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地方専門店は残っていけるのか。

昔の形で残っている専門店はまずないのではないか?

まず思いつくのはトラッド系の専門店。「VAN」から始まって「Jプレス」「ニューヨーカー」「エイボンハウス」などと、ちょっとそこからヨーロピアン「JUN」に流れた専門店。トラッド系は「ポールスミス」や「マーガレットハウエル」の品ぞろえに変わり、DC全盛時にオンリーショップになり、専門店としてはもうほとんど見ることはない。

DCブランドは大都市中心にオンリーショップを直営で展開したが、地方ではトラッド系の専門店が「ビギ」「ニコル」中心にFCとして広がっていく。現在はブランド衰退と同時になくなっている。大手のFCであった企業ももうなくなったか規模が小さくなった。

次にジーンズ系。ジーンズの人気に相まって広がりを見せた。が、おそらく在庫の問題や掛け率の件もあり、インポートデニムブームをピークに減少していく。「三信衣料」から「アーバンリサーチ」を立ち上げ脱ジーンズを図ったアーバンリサーチ、「ポイント」から見事に転身したアダストリアが大手専門店に変化を遂げた。地方にはまだジーンズ専門店からジーンズのにおいがするセレクトに変わっていった店は多い。「Bshop」系のセレクトを加えて生き残っている専門店もある。ただエリアでのバッティングや在庫の重さで大きくはなっていけない。

1970年代後半くらいからじわじわ大きくなってきたセレクトショップも、今は完全に「自主MD+買い」に変化して大手専門店チェーンのようになってきている。(「トゥモローランド」だけ別路線に見えるが・・・)地方のセレクト系はファッションに興味を示す客数がダウンしてきたこともあり、大幅に減ってきた。昔は「ファッションは熊本から」と言われていたが、九州も、もうその面影はなくなった。

いろいろ思うところはあるが、規模を拡大せず、売っていきたい商品を、好きになってくれた顧客に売っていくしかないのかと思う。チェーン化を目指しても相当の分析努力がなければできない。ストライプインターナショナルの例を見ても流れだけでは成功はしない。

山口からのユニクロや水戸からのアダストリアのような企業はもうできないのだろうか?

余談ではあるが、私がいろいろお世話になった人が群馬県の桐生市でセレクトショップをやっている。工場をリノベする大きな投資をして「思い」がわかる店を作った。チェーン化しなくても「会社スタッフ」と「お客様」が満足してくれるならそれだけでいいのかもしれない。

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大型テナントがどんどん減ってきている

「オーサムストア」が破産との報道があった。何を売ろうとしているのかわからなかったし、売れている気配もなかったので厳しいとは思っていた。「オフノオン」のほうがわかりやすかった。ホームページを見ると61店舗もある。

ここ数年でモールから大型テナントがどんどん減っている。ワールド、オンワード、イトキン、TSIなど大手アパレル系のブランドが改廃され大幅に少なくなった。どこにでもあった「ライトオン」も出店してないSCが出てきた。大手スーツ量販店も大幅に減った。外資系も閉店が続いている。

以前も書いたが、モールは大型店や新業態を積極的に導入する。当然リーシング面で助かるし、新業態なら「・・地方初出店」とうたえる。ただ数字が厳しくなっている店は多い。私でもいくつかテナント名を挙げられる。一般的に月坪売り上げを見ると100千前後の店が多く、それを割り込む店も多い。(それを考えると小型店の賃料は高い。⇒モールの利益は小型店(50坪まで)で賃料を稼ぐ図式)

アダストリアなど好調な企業は逆に、そこを逆に拡大しているように見える。

デベロッパーは売り上げを管理していて、会社の業績動向をつかんでいるのだろうか?

「オーサムストア」は4月にオープンしたららぽーと門真にも出店している。三井不動産らしくない失態だし、あの立地でもリーシングが相当厳しかったのだろうと思う。

大型店舗は、賃料面で優遇されるし、人的にも効率化できる。「オーサムストア」は衣料ではないのでアイテムが多く、SKU数もめちゃくちゃ多い。当然多店舗化しなければ商品も回らないし、作れない。利益を稼ぐには大きなロットで作るしかない。衣料系の大型店もそうだが、だんだん売れない商品はたまっていく。在庫をなくすと利益が落ちる。まったくの悪循環になる。縮小していった大手アパレルは体力のあるうちにやめていった。残っているショップもFC契約(契約先が商品を買う。)にして商品リスクをヘッジしている。

収益が悪化してくると、商品が仕入れられないし、作れない。売り場の不稼働在庫も処理できない。(処理すると利益率が下がる。)PL(損益計算書)中心になると利益率が下がれば、数字上の会社の価値も出せなくなる。まったくの悪循環になる。

体力のある会社は持ちこたえることができるが、体力のない会社は、悪循環が続き運営ができなくなってくる。

やばいなと思う会社も、いくつかある。

今後も、大型区画のテナントは、体力がなければどんどん消えていく。

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ユニクロはしばらく小売業を引っ張る。

なんとなく「ホリエモンのyoutube」を見ていたら、「ユニクロ、GUは値段のたたきあいだから厳しい」と評していた。「モンクレール」や「グッチ」のブランディングを目の当たりにしての意見のようだった。

話の中でも、「お客様は完全に2極化されてきている」と冒頭に述べているが、そもそも戦うチャネルが違うので、まったく話にはならないと思う。

私自身ブランド好きだし、別のチャネルのことは否定しないが、現状の2極化の「他の1極」においては確固たる位置づけにあることは間違いないと思う。

細かく言うといくらでもあるが、

商品的には値段を考えると品質面が非常に優れているということは明白だ。「H&M」「フォ-レバ-24」などとの大きな違いは、4シーズンを考えて作っているということが大きいと思うし、そこで行き着いたのが「トレンド」より「クオリティ」だと感じる。当然「ユニクロ」がベーシックで「GU」がトレンドという位置づけかもしれない。

それ以上に感じるのは、企業の考え方が明白であるということ。

前にも書いたが、企業が大きくなると「かっこいいもの」にあこがれ、いろんなことに手を広げていこうとする。現状はそれを全く感じられない。「ユニクロ」をどう作り上げていくか、どう展開していくかに注力しているように見える。

ファーストリテイリングには、他に「プラステ」や「セオリー」などのブランドもある。そのブランドの展開も足元を見て自然に広げているように思える。私自身、SCを見るとき「プラステ」があるかどうかを、ある意味の基準にしている。決して晩期以外はセールをしないし、自ブランドの売り方に合わない店は毅然と退店している。出店はSCに偏ってはいないし、ターミナルでの店舗も多い。

つまり、企業の考え方が「ぶれていない」ということ感じる。

「他の1極」のキャパはまだまだ大きい。当然ワールドワイドに考えているはず。企業の考え方がぶれなければ、優位性はしばらく崩れないと思う。

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現状のショッピングモールのテナントリーシングについて

この3年間のコロナ不況で、小売業は大きなダメージを受けた。出店投資を大幅に削減し、内向きの戦略をとらざるを得なかった。

その状況下、退店要請、賃料削減要請がありモール自体も苦境に転じている。

1.もともと高い賃料で出店していた小型区画(20~50坪)の退店が多かった。小型区画の代替えテナントの賃料相場が下がり、賃料収入がダウンしていっている。

2.モールは集客力があり、出店希望もある大型カテゴリー物件の出店を進めている。これは空床区画がカバーできる代わりに、賃料が下がり、なおかつデベロッパー負担の工事費用が大きくなる。一般的に区画が大きくなればなるほど、坪賃料は下がり、大型区画になると、歩率のみや、安い固定賃料になるケースが多い。

3.賃料収入を意識すると、高い利益率のカテゴリーの出店が増える。携帯ショップが乱立しているモールも多い。

4.一般的にアンカーテナント(大型テナント)も含めてカテゴリーでまとめてリーシングするが、カテゴリーと異なるテナントもリーシングしなければならない状況になっている。(例えばファッションの中に他業種が入るなど。)

大型カテゴリーが増えれば、店舗数が減るのでバラエティ感がなくなるし、携帯ショップが多くなると、雑多感があり、押し売り感も強くなる。つまりテナントに対する魅力がなくなってきているのが現状だと思う。

4月にオープンした、「イオンモール豊川」、「ららぽーと門真」も現状見てはないが、上記した傾向が見てとれる。「豊川」の3階の東側はカテゴリーが混在しており、携帯ショップも多い。「門真」は旧「鶴見アウトレット」をうまくはめ込めて良くはなったが、3階のリーシングに苦労の跡が見える。(賃料の問題で、ららぽーとが本来取り組まないだろうテナントが数件入店している。ただ「バーニーズ」のアウトレットがほぼ都心に出ているのは驚く。)

もう建築コストを考えても、3層のモールを作る必要はないと思うし、既存のモールについては、おそらく近い将来大きな問題が発生すると思う。

■今日のBGM

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