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資産流動化が大型モール衰退の大きな要因

前回、「大型モール(RSC)の売場が画一化されていて面白くない」と書いた。これはおそらくRSCの資産を流動化させているのが原因だと思う。

個人的なことだが、マイカルを退社後、所謂PM会社(プロパティマネジメント)の役員をしていた。PMとは、簡単に言うとオーナーに変わって商業施設を運営管理することが主な仕事になる。そのオーナーは不動産業や金融業が多い。そしてそのオーナーは商業施設を金融商品として扱う。つまり商業施設の価値が上がれば、利益に結び付く。SCを 株として考えると、SCの価値が上がる(収益が上がる)と株の値段が上がる。売れば売却益が出る。つまり次につなげるため、できるだけ投資など大きなリスクは冒さないという構造がある。

イオンモールもイオンリートで保有している物件やSPC(特定目的会社)のスキームなどで流動化させている物件が大部分ではないかと思われる。つまり、小売業ではなくオーナーから受託しているPM業としての企業になってしまっている。そうなると、基本的にはフィービジネスになるので要員は増やせない。さらに金融業への細かなレポーティングが必要になる。小売とは違う言葉も多い。人数が少なく、レポーティングが増えれば、当然現場感は減っていく。話はそれるが、先日の熊本地震の被害も、PM業であるイオンモールの少人数でのSC管理に無理があったのではないかとこのブログには書いた。

イオンモールの物件の所有者がイオンであれば、小売業としての考え方が中心になり小売業として位置付けるが、所有者が金融系や不動産系であればなかなか小売業の理屈は通じない。ましてや大きな投資をするとすれば、細かな現実的な数字の組み立てと説明が必要になる。小売業は得意でも、違う土俵の尺度とは大きく違ってくる。つまり、リスクに関してのジャッジの比重が大きくなるということだ。

ここに現状のRSCの問題がある。履歴があるテナントの羅列になり、標準化が進む要因になっている。感覚よりも数字が優先され、数字(賃料等条件)でのテナント配置の力が強くなる。当然新しいテナント導入には高い壁ができる。賃料や出店場所の優遇はできない。興味ある店を探してきても、ハードルが高ければ、リーシングの努力もしなくなる。かつて、独立系のデベロッパーのリーシングを請け負ったとき、地元の有名なセレクト店の出店を進めたことがある。安い賃料だったがそのテナントの存在価値を理解してオーナーが承諾してくれた。結果、そのテナント導入がいろんな意味でプラス効果となった。これは希少な例で、小売業以外からのPM請負であれば、おそらくこういう思い切った決定は難しい。

諸経費もその予算に沿った運営になる。前回書いた画一的なバーゲンの状況も標準化がもたらしたものだと思う。当然イレギュラーを嫌う。さらに上述したレポーティング業務に時間をとられ本来のテナントとのリレーションが弱くなる。小売業を経営している時、いろんな商業施設で不思議に思っていた「モールスタッフが店内に見当たらない」理由はここにある。

商業施設が、金融業や不動産業の監督下になると、リスクをできるだけ抑えるようになり、小売業の面白さがなくなってくる。RSCも、もともと「タヌキが出るような場所」の開発から始まった。普通に考えればリスクは大きい。「ユニクロ」に大きな面積を任せて安い歩率で契約することも当初はリスクを持った決断だったと思う。

新しい企画を立ち上げるときには、当然リスクはついてくる。それがなくなってくれば新鮮なものは生まれない。そこに現状の「面白くなくなったRSC」の問題があるのではないだろうか。

■今日のBGM

店長も店のキャッシュを管理する

このブログでは何度も書いていることだが、仕入れ担当者はキャッシュフローを再確認する必要がある。企業は、黒字であり続けても、現金がなくなり調達できなければ倒産する。そんな事例は山ほどある。店長も仕入れに参加しているなら、当然店舗のキャッシュフローを再点検すべきだ。そしてその意識を持って仕事に携わってほしい。

まず、当月のキャッシュインだが、テナント入店の場合はいろんな入金方法があるが、ここは簡易的にわかりやすく当月の売上が当月キャッシュインされると設定する。

次にキャッシュアウト。ここも支払いにいろんな時差はあるが、簡易的に当月のキャッシュアウトと設定する。まず賃料等。当然出店条件をわかっているとは思うので、賃料、共益費、販促費、事務手数料(クレジットが多くなると想像以上に大きい)、駐車場負担金は算出できる。次に人件費。店舗勤務者の給与を総支給で合算する。社会保険料は会社が支払い給与の約15%は負担しないといけないので、その分も人件費に上乗せする。さらに、電気代、電話代、店で発生するショッパーズなどの消耗品費、出張すれば交通費も発生する。

具体的に想定数字を考えてみる。

まず、キャッシュインでは売上を5,000千と想定。

キャッシュアウトで賃料、共益費、駐車場負担金、販促費で900千(イオンモールで30坪弱の店想定)。人件費は1,200千+200=1,400千(社保会社負担込み)。支払手数料100千、電気代、電話代、消耗品で100千 概算で2,500千。

つまりキャッシュはこの段階でキャッシュイン5,000千-キャッシュアウト2,500千=2,500千となっている。

ここで考えなければならないのが、商品の支払い分になる。キャッシュイン5,000千―キャッシュアウト2,500千=2,500千で商品の支払いをしないと足らなくなる。2,000千の仕入ならキャッシュは残るが、3,000千の仕入ならキャッシュは足らない。あくまでこの仕入数字は原価だということを再度理解する必要がある。

PL(損益計算書)で計算すると売上総利益率が仮に50%なら総利益が2,500千になり、経費分2,500千を引くと0になる。つまり儲けも損もない。つまり、概算ではあるが経費が大きく変動されなければ、損益分岐点売上は5,000千ということになる。ただここで仕入れが上記したように3,000千あればキャッシュは500千足らない。損益は赤字ではないが、支払い代金が払えない状況ということになる。例えば売上が5,200千で経費が変わらないとすれば200千の黒字になるが、仕入がこのままでキャッシュが足らず、さらに資金の手当てができなければ黒字倒産になる。(当然、数字上の事で交渉余地はある)

つまり、PL(損益計算書)上では黒字でも、仕入れ過多で支払いができなくなっていれば会社は倒産する。言い続けているが、仕入れ過多は在庫過多になり、支払いができなくなる。昨今の「ライトオン」「マックハウス」「ヴィレッジヴァンガード」はすべてこの状況から数字が悪化していった。

企業が大きくなると、細かく管理ができなくなるが、小売業をしているのなら、各店舗のキャッシュフローはチェックする必要がある。特に、現場で店長が仕入れに参画しているなら、店長もバイヤーとして最低限キャッシュフローはチェックするべきだと思う。

■今日のBGM

ユニクロの出店戦略変更で商業地図は変わる

日経新聞の1面のメインに「ユニクロ旗艦店を倍増」という記事があった。柳井社長の言葉を細かく記事中に入れている。「日本の主要都市すべてに旗艦店が必要だ。10年以内にやりたい」「出店は全て旗艦店戦略に変える」「商品を売るだけの通常店は増やしても意味がない」。トップダウンが強い企業なので、間違いなく出店戦略は変わっていく。このブログでも何度も書いているが、「人口減少による出店エリアの縮小」「ネット通販の普及」がこの言葉を後押ししている。

この記事通りであれば、今後の出店は都心中心で郊外店舗への出店はなくなる。店舗開発担当者は企業の方針に沿って動く。ちなみに、ユニクロの国内店舗数はピーク期の2013年8月末の850店から785店と減少している。

大都市はさておき、地方都市や郊外モールはどうなっていくのか?ユニクロの事しか言ってないので、GUの出店が加速するのかもしれない。GUの位置づけを変えるのかもしれない。ただ現状の地方都市駅前物件や大型モール(RSC)は、間違いなくユニクロがモールの柱になっている。ユニクロが店舗数を緩やかに減らしていく事を考えれば、RSC(特にイオンモール)は求心力を失う。

ただ、もうすでにRSCも開発できる場所はないのかもしれない。イオンモールに至っては至近距離のイオンモール出店過多で、もうRSCではなくCSC化(コミュニティSC)している物件も多い。おそらく、すでに出店は鈍化しているが、イオンモールもSC数は増えていかないと思う。 

現状、国内専門店小売業はユニクロと無印良品が2強とみていたが、今後はRSCに至っては無印良品の出店が増えそうだ。ただ無印良品も大型化を進めており、路面店も含めて大きさや出店条件を吟味しての出店になっていく。そして、無印良品も含めて旗艦店戦略のユニクロに追随する企業は間違いなく増える。

以前まとめたことを再度書く。まず10年後、20年後の人口予測とその構成比だが、総人口は10年後−730万、20年後−1500万、65才以上の高齢者の比率は現状30.3%が10年後33.3%、20年後35.3%と増える。さらに15才までの年少人口は減り続ける。そして生産者年齢人口も減り続ける。次に、人口現状30万以下の地方都市の高齢者人口は20年後50%を超え、人口も2020年比で−30%~50%の状況になると想定されている。つまり、東京、地方の大都市に人口も集中する。ただし、東京、大都市も高齢化は進み人口も減少していく。

そのデータを見て、国内戦略を考えると、当然国内では大都市戦略になっていき、地方ではEC化が進む。その意味で、ユニクロの国内戦略は理にかなっている。海外戦略では近年のアメリカ、ヨーロッパ戦略も旗艦店、大型店中心で成功している。

おそらく今後のファッション小売企業は人口減もあって、国内だけでは企業の成長はない。内部充実も大事だが、売上分母が大きくならなければ成長はない。海外進出や商売分野の拡大などの長期的なビジョンが描かれなければ、存在できなくなる。

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「売る」責任と「仕入れる」責任と「コントロールする」責任

晩期の売場を見ていると、企業の状況がよくわかる。特に商品コントロールのやり方で企業力は出る。姿を消していった企業はここでのミスが多い。「売る責任」も大きいが「仕入れる(作る)責任」も大きい。そしてそれをコントロールできて企業は成り立つ。

昔、「ビブレ」という業態に在籍した。他のファッション系SCとの大きな違いは、自主MDでの売場が多かったということだと思う。開発型ショップを入れると50くらいの売場が自主MDだった。壁面を背負ってのブランドオンリーショップは取引先出店が多かったが、品揃え型店舗や、大型区画は直営展開が多かった。そうすることによって賑わいも出て活性化が図れた。つまり、ブランドで集客し自主売場で稼いでいた。自主売場には本部のMD担当者がいたが、主用業務は全店共通の商材を手配し、その売場の数字を管轄することだった。ただ、店の大きさにもよるが、店担当者の仕入れ権限が大きかった。店舗数が増えていく中で、仕入技術の問題や、当然のように売上の大小で、店舗間格差はでてきた。晩期は自主MDでの弊害の方が大きかった。

自分で店を始めてからも、店仕入を中心にスタートした。当然集約して展開する商品は本部でまとめて発注したが、その比率は低かった。何より、店舗数が少ないうちはまとめて発注するメリットは小さい。ただ規模が大きくなるにつれ、店仕入中心では厳しくなってくる。

小売業は回転率を考えて、売上予算と在庫予算を決定する。このブログでも再三書いている。商品を仕入れてその商品を売って、取引先に仕入れ代金を支払う。一般的には末締め翌末払いの条件が多い。ということは2ヶ月で完売すれば利益は残る(売価-原価)。掛け率50%なら2ヶ月で半分売れれば支払いはできるが、儲けは出ない。そして、その儲けで経費を払う。回転率が低い商品(高額商品等)や回転率の高い商品(セール商品、定番商品等)があって全体の回転率が計上される。売価在庫で図る時は、回転率は売上÷平均売価棚卸額(在庫)で計算できる。その数字が0.5なら2ヶ月で商品が入れ替わるということだし、0.33なら3ヶ月ということになる。いろんな仕入れ形態はあるが、立ち上げた会社では月度回転率0.5を目標にしていた。同じように上場企業ではパルグループが回転率を重視している。

ただ、仕入れ担当者にそこまでの数字感覚があるかどうかだ。自分の懐は痛まないし、「売りたいものを仕入れたい」と考えるのは自然なことだ。財布の中の金額を気にしないで買い物をすることは楽しい。そこに大きな問題がある。当然、売場提案を実施するが、そこに信頼関係がなければ、「売る側」は押し付けられたと感じることも多い。

そこで「仕入」と「販売」をコントロールするポジションが必要になる。小さい会社なら社長がやるべきだ。そして、ある程度の規模になれば必ず必要なポジションだ。商品はわからなくても数字でジャッジするスタッフが必要だ。どの商品群が回転率を落としているか、そして回転率を適正にするためにどうするかをジャッジする。当然回転率を上げるには、商品をなくしていく事になる。商品をなくすのは返品するか、値段を下げて売り切るしかない。つまり「在庫」をコントロールするポジションが必要になる。

そこで「売上」を優先させるか、「利益」を優先するか、「在庫」を優先するかを決めるのが経営だ。「売上」を優先させれば「利益」は落ちるし「在庫」は減る。「利益」を優先させれば「売上」は伸びないし「在庫」も減らない。そこをジャッジするのが、経営の一番大事なことだと思う。結局、昔在籍した「ビブレ」は経営危機になり、キャッシュを得るために「売上」を優先し、「在庫」を減らし「利益」を減らした。そして倒産した。

小売業は「売上」「利益」「在庫」をきちんとコントロールできる体制を持った企業しか存続できない。

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「レイバン」の独占禁止法違反調査

サングラスメーカー「レイバン」が、「再販売価格の拘束」で独占禁止法違反の調査が入った。値引き販売の規制をしたということのようだ。そして今回、公正取引委員会にレイバン日本法人が改善計画を提出した。そういうことは過去数多くあったので、大した記事でもないとスルーしていたが、「レイバン」というブランドが微妙なイメージを持った。

値引き販売の規制は、昔から言わないだけで結構多かった。おそらく販売店が「店をやめる」覚悟で公正取引委員会に訴えたのではないかと思う。販売店がサングラス専門店なら「レイバン」や「オークリー」が店からなくなると商売にはならない。そのブランドで集客しているからだ。つまり、「レイバン」と喧嘩すれば商売ができなくなるのと同じ事になる。ただ、もっとネームバリューが大きくて、強いブランドは世間にはたくさんある。そして「再販売価格の拘束」をしている取引先(ブランド)も、もっとある。

ブランドビジネスで商売している小売業は、非常に弱い立場で、そのブランドがなくなると商売にならない。品揃え店でも当然メインのブランドはあり、そのブランドで集客している面もある。つまり、小売り側もブランドを利用していると言えるかもしれない。ただ、そのブランドのさじ加減で企業は変化する。出店しているSCに、中心ブランドが直営店を出店することもあるかもしれない。商道徳上はありえないことだが、取扱高によっては充分考えられる。企業の尺度が違えば、会社の方向性も違ってくる。実際、そういうことを経験したし、見てきた。

以前、あることで「公性取引委員会に話したい」旨を税理士に話したところ、「先方の大企業もダメージは受けるが、自社もそれによって環境が変わる」と指摘されたことがある。「大」のイメージはマイナスするが、「小」の受けるダメージも大きいということを暗に言われた。

現状の小売業は「取引先対小売業」「小売業での大手対中小」での問題が非常に多い。それが小売業の硬直化につながっている。そこに公正取引委員会が入って調整すべきなのだが、今回の「レイバン」の件のような微妙なブランドの微妙な決着しか表には出てこない。さらに小売業を語る時には「お客様目線」での見方が強く、片方の売買の当事者である取引先や小売業者(特に中小企業)の「当事者目線」にはあまり目を向けていない。つまり、小売業界の風通しは良くない。

本来、取引先と小売業はお互いリスペクとしなければ成長しないし、中小企業が活気づかなければ小売業も硬直する。 あまり具体的に深くは書けないので、この辺で・・・

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大型商業施設の課題と対策

熊本地震でのイオンモール熊本の被害者になられた従業員の方々には追悼の意を表します。

原因はガス配管等の構造的なものもあるらしい。そして、イオンモールとしては点検を定期的に行っていたようだ。さらに、30分ですべてのお客様の避難誘導は終えたと発表している。イオンの吉田社長は、被害はお客様の避難誘導が終わってその後の事故で発生したと記者会見で述べている。では、どこに問題があったのか?

イオンモール熊本は全従業員2700人と発表されている。その所属先を想定すると、まずGMS(イオンリテール:ジャスコ)が150人程度。メンテナンス会社(旧イオンディライト)が多くて50人。施設運営会社(イオンモール)が多くて30人。その残り約2500人が、ほぼテナントの従業員ということになる。GMSは店長中心にリスクマネジメントは強固だ。つまり、SCのPM(プロパティマネジメント)をするイオンモールが約2500人のテナントスタッフのマネジメントしている状況になっている。当日は平日でもあり、1500人程度のテナントスタッフ数だったようだ。

SC、テナントのお客様は入館客だし、事故が発生すれば、まず優先するのは入館客の安全だ。30分で避難完了したのは、その考え方がデベロッパーとテナント双方同じだったからだ。避難完了後からテナントの命令系統に当然各テナント会社も入ってくる。テナントも、第一義のお客様の誘導が終わった後、当然、所属企業に連絡はする。当然、そこからの指示もある。さらに何も持たずに避難していれば、それを取りに売場に戻りたい。つまり、お客様の安全が第一義であったなら、従業員の安全はその次にはなる。おそらく、そこにテナントマネジメントのほころびが出た。記者会見では話してないが、多くのテナントの従業員は一度店に戻ったのではないだろうか?そういう事例は耳にしている。少なくとも数人ではないはずだ。お客様の誘導が完了すれば自店の状況を確認しようというのは、担当者として当然のことだ。

今回の事故で一番の問題は、SCの管理サイドの人数が少なすぎることと、その少ない人数でのテナント管理は非常に難しく、きちんと細かくマニュアル化されていなかったのではないかということだ。

過去、小売店を経営していて、自店には必ず月1度は臨店していたが、イオンモールではあまり、担当者と会ったことはなく、売場や館内では見かけることも少なかった。よく顔を見かけるスタッフはいたが、限られていた。イオンモールにも延べ15店出店していたので、おそらく感覚的には間違ってないと思う。不動産の流動化でファンド物件になったりすると、レポーティング業務が多くなる。そうなれば当然デスクワークが多くなる。つまり、本来の営業面支援が手薄になり、テナントとのコミュニケーションも少なくなっていたのではないかと思う。そのコミュニケーション不足が、一般客の避難終了後のテナントとの指示系統の緩みにつながったのではないだろうか。

イオンモール熊本の保有者を調べてみると、現状は「みずほリース」の連結子会社が保有している。それまでは「イオンリート投資法人」だった。つまり「みずほリース」が大家で「イオンモール」が転借、運営管理している状況ということになる。イオンモールとの契約形態は細かくはわからないが、PMやFM(ファシリティマネジメント)へは大きくはコストをかけられない状況であることはわかる。そして上記したように、イオンモールの業務は小売業への取り組みより、大家さんへの報告業務が多くなっているのだと思う。さらにイオンモールの収益を上げるにはコスト(人員)は増やせない。そういう積み重ねでテナントとのコミュニケーションが希薄になっていったと思える。

今回の惨事は、当然施設の構造上の問題が一番大きいが、イオンモールの対テナントへのマネジメントの弱さも露呈している。防災組織図よりも細かいコミュニケーションが必要で、オフィスビルメンテナンスと違い商業施設としてどうあるべきかを再度見つめなおすことが大切だ。商業施設としてより活性化できることをテナントと話し合い、提案実施し、各テナントと親密なコミュニケーションをとっていく事を主要業務として運営していってほしい。そうすることで信頼関係は強固なものになっていく。

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大手小売業と同じ土俵では戦えない

前回、ユニクロの店の業務を書いていて、社員はこの仕事だけで小売業を理解できるのか、売上を求めるだけで小売業を続けられるのかと感じていた。小売業の面白さや厳しさがどれだけわかるのかとも思った。小売業は商品をセレクトすること、作ること、利益をどれだけ上げていけるかということや、企画、演出など商品以外のことなど、現場で売上を上げること以外の面白さもある。そしてそれを阻む要因も多く、それを乗り越えることも大きなキャリアになる。そして、そのすべてが小売業の面白さだと思っている。

調べてみると、ユニクロの新入社員の離職率は3年で50%近く、10年では80%超のようだ。ちなみに大卒初任給は全国転勤可能社員が月度37万円、地域限定社員が28万円となっている。

小売業の面白さの半分も感じない仕事では、長続きしないのは当然だと思う。しかし、よく考えるとユニクロの仕事とその対価設定、個人判断による離職率の高さは、ユニクロとしては当然想定済みのことなのではないかと思った。世界制覇を求める企業として、方向性を同じくする社員が必要で、異を唱える人材は必要がないのかもしれない。さらに小売業の本部機能は小さくて精鋭を揃え、本部決定事項を迅速に現場に伝えることを最優先させるという考え方だ。極論かもしれないが、企業の戦略を理解してステップアップしていく人材を選び、それが無理なスタッフや意見を言うスタッフには離職してもらっていいという考えが根底にある。そしてそれが成功要因の1つなのかもしれない。

そう考えれば、ユニクロの世界的な企業への躍進は充分納得できる。「ZARA」や「H&M」も同様でほぼ単一業態と言える。単一業態であることが企業戦略や役割分担を明確にする。そして、それを迅速に現場に浸透させている。

過去、小売業を立ち上げた時、スタッフには商売の面白さや商売への興味を持ってもらおうと思った。それが中小小売業の成功要因だとも思った。そして、店の個性を出すために店長に仕入れ権限を持たせた。おそらく個人的には、「ユニクロ」や大手アパレル企業よりも面白い仕事をさせていたと思う。仕入れ経験の長い人間は、バランスよく仕入をしてきたが、やはり仕入れ歴が浅い店長は利益計画、在庫計画まで頭が回らない。結局、面白い仕事をさせていたと思っているのは企業の思い込みだったかもしれない。それが店長の働き甲斐になっていたのかもわからない。店長はこんな仕事までしたくないという思いがあったのかもしれない。そしてそれ以前に、現状では中小企業の待遇ではスタッフも集まらない状況になっている。

高齢化の波もあり、商圏人口や、ターゲット客層は大幅に減少する。そうなると商業施設の淘汰も始まる。そうなれば、中小小売業が大企業と戦える環境もなくなる。もう同じ土俵では戦えない。

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企業力で仕事のやり方が違ってくる

今年の夏の流れは、6月の大失速をカバーするためバーゲンの長期化で取り戻そうとしているが、去年と同様の流れでは6月分のマイナスを引きずるだけの結果になるように見える。事実、店頭を見ていても、ユニクロは値段を下げて夏物処理を急いでいるようだが、対極として無印良品の動きはマイペースで在庫処理が進んでいないように見える。大手はそれなりに機動力があると思うが、他社の動きはどうなのだろうか?おそらく去年ベースで夏物を手配していれば、夏物商品はだぶつく。

ユニクロはICタグとAIを活用してデータ分析し、リアルタイムに商品の消化予測をしている。その商品動向を毎週の「商売検討会」で話し合い、処理の指示を店舗へ一斉配信するようだ。当然レジシステムも連動されている。一般的に販売から4週間後に計画を下回っていれば即座に値下げ対象になる。ユニクロの店サイドの仕事は「売り込む」ことが業務であり、VP(ビジュアルプレゼンテーション)や細かな売場変更などでの売上管理が主業務になる。

少し話はずれるが、大昔の話をする。大昔は、商品についている値札は店で付けていたことが多かった。商品が入荷し、商品管理担当者が検品して、値札がない商品(半分ぐらい)は値付け場所に伝票をはさんで置いていた。その商品に値付けする担当者がいて値札を作り、かぎ針で値段をつけていた。それを売場に持ってきて、売場で値札の裏に品番やアイテム、取引先を書いた。毎日その売れた半券を持って帰り、売れている商品の分析をした。アイテムごとに売れている値段の分析、単品売上数のチェックなど単品管理表を作った。それをもとに追加発注や商品動向から値下げ処理をしていった。

さらに商品の値下げをするときは、値下げの詳細と金額のトータルを記入し、売価還元法で利益計算表を作成し、利益率ダウンを記入、今後の予定仕入額に合わせて期末の利益シミュレーションも作成した。そのシミュレーションを持って値下げ決済をもらった。その決済印を持って値付け担当者に赤札(値下げシール)を作成してもらい、それを値札に貼った。当然決済をもらうときは文句を言われた。今になって考えると、商売の仕組みを教えてもらったように感じる。

現状は、ユニクロ以外の大手小売業でも、一般に上記の値段を下げる作業以外では、入庫時のバーコードスキャンと売上時のレジでのスキャンでPOSデータとして単品管理されている。つまり、単品管理は非常に簡素化されている。当然手計算で行っていた数値管理も、データですぐ出てくる。さらにシステム上は、適正在庫日数を入力すればそれに合わせた、在庫処理の指示も出てくるようだ。ユニクロ式の業務が店の仕事であれば、ずいぶん店の仕事は単純なものに変わってきている。責任の所在が明確であればいいが・・・

では、店は売上だけを求めていけばいいのだろうか?値段の指示を待っていればいいのだろうか?ユニクロのようなシステムがない企業は、店の権限はどうなっているのだろうか?いろんな数値責任が明確でないと、店頭での仕事が混乱する。ここに企業力の差が出る。

ただ、売場を見ていると、大企業ほど販売が仕事で、処分計画や在庫、利益計画には携わってないようにも見える。安定した職業にはなるのかもしれないが、商売として面白いのかなと思ってしまう。

■今日のBGM

売場内装には気持ちを入れる

先日、以前の会社で売場の内装を中心になってやってもらっていた友人から電話があった。昔立ち上げた店を、譲渡した会社が契約更新で内装を変更するらしい。

内装についてはこだわりを持っていた。過去、DCやインポート、セレクト、ストリートなど、いろんな個性のある内装を見てきた。売場にオブジェがあったり、高そうな石を使ったり、売場が商品をイメージさせていた。地方のオーナー達も、ローコストでイメージをどう打ち出すかを考えて売場を作っていた。商品だけでなく、売場を見ているだけで楽しい時代だった。そういう目で見ると、現状のSCのテナントは標準化された内装で標準化された商品を売っている感が強い。

経営的観点からみると、出店コストは大きい。売場内装だけでも、更地でAB工事含めると最低坪400千は必要だと思う。近年はもっと上昇しているかもしれない。つまり40坪の店で1600万の内装費ということになる。出店経費としては工事負担金などの別途経費も必要になる。さらに敷金などキャッシュアウトも多い。損益上も経費と減価償却費に分けて計上されていくが影響度は大きい。当然、経営上内装コストはできるだけ下げていきたい。

以前立ち上げた店は、ボリュームプライスの量販型品揃え店舗だった。一般的にボリュームプライスの店はセルフ要素も強いので、できるだけ商品を打ち出させる店が多い。当然スタート時から全国チェーンにできるとは考えてなかった。そういう意味もあって、売場イメージにはこだわった。ボリュームプライスの商材だからこそ、売場に個性を出すことを考えた。印象に残る店は、商品の印象もそうだが、売場の印象によるところも大きい。お客様の購買行動を表すアイドマ(AIDMA)の法則でもアテンション(興味)とメモリー(記憶)では大きな要素になる。そういう意味で売場イメージは重要だと考えていた。

退店した店も入れて30店舗近くオープンさせたが、すべて売場イメージに音楽を取り入れた。各店毎に、それぞれジャンルやミュージシャンなどを感じさせる環境を取り入れた。それは売場環境の最低限の決まりにした。売場環境と音楽を連動させようとした。当然あくまでもローコストだ。自己満足かもわからないが、売場イメージを感じてくれるお客様は一定数いたように思っている。

近年、大型モールに行っても、インパクトある内装の店はほとんどない。ユニクロに代表されるように蛍光白色で明るい清潔な店が多い。当然全国各地に出店しており、共通の商品で共通の売り方になるので必然的にそうなる。アダストリアに少し個性的な店はあるが、とがった店は全くなくなってきた。さらにモールには目新しい店舗があまり入らず、売場内装でも新鮮味のある店は少ない。ちょっと個性を感じる地元の専門店もSCから押し出されつつある。

数字が厳しくなっている現状での出店や改装は、成功が必至で、なかなか個性を打ち出せない。個性なき改装は本部主導になってしまうことが多い。本来は、売っていく人間がどうしたいかを主張するべきだと思う。せめて小さな個性でも、店の気持ちを取り入れる必要はあると思う。そして、少しはインパクトに残る「何か」も入れてほしい。

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ビジネスモデルを再検証する

上場企業の6月の売上を見て、中小ファッション系の小売業はそれ以上に苦しんでいると想像できる。大企業ほど資金力もなく、前回書いた利益確保するための商品手配も遅れるし、そうなれば手持ち見切り商品が増え、利益率も確保できない。さらに、要員不足で販売パワーも上がっては来ない。

企業が成功するには、成功するビジネスモデルがあり、その考えを周知徹底できるかにかかっている。ただ、数字の変化でそのビジネスモデルが変化して行くことが多く、それが業績下降の1つの要因になっている。近年の収益悪化企業にもはっきりと表れている。

ジーンズ業界の成功モデルは、もともとはジーンズ愛好者のための店だった。もっと簡潔に言うと「リーバイス501」を基本とした品揃えの店だった。今でも残っているジーンズ専門店は、そのビジネスモデルに沿って商売をしている。ライトオンやマックハウスは客層の幅を広げていって、フルターゲット化していったことが失敗の原因だと思う。売場も広がり、「ジーンズの店」から「カジュアルファッションの店」へ変革し、個性が薄れていった。さらに、そこはいろんな競合がいる激戦地でもあった。そしてサイズの多いボトムをボリュームアップし店のイメージを打ち出したことで在庫過多になり、ジーンズ専門店のビジネスモデルから外れていった。

ヴィレッジヴァンガードも「宝探しができる本屋」だった。それがトレンド客層からボリューム客層にターゲットが変化し、品揃えも広範囲なボリューム商品まで広がっていった。当然、各専門分野の専門店の品揃えには勝てない。商品の幅が広がったので細かな商品の管理が手薄になり、不稼働商品が増え、商品の処理が遅れていった。

つまり、企業がスタートした時のビジネスモデルと大きな乖離ができると、お客様は離れていく。

逆に、ビジネスモデルがぶれてない企業だが、「市場に例えたら乾物屋より魚屋」との創業社長の言葉通り、回転率を徹底的に追及するパルグループ。現在は「4週間MD」を確立させており、以前の8週間より短縮させている。現在も過剰在庫を持たない体質を続けている。ユニクロも「ライフウェア(究極の普段着)の最適化」を打ち出しており、衣料品中心で「中途半端な多角化の排除」を実践している。近年は鞄、靴にも手を広げているが、あくまでも実験的アプローチで深追いをしていない。

売上が停滞してくると、どうしても顧客ターゲットを拡大したくなる。そして、顧客ターゲットの拡大は競合の激化へ行きつく。品揃えの幅を広げることで今までのターゲットの品揃えがおろそかになり、従来の固定客まで逃してしまうリスクがある。そして新しい分野の競合も出てくる。品揃えの幅が広くなると、資本力の面から当然新たな競合の規模も大きくなる。その大きな資本と戦えるのか、戦うのかを冷静に判断しなければならない。特に中小企業は個性(ビジネスモデル)を薄めていってはいけないと考える。

流れが悪くなった時は、冷静に企業のビジネスモデルの再検証をすることが最も望ましいことだと思う。

■今日のショット(若竹農場)

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