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創業者一族がなぜ経営者になるのか?

先日、「創業者一族からなぜ社長は出るのか・・・?」とアンドエスティHD(アダストリア)社長交代についてのファッション系ブログを読んだ。あくまでオブラートに包んだ書き方だが、前任の木村社長の交代に若干の「?」を匂わせる内容だった。ただ、木村氏は役員には名前がある。ちなみに、社長には創業者一族の福田社長が就任している。

企業は、経営者によってすぐ色は変わる。それは長い小売人生でずっと見てきた。そして創業者が優秀すぎると、後継者はその流れを変えられず軌道修正はしにくい。軌道修正しないとマイナストレンドは止まらないケースも多いし、さらに創業者のような思い切った対策が打てない。昨今の西武百貨店やイトーヨーカドーを見ていると全くその傾向通りで、目先の事ばかりやって、先を見ていない。長い歴史を持った呉服屋系百貨店は別にして、社歴の短い小売業はなかなか創業者を超える経営者は出てこない。やはり大企業の創業者はカリスマでその後の経営者は小さな軌道修正しかできない。ユニクロもイオングループも創業者の流れだし、家電大手もSM各社も創業者中心になっている。そうでないのは大手では無印良品くらいで、当初はセゾングループ代表の堤氏発案でのスタートだが、赤字転落後は第2創業者と言える松井社長の力量によるものが大きいのかもしれない。

いろんな小売企業を見てきて、創業者の力は非常に大きく、企業を導く視線は正確だ。小売業は、歴史が浅い企業が多いため、特にその影響力も大きい。

アダストリアについて書いてみる。アダストリアとはポイント時代からずっと見てきたし、個人的に、福田会長は小売業をやってきて一番の恩人だと思っている。一番驚いたのは、成功していたジーンズ業態店の「ポイント」を未練なくやめて、レディス業態(ローリーズファーム)をスタートさせたことだ。儲かっていた既存店をすべて捨て、全く別物にした。1号店は池袋パルコだと思うが「今後はこれをやっていく」と言ってあっという間に店舗を広げた。グローバルワークのスタートはマイカル本牧の「ネクストポイント」だったと思う。その後は大成長を重ね現状に至っている。

おそらく福田会長は、客層の幅の広い確固たる中心ブランドを作ることが企業の一番の課題と考えているのではないかと思う。つまり、今のグローバルワークをどれだけ大きくできるか、そして基幹ブランドとしてさらに成長を重ねられるかを、今後の企業の命綱と考えている。近年、少し小さい幹を広げすぎて、いろんなジャンル迄手を伸ばす流れを止めたかったのではないだろうか?新社長も「グローバルワークを売上1000億にする」と言っていることも、その考えを継承していく覚悟だと思う。

サラリーマン時代も含め、いろんな経営者を見てきた。そして自分自身も経営者になった。企業は、経営者の考え方でどうにでも変化する。全員が同じ考えを理解し共有することが理想形だ。そして、経営者の求めるものを達成させるべく、組織を変えていくのも自然の考え方だと思う。その中で創業者の見てきた道はたくさんあり、創業者の決定力には重みがあってしかるべきだとも思う。

■今日のショット(戸隠神社 奥社参道)

FC事業中心の小売業

以前数回FC事業について書いたことがあるが、詳しくわからないのでできるだけ触れないでいた。先日、昼のワイドショーでコンビニの衣料戦略について多くの時間を割いて説明していた。その内容についての個人的な意見は、数回前に触れた。

その番組は、「画期的でバラ色」のようなことを言っていたが、おそらく1年後には間違いなくトーンダウンしている。前回も触れたが、コンビニはFCビジネスで直営展開ではないからだ。コンビニは回転率の高い商品を販売し、オーナーが利益を得るシステムとなっている。FC先企業が回転率の高い商品を投入することで、コンビニのキャッシュフローは成り立つ。衣料品はトピックになっても商品として回転率は低い。つまりコンビニ主力商品と違ってキャッシュインが遅れる。そうするとコンビニオーナーのキャッシュが円滑に回らない。おそらくFC先企業が条件を優遇するとは思うが、回転率が悪いと資金繰りに影響が大きい。FC先企業のニュースにはなっても、FC経営者にはその恩恵はすぐに手元に来ない。そして何よりもその商材は緊急時だけ必要で、普通はユニクロで買えばいい。さらに、利益率が高いと言っているが、売れなくなった時のリスクも大きい。ただ、セブンイレブンも追随するということには驚いた。故鈴木社長なら絶対しないだろうとは思うが・・・

他のFC事業中心の小売業と言えば、ワークマンがある。ニュースでは「暑さ対策」や「リカバリーウェア」商品で取り上げられている。数年前に少し調べて、このブログにも上げているが、どうも興味はわかない。

ワークマンのFC条件は細かく聞かないとよくわからないが、簡単にまとめると、①内装費はワークマン持ち、➁家賃もワークマン負担、③経費は電気代と人件費(ただし夫婦で働くことが前提)④仕入原価は60%(ほぼ委託、支払いは初回以外原則なし)⑤初回在庫の支払い3000万前後(低金利での借入も可)※売価在庫4500万前後からの逆算 ということのようだ。平均実績ベースで売上1400万前後、粗利36%として粗利額500万、FC取り分200万でそこから人件費(アルバイト)電気代の負担があり、夫婦で140万前後の収入と想定される。当然人件費負担が増えるとオーナーの取り分は減る。そして、そこから当然借入金の返済はある。この数字なら比較的手堅い商売かもしれない。

ただ、ワークマンも既存の「ワークウェアの店」から変わりつつある。「ワークマン女子」(失敗後店名変更)を立ち上げ、リカバリーウェアやヒート対策ウエアなどの積極投入を続けている。ある意味トレンド商品に手を出しているが、今後はどう取り組んでいくのだろうか?少しずつ従来のワークマンから変化しているようにも見える。

コンビニもワークマンも別事業に手を広げているように見える。ただ、その成功は企業だけではなく、販売先であるFC企業が前向きに動くかどうかが成功のポイントになる。前述したが、コンビニのキャッシュフローの変化にFCオーナーが耐えられるか?ファッションやトレンド志向商品の展開にワークマンのFCオーナーが付いていけるかどうか?

今までのルーチンワークに何か加われば、当然手間がかかる。そうなれば、従来の人員体制で運営ができなくなる。さらに商品知識もプラスされる。FCオーナーの負担も増える。そして何より、ファッショントレンドに立ち向かうには大きな競合(ユニクロなど)と戦わねばならない。

この流れにFCビジネスがうまく乗っていけるのだろうか?

■今日のショット(今回の旅行…上高地)

レイクタウン 今後のリーシングはきびしい

久しぶりにレイクタウンに行ってきた。以前このブログでも人造湖の周りの環境整備を指摘したが、着実に計画が進んでいてテナント誘致を始めており、環境は良くなりつつあった。平日でも多くの客数で、イオングループでは一番の商業施設であることは間違いない。北関東の観光名所的なところもあり、平日ということもあり比較的高齢者が多いようにも感じた。

客数も多く、郊外型商業施設では国内No1であることは間違いないが、この施設は今後どの方向に進むのだろう。具体的にはkazeとmoriをどういう個性にしていくのか、駅前型と郊外型に分けているように見えるが、どういう方向性なのだろうか?そしてそのリーシングは、今後うまくいくのだろうか?

近年は足元にマンションが増え人口増加も見られるが、もともとイオンの商業施設中心に開発された街である。ここで駅前型と郊外型に分けるのは無理がある。オープン時は別会社として運営しており、kazeがイオンモールでmoriがイオンリテールだった。そういう意味でモール運営として先行していたイオンモールの方が明らかに「売れる」リーシングをしていた。それが現状は、企業としてイオンリテールのモールとイオンモールは合体していて全施設ともイオンモール管轄になっている。そうなることで、差別化が難しくなってきたように見える。1つの施設としての観点と2つの別々の施設での観点では考え方が大きく変わる。さらにはアウトレットも管轄している。

おそらく、現状はkazeとmoriを2つの施設として想定している。果たしてうまく差別化はできるのだろうか?特にkazeは「食」を拡大しようとしている。「そごう西武ショップ」もカミングスーンだったし、他の食物販ショップも改装中だった。ただこの大型施設のSMは、moriがイオンのGMSの食品でkazeがグループ企業の「マルエツ」であり、差別化は全くないと言っていい。これで「食」での差別化はできていくのか?

「食」以外でも、今後出店を希望するテナントが増えてくるとは思えない。現状、レイクタウンには700を超えるテナント数がある。現在の商環境を考えれば、大企業以外のテナント開発は難しくなっている。さらに新規テナントを優遇条件でリーシングするとも思えない。実際、レイクタウンにない有名テナントは数えるほどしかなく、思いつく中では「ハンズ」「アカチャンホンポ」など近隣のららぽーと出店店舗くらいになる。数年前に高知の「ジーンズファクトリー」を誘致、宇都宮の「アーク」等とともに地方の人気店舗を導入しているが、その後他エリアの人気店舗導入の広がりは見えない。そうなると候補に挙がるのが、やはり大手企業の新規開発ショップになるが、現状の企業体力面では新規ショップは多くは出てこず、さらに高い賃料を支払うとは思えない。

お客様の流れを見ていると、デイリー的な車客はmori が中心になり、比較的若い客層はkaze中心で、その層のmoriでのニーズは2階の連絡通路からのメインフロアと飲食関連のみになっているように見える。さらにmori3階は目的型のフロアになってしまっている。そのため、moriの3階は空床や催事的なテナントが増えてきている。

レイクタウンオープン時代はモール全盛時代でkazeもmoriもリーシング面でスムーズに進めていけたとは思う。以前の会社もmoriに出店したが、非常に強気なリーシング手法だったと記憶する。ただ、現状は、上記したように国内ほとんどの企業はレイクタウンに出店しており、新規企業は賃料面の高さでなかなか手を上げられない。さらにKaze3フロア、mori 3フロア、アウトレットと非常に規模が大きくピンポイントで場所を選べない。今後、おそらくリーシングはますます厳しくなっていくと思う。

最後に、アウトレットについてだが、思い切って湖畔に内装イオン負担でラグジュアリーブランドを持ってこない限り、活性化はない。今回「シップス」が出店したが、簡易内装だし様子見で出店した感が強い。「紀ノ国屋」も出店していたがほぼ居ぬき店舗に見えた。「ユナイテッドアローズ」も「ビームス」も品揃えがアウトレットのオリジナルブランドばかりだし、もう完全に都心近郊のお客様には見抜かれている。アウトレットは特にリーシングに苦しんでいる様子がよくわかった。ただ、アウトレットが今後このSCの鍵になることは間違いない。

モール開発当初のように、出店希望企業が多くは出てこない。そして、小売企業自体の体力が落ちている。さらに「イオンモール神話」も効かなくなってきている。現状の賃料基準を考えなければ手法はあるだろうが、そうもいかない。5年後10年後はどうなっているのだろうか?マイナスを補うべく、小売以外のヒットはあるのだろうか?

■今日のBGM

今後、伸びる要素のあるSCは?

小売業の流れは本当に早い。45年位前、大学を出て就職口がなく何とか流通業に滑り込んだ。その当時はGMS絶好調時代で、どんどん店舗を拡大していった。それがもうダイエーがなくなり、イトーヨーカドーもGMSではなくなった。入社したマイカルも民事再生後イオングループとなった。さらにイオングループのGMSも体裁は整えているが、SMを除くと収益は出ていない。金融戦略のために、損益度外視で続けている現状がある。つまりGMSはなくなったと同じ状況にある。

さらに、百貨店もすでに大都市にしか成り立たなくなってきている。大都市東京都下でも、渋谷でさえ百貨店はなくなってしまう。おそらく10年後には半数ぐらいの県庁所在地でも百貨店はなくなってしまうのではないかと思う。個人的にはファッションビルも経験したが、マルイ(一応ファッションビルの分類)は金融業に転じほぼなくなり、ビブレもほぼ消滅し、パルコのみ大都市で残っている。駅ビルも同様の流れで、交通拠点の駅でしか成り立っていない。

代わりに、RSC(大型モール)がイオンモール中心に続々出店してきた。ただ、20年以上経過し、現状はもう完全に勢いは弱まってきている。新規物件は少なく、新規出店場所も地方郊外が多く、今後の地方人口減を考えると、全くプラス要素はない。完全に飽和状態になってきており、逆にイオンはCSC(コミュニティSC)やNSC(ネイバーフットSC)の開発を進めている。反面、大都市近郊に慎重に出店を続けるららぽーとは堅調に数字を確保してきている。

この50年近くの商業施設の動きを簡単にまとめると以上のようになる。

今後20年で果たしてどう変わるか?高齢者が増え続け、大都市に人口は集中し地方都市はますます高齢化が進む。20代から50代までの人口は現状の5911万人から10年後は5200万人前後に、20年後は4800万人前後にまで減少する。10年後は現状の88%になり、20年後は81%になってしまうということだ。さらに高齢者層(特に年金受給者層)は、「食」への消費は大きく減らせず、おのずと「衣」への出費は減ってくる。

国内の人口推移を見ていれば、国内の消費量は間違いなく大幅減となる。当然、大手資本の企業は海外を視野に入れるようになる。そうしないと数字はまとまってこない。国内では、郊外のRSCは、地方中核になった物件(400億規模)とららぽーとのような大都市近郊の物件以外は、マイナストレンドになってしまう。特に郊外の中核物件以外のイオンモールは淘汰が始まる。百貨店、駅ビルも大都市物件のみ存続されるが、地方はどんどん淘汰されていく。

狙い目を探すなら、おそらく大都市近郊のCSCではないかと思う。関東でのイトーヨーカドー物件がわかりやすいが、GMSの食品以外をテナントにした物件と思えばいい。衣料服飾品や住まい雑貨の大きな売場に「ユニクロ」や「無印良品」を導入する環境ができれば、その物件は間違いなく再生する。その環境づくりができるかどうかだ。同様にイオンもできそうだが、イオンは金融政策上GMSを続けそうだ。おそらく今後唯一可能性があるのは、都市型に限るがこういう物件だと思う。

唯一の狙い目に、どの企業が一番早く着手するか注目している。

■今日のBGM

2強「ユニクロ」「無印良品」に続くショップは?

前回も書いたが、今後は「中心客層の高齢化」へ加速度的に変化していく。すでに2025年度には50代以上人口構成比が51.7%となっている。逆に、トレンドリーダーだったティーンズヤング層は、大幅に減少している。その流れを理解してMDを構築しているのが「ユニクロ」「無印良品」だと思う。今後、この変化に対応して、続いていく企業はどこだろうか?企業力から考えれば「アダストリア」と「パルG」になるが・・・

「アダストリア」では筆頭に挙げられるのは“グローバルワーク”だが、過去何度か方向性を指摘したが、もう完全に既存イメージが強く、大きな変革はおそらく難しいと思う。企業としてはフラッグシップブランドにしたいのだろうが、ターゲットの客数ダウンが響いて、今後の売上大幅アップは厳しいのではないだろうか。

面白いと思うのが“スタディオクリップ”。女房がイオンモールに行くと必ずチェックするのが“ユニクロ”“無印良品”“スリーコインズ”と“スタディオクリップ”の4ショップ。“スタディオクリップ”はナチュラルテイストで素材感も感じるし、雑貨の比率も高く自然体のイメージがある。「アダストリア」合併前は店のテイストをヨーロッパっぽくしていたように記憶する。そして、できれば今のショップにメンズも加えてほしい。最低限のワードローブから始めていけばいいと思う。「アダストリア」ならできそうにも思うが・・・少しずつ大型化していけば、ちょっと違う匂いの「気の利いた」フル客層型の大型店になりそうだ。余談だが、昔高崎サティ(ビブレ)で働いている時、創業者とも会ったことがある。(前橋の会社で、アダストリアに売却前。尚メガネのJINSの田中会長も昔在職していた。)

「パルG」は“チャオパニック“がその位置に近いが、やはり少し若すぎる。“コロニー”でそこを狙おうとしたのか、少し若すぎたのか失敗しているようだ。もし可能性が少しでもあるのだとすれば“スリーコインズ”の延長線上にあるファッションを開発できないかと思う。安い服を提案するのではなく、”ダイソー“で買わず“スリーコインズ”で買う客層を見極めてのMDを考えられるかだとは思う。少しハードルは高いか・・・それに少し無印良品よりになるかもしれない。

ロープライスゾーンでは「しまむら」や「西松屋」は残りそうで、全く逆の百貨店特選客も必ず残る。あとは「ワークマン」などの目的型ウェアも残る。さらに、ネットのウエイトも上がるし、必然的に販売員も減っていく。当然、店舗数はどんどん減っていく。そうなれば、企業数も減っていくし、SCの数も減っていく。

書いているうちに、暗い結論になってしまった。

■今日のBGM

こういう店は成り立たないだろうか?

テレビでは年金受給者が、生活苦で安いスーパーを選んで買い物している様子を放送していたり、エアコンなどの節約場面が多く放送されるが、はたしてそれが本当の姿なのだろうか?周りを見ていても、そこまで厳しさを話す友人はいない。

現状の年金受給者の平均年齢は厚生年金が73才、国民年金が75才となっており、平均受給額夫婦2名(夫が会社員、妻が専業主婦)で月額22~23万となっている(アクサ生命資料)。その平均的な世帯の金融資産は平均値が60代1862万円、70代1758万円(三菱UFJ信託銀行資料)であり、さらに所有土地建物が1200万~1500万(税金上の評価額)で持家比率も91.7%(七十七銀行資料)と高い。これをどう見るかだ。

年金受給者で、年齢を重ねて常々思っていることだが、着る服がなくなってきている。ずっとカジュアルで過ごしてきたので、オフィシャルな装いがない。ジャケットやパンツ、靴はとりあえずそろえたが、必要ないかもしれないのでバリエーションはない。カジュアルも少し若作りの着るものが多くて(例えば夏はほとんどショートパンツ、ジーンズ)、実年代とのギャップが出てきている。逆にスーツ族だった人たちはカジュアルのバリエーションが少ないのではないだろうか。

そこで何か買いに行くのだが、「ユニクロ」や「無印良品」でいいのかと思ってしまう。散歩にはいいが、ちょっとした外出や旅行にはそれでいいの?となってしまう。でもそこまで高い商品も買えない。となるとなかなか買う場所はない。アウトレットにもよく行くが、やはりデザインが若くなっており、なかなかしっくりこない。

昔「無印良品」が頑張っていた100双のシャツやシェットランドセーター、本格デニムなどをあの当時の値段で探せないかと考えてしまう。現状の「無印良品」はどんどん売場が大きくなっていっているがファッションはボリュームゾーンの単品量販型になっており、ことメンズで言うと商品も「ユニクロ」と被る。売場を別展開にして昔の無印良品が貫いていた商品へこだわりを集めたコーナーを作れないものだろうか?その売場だけ内装面にも少しコストはかければ十分差別化はできるし、値段志向に走るより感度は上がる。もともとのコンセプト回帰にもなる。

百貨店で金をかけるほどでもなく、「ユニクロ」や今の「無印良品」の商品では満足していない層はかなり多いように思う。かつてセレクトショップでスーツを買っていた客層は、まだセレクトショップで買っているのだろうか?当然大幅に減っているだろう。そこを狙う企業は出てこないのだろうか?

再度データを拾ってみる。今のヤング層10~20代の人口構成比は17.5%で10年後には15.8%までダウンする。10~30代にしても27.8%から24.6%と3.2%のダウンとなっている。これが60才以上の構成比は35.5%から37.1%と上がり、50代を加えると51.7%から55.8%と4.1%も上昇する。ちなみに2025年度中に50代以上の構成比は51.7%と50%を超える。まちがいなくヤングターゲットより狙うべきターゲット客層になる。

ただ、いろんな店を見てもそのターゲットを狙っている店は少ない。そういう狙いの店もあるが、あくまでも若返り志向を大きなテーマに捉えている。単純に、在庫負担を減らすことも想定しての脇ゴムのパンツにはどうも抵抗があるし、デザインも若返り志向が強い。前述したが、大型化している「無印良品」や大型化と客層の拡大を狙っている「グローバルワーク」にそんなコーナーは作れないだろうか?

自分でも金とパワーがあればやってみたいが… うまくはまると案外成功するかもしれない。

■今日のBGM

なぜ「在庫評価損」を毎年計上しているのか?

前回「在庫評価損」について書いていて、腑に落ちなかったので、少し調べてみた。前回イオングループの「ジーフット」について書いたので、同じくイオングループのカジュアルファッションで上場企業の「コックス」も調べてみた。ちなみに前期(2026年)の評価損金額は未発表で計上済とは記入されている。簡単な数字は以下のようになる。

2026年度 総利益率62.2% 回転率2.9 

2025年度 総利益率62.5% 回転率3.2 評価損6.2億

2024年度 総利益率62.7% 回転率3.6 評価損5.3億

2023年度 総利益率57.8% 回転率3.7 評価損5.5億

2025年は期末在庫金額が19.5億なので評価損の金額がいかに多いかよくわかる。

もともとカジュアルファッションの企業なので期中に自由に値段は変更できる。セールで売り切ればいい。普通の企業ならキャッシュが欲しいのですぐ商品を金に換える。次年度迄商品を繰り越すとすれば、ブランド品で割引の規制がある場合や、競合店とのバッティングで取引先との整合がある場合くらいだ。この数字は、キャッシュに心配のない企業で数字コントロールしてればいい大企業サラリーマン経営に見える。さらに付け加えると、期中に値段を下げて利益率を落とすと株価にも影響が出るので避けているとも見える。

一方、「どれだけ売れない商品を仕入れているのか?」ということになる。利益率ありきで、利益率を稼ぐために仕入れているという見え方もある。推測で書くと、「売上が大きく上がらないので利益率志向になる」→「原価率を下げた商品を大量に作る」→「売れずに残る」→「次年度に向けて評価を下げる」→「次年度セールでたたき売る」(利益も回復する)の構図を続けている。商売ではなく「数字合わせ」になっている。

利益率62%という数字だが、ファッション小売業での前期の総利益率はパルG57.5%、アダストリア54.7%、ユニクロ54.1%であり、海外生産が多い大手小売企業でも60%を超えてこない。おそらく利益率を念頭に置いて、原価率を抑えた物づくりを進めていたのではないかと思う。商売は「売れてナンボ」がわかってない。さらに商品回転率の数字もパルG5.84回転、アダストリア4.64回転、ユニクロ3.19回転に劣る。つまり商品が動いていない。

ここまで書いて、いやな気分になってきた。「売れる商品を売れる値段で売る」という簡単なストーリーが崩れてしまう。海外で安く商品を作って相場より3割くらい高く値段をつけて販売し、利益率を稼ぎ、売れ残ったら決算で評価替えをして次年度売り切る。これをずっと繰り返している。何の仕事をしているのだろうと思わないのだろうか?そして、もっと嫌な気持ちを持っていると思うのは現場(売場)だ。おそらく売場が商品の動向を一番わかるし、売れない商品を押し付けられていることも分かる。それだけで士気が下がる。こうなると数字は改善していかない。

こういう流れを見ていると、「コックス」はファッションを売る小売業ではなく、イオングループの商業施設に出店するだけの手段としての小売業にしか見えない。それはそれでイオングループには必要な会社なのかもしれない。

経営理念は何だろう?お客様を見て商売しているとは思えない。こういう商売を今後も続けていていくのだろうか?

■今日のBGM

持論「在庫を持つ商売は失敗する」の検証 ②

前回からの続きで、少し趣旨が違うかもしれないが、「在庫評価損」について書く。前回指摘した企業の決算期で近年の「在庫評価損」は以下の通りとなっている。

・「ライトオン」2024年15.6億、2022年23.3億、2020年25.4億

・「マックハウス」2023年12.7億、2022年12.4億、2021年13.2億

・「ジーフット」2024年20.5億、2023年21.2億、2022年33.3億

・「タカキュー」2021年12.3億 ・「ヴィレヴァン」2025年24.7億

この数字は決算期で評価を落とした金額である。この金額はあくまで原価なので、売価にするとこの倍の金額ぐらいにはなる。極端に言うと「ライトオン」は2024年の決算期に15.6億分の商品を捨てたことになる。実際は捨ててないが次年度売れる値段で販売していることになる。もし0評価にして次年度いくらかの値段で売ればその分利益率は回復する。今期「ヴィレヴァン」の利益率が改善されたように見えるのはそのためだ。

なぜ、毎年決算期に評価損を計上するのだろうか?商品消化率が悪く、季節商品をキャリーしたが、次年度消化できる値段ではなく、消化できる値段に決算期に落としたということかもしれない。売り切るにはさらに期中で利益を落とすしかないが、競合、取引先等の絡みもあり、期末での処理になったという理由かもしれない。ただ毎年のように繰り返し大きな金額の評価損を計上していて、例年在庫金額が減らず回転率が悪化しているのを見ると、経営状況を疑わざるを得ない。そして、上記企業は慢性在庫過多で仕入れコントロールが全くできていない。

前回書いたが、上記企業はすべて在庫回転率が悪い。つまり金がうまく回っていない。在庫回転率を上げるには、売上が伸びなければ在庫を減らしていくしかない。つまり、仕入れを減らすということで、仕入を減らすと原価率の改善がなければ、当然利益率の回復はない。そうなると、前年と同じ金額を仕入れないと利益率は維持できない。そのため、その繰り返しの状況になっていたことは、想像できる。

評価損の数字を探していて、気が付いたことがある。上記したすべての企業の最後(株主変更前)の決算短信には在庫評価損の記載はあるが、それ以前の数年間は決算短信には記載がなく、有価証券報告書には記載されている。つまり一般開示はされているが企業のHPでは見ることはできず、手続きが必要になる。数十億単位の商品が消えたことを調べなくてはわからないということになる。さすがに企業譲渡や上場廃止という大きな節目には発表せざるを得なかったということだと思う。それが、旧経営陣や監査体制が問題点を先延ばししてきた結果として表れている。詳細はわからないので、あくまでも憶測でしか書けないが、もしそうなら従業員や株主をないがしろにしている。問題を先送りしていたことになる。

結果的に、各社これだけの金額の商品を毎年捨てていたという事実がある。売れなかった商品が毎年これだけたまっていたことになる。それを毎年繰り返している。毎期大きな在庫評価損を出し続け、現場スタッフを放置した経営陣の責任は非常に大きい。毎年繰り返した先送りのツケを従業員の解雇や店舗閉鎖という形で払わされてきたということだ。

ここに至ったのは「在庫回転率の低さ」が主要因だ。年間2回転前後の小売業としての商売は、商売の仕組みが完全に壊れていた結果だし、何より在庫に対する認識の低さが導いた結果だ。上記5社の大きな経営課題はそこにある。

■今日のBGM

持論「在庫を持つ商売は失敗する」の検証 

GW中で、企業の本部は休みでIRもなく、春物と夏物の切替期でもありファッション業界での発信も少ない時期だ。そういう時期なので、このブログでは再三書いてきたが「在庫を持つ商売」について現状の検証をしてみたい。

小売業は「売上」「利益率」「在庫」が3大要素だが、どうしても「売上」の額、前年比に目が行き、その次に利益額を算出する「利益率」に注目する。「在庫」はPL(損益計算書)には出てこないので見落としがちになる。「売上」を上げていくには売れる商品を仕入れて売っていく事になる。売れない商品や売れなくなった商品は値段を下げて処分していく。値段を下げると「利益率」はダウンする。「利益率」を維持するために処分せず値段を下げないでいると、「在庫」が増えていく。

「在庫回転率」という指標がある。月度では「売上」÷「在庫」(平均在庫)で計算される。その数字に12(12ヶ月)をかけると「年間回転率」が出る。単純に四季で商品が入れ替わるとすると年間4回転になる。つまり入荷した商品が3か月後になくなったことを意味する。一般的な商売の基本は、業者(メーカーなど)に対して支払いは仕入れ月の翌月末であることが多い。その商品の利益の幅(原価率)にもよるが、2ヶ月でなくさなければ代金は支払えないことになる(その他いろんな取引条件はある)。そして、売価(販売価格)と売上原価の差が利益額になり、それで経費を支払うのが小売業の金の回り方だ。つまり回転率が悪化すればキャッシュインが遅れ支払いに間に合わなくなる。原価率によって利益額は違うので一概には言えないが、当然回転率が悪くなるとキャッシュフローは厳しくなる。

このブログでも、回転率の悪い上場企業を指摘してきた。ジーニングを打ち出した「ライトオン」「マックハウス」、ビジネスイメージが強い「タカキュー」、靴の「ジーフット」。各社とも、すべて中心商品のサイズが細かい。つまり、中心商品を広げると在庫過多になりやすい。さらに、別カテゴリーだが、商品の幅が広すぎる「ヴィレッジヴァンガード」。近年、そのすべての企業体に変化があった。そして5社とも過去の決算時に在庫評価損を計上している。極論になるが、これは在庫金額を正しく評価せず、決算を重ねてきたということに等しい。正しい評価をすると利益率が大きく下方修正され、それにより決算数字が悪化するため、在庫評価の先延ばしをしてきたということだ。詳細は別途まとめることにする。

上記各社の商品回転率を調べてみる。評価損計上年度があるのでその影響がなさそうな年度で、「ライトオン」2023年1.43回転、「マックハウス」2024年2.17回転、「タカキュー」2022年度1.83回転、「ジーフット」2024年度1.44回転、「ヴィレヴァン」2024年度0,99回転という結果になる。この数字を見ると、年間2回も商品が変わらないということになり、平均すると入荷して6カ月たっても商品が売れてないということになる。ヴィレヴァンに至っては、1年たっても商品は売れてないことになる。商品が売れないと金は回らない。

一般的には商品回転率は3~4.5回転くらいが標準範囲になっている。前期の決算時の回転率ではユニクロ3.1回転、アダストリア4.75回転、パルグループ5.84回転、しまむら7.75回転、ニトリ4.17回転などとなっている。売上好調の無印良品は2.36回転と低い。しかし、無印良品は回転率の低さを意識しており、「在庫コントロール部」を作り、商品部以上の権限を持たせようとしている。

小売業で一番大事なことは、「売上」を増やすことではなく、商品をうまく回転させて入れ替えていく事だと思っている。自らも商品回転率を一番大事なチェックポイントだと思って仕事をしてきた。近年、企業譲渡や株主変更があった小売企業は、すべて商品在庫の処理を怠った結果だと確信できる。

■今日のBGM

セレクトショップ、どこへ行く

日経新聞日曜版の特集記事のタイトルだ。以下の文面から始まる。

“1970年代後半から次々に誕生した「セレクトショップ」。バブル崩壊で混迷した90年代、ユニクロやファストファッションが勢いを増した2000年代もかいくぐり、約50年も過ぎた。欧米のファッションを紹介することから始まった店は今、寺の境内にオープンしたり、ソーラーシェアリングを手掛けたり。セレクトショップはどこへ向かうのか?”

写真付きで紹介されているのは「ロンハーマンのソーラーシェアリング施設」「善光寺境内にあるビームス」「工芸品、骨董品、生活雑貨のタバヤユナイテッドアローズの2階」「ユナイテッドトーキョーの日本製」「デイトナインターナショナルの映画グッズ」。その他、地方での地元との取り組みで「桐生市のst companyのイベント」「古河市のフリークスストアのワーキングスペース」「匝瑳市のロンハーマンの有機農法」「富士川町でのビームス社員のキャンプ用品」。

セレクトショップとしての「数字よりもマインド」を紹介した記事で、表題の内容とはかけ離れているような気もする。どの紹介事業も大きな数字に結び付くわけでなく、企業の生き方を表現したかったのだろう。記事のサブタイトルは「What’s next?」であり、「⁇一番かっこよくて美しいもの⁇」「⁇人が楽しそうにいてくれる場所⁇」とある。

このブログでも、セレクトショップを運営する企業の将来性についてはまとめたことがある。現実的には、高齢化が進みトレンドリーダーであるヤング層が大幅に減少する。上場企業である「ユナイテッドアローズ」「TOKYO BASE」はターゲット客層を広げないと、上場の維持が厳しくなる。大手と言われるセレクト運営企業も存在価値を明確にし、その方向性を示す必要が出てくる。片方で、世間に媚びずに生きていく戦略もある。企業としての「思い」を共感できるお客様を増やして、存在価値を示していく。これがこの記事の主旨だろうと受け取れる。ただし、これによって大きな企業力の拡大はあるのだろうか?

この記事にある、桐生のst companyの社長には30年以上公私共にお世話になった。路面店でDCブランドを数多く展開していた時からよく存じ上げている。商品調達面で、20年以上海外出張も続けている。この路面店を作る時も工事中にもお邪魔したし、その後もいろんな話を伺った。セレクト中心になり、路面店中心に商売を移して勝手ながら心配していたが、ネットの販売力もあり、取引先との信頼関係も厚く、そして何よりも強い熱意が固定客を増やしているようだ。

st companyの成功例を見ていると、逆に、今後のセレクトショップ運営企業は、商品感度を維持できるのなら、環境に恵まれた地方都市に個性的な店を持つことも、1つの戦略かもしれない。ターゲット客は大都市集中になることが予測されるが、逆に地方でも中心都市でなく、売場環境を整えられる場所で商売する方が広域から集客できるのではないかと思う。上述した桐生市のように地方の中心都市でなくても、店のイメージや商品やブランドに希少価値があるなら近県のお客様は東京よりも行きやすい。st companyのように常に新鮮な商売をしていると、どんどん商圏も広がっていくような気がする。そうなれば、人口減も商圏拡大で補える。

世間で言われる大都市が少なくなっていく将来を考えると、地方でも売場や商品で個性を打ち出し、商圏を広げていければ、十分に立ち向かえるかもしれない。ただ、常に進化し続ける計り知れない努力は必要になる。

■日経日曜版の「st company」のイベント写真

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