カテゴリー: 経営管理 (6ページ目 (6ページ中))

出店計画について

小売業の一番の投資は出店投資になる。資金力のない企業は出店の失敗は会社の危機につながる。以前30坪の店をSCに出店するだけで2000万円以上の資金が必要と書いた。敷金は当然退店時返却されるが、撤去費として考えるとほぼそれぐらいになる。

それでも、店舗数を広げない意図があり、囲い込んだ顧客商売以外の業態であれば、店舗数の拡大によるメリットは当然大きい。

出店計画については、ここしばらく話題にしている人件費のアップや、人材不足の問題以外にも検討すべきことが多い。冷静に分析する必要がある。

自分のことを振り返ると、経営していた会社で出店数は全部で31、退店は8.退店理由で見ると3店舗は営業不振による退店。後はSCの都合と契約満了。営業不振の3店舗はMDのミス(新業態の失敗)と出店場所のミス。契約満了での退店理由は人員問題(販売員が慢性的に不足)が3店舗。デベロッパー側の会社都合はマスターリースしていたSCが出店場所を返却したためが1店とゾーニング変更に伴う代替区画の交渉決裂が1件。振り返ると失敗店舗は営業不振による退店の3店舗かなと思う。

出店時に考えることは当たり前のことだが、収益が出る物件かどうかということに尽きる。出店検討で必ず作成していたのは契約期間での収益予測。ここで考える必要があるのは普通の店のPLに加えて、投資の経費と償却を加味するということになる。

投資経費で大きいのは内装投資になる。経営していた会社ではまず経費計上分(10万以下の備品、30万以下の什器(※年間出店店舗数による))を内装投資の20%で想定し初年度に経費計上、年間減価償却は計算上(投資額-経費計上額)×30%で想定し試算していた。(当然実処理は会計基準に準ずる。)想定店PLから出店コストまで考えて検討はしていた。これで2年目からは単年度黒字を出店のハードルにしていた。ある意味高いハードルで出店計画をクリアしても退店はあった。

今は、出店のまず一番目のハードルは「人」(販売スタッフ)がいるかどうかになってくる。

さらに高くなった損益分岐点売上をどれだけ下げることができるかの賃料交渉になる。デベロッパーの認識が従来と変わらず、従来と変わらない条件提示だと、健全な会社は絶対出店していかないと思う。逆にデベロッパーは条件を下げてでも売り上げは上げてくるテナント、例えば歩率は下げても売り上げが上がることによってデベロッパー収益は減少しないだろうテナントを導入する必要が出てくる。

果たして今後デベロッパーは妥協してくるのだろうか?

■今日のBGM

今後の出店について思うこと

お盆商戦は大きく前年売り上げをクリアして好調という声が多い。ただ、去年はコロナがまた増えてきて集客に陰りがあった時期で、コロナ前と比べるとまだまだそこまでは戻ってないような数字のようだ。

コロナ3年間の傷は大きく、今年の春夏で退店が目立ったようだ。以前書いた自宅の最寄り駅15Km圏の安定的な商業施設を確認すると、さいたま新都心コクーンでワンズテラスなど衣料雑貨系で4店舗、飲食で4店舗の退店、イオンモール浦和美園でもスピンズなど衣料雑貨系で5店、飲食で2店舗の退店が確認される。

小売業の利益は売上から単純に仕入れ原価との差益を計算したのが売上利益額になり、そこから営業費を差し引いた金額が営業利益になる。SCに置き換えると各テナントの売上計はSCの売上高(管理売上というべき?)とすれば、売上総利益高は家賃収入(共益費なども含める)となる。

ということは、SCは退店が増えると総利益高が減るということになる。いろんな営業費(もちろん人件費も入る。)や資本費(償却など)などで収益は調整できるが、SCで一番大事なのは総利益高を減らさないこと、つまり賃料収入を減らさないことだ。退店が増えるということは賃料収入が減ることは誰でもわかる。そのために新しいテナントを探して出店してもらう。その時に、今までの賃料より少ない賃料でテナントを導入すると、総利益高は減るということになる。新テナントを探すがその時のジャッジの基準が問題になる。テナントリーシングについてはまた改めて書くが、まず大前提は賃料最低現状維持となる。

つまりよほどSCにとってメリットがあるテナントでない限り、賃料は大きく下げてこないということになる。売れているSCなら当然賃料が第一基準になる。逆に空床が目立つ厳しいSCなら条件の交渉がしやすくなる。

従来の出退店は賃料交渉や売場ゾーニングが一番大きなポイントになったが、ここにきて大きな問題が出てきた。「スタッフが集まらない。」「給与基準のアップ」という「人」の問題だ。最低賃金が時給1000円になればフル勤務で月160時間(1日8時間×週休2日)働いて給与は最低1人16万となる。交通費や会社負担の社会保険料などを考えて会社負担を25%とすると、人件費として最低1人20万が経費計上される。4人体制でその他の社員経費を考えると最低1200千/月は必要になる。とすると人件費率20%として(高いが・・・)月度売上は30~50坪の店でも最低6000千以上は必要になる。さらに先に書いたが「スタッフは集まらない。」。

どう考えても、普通の小売屋はよほど数字が想定できて、場所が良く、さらに人の手配がスムーズに対応できそうな店しか、出店はできない。出店投資が大きなリスクになる。

やはりどんどんSCは淘汰される。

■今日のBGM

在庫数値を意識する。

ここしばらくずっと考えていたことについて書く。

小売業の店での営業責任は、「売上」「利益」「在庫」だと思う。優先度順位はどの順なのだろうか?当然その3つの数字をクリアすることが仕事ということだが微妙にすべて関連している。またそのマネジメントも非常に難しい。

営業職として当然筆頭に来るのは「売上」。さてその次だが、ずっと思い続けていることだが、やはり「在庫」だと思う。商品の価値は売れたときに決まるし、売れる値段で決まる。売れる値段でなければ正しい在庫金額ではないと思う。売れる値段をジャッジするのが一番難しい。

売れる値段が仕入れ売価よりも低いと判断すれば、商品の価格を下げる。値段を下げて売れば利益は落ちる。価格を下げなければ利益は落ちないが売上にはならない。在庫は減らない。

営業予算作成時の重要順序は、「売上」「利益」「在庫」の順で「在庫」に関しては予算比に関して大きな追及もなく、予算作成も大きなチェックは入らない。

会社を経営して資金繰りを考えると、「売上」と「仕入れ」でキャッシュフローを考える。キャッシュフローを考える人は「営業」のスタッフでなく「管理」のスタッフのケースが多い。「売上」と「仕入れ」でほぼ「在庫」は決まる。大体の会社は「営業」の声が大きい。

普通に考えれば末締めの末払いだと商品代金は最短30日最長60日での支払いになる。ということは遅くても2か月で金に換えないと支払いができない。どれだけその会社にキャッシュがあるかだが、「管理」方はどれくらいで換金できるのが望ましいのか理解していると思う。そこからの声がどれだけ「在庫」予算に反映されているか?

私自身もずっと営業畑で育ってきた。ただ会社を経営し始めてから一番意識しなければいけないことは間違いなく「在庫」になった。冷静に振り返ると過去の失敗例はすべて「在庫の甘さ」に起因する。

商品が回転することで利益は回復する。在庫が多くて仕入れられなければ売り上げは上がらない。いくら高値入の商品を仕入れても在庫が多ければ利益の上がり方は遅い。在庫が少なければそういう商品を入れるとすぐに利益率は改善する。何より在庫が多いと商品は仕入れられない。

数値が改善せず苦しんでいる店は、まず「在庫」の見直しをしてほしい。商品をチェックしてほしい。入荷してからどれくらい売れたかアイテムごとにチェックしてほしい。

今日のBGM

コストコ時給1500円の反応を見て

「コストコ時給1500円」については前回書いたが、そのニュースの有識者含めての反応の大部分は「今後企業は淘汰されるべき・・・」「さらに企業の低コスト構造を目指せ・・・」「現状は最低賃金にあぐらをかいている・・・」等コストコ1500円ウエルカムムードがほとんどを占めているようだ。

この流れの中では、これから小売業を起業する人は全く出てこないなと思う。

ファッション業界で勝ち組といわれる2社の決算書を見てみる。

ユニクロ 売上総利益率52.4% 人件費率16~17%(公表なし。他文献から)家賃比率11.6%

アダストリア 売上総利益率54.7% 人件費率17.8% 家賃比率14.4%

2社ともSPA企業で、ほぼオリジナル商品の商品構成である。すべて商品を企画して商品を作っての利益率である。個店ではまずできない数字だ。商品をメーカーから買う「買い」の商売だと平均すると原価は55%前後になるのではないか。20店舗近くなって別注を作っても原価45%くらいにしかならない。そうなると頑張ってやっと利益率は43~45%くらいになる。人件費率はかつて経営していた会社で17~19%くらいだったと思う。家賃比率は大きな面積を抱えるほうが下がるので個店ならさらに比率は上がる。

上記数字からユニクロ、アダストリアの労働分配率は約32.5%となり健全な数字だが、20店舗くらいで経営していても労働分配率は40%を超えていく。さらに小さな店なら家賃比率も高い。決して最低賃金にあぐらをかいているわけでなく、経営環境が現状を作っている。

もう1つ付け加えるなら郊外RSCは郊外だから賃料は低くなく、「イオンモール」や「ららぽーと」の出店条件のハードルは高い。

差別化できる店(例えばおしゃれなセレクト)をやればいいという声もあるが、その商品を売る環境(立地)、売る人、仕入れ形態を考えると単店はあっても複数店舗は厳しい。

結論としては、人件費高騰の労働環境では、小売業ではスタートアップできる企業はないということだと思う。商品力があり、キャッシュを含めた企業力がないと、土俵にすら立てない。

ずっと言い続けているが、今後は大手の各ショップのみのテナントばかりになり、駅ビル含めたSCは陳腐化していき、衰退していくことになる。

今日のBGM

小売業にスタッフが集まらない

群馬県のコストコではアルバイトの時給が1500円~(交通費別)ということである。調べてみると、社員、アルバイトとも時給1500円~とあった。

時給1500円で1日8時間、週5日働くと月4週で24万の給与になる。ほぼ社員としての扱いになると思うが、店に対する思いがないのなら破格の条件といえる。大卒初任給もそこまでない会社も多い。

一般の専門店で、商品が好きでそのお店で働きたいというスタッフが、果たして群馬県でこの給料を超えているのだろうか?給料が安くてもプライドで働いてくれるスタッフはどれだけいるのだろうか?

では一般の小売店で時給1500円で雇い入れて、利益が出せるのか?

ファッションの専門店では人件費率が15%以内、どんなに多くても20%以内だと思う。昔からある販売代行業(ブランドの洋服を販売するだけの仕事)の手数料は13~17%だった。さらに労働分配率(荒利益に占める人件費の割合)は40%前後が分岐ラインと言われている。

それを考えると、時給1500円でアルバイトを2名雇って一般的な30~40坪での店でスタッフ4名の人件費は最低1000千以上になるだろうし、店長等の社員をプラスして会社負担の経費(交通費、社保等)も加えると1400千から1500千の店の人件費になる。人件費率20%として月売上7000千、荒利率45%として労分率40%で計算すると8000千が損益分岐売り上げになる。

これは大きな数字で30坪80000千以上の年売り上げが分岐点になれば、何かを大きく改善しなければ構造的に無理な数字になってくる。

スタッフは集まらない、売り上げは大きく望めない、出店条件の緩和は厳しければ、もう出店もできなくなる。

果たしてどういう風に構造を変えていけばいいのだろうか?

今日のBGM

「仕入れ」が「キャッシュフロー(資金繰り)」に大きな影響を及ぼす。

         

商売は当然商品ありきだが、現実的には「金」が回るかどうかになる。どれだけキャッシュがあるかを考えないと店は続かない。銀行も履歴が浅いうちは金を貸してくれない。

店を立ち上げるのにキャッシュが必要で、まずイニシャルコスト(また何かの機会に書く)はかかるが、そのあとの金の流れを考えることが大事なことだ。会社をやっていた時、一番気にするのはキャッシュの残であり、支払金額の確認だった。単純に支払できないと会社存続ができない。

以下簡単に一例を書いてみる。

洋服の小売店を3月1日に某SCに開業したとする。30坪の売り場を売価在庫9000千で立ち上げたと想定する。商品支払いが末締め末払いだとすると3月31日に原価分の支払いが発生する。仮に原価率50%とすると。4500千の支払いが発生する。次に人件費だが2人の社員を雇用し夫婦がその他の労働力とすると人件費4人分最低1000千(想定)の支払いが給与として月度内に発生する。その他備品等の経費が300千くらいかかると月度内にその金額が必要となる。入金は一般的なSCなら月2回払いなので最初の15日で賃料経費含めて売り上げが入金される。月度前半で3000千売れたとしておそらく入金は1500千くらいになる。(クレジット払いは末締めの清算が多い。)

計算すると入金1500千-商品代4500千-給与1000千-諸経費300=-4300千となる。つまり最初の営業月の末日にはさらに資金が必要になる。

次月度の15日にはクレジット分含めて入金されるので順調な数字であれば数か月後には回っていくと思う。

ということでオープンのイニシャルコスト以外に資金を持っている必要があることがわかる。ここに内装費や、敷金(資産にはなるがキャッシュアウト)、オープン必要経費(現場協力金など)のコストがかかると店を立ち上げるには大変な金額が必要となる。

店が稼働し始めると、資金繰りを考える上で、最も真剣になる必要があるのは、やはり「仕入れ」ということになる。想定のキャッシュイン(売上-施設での経費)内で仕入れをしなければ資金繰りが厳しくなる。誰でもできる「仕入れ」だけど、キャッシュアウトの大きな部分を占める「仕入れ」をどれだけ真剣にやるかが、小売りの成功の鍵になる。

今日のBGM

店のポリシーはゆるぎないものを持つべきだ

前回、「ポイント」を高崎SATY6階に誘致し入店してもらった、と書いた。

「ポイント」は今のアダストリアの前身で、元は水戸の福田屋洋服店だったと思う。北関東でジーンズの品揃え店舗を複数店運営していた。地元の高校生には絶大な人気があり、店長はいい兄貴分ですごく売れていた店だった。

高崎に出店してもらう際、社内でクレームが入った。SATYには直営のジーンズ売り場があり、「バッティングが多すぎる、食い合いになる。」との意見だった。こだわり客とコンサバ客で客層が違うと説明してもなかなか納得してもらえなかった。

ポイントの福田専務に状況を説明したら、「そういう状況ならポイントは国産のデニムはやりません。NBではリーバイス501のみ取り扱います。リーバイス501をわかるお客様相手に商売します。」と明確に答えられた。

社内で了承され、無事出店できたが6階で35坪くらいの店で年間2億近くは売っていたと思う。おりしもアルファMA-1やムートンのジャケットがバカ売れしていた時期でもあった。SATY直営からの細かな突っ込みは多かったが、まったく客層が違っており、それは誰でも理解できた。

「リーバイス501がわかる人間に対する店」という店の指針がわかる店だったし、お客様もそれはわかっていた。

店の守らなければならないポリシーは必ずある。なければならない。それをスタッフが全員理解することが成功するポイントであることは間違いない。それがぶれると絶対お客様には見抜くし、離れる。私自身も自分の会社でことあるごとに会社のMDポリシーを言っていたが、浸透するのは非常に難しかった。

余談ではあるが、その後福田屋洋服店は、売れていたジーンズカジュアルの店をすべてやめ、「ローリーズファーム」を立ち上げ、大きく方向転換し今に至っている。すごい英断だったし、すごいトップマネジメントだと思う。

今日のBGM

売り上げが厳しくなったら、まず在庫を減らす。

40年以上小売業界にいて、間違いなく断言できることは「過剰在庫を持たないこと」が健全な経営につながるということだ。唯一断言できる小売りの鉄則だ。最初に書くべきことだった。

不振店対策をするときも、まず在庫を減らすことから始める。在庫が多いと売れ筋が見えない。よく言われることだと、川を渡るとき水が少なければ、けがをする大きな石などがわかるが、水が多ければ危険なものが見えてこない。つまりリスクのある商品がわかりにくいということだ。さらに品種内でいろんなアイテムがあればどれが売れているかはっきりしないが、極端に言えば2点しかなければどちらが売れているか明確になる。つまり在庫が多いと売れ筋が見えにくくなってきている。売れ筋が見えてくればその流れを広げていける。

おそらく厳しい商品を返品したり、値段を下げて処分すると、利益率がダウンするので、なかなかできないのが現実でもある。上司がどれだけ数値計画を確認して、許容していけるかが課題でもある。ただ、在庫が減ることにより利益率の回復は早まる。これをどう会社がジャッジするかがその会社の裁量だと思う。

在庫が多いと、体重が重いのと一緒で動きが遅くなる。商品回転率も低くなるので、売り場の鮮度感もなくなる。売れなければキャッシュインが減るのでキャッシュアウトとなる仕入れがしにくい。全くの悪循環となる。

在庫を持って商売するジーンズカジュアルやスーツ中心の業態は当然厳しくなってきている。トレンドから外れると一気に落ち込む。ジーンズはメンズでは27~34インチまで揃えなければならないし、スーツに至ってはY体からB体まで揃えなければならないしサイズもさらに増える。厳しい流れの中、細かいサイズはなくなってきたが、それによるアゲインストもある。ライトオンなどのジーンズ専門店やスーツ専門店が厳しくなっているのはサイズによる在庫過多が要因の1つでもある。

DCブームの時、レディスサイズはほぼ9号のみだった。他のサイズに広げると在庫が増え、効率が下がってしまう。サイズの数だけ在庫が増えるからだ。

子供ブランドもDCブームの時、一気に広がったが、トドラーサイズは細かく、なおかつ着る時期が短いので、現在はトドラー中心のブランドは一気に減った。これも在庫リスクによるものが一因だと思われる。

総論を書いたが、いろんな事例も経験してきた。これからも在庫を抱えるリスクについてはどんどん述べていきたい。

今日のBGM

数字を冷静に分析する

少しデータをまとめる用があり、営業面の数字を拾ってみた。対象となる売場は見てないのだが、売り場の状況が見えてきたような気がする。

小売業は「感性」によるところが大きい。特にファッション要素が高くなればなるほどその傾向は強い。思い入れを持って仕入れて、思い入れを持って売っていくからだ。ただその思い入れが強ければ、冷静に商品の流れが見えない。思い入れの強い商品は当然売るために努力する。前面に出したり、演出を強化したりする。ただそれよりも確実に売れている商品があることが多い。

管理系のスタッフが時にデータを拾い指摘することがある。そのデータに冷静に向き合っていけてはいないのが現実だ。

財務会計と管理会計という言葉がある。財務会計は利害関係者に企業活動報告をするためのもので、前向きな経営に関する手段としての会計を管理会計というようだ。会社は営業と管理に分かれているケースが多く、その橋渡しをする部署は少ない。

営業面のデータを見て、感想と原因を羅列していくと、現状が必ず浮かび上がってくる。例えば毎日の売上前年比の流れだけでもトレンドはわかる。

小売業は毎日が勝負で、毎日の仕事は売り場で終始する。月に1度くらいはいろんなデータを集めて、数字を見ていると、見えないものが見えてくる。そしてそれは絶対売り場の問題点の解決につながる。

■今日のBGM

もう営業力だけでは戦えない

会社の浮き沈みを見ていると、好調期は営業力が引っ張るが、流れが悪くなると管理面の発言力が強くなってくる。

その傾向は当たり前のことだけど、小売業はあまり管理面が表に出てこない。倒産したマイカルも、ずっと無謀な営業力で拡大していった。ただその時代はそれを受け止める時代でもあった。倒産後、いろんな数字を算出し、検討していったときイオンからの管財人が「…マイカルにはBSはないのか?PLだけか?」ときつく指摘した。

このことはよく覚えている。すごく印象に残った。

書いていいのかどうかわからないが、今までの研修で一番内容が濃かった研修はイオンの「管理職研修」だった。1年以上続く研修で、私はマイカル倒産後1年で辞めたので、その研修は「中退」だが、管理面の研修では「有価証券報告書を読めるようにすること」が研修課題だった。今考えると、そこに他社にない「強さ」があった。

今、流れが悪い会社はおそらく「管理、財務」側が強くなってきているだろうし、流れが悪くない会社もそういう傾向が強いと思う。ファンド系が入ってくれば、数字での話だけでそれ以外は受け付けないだろうと思う。

マイカルも営業系の社長から管理系の社長に変わってから、一気に倒産に向かっていった。どちらかというと営業での損失をカバーできる体力はなく、管理側の発言が強くなったときは「時すでに遅し。」の状況だったのだろうと思う。

経営者は冷静に数字を確認できないといけないと思う。銀行は人事畑を経験することが出世の階段だという。小売業も流れは営業力だけではなく、数字を冷静に判断できる管理能力が必要になっている。

■今日のBGM

Newer posts »