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中流?

いつも読んでいる漫画雑誌の4コマ漫画(作:業田良家)で、「夫婦が買い物に行って値段POPの大きいジャンパー、シャツ、パンツを見て最後に旦那さんが「俺の着ているもの全部値段がわかる。」と言ってユニクロらしき店から出てくる。」というものがあった。そのあと最後の1コマで「この店で、買った服しか、持ってない。」と詠まれている。

「ブラックフライデー」+「感謝デー」ということもあり近くのイオンモールに買い物に行ったが、集客があったのはユニクロと食品売場くらいだった。いつもの「感謝デー」より少し多いぐらいの客数のようだった。ユニクロは販促に呼応してセールコーナーを大きくとっていた。

また別の話だが、先日実家に帰った折り、所謂値頃価格のホテルに3泊した。観光地のグレードの高いホテルはほぼ満室で、中途半端な値段なら安いほうがいいと思って予約したのだが、ほぼ高齢者のツアーや夫婦客で満室近かった。ちなみに観光地は東南アジアの訪日客でほぼ埋め尽くされていた。

自分がそう思っているだけかもしれないが、どうしても値段訴求に向かっているお客様が多くなっているように感じる。少し前まで洋服はセレクトショップのアウトレットで買っていると言っていたノンポリの友人もユニクロ派に転じた。

ファッション業界もユニクロや無印、アダストリアの値段が中心になりブランド志向が崩れていっている。「取引先から買って仕入れて売る」時代から「自社で作って売る」時代に変わっているのでそうなるのは必然だとも言える。中にワンクッションはいらないだけで値段は下がるに決まっている。そしてお客様はもうそこに気づいている。

方や先日の日経新聞には「モンクレール+sacai」の広告が大きく掲載されていたり、地方でもラグジュアリーブランドのホテルがどんどん建設されている。お金を出せばそこに心地よさがあることも分かっている。

中流がいなくなったというよりも、仕組みがわかってきたという感じのほうが強い。

ただ、ニュースでは「コロナ前に戻った」と言っているし、有識者もそういっているが、「失われたコロナの3年間」の代償は大きいことも忘れてはならない。

■今日のショット(忍野八海)

Workwear for the handsome women

日経新聞を宅配していると折り込まれている、「Ai」というファッション情報誌を知っているだろうか?

発行当初のニュースリリースをネットで見ると平成26年11月から第4日曜日に折り込みとなっている。B4 変形タブロイド 4C 中綴じ32~48ページ 部数60万で講談社が制作し日経新聞が発行するラグジュアリーなファッションマガジンというようになっている。ターゲットは日経新聞を購読する100万人の女性の中核を形成する35~49才のようだ。

これだけのクオリティの高い小冊子を作るだけで大きなコストだし(紙質もいい)、折込料だけでも非常にコストがかかる。もう9年続いているということはニーズもあるしその効果もあるということだろう。ちなみにメルカリでは1部300円~で掲出されている。

9月号は28ページで(わずかにコストカット?)広告7ページ(シャネル2ページ、ブレゲ2ページ、ブシュロン、エスト(花王)、Gアルマーニ)。他はテーマ構成で服飾(ボッテガ、ブルネロクチネリなど)、美容(ポーラ、コスメデコルテなど)。ファッションはブランド打ち出しではシャネル、フェンディ、ボッテガ、Gアルマーニが各1ページ。テーマでホワイトバック(フェラガモ、グッチ、ヴィトンなど)、ラグジュアリージャケット(ラルフ、ブルネロクチネリ、ジルサンダーなど)、デイリーウェア(トリーバーチ、ポールスチュアートなど)、ブラックシューズ(ボッテガ、ディオール、エルメスなど)が各1ページ。その他協賛でヤヌークジーンズ1ページ。小物、バック、眼鏡で1ページ。その他美容で協賛もあり7ページ(当然ブランドページもある。)ちょっとしたトピックページが2ページ(上方女性落語家 桂二葉を取り上げたのはgood choice!⇒唯一読めたところ)という構成になっている。

日経の女性読者のグレード感はこの水準なのだろうか?やはり女性のほうが圧倒的にファッション志向が強い。9年間続いているということは、ニーズもあり、購買モチベーションにもなっているのだろう。今まで何気に見て捨てていたが、この小冊子を見て購買につながっているということは、新宿伊勢丹や梅田阪急を筆頭にする都心百貨店はまだまだ大丈夫だ。ラグジュアリー系は健在だということだろう。

かえすがえすも、池袋西武はもったいない。

■Ai(アイ)

回転率からみる在庫の信憑性

上場専門店の売上数字を、前回簡易的に計算してみたが、債務超過のタカキューは別にすると、ライトオン、マックハウスというジーンズカジュアルから派生した専門店の数字が気になったので去年の決算数値を確認してみた。

ジーンズショップは、サイズが細かく品番も多くメーカーも多いため、特にデニムの在庫が多くなり、商品が回転せず、売れていても、経営は非常に厳しい。特に現在はルーズなサイズ分類が中心になり、ライトオンでもデニムの在庫ウエイトは下がっており、売り場のボリューム感を出すために、一時は売台 にデニムの類似品が陳列されており、在庫を減らそうという苦労がうかがえた。

去年の決算を見てみると以下の数字になる。

・ライトオン 売上48229百万 利益率49.3 ※2019年対比65.2% 394店

自己資本比率44.2% 流動比率62.5% 

1店舗平均 月度売上10200千 平均在庫57300千 回転率0.18 

・マックハウス 売上18443百万 利益率48.0※2019年対比65.8% 320店

      自己資本比率35.8% 流動比率71.3%

      1店舗平均 月度売上 4800千 平均在庫26100千 回転率0.18

      (マックハウスは他の業態もある。)

非常によく似た数字になっている。

在庫が減ると自己資本比率は下がる。流動比率は上がる。経営分析は在庫高にも左右される。

きしくも、両社とも月度回転率は0.18となっている。年間定番商品が多いと回転率は低い。デニム中心になるとそうなるかもしれない。

ファッションで言うと春夏秋冬の四季がある。年4回衣替えがあり商品が変わるとして4÷12で1カ月0.33回転になる。現在は在庫勘定方法が変わったらしいがユニクロは月0.5回転だったと聞いているし、アダストリアも悪化していても前期は月度0.37回転になる。

両社の決算数字に対して異議を唱えるわけではないが、本当にこの回転率で商売をやっていけているのかとは思う。SPAであれば在庫日数が大きくても原価率を考えると許容範囲はあるが、買いの商材は支払いが半年後であっても、この回転率ならキャッシュが回らない。

この在庫評価は適正なのだろうか?販売できる値段になっているのだろうか?この在庫回転率を見るとこの商売は長く続かなそうに見えるが・・・

■今日のBGM

専門店はコロナ前まで回復したか?

毎月、月初に上場企業は前月度の月次数字を報告する。会社を経営し始めてから専門店の数字はチェックしてきた。ここ数カ月はインバウンド景気もあり、商業が活性化したと報じられていて、売り上げ前年比は大幅に改善しているようである。ただ現状の小売業界はそこまで活性化しているようには見えない。果たしてコロナ前まで回復したのだろうか?実際はどうなのだろうか?

ふと思い立って、毎月月初に発表される各社の売上数値をもとに簡単に計算してみた。IR情報には過去の履歴も残っておりその数字を参考にして、コロナ後前年比数字(今回は8月数値)からコロナ前数値比を簡単に出してみた。計算方法は単純に2019年8月を起点に2020年8月から2023年8月までの既存店前年比を毎年乗じただけである。当然その期間に既存店の退店があったり、イレギュラー数字も出てくるが、とりあえず単純に毎年の既存前年比を乗じてみた。おそらくこれは各社の正しい数値ではなく、あくまでも参考数値として理解してほしい。(未発表の会社もあるし、発表日が10日以降の会社もあるので、留意した会社のみの数字ではある。)

2019年比(くどいようだがあくまでも推定数字)

100%以上 ABCマート112.6 アダストリア109.5 西松屋104.5      シマムラ 103.0

90%台  ユニクロ97.6 無印96.1 サックスバー93.8 ユナイテッドアローズ93.3 ハニーズ92.7 トーキョーベース92.2 ニトリ90.1

80%台  青山89.7 コックス80.7

80%以下 ライトオン74.1 タカキュー71.3 マックハウス63.7  

以上のようになっている。

100%を超えている会社が4社のみということは、まだまだ数字は回復途上というところだろうか?コロナ後は完全停滞期になっているという状況だ。比較的値段志向の会社が上位にあり、アダストリアが独自のポジションをとっているようにも見える。メンズ業界は非常に厳しい状況で、「家計が厳しくなるとメンズ業界への支出が減る」という構図となっているのかもしれない。大型店舗を展開する会社の数字が安定していることも共通項になる。

ファッションに関してはユニクロの流れがバロメーターになるのかもしれない。いろんな環境や各社の動向を見てもファッションの「新しい波」は当分現れそうにない。

■今日のBGM

テナントリーシングについて望むこと

売場ゾーニングプランはSC開発する上で最も重要なものであり、そのプランでSCの命運を左右される。SCのコンセプトに基づいてテナントを配置する。そのプランに基づいてテナントを誘致する。

そのSC(駅ビルも含める)がどの客層を集めるかによって、テナント構成は変わってくる。20年以上前はどれだけプレステージの高いテナントを導入するかが戦略の1つだったと思う。今でも優先度の高い戦略だとは思うが、客層ターゲットによっては大きな変化が出てきているように感じる。

RSC(リージョナルSC)スタート期は、まずSCイメージを出すため、百貨店ボリューム客層を集客することに加えてトレンド客層も取り組むことを狙ったと思う。オンワード、ワールド、イトキンとの開発で百貨店ブランドディフュージョンショップを多く取り入れた。RSCのグレード感を確定できたことは、その後のSC開発には大きく役立った。「SM+専門店」のイメージから、ある程度従来のSCよりボトムアップし年齢層も若くしたRSCが確立されていった。

それから20年以上経過し、ファッションの流れも変わり、お客様のニーズも大きく変化してきている。プライス志向が強まり、それに伴いテナントの大型化が進んできている。以前にも書いたが、「テナントの大型化」=「SC収益のダウン」という流れは否めない。

SCの出店ラッシュのつけがきて、SCの差別化がなくなってきており、今後は淘汰の時代を迎える。現状もそうだが間違いなく空床スペースは増えていく。退店後に入店するテナントは明らかに「通信系(携帯ショップ)」「美容系」「食品関連」などが多く、他は「ユニクロ」「ABCマート」など好調大型テナントの増床が目立つ。空きスペースは携帯ショップの催事も多く、おそらくお客様からのクレームも多いと思うが、賃料カバーのためやらざるを得ない状況となっている。おそらくこのままではどんどんSCの魅力がなくなっていってしまう。

イオンモールスタート期に、今後伸びるだろうテナントを積極的に導入したように、新しいテナントや出店したいテナントをどんどん開発してほしい。投資やSCの収益のことよりも面白いテナントを開発してほしい。それが差別化にもつながるし、それがSCの存続にもつながる。これも以前書いたが、内装は個性的なものを作るのと引き換えに催事契約でいいと思う。テナント、SC双方がリスクヘッジする契約よりも、お互い少しはリスクを持ってスタートする契約を話し合っていけばいいと思う。

流通系SCにはそれぐらいの度量が欲しい。

今日のBGM

小売業にスタッフが集まらない

群馬県のコストコではアルバイトの時給が1500円~(交通費別)ということである。調べてみると、社員、アルバイトとも時給1500円~とあった。

時給1500円で1日8時間、週5日働くと月4週で24万の給与になる。ほぼ社員としての扱いになると思うが、店に対する思いがないのなら破格の条件といえる。大卒初任給もそこまでない会社も多い。

一般の専門店で、商品が好きでそのお店で働きたいというスタッフが、果たして群馬県でこの給料を超えているのだろうか?給料が安くてもプライドで働いてくれるスタッフはどれだけいるのだろうか?

では一般の小売店で時給1500円で雇い入れて、利益が出せるのか?

ファッションの専門店では人件費率が15%以内、どんなに多くても20%以内だと思う。昔からある販売代行業(ブランドの洋服を販売するだけの仕事)の手数料は13~17%だった。さらに労働分配率(荒利益に占める人件費の割合)は40%前後が分岐ラインと言われている。

それを考えると、時給1500円でアルバイトを2名雇って一般的な30~40坪での店でスタッフ4名の人件費は最低1000千以上になるだろうし、店長等の社員をプラスして会社負担の経費(交通費、社保等)も加えると1400千から1500千の店の人件費になる。人件費率20%として月売上7000千、荒利率45%として労分率40%で計算すると8000千が損益分岐売り上げになる。

これは大きな数字で30坪80000千以上の年売り上げが分岐点になれば、何かを大きく改善しなければ構造的に無理な数字になってくる。

スタッフは集まらない、売り上げは大きく望めない、出店条件の緩和は厳しければ、もう出店もできなくなる。

果たしてどういう風に構造を変えていけばいいのだろうか?

今日のBGM

地方専門店は残っていけるのか。

昔の形で残っている専門店はまずないのではないか?

まず思いつくのはトラッド系の専門店。「VAN」から始まって「Jプレス」「ニューヨーカー」「エイボンハウス」などと、ちょっとそこからヨーロピアン「JUN」に流れた専門店。トラッド系は「ポールスミス」や「マーガレットハウエル」の品ぞろえに変わり、DC全盛時にオンリーショップになり、専門店としてはもうほとんど見ることはない。

DCブランドは大都市中心にオンリーショップを直営で展開したが、地方ではトラッド系の専門店が「ビギ」「ニコル」中心にFCとして広がっていく。現在はブランド衰退と同時になくなっている。大手のFCであった企業ももうなくなったか規模が小さくなった。

次にジーンズ系。ジーンズの人気に相まって広がりを見せた。が、おそらく在庫の問題や掛け率の件もあり、インポートデニムブームをピークに減少していく。「三信衣料」から「アーバンリサーチ」を立ち上げ脱ジーンズを図ったアーバンリサーチ、「ポイント」から見事に転身したアダストリアが大手専門店に変化を遂げた。地方にはまだジーンズ専門店からジーンズのにおいがするセレクトに変わっていった店は多い。「Bshop」系のセレクトを加えて生き残っている専門店もある。ただエリアでのバッティングや在庫の重さで大きくはなっていけない。

1970年代後半くらいからじわじわ大きくなってきたセレクトショップも、今は完全に「自主MD+買い」に変化して大手専門店チェーンのようになってきている。(「トゥモローランド」だけ別路線に見えるが・・・)地方のセレクト系はファッションに興味を示す客数がダウンしてきたこともあり、大幅に減ってきた。昔は「ファッションは熊本から」と言われていたが、九州も、もうその面影はなくなった。

いろいろ思うところはあるが、規模を拡大せず、売っていきたい商品を、好きになってくれた顧客に売っていくしかないのかと思う。チェーン化を目指しても相当の分析努力がなければできない。ストライプインターナショナルの例を見ても流れだけでは成功はしない。

山口からのユニクロや水戸からのアダストリアのような企業はもうできないのだろうか?

余談ではあるが、私がいろいろお世話になった人が群馬県の桐生市でセレクトショップをやっている。工場をリノベする大きな投資をして「思い」がわかる店を作った。チェーン化しなくても「会社スタッフ」と「お客様」が満足してくれるならそれだけでいいのかもしれない。

今日のBGM

洋服屋はどうなっていくのか。

円安による物価高騰を受けて、消費者は完全に2極に分かれてしまった。値段志向とブランド志向の2極になりつつある。中間層はどんどんいなくなっている。「洋服に金をかける人」と「かけない人」がはっきりと分かれてきた。「食べるもの」は絶対必要で、「電気や水道やガス」は生活する上に必要で、「着る物」は変じゃなければいいという流れになってきている。 「ユニクロ」に行けばほぼ何でもそれなりの商品はある。値段も商品も納得できる。売り場もわかりやすく、明るく、商品量も申し分ない。単品集積で買いやすい。少し着想感や若干のトレンド感が欲しいなら「グローバルワーク」で十分対応できる。

それではその他の洋服屋はどうなっていくのか?ラグジュアリーブランド以外はどう残っていくのか?

まず個人が数店舗程度を運営していくのは問題ない。ただモールや駅ビルは今後当然賃料の高騰は避けられず、インショップでの運営は難しくなるのではないかと思う。賃料の高騰に合わせた利益率を上げていくことができるのか?特に「買い」の要素が高い仕入れをしていると出店コストに間違いなくついていけなくなる。その店に合うイメージと相応の賃料での路面店等出店が望ましいと思う。

数十店舗以上のチェーン店は、個性を打ち出せない以上存続は難しい。一昔前、オンワードやイトキンやワールドなど大手アパレルがやっていた店はもうすでにない。どんどん拡大したストライプインターナショナルもタイムサービスもやらなくなったらもういらない。前述したアダストリアがユニクロとは違う角度で残っていくぐらいだと思う。

セレクト系はどうなのか?アローズもビームスも、シップスもベイクルーズも、お客様はユニクロやアダストリアで買わない層が普通の服を買いに行っているだけ。特にアウトレットはひどいMDになっている。しいて言えば「トゥモローランド」が流れに振り回されずにマーペースっぽく見える。セレクト系大手は大都市ターミナル、ファッションビル系でやっと存続できるという流れのように思う。

その他セレクト系のショップはどうか?モールの中にもジーンズショップ出身のセレクト(bshop系)が入っているが、セレクトの利益率を考えると賃料が上がると継続は難しくなる。モールでは貴重なショップだが、経済条件で折り合えるか?その他の地方のセレクトは今までのように固定客が戻ってくるかどうか。ただやはり固定客商売は年月を経るごとに年齢層が高くなってくるので、新しい層が開拓できるかがポイントになる。

何か新しいトレンドが出てこないと現状の洋服屋の流れは変わらない。

さらに、デベロッパーがある程度ファッションリーダーとして必要な店に、どれだけ条件の緩和をできるかどうかがポイントのように思う。商業施設がファンド物件やリート物件になっている現状、それは大変厳しい状況にある。

新しい流れの店や、入ってみたい店が増えなければ、商業施設も変わらないと思うのだが・・・

今日のBGM

店は何年続くのだろうか?

前回「顧客ターゲットを間違えると商売は絶対成功しない。」と書いたけど、ずっと続いている店(ブランド、ショップなど)はあるのかと感じる。どこかで役目を終えて、次の担い手がやってくるということなのだろうか?

GMSは終わったが、SM(スーパーマーケット)は形を変えながら続いている。食品、ファッション、住まいといった大きなカテゴリーは残るが、細かな店はMDを変えて残っていく。

安定的に出店し続けている店は、どこだろう。思いつく限りでは、衣料品では「ユニクロ」「GU」「グローバルワーク」雑貨系では「無印良品」「ABCマート」住関連で「ニトリ」、少し元気がないが「ライトオン」やスーツ系ショップ、路面志向の「西松屋」「アカチャンホンポ」「「シマムラ」等。比較的幅広い客層で「良品質値頃」を追及している店が多い。

逆に、浮き沈みが激しいのが、「トレンド系」「客層が狭い」店舗だと感じる。そういう店は、「顧客の囲い込み」をして売っている店が多く、年月を経ると逆効果になっているように感じる。昔「おしゃれな20代」をイメージしてスタートし「顧客管理」をやって売ってきた店は、お客様と一緒に年を取っていくか、ショップがなくなっている。

前回書いたが、昔販売代行をしていた「ナチュラルビューティベーシッ」は客層が変化しているし、同様に販売代行をしていた「&バイピンキー&ダイアン」はもうブランドがない。郊外SCに大きな売場で登場した「コムサイズム」もずいぶん見なくなった。当然一世を風靡した「DCブランド」や「ギャル系ブランド」もたくさん消えていった。嗜好が強ければ強いほど、時代とともに消えていくし、客層もどんどん年齢を重ねていく。さらに一昔前のお客様囲い込みの「顧客管理」は衰退に拍車をかけた。

その他、ジーンズ系やスーツ系のショップはサイズの細かさで在庫回転率が悪くなり、経営悪化につながって、淘汰されてきている。

トレンドを作る若い世代が減ってきて、さらに景気悪化の中、生き残るのは「ノンエイジ」の「高感度良品質値頃」という非常に高いハードルに挑戦し続けなければならない。

またいろんな店を見て、思うことをまとめていきたい。

■今日のBGM

ストーンアイランド

風呂に入りながら、昔読んでいた文庫本を読んでいる。長く読めないのでエッセイが多い。先日、奥田英明氏「野球の国」をパラパラ読んでいて「…上着はCPカンパニーでボトムは兄弟ブランドのストーンアイランド・・・」とワードローブを書いていた。何回かは読んでいるのだが、初めて気がついた。私もずっと好きでそのコーディネイトは多い。年齢は同年代で、大変失礼だが似たところもあるのかもしれない。

ニチイに入社して7年目くらいに、商品部の「開発ショップ」の担当バイヤーというわけのわからない仕事に就いた。わかりやすく言うと、その時はDCブランド全盛期で、丸井やビブレが数字を上げていっており、ニチイもその流れを少しでも入れていきたいという思惑のもとに考えられたポジションだったと思う。ニチイ店舗をサティ店舗に変更していった最初の時期だった。当初は「田舎のビブレ」がコンセプトだったように感じる。(その後GMS進化系?のサティにすべて業態変更される。)

田舎でビブレを作るのはハードルが高かった。まず取引先が出店を嫌がる。地方都市でも売れているブランドを取り扱う地方の会社はある。その会社に出店してもらうには賃料が合わないし、地方の会社が投資に見合うか読めにくい。

話が長引くので、経緯は割愛するが(私の大きなターニングポイントなのでまたの機会に書きます。)名も知らないDCブランドが退店した高崎店の6階の約100坪をインポートブランドで自主構築した。参考にしたのは渋谷パルコシード館、伊勢丹「スライスオブライフ」。

特にシードには足しげく通った。売り場もワイヤー吊りにアルミのパンチング什器と真似た。今ではよくこの投資が通ったと驚くけれど、あの当時の高崎駅前の売れてないビルの6階を頑張って変化させた。(当然大きな赤字だったが・・・)

30年位前のことだと思う。「CPカンパニー」を仕入れたくて、大阪に行った。その当時は「三和トレーディング」という会社がブランドを展開していた。そこで出会ったのが「ストーンアイランド」で、大げさだけど「温度によって色が変わる」ブルゾンが展示されていた。値段は20~30万くらいだったように思うが、それを無謀にも仕入れた。そこから商品を見るようになった。(そのブルゾンは半額以下でブランドを知っているおじさんが買っていった。)

ブランド自体は、その後イタリアブーム、(イタ物ブーム)もあったが、マイペースの販売を続けており、CPカンパニーとは別になり、去年「モンクレール」の傘下となっている。少しヤング化しているのかもしれないし、今後はもっと値段が上がるかもしれない。

収入がなくなったのでアウトレットに期待したが、売れ筋の色が欠けてしまっており、残念だった。今後も伊勢丹はまめに見に行くし、少し余裕ができれば買っていきたいと思っている。

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