近頃の「米騒動」で、2000円の備蓄米のことがTVをにぎわせている。米はSMから減っていたのは事実で、値段が上がっていたのも事実ではある。では2000円の米は近隣の店舗で手に入るのかというと、どこにも売っていない。若干の米の価格は下がってきたという効果はあるが、今後の方向性は見えない。ただTVでは長蛇の列での販売風景を何度も映し出す。そんなに必死になって探しているようには思えないのだが・・・
偶数月の15日の年金支給日の買い物の映像も、必ずと言っていいほど取り上げられる。インタビューでは、多くの高齢者が年金生活者で月の年金は5~6万しかないと答えている。だが、厚生労働省が発表している高齢者(65才以上)世帯の平均所得は316万で可処分所得は274万円、そのうち年金収入は平均197.4万円となっている。年金は税込みで1世帯当たり月16.4万の計算になる。それを考えると、恣意的ともいえるテレビ報道ではある。
世間の風潮が、「生活が厳しい」流れに乗っているような気がする。はたして実情は、そういう流れなのだろうか?当然「厳しい」感覚はあると思うが、少しあおりすぎのような気もする。この流れは、絶対に年齢別人口構成比の変化が大きく影響しているように感じる。再度書くが、日本の人口は30年前と比べると98.1%と微減だが、60才以上は181.5%と大幅に増加している。人口構成比は19.3%から35.4%となっており、その人口は男性19457千人、女性24346千人、合計43803千人になっており、高齢者の比率は高くなっている。この年齢層の分析をすることが、基本品揃えに一番重要だと思う。そして、現状は必ずしも「高齢者=生活苦」ではないと思う。
このブログで、近頃よく取り上げているが「無印良品」や「ユニクロ」は絶好調を続けている。「無印良品」の国内売上高既存前年比は最近3カ月120.5、109.8、112.2と大幅伸長しているし、「ユニクロ」も111.5、98.7、113.1と伸長している。おそらく収入中間層へ組み込まれる60才以上の購買動向を分析しての結果だろうと思う。そのターゲットをくすぐる素材感や、値頃感の打ち出しが非常にうまい。
トレンドを意識するヤング層(10代~20代)の人口構成比は大幅に減少している。ただ商品のトレンドはこのターゲットから始まる。そして販売するのも楽しい。ただそのゾーンを追いかけると底は浅い。そこに気が付かねば、商売は失敗する。現状では、人口構成を見ている限り、商売を成功させるには、60才以上の高齢者の動きをつかむことが最も重要なこととなっているように思う。
今の50代も含めて60代、70代は昔の実年齢の世代とは全然違う。ファッションや趣味も多様化しており、ある意味「楽しい事」を享受してきた世代だ。このブログでも何度も繰り返しているが、ファッションでは「VAN、JUN」を経験し「DCブランド」も身に着けてきた。その認識を持ってその世代の感覚と対峙する必要がある。話は逸れるが、GMSの衣料服飾売場はそれがまだ理解できてないので、売れてない。「高齢者=シニア(老人)」の感覚で品揃えしている。
今の小売業は「50代~70代」を詳しく分析することが、間違いなく成功のポイントになる。
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