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もうファッションに目は向けられていない

年末年始に、イオンモールやららぽーとに買物に行った。完全に流れは「食」の方に向かっている。年末はそのイメージが以前から強いが、バーゲンが始まってもファッションのパワーは感じられない。

衣料関連は例月通り「ユニクロ」「GU」が中心であり、集客が多いのはそれに加えて「無印良品」くらいに見える。郊外モール(RSC)は年代層も高いのでその傾向は強いのかもしれない。「ユニクロ」は大型売場であれだけセールムードが出ていれば集客は多くなる。売れてない商品をきちんと値段を下げて販売しているのが、お客様にもわかる。「商品は売れなくなってきたら、早くなくして金に換える」という商売の基本通りだ。それをお客様は敏感に感じている。「ZARA」も同様だ。従来の「バーゲン迄プロパーで売って、バーゲンでなくす」という売り方は、もうどの店もしていない。そして上場企業の出店が増え、利益を考えたバーゲンになってきており、「お買い得感」が少ない。昔のバーゲンは前日まで売っていた商品の値段が半額になったので、初日から並んで買いに来ていた。もうそのムードは全くない。逆に、バーゲン以外の日でも毎日全品二重価格(セール商品)の店もある。ちなみに、二重価格の「8週間ルール」は誰かチェックしているのだろうか?

ららぽーと冨士見は売上545億で、ららぽーとの中で売り上げはNo3のモールとなっている。年間300億以上が大型モールと言われているが、テナントから見れば超優良物件になる。その優良物件で大型区画のアバクロの「ホリスター」とパルグループの「コロニー2139」2区画が撤退する。「コロニー2139」は2階中央の吹き抜けの片側中央で、正面に「ZARA(メンズ)」がある。「ホリスター」は2階中央の大型区画で「GU」「ZARA(レディス)」の並びの絶好の区画になる。ららぽーと冨士見は2階をメインフロアに設定しているだろうテナントゾーニングで、ユナイテッドアローズの「ビューティ&ユース」や「グリーンレーベル」ベイクルーズの「イエナ」「417エディフィス」などセレクト系ショップも並んでいる。つまり、2つの大型区画の退店はメインフロア中央の絶好の区画の退店ということになる。この2店舗はトレンドダウンしているブランドかもしれないが、後継テナント次第ではフロアイメージが弱まってくる。そして、逆に「ヤオコー」やフードコートを核とした生活感のある1階の集客が大きくなっているように見える。今は、冬休み期間ということもあり、その印象が強い。

ファッション関連のバーゲンは、先に書いたが、値段の価値観が見えにくくなっている。昔と違って、商品の価値観が個人ごと違っているということもある。セレクトショップの品揃えの中で面白い商品もあったが、10%~30%オフでは食指は動かない。最終的には大きな割引率を避け、都心型の店に集約して売り切るのだろうと思う。現状、優良モールに出店できるのは、賃料や内装コストも高くなり、それに対応できる大企業中心になりつつある。当然、利益着地を考えたセール展開になる。「ユニクロのように売れない商品は、なくしてしまう」という意識は低い。そうなると俗にいう「掘り出し物」も少なくなり、ますますファッションへ興味を持つ客層は減ってくる。デベロッパーとして、各テナントとバーゲンの展開方法の話し合いも必要だと思う。ちょっと話の方向は変わるが、バーゲンになると突然セール商品が入荷する店や高額商品の割引率が小さい店より、昨日まで1900円で売っていたカットソーが1290円になったことが実感できる「ユニクロ」の方が信頼度は高い。衣料品はその日に売り逃してもいいが、食品売場は夕方には商品をなくすために店頭の値段をすぐに下げていく。バーゲン時期は特に、そういったわかりやすい商売の方が現実的だと思う。

ただ、実用的な商品ばかりでは大きな商業施設は成り立たない。手に届く憧れのファッションの提案も大型SCの使命だと思う。もう少し、商業施設としての問題点や意思を大手のファッション系のテナントと共有し、解決策を提案すべきではないだろうか?そして、大手ファッション系企業も大型モールでの成功なくして企業の伸長はないことを自覚すべきだとも思う。

■今日のBGM

正月営業自粛は後ろ向きな戦略ではないか?

正月営業しない小売業が増えている。大手百貨店の三越伊勢丹、高島屋など、スーパーのライフ、サミット、ヤオコーなど個店対応はあるが、基本としては正月三が日休業であり、コンビニでもローソンではFCオーナーの意向で休業店舗もあるという。大きな要因は人手不足への労働環境の対応に尽きる。「働き方改革」を進めて、従業員の満足度を高める狙いらしい。

世の中の流れだし、多くの小売企業が正月休みや休日増などに向かっているが、あえて、反論する 

小売業の稼ぎ時は、当然土日休日になる。売上比率は高く、過去経験ある量販店や専門店では、おそらく正月3が日で年間売上の2%以上の構成比はあった。では、その売上に対して休日に変更した利益減をどこでカバーするのだろうか?年間予算にそのマイナス分を入れて数字計画を作っているのか?「3が日休んだので数字は未達でした」という言い訳は通じるのか?(間違いなく通用しない)。「働き方改革」による売上減でも株式市場は受け入れるのか?

「土日休日が仕事だから、スタッフが集まらない」という理由だが、小売業以外の一般企業に人は集まっているのだろうか?競争率が高いのは上場企業などに限られてくるし、そこで仕事するには当然スキルが必要になってくる。思い通りの仕事には簡単には従事できない。数年前、総裁選で小泉進次郎氏が会社を辞めやすくして、どんどん希望の会社に転職すればいいと言っていたが、それはそんな簡単なことではない。

企業は収益を計上することで、存続するし、そのために努力する。小売業は一般人の「オフタイム」に集客して商売をすることで収益を確保している。集客できる日をわざわざ見逃して、セールスチャンスを逃すことが正しいことなのだろうか?

労働環境を変え、要員を確保することが目的のようだが、小売業として企業の「働き方改革」をしているのだろうか?昔、小売業の本部も、定休日は店と同様平日だったように思う。それがいつの間にか、「店」と「本部」の働き方が変わってきている。小さなことかもしれないが、繁忙期には「本部」が「店」の要員になるべきだし、休日体系も同じにするべきではないかと思う。「本部」の人間が「店」の現場でフォローすることでプラス要素は大きい。評論家になっている「本部」は必要ない。高そうなスーツを着ている百貨店の社長には、現場の匂いは全く出てこない。

さらに、小売業は成果主義を徹底する必要がある。勤務するセグメントが小さければ小さいほど、仕事が数値に連動してくる。その数値を上司が適切に評価し、その評価に準じて給料と連動させることによって、仕事への満足感が上がってくる。その適切なジャッジは難しいが「相対評価」より「絶対評価」をしていくべきだと思う。管理職を目指さず「絶対評価」のポジションで居続けるスタッフがいてもいい。企業が大きくなるとどうしても、評価に差が出てこなくなっているように思う。もっと小売業を前向きな職業と見せることの方が大事な気がする。

働き方改革で正月営業をやめていくという後ろ向きの戦略より、売上を上げる手段を全員で考えて、前向きに取り組もうという企業は出てこないのだろうか?個人的には、昔、正月出勤で元旦、二日各々1万円もらった時のモチベーションは上がった。

最後に、内向きなことばかり書いたが、小売業は「お客様のためになること」「お客様が喜ぶこと」を優先するということを忘れてはいけないのではないだろうか。

■今日のショット(元旦 荒川河川敷から)

来年は中小小売業がどんどん厳しくなる

年末年始であわただしくなり、小売業にとっては最量販期を迎えている。会社をやっている時は、元旦の売上が年間売上の1%と読んでいた時代もあった。近年は労働環境の変化もあり、元旦営業しない商業施設も増えている。スーパー大手のヤオコーは正月3が日が定休日になる。労働環境の改善もあるが、この流れに中小小売業はついていけるのだろうか?

ファッション関連の中小小売業は、厳しい流れが続いている。おそらくこの流れは変わらない。ここ数年、上場している大企業でも売上の低迷により、M&Aが増えてきている。さらにファンド系企業の支援を受けて再生を図っている企業も多い。ただ、「ANAP」や「メソッド(シーズメン)」など従来の継続事業であるべき小売業の数字が低迷を続けているケースが多い。友人の経営している会社も、譲渡や廃業となった例が増えてきた。特に多店舗展開している企業が苦しくなってきている。

まず、価格志向が強まる中、柔軟な価格対応ができる品揃えを簡単にはできない。30店舗くらいの規模の会社でも、会社主導で売れる商品を継続して作っていけない。企業商品を作るのに中途半端な店舗数かもしれない。その商品も取引先と「相乗り」的な商品が多く、売上利益ともに貢献度は低い。逆に売れないとリスク要因になってくる。さらに「買い」の商品だけでは差別化も図れず、利益率も上げていけない。

規模拡大は成長するための第一条件になるが、どんどん出店コストも増大していく。内装コストも素材高騰で大きく上昇しており、デベロッパーへの出店経費も上がっている。SCのテナントリーシングも変化がなく、大手テナント中心の同じようなラインアップになっており、それ以外のスペースは賃料優先になっている。そのため、前向きなテナント出店には大きなリスクが伴うようになってきている。その環境下で出店に対して消極的になり、多店舗化のスピードが上がってこない。多店舗化が遅れると、当然チェーンメリットはなくなり収益の改善も進まない。

そして、スタッフが集まらない。給与面はもとより、正月定休の事例のように大企業との労働環境の違いはどんどん大きくなる。これだけ「待遇」のことがマスコミで流れれば、「やりがい」や「仕事の面白さ」よりもそちらが優先される。もとより「土日勤務で立ち仕事」という小売業には、労働力は集まってこない。

先日、西松屋が業績予測を修正していた。売り上げダウンとともに営業利益の大幅ダウンを発表した。IRでは「販売費、一般管理費は計画内で推移の見込みも、衣料品の滞留在庫を前倒しで処分したことで値下げロスが増加する見込み」となっている。これにより売上総利益率は2%以上のダウンになる。この発表は会社経営のミスではあるが、企業の正常な体質を感じるし、企業の度量の大きさも感じる。在庫評価のミスは隠そうと思えば隠せる。特に小売業は隠しているだろう企業は多い。さらに業績が悪化している企業は、在庫評価で調整している決算を多く見る。中小小売業であればなおさらだ。

いよいよ、中小小売業は首が回らなくなってきている。来年は、倒産、廃業、M&Aがどんどん増えていく。今後、中小小売業は、地域に数店舗あるセレクトショップのような固定客をターゲットにする店以外は残らない。

■今日のBGM(大晦日に)

20年後の小売業の予測をしてみる 

今月シニアマーケットについて簡単にブログをまとめたが、20年後の小売業は大変な状況が予測される。データを見ていて改めて痛感した。

30年前(1995年)日本の平均年齢は39.5歳だった。現在は約49.5歳まで上がってきている。20年後には約54歳になるという。そして70歳以上の人口構成比は現状の23.5%から30%まで上昇する。さらに人口減も進み、現状1億2千万人強の人口も20年後には1億人前後まで減少すると言われている。そして地方の人口流出は進み、都市部に人口が集まり大都市圏と地方の格差が広がる。現状人口集中している東京圏の高齢者人口増加率も、全国平均を上回ると予測されている。特に20才から39才の女性人口の減少が著しくなっていくようだ。

現状の社会状況は、円安ドル高傾向は変わらず、物価上昇が続き、一部の富裕層以外の可処分所得は上がってこない。いろんな報道もあるが、このまま高齢化が進んでいくと、社会保障料がどんどん膨らみ、若年層の高齢者への負担は間違いなく大きくなる

単純にこのデータを見るだけでも、いくらでも勝手な予測は成り立つ。

商業施設はどうなっていくのか?上記したように、地方から大都市への人口流出が増えていく。さらに高齢者の増加と若年層の負担増で、需要はデイリーで生活感ある商材に変化していく。(今もその傾向が増えている)そして車の技術進歩はあると思うが、高齢者増で車利用での買い物客は間違いなく減少する。つまり生活範囲は狭まることが予想される。また交通手段として鉄道が見直されれば、再度駅前志向は強くなるかもしれない。そうなれば、地方郊外立地の大型モール(RSC)は当然淘汰されていく。客数減、高齢化、車客の減ではそのメリットを生かせない。逆に狭商圏型のネバーフットSC(NSC)やコミュニティSC(CSC)も再浮上するかもしれない。(イトーヨーカドーの戦略通り)

ファッションはどうなっていくか?高齢化や若年層の税負担増の影響で、「安さ」やポイント戦略のような「お得感」の打ち出しが一番のキーワードになってくる。必然的に年代を問わない大型売場へお客様は流れていく。そして現状、小売業もSPA(製造小売業)が中心になりつつあり、それができる企業規模や企業力が必要とされる。さらに国内市場の大幅減に対応して、海外戦略を強化する企業しか残っていかない。「ユニクロ」や「無印良品」の企業としての方向性は理にかなっているといえる。

食品関連は、今後さらに価格志向は続く。ただ高齢化に伴い、支出のほとんどが食品という客層も増える。そのため食へのこだわりを持つ客層は、衣料へのこだわりを持つ客層よりは多くなってくると思う。食を含めたデイリー商品は企業力で浮き沈みがはっきりする。さらに現在も進めているテクノロジーの導入で無人化、省力化は進んでいく。また、アナログではあるが、宅配や移動販売も増えてくる。

最後に、高齢化に伴い、今後はさらにネット販売依存は高まってくる。販売方法も大きく変化することが予測され、無人店舗や作業の自動化なども進んでいく。

簡単に書き並べてみたが、次の世代の小売業にはなかなか足を踏み入れることはできない。昔からやってきた「好きな商品を売りたい」や「気持ちの入った接客」で成り立つのはマイナーな客層だけで、それが商売になるのかどうかも分からない。そして、次世代の小売業に足を踏み入れるには「気持ち」より「大きな資金」が伴ってきそうだ。

■今日のBGM

どんどん厳しくなるシニア市場

「この店は、売れているし、これからも売れるよ。」1990年前後だと思うが、いつも鋭い指摘をしてくれた商品部の先輩が、マーケットリサーチをしている時に教えてくれた。そして「ちなみに店名はイタリア語で一方通行の意味だ」。そういうことがあり「センソユニコ」は非常に印象に残っている。当時は、レディスシニア層(ミセス)の専門店も仕事の範疇であったが、「センソユニコ」とは仕事では絡んだことはない。

「センソユニコ」を展開していたマツオインターナショナル㈱が会社更生法の適用の申請をし、㈱バルコスの支援を受けるべく基本合意書を締結している。

ミセス市場は大きく変化している。そのターゲットが大きい売上を占める企業の売上数値は大きくダウンしている。「ルイシャンタン」「コルディア」などを展開していた(株)ワールドは2012年3299億の売上が2025年には2257億と68.1%になり、「ルイジョネ」などを展開していたイトキン(株)は2015年952億の売上が2025年には318億になっている。さらに「ピノーレ」などを展開していた㈱キングも2012年137億の売上が2025年は82億まで減少している。専門店でも2009年伊藤忠の傘下に入った㈱レリアンも564億の売上が2025年には251億まで落ちてきている。一世代を築いたミセスマーケットは、この20年で半分くらいまで小さくなっている。

ミセスマーケットの落ち込みは、顧客管理手法の変化も大きな要因だと思っている。従来は、細かな固定客管理で安定した売上を確保していた。やり手の店長がいなくなると売上は大きく落ち込むと言われていた。それが2003年の個人情報保護法以来、顧客管理が厳しくなり、従来のミセスブランドやミセスショップのマネジメント手法が崩れていった。

高齢化が進んでいる中、その市場は過去と大きく変化している。いろんなファッションの流れを経験した世代がミセス層に突入し、多様化が顕著になっている。そして、その層はまだまだトレンドを意識したエイジレスなファッションへのニーズも強い。さらにカジュアル化の流れも大きい。百貨店のゾーニングも昔のようなミセスブランドのゾーニングはなくなってきている。「センソユニコ」が出店している日本橋三越別館4階の競合ブランドも「45RPM」「ワイズ」「シビラ」「プランテーション」「タオ(ギャルソン)「ケイハヤマ(ハッカデザイナー)」など昔のゾーニングの面影はない。つまり「ニーズの多様化」が進んでいる。そんな中、地方百貨店は消えていき、地方での従来のミセス層もどんどん減ってきている。

最近のデータで、60歳以上の女性の約38%、70歳以上は約20%が月1度はネットで衣料品を買っていると発表されている。今回の㈱バルコスのマツオインターナショナル㈱の支援もネット客へのアプローチを強化する狙いが大きい。さらに、変わったデータでは、2022年の日経クロストレンド調査で、可処分所得の高い「リッチシニア層」の好むブランドの1位はユニクロとなっている。つまり値頃感、カジュアル化がミセス市場に浸透し、ファッションのボーダーレス化も進んでいる。

「年金」と「金融資産」のみで生活するシニア層が増加し、人口比率も高まるが、そのファッションのマーケット規模は縮小し複雑になっていく。ただ、この層を拾わないと企業の存続もなくなる。

■今日のBGM

大型モールの寿命 4

大型モール(RSC)のリーシングについて、今後やっていくべきことを書こうと思っていたのだが、全く文章が続かない。現状の環境下では、新しい個性あるテナントのリーシングは非常に難しい。RSCはもう行き詰っているのかなと思う。

現状RSCでは今までのGMS(総合スーパー)の役割のウエイトが上がってきたのではないだろうか。つまり、生活必需品を買いに行くのが大きな目的になってきていると感じる。そして、もともとGMSの取扱い業種が自主売場からテナントに取って代わっただけという風にも考えられる。食品は自営もしくは大型テナント、衣料品は「ユニクロ」に、雑貨が「無印良品」に、その他は大型カテゴリーである「住居品」「家電」のテナントに変わっていっている。昔はGMSが1社で構成していたのを各カテゴリーの強者での集積に変わったというだけのことだ。つまり現状のGMSに食品以外の売場は必要なくなっている。特にイオンモールはGMSが必要ないということに早く気が付くべきだ。余談だがイトーヨーカドーが「GMSをCSC(コミュニティSC)に変革する」といったのはこれを指している。

そしてRSCの専門店ゾーンは、過去GMSの専門店に加えて、グレード感を持ったテナントや個性を打ち出した専門店を導入していった。これは地方駅前にあった百貨店やファッションビルが移設されたと考えればわかりやすい。そのため地方駅前商業の窮状化は進んでいった。ただ現状そのテナントラインアップ、取引先に大きな変化はない。

そういう中で、RSCが生まれた1990年代からの中心客層に大きな変化が出てきた。年齢別人口構成が大きく変化している。以前書いたが、国内の人口は30年前と比べると98.1%と微減だが、60歳以上は181.5%と大幅に増加しており、人口構成比は19.3%から35.4%となっている。高齢化は顕著で、おのずと個性化された商品より生活必需品への消費は増えていく。

そうなると、差別化ができるテナントへのリーシングが非常に難しくなっている。大型カテゴリーのテナント導入を優先するあまり、適切な環境へのリーシングが難しくなり、さらに賃料面も優遇できなくなってきている。つまり大型区画、低賃料でのカテゴリー導入のひずみが出てくる。差別化できるテナントは、高年齢化が進む中、中心ターゲット層が減少しており、よりマイナー化が進んできている。ただそのテナントがあるだけでそのSCのテナントへの評価は上がり、SCの価値も上がってくる。そして、そういうテナントはどんどんRSCから消えていっている。

現実的な目でRSCを見てみると、ららぽーとは大都市圏での出店が多く、地方百貨店化しているように見える。トレンドへの取り組みも随所に見られる。その反面、立地的に大都市周辺でしか成り立たないのではないかとも思っている。つまり出店立地が限られてくる。

イオンモールはGMSを続ける限り、RSCではなく大型SCとしての位置づけになる。現状も規模の大小以外、各SCのテナント揃えはほとんど変わらない。さらに商圏の重なりが多く、大きなGMSとしてのニーズになり、自社間での競合となっている。小売業を生業としてきたイオンの社長が「これまでデベロッパーやドラッグストア、総合金融業で得た利益を小売りが相殺してきた」と言っている。もうそろそろGMSに見切りをつける時期だと思う。

そうこう言っているうちに、RSCも衰退期に入ってしまっている。

■今日のBGM

アウトレットモールと大型モールのダウントレンド要因

また話を蒸し返すようだけど、アウトレットモールにある、特にセレクトショップについて考えてみたい。「ユナイテッドアローズ(以下UA)」や「ビームス」のアウトレットは大手アウトレットモールにはほぼすべて出店している。店舗数は、全国でUAが30店、ビームスが20店舗、ベイクルーズは38店舗となっている。店舗数は少ないがトゥモローランド等も加えると相当な店舗数になっている。当然、純粋なアウトレット(売れ残り)商品であればこんなに店は出せないし、もしそうなら企業として利益はなくなる。つまり、アウトレット用に利益率を考えた廉価ブランドを作って売っているのが実情になる。

「グッチ」や「プラダ」などのプレミアムブランドはブランド価値を維持する必要もあり、アウトレットでの店舗数は大きくは増やせない。「どこかに出店するなら、どこかを退店する」という状況になっている。そうなると、アウトレットモールとしても看板ブランドを誘致する必要があるので、看板ブランドとして国内メジャーなセレクトショップのアウトレットを誘致している。その売り上げが好調なことから、店舗数がどんどん増えていく状況にある。

当然、それにはお客様も気がついている。アウトレットに行って、プレミアムブランドは「見るだけ」のお客様は多い。セレクトショップの名前で買えれば、それがアウトレット商品でなくても満足感はある。ただ、逆にそういう店舗が増え、その購買客層が増えてくれば、プレミアムブランドのプラス要素にはならない。そしてその結果、モールの価値観を上げるだけの「見せ筋」になったプレミアムブランドは退店していく。そして少なくなっていたとはいえ、プレミアムブランドを買っていた客層がいなくなり、普通のショッピングモールになっていきつつある。

アウトレットのパワーダウンと大型モール(RSC)のパワーダウンは同じ要因になっている。RSCはSM(スーパーマーケット)も併設しており、生活必需品の買物目的が多い。従来のGMSも同じだった。その大きな違いはテナントの圧倒的な数やカテゴリーの多さになる。ただ近年は、RSCの物件数が増え、都心近郊では車30Km圏に多数のRSCが乱立している。現状のRSCは「SM(GMS)+ユニクロ+無印良品+カテゴリー(家電など)+α」が成功パターンになっており、標準化されてきている。つまり、テナントのラインナップが類似してきており、それにより「わざわざ感」がなくなり、狭商圏化の傾向が強くなってきている。

RSCの売上規模を見ていると、イオンモールよりもららぽーとの施設売上が大きい。ららぽーとはSC数も少ないが、その違いはGMSがないことと、そのためテナント数が多く、さらにイオン系にないプレミアム感あるテナントが多いことがあげられる。例えばビームスの「ビーミング」、ジャーナルの「レリューム」「417エディフィス」「ジョイントワークス」などRSCへの実験的な取り組みでの出店もみられる。そして、GMSがないことを、客層ターゲットの広がりでプラスに展開している。近年のイオンモールは、レイクタウンのような大型化されたSC以外ほぼテナントのラインアップは同じで、「わざわざ感」がなくなっている。

つまり、アウトレットモールもRSCも「わざわざ」行くテナントがどんどんなくなっており、テナントリーシングが標準化され、それにより狭商圏化している。顧客ニーズのピラミッドのトップにある「プレミアム要素」や「トレンド要素」を持つテナントのリーシングは非常に難しい。賃料設定や出店エリア、ゾーニングに細かいチェックが入る。ただ、そのターゲットが削られれば、どこにでもある標準化されたSCになってしまう。

もうすでに、アウトレットモールもRSCもそういう流れになってしまっている。

■今日のBGM

ヤングターゲットの商業ビルは成り立たない

マイカル在籍時、最後はビブレで仕事をしていた。ビブレは、DCブランド全盛期の大型商業施設では、マルイ、パルコと並んでヤングターゲットのファッションビルとしての位置づけにあった。ビブレの営業を統括している時、店舗数は23あったと記憶する。その当時は試行錯誤を続けていて食品併設で百貨店志向の店もあった。その後イオンに吸収され、現存するのは横浜と明石の2店だけになっている。明石は食品併設型で「無印良品」と「ユニクロ」がある成功パターンのデベロッパーで横浜は広い意味でのヤングターゲットのビルではある。

マルイはモディ含めて現在は27店舗ある。食品併設のフルライン型店舗や、都心のネット型?店舗もあり、従来のファッションビル型店舗は有楽町くらいとなっている。北千住や他2.3店舗での百貨店型店舗があるが、基幹店だった新宿店も含めて催事面積が増えており、失礼ながら小売デベロッパーとしては、力を入れていないように見える。企業として、小売業よりエポスカードやムービングなど他事業へ力点が変化しているのではないだろうか。

先日、静岡パルコが来年1月閉店すると発表された。それを除くとパルコは14店舗となる。見たことがない店舗はひばりが丘くらいだが、パルコは全店舗ほぼきちんとテナントリーシングできている。浦和や調布のように食品ニーズ顧客へのリーシングもあるが、大都市では従来のファッション提案中心の商業ビルとなっている。おそらく昔からのファッションビルとしての流れを守っているのはパルコのみのように見える。

もうすでに、地方ではファッションビルは完全に成り立たなくなっている。東京都下と100万都市以外で成り立っているファッションビルは、静岡パルコ閉店で、あとは金沢フォーラスくらいになった。

ヤングターゲットを取り巻く商環境は、どんどん厳しくなっている、ターゲット年齢を15才~35才と捉えると、ターゲット人口は1990年に34058(千人)、2010年28430、2024年24631と減少しており、2024年は1990年比で72.3%となっている。さらにその年代の人口構成比も27.6%から19.9%と大きくダウンしている。そして15才~39才の都道府県の転入出では東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)、愛知、大阪、福岡を除き全国的に転出超過となっている。つまり俗にいうヤング層はどんどん人口が減ってきており、さらにその人口減に加えて東京、大阪、名古屋、福岡の大都市圏に移動している。それにより、その他の地域のヤングターゲット客層は大幅に減っているということになる。

さらに、大都市圏であってもファッションのみの提案では当然成り立たっていない。飲食はもとより、バラエティ雑貨やキャラクターグッズ関連、古着などターゲットを幅広くしている。好調な業績の心斎橋パルコではインターナショナルなブランドからポップカルチャー、「無印良品」や「ハンズ」、さらにはシネマや大阪らしい食堂街までうまくまとめて構成されている。ただ、御堂筋をはさんだ「心斎橋オーパ」は来春閉店と発表されており、好立地になった「なんばマルイ」は空床が目立ち催事店舗も多い。つまり大都市圏でも細かく手を加えないと完全に淘汰されていっている。

なぜだか、静岡パルコの撤退報道は、心に響いた。昔の商売が終わりを告げられたような気がした。うまく書けないが、地方都市ではファッションは根付かないのか?ファッションの商売も郊外モールで戦うしかないのか?・・・

もう、今の時代では個人でファッション関連の商売はできない環境になっている。

■今日のBGM

関東のダイエーはなくなる

散歩をしていて見つけたのだが、1駅隣にあるダイエーの店頭に大きく「2026年1月31日完全閉店」と掲示されていた。確かに古く厳しそうな店だったので、改装してマックスバリュにでもなるのかと思って通り過ぎていた。ネットを見るとダイエーの閉店が続くらしい。

少し調べると、関東のダイエー事業を「マックスバリュ関東」に経営統合すると発表されている。これにより、イオン傘下の株式会社ダイエーは関西のSM(スーパーマーケット)及びGMS(量販店)事業のみとなる。関東の大型店だった市川コルトンプラザ店もイオンスタイルになり、ほぼ大型店はイオンに移管されている。今後の関東のダイエー事業はSM事業のみとなっていくようだ。

イオン傘下になったダイエーは優遇されていた感はある。同じく傘下になったマイカルは比較的大型店が多かったせいか、迅速にイオンに代わっていき、名前が消えていった。GMS事業の整理ができつつあり、さらに建物の老朽化もある関東エリアのダイエーはSM事業として再編されることになる。おそらく近畿地方のダイエーも同じ流れになることが予測され、GMSはイオン名での「SM+テナント」化、もしくは「そよら」型のCSCへの移行が考えられる。おそらくSMの店名も「マックスバリュ」に変更になり、ダイエーの名前も消えていくことになりそうだ。

昔のことになるが、ニチイ(マイカル)に入社した時、GMSでは当然「ダイエー」が業界No1で、次いで「イトーヨーカドー」、「西友」、「ジャスコ」、「ニチイ」の順だったと思う。その中でも「ダイエー」と「イトーヨーカドー」が別格扱いでそれ以下の3社はほぼ似たような状況だった。規模感では「ダイエー」で、一番企業力の評価が高かったのが「イトーヨーカドー」だった。現在では、転換期にモール事業を見出し、さらに事業の多角化を成功させた「イオン(ジャスコ)」のみ生き残っており、「ダイエー」と「マイカル」などを傘下に収め巨大企業となっている。

マイカル在籍時、最後はビブレにいたのであまりGMSを見る機会はなかったが、マイカル退社後、コンサルとしてイトーヨーカドーとは「アリオの立ち上げ」、ダイエーとは「再建コンサル(会長が現横浜市長時代)」、西友とは「リビン再生案」でかかわった思い出がある。その当時はもうGMSの衰退期であり、迅速に事案が進まなかった記憶がある。現役(店長)時代に競合として相対したのは「イトーヨーカドー」のみで食品は完敗だった記憶がある。

GMSについては、何度か書いているが、ほぼ崩壊している。無理してイオンは続けているが、売り上げは大きいものの収益は安定せず、存続はイオンの大きな課題になっていると感じる。

最後に勝手ながら、GMS大手5社の個人的な印象を簡単に書いてみる。

ダイエー・・・小売業の変革をした企業でカリスマ(中内氏)についていけなかった。値段打ち出しの「主婦の店」が印象的。多角化しすぎて本業に手が入らなかった。駅前の自社物件に集中し資金繰りも厳しくなり、郊外大型化の流れにも乗れなかった。

イトーヨーカドー・・・小売業で最も偏差値の高い企業。数字を優先した経営。当然、「タヌキが出るところ」に店は出さない。効率化優先のため、郊外大型化SCの流れに乗れなかった。正論だと思う現戦略「GMSをCSCに変換」が言葉通りになるかが今後のポイント。

西友・・・西武流通グループで上品な会社のイメージ。なんといっても「無印良品」を立ち上げた功績は大きい。トライアルグループとなり、特に首都圏の店舗がどうなっていくか、そして認知されるかが注目される。大きくMDは変わりそうな気がする。

マイカル・・・発想は面白く何でもやってみるが、成功しない。現在の大型モール(2核1モール)の先駆けとなったマイカルタウン(本牧、小樽、明石・・・すべて商圏が半分海)、シネコンのワーナーマイカル(現イオンシネマ)、スポーツジムのエグザス(現コナミスポーツ)、リゾナーレもマイカルが開発。

イオン(ジャスコ)・・・関東の色でもなく、関西でもない。「タヌキが出るところ」に郊外大型モールの開発し、素早く店舗網を拡大。そこから金融戦略、海外戦略にも手を広げ、現状は流通業最大手。

ダイエーがなくなりそうなことで、いろいろ書いてしまった。何度も書いているが、GMSは過去の産物になっている。

■今日のBGM

アウトレットモールも淘汰されつつある

先日、所用があり、その近くにあった「佐野プレミアム・アウトレット」に立ち寄った。2年ぶりくらいだったが、来街者の主目的になるブランドが退店しており、非常に魅力がなくなっていたので驚いた。2年前には個人的に「トゥモローランド」のアウトレット目的で行ったが、その時点で退店しており、それでもメインブランドとしての「グッチ」や「ボッテガ」はあった。そして今回は、その2店舗ももうなくなっていた。ちなみに「グッチ」のアウトレット店舗は国内6店舗で「ボッテガ」は5店舗、「トゥモローランド」は7店舗のようだ。

SC協会に登録しているアウトレットモールは32物件あり、そのうち三井アウトレットパークが13物件、プレミアム・アウトレットが10物件となっている。20年ほど前に、アウトレットモールを誘致するコンサルに携わっていて、当時のチェルシージャパン(現三菱地所・サイモン)の担当者と話をしたことがある。アメリカでのアウトレット事業ノウハウを日本に持ち込んだ会社になる。その時日本で成功するアウトレットはそんなに多くないと分析していた。具体的な数は忘れたが10か所もなかったような気がする。

国内のアウトレットモールの売上だが、プレミアム・アウトレットでは2023年度で御殿場1240億(※2024年は1409億)、三田674億、りんくう502億、三井アウトレットでは木更津690億、長島610億、入間318億となっており、その他のアウトレットでは軽井沢が2024年590億と発表されている。ちなみに上記したブランドで「グッチ」は木更津、御殿場、軽井沢、長島、三田、沖縄、「ボッテガ」は木更津、御殿場、軽井沢、長島、三田にある。つまり売上上位店舗にしかない。現状のアウトレットは、施設のグレードを上げるべきプレミアムブランドがどれだけ入店しているかで人気は上下する。売上300億が、プレミアムブランド出店のボーダーのようになっているように思う。

店をやっていた時、福岡マリノア、りんくうの近くのイオンモール泉南や三田と隣接しているイオンモール神戸北に店があったのでアウトレットはよく見ていた。SC協会に登録されたアウトレットも半分くらいは見ている。

従来のアウトレットモールの商売はプレミアムブランドで集客し、セレクトショップや国内外の有名ブランドの商品を多く販売するという図式だった。御殿場プレミアム・アウトレットには、引き付けるプレミアムブランドが多数出店しており店舗の改廃も定期的に行っている。ただ近年はプレミアムブランドが出店を控えるようになっており、代わって大手セレクトの店舗が集客の要になってきているように見える。

アウトレットといえど、できるだけ値引額は小さく売りつくしたい。値段を下げると利益は落ちる。商売をやっていれば当たり前のことだ。つまり、アウトレットに回す商品が多ければ商売が失敗したということになる。ただ、「ユナイテッドアローズ」のアウトレット店舗は国内に30店舗もある。これがすべて売れ残ってマークダウンした商品ばかりなら、利益を食いつぶし、会社は成り立たない。そこで近年は集客も多いので、完全にアウトレット売場用のMDとして構築されている。つまり普通に利益の出る商売をやっているということになる。こういう事例は多くのテナントで見られ、将来のアウトレットモールの存続についての課題になりそうな気がする。セレクトショップの中でも「トゥモローランド」の店舗数が少ないのは、アウトレット用の商品を多く作ってないからだと思う。

現状のアウトレットモールの動向を見ると、都市部にある三井アウトレットパークは郊外モール(RSC)感覚での需要はあるし、アウトレット用に作った商品でもニーズはあるかもしれない。食品SMを併設しても活性化するようにも思う。逆に郊外にある「佐野プレミアム・アウトレット」のように、テナントリーシングが本来のアウトレットの理想形から崩れていけば、わざわざ行くこともなくなり、狭商圏化してしまい厳しくなっていくように感じる。

アウトレットモールの売上300億が1つのラインなら、本来の意味でのアウトレットモールは国内10店舗くらいが上限なのかもしれない。

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