れた。つまり、ブランドで集客し自主売場で稼いでいた。自主売場には本部のMD担当者がいたが、主用業務は全店共通の商材を手配し、その売場の数字を管轄することだった。ただ、店の大きさにもよるが、店担当者の仕入れ権限が大きかった。店舗数が増えていく中で、仕入技術の問題や、当然のように売上の大小で、店舗間格差はでてきた。晩期は自主MDでの弊害の方が大きかった。

自分で店を始めてからも、店仕入を中心にスタートした。当然集約して展開する商品は本部でまとめて発注したが、その比率は低かった。何より、店舗数が少ないうちはまとめて発注するメリットは小さい。ただ規模が大きくなるにつれ、店仕入中心では厳しくなってくる。

小売業は回転率を考えて、売上予算と在庫予算を決定する。このブログでも再三書いている。商品を仕入れてその商品を売って、取引先に仕入れ代金を支払う。一般的には末締め翌末払いの条件が多い。ということは2ヶ月で完売すれば利益は残る(売価-原価)。掛け率50%なら2ヶ月で半分売れれば支払いはできるが、儲けは出ない。そして、その儲けで経費を払う。回転率が低い商品(高額商品等)や回転率の高い商品(セール商品、定番商品等)があって全体の回転率が計上される。売価在庫で図る時は、回転率は売上÷平均売価棚卸額(在庫)で計算できる。その数字が0.5なら2ヶ月で商品が入れ替わるということだし、0.33なら3ヶ月ということになる。いろんな仕入れ形態はあるが、立ち上げた会社では月度回転率0.5を目標にしていた。同じように上場企業ではパルグループが回転率を重視している。

ただ、仕入れ担当者にそこまでの数字感覚があるかどうかだ。自分の懐は痛まないし、「売りたいものを仕入れたい」と考えるのは自然なことだ。財布の中の金額を気にしないで買い物をすることは楽しい。そこに大きな問題がある。当然、売場提案を実施するが、そこに信頼関係がなければ、「売る側」は押し付けられたと感じることも多い。

そこで「仕入」と「販売」をコントロールするポジションが必要になる。小さい会社なら社長がやるべきだ。そして、ある程度の規模になれば必ず必要なポジションだ。商品はわからなくても数字でジャッジするスタッフが必要だ。どの商品群が回転率を落としているか、そして回転率を適正にするためにどうするかをジャッジする。当然回転率を上げるには、商品をなくしていく事になる。商品をなくすのは返品するか、値段を下げて売り切るしかない。つまり「在庫」をコントロールするポジションが必要になる。

そこで「売上」を優先させるか、「利益」を優先するか、「在庫」を優先するかを決めるのが経営だ。「売上」を優先させれば「利益」は落ちるし「在庫」は減る。「利益」を優先させれば「売上」は伸びないし「在庫」も減らない。そこをジャッジするのが、経営の一番大事なことだと思う。結局、昔在籍した「ビブレ」は経営危機になり、キャッシュを得るために「売上」を優先し、「在庫」を減らし「利益」を減らした。そして倒産した。

小売業は「売上」「利益」「在庫」をきちんとコントロールできる体制を持った企業しか存続できない。

■今日のBGM

雑談➁ 初めて商売をやって感じたこと

お盆時期で、企業発のニュースが少ないので、商売についての個人的な経験を書く。

断片的に何度か書いたことはあるが、商売をやらせてもらえたのは33歳くらいだったと思う。大手GMS(マイカル)にいたので、それまでも当然小売りの基本的なことはやってきた。当時は、マイカルが量販店の業態変更を始めた時期で、関東でその1号店だった高崎店のフロア改装だった。物販では最上階の6階はDCブランドのフロアで、改装オープン時は地域特性もあり3.4番手のDCブランドしか交渉できず、その後は当然売れず退店が続いた。オープン時から催事展開のショップもあり、2.3年で半分くらいは退店した。200坪位の面積は空床だったと思う。当時は本部で開発担当のバイヤーをしており、計画を立案した。50坪位を「ポイント」(現アダストリア)に他のビルから移転してもらい、残り150坪を自主MDでの提案だった。「ポイント」にはマイカル直営からのMD変更要請があり、交渉の末、デニムはリーバイス501のみで他は「アヴィレックス」「アルファ」などブランド中心でのMD展開で出店してもらった。自主売場は、その当時はやり始めたインポートブランド中心で品揃えした。

もう詳しくは覚えてはいないが、自主売場の数字は平均在庫35000千前後、売上年間100000千弱、利益率は25%程度の悲惨な数字だったと思う。内装投資は西武シード館を真似て無理強いをして稟議を通してもらった。完全に在庫過多で月8000千の売上と考えると回転率は月度0.2回転くらいだった。当然のように、値下げ金額も大きく、なおかつインポートブランドの買取商売だったので、大きな赤字売場になった。営業会議でもあきれられていたように思う。ただ量販店なのでブランド商売には口を出しにくかったようだ。ちなみに、隣の「ポイント」は年間2億近くの売上はあったので改装効果としては大きかった。

まだまだ、インポート(ライセンス)ブランドは地方ではあまり取扱いが少なく、当時のメインブランドは後にメジャーブランドになっていく。「ポールスミス」「マーガレットハウエル」「キャサリンハムネット」など。卸での販売になるので、掛け率は厳しく65%の完全買い取りがほとんどだった。インポートデニムも揃えたので在庫は当然膨れる。その後掛け率交渉はしていき下がってはいったが、やはりブランド品揃えでは儲からなかった。高層階でインパクトを与え、商業施設のイメージアップのためと考えるしかなかった。さらに、お客様には最低限「ブランドの世界」は見せなければならないので、ある程度の在庫を抱える必要が出てくる。個人ではなかなかこういう商売はできないし、考えもしない。その後いろんなブランドから品揃えの話はもらったが、あまりブランドを広げることはしなかった。さらに、儲けるために国内のセレクトショップに卸しているMDブランドの取引先とも商売をしたが、ブランドでなければ商売にならなかった。のちに有名になるブランドも多かったが、結局は取引先との信頼関係があり、条件交渉ができなければ成功は難しいと感じた。おそらく、モデル店舗の西武シード館も収益は計上できなかったと思う。ただ、高崎店はこれをやったおかげで、新しいブランドが目を向けてくれるようになり、収益店舗になっていったと思っている。商売はうまくいかなかったが、企業として、商業ビルとしての注目度は上がった。

そしてその当時感じたことは以下の通り。

  • 自分の金では、ブランド商売は絶対にできない。
  • 大企業の社員の商売は小売だけではない。「損」が「得」になることもある。
  • 好調な専門店は、お客様と商品をよく知っている。
  • かっこよく売る。かっこいい商品を売ることは難しい。
  • 個人がやっている専門店のように、商品を大事に売っていく事も重要。

そして今一番感じることは、「資本力ある商売と、資本力ない商売は、根本的に違う。」ということ。つまり、「金(かね)」の意識が全く違う。

■今日のBGM

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