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渋谷に百貨店がなくなる

渋谷西武が今年9月で閉店になるらしい。池袋西武が半分の大きさになった時に、こうなっていくだろうとは予測できた。間違いなく百貨店は高年齢富裕層と外国人のための商業施設になった。

ギャルファッションの時代まで渋谷は若者の街だった。1970年代からずっとそうだった。50年で街は変わる。50年で商業も変わる。西武百貨店、シード館、パルコ4館、ロフト、パルコ劇場に加えてマルイ2館、さらにジャンジャンや屋根裏などのライブハウス。渋谷駅からNHKまでの公園通りは西武が開発したと言っていい。文化を作っていった百貨店だったと思う。そして、道玄坂にあった東急百貨店もなくなり渋谷から百貨店が消えてしまう。

百貨店は呉服系と電鉄系に分類される。前者は三越、伊勢丹、高島屋、大丸、松坂屋など、後者は阪急、西武、近鉄、東武など。当然歴史ある呉服系百貨店の方が格式は高い。漢字が似合う百貨店は呉服系が多い。そして、残っていくだろう百貨店も限られてくる。1990年代の百貨店のピーク売上は9.7兆円とされており、その売上が20年前には7.8兆円までダウンし現状は約5.7兆円となっている。ピーク時売上の6掛け程度に落ち込んでいる。

立地を見ると、大都市と地方中心都市しか残っていないし、さらに中途半端な地方中心都市からはどんどんなくなってきている。少なくても人口100万都市以上でないと今後の存続は難しそうだ。さらに、地方中心都市ではかつての商業集積エリアから駅前立地にシフトしており、福岡での博多阪急や札幌の大丸札幌の伸びが大きい。今後はさらにその傾向が大きくなると予想される。つまり、百貨店を中心にした街から、ターミナル駅を中心にした街への変化が顕著だ。

そして、百貨店客層はどんどん高齢化が進んでいる。三越伊勢丹の戦略データでは最も多い年代層は50代以上で、来店客の40~50%は50代以上が占めている。さらに、近年はインバウンド需要の構成比が上がり、2024年度はインバウンド売上が6500億弱で、その構成比は10%を超えている。ただ都市部に集中し、新宿伊勢丹、銀座三越、梅田阪急は売上の20~30%のインバウンド構成比があると言われている。

話が総論になってしまったが、渋谷西武は街の生い立ちもあり、若い客層の百貨店だった。それが、もうすでに渋谷は西武が開発してきた若者文化の街ではなくなりつつある。1990年代のピーク時700億前後の売上が、客数、客層の変化で250億前後まで落ち込んでいたようだ。この売上では、地方百貨店で自社物件であれば何とか持ちこたえられるかもしれないが、都心の賃貸物件では大きな赤字を背負っていることは間違いない。

ただ、渋谷西武閉店のニュースでは、百貨店問題以外で感じることがある。カリスマ経営者がいかに偉大だったかということだ。その跡を引き継ぐのは並大抵のことではない。西武の「文化的街づくり」は堤清二氏に発想によるところが大きい。その考えが渋谷を作ってきた。その流れは「無印良品」まで及ぶ。流通王国を築いたダイエーも中内功氏の志を引き継げなかったし、伊藤雅俊氏のイトーヨーカドーも同じ流れだ。当然時代は変化するが、偉大な痕跡を残した創業者の志を引き継いでいくということは大変なことなのかとも思う。そういう意味では、歴史を引き継いできた老舗百貨店が生き残っていくのかなとも思ってしまう。

つくづく、企業を継続するには、経営者の思いが大きな要素を占めるのだと痛感する。

■今日のBGM

「ビームスハート」 ららぽーとへの出店の意味

ビームスが「ビームスハート」を、2月トーキョーベイ、3月柏の葉、横浜、エキスポシティに、ららぽーとへの出店をしていく。

「ビームスハート」は従来ビームスのアウトレットでのメインブランドだった。セレクトショップのアウトレットについてはこのブログでさんざん書いてきた。アウトレット商品よりアウトレットオリジナル商品が多く、おそらくこのブランドが半分以上占めているように見えていた。つまり本来の「売れ残った」商品ではなく、そのために作られた商品を売っていたということになる。それは本来のアウトレットの姿ではなく、逆に数字を稼ぐ場所になっているように感じていた。これは、ビームスだけのことではなくアウトレットの数字の伸び悩みにも通じている。(セレクト系ではトゥモローランドにはそういう商品はなかったように見えたが・・・)

このブランドで大型モール(RSC)に出店する意味はどこにあるのか?間違いなく販路の拡大だと思う。従来のブランドなら出店をしなかったRSCの客層へ、顧客幅を拡大したいということだと思う。ユナイテッドアローズが「グリーンレーベル」で、ベイクルーズが「レリューム」や「ジョイントワークス」でのRSCへの出店とほぼ同じ意味合いになる。

セレクト系と言っても幅は広いが、従来のセレクトショップやベイクルーズ、上場しているトーキョーベース等も加えると売上規模は5000億強と想定できる。上場企業はユナイテッドアローズに加えて上記したトーキョーベースがある。MD型大型アパレルのパルグループやアダストリアにも同形態の店もあるのでその規模はもう少し大きいかもしれない。ただ今後の人口減少や高齢化を考えると、従来の顧客は減っていく。国内アパレル市場の売上は2024年度約8.5兆と言われている。コロナ前の9.2兆から回復していない。さらに今後の人口減少、高齢化、若年層の大幅減少を考えると、20年後には5~6兆まで落ち込む可能性は高いと言われている。

別の角度で見てみる。セレクト系上場企業であるユナイテッドアローズとTOKYO BASE 2社の株価の動きを確認する。ユナイテッドアローズは1999年上場で初値は15000円だった。その後分割を3度しており、修正の初値で言うと3125円程度になる。そして現状の株価は2500円を下回って変動している。TOKYO BASEは2015年上場で初値は1230円、分割を繰り返しており修正すると初値は171円程度になっている。現状は400円を切る株価で推移している。当初株価を大きく上回るが、分母がなかなか大きくなっていない。近年の売上は両社とも小売業の中では安定して伸長しているが、株価に反映されていないように見える。考えられる要因は、在庫の重さもあるが、客数の大幅減が想定され、この業界(セレクト系)の成長が見通せないからだと思う。

客層の幅を広げるため、従来戦ってきたセレクト系からRSCを主戦場とするボリュームゾーンへの挑戦は、そんなに簡単なことではない。売り方やプライスラインに大きな違いが出てくる。感度、感性よりも値段への比重も上がってくる。何よりも競合各社にはそのゾーンで戦ってきたノウハウが蓄積されている。

出店した1~2年は、プラス効果はあると思うが、アウトレットの商売のようには甘くはないと思う。逆に、さらに従来のセレクト要素を追求して、安定した顧客を作ることに専念した方がいいのではないだろうか?特にビームスは上場企業ではないのだから、安易な方向に乗り出さなくてもいいのではと思ってしまう。

■今日のBGM

ライトオン上場廃止

ライトオンが2月26日付で上場廃止になっている。このブログを始めたころからライトオンについては書いてきた。これはライトオンの数字悪化要因が、在庫過多にあったからだ。個人としての商売の信条は、「小売は在庫」であり、ライトオンの数字悪化についての意見も、在庫管理の難しさを書いていた流れからだった。

在庫を抱える商売は難しい。過去、いろんな業種の商売をマネジメントしてきて痛感していた。業種としてはジーンズ、靴に代表されるが、重なっていることはサイズが細かく、ほぼ定番化されているということになる。ジーンズカジュアル業界では上場していたライトオンに加えてマックハウスやジーンズメイトは譲渡されたし、靴業界も多くの小売店が姿を消した。さらにジーンズは、在庫ボリュームがあることが売場のイメージアップにつながったという要因もある。

何度か書いているが、小売業は商品を仕入れて(作って)売る。簡単な仕組みだ。ただ仕入れた商品を、支払うまでに金に換えてなければ(=売れてなければ)支払えない。現状の取引では、非食品小売業で長くて仕入れてから3カ月以内の支払いだと思う。ブランド商品や企業の支払い能力によってその支払いサイトは変わっていく。当然いろんな商品があり、すぐ現金に変わる商品もある。つまり、企業規模はあるが年4回転すればキャッシュは何とか回っていく。 

小売企業の状況を見るときは、在庫回転率で図っている。決算時の貸借対照表の資産項目の商品の金額で、前年の金額と今年の金額を2で割れば簡易的ではあるが平均在庫額が算出される。平均在庫を損益計算書の売上原価で除すれば簡易的な回転率が産出される。例えばランダムに見てみると、ライトオンの2022年度の売上原価は24356(百万)で平均在庫は10973(百万)となり、年間回転率は2.2回転となる。ちなみに年度の総利益率は49.3%となっている。つまり半年に1度商品が売れるということで、商売ではキャッシュが回っている状況ではない。売上が減少し続けており、当然手持ち資金は減っていっている。こうなると、普通に仕入れていれば在庫は膨らみ、回転率はどんどん悪化していく。ライトオンはその後商品の評価損を計上するが、遅きに失した。利益率を維持することより、継続的に期中で商品評価を落とし売上を上げ、キャッシュを増やすことを優先すべきだった。

現状の上場小売業ではイオングループのジーフットや、ライトオン同様の流れで評価損を計上したヴィレッジヴァンガードもそういう状況の中にいる。

では、ワールド傘下になったライトオンはどういう方向に向かっていくのだろうか?現状の売場を見る限り、ハードな売場ではなくあくまでもジーンズテイストを打ち出したカジュアル志向の店というように見える。イメージとしてはUAが譲渡したコーエンのようなMDかもしれない。ただ、その中途半端なゾーンは難しそうに見える。ジーンズテイストは、果たして必要なのかとも考える。先日もレイクタウンで四国のジーンズファクトリーの店を久々に見たが、昔のパワーは全く感じなかった。セレクトっぽい商品を少し品揃えしたナショナルブランド(NB)中心の店になってしまっていて、やはりジーンズファクトリーでも大型SCではこうなってしまうのかと感じた。さらにこういう品揃えになるとNBが幅を利かせ儲からなくなっていくのではないかとも感じた。

ワールドが手掛けるのだから、売場ロケーションを考えてワールドの品揃えショップをやった方が賢明で、あまりジーンズにはこだわらなくてもいいのではないかと思う。「リーバイス501がデニム」と考えているお客様は、もう少なくなっているし、そういうお客様は買う店を決めている。

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厳しさを増す中小小売業

先日、友人と話していて、「人がいな過ぎて、まともに商売ができない」ということを言っていた。

中小小売業には販売スタッフが全く集まってない。データでは小売業含めての中小企業の65.6%が要員不足らしい。ましてや土日勤務の小売業には多少時給を高くしても集まらない。レジ業務や品出しに加え接客もあり、業務内容も多岐にわたっていることも原因のようだ。当然、時給も上げているし待遇面は配慮している。ただただ、集まらない状況のようだ。その友人も、エリアを統括するマネージャーや近隣店舗スタッフが欠員補充に入っている状況と言っていた。

要員不足から、売場も乱れていく。当然やるべきことができないのでそうなっていく。そうなると、売場は安易な方向に進んでいく。接客(ちょっとした声掛けも含む)に手が回らなくなり、セルフで売れる商材が増えてくる。セール商材や値頃感を打ち出した商品のウエイトが上がっていく。安易に売れそうな過去品揃えしてなかったターゲットの商材にも手が出る。

ここで、一番危惧することは「企業コンセプト」が崩れることだ。厳しい状況になった現状、もう一度そのコンセプトを話し合い、変更していくのか、継続するのか決めるべきだ。これが企業の今後について一番大事なことだと思う。

かつて、過去の経験からの成功モデルを想定し、小売業を立ち上げた。その後再度、コンセプトや方向性を見直した。企業のミッション(存在価値)を設定し、そのターゲット商圏を分析し、そこに向かう分析をし、成功要因を導き出したつもりだった。具体的数字にも落とし込み、目標も定めた。さらに少し伸び悩んできたときには、時間をかけて、昔研修で学んだいろんな角度で戦略立案してみた。それにより、立ち上げた事業の成功には向かっていけると感じた。だが、コロナで木っ端みじんに吹き飛んだ。

厳しい中小小売業は、そういう企業としての方向性を再度きちんと整理していく必要があるのではないかと思う。そして、その方向性に沿って戦略をジャッジしていく時期だと思う。

さらに、こういう時期だからこそ、各店の棚卸も必要だ。損益を考えて継続するべき店かどうか全店チェックする。要員不足の店が、今後再びきちんとした要員で商売できるのか?そしてその店は、きちんと収益を出していけるのか?もし、将来的に大きく収益が見えない店があれば、撤退して、人を異動させるということもできる。当然各店の償却残の金額や、違約金、撤去費なども考えてジャッジしなければならない。ドミナントできてない店は特に注意が必要だ。マネジメント層がデータをまとめて、再度各店の方向性を明確にする必要がある。

企業は「人」「物」「金」とよく言われる。「物」は「金」があれば解決するし、「金」は財務内容次第では手配できる。「人」はどうしようもできない。「人」抜きで拡大して失敗した会社を多く見てきた。これだけ「人不足」の状況が続く中、一度立ち止まって事業としての棚卸をし、その結果として前向きに半歩後退するのも正しい選択かもしれない。

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上場会社の宿命 ユナイテッドアローズの持株会社化

数回前「コーエンの売却」について書いたが、おそらくユナイテッドアローズ(UA)は他事業へ食指を伸ばしていくだろうと感じていた。先日、持株会社化して、M&Aで非アパレル領域へも進出していくとの発表があった。「コーエン」を手放したということは、ライバルが多くいろんな客層に対応すべきボリュームゾーンでは戦えないと感じたからで、セレクト以外では戦えないという結論になったのだと思う。

所謂、セレクト業界(セレクトショップを運営している企業群)のターゲット客層は当然のように減ってくる。これは年代構成比の変遷を見れば明らかなことで、国内の平均年齢は20年後に54才になり、人口減も進み20年後には1.2億人の国内人口が1億人前後になると言われている。さらに、20~39才の女性の人口減少が著しくなっていく。つまり、現状のメインターゲットが一番激減していく。

その中で、セレクト各社はいろんな方向性を持っているが、一番売上志向が強いのがUAだ。アウトレットへの過剰出店や「グリーンレーベル」での大型モールへの出店の多さがそれを物語る。そして、アウトレットモールでの品揃えが、純粋なアウトレット商品ではなくアウトレット用オリジナル商品の品揃えであることや、「グリーンレーベル」のディフュージョン化が顕著で売上志向が強すぎる状況もお客様に浸透されつつある。これはブランド価値の低下にもつながってくる。そうせざるを得ない一番の要因は「上場している」ということに尽きると思っている。「私」の企業はマイペースでやっていけるが、「公」の企業は当然成長を義務付けされる。特に短期的な視点での成長も必要になる。つまり、上場しているがゆえに、売上志向になり、本来のセレクトショップとしての考え方が崩れてきている。

「コーエン」を手放したことで、ファッション事業で他の土俵では戦えないという結論が出た。本業のセレクトとしてのファッション回帰が急務だが、前を進んでいる感がある「トゥモローランド」や、買いやすくトレンド要素よりも定番ブランドをセレクトしている「Bshop」へは追い付けないように思う。そんな中、上場会社として企業を成長させるべき他の方法として、当然M&Aの発想は出てくる。まずファッション事業でのM&Aもあるだろうが、UAのポジションを考えるとなかなか選びづらい。同業他社を考えても、現時点では難しい。そうならば、企業方針を明確にして、現状の企業イメージにあう他の事業の企業と手を結ぼうとするのは必然だと思う。 

だが、成功するのだろうか?百も承知だろうが、別の土俵にはその土俵のビジネスモデルがある。さらに、UAの匂いにあう企業は他業種でもそこまで多くないし、規模も小さくなる。

美容関連や飲食、ホテルなどが思いつくがそこまで大きなプラス効果は望めないと感じる。現状のUAの企業規模から考えても、このMA戦略の相手企業には、ある程度の規模感の会社は必要だと思う。そうなれば、現在の企業風土とは全く違う別事業と組んでいく覚悟も必要なのではないだろうか。

今回のM&A戦略へのかじ取りは、非常に難しいと思う。上場しているが故の問題ではあるが、ファッション業態を中心として続けるかどうか、その対応が問われてくる。

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コーエン売却③ ・・・よほど切り離したかった?

数日前に、ユナイテッドアローズ(UA)のジーイエットへのコーエン売却について、少し詳細がわかる記事が出ていた。

コーエンの前年の業績は店舗数76店舗で、売上高約104億(前年比109%)、営業損失―3.6億、純損失―6,7億円だったようだ。なお総資産は約28億円、純資産は−38.1億円の債務超過状況と記事にはある。さらにUAはコーエンに対する約57億円の債権放棄を前提としている。なお、譲渡金額は2億円となっている。

この状況で数字だけを見ると、計算上負債は66億円強となる。そして資産をすべて売却しても債務が38億強残っている。だがUAの債権放棄を加味すれば負債は9億円に減少し、純資産は19億円(57億―38億)になり、資産もプラスに転じることになる。つまり債務超過ではなくなる。UAは57億円の債権放棄をしても切り離したかったということにもなる。

当然、UAやコーエンの担当者は誰も知らないし、両社の実情も全くわからない。その上で、気になったことを書いてみる。

ジーイエットの第3四半期決算を見てみる。金融投資事業が入っていて、暗号資産の評価損が売上原価に入っているのかどうか詳細は見えにくいが、小売事業では期間売上前年比93.3%、営業利益-9.16億となっている。おそらく閉店を進めていて、閉店セールで売上は何とか確保できているが利益率はダウンしている結果だと思う。コーエンはジーイエット傘下のアパレル企業とのプラス効果を譲渡理由に挙げているが、旧ジャバグループなどとの連動は大きなプラスにはならないと思う。つまり、譲渡先が腑に落ちない。アメカジの流れがあり、きれいに売っていた感があるブランドを、大きな債権放棄までして手放した先がジーイエットだったことがわからない。債権放棄しての純資産を考えると、2025年売上104億、店舗数76の会社を欲しがるところは多かったはずだ。例えば、アダストリアやパルGもターゲットが被る店はあるが、順当に考えればそのどちらかになっても不思議ではない。考えられる理由は、在庫評価が不明瞭なことか、販売員がUAに残るというような人の問題くらいしか思いつかない。

次に気にかかるのは、UAの企業力だ。コーエンの店舗数と売上から計算すると1店舗当たりの売上は年間1.4億弱になる。大型店もあるが標準的には40~60坪くらいだと思う。この数字を見るとそこまで厳しい数字には見えないが、他の企業と収益構造が違うのかもしれない。財務諸表がないのでわからないが、一般的に考えれば経費が多くかかっているか、在庫過多のどちらかだと思う。

そういう視点で見ると、UAは今のセレクト業界以外では戦えない企業に見える。そして、上場している関係もあり、売上を上げていく事に最も注力しているようにも見える。安易にアウトレットを拡大し、アウトレット用商品を作って数字を作っているように見えるし、グリーンレーベルも大型SCに来る新しい客層にUAの名前だけで商売しているように見える。このごろあまりショップを見てないので細かくは言えないが、昔は「ソブリン」や「ディストリクト」などのショップもあり、トレンドを引っ張っていたイメージがあるが、今はUAから派生した買いやすいブランドが多い印象が強い。トレンドより値頃化して客層を広げ、UAの名前で売っている感がある。そんな中、上場企業として違うターゲットへ進出が必要で、そのブランドがコーエンではなかったかと思う。そして、そのコーエンから撤退するということは、新しいターゲットゾーンでは戦えなかったという印象しかない。今後UAの値頃感を持った派生ブランドが飽きられれば、企業としての魅力は小さくなっていくのではと思ってしまう。

今回のコーエンの譲渡には、わからないいろんな経緯があると思う。ただ、UAがUAという名を借りずに、違うターゲットや環境で戦っていたブランドを破格で手放すのは、非常に残念な思いが大きい。

■今日のBGM

「廃墟モール」の原因は「時代の変化」

「ドルチェ&ガッバーナ」「ビブロス」「アイスバーグ」「イスタンテ」「フェラガモ」「ジェニー」「フェンディ」「バリー」「バレンシアガ」「カステルバジャック」「バジーレ28」「ルチアーノソプラニ」「エンリココーベリ」・・・

百貨店のインポートの売場ではなく、1989年にオープンしたマイカル本牧5番街のオープン当時の「ネビュラ」と呼ばれたフロアのブランドショップ名になる。暗い街並みのようなフロアに海外ブランドが30店舗以上あったと思う。他のエリアに「ビームス」もあった。その他ニューヨークの「アポロシアター」や名画座の「シネスゥイッチ」などもあった。2番街がサティで5番街の「ネビュラ」はビブレが運営していた。

先日、ネット記事で「廃墟モール」について書かれていて、「マイカル本牧」が取り上げられていた。興味を持って読んだ。ただ、事実廃墟モールなのだが、同じ筆者が書いている「ピエリ守山」や「印西ビッグホップ」と同列では語ってほしくないという気持ちも強い。

マイカル本牧オープン当時、サティの商品部にいて、微力ながら立ち上げに加わっていた。この記事の筆者が言っていることは、オープンにかかわったほとんどすべてのスタッフは当時からわかっていた。「アクセスが悪い」「横浜や元町が近い」「大きすぎる」など・・・我々の中でも一番大きな声は「商圏の半分は海」ということだった。つまり足元のデイリー客が、安定してこないことが致命的だとわかっていた。この後、マイカルは「マイカル小樽」も開業する。ここも商圏は半分海だった。「マイカル小樽」にも、晩期はビブレの営業部にいてかかわっていた。両方の施設とも買物する店ではなく観光に来る店になっており、極端に言えば「大きなスーベニア店舗」になってしまっていた。

当然、経営側ではなかったので、出店に対してどういう決定経緯かはわからないが、きれい事で言うと経営者の「夢とロマン」、「郊外型SCへの取り組み」であり、ファッション業界ではどうしても下に見られる「量販店の意地」もあったのかもしれない。オープンから数字は厳しく、いろんな手を使って売上を計上していた記憶がある。経営側の間違いに誰も進言できなかった社内事情の結果が、その後の結末に導いた。さらに、過剰投資が有利子負債を増大させていった。

ただ、計画を実行すべく動いたスタッフは、社外ブレインも含めて優秀で、商業施設として見ると、量販店のSCとしては極めてすごいものだったと思う。大きな投資金額や優秀な外部ブレインを使ったとはいえ、店舗デザインやブランドリーシングは画期的だった。冒頭に標記したブランドは、バブル期ではあったが、今でも人口100万以上の大都市にしか出店しない。決して「ららぽーと」にも「イオンモール」にも「地方百貨店」にもリーシングできない。

日本の大型モール(RSC)のスタートをどう捉えるかだが、1981年に「ららぽーと船橋」(現トーキョーベイ)がオープンしているが、本格的にスタートしたのは2000年オープンの「ダイヤモンドシティ川口」(現イオンモール川口前川)でそこから2002年「ダイヤモンドシティ伊丹」(現イオンモール伊丹)と続いている。その後、ダイヤモンドシティはイオンモールとなり郊外での大型モール事業が広がっていった。その間ららぽーとも都心近郊に出店を重ねており現状に至っている。

マイカル本牧は1989年に11番街までの大型商業施設を開業した。その後1997年に「マイカル明石」を開業し2核1モールのRSCをスタートさせ、1999年に34万㎡の「マイカル小樽」をオープンさせている。マイカルは大型モールの計画を早くから進めていった。2核を「サティ」と「ビブレ」にしようとしたことや、立地に無理があったため、成功には至らなかったが、間違いなく現状のイオンモールやららぽーとなど大型モール成功の礎にはなっている。その後、マイカルは過剰投資による有利子負債の増大で倒産したが、マイカル本牧は国内最初の「時間消費型」のSCとして大きなインパクトを残した。あの当時「ドルチェ&ガッバーナ」や「ビームス」が入っていた商業施設を量販店が作り上げたということも忘れてほしくはない。

30年以上前でも、現在同様、小売業にマーケティング理論はあり、商圏の調査や分析などは当然実施する。それでもその分析に反して出店せざるを得ないこともある。マイカル本牧の出店は「バブルの時代」という時代背景だった。現状主流のイオンモールも、地方人口の大幅減少で、近い将来「廃墟モール」になってしまうかもしれない。やはり「廃墟モール」への大きな要因は、SCオープンにおけるマーケティングや設計の不具合より、「時代の変化」に尽きるのではないかと思う。

■今日のBGM

雑談・・・着なくなった服を捨てる

11月.12月ファッション衣料の流れが悪そうで、バーゲン期の状況や数値が出るまで同じようなことばかり書きそうなので、今日は私事を書く。

もう年金受給者なので、少しは家のこともしようと思って、週3.4回の早朝のゴミ出しを始めた。ついでに「着なくなった洋服も捨ててくれ」という指示もあり、古い服を整理している。途中で何度か引越しをしているので、捨てていたとは思っていたが結構すごい量になっている。もう当然合わなくなったサイズの服や、もう絶対着ないだろう洋服がある。毎週1回洋服を捨ててもいい日に少しずつ捨てに行こうと思っている。少し整理するだけで、面白い洋服が出てくる。今回は、面白いコート2点を見つけた。

まず、「バセットウォーカー」のオイルコーティングされた綿のシングルトレンチコート。このブランドは1958年スタートの「JUN」グループのブランドで、調べてみると「JUN」グループの中では、「JUN」「JUNMEN」「ROPÉ」「J&R」「DOMON」の次にできた1976年スタートの古いブランドだ。今はもう実店舗はない。「JUN」は「VAN、JUN」時代を築き「VAN」のアイビー路線と「JUN」のヨーロピアンテイストの2大トレンドを作ったブランドだった。ブームが去った「VAN」と違い、その後のDCブランドブームをも牽引した。バブル期には「LUNA MATTINO」という過激なブランドも登場させた。そして今でもファッションやアートなどで新鮮なムーブメントを起こしている。

あまりこのコートには思い出が出てこないが、渋谷パルコに、よく行っていたので、バーゲンで買ったのかもしれない。(渋谷パルコにあったような・・・)裏地が取り外しのライナー付でライナーはもうない。オイルコーティングされているので80年代後半かもしれない。もともと都会派っぽい「JUN」系のブランドは買ったことがなく、着ていた感じはあるが、詳細は記憶から消えている。この長いコート丈といい、今はあまり見ないオイルコーティングされたトレンチには、もう出番はない。

もう1点はネイビーのダッフルコート。このコートのブランドロゴは裏地にある。ブランドは「イクザンプル バイ ミッソーニ」。ニットの魔術師「ミッソーニ」のセカンドブランドでオンワード?が代理店だったのではないかと思う。当時オンワードにはICB事業部(?)たるものがあり、外国ブランドを多数取り扱っていた。あの「ドルチェ&ガッバーナ」も1989年マイカル本牧5番街にオープンしたが、オンワードの直営店だったような気がする。余談だが、あの当時のマイカル本牧の5番街には「アポロシアター」や数々のインポートブランドがあり、今あれば大きな脚光を浴びていたと思う。「リゾナーレ」もマイカル発祥だが、何にしても発想は良かったが、やることが早すぎた。そしてコストをかけすぎた。

もともとダッフルコートはあまり好きではなく、このコートは、毛布のように重かった。これは新宿マルイのバーゲンで買った思い出がある。いろんなインポートブランドのクリアランスをしている時に、迷った末に買った。インポートなのでコート丈が長く重かったが、一時イタリア物に走った時には着ていた思い出がある。

仕事でスーツを着ていた時は、ステンカラーなどのビジネスコートを着ていたが、カジュアル化が進んでノーネクタイになっていき、アウターは変化していった。小売の会社を立ち上げた以降は、全くスーツは着なくなり、ほとんどダウンやカジュアルコートに変わっていった。そしてビジネス要素のあるコートは、タンスの隅に追いやられていった。

と、いうことで、今度のゴミの日にはこの2点のコートとトラッドベースのもう着れないスーツ3着を捨てる。「捨てる」のジャッジは、着てみて「サイズが合わない」、「デザインが古臭い」で決めるが、貧乏性なのでなかなか決めけれない。そして、まだまだ捨てなければならない服は山ほどある。面白い服が出てきたら、また書くことにする。

■コート2点

数字を読む 2

厳しい数字状況で、気になる会社の四半期決算短信が発表されている。年度決算数値ではないが、今後の方向性や現状の問題点が見えてくる。チェックしている会社で1月発表されたデータを簡単に見てみる。

イオングループのジーフットが先日第三四半期決算短信を発表している。前年の決算で、イオンを引受先として第三者割当増資を実施し、さらに他の財務支援も受け債務超過を解消したが、今期第三四半期で再び債務超過の状況になっている。営業利益は第三四半期で−10.5億、経常利益は−12.2億と発表されている。売上は同期比で前年96.5%、利益率43.6%前年差-0.4、在庫前年比112.9%となっており、前年より悪化傾向は続いている。商品回転率はおそらく前年より悪化が予測され1.4回転前後になると思われる。ちなみに業界トップのABCマートの前年の利益率は50.5% 回転率は2.04回転となっている。

ジーフットはイオンGMSの靴売り場(グリーンボックス)も運営しており、純然たる専門店と言いにくい。近年「アスビー」への変更を進めており、専門店化を図っているがGMSから靴売り場はなくせない。おそらくここがネックになっている。ABCマートのように商品ターゲットを絞り込み、商品のメーキングができれば改善できるが、GMS客層の取り組みを続けると、客層の幅が広がり売場がぼやけてしまう。イオンとしてGMSの赤字をヘッジしているとも考えられるためGMSの存続も含めてイオンのジャッジが必要かもしれない。もともと靴業界はサイズが多く、それに加えて客層の幅が広ければ当然商売は厳しい。

タカキューも第三四半期決算を発表している。売上は同期比で前年90.4%、利益率63.0%前年差+1.0、営業利益32百万前年比17.0%、経常利益128(百万)前年比43.6%となっている。ただし決算期には有価証券売却益を計上するとしている。第3期末在庫では前年比135%となっており、売上前年比を考えると在庫過多であり、商品回転率も相当ダウンすると思われる。ちなみに第3四半期までの回転率は前年2.03に対して1.32まで落ち込んでいる。利益率の改善は高値入の商品を多く投入した結果と考えられる。ただ、在庫過多状況であり、回転率を考えるとそこまで商品の消化はできてないように見える。

現状主な主戦場は、元イオングループということもあり、郊外モールが多いが、売場の見せ方が整理されすぎているように感じる。ブランドビジネス出身の社長にありがちな、よく言えば「売場をきれいに見せる」、悪く言えば「気楽に入れない」店になってしまっているように見える。さらに、数値面も在庫を処分すれば利益率が急落するリスクが隠れている。やはり主な品種のスーツ業界はサイズが多く、単価も上がるため、在庫がキーポイントになる。

ライトオンの今月発表した第一四半期決算短信を簡単に見てみる。売上前年比64.7%、利益率52.8(前年+0.6)在庫前年比71.4%となっている。経常損失は続いており、今後ワールドからの資本援助で解消されるが、現状では債務超過の状況となっている。まだ今後のMDについては未知数だが、短信ではレディス商材が支持を集めたとある。レディスの比重を上げていくのであれば、ショップのゾーニングや内装にも違和感が出てくるかもしれない。サイズが細かいジーンズのウェイトをどこまで下げていけるかも含めて、「ジーンズのライトオン」としてのMDをどう変えていくかが注目される。さらに、ワールド自体が、このカテゴリーやそのMDを得意には見えず、どういう再生のスタートを切るか興味深い。

最後にヴィレヴァンの中間決算にも触れておく。売上は前中間期比で91.4%、売上総利益107.8%、総利益率45.2%前期比+6.9、営業利益167(百万)(前年同期-608)と改善数値を発表している。ただ、前期末に棚卸評価損2472(百万)、減損損失674(百万)計上しており、その評価減の戻り益が多分に含まれており、次年度以降の数字でなければ検証はできない。私見では、以前書いたが、商品管理体制を確立しなければ再浮上は難しいと思っている。

今回書いた4社はすべて在庫過多が原因で営業不振に陥ってきた。靴やスーツやジーンズのサイズの多さ、商品アイテムの広がりによる在庫の重さが、商品のジャッジやトレンドへの動きへの遅さを導いている。そこを改善しなければ再建はおぼつかない。個人的には、大手企業子会社の ジーフットやライトオンは、上場廃止の方向となるのではないかと思っている。

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12月、1月の売上は小売業の年間売上を左右する。そういう意味で、この2カ月の各社の月度売上報告は細かくチェックしている。

12月既存店売上の数字は全体的に悪い。各社とも、前半が暖かく冬物の動向が悪く、日曜日が1日減とコメントしている。特に内容は例月のコメントと変わらない。気温変化にMDで対応できず、対策も後追いだったということらしい。既存店売上に関して、確認している数字では、TOKYO BASE111.0、マックハウス105.7、ユナイテッドアローズ103.8、ヴィレッジヴァンガード103.0など数社のみ前年をクリアしている。ごく簡単にまとめるとセレクト系と厳しい状況で回復必至の企業になる。

好調を続けていたユニクロ国内事業は、暖冬を理由に12月既存前年比は94.1、オンラインストアのシステム障害があった無印良品も94.2と既存前年を下回っている。衣料系は総じて悪く企業譲渡されたライトオンは85.7、シーズメン(チチカカ、メソッド等)から社名変更したスターシーズが86.8と最量販期に90%を割り込み回復が厳しい状況が続いている。

12月1月は、コロナ前(2019年)から既存店売上前年比を毎年掛け合わした数字を作っている。この数字は当然正確ではないが、企業状況の目安にはなると思っている。つまりコロナ前からの既存店2018年比を安易に計算している。ABCマート144.8、ワークマン134.2、しまむら123.0、西松屋115.4の順になっており、ユニクロ95.9、アダストリア98.5、無印良品は2021年比で97.2(2020年数字は未発表)で、まだコロナ前の既存店数字には未達となっている。その数字が極めて厳しい企業の多くは、コロナ後に企業譲渡されており、ライトオン42.0、タカキュー75.7、マックハウス77.7と回復できてない。厳しい状況のヴィレヴァンも79.3と80%を割り込んでいる。あくまでも流れとして見ている数字であり、当然その間に新店がありそれが既存店になっていくことは理解している。

コロナ前の決算数字と前期決算数字を比較すると、ユニクロ国内事業の売上は117.5%、アダストリア125.1と多店舗化や大型化で伸長しているが、コロナ後に大幅伸長しているUAは95.9とまだコロナ前売上をクリアできていない。比較的プライスレンジの高いTSIも88.4、百貨店志向が強いオンワードが62.5、ワールド76.8と回復に至っていない。単価が高いグループに属する企業は厳しい流れが続いているようだ。逆に値頃感が強いしまむら122.6、西松屋130.0と伸長している。さらに、上記した数字の厳しい企業は、ライトオン38.7、タカキュー47.3、ヴィレヴァン73.6、マックハウス51.4と完全に低迷している。

企業の状況の流れもあるが、やはり低価格帯への流れが顕著ではある。先日繊研新聞に「被服支出はコロナ前水準を下回るという」記事が出ていた。月当たりの洋服支出は2019年の4322円に対して2025年は3476円となっており、婦人衣料は2473円から2008円に、紳士衣料は1410円から1080円まで落ち込んでいる。特にビジネス衣料は「優先度の高い支出」から外れていると書かれている。先述した自己流での既存店コロナ前比でも「しまむら」や「西松屋」の数字が上位にいるのが納得できる。ワークマンはFCが大半で状況が具体的には読めないが、やはり大きなポイントは「価格」になっている。

今年も物価上昇を避けることはできそうにない。小売業の切り口は引き続き「価格」になるのは疑いようがない。そして円安の環境下でも「価格戦略」にシフトできるのは、迅速に商品を作れる大手企業しかない。

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