カテゴリー: 専門店 (1ページ目 (17ページ中))

「ビームスハート」 ららぽーとへの出店の意味

ビームスが「ビームスハート」を、2月トーキョーベイ、3月柏の葉、横浜、エキスポシティに、ららぽーとへの出店をしていく。

「ビームスハート」は従来ビームスのアウトレットでのメインブランドだった。セレクトショップのアウトレットについてはこのブログでさんざん書いてきた。アウトレット商品よりアウトレットオリジナル商品が多く、おそらくこのブランドが半分以上占めているように見えていた。つまり本来の「売れ残った」商品ではなく、そのために作られた商品を売っていたということになる。それは本来のアウトレットの姿ではなく、逆に数字を稼ぐ場所になっているように感じていた。これは、ビームスだけのことではなくアウトレットの数字の伸び悩みにも通じている。(セレクト系ではトゥモローランドにはそういう商品はなかったように見えたが・・・)

このブランドで大型モール(RSC)に出店する意味はどこにあるのか?間違いなく販路の拡大だと思う。従来のブランドなら出店をしなかったRSCの客層へ、顧客幅を拡大したいということだと思う。ユナイテッドアローズが「グリーンレーベル」で、ベイクルーズが「レリューム」や「ジョイントワークス」でのRSCへの出店とほぼ同じ意味合いになる。

セレクト系と言っても幅は広いが、従来のセレクトショップやベイクルーズ、上場しているトーキョーベース等も加えると売上規模は5000億強と想定できる。上場企業はユナイテッドアローズに加えて上記したトーキョーベースがある。MD型大型アパレルのパルグループやアダストリアにも同形態の店もあるのでその規模はもう少し大きいかもしれない。ただ今後の人口減少や高齢化を考えると、従来の顧客は減っていく。国内アパレル市場の売上は2024年度約8.5兆と言われている。コロナ前の9.2兆から回復していない。さらに今後の人口減少、高齢化、若年層の大幅減少を考えると、20年後には5~6兆まで落ち込む可能性は高いと言われている。

別の角度で見てみる。セレクト系上場企業であるユナイテッドアローズとTOKYO BASE 2社の株価の動きを確認する。ユナイテッドアローズは1999年上場で初値は15000円だった。その後分割を3度しており、修正の初値で言うと3125円程度になる。そして現状の株価は2500円を下回って変動している。TOKYO BASEは2015年上場で初値は1230円、分割を繰り返しており修正すると初値は171円程度になっている。現状は400円を切る株価で推移している。当初株価を大きく上回るが、分母がなかなか大きくなっていない。近年の売上は両社とも小売業の中では安定して伸長しているが、株価に反映されていないように見える。考えられる要因は、在庫の重さもあるが、客数の大幅減が想定され、この業界(セレクト系)の成長が見通せないからだと思う。

客層の幅を広げるため、従来戦ってきたセレクト系からRSCを主戦場とするボリュームゾーンへの挑戦は、そんなに簡単なことではない。売り方やプライスラインに大きな違いが出てくる。感度、感性よりも値段への比重も上がってくる。何よりも競合各社にはそのゾーンで戦ってきたノウハウが蓄積されている。

出店した1~2年は、プラス効果はあると思うが、アウトレットの商売のようには甘くはないと思う。逆に、さらに従来のセレクト要素を追求して、安定した顧客を作ることに専念した方がいいのではないだろうか?特にビームスは上場企業ではないのだから、安易な方向に乗り出さなくてもいいのではと思ってしまう。

■今日のBGM

ディストリビューターをAIがやればいい

小売業でのディストリビューター(DB)の仕事は、「在庫管理」「仕入管理」に加えて「利益管理」も大きな仕事だと思っている。イトーヨーカドーがリーディングカンパニーだったのはこのポジションを重要視したからだと思う。小売業が成功するには「適正在庫」が基本事項なのは間違いない。その在庫管理の司令塔的ポジションがDBだと言える。

大昔は、値札の裏側に品番を書いて半券管理し、売れている商品のデータを作っていた。売れている商品は販売点数を考えて発注していた。それがPOSシステム導入でバーコード管理になり、追加発注以外は本部で管理しDBが商品の単品指示を出していた。それでも組織内の人間関係もあり、権限に違いが出てくる。商品組織の中でも営業と管理の違いがあり、バイヤーとDBは別組織にする方が望ましいし、商品の仕入れ枠の最終権限も所属長以下ではDBが持っているのが望ましいと思っている。ただ、多くの企業はバイヤーの権限が強いように見える。商品に愛着を持って仕入れる担当者が、商品の最終処分まで指示できるとは思えないが、経験してきた大企業でも、バイヤーの意見が強かった記憶がある。そして、組織には人間関係があり、ついついなれ合いになってしまうことが多い。

商品回転率は小売企業にとって経営の大きな指標になる。そのうえで、組織の関係や人情が入る商品のジャッジはAIに任せた方がいいと思う。AIが商品売上データを分析し、対策を立案させ、それをジャッジして決定すればいい。これぐらいのシステムは現状なら簡単に作れるだろうと思う。例えば商品の販売期間を設定し、単品別のデータを毎週店別にアップする。その販売期間内での消化状況を開示し、その対策を立案させる。好調店舗への商品移動や、不振店舗への販売助言、最終的にはプライスダウンの指示。さらに、不振商品ならそれをなくすために必要な値下げ額と、それによる全体の利益率への影響度の報告。さらに、今後の仕入商品の原価率や仕入金額で、期間での利益着地予想も算出させる。そして、その報告をもとに企業(責任者)が商品対策をどうするかをジャッジする。

おそらく、もう活用している企業はまちがいなくあると思う。商品を仕入れたバイヤーには当然思い入れもあるし、利益率と在庫のジャッジは非常に難しい。毎回書いているが、食品の賞味期限はわかるが非食品の賞味期限はわからない。企業の主観で勝手に決めている。この商品は季節感がないので年間定番だとか、まだ販売期間を延ばしてもいいなど、商品ジャッジのミスで企業生命がなくなっていく。近年はそうなった企業も多いし、その予備軍も多い。

こういうソフトを作るのにどれだけの投資がかかるかわからない。おそらく支援制度はあるだろうし、それによりDB的なポジションの経費は減らせる。そして何より、本部からのジャッジが明確になる。多店舗化して企業を拡大していくなら判断基準を明確にした方がいい。

ただ、売れる店には、当然それ以外の「anything eles」も必要ではあるが・・・

※AIに上記のようなAIシステムを使っている会社を聞いてみたら、「パルグループ」「ストライプインターナショナル」「ナノユニバース」などの社名と活用されている主なシステム名を答えてくれた。

■今日のDVD

ライトオン上場廃止

ライトオンが2月26日付で上場廃止になっている。このブログを始めたころからライトオンについては書いてきた。これはライトオンの数字悪化要因が、在庫過多にあったからだ。個人としての商売の信条は、「小売は在庫」であり、ライトオンの数字悪化についての意見も、在庫管理の難しさを書いていた流れからだった。

在庫を抱える商売は難しい。過去、いろんな業種の商売をマネジメントしてきて痛感していた。業種としてはジーンズ、靴に代表されるが、重なっていることはサイズが細かく、ほぼ定番化されているということになる。ジーンズカジュアル業界では上場していたライトオンに加えてマックハウスやジーンズメイトは譲渡されたし、靴業界も多くの小売店が姿を消した。さらにジーンズは、在庫ボリュームがあることが売場のイメージアップにつながったという要因もある。

何度か書いているが、小売業は商品を仕入れて(作って)売る。簡単な仕組みだ。ただ仕入れた商品を、支払うまでに金に換えてなければ(=売れてなければ)支払えない。現状の取引では、非食品小売業で長くて仕入れてから3カ月以内の支払いだと思う。ブランド商品や企業の支払い能力によってその支払いサイトは変わっていく。当然いろんな商品があり、すぐ現金に変わる商品もある。つまり、企業規模はあるが年4回転すればキャッシュは何とか回っていく。 

小売企業の状況を見るときは、在庫回転率で図っている。決算時の貸借対照表の資産項目の商品の金額で、前年の金額と今年の金額を2で割れば簡易的ではあるが平均在庫額が算出される。平均在庫を損益計算書の売上原価で除すれば簡易的な回転率が産出される。例えばランダムに見てみると、ライトオンの2022年度の売上原価は24356(百万)で平均在庫は10973(百万)となり、年間回転率は2.2回転となる。ちなみに年度の総利益率は49.3%となっている。つまり半年に1度商品が売れるということで、商売ではキャッシュが回っている状況ではない。売上が減少し続けており、当然手持ち資金は減っていっている。こうなると、普通に仕入れていれば在庫は膨らみ、回転率はどんどん悪化していく。ライトオンはその後商品の評価損を計上するが、遅きに失した。利益率を維持することより、継続的に期中で商品評価を落とし売上を上げ、キャッシュを増やすことを優先すべきだった。

現状の上場小売業ではイオングループのジーフットや、ライトオン同様の流れで評価損を計上したヴィレッジヴァンガードもそういう状況の中にいる。

では、ワールド傘下になったライトオンはどういう方向に向かっていくのだろうか?現状の売場を見る限り、ハードな売場ではなくあくまでもジーンズテイストを打ち出したカジュアル志向の店というように見える。イメージとしてはUAが譲渡したコーエンのようなMDかもしれない。ただ、その中途半端なゾーンは難しそうに見える。ジーンズテイストは、果たして必要なのかとも考える。先日もレイクタウンで四国のジーンズファクトリーの店を久々に見たが、昔のパワーは全く感じなかった。セレクトっぽい商品を少し品揃えしたナショナルブランド(NB)中心の店になってしまっていて、やはりジーンズファクトリーでも大型SCではこうなってしまうのかと感じた。さらにこういう品揃えになるとNBが幅を利かせ儲からなくなっていくのではないかとも感じた。

ワールドが手掛けるのだから、売場ロケーションを考えてワールドの品揃えショップをやった方が賢明で、あまりジーンズにはこだわらなくてもいいのではないかと思う。「リーバイス501がデニム」と考えているお客様は、もう少なくなっているし、そういうお客様は買う店を決めている。

■今日のBGM

大型区画が増え類似モールばかりになる

近頃、売上の情報を聞いていて気づくことだが、圧倒的に大型区画のテナントの売上ボリュームが大きく、小型店舗で売れている店が減ってきている。

まず、このブログでさんざん書いていることだが、非食品の商売規模はどんどん小さくなってきている。つまりシェアを上げないと商売は続かない。今後はその状況が顕著になる。何度か書いているが、商売環境は今後さらに大きく変化する。以前書いた以下のことを再確認する必要がある。

30年前(1995年)日本の平均年齢は39.5歳だった。現在は約49.5歳まで上がってきている。20年後には約54歳になるという。現状の社会状況は、円安ドル高傾向は変わらず、物価上昇が続き、一部の富裕層以外の可処分所得は上がってこない。いろんな報道もあるが、このまま高齢化が進んでいくと、社会保険料がどんどん膨らみ、若年層の負担は大きくなる。さらに人口減も進み、現状1億2千万人強の人口も20年後には1億人前後まで減少すると言われている。さらに地方の人口流出は進み、都市部に人口が集まり都市と地方の格差が広がる。現状人口集中の東京圏も高齢者人口増加率も全国平均を上回ると予測されている。特に20才から39才の女性人口の減少が著しくなっていくようだ。つまり、「地方の過疎化」が進み、地方から発祥した小売業が全国規模を持つという流れは、今後なくなっていく可能性が高い。この流れで、もうすでに衣料系の小売業をスタートアップできないことは明白になっている。

この状況下、小売業はどんどん小さくなっていくパイの取り合いになる。そうなると、当然MD力が必要だが、寡占化をするべく売場面積も大きくなっていく。出店条件も大型化を後押しする。小型店への条件のように坪単価×面積で計算されず、歩合条件になることが多い。リーシングに苦しむSCに対しては、条件をさらに下げていける。さらに、一般的な条件の共益費や販促費などの経費、坪当り換算の出店費用も交渉しやすくなる。大きな課題の要員問題も、坪当り要員数を小型物件より少なく運営できる。

デベロッパー側も、現状は大型テナントを歓迎しているように見える。飽和状況にある大型モール(RSC)は特にリーシングに苦しんでいる。かといって経費増の中、賃料設定を下げるわけにはいかない。そうなると、現状の商環境ではなかなか家賃比率の上がる中小型店は出店できない。空床を避ける意味で区画変更して大型店の導入へ前向きな状況になっている。ただ、RSCの同質化が進み、優劣が明確になってきている。

中小小売業は、人的課題が大きくなっており、スタッフも集まらない。さらに、利益率もロットの大きい大手小売業のように上げていけない。エリアの中心になる商業施設に出店できなければ、売上も取れず当然のように資金力のない小売店はなくなっていく。そして同時に、同質化が進むRSCも自然淘汰されていく。そういう流れで人口減との帳尻があっていく。

かつての会社で、30坪弱の店で売上は1億には届かないが順調に伸びていた店があった。定期借家満了時に、隣の大型店を拡大するとのデベロッパー側のトップダウンで、再契約の提示はなかった。その後リーシング担当者が調整して代替店舗の提案があったが、環境や大きさが合わず退店した。その大型店は売場拡大のバーターで他店舗への出店を検討していたようだ。デベロッパーとしては、30坪弱の固定賃料ダウンより、大型店舗のリーシングを優先したことになる。こうやって、中小企業の成長のチャンスは摘み取られていく。

今後は、上記したように商業施設の優劣が明確になっていき、さらに大手小売業もパイの取り合いになってくる。当然その中でも競争原理が働く。高年齢化と地方の過疎化が進む中、中小の小売業の残る余地は非常に小さい。

■今日のショット ・河津桜(去年より2週間早い)

必然的に大型モールも厳しくなる

前回、中小小売業の現状と考えられる方向性について書いたのだが、そうなれば当然のように商業施設も厳しくなる。中小小売業の出店は減り、さらに退店が増えていく状況になる。特に店舗数の多い大型モール(RSC)は、地域No1の物件以外の淘汰が間違いなく始まっていく。

先日、「たくろう」の漫才をネットで見ていると、「ヴィレヴァン、JTB、保険屋にいた…」の返しで「ショッピングセンターの上の方(階)ばかり…」と言っていたが、本当にRSCの高層階(特に3階)のテナントはどのSCも同じになってきている。高層階だけでなくRSCのテナントはほぼ同じ顔ぶれになっており、その同一化された状況をお客様も気づいている。新規テナントのリーシングは進まず、新ブランドなどの新しいテナントはエリアの中心的RSCにしか出店していない。

RSCのスタート期は、従来のSC(ジャスコと〇〇の専門店)のようなテナントではなく、百貨店や専門店ターゲットのメーカーの新ショップが多くリーシングされ、新鮮なテナントと大型駐車場含めた大きなSCとして人気を集め拡大していった。その時には、各地域から巣立ったたくさんの専門店も出店していた。ある意味、デベロッパーがリスクを持って新しいテナントを開発していた。

そして、現状ではテナントとして新しいショップを開発できるのは大手小売業位しかない。その開発できる企業数も限られてくる。当然新しいショップには、大きな売上を上げることが望まれる。そうなれば、商品に関してはとがったMDにはできないし、個性的な売場も作りにくい。どうしても標準的なMD中心になり、他テナントとの差別化を図れなくなる。さらに新ショップとなれば、出店場所も選ぶのでSCの優劣を見極める。出店はエリアでも中心的なSCに集中する。

デベロッパーも、小売各社と同様コストアップの流れが強い。人件費だけでなくいろんな経費も上がっていく。売れるかもしれないが企業リスクあるテナントを導入するより、大手企業の方が安心感はある。さらに、区画も大きく、ショップ運営にも不安感はない。

お客様の動きはどうなるか?昔と同じで、買う商品によって買う場所を選ぶようになる。食品を中心としたデイリー商材を買いに行くSCと「わざわざ」性のある買い物に行くSCに分かれてくる。デイリー商材は差別化が難しく「近いところ」を選ぶようになる。逆に「わざわざ」買い物に行くところは、選択肢の多いテナント揃えされているSCになる。ちょうど昔のデイリーのGMSと「わざわざ」の百貨店の関係になってきている。つまり現状のRSCの位置づけもSCごとに分けられてくる。百貨店が消えていく中、「わざわざ」がそのエリアにある中心的RSCになる。その他の同一化されたデイリー要素が高くなるRSCの位置づけは、昔の「近いところ」にあるGMSの位置づけになってくる。

今後は、人口減や老齢化も進み、客数も減少していく。現状のRSCは、当然位置づけがはっきりしてくる。そうなると、GMSが消えていったように必然的にデイリー要素の高いRSCの淘汰が始まる。その流れを予測して、イオンは「そよら」などのCSC(コミュニティSC)を開発しているし、イトーヨーカドーもCSC志向を政策としている。そして、地方スーパーはNSC(ネイバーフッドSC)を広げている。

いつも書いている結論だが、中心的RSC以外のイオンモールは今後どうなっていくのだろうか?

■今日のBGM

厳しさを増す中小小売業

先日、友人と話していて、「人がいな過ぎて、まともに商売ができない」ということを言っていた。

中小小売業には販売スタッフが全く集まってない。データでは小売業含めての中小企業の65.6%が要員不足らしい。ましてや土日勤務の小売業には多少時給を高くしても集まらない。レジ業務や品出しに加え接客もあり、業務内容も多岐にわたっていることも原因のようだ。当然、時給も上げているし待遇面は配慮している。ただただ、集まらない状況のようだ。その友人も、エリアを統括するマネージャーや近隣店舗スタッフが欠員補充に入っている状況と言っていた。

要員不足から、売場も乱れていく。当然やるべきことができないのでそうなっていく。そうなると、売場は安易な方向に進んでいく。接客(ちょっとした声掛けも含む)に手が回らなくなり、セルフで売れる商材が増えてくる。セール商材や値頃感を打ち出した商品のウエイトが上がっていく。安易に売れそうな過去品揃えしてなかったターゲットの商材にも手が出る。

ここで、一番危惧することは「企業コンセプト」が崩れることだ。厳しい状況になった現状、もう一度そのコンセプトを話し合い、変更していくのか、継続するのか決めるべきだ。これが企業の今後について一番大事なことだと思う。

かつて、過去の経験からの成功モデルを想定し、小売業を立ち上げた。その後再度、コンセプトや方向性を見直した。企業のミッション(存在価値)を設定し、そのターゲット商圏を分析し、そこに向かう分析をし、成功要因を導き出したつもりだった。具体的数字にも落とし込み、目標も定めた。さらに少し伸び悩んできたときには、時間をかけて、昔研修で学んだいろんな角度で戦略立案してみた。それにより、立ち上げた事業の成功には向かっていけると感じた。だが、コロナで木っ端みじんに吹き飛んだ。

厳しい中小小売業は、そういう企業としての方向性を再度きちんと整理していく必要があるのではないかと思う。そして、その方向性に沿って戦略をジャッジしていく時期だと思う。

さらに、こういう時期だからこそ、各店の棚卸も必要だ。損益を考えて継続するべき店かどうか全店チェックする。要員不足の店が、今後再びきちんとした要員で商売できるのか?そしてその店は、きちんと収益を出していけるのか?もし、将来的に大きく収益が見えない店があれば、撤退して、人を異動させるということもできる。当然各店の償却残の金額や、違約金、撤去費なども考えてジャッジしなければならない。ドミナントできてない店は特に注意が必要だ。マネジメント層がデータをまとめて、再度各店の方向性を明確にする必要がある。

企業は「人」「物」「金」とよく言われる。「物」は「金」があれば解決するし、「金」は財務内容次第では手配できる。「人」はどうしようもできない。「人」抜きで拡大して失敗した会社を多く見てきた。これだけ「人不足」の状況が続く中、一度立ち止まって事業としての棚卸をし、その結果として前向きに半歩後退するのも正しい選択かもしれない。

■今日のBGM

上場会社の宿命 ユナイテッドアローズの持株会社化

数回前「コーエンの売却」について書いたが、おそらくユナイテッドアローズ(UA)は他事業へ食指を伸ばしていくだろうと感じていた。先日、持株会社化して、M&Aで非アパレル領域へも進出していくとの発表があった。「コーエン」を手放したということは、ライバルが多くいろんな客層に対応すべきボリュームゾーンでは戦えないと感じたからで、セレクト以外では戦えないという結論になったのだと思う。

所謂、セレクト業界(セレクトショップを運営している企業群)のターゲット客層は当然のように減ってくる。これは年代構成比の変遷を見れば明らかなことで、国内の平均年齢は20年後に54才になり、人口減も進み20年後には1.2億人の国内人口が1億人前後になると言われている。さらに、20~39才の女性の人口減少が著しくなっていく。つまり、現状のメインターゲットが一番激減していく。

その中で、セレクト各社はいろんな方向性を持っているが、一番売上志向が強いのがUAだ。アウトレットへの過剰出店や「グリーンレーベル」での大型モールへの出店の多さがそれを物語る。そして、アウトレットモールでの品揃えが、純粋なアウトレット商品ではなくアウトレット用オリジナル商品の品揃えであることや、「グリーンレーベル」のディフュージョン化が顕著で売上志向が強すぎる状況もお客様に浸透されつつある。これはブランド価値の低下にもつながってくる。そうせざるを得ない一番の要因は「上場している」ということに尽きると思っている。「私」の企業はマイペースでやっていけるが、「公」の企業は当然成長を義務付けされる。特に短期的な視点での成長も必要になる。つまり、上場しているがゆえに、売上志向になり、本来のセレクトショップとしての考え方が崩れてきている。

「コーエン」を手放したことで、ファッション事業で他の土俵では戦えないという結論が出た。本業のセレクトとしてのファッション回帰が急務だが、前を進んでいる感がある「トゥモローランド」や、買いやすくトレンド要素よりも定番ブランドをセレクトしている「Bshop」へは追い付けないように思う。そんな中、上場会社として企業を成長させるべき他の方法として、当然M&Aの発想は出てくる。まずファッション事業でのM&Aもあるだろうが、UAのポジションを考えるとなかなか選びづらい。同業他社を考えても、現時点では難しい。そうならば、企業方針を明確にして、現状の企業イメージにあう他の事業の企業と手を結ぼうとするのは必然だと思う。 

だが、成功するのだろうか?百も承知だろうが、別の土俵にはその土俵のビジネスモデルがある。さらに、UAの匂いにあう企業は他業種でもそこまで多くないし、規模も小さくなる。

美容関連や飲食、ホテルなどが思いつくがそこまで大きなプラス効果は望めないと感じる。現状のUAの企業規模から考えても、このMA戦略の相手企業には、ある程度の規模感の会社は必要だと思う。そうなれば、現在の企業風土とは全く違う別事業と組んでいく覚悟も必要なのではないだろうか。

今回のM&A戦略へのかじ取りは、非常に難しいと思う。上場しているが故の問題ではあるが、ファッション業態を中心として続けるかどうか、その対応が問われてくる。

■今日のBGM

コーエン売却③ ・・・よほど切り離したかった?

数日前に、ユナイテッドアローズ(UA)のジーイエットへのコーエン売却について、少し詳細がわかる記事が出ていた。

コーエンの前年の業績は店舗数76店舗で、売上高約104億(前年比109%)、営業損失―3.6億、純損失―6,7億円だったようだ。なお総資産は約28億円、純資産は−38.1億円の債務超過状況と記事にはある。さらにUAはコーエンに対する約57億円の債権放棄を前提としている。なお、譲渡金額は2億円となっている。

この状況で数字だけを見ると、計算上負債は66億円強となる。そして資産をすべて売却しても債務が38億強残っている。だがUAの債権放棄を加味すれば負債は9億円に減少し、純資産は19億円(57億―38億)になり、資産もプラスに転じることになる。つまり債務超過ではなくなる。UAは57億円の債権放棄をしても切り離したかったということにもなる。

当然、UAやコーエンの担当者は誰も知らないし、両社の実情も全くわからない。その上で、気になったことを書いてみる。

ジーイエットの第3四半期決算を見てみる。金融投資事業が入っていて、暗号資産の評価損が売上原価に入っているのかどうか詳細は見えにくいが、小売事業では期間売上前年比93.3%、営業利益-9.16億となっている。おそらく閉店を進めていて、閉店セールで売上は何とか確保できているが利益率はダウンしている結果だと思う。コーエンはジーイエット傘下のアパレル企業とのプラス効果を譲渡理由に挙げているが、旧ジャバグループなどとの連動は大きなプラスにはならないと思う。つまり、譲渡先が腑に落ちない。アメカジの流れがあり、きれいに売っていた感があるブランドを、大きな債権放棄までして手放した先がジーイエットだったことがわからない。債権放棄しての純資産を考えると、2025年売上104億、店舗数76の会社を欲しがるところは多かったはずだ。例えば、アダストリアやパルGもターゲットが被る店はあるが、順当に考えればそのどちらかになっても不思議ではない。考えられる理由は、在庫評価が不明瞭なことか、販売員がUAに残るというような人の問題くらいしか思いつかない。

次に気にかかるのは、UAの企業力だ。コーエンの店舗数と売上から計算すると1店舗当たりの売上は年間1.4億弱になる。大型店もあるが標準的には40~60坪くらいだと思う。この数字を見るとそこまで厳しい数字には見えないが、他の企業と収益構造が違うのかもしれない。財務諸表がないのでわからないが、一般的に考えれば経費が多くかかっているか、在庫過多のどちらかだと思う。

そういう視点で見ると、UAは今のセレクト業界以外では戦えない企業に見える。そして、上場している関係もあり、売上を上げていく事に最も注力しているようにも見える。安易にアウトレットを拡大し、アウトレット用商品を作って数字を作っているように見えるし、グリーンレーベルも大型SCに来る新しい客層にUAの名前だけで商売しているように見える。このごろあまりショップを見てないので細かくは言えないが、昔は「ソブリン」や「ディストリクト」などのショップもあり、トレンドを引っ張っていたイメージがあるが、今はUAから派生した買いやすいブランドが多い印象が強い。トレンドより値頃化して客層を広げ、UAの名前で売っている感がある。そんな中、上場企業として違うターゲットへ進出が必要で、そのブランドがコーエンではなかったかと思う。そして、そのコーエンから撤退するということは、新しいターゲットゾーンでは戦えなかったという印象しかない。今後UAの値頃感を持った派生ブランドが飽きられれば、企業としての魅力は小さくなっていくのではと思ってしまう。

今回のコーエンの譲渡には、わからないいろんな経緯があると思う。ただ、UAがUAという名を借りずに、違うターゲットや環境で戦っていたブランドを破格で手放すのは、非常に残念な思いが大きい。

■今日のBGM

厳しい時期だからこそ、するべきこと

寒波到来で雪の情報が増えている。2月に入れば選挙。ただでさえ、1月のバーゲン明けは商品の動きが悪くなる。さらに過去の例から、選挙は商売のプラスにならず、選挙日は売れない。ただでさえ厳しい1月中旬から2月にかけてが、さらに厳しくなる。

小売業の流れは、非常に厳しくなっており、特に中小の小売業には大変な時期になっている。以前も書いたが、知り合いの会社も倒産したり、事業譲渡したり、大幅な規模縮小をしたりしている。上場企業でも、厳しい数字が続いている会社が多く、安定企業は限られてきている。その安定企業も、現状の環境下では厳しい数字になりそうな流れになっている。

近隣の大型モールに行ってみたが、晩期商戦ということもあり、テナントごとに売場演出や対策は大きく異なっている。セレクト系などは、会社の戦略なのかブランド商品の値段はほぼ変化はなく商品をなくそうという意思も見えない。さらに大手企業店舗は、商品量は減ってはいないが、価格の切り口の変化はなく、リスクヘッジができる取引先の商品が増えているように見える。中小小売業の店舗が一番厳しい商品内容になっており、引き続き前面はセール訴求が続き、多くの冬物が前面にある。そのため、12月以来売場の見え方が変化なく「セール疲れ」の感も出てきている。売場は各企業の戦略が出ており、いよいよ、企業力が明確になってきていていると感じる。

特に、この時期は売り上げが大きく、バーゲンによる利益率の変化が年間利益を左右する大事な時期になる。商品を処理するために値段を下げれば利益が下がる。商品を仕入れると利益は回復するが、在庫は膨らむ。さらに新商品の投入で、新鮮な商品に目が行きバーゲン商品の処理がおろそかになる。中小小売業は、厳しい状況下にこそ、晩期の決め事を再度明確にし、徹底する必要がある。

まず、なくさなければいけない商品をどうするか決める。とかく、利益率を念頭に置いて処分を明確にしないことが多い。ここは絶対に無くすことを考える。全体で利益計算をして、どこまでの割引率でなくすかジャッジする。それでも売れなければ集約する店舗を決めてなくす。なくすことを前提にして、利益率の着地を考える。結局ここで商品を処理しなければ、近年の不振企業のヴィレヴァンやライトオンのようにどこかの決算で評価損が発生する。さらに残商品で在庫過多になり仕入れ枠が減ってしまう。当然売る努力はあるべきだが、守るべきは利益率より在庫高ということを周知徹底するべきだ。セール期間が続くと、新しい商品が新鮮で、その商品に目が行きがちになる。新商品を提案し、売場の季節感を変えるなら、なくすべき商品は売価を0評価にしてキャリー(次年度持越し)するべきだと思う。商売は誰でも仕入れが楽しいが、直面している商品をなくすことに全員で取り組むべきだ。

商品が入れ替わるタイミング(セール後の立ち上がり)で、今後のMDの決め事を再度明確にするべきだと思う。「誰」に、「何」を、どれくらいの「値段」で、を再度整理する。商品仕入れ担当者は、会社の方針としてのプライスラインや品種、品目を再度明確にする必要がある。そして「売りたい」商品より、「売れる」商品を必ず念頭に置く。季節が変化する時期はそれを徹底し、再認識する。当然財布の中身(仕入れ可能額)も話し合って決める必要がある。

企業力が弱い会社ほど、晩期は、売り場の作り方や、セール商品の価格訴求のタイミング、切り上げの時期、新商品の展開時期や売り場提案についてなど、きちんと決めごとを作り明確にしていく必要がある。

●余談・・・世の中甘いのか、甘くないのか?

・エアコンが壊れたので、イオンのポイント10倍の日に安いエアコンを買った。取り付けに来た人と話したが、東京では65才以上を対象に、エコ対応のエアコンを買うと1台8万円の補助が出るという。夫婦なら2台になるので買い替え需要がすごく、取り付け業者は非常に忙しいらしい。・・・東京だけ?

・前回、イオンの株について書いたが、2月以降、株主特典の改定があり、100~300株ホルダーでキャッシュバックが3%だったのが100株1%、200㈱2%、300株以降は従来通りと変更になった。これにより小口株主のメリットは下がり、配当性向は下がってしまった。・・・大企業は抜かりない!

■今日のBGM

数字を読む 2

厳しい数字状況で、気になる会社の四半期決算短信が発表されている。年度決算数値ではないが、今後の方向性や現状の問題点が見えてくる。チェックしている会社で1月発表されたデータを簡単に見てみる。

イオングループのジーフットが先日第三四半期決算短信を発表している。前年の決算で、イオンを引受先として第三者割当増資を実施し、さらに他の財務支援も受け債務超過を解消したが、今期第三四半期で再び債務超過の状況になっている。営業利益は第三四半期で−10.5億、経常利益は−12.2億と発表されている。売上は同期比で前年96.5%、利益率43.6%前年差-0.4、在庫前年比112.9%となっており、前年より悪化傾向は続いている。商品回転率はおそらく前年より悪化が予測され1.4回転前後になると思われる。ちなみに業界トップのABCマートの前年の利益率は50.5% 回転率は2.04回転となっている。

ジーフットはイオンGMSの靴売り場(グリーンボックス)も運営しており、純然たる専門店と言いにくい。近年「アスビー」への変更を進めており、専門店化を図っているがGMSから靴売り場はなくせない。おそらくここがネックになっている。ABCマートのように商品ターゲットを絞り込み、商品のメーキングができれば改善できるが、GMS客層の取り組みを続けると、客層の幅が広がり売場がぼやけてしまう。イオンとしてGMSの赤字をヘッジしているとも考えられるためGMSの存続も含めてイオンのジャッジが必要かもしれない。もともと靴業界はサイズが多く、それに加えて客層の幅が広ければ当然商売は厳しい。

タカキューも第三四半期決算を発表している。売上は同期比で前年90.4%、利益率63.0%前年差+1.0、営業利益32百万前年比17.0%、経常利益128(百万)前年比43.6%となっている。ただし決算期には有価証券売却益を計上するとしている。第3期末在庫では前年比135%となっており、売上前年比を考えると在庫過多であり、商品回転率も相当ダウンすると思われる。ちなみに第3四半期までの回転率は前年2.03に対して1.32まで落ち込んでいる。利益率の改善は高値入の商品を多く投入した結果と考えられる。ただ、在庫過多状況であり、回転率を考えるとそこまで商品の消化はできてないように見える。

現状主な主戦場は、元イオングループということもあり、郊外モールが多いが、売場の見せ方が整理されすぎているように感じる。ブランドビジネス出身の社長にありがちな、よく言えば「売場をきれいに見せる」、悪く言えば「気楽に入れない」店になってしまっているように見える。さらに、数値面も在庫を処分すれば利益率が急落するリスクが隠れている。やはり主な品種のスーツ業界はサイズが多く、単価も上がるため、在庫がキーポイントになる。

ライトオンの今月発表した第一四半期決算短信を簡単に見てみる。売上前年比64.7%、利益率52.8(前年+0.6)在庫前年比71.4%となっている。経常損失は続いており、今後ワールドからの資本援助で解消されるが、現状では債務超過の状況となっている。まだ今後のMDについては未知数だが、短信ではレディス商材が支持を集めたとある。レディスの比重を上げていくのであれば、ショップのゾーニングや内装にも違和感が出てくるかもしれない。サイズが細かいジーンズのウェイトをどこまで下げていけるかも含めて、「ジーンズのライトオン」としてのMDをどう変えていくかが注目される。さらに、ワールド自体が、このカテゴリーやそのMDを得意には見えず、どういう再生のスタートを切るか興味深い。

最後にヴィレヴァンの中間決算にも触れておく。売上は前中間期比で91.4%、売上総利益107.8%、総利益率45.2%前期比+6.9、営業利益167(百万)(前年同期-608)と改善数値を発表している。ただ、前期末に棚卸評価損2472(百万)、減損損失674(百万)計上しており、その評価減の戻り益が多分に含まれており、次年度以降の数字でなければ検証はできない。私見では、以前書いたが、商品管理体制を確立しなければ再浮上は難しいと思っている。

今回書いた4社はすべて在庫過多が原因で営業不振に陥ってきた。靴やスーツやジーンズのサイズの多さ、商品アイテムの広がりによる在庫の重さが、商品のジャッジやトレンドへの動きへの遅さを導いている。そこを改善しなければ再建はおぼつかない。個人的には、大手企業子会社の ジーフットやライトオンは、上場廃止の方向となるのではないかと思っている。

■今日のDVD

«過去の 投稿