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ディストリビューターをAIがやればいい

小売業でのディストリビューター(DB)の仕事は、「在庫管理」「仕入管理」に加えて「利益管理」も大きな仕事だと思っている。イトーヨーカドーがリーディングカンパニーだったのはこのポジションを重要視したからだと思う。小売業が成功するには「適正在庫」が基本事項なのは間違いない。その在庫管理の司令塔的ポジションがDBだと言える。

大昔は、値札の裏側に品番を書いて半券管理し、売れている商品のデータを作っていた。売れている商品は販売点数を考えて発注していた。それがPOSシステム導入でバーコード管理になり、追加発注以外は本部で管理しDBが商品の単品指示を出していた。それでも組織内の人間関係もあり、権限に違いが出てくる。商品組織の中でも営業と管理の違いがあり、バイヤーとDBは別組織にする方が望ましいし、商品の仕入れ枠の最終権限も所属長以下ではDBが持っているのが望ましいと思っている。ただ、多くの企業はバイヤーの権限が強いように見える。商品に愛着を持って仕入れる担当者が、商品の最終処分まで指示できるとは思えないが、経験してきた大企業でも、バイヤーの意見が強かった記憶がある。そして、組織には人間関係があり、ついついなれ合いになってしまうことが多い。

商品回転率は小売企業にとって経営の大きな指標になる。そのうえで、組織の関係や人情が入る商品のジャッジはAIに任せた方がいいと思う。AIが商品売上データを分析し、対策を立案させ、それをジャッジして決定すればいい。これぐらいのシステムは現状なら簡単に作れるだろうと思う。例えば商品の販売期間を設定し、単品別のデータを毎週店別にアップする。その販売期間内での消化状況を開示し、その対策を立案させる。好調店舗への商品移動や、不振店舗への販売助言、最終的にはプライスダウンの指示。さらに、不振商品ならそれをなくすために必要な値下げ額と、それによる全体の利益率への影響度の報告。さらに、今後の仕入商品の原価率や仕入金額で、期間での利益着地予想も算出させる。そして、その報告をもとに企業(責任者)が商品対策をどうするかをジャッジする。

おそらく、もう活用している企業はまちがいなくあると思う。商品を仕入れたバイヤーには当然思い入れもあるし、利益率と在庫のジャッジは非常に難しい。毎回書いているが、食品の賞味期限はわかるが非食品の賞味期限はわからない。企業の主観で勝手に決めている。この商品は季節感がないので年間定番だとか、まだ販売期間を延ばしてもいいなど、商品ジャッジのミスで企業生命がなくなっていく。近年はそうなった企業も多いし、その予備軍も多い。

こういうソフトを作るのにどれだけの投資がかかるかわからない。おそらく支援制度はあるだろうし、それによりDB的なポジションの経費は減らせる。そして何より、本部からのジャッジが明確になる。多店舗化して企業を拡大していくなら判断基準を明確にした方がいい。

ただ、売れる店には、当然それ以外の「anything eles」も必要ではあるが・・・

※AIに上記のようなAIシステムを使っている会社を聞いてみたら、「パルグループ」「ストライプインターナショナル」「ナノユニバース」などの社名と活用されている主なシステム名を答えてくれた。

■今日のDVD

ライトオン上場廃止

ライトオンが2月26日付で上場廃止になっている。このブログを始めたころからライトオンについては書いてきた。これはライトオンの数字悪化要因が、在庫過多にあったからだ。個人としての商売の信条は、「小売は在庫」であり、ライトオンの数字悪化についての意見も、在庫管理の難しさを書いていた流れからだった。

在庫を抱える商売は難しい。過去、いろんな業種の商売をマネジメントしてきて痛感していた。業種としてはジーンズ、靴に代表されるが、重なっていることはサイズが細かく、ほぼ定番化されているということになる。ジーンズカジュアル業界では上場していたライトオンに加えてマックハウスやジーンズメイトは譲渡されたし、靴業界も多くの小売店が姿を消した。さらにジーンズは、在庫ボリュームがあることが売場のイメージアップにつながったという要因もある。

何度か書いているが、小売業は商品を仕入れて(作って)売る。簡単な仕組みだ。ただ仕入れた商品を、支払うまでに金に換えてなければ(=売れてなければ)支払えない。現状の取引では、非食品小売業で長くて仕入れてから3カ月以内の支払いだと思う。ブランド商品や企業の支払い能力によってその支払いサイトは変わっていく。当然いろんな商品があり、すぐ現金に変わる商品もある。つまり、企業規模はあるが年4回転すればキャッシュは何とか回っていく。 

小売企業の状況を見るときは、在庫回転率で図っている。決算時の貸借対照表の資産項目の商品の金額で、前年の金額と今年の金額を2で割れば簡易的ではあるが平均在庫額が算出される。平均在庫を損益計算書の売上原価で除すれば簡易的な回転率が産出される。例えばランダムに見てみると、ライトオンの2022年度の売上原価は24356(百万)で平均在庫は10973(百万)となり、年間回転率は2.2回転となる。ちなみに年度の総利益率は49.3%となっている。つまり半年に1度商品が売れるということで、商売ではキャッシュが回っている状況ではない。売上が減少し続けており、当然手持ち資金は減っていっている。こうなると、普通に仕入れていれば在庫は膨らみ、回転率はどんどん悪化していく。ライトオンはその後商品の評価損を計上するが、遅きに失した。利益率を維持することより、継続的に期中で商品評価を落とし売上を上げ、キャッシュを増やすことを優先すべきだった。

現状の上場小売業ではイオングループのジーフットや、ライトオン同様の流れで評価損を計上したヴィレッジヴァンガードもそういう状況の中にいる。

では、ワールド傘下になったライトオンはどういう方向に向かっていくのだろうか?現状の売場を見る限り、ハードな売場ではなくあくまでもジーンズテイストを打ち出したカジュアル志向の店というように見える。イメージとしてはUAが譲渡したコーエンのようなMDかもしれない。ただ、その中途半端なゾーンは難しそうに見える。ジーンズテイストは、果たして必要なのかとも考える。先日もレイクタウンで四国のジーンズファクトリーの店を久々に見たが、昔のパワーは全く感じなかった。セレクトっぽい商品を少し品揃えしたナショナルブランド(NB)中心の店になってしまっていて、やはりジーンズファクトリーでも大型SCではこうなってしまうのかと感じた。さらにこういう品揃えになるとNBが幅を利かせ儲からなくなっていくのではないかとも感じた。

ワールドが手掛けるのだから、売場ロケーションを考えてワールドの品揃えショップをやった方が賢明で、あまりジーンズにはこだわらなくてもいいのではないかと思う。「リーバイス501がデニム」と考えているお客様は、もう少なくなっているし、そういうお客様は買う店を決めている。

■今日のBGM

大型区画が増え類似モールばかりになる

近頃、売上の情報を聞いていて気づくことだが、圧倒的に大型区画のテナントの売上ボリュームが大きく、小型店舗で売れている店が減ってきている。

まず、このブログでさんざん書いていることだが、非食品の商売規模はどんどん小さくなってきている。つまりシェアを上げないと商売は続かない。今後はその状況が顕著になる。何度か書いているが、商売環境は今後さらに大きく変化する。以前書いた以下のことを再確認する必要がある。

30年前(1995年)日本の平均年齢は39.5歳だった。現在は約49.5歳まで上がってきている。20年後には約54歳になるという。現状の社会状況は、円安ドル高傾向は変わらず、物価上昇が続き、一部の富裕層以外の可処分所得は上がってこない。いろんな報道もあるが、このまま高齢化が進んでいくと、社会保険料がどんどん膨らみ、若年層の負担は大きくなる。さらに人口減も進み、現状1億2千万人強の人口も20年後には1億人前後まで減少すると言われている。さらに地方の人口流出は進み、都市部に人口が集まり都市と地方の格差が広がる。現状人口集中の東京圏も高齢者人口増加率も全国平均を上回ると予測されている。特に20才から39才の女性人口の減少が著しくなっていくようだ。つまり、「地方の過疎化」が進み、地方から発祥した小売業が全国規模を持つという流れは、今後なくなっていく可能性が高い。この流れで、もうすでに衣料系の小売業をスタートアップできないことは明白になっている。

この状況下、小売業はどんどん小さくなっていくパイの取り合いになる。そうなると、当然MD力が必要だが、寡占化をするべく売場面積も大きくなっていく。出店条件も大型化を後押しする。小型店への条件のように坪単価×面積で計算されず、歩合条件になることが多い。リーシングに苦しむSCに対しては、条件をさらに下げていける。さらに、一般的な条件の共益費や販促費などの経費、坪当り換算の出店費用も交渉しやすくなる。大きな課題の要員問題も、坪当り要員数を小型物件より少なく運営できる。

デベロッパー側も、現状は大型テナントを歓迎しているように見える。飽和状況にある大型モール(RSC)は特にリーシングに苦しんでいる。かといって経費増の中、賃料設定を下げるわけにはいかない。そうなると、現状の商環境ではなかなか家賃比率の上がる中小型店は出店できない。空床を避ける意味で区画変更して大型店の導入へ前向きな状況になっている。ただ、RSCの同質化が進み、優劣が明確になってきている。

中小小売業は、人的課題が大きくなっており、スタッフも集まらない。さらに、利益率もロットの大きい大手小売業のように上げていけない。エリアの中心になる商業施設に出店できなければ、売上も取れず当然のように資金力のない小売店はなくなっていく。そして同時に、同質化が進むRSCも自然淘汰されていく。そういう流れで人口減との帳尻があっていく。

かつての会社で、30坪弱の店で売上は1億には届かないが順調に伸びていた店があった。定期借家満了時に、隣の大型店を拡大するとのデベロッパー側のトップダウンで、再契約の提示はなかった。その後リーシング担当者が調整して代替店舗の提案があったが、環境や大きさが合わず退店した。その大型店は売場拡大のバーターで他店舗への出店を検討していたようだ。デベロッパーとしては、30坪弱の固定賃料ダウンより、大型店舗のリーシングを優先したことになる。こうやって、中小企業の成長のチャンスは摘み取られていく。

今後は、上記したように商業施設の優劣が明確になっていき、さらに大手小売業もパイの取り合いになってくる。当然その中でも競争原理が働く。高年齢化と地方の過疎化が進む中、中小の小売業の残る余地は非常に小さい。

■今日のショット ・河津桜(去年より2週間早い)

厳しさを増す中小小売業

先日、友人と話していて、「人がいな過ぎて、まともに商売ができない」ということを言っていた。

中小小売業には販売スタッフが全く集まってない。データでは小売業含めての中小企業の65.6%が要員不足らしい。ましてや土日勤務の小売業には多少時給を高くしても集まらない。レジ業務や品出しに加え接客もあり、業務内容も多岐にわたっていることも原因のようだ。当然、時給も上げているし待遇面は配慮している。ただただ、集まらない状況のようだ。その友人も、エリアを統括するマネージャーや近隣店舗スタッフが欠員補充に入っている状況と言っていた。

要員不足から、売場も乱れていく。当然やるべきことができないのでそうなっていく。そうなると、売場は安易な方向に進んでいく。接客(ちょっとした声掛けも含む)に手が回らなくなり、セルフで売れる商材が増えてくる。セール商材や値頃感を打ち出した商品のウエイトが上がっていく。安易に売れそうな過去品揃えしてなかったターゲットの商材にも手が出る。

ここで、一番危惧することは「企業コンセプト」が崩れることだ。厳しい状況になった現状、もう一度そのコンセプトを話し合い、変更していくのか、継続するのか決めるべきだ。これが企業の今後について一番大事なことだと思う。

かつて、過去の経験からの成功モデルを想定し、小売業を立ち上げた。その後再度、コンセプトや方向性を見直した。企業のミッション(存在価値)を設定し、そのターゲット商圏を分析し、そこに向かう分析をし、成功要因を導き出したつもりだった。具体的数字にも落とし込み、目標も定めた。さらに少し伸び悩んできたときには、時間をかけて、昔研修で学んだいろんな角度で戦略立案してみた。それにより、立ち上げた事業の成功には向かっていけると感じた。だが、コロナで木っ端みじんに吹き飛んだ。

厳しい中小小売業は、そういう企業としての方向性を再度きちんと整理していく必要があるのではないかと思う。そして、その方向性に沿って戦略をジャッジしていく時期だと思う。

さらに、こういう時期だからこそ、各店の棚卸も必要だ。損益を考えて継続するべき店かどうか全店チェックする。要員不足の店が、今後再びきちんとした要員で商売できるのか?そしてその店は、きちんと収益を出していけるのか?もし、将来的に大きく収益が見えない店があれば、撤退して、人を異動させるということもできる。当然各店の償却残の金額や、違約金、撤去費なども考えてジャッジしなければならない。ドミナントできてない店は特に注意が必要だ。マネジメント層がデータをまとめて、再度各店の方向性を明確にする必要がある。

企業は「人」「物」「金」とよく言われる。「物」は「金」があれば解決するし、「金」は財務内容次第では手配できる。「人」はどうしようもできない。「人」抜きで拡大して失敗した会社を多く見てきた。これだけ「人不足」の状況が続く中、一度立ち止まって事業としての棚卸をし、その結果として前向きに半歩後退するのも正しい選択かもしれない。

■今日のBGM

ポイント20倍

もともと買物は好きだし、食品売場も好きなので、デイリーの買物にはほとんど同行している。大変失礼なことではあるが、イオンへ行くときは5%オフの日とポイント10倍の時だけに限られている。それでも、ポイント10倍の日はかなり多いので回数は多い。そんな中、今月は11日~14日までイオンペイでの買物でポイント20倍となっている。前回も8月にあった記憶があるので決算前にやるのかもしれない。

ポイント20倍だと具体的には10000円の買物に1000円のポイントが付与され、そのポイントは後日使用することができる。一時的な割引とは違うが、1000円引きとほぼ同じ感覚と捉えられる。そのポイントを使うことで再来店を促せるし、固定客化にはつながる。

少し仕組みを調べてみたが、複雑だった。10000円の商品をポイント分1000ポイント(20倍)付与で売った場合、ポイントは将来使える価値として計算する。商品の売上は10000+1000=11000となり、現状の価値10000が10000×(10000÷11000)≒9090で売上は9090円となる。7掛けで仕入れたとすれば原価は7000なので利益額は2090と減る。そして本来発生する利益額との差3000―2090が契約負債としてBS(貸借対照表)に残る。そして後日1000円(原価70%)の商品を 全額ポイント(1000pt.)で払ったときに、売上910(BSの負債の額10000-9090)でその原価700となり利益は210となる。つまり合算すると10000円の商品の原価は7700となっており、利益額は2300で当初の利益額から-700の実績となる。簡潔に言うとすれば、通常販売なら11000(10000+ポイント分)売上原価7700、総利益3300(30%)の費用を分散させることによって、売上10000、売上原価7700、売上総利益2300(23%)とさせている。これにより、一気に利益をマイナスさせなくてすむようにしている。ただ、利益は当然マイナスする。

では、その原資はどこから出ているのか?明確にはわからないが、20倍ものポイントを付与する際は、基本ポイント(1倍)はイオンリテールが負担し、イオンペイの利用促進の目的の際はイオンフィナンシャルサービスが広告宣伝費として負担すると書いてある記事もある。どこが負担してもイオングループなのだが、一番傷が浅いのは上記した経費処理ではないだろうか。ポイント分をすべて経費で計上すれば非常に大きなものになる。どちらも収益面でのマイナス要素にはなるが、おそらく、金をイオングループで落としてもらおうというグループの政策だと思う。グループの収益構造を見れば、金融事業がリーダーであり、従来の中心事業の小売りが手段になっているようにも見える。そう考えれば利益貢献が小さいイオンリテールの存在価値もある。GMS事業をやめない理由にもつながる。

こういう販促とその実態を見ると、中小小売業はもう完全に大手企業には太刀打ちできないのではないかと考えてしまう。ただ、そうなれば大手企業の中で小売業はだんだん縮小されていくのかもしれない。マルイがフィンティック事業(金融情報業)で営業利益の8割を占め、小売業がなくなりテナント収入中心になっていったのと、同じトレンドともいえる。打算的に考えると、イオンも今後のステップとしてはGMSをやめて、イオンモールでのテナント化が普通の流れになるが、そうならないのは、まだまだ金融事業の規模が目標に届いていないということかもしれない。それとも、GMS創業者の意地なのか?

■今日のBGM

コーエン売却③ ・・・よほど切り離したかった?

数日前に、ユナイテッドアローズ(UA)のジーイエットへのコーエン売却について、少し詳細がわかる記事が出ていた。

コーエンの前年の業績は店舗数76店舗で、売上高約104億(前年比109%)、営業損失―3.6億、純損失―6,7億円だったようだ。なお総資産は約28億円、純資産は−38.1億円の債務超過状況と記事にはある。さらにUAはコーエンに対する約57億円の債権放棄を前提としている。なお、譲渡金額は2億円となっている。

この状況で数字だけを見ると、計算上負債は66億円強となる。そして資産をすべて売却しても債務が38億強残っている。だがUAの債権放棄を加味すれば負債は9億円に減少し、純資産は19億円(57億―38億)になり、資産もプラスに転じることになる。つまり債務超過ではなくなる。UAは57億円の債権放棄をしても切り離したかったということにもなる。

当然、UAやコーエンの担当者は誰も知らないし、両社の実情も全くわからない。その上で、気になったことを書いてみる。

ジーイエットの第3四半期決算を見てみる。金融投資事業が入っていて、暗号資産の評価損が売上原価に入っているのかどうか詳細は見えにくいが、小売事業では期間売上前年比93.3%、営業利益-9.16億となっている。おそらく閉店を進めていて、閉店セールで売上は何とか確保できているが利益率はダウンしている結果だと思う。コーエンはジーイエット傘下のアパレル企業とのプラス効果を譲渡理由に挙げているが、旧ジャバグループなどとの連動は大きなプラスにはならないと思う。つまり、譲渡先が腑に落ちない。アメカジの流れがあり、きれいに売っていた感があるブランドを、大きな債権放棄までして手放した先がジーイエットだったことがわからない。債権放棄しての純資産を考えると、2025年売上104億、店舗数76の会社を欲しがるところは多かったはずだ。例えば、アダストリアやパルGもターゲットが被る店はあるが、順当に考えればそのどちらかになっても不思議ではない。考えられる理由は、在庫評価が不明瞭なことか、販売員がUAに残るというような人の問題くらいしか思いつかない。

次に気にかかるのは、UAの企業力だ。コーエンの店舗数と売上から計算すると1店舗当たりの売上は年間1.4億弱になる。大型店もあるが標準的には40~60坪くらいだと思う。この数字を見るとそこまで厳しい数字には見えないが、他の企業と収益構造が違うのかもしれない。財務諸表がないのでわからないが、一般的に考えれば経費が多くかかっているか、在庫過多のどちらかだと思う。

そういう視点で見ると、UAは今のセレクト業界以外では戦えない企業に見える。そして、上場している関係もあり、売上を上げていく事に最も注力しているようにも見える。安易にアウトレットを拡大し、アウトレット用商品を作って数字を作っているように見えるし、グリーンレーベルも大型SCに来る新しい客層にUAの名前だけで商売しているように見える。このごろあまりショップを見てないので細かくは言えないが、昔は「ソブリン」や「ディストリクト」などのショップもあり、トレンドを引っ張っていたイメージがあるが、今はUAから派生した買いやすいブランドが多い印象が強い。トレンドより値頃化して客層を広げ、UAの名前で売っている感がある。そんな中、上場企業として違うターゲットへ進出が必要で、そのブランドがコーエンではなかったかと思う。そして、そのコーエンから撤退するということは、新しいターゲットゾーンでは戦えなかったという印象しかない。今後UAの値頃感を持った派生ブランドが飽きられれば、企業としての魅力は小さくなっていくのではと思ってしまう。

今回のコーエンの譲渡には、わからないいろんな経緯があると思う。ただ、UAがUAという名を借りずに、違うターゲットや環境で戦っていたブランドを破格で手放すのは、非常に残念な思いが大きい。

■今日のBGM

イオンの株でも買って見る?

「イオンの株を買ったら?」と勧められた。去年の5月くらいに株価を見ていて無印良品とイオンの株価には注目していた。無印良品は8月に株価分割を実施し、イオンもその当時は株価分割後で1500円くらいだった。小売業の業績は、決算数字や会社の戦略で、ある程度は予測できる。その意味で、株価分割され、さらに上昇している無印良品株は5、6月に買おうかと考えただけに、本当に失敗した。無印良品は、その当時発表された社長方針で、「期末に向けて売上は大幅増も、在庫過多を解消するため、利益率は現状維持」との発言があり、中間決算数字を見て同じ感想を持っていたため、好意的に受け取っていた。イオンは、イオンモールを上場廃止しイオンの子会社にしたことは評価していたが、まだ将来像が読めてこないのでずっと見逃している。ただ、最近の戦略が明確になってきており、ひょっとしたら化けるかもと思っている。

イオングループは金融事業を拡大しようとしている。イオンの前期決算で総合金融事業の営業利益は611億円で前年比119.8%、グループ全体収益に占める割合は25.7%で最も大きい。ちなみにGMS事業は売上構成比35.1%だが営業収益は6.9%しかない。さらに今期第四半期までで、金融事業の営業利益は404億円でグループ全体比率は27.9%となっている。ちなみにGMS事業の営業利益は前年より改善しているものの-116億円という結果だ。つまり小売業No1の集客力を利用しての金融事業の収益拡大と、それにより基幹事業たる小売業の改善を進めていく方針が明確になっている。近頃のイオンカードの優待日の多さや、イオングループ企業へのカード優待の拡大も顕著で、金融事業を企業の柱にしようとしていることがうかがえる。

イオンの株は個人株主が多く、現状個人株主数は90万人前後、株主全体の3割以上の構成比らしい。ちなみにセブンアイでは1割強が個人株主比率ということだ。個人株主への優待強化は機関投資家からは敬遠されているが、長期保有株主になっていく株主が増えるということになる。そして個人株主は議決権を行使し、会社提案への賛成比率も高いようだ。今後も、個人株主の比率をさらに上げてくようで、近い将来個人株主の数を200万人まで伸ばしたいらしい。イオン株主優待制度はまず配当金は1株あたり40円前後。株数に応じて買上げ金額に対してのキャッシュバック、各種優待企画との並行利用などの特典がある。

少し簡単に計算してみると、100株、株価2200円で試算すると、22万の投資。日本人平均世帯の食品消費支出年間108万、住居衣料品支出22万で そのうちイオンで8割使うと約100万の支払いとなる。その計算では、3万の優待返金がある。さらに、カード割引特典日も多い。特に近頃はカード特典が多く、1月も5%オフデイとポイント10%デイが10日もある。その特典も利用すれば最低でも、配当と優待返金等で広い意味での配当利回りが20%近くはある。ちなみにイオンHPの株主優待制度を見ると、100株保有のAさんは半年で100万買物をすることになっており、年間で6万円のキャッシュバックとなっている。ただしカード優待返金特典は半年100万買物が上限のようではある。

現状のイオンは、カード優待企画が多く、さらにイオンペイの普及に力を入れている。イオングループの企業(マルエツなどSM等)も同様にイオンカードのポイント還元は非常に多い。顧客の囲い込み戦略で金融事業を拡大し、小売市場の専有化を目指している。マルイグループを見ても金融事業での収益の安定は企業の推進力になっている。

その上で、イオンの小売業の再整備は絶対に必要だと思う。売上高の金額は大きいが、もうすでにGMSは崩壊している。食品以外の売場は冷静に数字を見極め、決断していく時に来ている。GMSの食品以外を個別に運営すれば間違いなく赤字になる。各カテゴリーを会社化すればすぐに結論は出る。㈱ジーフットがそれを示している。そのジャッジができて、改善ができれば、大きな利益の出る体質に変わる。

さて、100株でも買ってみるか。

■今日のBGM

数字を読む 2

厳しい数字状況で、気になる会社の四半期決算短信が発表されている。年度決算数値ではないが、今後の方向性や現状の問題点が見えてくる。チェックしている会社で1月発表されたデータを簡単に見てみる。

イオングループのジーフットが先日第三四半期決算短信を発表している。前年の決算で、イオンを引受先として第三者割当増資を実施し、さらに他の財務支援も受け債務超過を解消したが、今期第三四半期で再び債務超過の状況になっている。営業利益は第三四半期で−10.5億、経常利益は−12.2億と発表されている。売上は同期比で前年96.5%、利益率43.6%前年差-0.4、在庫前年比112.9%となっており、前年より悪化傾向は続いている。商品回転率はおそらく前年より悪化が予測され1.4回転前後になると思われる。ちなみに業界トップのABCマートの前年の利益率は50.5% 回転率は2.04回転となっている。

ジーフットはイオンGMSの靴売り場(グリーンボックス)も運営しており、純然たる専門店と言いにくい。近年「アスビー」への変更を進めており、専門店化を図っているがGMSから靴売り場はなくせない。おそらくここがネックになっている。ABCマートのように商品ターゲットを絞り込み、商品のメーキングができれば改善できるが、GMS客層の取り組みを続けると、客層の幅が広がり売場がぼやけてしまう。イオンとしてGMSの赤字をヘッジしているとも考えられるためGMSの存続も含めてイオンのジャッジが必要かもしれない。もともと靴業界はサイズが多く、それに加えて客層の幅が広ければ当然商売は厳しい。

タカキューも第三四半期決算を発表している。売上は同期比で前年90.4%、利益率63.0%前年差+1.0、営業利益32百万前年比17.0%、経常利益128(百万)前年比43.6%となっている。ただし決算期には有価証券売却益を計上するとしている。第3期末在庫では前年比135%となっており、売上前年比を考えると在庫過多であり、商品回転率も相当ダウンすると思われる。ちなみに第3四半期までの回転率は前年2.03に対して1.32まで落ち込んでいる。利益率の改善は高値入の商品を多く投入した結果と考えられる。ただ、在庫過多状況であり、回転率を考えるとそこまで商品の消化はできてないように見える。

現状主な主戦場は、元イオングループということもあり、郊外モールが多いが、売場の見せ方が整理されすぎているように感じる。ブランドビジネス出身の社長にありがちな、よく言えば「売場をきれいに見せる」、悪く言えば「気楽に入れない」店になってしまっているように見える。さらに、数値面も在庫を処分すれば利益率が急落するリスクが隠れている。やはり主な品種のスーツ業界はサイズが多く、単価も上がるため、在庫がキーポイントになる。

ライトオンの今月発表した第一四半期決算短信を簡単に見てみる。売上前年比64.7%、利益率52.8(前年+0.6)在庫前年比71.4%となっている。経常損失は続いており、今後ワールドからの資本援助で解消されるが、現状では債務超過の状況となっている。まだ今後のMDについては未知数だが、短信ではレディス商材が支持を集めたとある。レディスの比重を上げていくのであれば、ショップのゾーニングや内装にも違和感が出てくるかもしれない。サイズが細かいジーンズのウェイトをどこまで下げていけるかも含めて、「ジーンズのライトオン」としてのMDをどう変えていくかが注目される。さらに、ワールド自体が、このカテゴリーやそのMDを得意には見えず、どういう再生のスタートを切るか興味深い。

最後にヴィレヴァンの中間決算にも触れておく。売上は前中間期比で91.4%、売上総利益107.8%、総利益率45.2%前期比+6.9、営業利益167(百万)(前年同期-608)と改善数値を発表している。ただ、前期末に棚卸評価損2472(百万)、減損損失674(百万)計上しており、その評価減の戻り益が多分に含まれており、次年度以降の数字でなければ検証はできない。私見では、以前書いたが、商品管理体制を確立しなければ再浮上は難しいと思っている。

今回書いた4社はすべて在庫過多が原因で営業不振に陥ってきた。靴やスーツやジーンズのサイズの多さ、商品アイテムの広がりによる在庫の重さが、商品のジャッジやトレンドへの動きへの遅さを導いている。そこを改善しなければ再建はおぼつかない。個人的には、大手企業子会社の ジーフットやライトオンは、上場廃止の方向となるのではないかと思っている。

■今日のDVD

来年は中小小売業がどんどん厳しくなる

年末年始であわただしくなり、小売業にとっては最量販期を迎えている。会社をやっている時は、元旦の売上が年間売上の1%と読んでいた時代もあった。近年は労働環境の変化もあり、元旦営業しない商業施設も増えている。スーパー大手のヤオコーは正月3が日が定休日になる。労働環境の改善もあるが、この流れに中小小売業はついていけるのだろうか?

ファッション関連の中小小売業は、厳しい流れが続いている。おそらくこの流れは変わらない。ここ数年、上場している大企業でも売上の低迷により、M&Aが増えてきている。さらにファンド系企業の支援を受けて再生を図っている企業も多い。ただ、「ANAP」や「メソッド(シーズメン)」など従来の継続事業であるべき小売業の数字が低迷を続けているケースが多い。友人の経営している会社も、譲渡や廃業となった例が増えてきた。特に多店舗展開している企業が苦しくなってきている。

まず、価格志向が強まる中、柔軟な価格対応ができる品揃えを簡単にはできない。30店舗くらいの規模の会社でも、会社主導で売れる商品を継続して作っていけない。企業商品を作るのに中途半端な店舗数かもしれない。その商品も取引先と「相乗り」的な商品が多く、売上利益ともに貢献度は低い。逆に売れないとリスク要因になってくる。さらに「買い」の商品だけでは差別化も図れず、利益率も上げていけない。

規模拡大は成長するための第一条件になるが、どんどん出店コストも増大していく。内装コストも素材高騰で大きく上昇しており、デベロッパーへの出店経費も上がっている。SCのテナントリーシングも変化がなく、大手テナント中心の同じようなラインアップになっており、それ以外のスペースは賃料優先になっている。そのため、前向きなテナント出店には大きなリスクが伴うようになってきている。その環境下で出店に対して消極的になり、多店舗化のスピードが上がってこない。多店舗化が遅れると、当然チェーンメリットはなくなり収益の改善も進まない。

そして、スタッフが集まらない。給与面はもとより、正月定休の事例のように大企業との労働環境の違いはどんどん大きくなる。これだけ「待遇」のことがマスコミで流れれば、「やりがい」や「仕事の面白さ」よりもそちらが優先される。もとより「土日勤務で立ち仕事」という小売業には、労働力は集まってこない。

先日、西松屋が業績予測を修正していた。売り上げダウンとともに営業利益の大幅ダウンを発表した。IRでは「販売費、一般管理費は計画内で推移の見込みも、衣料品の滞留在庫を前倒しで処分したことで値下げロスが増加する見込み」となっている。これにより売上総利益率は2%以上のダウンになる。この発表は会社経営のミスではあるが、企業の正常な体質を感じるし、企業の度量の大きさも感じる。在庫評価のミスは隠そうと思えば隠せる。特に小売業は隠しているだろう企業は多い。さらに業績が悪化している企業は、在庫評価で調整している決算を多く見る。中小小売業であればなおさらだ。

いよいよ、中小小売業は首が回らなくなってきている。来年は、倒産、廃業、M&Aがどんどん増えていく。今後、中小小売業は、地域に数店舗あるセレクトショップのような固定客をターゲットにする店以外は残らない。

■今日のBGM(大晦日に)

利益率は簡単に上げられるし、簡単に落とせる

ヴィレッジヴァンガードの退店ラッシュと、セールのことがネットの声に出ている。捨て値で売っているらしい。評価損商品の売り方はわからないが、前期末に評価損2472(百万)を計上しているので捨て値にして販売していることは想像できる。これだけの金額の評価損があると誰がジャッジしたのだろう。そして毎年どういう棚卸をしていたのだろう。毎年の不稼働商品が積もり積もっての結果だと思う。さらに2013年にも4692(百万)の評価損を計上している。そして他の小売業ではライトオンが2023年に1564(百万)の評価損を計上している。

つまり、利益は「簡単に上げられるし簡単に落とせる」ということになる。売れていない商品をなくすには取引先に返品するか、値段を下げて売ってしまうしかない。取引条件はわからないが、取引先からの依頼で「売れるだけ売って返してくれればいい」という所謂委託条件でなければ、ほぼ買い取り条件になる。値段を下げるときに、原価を下げる値引を取引先が負担することもあるが、多くは小売り側のリスクで値段を下げてなくしていく。値段を下げれば当然利益は落ちる。このヴィレヴァンの評価損の大きさから、毎年の利益率の低下を避けるため、例年適正な在庫評価をしていなかった結果と言わざるを得ない。

このブログでは何度か書いているが、商品代金の支払いは、一般的には仕入れてから2か月~3か月後の支払いになる。3か月間で売れれば商品代金も払えるし、利益も確保できる。3か月で売れない商品が多くなれば、資金はショートしていくし、キャッシュが少なければ次の仕入れもできない。ヴィレヴァンの決算数字を見ると商品回転率は年1回転前後なので、単純に商品は1年後に金に代わることになる。商品代金は支払い済みなので当然キャシュは減っていく。それを防ぐために、値段を下げて売ればキャシュは入ってくるが、利益率は落ちる。利益率が落ちれば利益額も減るので営業数字は悪化する。過去10年値段を下げずに何とか決算数字は取り繕ってきたが、いよいよキャッシュも減ってきた。在庫も多くて身動きが取れない。そこで、やっと多額の商品の評価損で再整理をしたということになる。これでもまだまだ不十分に見えるが・・・

当然、上場企業でもあるし商品のPOS管理はしていると思う。そのPOSデータをどう活用していくかが今後の大きな課題になる。ヴィレヴァンについて書いている専門家?の中にも「POSがヴィレヴァンをダメにした」という記事もあった。POSがあるから個性ある商品がなくなったとの意見だ。ただ、それは違う。POSを使いこなせなかったということが正しい。販売期間が長くなった商品はまず売れない商品であり、その商品をなくして新しい商品を入れるために指示が出せなかったということだ。

昔、イトーヨーカドーはディストリビューター(DB)の力が強いと言われていた。バイヤーより権限があったと聞いていた。商品の動きを単純に数字で把握して、ジャッジをするスタッフだ。DBが商品の売り上げ動向や消化率、単品の在庫日数(何日在庫が寝ているか)を確認し、その商品の対策を指示する。当然在庫金額の把握もしていて、商品回転率や、予算との乖離も指摘する。その分析結果で在庫予算がオーバーする場合、仕入れは当然ストップの指示が出る。そして、値引きをもらって値段を下げるか、単純に値下げするか、売れている店に集積させるか、もしくは返品するかなどの指示をする。

ヴィレッジヴァンガードは商品データでの決め事を作る必要がある。売上と在庫のバランスを設定し、売上、在庫を念頭に置いた数値計画を作成する必要がある。それを品種、品群ごとに作る。そしてその期間を超えたときはどうすべきかも明確にしなければならない。仕入れは楽しいものでなく、仕入れた責任が付いてくることを認識させる必要がある。

あれだけ嗜好品のイメージのある店で、年間在庫回転率1回転前後なら、絶対商品の山になるし、間違いなく利益は出せない。今期は前期の評価損商品の売上も見込めるので、若干の利益は回復するが、今後も商品回転率が改善しなければ、企業存続は間違いなく難しくなる。

■今日のBGM

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