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店長に考えてもらいたいこと ➁

前回、店長もキャッシュフローを考えて売場をマネジメントするべきだと書いた。毎日売上ばかりを念頭に置いて仕事するのだろうが、本当に自分で金を持っての商売ができているのか自問自答して欲しい。昔と比べると、店長の平均年齢も上がっているように見える。もう一度商売の理屈や目標を見つめなおしてほしい。

単純に30坪の店を出店するのにいくらかかるのか?出店費用だが、敷金として坪100~200千は必要だ。ここでは坪150千として考えると4500千となる。敷金は返ってくると思っているかもしれないが、撤去時に撤去費用でその金額位は必要になる。つまり返っては来ないと考えるべき経費となる。内装工事に関して、共用部の負担金、内装管理費、現場協力金などで最低でも2000千は必要になる。さらにオープン販促費なども必要で、デベロッパーに支払う金額は概算合計7000千くらいになる。さらに内装費だが、ABC工事含めると安くても10000千は必要になる。おそらく今なら、物価高騰もありその金額では済まない。つまり、30坪の店を出店するにはその他諸経費を含めると20000千は必要になる。そこに、オープンするための商品の金額が必要になる。商品在庫を上代で坪500千とすれば、原価50%として7500千の金額が必要になる。つまり、少し多く見積もるが30000千くらいの金を投入することになる。

少し前に、ソフトバンクの無担保社債の募集があった。利率は4.75%であり税引き後3.785%となっていた。ソフトバンクの存続のリスクがあるが、ソフトバンクが7年続けば毎年利払いが続く。そしてその後原資は返却される。海外ではリスクが大きいと言われていたようだが、完売している。この社債に30000千を投資すれば、毎年税前で1425千の利払いがある。つまり、金を動かすだけの方が安全で堅い商売として映る。商売をやっていくということは、それ以上の収益がなければ、社会的な価値はないと考えることもできる。

企業には理念がある。昔立ち上げた会社は、そんなことは考えてなかったが、「やっていく業態は、他の企業が手を付けてないターゲットに向けた商売」だと思っていた。所謂「小さなブルーオーシャン」と感じたからスタートした。大きな理念はなかったが、ターゲットさえ間違わなければ成功すると思って始めた。そして、その考えが浸透していれば、企業は続いていくと思っていた。

では、今の物販小売業の店長はどういう気持ちで働いているのか?毎日ルーティン業務をして生活基盤としての収入をもらっているのか?大きな投資を受け止めて、その投資を回収していこうと前向きに動いているのか?おそらく前者のほうが多い。

このブログで再三書いているが、今後の顧客層は高年齢化し、その数は激減する。つまり、普通にやっていれば、中小の小売業は淘汰される。上場企業でさえ、どんどんなくなっている現実もある。もう一度、企業目的を徹底して話し合い、店長として何をするべきか、何を基盤に仕事をしていくのかを明確にしてほしい。

でも、走っている途中にはなかなか考えられないか・・・

少し説教じみたブログになってしまった。

■今日のBGM

店長も店のキャッシュを管理する

このブログでは何度も書いていることだが、仕入れ担当者はキャッシュフローを再確認する必要がある。企業は、黒字であり続けても、現金がなくなり調達できなければ倒産する。そんな事例は山ほどある。店長も仕入れに参加しているなら、当然店舗のキャッシュフローを再点検すべきだ。そしてその意識を持って仕事に携わってほしい。

まず、当月のキャッシュインだが、テナント入店の場合はいろんな入金方法があるが、ここは簡易的にわかりやすく当月の売上が当月キャッシュインされると設定する。

次にキャッシュアウト。ここも支払いにいろんな時差はあるが、簡易的に当月のキャッシュアウトと設定する。まず賃料等。当然出店条件をわかっているとは思うので、賃料、共益費、販促費、事務手数料(クレジットが多くなると想像以上に大きい)、駐車場負担金は算出できる。次に人件費。店舗勤務者の給与を総支給で合算する。社会保険料は会社が支払い給与の約15%は負担しないといけないので、その分も人件費に上乗せする。さらに、電気代、電話代、店で発生するショッパーズなどの消耗品費、出張すれば交通費も発生する。

具体的に想定数字を考えてみる。

まず、キャッシュインでは売上を5,000千と想定。

キャッシュアウトで賃料、共益費、駐車場負担金、販促費で900千(イオンモールで30坪弱の店想定)。人件費は1,200千+200=1,400千(社保会社負担込み)。支払手数料100千、電気代、電話代、消耗品で100千 概算で2,500千。

つまりキャッシュはこの段階でキャッシュイン5,000千-キャッシュアウト2,500千=2,500千となっている。

ここで考えなければならないのが、商品の支払い分になる。キャッシュイン5,000千―キャッシュアウト2,500千=2,500千で商品の支払いをしないと足らなくなる。2,000千の仕入ならキャッシュは残るが、3,000千の仕入ならキャッシュは足らない。あくまでこの仕入数字は原価だということを再度理解する必要がある。

PL(損益計算書)で計算すると売上総利益率が仮に50%なら総利益が2,500千になり、経費分2,500千を引くと0になる。つまり儲けも損もない。つまり、概算ではあるが経費が大きく変動されなければ、損益分岐点売上は5,000千ということになる。ただここで仕入れが上記したように3,000千あればキャッシュは500千足らない。損益は赤字ではないが、支払い代金が払えない状況ということになる。例えば売上が5,200千で経費が変わらないとすれば200千の黒字になるが、仕入がこのままでキャッシュが足らず、さらに資金の手当てができなければ黒字倒産になる。(当然、数字上の事で交渉余地はある)

つまり、PL(損益計算書)上では黒字でも、仕入れ過多で支払いができなくなっていれば会社は倒産する。言い続けているが、仕入れ過多は在庫過多になり、支払いができなくなる。昨今の「ライトオン」「マックハウス」「ヴィレッジヴァンガード」はすべてこの状況から数字が悪化していった。

企業が大きくなると、細かく管理ができなくなるが、小売業をしているのなら、各店舗のキャッシュフローはチェックする必要がある。特に、現場で店長が仕入れに参画しているなら、店長もバイヤーとして最低限キャッシュフローはチェックするべきだと思う。

■今日のBGM

「ハッカキッズ」ブランド休止と子供服業界

先日、子供服の「ハッカキッズ」がブランドを休止する旨を新聞で知った。このブログでは「雑談」として書いた方がいいのかもしれないが、「ハッカ」ブランドには過去お世話になった。

このブログでは過去の仕事としてよく書いているが、群馬県高崎駅前の「ニチイ」を改装し「SATY」の業態を作る時、商品部にいた。俗にいうDCブランドの誘致も主な仕事だったが、商圏には百貨店2店舗あり、路面店にはブランドが軒を連ねていた。「ビギ」や「ニコル」は有名なFC先があり、後発のSCには見向きもされなかった。その時一緒に仕事をしてくれた店のフロア責任者が、路面店で「ハッカ」を経営していた。その方には大変お世話になったのだが、そのおかげで「ハッカオム」は導入できた。その後、子供服ブランドブームの時には「ハッカキッズ」も店舗を構えることができた。

あの当時のDCと言われたブランドのほとんどが消えていった。「ビギ」グループは三井物産傘下に、「ニコル」グループは岐阜アパレル傘下になり、その他のブランドもほぼ消滅した。「ハッカ」ブランドは、その当時規模は大きくないがブームから離れて自分たちの方向を向いていたように思う。その後「Madu」など飲食と融合したショップを開発し、きちんと立ち位置を確保している。当時は、須賀社長(当時)にも営業担当者にもお世話になった。西麻布の本社にもよく伺った。

その後、子供服ブランドブームがあり、うまく地元FCオーナーと交渉ができて、「コムサフィユ」「ミキハウス」「べべ」のテナント出店や「ミニバツ」「ミニK」「メゾピアノ」などと「ハッカキッズ」をSATY直営にしてゾーニングができた。地方でこれだけのブランドが揃うのは珍しく、活況を呈した。ただブームが去ってからは、SCが「ビブレ」になると同時にすべてなくなった。「なくなった」というか「なくした」。思い出すと1996年のことだった。

平成子供服ブランドブームは、バブル崩壊後どんどんマイナストレンドになっていった。もともと子供服は、ベビーサイズ、トドラーサイズ、スクールサイズに分けられ、さらにサイズも身長の10センチピッチで、細かい。つまりジーンズ専門店がなくなっていったのと同様、在庫を抱える商売になる。さらに子供の成長は速く、着飾れる期間は短い。ただトドラーサイズは子供が最もかわいい時期になり、ジジババ戦略でのギフトで最も売れる。

子供服を取り巻く環境だが、国内出生数の変化を見ると、1990年は約122万人が2022年には84万人、2025年には70万人前後まで落ち込んでおり、1990年の60%を割り込んでいる。つまり、完全に商圏は小さくなっている。さらに1990年代に「ギャップ」が日本上陸し、サイズ観念が変化していったこともあり、子供服市場が変化し、特にスクールサイズが一般衣料品市場に加わっていった。ただ売上数字を見ると、子供服市場は大きなマイナスはないらしい。高級志向、インバウンドニーズで高価格帯の子供服は売れており、「ミキハウス」「ナルミヤ」などは堅調に伸ばしてきている。さらに「西松屋」「ユニクロ」「GU」のボリューム層も数字は大きい。見え方はそうだが、スクール需要をどう捉えるかで、数字は変わる。おそらく、昔のセグメントで考えれば減少の度合いは大きい。さらに、過去の子供服専業メーカーは寡占化が進み、中小のメーカーは姿を消している。

今後、大手の海外展開や効率化で維持できるメーカーは少なく、さらに寡占化が進むと思われるが、「服」以外への取り組みが必ず必要になってくる。一部の大手のブランドを除いては、子供服専業のメーカーは間違いなく消えていく。

■今日のBGM

ユニクロの出店戦略変更で商業地図は変わる

日経新聞の1面のメインに「ユニクロ旗艦店を倍増」という記事があった。柳井社長の言葉を細かく記事中に入れている。「日本の主要都市すべてに旗艦店が必要だ。10年以内にやりたい」「出店は全て旗艦店戦略に変える」「商品を売るだけの通常店は増やしても意味がない」。トップダウンが強い企業なので、間違いなく出店戦略は変わっていく。このブログでも何度も書いているが、「人口減少による出店エリアの縮小」「ネット通販の普及」がこの言葉を後押ししている。

この記事通りであれば、今後の出店は都心中心で郊外店舗への出店はなくなる。店舗開発担当者は企業の方針に沿って動く。ちなみに、ユニクロの国内店舗数はピーク期の2013年8月末の850店から785店と減少している。

大都市はさておき、地方都市や郊外モールはどうなっていくのか?ユニクロの事しか言ってないので、GUの出店が加速するのかもしれない。GUの位置づけを変えるのかもしれない。ただ現状の地方都市駅前物件や大型モール(RSC)は、間違いなくユニクロがモールの柱になっている。ユニクロが店舗数を緩やかに減らしていく事を考えれば、RSC(特にイオンモール)は求心力を失う。

ただ、もうすでにRSCも開発できる場所はないのかもしれない。イオンモールに至っては至近距離のイオンモール出店過多で、もうRSCではなくCSC化(コミュニティSC)している物件も多い。おそらく、すでに出店は鈍化しているが、イオンモールもSC数は増えていかないと思う。 

現状、国内専門店小売業はユニクロと無印良品が2強とみていたが、今後はRSCに至っては無印良品の出店が増えそうだ。ただ無印良品も大型化を進めており、路面店も含めて大きさや出店条件を吟味しての出店になっていく。そして、無印良品も含めて旗艦店戦略のユニクロに追随する企業は間違いなく増える。

以前まとめたことを再度書く。まず10年後、20年後の人口予測とその構成比だが、総人口は10年後−730万、20年後−1500万、65才以上の高齢者の比率は現状30.3%が10年後33.3%、20年後35.3%と増える。さらに15才までの年少人口は減り続ける。そして生産者年齢人口も減り続ける。次に、人口現状30万以下の地方都市の高齢者人口は20年後50%を超え、人口も2020年比で−30%~50%の状況になると想定されている。つまり、東京、地方の大都市に人口も集中する。ただし、東京、大都市も高齢化は進み人口も減少していく。

そのデータを見て、国内戦略を考えると、当然国内では大都市戦略になっていき、地方ではEC化が進む。その意味で、ユニクロの国内戦略は理にかなっている。海外戦略では近年のアメリカ、ヨーロッパ戦略も旗艦店、大型店中心で成功している。

おそらく今後のファッション小売企業は人口減もあって、国内だけでは企業の成長はない。内部充実も大事だが、売上分母が大きくならなければ成長はない。海外進出や商売分野の拡大などの長期的なビジョンが描かれなければ、存在できなくなる。

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「売る」責任と「仕入れる」責任と「コントロールする」責任

晩期の売場を見ていると、企業の状況がよくわかる。特に商品コントロールのやり方で企業力は出る。姿を消していった企業はここでのミスが多い。「売る責任」も大きいが「仕入れる(作る)責任」も大きい。そしてそれをコントロールできて企業は成り立つ。

昔、「ビブレ」という業態に在籍した。他のファッション系SCとの大きな違いは、自主MDでの売場が多かったということだと思う。開発型ショップを入れると50くらいの売場が自主MDだった。壁面を背負ってのブランドオンリーショップは取引先出店が多かったが、品揃え型店舗や、大型区画は直営展開が多かった。そうすることによって賑わいも出て活性化が図れた。つまり、ブランドで集客し自主売場で稼いでいた。自主売場には本部のMD担当者がいたが、主用業務は全店共通の商材を手配し、その売場の数字を管轄することだった。ただ、店の大きさにもよるが、店担当者の仕入れ権限が大きかった。店舗数が増えていく中で、仕入技術の問題や、当然のように売上の大小で、店舗間格差はでてきた。晩期は自主MDでの弊害の方が大きかった。

自分で店を始めてからも、店仕入を中心にスタートした。当然集約して展開する商品は本部でまとめて発注したが、その比率は低かった。何より、店舗数が少ないうちはまとめて発注するメリットは小さい。ただ規模が大きくなるにつれ、店仕入中心では厳しくなってくる。

小売業は回転率を考えて、売上予算と在庫予算を決定する。このブログでも再三書いている。商品を仕入れてその商品を売って、取引先に仕入れ代金を支払う。一般的には末締め翌末払いの条件が多い。ということは2ヶ月で完売すれば利益は残る(売価-原価)。掛け率50%なら2ヶ月で半分売れれば支払いはできるが、儲けは出ない。そして、その儲けで経費を払う。回転率が低い商品(高額商品等)や回転率の高い商品(セール商品、定番商品等)があって全体の回転率が計上される。売価在庫で図る時は、回転率は売上÷平均売価棚卸額(在庫)で計算できる。その数字が0.5なら2ヶ月で商品が入れ替わるということだし、0.33なら3ヶ月ということになる。いろんな仕入れ形態はあるが、立ち上げた会社では月度回転率0.5を目標にしていた。同じように上場企業ではパルグループが回転率を重視している。

ただ、仕入れ担当者にそこまでの数字感覚があるかどうかだ。自分の懐は痛まないし、「売りたいものを仕入れたい」と考えるのは自然なことだ。財布の中の金額を気にしないで買い物をすることは楽しい。そこに大きな問題がある。当然、売場提案を実施するが、そこに信頼関係がなければ、「売る側」は押し付けられたと感じることも多い。

そこで「仕入」と「販売」をコントロールするポジションが必要になる。小さい会社なら社長がやるべきだ。そして、ある程度の規模になれば必ず必要なポジションだ。商品はわからなくても数字でジャッジするスタッフが必要だ。どの商品群が回転率を落としているか、そして回転率を適正にするためにどうするかをジャッジする。当然回転率を上げるには、商品をなくしていく事になる。商品をなくすのは返品するか、値段を下げて売り切るしかない。つまり「在庫」をコントロールするポジションが必要になる。

そこで「売上」を優先させるか、「利益」を優先するか、「在庫」を優先するかを決めるのが経営だ。「売上」を優先させれば「利益」は落ちるし「在庫」は減る。「利益」を優先させれば「売上」は伸びないし「在庫」も減らない。そこをジャッジするのが、経営の一番大事なことだと思う。結局、昔在籍した「ビブレ」は経営危機になり、キャッシュを得るために「売上」を優先し、「在庫」を減らし「利益」を減らした。そして倒産した。

小売業は「売上」「利益」「在庫」をきちんとコントロールできる体制を持った企業しか存続できない。

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雑談➁ 初めて商売をやって感じたこと

お盆時期で、企業発のニュースが少ないので、商売についての個人的な経験を書く。

断片的に何度か書いたことはあるが、商売をやらせてもらえたのは33歳くらいだったと思う。大手GMS(マイカル)にいたので、それまでも当然小売りの基本的なことはやってきた。当時は、マイカルが量販店の業態変更を始めた時期で、関東でその1号店だった高崎店のフロア改装だった。物販では最上階の6階はDCブランドのフロアで、改装オープン時は地域特性もあり3.4番手のDCブランドしか交渉できず、その後は当然売れず退店が続いた。オープン時から催事展開のショップもあり、2.3年で半分くらいは退店した。200坪位の面積は空床だったと思う。当時は本部で開発担当のバイヤーをしており、計画を立案した。50坪位を「ポイント」(現アダストリア)に他のビルから移転してもらい、残り150坪を自主MDでの提案だった。「ポイント」にはマイカル直営からのMD変更要請があり、交渉の末、デニムはリーバイス501のみで他は「アヴィレックス」「アルファ」などブランド中心でのMD展開で出店してもらった。自主売場は、その当時はやり始めたインポートブランド中心で品揃えした。

もう詳しくは覚えてはいないが、自主売場の数字は平均在庫35000千前後、売上年間100000千弱、利益率は25%程度の悲惨な数字だったと思う。内装投資は西武シード館を真似て無理強いをして稟議を通してもらった。完全に在庫過多で月8000千の売上と考えると回転率は月度0.2回転くらいだった。当然のように、値下げ金額も大きく、なおかつインポートブランドの買取商売だったので、大きな赤字売場になった。営業会議でもあきれられていたように思う。ただ量販店なのでブランド商売には口を出しにくかったようだ。ちなみに、隣の「ポイント」は年間2億近くの売上はあったので改装効果としては大きかった。

まだまだ、インポート(ライセンス)ブランドは地方ではあまり取扱いが少なく、当時のメインブランドは後にメジャーブランドになっていく。「ポールスミス」「マーガレットハウエル」「キャサリンハムネット」など。卸での販売になるので、掛け率は厳しく65%の完全買い取りがほとんどだった。インポートデニムも揃えたので在庫は当然膨れる。その後掛け率交渉はしていき下がってはいったが、やはりブランド品揃えでは儲からなかった。高層階でインパクトを与え、商業施設のイメージアップのためと考えるしかなかった。さらに、お客様には最低限「ブランドの世界」は見せなければならないので、ある程度の在庫を抱える必要が出てくる。個人ではなかなかこういう商売はできないし、考えもしない。その後いろんなブランドから品揃えの話はもらったが、あまりブランドを広げることはしなかった。さらに、儲けるために国内のセレクトショップに卸しているMDブランドの取引先とも商売をしたが、ブランドでなければ商売にならなかった。のちに有名になるブランドも多かったが、結局は取引先との信頼関係があり、条件交渉ができなければ成功は難しいと感じた。おそらく、モデル店舗の西武シード館も収益は計上できなかったと思う。ただ、高崎店はこれをやったおかげで、新しいブランドが目を向けてくれるようになり、収益店舗になっていったと思っている。商売はうまくいかなかったが、企業として、商業ビルとしての注目度は上がった。

そしてその当時感じたことは以下の通り。

  • 自分の金では、ブランド商売は絶対にできない。
  • 大企業の社員の商売は小売だけではない。「損」が「得」になることもある。
  • 好調な専門店は、お客様と商品をよく知っている。
  • かっこよく売る。かっこいい商品を売ることは難しい。
  • 個人がやっている専門店のように、商品を大事に売っていく事も重要。

そして今一番感じることは、「資本力ある商売と、資本力ない商売は、根本的に違う。」ということ。つまり、「金(かね)」の意識が全く違う。

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「レイバン」の独占禁止法違反調査

サングラスメーカー「レイバン」が、「再販売価格の拘束」で独占禁止法違反の調査が入った。値引き販売の規制をしたということのようだ。そして今回、公正取引委員会にレイバン日本法人が改善計画を提出した。そういうことは過去数多くあったので、大した記事でもないとスルーしていたが、「レイバン」というブランドが微妙なイメージを持った。

値引き販売の規制は、昔から言わないだけで結構多かった。おそらく販売店が「店をやめる」覚悟で公正取引委員会に訴えたのではないかと思う。販売店がサングラス専門店なら「レイバン」や「オークリー」が店からなくなると商売にはならない。そのブランドで集客しているからだ。つまり、「レイバン」と喧嘩すれば商売ができなくなるのと同じ事になる。ただ、もっとネームバリューが大きくて、強いブランドは世間にはたくさんある。そして「再販売価格の拘束」をしている取引先(ブランド)も、もっとある。

ブランドビジネスで商売している小売業は、非常に弱い立場で、そのブランドがなくなると商売にならない。品揃え店でも当然メインのブランドはあり、そのブランドで集客している面もある。つまり、小売り側もブランドを利用していると言えるかもしれない。ただ、そのブランドのさじ加減で企業は変化する。出店しているSCに、中心ブランドが直営店を出店することもあるかもしれない。商道徳上はありえないことだが、取扱高によっては充分考えられる。企業の尺度が違えば、会社の方向性も違ってくる。実際、そういうことを経験したし、見てきた。

以前、あることで「公性取引委員会に話したい」旨を税理士に話したところ、「先方の大企業もダメージは受けるが、自社もそれによって環境が変わる」と指摘されたことがある。「大」のイメージはマイナスするが、「小」の受けるダメージも大きいということを暗に言われた。

現状の小売業は「取引先対小売業」「小売業での大手対中小」での問題が非常に多い。それが小売業の硬直化につながっている。そこに公正取引委員会が入って調整すべきなのだが、今回の「レイバン」の件のような微妙なブランドの微妙な決着しか表には出てこない。さらに小売業を語る時には「お客様目線」での見方が強く、片方の売買の当事者である取引先や小売業者(特に中小企業)の「当事者目線」にはあまり目を向けていない。つまり、小売業界の風通しは良くない。

本来、取引先と小売業はお互いリスペクとしなければ成長しないし、中小企業が活気づかなければ小売業も硬直する。 あまり具体的に深くは書けないので、この辺で・・・

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イオンモールは不動産業で小売業ではない

ネットを見ていると、今回のイオンモール熊本の事故で、お客様避難終了してから、イオンモール担当者がテナント担当者に「中に入っていい」と言っていたという記事が出ていた。前回も書いたが、少人数のイオンモール担当者が多くのテナント担当者と細かく対応できたとは思えない。防災管理者はおそらくイオンモールのGM(ゼネラルマネージャー)だと思うが、現実的には事故直後は多忙だったはずだ。イオンモール内での疎通ができていたかは疑問だ。

今回のことで浮き彫りになったが、以前からイオンモールのモール全体のマネジメントには疑問を持っていた。イオンモールの主な業務は、大型商業施設イオンモールのプロパティマネジメント(以下PM)になる。PMとは「不動産オーナーから委託を受けて、テナント対応や管理業務を通じて収益の最大化と資産価値向上を図る運営管理業務」ということだ。PM事業をする会社が出てきたとき、その企業の役員で現場にいたので小売業との違いはよくわかるつもりだ。

もともとPMの目的は、請け負った物件をさらに不動産価値を上げ、不動産購入時よりも価値を上げるのが仕事だ。熊本の物件も「イオンリート投資法人」が「みずほリースの子会社」へ売却している。おそらくそこで「イオンリート投資法人」は利益を計上している。現所有者もさらに価値が上がれば高く売りぬく。そういう仕組みになる。ただ現実的に価値を上げる仕事の多くは本部が担っており(改装等での賃料アップなど)、現場は細かいテナントとのやり取りや、PMレポートの作成等に時間を費やされる。つまり小売業としての仕事は多くはない。前回書いたがイオンモールのモール担当者とはモール内で会うことは非常に少なかった。さらに請負業としての仕事でもあるので、企業としては経費面で現場要員は少ないほどいい。

今回熊本の件も、想像ではあるが30名以下のイオンモール要員で、3000人近いテナント従業員を間接的にではあるが管理していることになる。施設管理の旧イオンディライトの要員を合わせても後方管理要員は非常に少ない。そこにひずみが出た。

ではどうすればいいのだろう?小売業と不動産業では絶対に相いれない壁がある。

小売業のお客様は、エンドユーザー(お客様:消費者)であり、不動産業のお客様は施設所有者になる。今までのイオンの商業施設は小売業であるイオンが所有していたのでお客様は消費者だった。不動産業であるイオンモールのお客様は厳密には消費者ではない。この視点に立たなければならない。モールが小売、販売をする場所ならば、小売業者がマネジメントするのが望ましいに決まっている。現状の不動産業のイオンモールは売場が仕事場になっているようには見えない。

そういう意味で、モールはお客様が買い物を楽しむ場所ならば、小売業がマネジメントする方が普通ではなのいか。もともと「ジャスコと100の専門店」のようなSCが大きくなってイオンモールは作られていった。その時は小売業が商業施設を運営していた。つまり、小売業たるイオンリテールが全体を管轄し、小売業としてテナントを管理する。さらにそのエリアのニーズに応じてSCを改装していく。それが本来の姿ではないか?子会社が増え、責任を複雑に絡ませてしまった弊害が今回の事故にもつながっている。

不動産流動化が進み、店舗が「小売業の現場」から「利回りを生む金融商品」に変貌してしまっている。それによって利益は最大化されてきたが、今回の事故のように一番重要な責任が宙に浮いてしまったように感じる。

小売の現場はどうあるべきかを再度考えるべきだと思う。

■今日のBGM

大手小売業と同じ土俵では戦えない

前回、ユニクロの店の業務を書いていて、社員はこの仕事だけで小売業を理解できるのか、売上を求めるだけで小売業を続けられるのかと感じていた。小売業の面白さや厳しさがどれだけわかるのかとも思った。小売業は商品をセレクトすること、作ること、利益をどれだけ上げていけるかということや、企画、演出など商品以外のことなど、現場で売上を上げること以外の面白さもある。そしてそれを阻む要因も多く、それを乗り越えることも大きなキャリアになる。そして、そのすべてが小売業の面白さだと思っている。

調べてみると、ユニクロの新入社員の離職率は3年で50%近く、10年では80%超のようだ。ちなみに大卒初任給は全国転勤可能社員が月度37万円、地域限定社員が28万円となっている。

小売業の面白さの半分も感じない仕事では、長続きしないのは当然だと思う。しかし、よく考えるとユニクロの仕事とその対価設定、個人判断による離職率の高さは、ユニクロとしては当然想定済みのことなのではないかと思った。世界制覇を求める企業として、方向性を同じくする社員が必要で、異を唱える人材は必要がないのかもしれない。さらに小売業の本部機能は小さくて精鋭を揃え、本部決定事項を迅速に現場に伝えることを最優先させるという考え方だ。極論かもしれないが、企業の戦略を理解してステップアップしていく人材を選び、それが無理なスタッフや意見を言うスタッフには離職してもらっていいという考えが根底にある。そしてそれが成功要因の1つなのかもしれない。

そう考えれば、ユニクロの世界的な企業への躍進は充分納得できる。「ZARA」や「H&M」も同様でほぼ単一業態と言える。単一業態であることが企業戦略や役割分担を明確にする。そして、それを迅速に現場に浸透させている。

過去、小売業を立ち上げた時、スタッフには商売の面白さや商売への興味を持ってもらおうと思った。それが中小小売業の成功要因だとも思った。そして、店の個性を出すために店長に仕入れ権限を持たせた。おそらく個人的には、「ユニクロ」や大手アパレル企業よりも面白い仕事をさせていたと思う。仕入れ経験の長い人間は、バランスよく仕入をしてきたが、やはり仕入れ歴が浅い店長は利益計画、在庫計画まで頭が回らない。結局、面白い仕事をさせていたと思っているのは企業の思い込みだったかもしれない。それが店長の働き甲斐になっていたのかもわからない。店長はこんな仕事までしたくないという思いがあったのかもしれない。そしてそれ以前に、現状では中小企業の待遇ではスタッフも集まらない状況になっている。

高齢化の波もあり、商圏人口や、ターゲット客層は大幅に減少する。そうなると商業施設の淘汰も始まる。そうなれば、中小小売業が大企業と戦える環境もなくなる。もう同じ土俵では戦えない。

■今日のBGM

企業力で仕事のやり方が違ってくる

今年の夏の流れは、6月の大失速をカバーするためバーゲンの長期化で取り戻そうとしているが、去年と同様の流れでは6月分のマイナスを引きずるだけの結果になるように見える。事実、店頭を見ていても、ユニクロは値段を下げて夏物処理を急いでいるようだが、対極として無印良品の動きはマイペースで在庫処理が進んでいないように見える。大手はそれなりに機動力があると思うが、他社の動きはどうなのだろうか?おそらく去年ベースで夏物を手配していれば、夏物商品はだぶつく。

ユニクロはICタグとAIを活用してデータ分析し、リアルタイムに商品の消化予測をしている。その商品動向を毎週の「商売検討会」で話し合い、処理の指示を店舗へ一斉配信するようだ。当然レジシステムも連動されている。一般的に販売から4週間後に計画を下回っていれば即座に値下げ対象になる。ユニクロの店サイドの仕事は「売り込む」ことが業務であり、VP(ビジュアルプレゼンテーション)や細かな売場変更などでの売上管理が主業務になる。

少し話はずれるが、大昔の話をする。大昔は、商品についている値札は店で付けていたことが多かった。商品が入荷し、商品管理担当者が検品して、値札がない商品(半分ぐらい)は値付け場所に伝票をはさんで置いていた。その商品に値付けする担当者がいて値札を作り、かぎ針で値段をつけていた。それを売場に持ってきて、売場で値札の裏に品番やアイテム、取引先を書いた。毎日その売れた半券を持って帰り、売れている商品の分析をした。アイテムごとに売れている値段の分析、単品売上数のチェックなど単品管理表を作った。それをもとに追加発注や商品動向から値下げ処理をしていった。

さらに商品の値下げをするときは、値下げの詳細と金額のトータルを記入し、売価還元法で利益計算表を作成し、利益率ダウンを記入、今後の予定仕入額に合わせて期末の利益シミュレーションも作成した。そのシミュレーションを持って値下げ決済をもらった。その決済印を持って値付け担当者に赤札(値下げシール)を作成してもらい、それを値札に貼った。当然決済をもらうときは文句を言われた。今になって考えると、商売の仕組みを教えてもらったように感じる。

現状は、ユニクロ以外の大手小売業でも、一般に上記の値段を下げる作業以外では、入庫時のバーコードスキャンと売上時のレジでのスキャンでPOSデータとして単品管理されている。つまり、単品管理は非常に簡素化されている。当然手計算で行っていた数値管理も、データですぐ出てくる。さらにシステム上は、適正在庫日数を入力すればそれに合わせた、在庫処理の指示も出てくるようだ。ユニクロ式の業務が店の仕事であれば、ずいぶん店の仕事は単純なものに変わってきている。責任の所在が明確であればいいが・・・

では、店は売上だけを求めていけばいいのだろうか?値段の指示を待っていればいいのだろうか?ユニクロのようなシステムがない企業は、店の権限はどうなっているのだろうか?いろんな数値責任が明確でないと、店頭での仕事が混乱する。ここに企業力の差が出る。

ただ、売場を見ていると、大企業ほど販売が仕事で、処分計画や在庫、利益計画には携わってないようにも見える。安定した職業にはなるのかもしれないが、商売として面白いのかなと思ってしまう。

■今日のBGM

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