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パルコが夏のバーゲンを開催中止する

パルコが「今期の夏のバーゲンの開催を中止する」と新聞発表があった。気温上昇で夏物の販売期間が延びていることや、小売り各社もAIによる需要予測で在庫を減らせるようになったことが主要因とのことだ。確かに、昔の「2月8月は売れない月」から8月は「売れる月」に変わっている。新聞の論調は好意的な見方のようだ。

言わんとすることはよくわかる。ただ、7月になってなぜ発表したのだろう。おそらくずっと前に決定され、発表が今になったということだとは思う。当然各テナントには事前に通達していたと思う。そうでなければデベロッパーの信頼度は全くなくなる。

パルコはデベロッパーであり、小売業ではない。つまり賃料をもらってその賃料でコストを支払い、収益計上する。「最低賃料+歩率」「共益費」「販促費」などが各テナントとの契約となっており、それがデベロッパーの売上になる。つまり大きく言えば、歩合賃料などは変動要素になるが、テナントの店舗売上はそのままデベロッパー売上につながるわけではない(大型売り場は売上歩率だけというケースもある)。小売業(テナント)として考えると、当然売上は実売上であり、デベロッパーに払う家賃などは経費となる。わかりやすく言えば売上1000万、家賃(共益費込み)200万、販促費20万とすると。テナントの売上は1000万だが、デベロッパーの売上は220万+α(デベロッパーに支払う経費分)ということになる。デベロッパーの売上は当然実売上によって変動要素はあるが、テナントの売上の変動よりは安定しているといえる。

何を言いたいかと言えば、小売業は前年のセール時の売上に対して当然MD計画を組んでいて、最低でも前年数字を確保しようとする。ここでデベロッパーから「館としてバーゲンをやらない」と言われれば、売り上げダウン要素になってしまう。おそらく各店舗のバーゲンは自由にやっていいのだろうが、館としての販促効果はなくなり、各店舗のマイナス要素は避けられない。逆にデベロッパーとしては、バーゲンの代替企画は当然あると思うが、バーゲンの大きな販促企画経費(グランバザールとしてのCM、演出、媒体などのプロモーション経費)のコストカットの要素も見えてくる。

小売業は夏が長期化との考えはあっても、前年の数字は絶対確保しようとする。それに向かってMDも組んでいるし、セール商材も調達している。夏が長期化する傾向はわかってはいるが、前年の数字は追いかける。他の駅ビルや全国のイオンモールもバーゲンタイトルを変え、時期は遅らせてはいるが恒例のバーゲンはするし、新宿伊勢丹も6月26日にスタートしている。日曜日にイオンモールに食品を買いに行ったが、専門店はバーゲン一色だった。ただでさえ6月の数字は良くない企業が多い。当然売り上げ確保に全力投球する。

パルコも過去には「ポーカーフェイス」や「コレクターズ」「ローズマリー」など小売企業が傘下にあった。小売企業に寄り添うデベロッパーであったはずだ。さらに、地方のヤング層にファッションを提案してきたパルコから、渋谷、心斎橋のようなラグジュアリーやインバウンド要素の高い店に変わってきており、「身近な小売りの現場に寄り添う館」のイメージが消えていっているように見える。

何度も言うが、「夏のバーゲン中止」はおそらくもっと早く決定しており、各テナントとは調整をしての発表だとは思うが、頑張っている日本の小売業には寄り添ってないような気がしてならない。

■今日のBGM

本当に中小小売業は成長できない

もう新しいテナントは、中小企業から現れない。このブログでは、ずっと書いているが、さすがにデベロッパーも気が付いている。あれだけ急ピッチで開発してきたイオンモールも国内新規SCは八王子と福島県の伊達しか発表されていない。八王子は専門店数が21ということで新業態としての位置づけのようだ。ららぽーとも2029年に府中を計画しているのみとなっている。テナント構成はおそらく他のSCと変化なく大企業のテナント中心になり、そこに地元店が数店舗入店するおなじみのラインナップになると思う。もう個性を出したテナントは入店せず、わざわざ行ってみたいRSCは出てこないと思う。そうなった原因は、イオンモールを中心とした大型モールの乱立にも一因がある。

まず、一般的に中小小売店が事業拡大するには、エリアで地道に商売し、認知され店舗を増やしていくしかなかった。土地コストの安い地方から始まったモール戦略が、地方のそういう店舗を導入してモールの認知力を高めていった。そして急激なモール数の拡大に合わせて、出店を重ねていった地方発祥の店舗が完全に息切れしていった。大企業がモール用のブランドを開発していくにつれ、フロア変更や条件変更もあり、フェードアウトしていった。企業力が、急激なモール事業の拡大についていけなくなってしまった。逆にモールも大企業のどこにでもあるテナントが多くなり、個性化が図れなくなっている。そして、近年のRSCは大企業のテナントが多くなり、さらにテナントの大型化もあり、条件面のしわ寄せが中小型店舗に来ている。その結果、完全に中小小売店は成長できない状況に追い込まれている。

ただ、今でも頑張っている地方の名店はある。特にセレクト店舗が多い。そういう店は、販売スタッフを大事にする。待遇よりも商品が好きで働いているスタッフが多いからだ。大事な顔見知りのお客様とファッションの話をしたいスタッフだから、わざわざその店まで買いに来てくれるお客様を大事にする。オーナーはそういうスタッフやお客様を大事にする商売をしている。SCの環境は個店のお客様を大事にしにくい。かつて、SCに出店していた個性的なショップはそれが理由で退店していった。

ただ、そういう名店も長くは続かないように思う。主には「人対人」で成り立っているからだ。まず取引先との問題。ほとんどがカリスマ的なオーナーとの商売から始まっており、そのオーナーとの意志がどこまでつながっていくかだ。人が変わると突然ビジネスライクになることもよくあることだ。商売条件の変更もあり得る。さらに、「次の顧客」を開拓できるかだ。「人対人」はお互い年をとる。つまり「顧客の若返り」も課題になってくる。地方にその課題解決はできない。

もうよほどの名店でも、地方で路面店だけでは生きていけない。だから、地元の名店がRSCの1階に出店したりする。ただ、近年はデベロッパーが好調テナント(ユニクロや無印等)の大型化を断れなくなっており(近隣他SCへの移転を防ぐ)、そういう地方名店がそのあおりを受けて消えていっている。さらに大型区画にして出店している名店もあるが、売場からはその強烈な個性は消えている。

モールのリーシング担当者も、複数ショップを展開する取引先と出店交渉する方が話は早いし、まとまりやすい。さらには大きな区画も提案できる。そうなればさらに中小小売業の出店の余地はない。以前の会社でも、あるSCでは隣接大型テナントの拡大で収益店舗を退店したこともあるし、出店交渉で前向きに動いていたが、大企業からの横やりで話がなくなったりしたことがある。

人手不足も重なり、もう中小小売業は事業拡大に前向きにはなれない。逆に整理する時期になっている。

■今日のBGM

この流れでは小売企業は利益率を求めてくる・・・

友人と話していると、小売業に販売員が全く集まらない状況らしい。当然の流れで、これからもずっと続くことは予測される。全国の企業で給料アップが続いており、大卒初任給の平均は24.8万円となっている。大都市近辺はそれ以上になるらしい。これを時給換算すると22日8時間勤務で1410円になる。アルバイトの地域最低時給も全国加重平均値は1121円になっており、東京、神奈川では1200円超で、低い県でもすでに1000円は超えている。そんな中、小売業では最低時給ではスタッフが集まらないようだ。立ち仕事で土日勤務になれば当然かもしれない。さらに調べてみると、ユニクロの正社員の初任給は37万円、転勤なしでも28万円となっている。無印良品は学歴関係なく27.4万円のようだ。

厳しい労働環境で、給与が低ければますます販売員は集まらない。当然どんな企業でも給与を上げる。上げなければ高賃金のところに流れる。最低賃金だけではなく、既存社員の給与を上げなければ給与ピラミッドが崩れてしまう。既存アルバイトも当然時給はアップさせる。さらに「106万の壁」がなくなり、企業の社会保険料の負担も増える。つまり企業の人件費はどんどん上がっていく。人件費が上がっていくと労働分配率も上昇する。そして労働分配率を抑えるためには、企業として利益率を上げようとする。営業数値上、当然の政策に見える。

ここでいつも問題になることがある。無理に利益率を上げようとすることだ。トップがその政策を出せば会社はその方向に向かう。施策としては、高値入率商品を数多く投入する。値下げは極力控える。単純に売れる高値入商品を入れて、順調に消化し、さらに追加フォローも順調に流れれば問題なく利益率は上がる。利益率が上がれば、人件費分をプラスされた利益額でカバーされ、労分率は上がらない。ただ、商売はそんなに簡単ではない。順調に売れて、仕入も継続できる商品などほぼない。つまり、結果的には利益は改善できても売上が改善されなければ、仕入れた分当然在庫は膨らむ。そして不稼働在庫が増える。不稼働在庫の値段を下げて処分しなければ回転率も悪化する。

どんな企業でも不稼働在庫は処分していかねばならない。ファッションライターの小島健輔氏はユニクロのシーズン通しての平均値下げ率は10%~15%と試算している。回転率が高そうなユニクロでさえ年間これだけの値段を下げている。為替の変動やボーディングコストの上昇もあるが、ユニクロの利益率が54%台というのは適正価格を追求している結果だとも言える。ユニクロのように完全にSPA型MDで回転率も考えている企業でも、利益率は「商売の結果」として納得できる数字になっている。

つまり、利益率は「商売の結果」だ。利益率を無理に上げようとすると、どこかにひずみが生まれる。一般的には、売上が伸びず在庫が膨らみ回転率が悪化する。

数字だけで経営をしてはいけない こういう時こそ、現場主義になり、現場発の提案に耳を傾けるべきだ。商売はやはり「売れてナンボ」の世界だ。

■今日のBGM

地方の百貨店の存続は難しい

群馬県の県庁所在地である前橋市のスズラン百貨店が今年11月をもって閉店するという記事があった。また地方中心都市から百貨店が消えていく。

昔の地方中心都市は、現在では好立地ではない。鉄道を引くにあたって、街の中心地は難しかったため、少し離れた場所に駅を建設していった。つまり、昔は交通網としての駅中心の街ではなかった。地方都市の旧市街地が駅と離れているのは、そういう歴史がある。旧市街地の衰退は、鉄道の充足により影響を大きく受けている。前橋もその影響は大きい。

また昔の話になって申し訳ないが、前橋は社会人として小売業に従事した最初の土地であり、初めて行った街でもあった。それまで北関東以北には足を踏み入れたこともなかった。当時の前橋は中心市街地に前三百貨店(三越系)、西武2館(西友西武)、スズラン百貨店に加えて量販店のニチイ(マイカル)、長崎屋があった。この当時のGMSは今の郊外型ではなくニチイも6層の駅ビルタイプだった。ちなみに隣接している高崎には、スズラン百貨店高崎店、高島屋高崎店、藤五(伊勢丹系列、その後BIBI)があり、量販店ではダイエー(6層)ニチイ(8層)の大型物件があった。

今回の前橋スズラン閉店により、県庁所在地の中心市街地から百貨店がなくなることになり、過去5つもあった大型商業施設が消えてしまうことになる。ちなみに高崎市街地にあるスズラン百貨店高崎店も移転し、物販3層の2000坪位に縮小しており、もう百貨店の姿ではない。結果的に群馬県の百貨店は、高島屋高崎店1店舗になってしまうことになる。

その高島屋高崎店の売上は2025年2月期で161億円と公表されている。30年くらい前はスズラン百貨店計で420億位の売上(高崎スズランが約200億)だったと記憶する。当時の高島屋も200億超くらいで、後に別会社化されていたような気がする。私事ではあるが、その当時は高崎サティ、ビブレの店長を務めていたのでそういう記憶がある。現状、高島屋はスズラン百貨店の移転縮小で数字が辛うじて回復しているようだ。ただ、百貨店客層の戻りはそんなに大きくない。伸びてきているとはいえ、現状の売上では百貨店としての存続は非常に厳しいラインではないだろうか?高島屋でも売上はワースト2(ワーストは大宮)のようだし、今後前橋の百貨店客層をどう取り込むことができるかが、存続のポイントになりそうだ。

ただ、群馬県の商業の現状を見ると、完全にRSC中心に変わってしまっている。駐車場施設が少ない駅前に、わざわざ電車を利用して買い物に来る客数が増えるとは思えない。特に百貨店中心客層の高年齢層は、外出の機会も減っていく。さらに地方駅前のメイン客層はティーンズ層であり、そのターゲットの人口減も重なる。10年先を考えると駅前での百貨店の存続はないとしか思えない。

近隣の北関東の百貨店の数字を調べてみると。栃木県は東武宇都宮百貨店が2024年2月期売上269億円であり、近年は200億前後という情報もある。損益面も2024年純損失8.4億円という数字がある。茨城県では水戸京成百貨店は2025年2月期売上232億円、純損失6.4億円という数字となっている。両店とも地方関連会社としての扱いなので正確な帳票でないのかもしれないが、収益は赤字の状況のようだ。逆に栃木県の福田屋百貨店は大型RSCのような郊外物件で、未上場で数字は公表されてないが売上は2022年415億円(単店ではない)のようだ。

つまり、北関東各県に残っている百貨店はすべて赤字の状況が続いているということのようだ。いよいよ地方百貨店の存続は難しくなってきている。

■今日のBGM

今後、伸びる要素のあるSCは?

小売業の流れは本当に早い。45年位前、大学を出て就職口がなく何とか流通業に滑り込んだ。その当時はGMS絶好調時代で、どんどん店舗を拡大していった。それがもうダイエーがなくなり、イトーヨーカドーもGMSではなくなった。入社したマイカルも民事再生後イオングループとなった。さらにイオングループのGMSも体裁は整えているが、SMを除くと収益は出ていない。金融戦略のために、損益度外視で続けている現状がある。つまりGMSはなくなったと同じ状況にある。

さらに、百貨店もすでに大都市にしか成り立たなくなってきている。大都市東京都下でも、渋谷でさえ百貨店はなくなってしまう。おそらく10年後には半数ぐらいの県庁所在地でも百貨店はなくなってしまうのではないかと思う。個人的にはファッションビルも経験したが、マルイ(一応ファッションビルの分類)は金融業に転じほぼなくなり、ビブレもほぼ消滅し、パルコのみ大都市で残っている。駅ビルも同様の流れで、交通拠点の駅でしか成り立っていない。

代わりに、RSC(大型モール)がイオンモール中心に続々出店してきた。ただ、20年以上経過し、現状はもう完全に勢いは弱まってきている。新規物件は少なく、新規出店場所も地方郊外が多く、今後の地方人口減を考えると、全くプラス要素はない。完全に飽和状態になってきており、逆にイオンはCSC(コミュニティSC)やNSC(ネイバーフットSC)の開発を進めている。反面、大都市近郊に慎重に出店を続けるららぽーとは堅調に数字を確保してきている。

この50年近くの商業施設の動きを簡単にまとめると以上のようになる。

今後20年で果たしてどう変わるか?高齢者が増え続け、大都市に人口は集中し地方都市はますます高齢化が進む。20代から50代までの人口は現状の5911万人から10年後は5200万人前後に、20年後は4800万人前後にまで減少する。10年後は現状の88%になり、20年後は81%になってしまうということだ。さらに高齢者層(特に年金受給者層)は、「食」への消費は大きく減らせず、おのずと「衣」への出費は減ってくる。

国内の人口推移を見ていれば、国内の消費量は間違いなく大幅減となる。当然、大手資本の企業は海外を視野に入れるようになる。そうしないと数字はまとまってこない。国内では、郊外のRSCは、地方中核になった物件(400億規模)とららぽーとのような大都市近郊の物件以外は、マイナストレンドになってしまう。特に郊外の中核物件以外のイオンモールは淘汰が始まる。百貨店、駅ビルも大都市物件のみ存続されるが、地方はどんどん淘汰されていく。

狙い目を探すなら、おそらく大都市近郊のCSCではないかと思う。関東でのイトーヨーカドー物件がわかりやすいが、GMSの食品以外をテナントにした物件と思えばいい。衣料服飾品や住まい雑貨の大きな売場に「ユニクロ」や「無印良品」を導入する環境ができれば、その物件は間違いなく再生する。その環境づくりができるかどうかだ。同様にイオンもできそうだが、イオンは金融政策上GMSを続けそうだ。おそらく今後唯一可能性があるのは、都市型に限るがこういう物件だと思う。

唯一の狙い目に、どの企業が一番早く着手するか注目している。

■今日のBGM

コンビニについて考えてみた

セブン&アイの鈴木元会長が亡くなられた。コンビニの「生みの親」と言われている。お会いしたことはないが、以前も書いたことがあるがイトーヨーカドーの体質はよくわかっている。特に鈴木氏が作り上げた「セブンイレブン」(以下セブン)は小売業の1つの大きな柱になっている。

マイカルをやめる前、イオンの経営者養成の社内研修を受けた。1年以上の研修で非常に厳しく、課題解決などのスキルを学び、最終的にチーム分けされ、出された課題について岡田会長にプレゼンするというような研修だった。課題はいくつかあったが、チームには「今後のコンビニを活性化させるには?」というテーマが与えられた。おそらくイオンの課題をテーマにしていたと思うが、チームで必死に検討した思い出はある。(途中で退社したが・・・)その時のプランは「ガソリンスタンドとの協業」や「店内での酒含めた飲食」(その後どこかで実現していた)などをまとめていた記憶がある。ただ、いろいろ分析すると「セブン」には勝てないなとは感じていた。

近年のコンビニ業界を見ていると、「都心対策」が一番注目されているような気がする。イオンの「まいばすけっと」対策で値段に太刀打ちするためにどうしていくか。各コンビニの個性をどう出していくのか。等… そのためにファミリーマートがTシャツ中心にアパレルに参入し、セブンも再びアダストリアとコラボするというニュースが出てくる。このアパレル参入については非常に厳しい見方をしてしまう。商品を見てどうこう言う以前に必要あるのかということだ。

コンビニはFC事業で成り立っている。いろんな仕組みはあるが、結果的には仕入れ代金はFCのオーナーが支払うことになる。つまり商品を早く売って、現金を回収しなければならない。一般的なコンビニの回転率は月2.3~2.5回転で、セブンに至っては3.5~4回転以上のようだ。その中にファッションを入れてどれくらい回転するのか?肌着としての感覚でも、衣料品よりは回転するが、月0.5回転くらいではないだろうか?ファミマのファッションのコンビニでの売り上げは200億を超え300億に近づいているようだが、ファミマ全体の売上からすると0.6%くらいしかない。什器も3台くらい使うそうだから陳列台別にも効率は良くない。本部がリスクを持つ条件かもしれないが、現場からするとイメージ以外プラスの感覚はあまりないように感じる。急に必要ならネットでもすぐ買えそうだ。つまり、商売より大都市のコンビニ間の差別化が一番の目的になっているようにも感じる。

イオンの研修の時に感じたことは、過疎地にも出店しているセブンが最終的には残っていくだろうなということだ。近年特に感じるが、高齢化と大都市集中で将来的に地方はどんどん過疎化が進んでいく。行政が3セクをFC化してセブンを運営していく事も考えられる。実際、もうそうなっているところもあり、役所の中にコンビニができていたりする現実もある。金融面(セブン銀行)や宅配のシステムも整っている。収益面では大きくならないが「公」と組むことでリスクヘッジができるかもしれない。ライフラインとして絶対に必要になるし、それを想定しての店舗網ではなかったのかと感じる。

ただ、最終的には都心の数字が企業の幹にはなる。現実的にコンビニの最優先課題は、既存商品外の商品での差別化より、現状の品揃えのレベルアップと人的課題の対策になると思う。日販の数字を見る限り、セブン独走の気がするが・・・

■今日のBGM

なぜ「在庫評価損」を毎年計上しているのか?

前回「在庫評価損」について書いていて、腑に落ちなかったので、少し調べてみた。前回イオングループの「ジーフット」について書いたので、同じくイオングループのカジュアルファッションで上場企業の「コックス」も調べてみた。ちなみに前期(2026年)の評価損金額は未発表で計上済とは記入されている。簡単な数字は以下のようになる。

2026年度 総利益率62.2% 回転率2.9 

2025年度 総利益率62.5% 回転率3.2 評価損6.2億

2024年度 総利益率62.7% 回転率3.6 評価損5.3億

2023年度 総利益率57.8% 回転率3.7 評価損5.5億

2025年は期末在庫金額が19.5億なので評価損の金額がいかに多いかよくわかる。

もともとカジュアルファッションの企業なので期中に自由に値段は変更できる。セールで売り切ればいい。普通の企業ならキャッシュが欲しいのですぐ商品を金に換える。次年度迄商品を繰り越すとすれば、ブランド品で割引の規制がある場合や、競合店とのバッティングで取引先との整合がある場合くらいだ。この数字は、キャッシュに心配のない企業で数字コントロールしてればいい大企業サラリーマン経営に見える。さらに付け加えると、期中に値段を下げて利益率を落とすと株価にも影響が出るので避けているとも見える。

一方、「どれだけ売れない商品を仕入れているのか?」ということになる。利益率ありきで、利益率を稼ぐために仕入れているという見え方もある。推測で書くと、「売上が大きく上がらないので利益率志向になる」→「原価率を下げた商品を大量に作る」→「売れずに残る」→「次年度に向けて評価を下げる」→「次年度セールでたたき売る」(利益も回復する)の構図を続けている。商売ではなく「数字合わせ」になっている。

利益率62%という数字だが、ファッション小売業での前期の総利益率はパルG57.5%、アダストリア54.7%、ユニクロ54.1%であり、海外生産が多い大手小売企業でも60%を超えてこない。おそらく利益率を念頭に置いて、原価率を抑えた物づくりを進めていたのではないかと思う。商売は「売れてナンボ」がわかってない。さらに商品回転率の数字もパルG5.84回転、アダストリア4.64回転、ユニクロ3.19回転に劣る。つまり商品が動いていない。

ここまで書いて、いやな気分になってきた。「売れる商品を売れる値段で売る」という簡単なストーリーが崩れてしまう。海外で安く商品を作って相場より3割くらい高く値段をつけて販売し、利益率を稼ぎ、売れ残ったら決算で評価替えをして次年度売り切る。これをずっと繰り返している。何の仕事をしているのだろうと思わないのだろうか?そして、もっと嫌な気持ちを持っていると思うのは現場(売場)だ。おそらく売場が商品の動向を一番わかるし、売れない商品を押し付けられていることも分かる。それだけで士気が下がる。こうなると数字は改善していかない。

こういう流れを見ていると、「コックス」はファッションを売る小売業ではなく、イオングループの商業施設に出店するだけの手段としての小売業にしか見えない。それはそれでイオングループには必要な会社なのかもしれない。

経営理念は何だろう?お客様を見て商売しているとは思えない。こういう商売を今後も続けていていくのだろうか?

■今日のBGM

持論「在庫を持つ商売は失敗する」の検証 ②

前回からの続きで、少し趣旨が違うかもしれないが、「在庫評価損」について書く。前回指摘した企業の決算期で近年の「在庫評価損」は以下の通りとなっている。

・「ライトオン」2024年15.6億、2022年23.3億、2020年25.4億

・「マックハウス」2023年12.7億、2022年12.4億、2021年13.2億

・「ジーフット」2024年20.5億、2023年21.2億、2022年33.3億

・「タカキュー」2021年12.3億 ・「ヴィレヴァン」2025年24.7億

この数字は決算期で評価を落とした金額である。この金額はあくまで原価なので、売価にするとこの倍の金額ぐらいにはなる。極端に言うと「ライトオン」は2024年の決算期に15.6億分の商品を捨てたことになる。実際は捨ててないが次年度売れる値段で販売していることになる。もし0評価にして次年度いくらかの値段で売ればその分利益率は回復する。今期「ヴィレヴァン」の利益率が改善されたように見えるのはそのためだ。

なぜ、毎年決算期に評価損を計上するのだろうか?商品消化率が悪く、季節商品をキャリーしたが、次年度消化できる値段ではなく、消化できる値段に決算期に落としたということかもしれない。売り切るにはさらに期中で利益を落とすしかないが、競合、取引先等の絡みもあり、期末での処理になったという理由かもしれない。ただ毎年のように繰り返し大きな金額の評価損を計上していて、例年在庫金額が減らず回転率が悪化しているのを見ると、経営状況を疑わざるを得ない。そして、上記企業は慢性在庫過多で仕入れコントロールが全くできていない。

前回書いたが、上記企業はすべて在庫回転率が悪い。つまり金がうまく回っていない。在庫回転率を上げるには、売上が伸びなければ在庫を減らしていくしかない。つまり、仕入れを減らすということで、仕入を減らすと原価率の改善がなければ、当然利益率の回復はない。そうなると、前年と同じ金額を仕入れないと利益率は維持できない。そのため、その繰り返しの状況になっていたことは、想像できる。

評価損の数字を探していて、気が付いたことがある。上記したすべての企業の最後(株主変更前)の決算短信には在庫評価損の記載はあるが、それ以前の数年間は決算短信には記載がなく、有価証券報告書には記載されている。つまり一般開示はされているが企業のHPでは見ることはできず、手続きが必要になる。数十億単位の商品が消えたことを調べなくてはわからないということになる。さすがに企業譲渡や上場廃止という大きな節目には発表せざるを得なかったということだと思う。それが、旧経営陣や監査体制が問題点を先延ばししてきた結果として表れている。詳細はわからないので、あくまでも憶測でしか書けないが、もしそうなら従業員や株主をないがしろにしている。問題を先送りしていたことになる。

結果的に、各社これだけの金額の商品を毎年捨てていたという事実がある。売れなかった商品が毎年これだけたまっていたことになる。それを毎年繰り返している。毎期大きな在庫評価損を出し続け、現場スタッフを放置した経営陣の責任は非常に大きい。毎年繰り返した先送りのツケを従業員の解雇や店舗閉鎖という形で払わされてきたということだ。

ここに至ったのは「在庫回転率の低さ」が主要因だ。年間2回転前後の小売業としての商売は、商売の仕組みが完全に壊れていた結果だし、何より在庫に対する認識の低さが導いた結果だ。上記5社の大きな経営課題はそこにある。

■今日のBGM

持論「在庫を持つ商売は失敗する」の検証 

GW中で、企業の本部は休みでIRもなく、春物と夏物の切替期でもありファッション業界での発信も少ない時期だ。そういう時期なので、このブログでは再三書いてきたが「在庫を持つ商売」について現状の検証をしてみたい。

小売業は「売上」「利益率」「在庫」が3大要素だが、どうしても「売上」の額、前年比に目が行き、その次に利益額を算出する「利益率」に注目する。「在庫」はPL(損益計算書)には出てこないので見落としがちになる。「売上」を上げていくには売れる商品を仕入れて売っていく事になる。売れない商品や売れなくなった商品は値段を下げて処分していく。値段を下げると「利益率」はダウンする。「利益率」を維持するために処分せず値段を下げないでいると、「在庫」が増えていく。

「在庫回転率」という指標がある。月度では「売上」÷「在庫」(平均在庫)で計算される。その数字に12(12ヶ月)をかけると「年間回転率」が出る。単純に四季で商品が入れ替わるとすると年間4回転になる。つまり入荷した商品が3か月後になくなったことを意味する。一般的な商売の基本は、業者(メーカーなど)に対して支払いは仕入れ月の翌月末であることが多い。その商品の利益の幅(原価率)にもよるが、2ヶ月でなくさなければ代金は支払えないことになる(その他いろんな取引条件はある)。そして、売価(販売価格)と売上原価の差が利益額になり、それで経費を支払うのが小売業の金の回り方だ。つまり回転率が悪化すればキャッシュインが遅れ支払いに間に合わなくなる。原価率によって利益額は違うので一概には言えないが、当然回転率が悪くなるとキャッシュフローは厳しくなる。

このブログでも、回転率の悪い上場企業を指摘してきた。ジーニングを打ち出した「ライトオン」「マックハウス」、ビジネスイメージが強い「タカキュー」、靴の「ジーフット」。各社とも、すべて中心商品のサイズが細かい。つまり、中心商品を広げると在庫過多になりやすい。さらに、別カテゴリーだが、商品の幅が広すぎる「ヴィレッジヴァンガード」。近年、そのすべての企業体に変化があった。そして5社とも過去の決算時に在庫評価損を計上している。極論になるが、これは在庫金額を正しく評価せず、決算を重ねてきたということに等しい。正しい評価をすると利益率が大きく下方修正され、それにより決算数字が悪化するため、在庫評価の先延ばしをしてきたということだ。詳細は別途まとめることにする。

上記各社の商品回転率を調べてみる。評価損計上年度があるのでその影響がなさそうな年度で、「ライトオン」2023年1.43回転、「マックハウス」2024年2.17回転、「タカキュー」2022年度1.83回転、「ジーフット」2024年度1.44回転、「ヴィレヴァン」2024年度0,99回転という結果になる。この数字を見ると、年間2回も商品が変わらないということになり、平均すると入荷して6カ月たっても商品が売れてないということになる。ヴィレヴァンに至っては、1年たっても商品は売れてないことになる。商品が売れないと金は回らない。

一般的には商品回転率は3~4.5回転くらいが標準範囲になっている。前期の決算時の回転率ではユニクロ3.1回転、アダストリア4.75回転、パルグループ5.84回転、しまむら7.75回転、ニトリ4.17回転などとなっている。売上好調の無印良品は2.36回転と低い。しかし、無印良品は回転率の低さを意識しており、「在庫コントロール部」を作り、商品部以上の権限を持たせようとしている。

小売業で一番大事なことは、「売上」を増やすことではなく、商品をうまく回転させて入れ替えていく事だと思っている。自らも商品回転率を一番大事なチェックポイントだと思って仕事をしてきた。近年、企業譲渡や株主変更があった小売企業は、すべて商品在庫の処理を怠った結果だと確信できる。

■今日のBGM

客層の幅を広げると商売は難しくなる

前回、ジーフットのことを書いていて、「アスビー」と「グリーンボックス」の2業態を持つことが経営悪化につながったのではないかと書いた。「アスビー」はスポーツシューズが中心でキッズも加えたカジュアル業態で、「グリーンボックス」は所謂、GMSの靴売場で、スポーツシューズのラインは増えたが、どちらかというと高年齢層の靴売場だった。最近はGMSの衣料品売場の改装時に、専門店側にレイアウトを移し、従来の「アスビー」内装で若干ビジネス要素を広げた店になっている。

靴は商売が難しく、まずサイズ、色が多くSKU数が異常に多い。商品劣化が早く、さらに取引先特性もあり、衣料品などのようになかなか簡単に取引先返品交渉ができない。つまり、在庫を抱えての取引先商売では簡単に利益は出にくい。さらに近年の消費動向はブランド志向も強くなっている。ジーフットは特に商売が難しい高齢者向けの「グリーンボックス」の数字が非常に厳しかったと思う。つまり2つの客層の商売が、お互い相容れなかったことが経営悪化の一番の要因だった。

上場廃止になったライトオンも同様の流れがあった。もとはメンズのジーンズ専門店がスタートで、レディスを加え、売場を拡大してキッズも含めファミリー層への店舗になっていった。普通に考えて、メンズ、レディス、キッズで3通りの品揃えをすれば、商品特性も違うので3倍の人数が必要になるが、人的コスト削減を目指すと数字は伸ばせない。逆にニーズの多様化で商品以外のサービス内容も増えてくる。そして、商品のライフサイクルも違うし、客層もファミリー層へ変化する。「ジーンズを買える店」から「ファミリー層の店」になったことで、ユニクロなど強力なテナントと対峙し価格や資本力で負けていった。結果、ライトオンの実績数字を見ると在庫は足し算で増えていったが、売上はその流れに合わず大きく伸びなかった。

今まで、客層の幅を広げて成功した店は思いつかない。商品の幅を広げて成功した店もあまりないが、しいて言えば無印良品くらいではないかと思う。ただここにもリスク要素は隠れている。近年はスキンケアなどで客数を増やしているが、もともとスキンケアは利益率が高い反面、回転率は低い。つまり商品の流れが変わったり、強い競合商品が出てきたときのリスクが大きい。大手アパレルでやっている衣料品プラス雑貨の店に関しては、あくまでも衣料品を売るための環境的要素が強く、商品の幅を広げる意味合いではないと感じる。

客層の幅や、商品の幅を広げるのは大きなリスクを伴う。もし広げるなら、まずメインの取扱商品に付随するだろう商品を広げていく事が望ましい。そうすれば在庫リスクを抑えつつ客層を広げられる可能性はある。

いずれにしても、客層や商品の幅を広げるときには、実験を繰り返し「小さな根拠」を積み重ねることが必要になる。

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