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今後のSCはどうなっていくのか

群馬県の商業については非常に詳しいと自負する。今までの職業柄多くのSCを見てきたが特に群馬県は詳しい。群馬の4店で店舗勤務をしたし、高崎ビブレでは初代店長も経験した。ビブレは成功させたと思っている。

イオンモール太田(60500㎡)が大改装するようだ。ここはイオンモールの古い店で関東では成田の次ぐらいのオープンだったと思う。新しい物好きの群馬では大成功を収める。イオンモール初期の成功店舗で300億超の優良物件だった。その後20Km圏に300億超でさらに成功を収めた羽生イオンモール(75000㎡)ができ、同じく20Km圏に200億規模のスマーク伊勢崎(55000㎡)ができる。さらに30Km圏に足元が強いユニー系の前橋けやきウォーク(55000㎡)があり、40Kmと距離は離れるが群馬の中心に規模の大きいイオンモール高崎(76000㎡)ができた。イオンモール太田は今回の改装で76000㎡となり高崎と同等の賃貸面積となる。群馬には近年人気のコストコも前橋と明和にできている。

群馬県は車の保有台数が多く、1世帯当たり2.1台とのデータがあり、普通の商圏調査ではなかなか表せない。太田からでもおそらくイオンモール高崎くらいには普通に買い物に行っている。どこでも車で行くので「行きやすくて、停めやすい」SCが求められる。

今回の太田の改装についてニュースリリースを見たが、家電(ジョーシン)を入店させ、増床棟にフードコートを移設し拡大し、旧フードコートにダイソーを拡大して導入するということに尽きる。大工事をして別棟を建設し、賃料としては厳しいだろうゾーンを新規で入店、移転させている。大きな目玉は「ジョーシン」と「ダイソー」と「フードコート」ということになる。大型店舗の賃料は厳しいし、フードコートは共用部が大きいので収益面では厳しい。おそらく前向きに出店を考えるテナントは少なく、出店しても賃料は厳しい交渉になったと思う。

きつい言い方をすると、マイナスを止める改装というところだと思う。半年くらいは改装効果があるが、そこから大きく伸びていくと思えない。やはり太田市中心の商圏は変わらない。同じ金をかけるなら、もう少しエポックメイクがあっていい。営業時間や場所、内装、賃料などを全部先方に丸投げしてでも驚くようなことをしないとSCのインパクトはない。大変難しいと思うが、桐生の「STカンパニー」や高崎の「ギャレリア」など群馬の誇る会社はたくさんある。当然、食も住でもある。

先日、大阪であべのキューズモールに行って来た。ここには何度か出店の件で行ったし、出店したいSCだった。調べてみると,2018年のデータではイトーヨーカドー抜きで428億の売上となっている。出店場所さえ間違わなければ売れるだろうとも思っていた。郊外のRSCにはない少し都会的なSCのイメージがあった。川崎のラゾーナに近いイメージを持っていた。現状はまだ改装中で、全体がオープンしてないので結論は出せないが、全体的にボリューム路線になっているように感じた。話題だった「109」がもうプラスイメージでなくなっている。「アダストリア」と「パル」で押さえて、ここもダイソー大型化が打ち出されそうだ。核店舗のイトーヨーカドーが元気ないので、昔の少しハードルが高いSCのイメージはない。「109」を今後どうするかでSCのイメージは変わると思う。

キューズモールの改装もテナント大型化とボリューム路線への流れになっている。

RSCの収益は大型店舗で集客して、バラエティ感のある小型店舗(50坪以下)を多く導入して収益を安定させることが成功の大きなポイントの1つだ。コロナ以降小型店舗の出店が大幅に減っていると思う。大型店舗が多いと、ある意味モール自体の面白さがなくなるし、競合SCとの差別化もできない。広域商圏のRSCがどんどん商圏を小さくしている。

各RSCの体力勝負になるような気がする。

■今日の1枚(近くの公園の河津桜)

日経平均株価最高値と小売業

株価最高値ということだが、どうも好景気という雰囲気は感じない。国民の約3割位しか株取引をしてない中で、その恩恵はどれくらいあるのだろうか?当然円安で輸出企業は高収益予測となっている。トヨタは今年の見通し営業利益は4.9兆円と発表されている。熊本の半導体工場の大卒初任給は28万ということで好景気のニュースが流れている。

就業者の70%は中小企業で働いている。中小企業がどれくらい恩恵を受けているのだろうか?給与は物価高騰率よりアップするのだろうか?現人口の3割位いる年金受給者に恩恵はあるのか?さらには2010年くらいから国としては輸入超過が続いている。現状は値上げに収入が追い付いてない状況で厳しい生活感しか感じていないのではないか?今後の金利上昇にどれだけ収入が追い付いていけるのか。

景気は小売業に大きな影響を及ぼす。バブル期はボディコンやブランドファッションが好調で幅広い層にも好景気が伝わった。さて今回はどういう流れになるのだろうか?

現状の小売業の流れは、衣食住とも低価格路線になっている。ファションでは「ユニクロ」「しまむら」「西松屋」など、食では「ロピア」や「OK」など、住では「ニトリ」など比較的価格志向の強い企業が強い。モデレートなポジションだったイトーヨーカドーに代表されるGMSはほぼ終焉を迎えたし、そのゾーンで堅実なのは「アダストリア」くらいしか思いつかない。その「アダストリア」もIYやイズミと低価格帯を模索している。

ブランド人気は当然あり、インバウンド中心と言われているが、当然日本の金持ちはさらに含み益が増えているので、そのゾーンは絶好調と聞く。百貨店の外商は比率を上げているし、高級車も売れ続けている。大都市の百貨店はインバウンドもあり大きく数字を伸ばしている。

ファッションに関しては昔ほどこだわりを感じず、ブランド意識も下がっているように感じる。高給与と言われている会社の会社員も、とりあえずセレクトショップのオリジナル商品を買っているという流れで固執している感じはない。上場している「ユナイテッドアローズ」や「TSI」も伸びてはいない。気に入ったものがあれば買うという自然な買い方のようだ。

この2極化はここ数年続くと思う。低価格志向は同質化に向かう。そこからの差別化する方法を模索しなければいけない。商品なのかシステムなのか、売場などのハードなのか、売り方なのか、ここから差別化の糸口を見つけなければならない。

■今日のBGM

マルイとパルコ

実家に用事があって、そのまま大阪で少しぶらぶらした。(今回も飲んだだけのような気がする・・・)

旧正月も終わったのだが、インバウンド景気はすさまじい。特にミナミには人があふれていて、観光客が全体の7割くらいいそうな気がした。

そんな中で印象に残ったのが、マルイとパルコの存在感の違いだ。マルイもパルコも俗にいうファッションビルを代表する企業だった。私自身もビブレに在籍していたのでよく見させてもらった。DCブランドブームはマルイが引っ張ったし、もともと文化的要素が強くセレクトショップや専門店をうまく育てたのはパルコだった。

難波マルイは高島屋前が整備されて一等地になっている。ただ売場は雑居ビル化していて、空床も目立つ。フロアコンセプトもなく、催事出店が目立つ。立地や客数を考えればもっと成功すると思うし、何よりも昔の得意ゾーンで戦えば収益店舗になりうる可能性は大きい。「もうちょっと頑張れよ!」と思ってしまった。

マルイはもう小売業を完全に捨てている。収益基盤はカード事業が築いた金融業や、物流などその他の事業で賄っているのではないか?従来のファッションビルのマルイも不動産賃貸業としてのビルで、もうすでに小売業ではなくなっている。商業施設としてのコンセプトはどんどん薄れていて、場所貸しに徹している。以前グループのビルに出店していたことがあるが、店のショップMDという概念がどんどんなくなってきて、退店した経緯がある。

パルコは成功しているのではないか。オープン時はこのMDがいつまでもつかと思ったが、インバウンドもあり、さらに大丸との相乗効果がうまく作用している。「sacai」や「マルジェラ」「kolor」など難しそうなブランドも商売できてそうだし、入口の「ヒューマンメイド」は入場待ちの列もあった。飲食ゾーンや高層階の無印やハンズもうまく回っていそうだ。

都心百貨店は2館連動でうまく分けられているところが成功している。伊勢丹や梅田阪急のメンズ館。心斎橋パルコも大丸とうまくすみわけができている。でもやはり都心のみしか成功しそうにない。都心の一等地でも2館連動しないと厳しいのではないか?「ギンザシックス」も空床が多いし三越から少し離れるだけで厳しそうに見える。そういう意味では難波駅前で高島屋に近いマルイは戦えると思うのだが・・・

もうすでにファッションビルは都心でも成り立ちにくいようになっている。乗降客が多いターミナル型しか成功していない。やはり隣接して百貨店やデイリーニーズの店が必要になってくる。

ファッションビルと言われていた業態はもうなくなっているのかもしれない。

※友人の店が阿倍野キューズモールでリニュアルしたので行って来た。中に入っているイトーヨーカドーは全く元気がなかった。火曜の午前中という時間帯のせいかもしれないが食品に欠品が目立った。衣料品は売り尽くし中で売る気は見えない。アダストリアとの「ファウンドグッド」も入荷していて、売場に出てはいたが、什器や内装や人が変わらなければやはり魅力は感じない。雑貨系は売れそうだった。とりあえず売場に元気が出ないと厳しい。

■今日の逸品(アレンパの芋焼酎)

流れが悪い上場小売業

日経新聞には信用残高が発表される銘柄の売残と買残が公表されている。株をやらないので詳細は説明できないが、株価の変動が激しくなりそうな、リスク管理が必要な銘柄のようだ。小売業では、パレモ、シーズメン、ジーフット、アナップ、ライトオン、タカキュー、マックハウス、バロックなどが記載されている。株価が大幅にダウンしたワークマンも公表されている。タカキューとともにイオン系で債務超過のジーフットや厳しい決算が続くマックハウス、ライトオンなどが含まれており、厳しそうな会社が多い。

前回年末年始の数字を記したが、厳しそうな小売業の売上状況を見てみたい。

1月の数字はライトオン前年比97.6%、パレモ93,8%、タカキュー93.6%、マックハウス92.3%、シーズメン89.8%と前年割れの流れが続いている。全体的には好調な流れに見えた中で12月同様の前年割れの流れは続いている。

これをコロナ前2019年実績と比較する。(例によって既存前年比を毎年掛け合わせてみる。)数字をまとめた小売業で1月2019年比80%以下の会社は4社。ライトオン69.0%、シーズメン69.5%、タカキュー73.2%、パレモ78.3%。ライトオンの悪い流れは止められてない。ジーンズカジュアル系の悪化についてはよく書いているが、シーズメンも今はブランドが増えているが、もともとは店名「メソッド」でジーンズカジュアル系のショップだった。

ビレッジバンガードの流れも回復してこない。2019年比で12月は77.6%、1月が81.0%と一番ターゲット客層が動きそうな時期に上がってきていない。

数字の流れはなかなか止められない。企業のビジネスモデルを再度検証する必要がある。検証を重ねてビジネスモデルが間違ってないなら、現状の在庫を整理して、一度思い切った損失を計上し、再出発する決意が必要だと思う。

■今日のBGM

上場小売業の年末年始の数字

12月の数字については先月書いたので、1月の数字とあわせて最大量販期である年末年始の数字を見てみる。

1月の売上状況は、アダストリアが前年比114.7%、ABCマートが110.3%、ニトリ110%と2桁伸長しており、さらに主だった企業はほぼ前年はクリアしており堅調な流れだったようだ。12月84.6%と落としたユニクロも100.4%まで戻してきた。少し気になるのは12月91.0%、1月92.7%と2カ月大きく落とした無印良品。要因は冬物在庫の在庫不足とのコメントだった。

1月もコロナ前の数字と比較するために、2019年1月から既存店前年比を毎年掛け合わせてみた。(これが正しい数字ではないが、流れはつかめる。)その数字(コロナ前比)での伸長はABCマート113.7%、西松屋112.2%、ハニーズ111.2%が2桁増。しまむら109.6%、ニトリ108.2%アダストリア101.3%と続く。他はおおよそ90%台。まだまだコロナ前までの数字に戻っていない。ユニクロで97.2%。12月の動向とほぼ変わらないラインナップとなっている。

ABCマート、西松屋、ハニーズ、しまむら、ニトリと価格志向の強い会社が好調に推移しており、2極化を物語っているように感じる。まだまだ物価の上昇に所得が追い付いていないように感じる。

ちなみに価格志向と対極にいるだろうユナイテッドアローズは既存前年比が12月97.8%、1月102.8%と変化なく、コロナ前2019年比はそれぞれ86.9%、85.1%と全くコロナ前に追い付いていない。余談だがユナイテッドアローズのコメントに「マザーニーズが活性化した」というコメントがあり、時代の流れを感じた。

また別途取り上げたいが、厳しい企業の数字は改善していない。ライトオンはコロナ前比では69.0%、イオングループでなくなったタカキューは73.2%と大きく落ち込んでいる。

最後に出退店情報を見ていて、季節的に入れ替わりの時期ではあるが、退店の多さに驚いた。退店数はアダストリア14店、ユニクロ8店、ライトオン、チヨダ9店など。その分2.3月の出店は多いのだろうが少し気になった。

■今日のBGM

厳しい会社ほど在庫回転率は低い

タカキューが債務超過に陥り、イオングループが手を引きファンドの下で再建することになったことで少し思うことがある。債務超過とは会社の負債が資産総額を上回っている状態のことをいう。そうすると商品は資産になるので減らすことはできにくくなる。

タカキューの2023年決算の売上総利益率は59.9%であり、2024年度第3四半期まで売上総利益率は62.0%となっている。商品内容によって利益率は変わってくるが、ファッション事業として比べてみると、2023年度でアダストリア54.7%、ユニクロ51.9%であり、高い水準のように見える。

値段を下げて売上を上げたいが、値段を下げると利益も下がる。利益率も落としたくない。

さらに値段を下げて売ると当然のように在庫も減る。流動資産が減少する。その流れで回転率が下がっていくのではないか?タカキューの2023年の在庫回転率は年間2.46回転(月度0.21回転)となる。ちなみにアダストリアは年間5.00回転(月度0.42回転)となる。

(※棚卸資産の年度期首と年度期末を2で割って在庫を算出した。)

債務超過になっている上場アパレルにアナップがある。アナップの売上総利益率は53.2%で在庫回転率は3.39回転となる。トレンド性の強いヤングレディスターゲットしては低い。

厳しい流れが続く、共にジーンズ系上場企業のライトオンは利益率48.1%、回転率年間2.22回転(月度0.18回転)、マックハウスは利益率48.0%、回転率年間2.34回転(月度0.20回転)となっている。

商品の値段を下げると貸借対照表での資産が減少し、損益計算書上では利益が減少する。利益の減少が表面上は一番チェックされうる項目にはなる。タカキューもライトオンもマックハウスも月度回転率は0.2回転前後となっている。つまり約半年後に現金化できるということになる。商品支払いが手形ならいいが、現金支払いが主流になりつつある中で考えるとキャッシュインより支払いのほうが先になってしまう。つまりキャッシュがうまく回らない状況になる。

売れる商品は回転率も高いので、原価率の低い商品であれば利益率を上げることにつながる。逆に動きの悪い商品は値段を据え置けば利益率は変わらないがその分在庫負担になる。値段を下げれば当然利益率は下がる。

タカキューの60%近い利益は、原価率の低いスーツ業界にしても、売上げ低下を考えると高すぎる。さらに回転率も悪い。ジーンズ系2社も原価率は高い業種だが、あまりにも回転率が悪すぎる。

適正な在庫評価がどういう基準なのかそれぞれの会社が決めることなのだが、回転率を見れば市場評価との間に乖離があると思われる。市場評価での在庫額にすれば、大きな利益のマイナスが出てくるのではないかと疑ってしまうのだが・・・

■今日のBGM

もうナショナルチェーンはできないのではないか?

小売業界、ファッション業界に新しい風は今後吹くのだろうか?ローカルチェーンはナショナルチェーンになれるのだろうか。ユニクロは山口県宇部市、アダストリアは茨城県水戸市、ハニーズは福島県いわき市からスタートしている。

地方で成功している店はある。その店が全国にはなかなか波及できない。ブランドを販売してそれを軸にMDを組んでいる店が多く、エリア間のバッティングがあり、エリアを超えると思ったようなMDができないことが要因になる。ジーンズ老舗専門店発祥のセレクト店にこの傾向は強い。DCブランドブームの時も、大都市以外はFC店が主流でエリアごとにFCのオーナーがいた。アダストリアはジーンズ専門店がスタートだったし、ユニクロはVANショップをやっていたと聞く。

ナショナルチェーンへの転換の最大の要因はブランドMDから自主MDに方向転換することだと言える。

次のステップはナショナルチェーンとしてのビジネスモデルを確立できるかだと思う。ローカルチェーンはブランドMDが多いため接客重視で、プロパー販売をすることが基本になる。必然的に顧客管理をして、顧客の顔を見据えた仕入れが必要になる。ナショナルチェーンは当然客層の幅を広げ、組織を作り、管理面、商品面とも本部機能を充実する必要がある。商品は当然自主MDでセントラルバイングのウエイトが上がるし、それに伴い管理機能も万全を期す必要が出てくる。そして何よりもそれを推進する資金調達が必要になってくる。

商品原価を下げるためには、商品を作りこむ必要があり、利益率を上げるにはそのMD商品を売り込むことが必須になってくる。原価を下げるためには取引先との別注が必要で、その最低ロットは最低1型200~300は必要になってくる。さらに自社で作りこむにはそれ以上の数量で作りこまねばならない。ということはそれを売るべき場所、さらにはきちんと消化できる店が最低30店ちかくは必要になる。円安の影響で海外生産でも商品原価を下げにくい状況にもある。

さらに、SCも成熟期から衰退期の過渡期で、コロナ以降は特に賃料収入は維持していきたい方向にあり、将来を見越しての賃料優遇も考えにくい。スタッフの人件費も高騰が続いている。

株式上場を目指した岡山から出たストライプインターナショナルも赤字決算が続いているし、タカキューやライトオンなど上場企業でさえ厳しい数字になっている。ナショナルチェーンを目指すより、安定したローカルチェーンのほうが居心地いいかもしれない。

■今日のBGM

ティーンズの市場は難しいが・・・

ハニーズが最高益と日経記事にあった。ハニーズの売場にはあまり興味がなかったが、2~3年前、店を巡回しているとき、少し驚いたことがある。季節の変わり目(2/末か8/末?)だったと思うが、各ショップが商品残の処理に苦しんで売り場が乱れていたのだが、ハニーズだけがきちんと商品が入れ替わっていて新しい季節の売場になっていた。ティーンズのボリュームゾーンの店は売場内通路が明確でなく、売場に手が入りにくいのだが整然としていたので印象に残った。社内会議でも言った記憶がある。

ティーンズヤングのボリュームゾーンの品揃えは大変難しい。そのターゲットの専門店は、鈴屋、三愛、鈴丹(現パレモ)、リオチェーンなどが大手でティーンズ系は名古屋の鈴丹、リオチェーンが引っ張っていたと思う。ナショナルチェーンティーンズ系大手は、その他にハニーズやエルメなどがあった。一時は一番元気な市場だったと思う。鈴丹は一時年商1000億を超えたこともあった。

店で婦人衣料を管轄していた時、ティーンズ平場は非常に難しかった。流れがすぐ変化し、売れ筋の見極めと確保が難しい。なお、ブランド志向やテイスト志向、値段志向と求めるターゲットもばらばらで、当たれば大きいが、切り上げるタイミングが難しかった。

ハニーズの記事によるとミャンマーの自社工場がうまく稼働して、オリジナル商品がうまく回っているようだ。利益率も61,4%と非常に高い。在庫回転率も第2四半期末で計算すると月度0.47回転とまずまずの数字だ。(ただし前年より-0.06回転)

市場環境も後押ししているように感じる。一時のティーンズ専門店は規模を縮小してきており競合が減ってきている。新しい競合になりうるのはユニクロやGUだが、両ブランドともノンエイジでベーシックの流れで個性は強くない。

ただ一番感じるのは価格戦略だと思う。好調な流れの「しまむら」や「西松屋」の好調さと同様の動きとも感じる。「しまむら」や「西松屋」とも客層はかぶるところもあり、お客様の買い分けもあるのではないか。値段志向のお客様をつかんでいるように感じる。出店しているのはフル感性のお客様が多いSCだと思うし、必ずしもティーンズヤングだけの買い上げ客ではないと思う。

高い利益率を続けるか、客層の幅を広げてフル感性ターゲットの店に変えるかが今後の企業戦略になっていく。現状の売場ではイオンモールやららぽーとではいい場所での出店の機会は厳しいと思う。新業態を考えて大型化していくか、RSCよりNSCへの出店を加速させるかが出店戦略の課題にもなる。さらに商品量と価格戦略も大きな成功のポイントだと思うが、今後この利益率が継続できるかどうか、MDのかじ取り(価格と利益のバランス)も非常に重要になってくる。

今後の動き方に注目したい。

■今日のBGM

アウトレットは完全に飽和状態

千歳アウトレットモール「レラ」が終了する方針とのニュースがあった。昨年末には福岡の「マリノアシティ」も建て替えの検討に入ったとのニュースがあり、昨年6月には「八ヶ岳リゾートアウトレット」が閉鎖された。三菱地所の「プレミアムアウトレット」、三井不動産の「アウトレットパーク」に続いて大手イオンが「ジアウトレット」として参入した北広島、北九州も空床が目立ち、厳しい状況が伝えられている。

以前も書いたと思うが、PM会社にいた時、当時のチェルシージャパン(現三菱地所・サイモン株式会社)に開発の話をしたとき(千歳レラだったような気もする)「日本にはアウトレットが成功する場所はそれほど多くない。」と言われた。現在アウトレットは「プレミアムアウトレット」が10か所、「アウトレットパーク」が13か所「ジアウトレット」3か所と大手だけでも26か所もある。

そもそもアウトレットは各小売業、各ブランドの在庫過多商品を売り切る場所で、掘り出し物的商品や売り切ってしまいたい商品の値段を下げてなくしていく場所だった。

小売業は当然利益を追求する。商品をだぶつかせて、その商品の値段を下げれば利益率が下がっていく。利益を追求するには、売れる商品を売れる量作るのが基本になってくる。つまりアウトレットに回す売れない商品が多ければ、会社の利益は下がっていくし、当然プロパー店(一般店?)の売上も下がっているということになる。だが、売れ残り商品が多くないとアウトレットの商売は成り立たない。売り上げが悪いと言われている会社もある。ただアウトレットに商品を移して売ることによって、利益率が下がるリスクも出てくる。近年は利益率を優先する会社が増えてきている。

一般的には好調企業は、アウトレットに流れる商品は少なく、不振企業はアウトレットに移して値段を大きく下げるには、利益が下がるリスクを伴う。

その一方でアウトレットモールは増えてくる。そうなれば当然商品の魅力度が下がってくる。大手セレクトではアウトレット用のブランドを作って売り上げを上げ、さらに利益率の低下も防いでいる。ただ、もうすでにそれをお客様は見抜いている。さらにプレミアムブランドは出店しないか立地を選ぶ。つまり魅力的なショップが減ってきている。アウトレットモールの乱立は魅力をどんどん下げている。

今後は、間違いなく淘汰が始まる。もしくは門真のららぽーとで応急的に始めたRSCへのフロア単位での出店が出てくるのではないか。(門真は鶴見アウトレットの受け皿としてのリーシングがもたらした。)さらに最低限SMは併設しなければSCとして成り立たなくなるかもしれない。

ますますアウトレットモールのショップMDやアウトレット商品に魅力はなくなっていくと思う。

■今日のBGM

「これでいい」より「これがいい」

「潮目が変わった。」とパルグループ井上会長の第3四半期について語ったようだ。その中で標記の言葉を述べている。この言葉は無印良品の概念である「これがいいよりこれでいい」を念頭にした言葉のようでもある。

このブログではあまりパルグループのことは書いてこなかったが、多種にわたったファッションを個性を尊重しつつまとめている企業で、非常に好感を持っている。もともとはジーンズショップからのスタートで、アダストリアと生い立ちは似ているようだが、個性的な店が多い。残念ながら接点はなかったが、よく店は見ていた。セレクトショップブームの時も、それ以前から「ギャラルダギャランテ」や「ルイス」をしっかりやっていたし、「チャオパニック」も大きく成長した。「アレグロビバーチェ」もパルだったと思う。現状では「スリーコインズ」がただの均一ショップでない商品構成で引っ張ってきている。おそらく「チャオパニック」と「スリーコインズ」で会社を引っ張っていると思うが個々のブランドの状況は見えてこないのが実情だ。去年の決算数字を見ても「スリーコインズ」中心の雑貨事業が大きく伸びていて、商品回転率も前期末数字では年5.9回転と雑貨事業に引っ張られて高回転になっている。

無印良品を指していったと思われる標記の言葉は「スリーコインズ」についての言葉ではないかと思う。均一ショップの中では、ただ安いだけでなく個性が際立っているように思える。多発する均一ショップの中では「これがいい」店だとは思う。

ネットでパルグループのショップブランドを見ると中心になっているのは「スリーコインズ」とSC向けの「チャオパニックTYPY」「ナイスクラップ」くらいのような気がする。

ファッション分野ではまだ流れはつかめてそうにない。ショップブランド別の数字がないので詳しく把握はできないが・・・あまりとんがっていないアダストリアと比べると角がある感じのラインナップだ。この会社の個性だとは思うが・・・

そこがいいところでもあり、ウィークポイントにもなる。

「スリーコインズ」に関して言えば競合と比べると「これでいい」より「ここがいい」だが大きな意味で現状の客層はまだまだ「ここがいい」より「これでいい」だと思う。

次の日の新聞に「無印良品も過去最高収益」の記事があった・・・

■今日のBGM(名曲が多い)

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