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ジーフット上場廃止とイオングループの将来

先日、イオンがジーフットの完全子会社化を発表した。これにより、ジーフットは上場廃止になる。7年連続赤字で、近年は債務超過状況が続いていた。今年1月にこのブログで上場廃止を予測しており、その通りになった。

ジーフットは靴専門店「アスビー」とイオン内の靴売場「グリーンボックス」が中心で、近年は「グリーンボックス」を「アスビー」に転換してきていた。「グリーンボックス」はイオンのGMS(イオンリテール)内でのGMS自主の靴売場だった。これをジーフットに組み入れて運営してきた。靴業種についてもこのブログで書いてきたので多くは語らないが、在庫過多に苦しむ業種ではある。昨今、企業譲渡された「ライトオン」「マックハウス」のジーンズ業界と同じでサイズが多く不良在庫が発生しやすい。今年度決算の在庫回転率も1月時ブログの予想通り年間1.42回転と低い。単純に入荷してから売れるまで9カ月近くかかっていることになる。これではキャッシュが回らない。そして「ABCマート」のようにカジュアルに重きを置き、ブランドとの別注商品を早いサイクル売っていくビジネスとは違う。ターゲット年齢は広く(特にGMS内は高齢者が多い)客層を絞り切れない商売になっている。

おそらく収益悪化の大きな要因は、GMS内の靴売場としての運営によるところが大きいと思う。ただ、会社発表では今後もGMSの売場の活性化策として投資をし、さらに雑貨などとの複合化店舗を開発していくとしている。このブログでずっと書いているが、GMSの衣料服飾品はもうすでに収益事業でなくなっている。あの効率を重視した量販店No1のイトーヨーカドーが衣料服飾品から撤退しているように、もうGMSの衣料服飾品は絶対に成功しない。

その一番大きな要因は、GMSは企業として靴やファッションなど衣料服飾品だけで儲けようとしている会社ではないからだ。「ユニクロ」は「ユニクロ」の商品や、売り方を会社全体で考えている。「無印良品」や他の専門店もそうだ。GMSはGMS全体の収益を考える。例えば、人的な課題について考えると、スタッフはその仕事がジョブローテーションの1つになってしまう。商品部や店で婦人服の担当をしていても、次のステップは営業部や店の幹部など他のポジションになることが多い。当然ずっと衣料品を考えている会社に勝てるわけがない。近年は人口減や高齢化などがあり商品傾向の変化が著しい。商圏や顧客動向の変化も大きい現状、専門性を持った仕事ができるスタッフが必要だが、育成できる環境にはない。そうなれば、当然専門各社に勝てるわけがない。システムなどの面でも、もう優位性はない。

そして、さらにGMSにおいての、衣料品や服飾品の位置づけは低くなってしまっているように感じる。カテゴリー別の損益は発表されてないが、おそらくインナーを除くファッション業種は赤字だと思う。食品を除く業種は、ほぼ儲かっていないと思う。近年の衣料品、服飾品の改装を見ていても傷を減らす改装に見える。センターレジ化を進め、要員を減らす方向で進んでいる。おそらく靴売場のジーフットへの移管もその戦略によるものだ。さらに、商品構成もあまり攻めの品揃えは見えない。大きな売場は、取引先主体のリスクヘッジしやすい売場になってきている。

イオングループ内でのGMS(イオンリテール)の位置づけも変わってきている。もうすでに基幹事業ではなくなっている。今期グループ決算では売上構成比は34.5%と高いが、営業利益構成比は7.9%しかない。このブログでも以前書いたが、イオングループとして今後中心になるのは「金融業」に変わっている。現状は「デベロッパー事業」も大きいが、人口減や都心集中を考えると郊外RSCは厳しくなり、将来的な見通しは暗い。そのためにGMSは「金融業」の顧客拡大の意味での重要な位置づけになっている。「デベロッパー事業」の中心としてのGMSと「金融業」の集客装置としてのGMSが、今後の中心事業の大きな源になる。そういう位置づけとしてのGMS事業になる。その先行きは見えないが・・・

ずいぶん大きなことのようだが、そういう視点で見るとGMSを継続させる必要性は大きく、その観点でのジーフットの完全子会社化の意味合いが一番大きいかもしれない。

■今日のBGM

間違いなく、現場のリーシング力が必要になってくる

神戸のことを書いていて、昔ハーバーランド(ウミエ)から出店依頼を受け、神戸の街を見て回ったことを思い出した。リニュアルのタイミングでPMをしていたイオンモールからの出店の話だった。もともとビブレにいたので月に1度くらいは三宮に行っていた。そのため、どうしても神戸は「三宮」「元町」の印象が強く、港から海側を歩いて「モザイク」まで行くイメージしかなかった。あの阪急百貨店でも成功しなかった場所が成功するとは思えず、断った。その後アンパンマンミュージアムでファミリー層が一挙に増え成功したSCになった。その客層がメインになることは予想できなかった。ただ出店していたら売れていたかどうかはわからない。

その出店の話を持ってきてくれたイオンモールのスタッフは、当時経営していた店のMDをよく理解していたし、店の存在価値をわかってくれていた。数少ないデベロッパー側の理解者だった。そのため、提案もらった店への出店が成功する確率は高かった。当時の店はボリュームプライス中心の自主MD店だった。インパクトある店やはっきりしたブランドの店はわかりやすいが、なかなかボリュームの品揃店舗にはSCから優先的に声がかからない。当然店のビジネスモデルは確立させたつもりだし、そのポジショニングなど差別化要素を示した店舗資料も作っていた。ただ、多くのリーシング担当者はなかなか耳を傾けてはくれなかった。その位置づけを理解してくれているリーシングスタッフは、ほとんどいなかった。

大部分は大手SCのリーシングスタッフだったが、ほぼ経営していた店のMDについては関心がなかったように思う。環境と条件だけ言って出店の可否を聞くケースがほとんどだった。つまり大手SCでは、館のイメージを決めてしまうテナント以外は、ほぼ穴埋めの1つとしての出店交渉になっている。「この場所(SC、区画、条件)に出店しなければこのエリアにはもう出店できない」といった高圧的なリーシング担当者もいた。「イオンの平場でもできる品揃えではなく、品揃えのグレード感を上げてほしい」と言った担当者もいる。イオンの平場との違いを分かってないし、その説明を理解しようとしなかった。

大手SCのリーシングは本部が担っているケースが多い。やはり、仕事の一環としてのリーシングで、その物件への愛着があまり感じられない。与えられたスペースに機械的にテナントを入れる。リーシング担当として、SCでの各テナントの重要度やテナントの出店傾向は理解しているので、話も進めやすい。そして、大手企業へのリーシングは本部同士の話し合いでほとんど決まる。その後の現場での問題点も、本部で吸い上げ、解決への動きになる。逆に中小小売店への対応は、その後になり遅れるし、現場へふられるケースも多くなる。

今までの小売業でも経験上、本部中心になれば現場は作業的になっていく。現場提案が少なくなる。ただ、現場が中心にならなければ成功はない。現状は空床区画が目立つSCも多い。特にオープン以降のリーシングに関しては、動向を見ている現場主導であるべきだ。リーシングの方向性、数値計画を現場(各SC)が作り、リーシングも主体は現場がやる。気持ちが入ったリーシングは数字に直結する。

今後、郊外型大型モール(RSC)は、間違いなくダウントレンドになる。そして、本部主導でのリーシングには限界が来る。個店での対応が難しいとしても、小さな単位でのテナント対応が必ず必要になる。そして、大手小売業だけでなく、がんばって商売している中小小売業への理解とケアを進めていくべきだと思う。

■今日のBGM

価格の信頼感

先日、近くのイオンモールに買物に行った。「20日、30日は5%オフ」の日で割引企画の時にはイオンに行くことにしている。その日は無印良品も優待期間で、会員であれば全品10%オフでもあった。無印良品のレジは並んでおり、客数も多く、スタッフが優待に必要なバーコードの提示を迅速にするように呼び掛けていた。そして、イオンの食品売場は無印良品の優待日が重なり、いつもの5%オフより混んでいた。

やはり「レジ割引」企画は人気のようだ。無印良品は開催中の既存売上が20%近く伸びることもあるらしい。無印良品にとっては、商品動向を再確認できるし、ついで買いも増え在庫減らしの要素もある。イオン食品売場の全品5%オフは、食品業種の利益率を考えれば大きな利益ダウンをもたらす「禁じ手」でもある。ただ、イオンにとっては、顧客獲得で将来的には企業の中心になるだろう金融業への布石にもなっている。

ではなぜ、イオンの食品売場や無印良品の割引企画に多くの集客があるのだろうか。総合食品売場で食品や日用雑貨はすべて割引という機会は数少ないし、そのほとんどが必需品だ。さらに食品の利益率は低いのでお得感は大きい。無印良品も単品の評価が高く、数多くテレビで取り上げられているし、このタイミングでしか割引対象にならない商品も多い。つまり、商品の「価格の信頼観」が高い。

ただ、両店舗でのモールへの集客はあっても、他店舗への波及効果はなさそうに見える。イオンの衣料品への波及も弱そうだ。衣料品はクーポン企画を使えば10%オフにもできるようだが、それでもそこまでの集客は見えない。ましてやテナントへの恩恵は弱そうに見える。衣料や服飾系の各テナントも割引企画を個店では展開しているがお客様は流れていない。お客様も、SCに出店している多くのテナントのセールの常習化や、割引率の設定理由の不明確さに気付いている。そして、一般的な衣料服飾品の価格への信頼感が大きく下落している。二重価格表示についても景品表示法に定められてはいるが、不当表示は多い。すでに、単なる割引重視の商売方法ではお客様は動かない。

商品の動きはデータで見極めればいい。ユニクロは商品の売り上げ動向のデータ化で、季節感や個人の決定ではなく数字で判断している。適正なプライス管理、在庫管理を徹底している。それにより「価格の信頼感」も高い。売れない商品をデータの指摘で迅速になくしていく事で、「価格の信頼感」を高めている。もう多くの人は衣料品や服飾雑貨の価格を「ユニクロ基準」でみている。

そういう流れで考えると、大型モール(特にイオンモール)の中心客層の衣料品、服飾雑貨の基準は「ユニクロ」であり「無印良品」になっている。そのプライスゾーンから外れる場合は何だかのプラス要素が必要になる。それはブランドなのか素材なのか接客なのか、納得できる要素が必要になる。それを考えてMDし、訴求する必要がある。それができなければショップの価値はみえない。

小売業は、常に現時点での「価格の信頼感」を高めるためにどうするべきかを考え続けなければならない。

※このごろAIとやり取りをする。うまく持ち上げてくれるので心地よい。価格の基準になるショップを聞くと、一般的なゾーンでは、衣料服飾で「ユニクロ」、生活の基本として「無印良品」、生活雑貨として「山崎実業」「無印良品」「ニトリ」「IKEA」などを上げていた。

■今日のショット 「散歩中の散り始めた桜」

「ビームスハート」 ららぽーとへの出店の意味

ビームスが「ビームスハート」を、2月トーキョーベイ、3月柏の葉、横浜、エキスポシティに、ららぽーとへの出店をしていく。

「ビームスハート」は従来ビームスのアウトレットでのメインブランドだった。セレクトショップのアウトレットについてはこのブログでさんざん書いてきた。アウトレット商品よりアウトレットオリジナル商品が多く、おそらくこのブランドが半分以上占めているように見えていた。つまり本来の「売れ残った」商品ではなく、そのために作られた商品を売っていたということになる。それは本来のアウトレットの姿ではなく、逆に数字を稼ぐ場所になっているように感じていた。これは、ビームスだけのことではなくアウトレットの数字の伸び悩みにも通じている。(セレクト系ではトゥモローランドにはそういう商品はなかったように見えたが・・・)

このブランドで大型モール(RSC)に出店する意味はどこにあるのか?間違いなく販路の拡大だと思う。従来のブランドなら出店をしなかったRSCの客層へ、顧客幅を拡大したいということだと思う。ユナイテッドアローズが「グリーンレーベル」で、ベイクルーズが「レリューム」や「ジョイントワークス」でのRSCへの出店とほぼ同じ意味合いになる。

セレクト系と言っても幅は広いが、従来のセレクトショップやベイクルーズ、上場しているトーキョーベース等も加えると売上規模は5000億強と想定できる。上場企業はユナイテッドアローズに加えて上記したトーキョーベースがある。MD型大型アパレルのパルグループやアダストリアにも同形態の店もあるのでその規模はもう少し大きいかもしれない。ただ今後の人口減少や高齢化を考えると、従来の顧客は減っていく。国内アパレル市場の売上は2024年度約8.5兆と言われている。コロナ前の9.2兆から回復していない。さらに今後の人口減少、高齢化、若年層の大幅減少を考えると、20年後には5~6兆まで落ち込む可能性は高いと言われている。

別の角度で見てみる。セレクト系上場企業であるユナイテッドアローズとTOKYO BASE 2社の株価の動きを確認する。ユナイテッドアローズは1999年上場で初値は15000円だった。その後分割を3度しており、修正の初値で言うと3125円程度になる。そして現状の株価は2500円を下回って変動している。TOKYO BASEは2015年上場で初値は1230円、分割を繰り返しており修正すると初値は171円程度になっている。現状は400円を切る株価で推移している。当初株価を大きく上回るが、分母がなかなか大きくなっていない。近年の売上は両社とも小売業の中では安定して伸長しているが、株価に反映されていないように見える。考えられる要因は、在庫の重さもあるが、客数の大幅減が想定され、この業界(セレクト系)の成長が見通せないからだと思う。

客層の幅を広げるため、従来戦ってきたセレクト系からRSCを主戦場とするボリュームゾーンへの挑戦は、そんなに簡単なことではない。売り方やプライスラインに大きな違いが出てくる。感度、感性よりも値段への比重も上がってくる。何よりも競合各社にはそのゾーンで戦ってきたノウハウが蓄積されている。

出店した1~2年は、プラス効果はあると思うが、アウトレットの商売のようには甘くはないと思う。逆に、さらに従来のセレクト要素を追求して、安定した顧客を作ることに専念した方がいいのではないだろうか?特にビームスは上場企業ではないのだから、安易な方向に乗り出さなくてもいいのではと思ってしまう。

■今日のBGM

ディストリビューターをAIがやればいい

小売業でのディストリビューター(DB)の仕事は、「在庫管理」「仕入管理」に加えて「利益管理」も大きな仕事だと思っている。イトーヨーカドーがリーディングカンパニーだったのはこのポジションを重要視したからだと思う。小売業が成功するには「適正在庫」が基本事項なのは間違いない。その在庫管理の司令塔的ポジションがDBだと言える。

大昔は、値札の裏側に品番を書いて半券管理し、売れている商品のデータを作っていた。売れている商品は販売点数を考えて発注していた。それがPOSシステム導入でバーコード管理になり、追加発注以外は本部で管理しDBが商品の単品指示を出していた。それでも組織内の人間関係もあり、権限に違いが出てくる。商品組織の中でも営業と管理の違いがあり、バイヤーとDBは別組織にする方が望ましいし、商品の仕入れ枠の最終権限も所属長以下ではDBが持っているのが望ましいと思っている。ただ、多くの企業はバイヤーの権限が強いように見える。商品に愛着を持って仕入れる担当者が、商品の最終処分まで指示できるとは思えないが、経験してきた大企業でも、バイヤーの意見が強かった記憶がある。そして、組織には人間関係があり、ついついなれ合いになってしまうことが多い。

商品回転率は小売企業にとって経営の大きな指標になる。そのうえで、組織の関係や人情が入る商品のジャッジはAIに任せた方がいいと思う。AIが商品売上データを分析し、対策を立案させ、それをジャッジして決定すればいい。これぐらいのシステムは現状なら簡単に作れるだろうと思う。例えば商品の販売期間を設定し、単品別のデータを毎週店別にアップする。その販売期間内での消化状況を開示し、その対策を立案させる。好調店舗への商品移動や、不振店舗への販売助言、最終的にはプライスダウンの指示。さらに、不振商品ならそれをなくすために必要な値下げ額と、それによる全体の利益率への影響度の報告。さらに、今後の仕入商品の原価率や仕入金額で、期間での利益着地予想も算出させる。そして、その報告をもとに企業(責任者)が商品対策をどうするかをジャッジする。

おそらく、もう活用している企業はまちがいなくあると思う。商品を仕入れたバイヤーには当然思い入れもあるし、利益率と在庫のジャッジは非常に難しい。毎回書いているが、食品の賞味期限はわかるが非食品の賞味期限はわからない。企業の主観で勝手に決めている。この商品は季節感がないので年間定番だとか、まだ販売期間を延ばしてもいいなど、商品ジャッジのミスで企業生命がなくなっていく。近年はそうなった企業も多いし、その予備軍も多い。

こういうソフトを作るのにどれだけの投資がかかるかわからない。おそらく支援制度はあるだろうし、それによりDB的なポジションの経費は減らせる。そして何より、本部からのジャッジが明確になる。多店舗化して企業を拡大していくなら判断基準を明確にした方がいい。

ただ、売れる店には、当然それ以外の「anything eles」も必要ではあるが・・・

※AIに上記のようなAIシステムを使っている会社を聞いてみたら、「パルグループ」「ストライプインターナショナル」「ナノユニバース」などの社名と活用されている主なシステム名を答えてくれた。

■今日のDVD

ライトオン上場廃止

ライトオンが2月26日付で上場廃止になっている。このブログを始めたころからライトオンについては書いてきた。これはライトオンの数字悪化要因が、在庫過多にあったからだ。個人としての商売の信条は、「小売は在庫」であり、ライトオンの数字悪化についての意見も、在庫管理の難しさを書いていた流れからだった。

在庫を抱える商売は難しい。過去、いろんな業種の商売をマネジメントしてきて痛感していた。業種としてはジーンズ、靴に代表されるが、重なっていることはサイズが細かく、ほぼ定番化されているということになる。ジーンズカジュアル業界では上場していたライトオンに加えてマックハウスやジーンズメイトは譲渡されたし、靴業界も多くの小売店が姿を消した。さらにジーンズは、在庫ボリュームがあることが売場のイメージアップにつながったという要因もある。

何度か書いているが、小売業は商品を仕入れて(作って)売る。簡単な仕組みだ。ただ仕入れた商品を、支払うまでに金に換えてなければ(=売れてなければ)支払えない。現状の取引では、非食品小売業で長くて仕入れてから3カ月以内の支払いだと思う。ブランド商品や企業の支払い能力によってその支払いサイトは変わっていく。当然いろんな商品があり、すぐ現金に変わる商品もある。つまり、企業規模はあるが年4回転すればキャッシュは何とか回っていく。 

小売企業の状況を見るときは、在庫回転率で図っている。決算時の貸借対照表の資産項目の商品の金額で、前年の金額と今年の金額を2で割れば簡易的ではあるが平均在庫額が算出される。平均在庫を損益計算書の売上原価で除すれば簡易的な回転率が産出される。例えばランダムに見てみると、ライトオンの2022年度の売上原価は24356(百万)で平均在庫は10973(百万)となり、年間回転率は2.2回転となる。ちなみに年度の総利益率は49.3%となっている。つまり半年に1度商品が売れるということで、商売ではキャッシュが回っている状況ではない。売上が減少し続けており、当然手持ち資金は減っていっている。こうなると、普通に仕入れていれば在庫は膨らみ、回転率はどんどん悪化していく。ライトオンはその後商品の評価損を計上するが、遅きに失した。利益率を維持することより、継続的に期中で商品評価を落とし売上を上げ、キャッシュを増やすことを優先すべきだった。

現状の上場小売業ではイオングループのジーフットや、ライトオン同様の流れで評価損を計上したヴィレッジヴァンガードもそういう状況の中にいる。

では、ワールド傘下になったライトオンはどういう方向に向かっていくのだろうか?現状の売場を見る限り、ハードな売場ではなくあくまでもジーンズテイストを打ち出したカジュアル志向の店というように見える。イメージとしてはUAが譲渡したコーエンのようなMDかもしれない。ただ、その中途半端なゾーンは難しそうに見える。ジーンズテイストは、果たして必要なのかとも考える。先日もレイクタウンで四国のジーンズファクトリーの店を久々に見たが、昔のパワーは全く感じなかった。セレクトっぽい商品を少し品揃えしたナショナルブランド(NB)中心の店になってしまっていて、やはりジーンズファクトリーでも大型SCではこうなってしまうのかと感じた。さらにこういう品揃えになるとNBが幅を利かせ儲からなくなっていくのではないかとも感じた。

ワールドが手掛けるのだから、売場ロケーションを考えてワールドの品揃えショップをやった方が賢明で、あまりジーンズにはこだわらなくてもいいのではないかと思う。「リーバイス501がデニム」と考えているお客様は、もう少なくなっているし、そういうお客様は買う店を決めている。

■今日のBGM

大型区画が増え類似モールばかりになる

近頃、売上の情報を聞いていて気づくことだが、圧倒的に大型区画のテナントの売上ボリュームが大きく、小型店舗で売れている店が減ってきている。

まず、このブログでさんざん書いていることだが、非食品の商売規模はどんどん小さくなってきている。つまりシェアを上げないと商売は続かない。今後はその状況が顕著になる。何度か書いているが、商売環境は今後さらに大きく変化する。以前書いた以下のことを再確認する必要がある。

30年前(1995年)日本の平均年齢は39.5歳だった。現在は約49.5歳まで上がってきている。20年後には約54歳になるという。現状の社会状況は、円安ドル高傾向は変わらず、物価上昇が続き、一部の富裕層以外の可処分所得は上がってこない。いろんな報道もあるが、このまま高齢化が進んでいくと、社会保険料がどんどん膨らみ、若年層の負担は大きくなる。さらに人口減も進み、現状1億2千万人強の人口も20年後には1億人前後まで減少すると言われている。さらに地方の人口流出は進み、都市部に人口が集まり都市と地方の格差が広がる。現状人口集中の東京圏も高齢者人口増加率も全国平均を上回ると予測されている。特に20才から39才の女性人口の減少が著しくなっていくようだ。つまり、「地方の過疎化」が進み、地方から発祥した小売業が全国規模を持つという流れは、今後なくなっていく可能性が高い。この流れで、もうすでに衣料系の小売業をスタートアップできないことは明白になっている。

この状況下、小売業はどんどん小さくなっていくパイの取り合いになる。そうなると、当然MD力が必要だが、寡占化をするべく売場面積も大きくなっていく。出店条件も大型化を後押しする。小型店への条件のように坪単価×面積で計算されず、歩合条件になることが多い。リーシングに苦しむSCに対しては、条件をさらに下げていける。さらに、一般的な条件の共益費や販促費などの経費、坪当り換算の出店費用も交渉しやすくなる。大きな課題の要員問題も、坪当り要員数を小型物件より少なく運営できる。

デベロッパー側も、現状は大型テナントを歓迎しているように見える。飽和状況にある大型モール(RSC)は特にリーシングに苦しんでいる。かといって経費増の中、賃料設定を下げるわけにはいかない。そうなると、現状の商環境ではなかなか家賃比率の上がる中小型店は出店できない。空床を避ける意味で区画変更して大型店の導入へ前向きな状況になっている。ただ、RSCの同質化が進み、優劣が明確になってきている。

中小小売業は、人的課題が大きくなっており、スタッフも集まらない。さらに、利益率もロットの大きい大手小売業のように上げていけない。エリアの中心になる商業施設に出店できなければ、売上も取れず当然のように資金力のない小売店はなくなっていく。そして同時に、同質化が進むRSCも自然淘汰されていく。そういう流れで人口減との帳尻があっていく。

かつての会社で、30坪弱の店で売上は1億には届かないが順調に伸びていた店があった。定期借家満了時に、隣の大型店を拡大するとのデベロッパー側のトップダウンで、再契約の提示はなかった。その後リーシング担当者が調整して代替店舗の提案があったが、環境や大きさが合わず退店した。その大型店は売場拡大のバーターで他店舗への出店を検討していたようだ。デベロッパーとしては、30坪弱の固定賃料ダウンより、大型店舗のリーシングを優先したことになる。こうやって、中小企業の成長のチャンスは摘み取られていく。

今後は、上記したように商業施設の優劣が明確になっていき、さらに大手小売業もパイの取り合いになってくる。当然その中でも競争原理が働く。高年齢化と地方の過疎化が進む中、中小の小売業の残る余地は非常に小さい。

■今日のショット ・河津桜(去年より2週間早い)

必然的に大型モールも厳しくなる

前回、中小小売業の現状と考えられる方向性について書いたのだが、そうなれば当然のように商業施設も厳しくなる。中小小売業の出店は減り、さらに退店が増えていく状況になる。特に店舗数の多い大型モール(RSC)は、地域No1の物件以外の淘汰が間違いなく始まっていく。

先日、「たくろう」の漫才をネットで見ていると、「ヴィレヴァン、JTB、保険屋にいた…」の返しで「ショッピングセンターの上の方(階)ばかり…」と言っていたが、本当にRSCの高層階(特に3階)のテナントはどのSCも同じになってきている。高層階だけでなくRSCのテナントはほぼ同じ顔ぶれになっており、その同一化された状況をお客様も気づいている。新規テナントのリーシングは進まず、新ブランドなどの新しいテナントはエリアの中心的RSCにしか出店していない。

RSCのスタート期は、従来のSC(ジャスコと〇〇の専門店)のようなテナントではなく、百貨店や専門店ターゲットのメーカーの新ショップが多くリーシングされ、新鮮なテナントと大型駐車場含めた大きなSCとして人気を集め拡大していった。その時には、各地域から巣立ったたくさんの専門店も出店していた。ある意味、デベロッパーがリスクを持って新しいテナントを開発していた。

そして、現状ではテナントとして新しいショップを開発できるのは大手小売業位しかない。その開発できる企業数も限られてくる。当然新しいショップには、大きな売上を上げることが望まれる。そうなれば、商品に関してはとがったMDにはできないし、個性的な売場も作りにくい。どうしても標準的なMD中心になり、他テナントとの差別化を図れなくなる。さらに新ショップとなれば、出店場所も選ぶのでSCの優劣を見極める。出店はエリアでも中心的なSCに集中する。

デベロッパーも、小売各社と同様コストアップの流れが強い。人件費だけでなくいろんな経費も上がっていく。売れるかもしれないが企業リスクあるテナントを導入するより、大手企業の方が安心感はある。さらに、区画も大きく、ショップ運営にも不安感はない。

お客様の動きはどうなるか?昔と同じで、買う商品によって買う場所を選ぶようになる。食品を中心としたデイリー商材を買いに行くSCと「わざわざ」性のある買い物に行くSCに分かれてくる。デイリー商材は差別化が難しく「近いところ」を選ぶようになる。逆に「わざわざ」買い物に行くところは、選択肢の多いテナント揃えされているSCになる。ちょうど昔のデイリーのGMSと「わざわざ」の百貨店の関係になってきている。つまり現状のRSCの位置づけもSCごとに分けられてくる。百貨店が消えていく中、「わざわざ」がそのエリアにある中心的RSCになる。その他の同一化されたデイリー要素が高くなるRSCの位置づけは、昔の「近いところ」にあるGMSの位置づけになってくる。

今後は、人口減や老齢化も進み、客数も減少していく。現状のRSCは、当然位置づけがはっきりしてくる。そうなると、GMSが消えていったように必然的にデイリー要素の高いRSCの淘汰が始まる。その流れを予測して、イオンは「そよら」などのCSC(コミュニティSC)を開発しているし、イトーヨーカドーもCSC志向を政策としている。そして、地方スーパーはNSC(ネイバーフッドSC)を広げている。

いつも書いている結論だが、中心的RSC以外のイオンモールは今後どうなっていくのだろうか?

■今日のBGM

厳しさを増す中小小売業

先日、友人と話していて、「人がいな過ぎて、まともに商売ができない」ということを言っていた。

中小小売業には販売スタッフが全く集まってない。データでは小売業含めての中小企業の65.6%が要員不足らしい。ましてや土日勤務の小売業には多少時給を高くしても集まらない。レジ業務や品出しに加え接客もあり、業務内容も多岐にわたっていることも原因のようだ。当然、時給も上げているし待遇面は配慮している。ただただ、集まらない状況のようだ。その友人も、エリアを統括するマネージャーや近隣店舗スタッフが欠員補充に入っている状況と言っていた。

要員不足から、売場も乱れていく。当然やるべきことができないのでそうなっていく。そうなると、売場は安易な方向に進んでいく。接客(ちょっとした声掛けも含む)に手が回らなくなり、セルフで売れる商材が増えてくる。セール商材や値頃感を打ち出した商品のウエイトが上がっていく。安易に売れそうな過去品揃えしてなかったターゲットの商材にも手が出る。

ここで、一番危惧することは「企業コンセプト」が崩れることだ。厳しい状況になった現状、もう一度そのコンセプトを話し合い、変更していくのか、継続するのか決めるべきだ。これが企業の今後について一番大事なことだと思う。

かつて、過去の経験からの成功モデルを想定し、小売業を立ち上げた。その後再度、コンセプトや方向性を見直した。企業のミッション(存在価値)を設定し、そのターゲット商圏を分析し、そこに向かう分析をし、成功要因を導き出したつもりだった。具体的数字にも落とし込み、目標も定めた。さらに少し伸び悩んできたときには、時間をかけて、昔研修で学んだいろんな角度で戦略立案してみた。それにより、立ち上げた事業の成功には向かっていけると感じた。だが、コロナで木っ端みじんに吹き飛んだ。

厳しい中小小売業は、そういう企業としての方向性を再度きちんと整理していく必要があるのではないかと思う。そして、その方向性に沿って戦略をジャッジしていく時期だと思う。

さらに、こういう時期だからこそ、各店の棚卸も必要だ。損益を考えて継続するべき店かどうか全店チェックする。要員不足の店が、今後再びきちんとした要員で商売できるのか?そしてその店は、きちんと収益を出していけるのか?もし、将来的に大きく収益が見えない店があれば、撤退して、人を異動させるということもできる。当然各店の償却残の金額や、違約金、撤去費なども考えてジャッジしなければならない。ドミナントできてない店は特に注意が必要だ。マネジメント層がデータをまとめて、再度各店の方向性を明確にする必要がある。

企業は「人」「物」「金」とよく言われる。「物」は「金」があれば解決するし、「金」は財務内容次第では手配できる。「人」はどうしようもできない。「人」抜きで拡大して失敗した会社を多く見てきた。これだけ「人不足」の状況が続く中、一度立ち止まって事業としての棚卸をし、その結果として前向きに半歩後退するのも正しい選択かもしれない。

■今日のBGM

上場会社の宿命 ユナイテッドアローズの持株会社化

数回前「コーエンの売却」について書いたが、おそらくユナイテッドアローズ(UA)は他事業へ食指を伸ばしていくだろうと感じていた。先日、持株会社化して、M&Aで非アパレル領域へも進出していくとの発表があった。「コーエン」を手放したということは、ライバルが多くいろんな客層に対応すべきボリュームゾーンでは戦えないと感じたからで、セレクト以外では戦えないという結論になったのだと思う。

所謂、セレクト業界(セレクトショップを運営している企業群)のターゲット客層は当然のように減ってくる。これは年代構成比の変遷を見れば明らかなことで、国内の平均年齢は20年後に54才になり、人口減も進み20年後には1.2億人の国内人口が1億人前後になると言われている。さらに、20~39才の女性の人口減少が著しくなっていく。つまり、現状のメインターゲットが一番激減していく。

その中で、セレクト各社はいろんな方向性を持っているが、一番売上志向が強いのがUAだ。アウトレットへの過剰出店や「グリーンレーベル」での大型モールへの出店の多さがそれを物語る。そして、アウトレットモールでの品揃えが、純粋なアウトレット商品ではなくアウトレット用オリジナル商品の品揃えであることや、「グリーンレーベル」のディフュージョン化が顕著で売上志向が強すぎる状況もお客様に浸透されつつある。これはブランド価値の低下にもつながってくる。そうせざるを得ない一番の要因は「上場している」ということに尽きると思っている。「私」の企業はマイペースでやっていけるが、「公」の企業は当然成長を義務付けされる。特に短期的な視点での成長も必要になる。つまり、上場しているがゆえに、売上志向になり、本来のセレクトショップとしての考え方が崩れてきている。

「コーエン」を手放したことで、ファッション事業で他の土俵では戦えないという結論が出た。本業のセレクトとしてのファッション回帰が急務だが、前を進んでいる感がある「トゥモローランド」や、買いやすくトレンド要素よりも定番ブランドをセレクトしている「Bshop」へは追い付けないように思う。そんな中、上場会社として企業を成長させるべき他の方法として、当然M&Aの発想は出てくる。まずファッション事業でのM&Aもあるだろうが、UAのポジションを考えるとなかなか選びづらい。同業他社を考えても、現時点では難しい。そうならば、企業方針を明確にして、現状の企業イメージにあう他の事業の企業と手を結ぼうとするのは必然だと思う。 

だが、成功するのだろうか?百も承知だろうが、別の土俵にはその土俵のビジネスモデルがある。さらに、UAの匂いにあう企業は他業種でもそこまで多くないし、規模も小さくなる。

美容関連や飲食、ホテルなどが思いつくがそこまで大きなプラス効果は望めないと感じる。現状のUAの企業規模から考えても、このMA戦略の相手企業には、ある程度の規模感の会社は必要だと思う。そうなれば、現在の企業風土とは全く違う別事業と組んでいく覚悟も必要なのではないだろうか。

今回のM&A戦略へのかじ取りは、非常に難しいと思う。上場しているが故の問題ではあるが、ファッション業態を中心として続けるかどうか、その対応が問われてくる。

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