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アダストリアの向かう方向は?

「グローバルワークを1000億に」という記事が出ていた。具体的には都心部への進出と、既存店の改装増床で500~600㎡の店をモデルにしていくという。

企業の大きさはある意味「売上の規模」になってしまう。2024年度ファッション業界(グルーピングは難しいが)では年間売上3兆を超えた「ユニクロ」を筆頭に、「良品計画」6617億、「しまむら」6350億、「アダストリア」2756億、「ワールド」2023億、「パルグループ」1925億、「オンワード」1896億となっている。「ワールド」や「オンワード」は卸もあり並列するには難しいし、「しまむら」も少し異なる位置づけではある。ただもうすでにあの「ワールド」や「オンワード」よりも「アダストリア」が大きな位置づけにあることは、時代を感じる。

上位に位置している2社はほぼメインブランドを中心に大きくなっている。他のブランドもあるが、「ユニクロ」は“ユニクロ”と“GU”が中心だし、「良品計画」は“無印良品”だ。売上数値を見ていると、いろんなブランドを持っている企業は、一定以上売上規模が大きくなっていない。さらに顧客層を絞り込んで「お客様を選ぶ」企業も規模は拡大していない。「ワールド」や「オンワード」など30代前後からの客層で、客数も減少傾向にある百貨店をメインターゲットにしている企業や、セレクト業態などは大きな売上分母にはなりにくい。同時に社内で競合になりそうなブランドを持つ企業も、ブランドの改廃が進み、売上は大きくならない。

「グローバルワークを1000億に」というのは核になるブランドを作っていくという方向だと思う。同じジーンズカジュアルからスタートした「パルグループ」には現状“3コインズ”という核になるブランドがある。3コインズの売上は2024年度630.6億で“グローバルワーク”の516.7億より大きい。企業内でのウェイトも”3コインズ“は32.7%に対して“グローバルワーク”は18.8%と小さい。両社の利益率は「アダストリア」55.2%に対し「パル」は55.3%。メインブランドの比率のせいか在庫回転率は「アダストリア」は年4.8回転、「パル」は5.9回転。「パルグループ」は“3コインズ”の収益改善を課題には上げているが、営業利益は186.1億とアダストリアとほぼ同額となっている。つまり売上の大きく安定感のあるメインブランドを作ることで企業数値も安定してくることになる。

核になるブランド(ショップ)に言えることは、客層の幅が広いことが必須になる。それは“ユニクロ”や“無印”や“3コインズ”を見ても明らかだ。その意味で“グローバルワーク”の客層の幅をどうやって広げていくのかも大きなポイントになりそうだ。さらにどちらかというと単品量販型の店でなく、着装提案型のイメージが強いのでフル感性に対応させるにも工夫が必要な気がする。さらに店の立地や大きさを標準化させる必要もある。イトーヨーカドーとコラボしている“ファウンドグッド”はあまりスムーズなスタートではないと思う。客層の幅を意識しすぎているように感じる。私見ではあるが高齢者層を70代までにすればファッション感度は変わらず、値段の切り口だけで十分対応できると思う。

私は、アダストリアの福田会長には、「小売業」や「商売のポイント」を教えてもらったと思っている。ここまで企業を大きくしてきたのはすごい努力があったと思う。引き継いだ次の世代が、さらに企業力を高めていくためにはどうしていくべきか、そしてどうしていくのかをじっくり見ていきたい。

まだまだバトンを渡さないかもしれないが・・・

■今日のBGM

専門店の出店場所 ②

今の商業施設を別の角度で分類してみる。嗜好品の比重によって分けてみたい。

最も比重が高いのは、都心部にある百貨店になる。従来の百貨店はもう都心部にしかなく、地方百貨店はこのくくりには入らない。次に都心の専門店中心のビルで駅ビルもこの中に含まれる。ファッションビルがなくなりそのターゲットも取り込むが、ここも都心部に限られてくる。都心以外の地方百貨店で上位ランクのお客様はもう地方では買わず、都心百貨店を利用する。つまり嗜好品を購入する層は大幅に減っている。

RSC(大型モール)は明らかに「ららぽーと」のテナントリーシングが他のモールより上回っている。「ららぽーと」がなく競合が少ない(所謂タヌキが出るような)エリアでは、大型モールの「イオンモール」などが昔の地方百貨店に近い立ち位置になっている。

その他のRSCは従来のGMSやSMと同様、食品と日用品など買い廻り品のニーズが高い客層になっている。RSCのSMの内容次第では強い個性を持つSMより集客力がなく、RSCの吸引力も弱まってきている。RSC内のGMS(例えばイオンモールのイオン)は差別化の要素もすでになくなっているように感じる。

つまり、嗜好品を求める客層は大幅に減り、デイリーユースの客層が大幅に増えている状況にある。

衣料品や生活雑貨の専門店の中には、近年SCの集客に頼らず自社のMDだけで売上を確保できる自信を持った専門店が多く出てきている。つまり、「ルミネ」でなくてもいいし「ららぽーと」でなくてもいい。その商業施設のターゲットでなくても、自社の商品が好きで来店してくれる顧客だけで商売できる、マイペースで出店を考える専門店が増えてきている。

「ユニクロ」は駅ビルの高層階の出店にメリットを感じなければ、駅周辺の路面店に出していくし、「無印」も近年はRSCの一角で規模感が合わなければ、自分の世界観が出せる場所で出店する。特に近年は両社とも「生活感のある顧客層」へもアプローチしている。もともとターゲットがフル客層だし、嗜好品の比重もない。そしてお客様を選ばない。そうなれば、来店頻度が高くデイリー性の高い商材が多いSMなどと共存することも、立地条件の高い都心部への出店と同様のメリットも出てくる。

RSCは一部の施設を除いては、狭商圏化している。駐車規模などのメリットは当然大きいが、利便性は低い。RSC出現まで中心だったGMSなどは、立地と大きさで再注目されるように感じる。リニュアルコストを抑えて、さらに前述してきたような生活感あるテナントミキシングができれば(必ずしもSCでなくてもいい。フリースタンディングでもいい。)十分に活性化できるように思う。そしてそうなれば、そこは、従来のいろんなSCへの出店より、魅力があるように感じる。

「ユニクロ」や「無印」さらに「ニトリ」などがRSCから消えれば、さらにRSCの魅力は弱くなる。そういった客層の幅が広いデイリーユースのテナントを呼び込めれば、RSCよりCSCのほうが魅力的になる。

専門店の出店場所は変化してくる。専門店は現状の既存店の動向に加えて、新規出店の状況を慎重に見定める必要がある。

■今日のBGM

専門店の出店場所 ①

「小売業はお客様を見て品揃えするのか、コンセプトを貫いて品揃えするのか」という内容でブログを書いていたのだが、出店する場所によってやはりMDも経費率も変わってくるので文章が止まってしまった。少し出店する商業施設の変化についてまとめてみたい。

まず、駅ビルか郊外の商業施設か路面店に分けて考える。

駅ビルは大都市か地方の中心都市しか売上は望めないだろう。2023年の売上データでは梅田ルクア883億、相鉄ジョイナス643億、JR博多598億、ルミネ新宿473億、エスト472億など大都市の駅ビルが上位を占めている。当然乗降客が多く、中心地にあるので賃料は高い。通勤客が多いのでキャリア層狙いとなる。そうなると出店するショップは大手アパレル系の直営出店や大手専門店が中心になる。出店コストも高いのでなかなか中小の専門店の出店は厳しく、出店ができても郊外都市の駅ビルしか想定できない。

路面店は大都市の都市部ではお客様が流れるが、郊外に行けばフリー客は少なくなる。わざわざ来店してもらえるような商品の品揃えでなければ、間違いなく成り立たない。さらに店舗イメージを上げなければならないので、内装や什器には金がかかる。近年は幹線道路沿いに、ユーズド系の大型店舗も見られる。

郊外の商業施設は敷地面積5万坪以上のRSC(リージョナルSC)と1.5万坪~5万坪までのCSC(コミュニティSC)、それ以下のNSC(ネイバーフッドSC)に分類される。近年出店が多いイオンモールやららぽーとがRSCに分類され、昔のGMSがCSC、スーパーマーケットを中心にしたSCをNSCと考えればわかりやすい。イオンモールは公式に売上を発表してないが、ららぽーとの2023年度売上では、ラゾーナ川崎883億、東京ベイ628億、エキスポシティ519億、富士見514億、豊洲488億と大きな売上になっている。イオンモールはレイクタウンを別として近年500億以上の施設はほぼないか、少なくなってきていると思う。現状専門店の主な出店場所はここになる。ただ食品以外のイオンのGMSに魅力がなくなっており、さらにモール出店過多エリアでは2階、3階の空床が多くなっている。ターゲットが合えば出店交渉も進みやすいのではないだろうか?それでもあるレベルの出店費用は必要になる。

現状、イトーヨーカドーや西友の売却などがあるGMSはもう成り立ってはいない。建物も老朽化している。逆にSMは生活必需品であり各社しのぎを削っている。出店も多くなっている。つまり、CSCの衰退とNSCの活性化が現状では進んでいる。ただ数多くのCSCは既存のGMSで残っており、今後どんどん改廃が進んでいくと思われる。

このブログでも書いているが、近年、RSCは出店過多で本来の商圏(車30分圏)内に競合SCが乱立しており、各モールのショップMDも大きな変化がないため、完全に狭商圏化している。所謂RSCのCSC化を感じている。逆に現状のCSCの改廃を進めれば、中途半端なRSC並みの売上は十分可能なのではないかと感じる。さらに活性化してきているNSCはその近辺に大型専門店を呼び込むことで大きな商業集積にもなっていく。

近年少しずつ商業施設の変化が出てきており、今後の小売専門店の出店場所も変わっていきそうな気がする。

■今日のDVD

M&Aはどんどん増えるが・・・

先日の日経新聞に「外食出店計画下振れ」という記事がトップ記事として掲載されていた。吉野家の出店計画は今期半減、丸亀製麺のトリドールは当初計画の45%減の見通しになっているようだ。建築費の高騰(5年前より51%上昇)や人手不足、賃料のアップなどが原因となっている。飲食は小売業と比べて給排水設備等のコストもあり、建築コストが高く、さらに建築業界の人手不足も後押しをしているようだ。さらにオープン後の人件費、食材費も高騰しており出店計画そのもののコストも大幅に上がっているという。

小売大手の出店状況を簡単に調べてみた。ユニクロはここ数年新規出店数が少なく、移設や増床が増えている状況で今期も現状5店舗出店で、過去2年はマイナスの状況となっている。出店が増えているのは、以前にも出店増を書いた無印良品や、CSCやNSCに出店が多い西松屋があげられる。ABCマートも出店は多いが今年度は少しペースダウンしているようだ。その他ではパルの「3コインズ」中心の雑貨関連の出店は多い。上場企業で目立つのはそれくらいの企業で、ジーンズやスーツといった厳しい業態は当然退店数が多いし、この3~4年はワールドなど大手上場アパレルの退店が非常に増えている。おそらく今後もこの流れが続いていくと思う。

先日、小売オーナーの友人と話していたが、やはり出店の引き合いは非常に多くなっているようだ。ただ資金繰りが厳しくなっており、すぐには決断できないのが現状とも言っていた。内装コストも飲食と同様に資材や、人件費高騰もあり出店のハードルは高くなっている。

オープンへの諸経費も高騰しているが、さらに厳しい状況にあるのが人材の確保だと思う。小売業や飲食に興味を持って前向きに仕事を考えるスタッフが増えていくとは思えない。立ち仕事で土日勤務も避けにくい職業は敬遠されつつある。さらに給与などの待遇面では他業種に比べて上昇カーブも遅い。

上場企業として収益を上げていく上で、規模の拡大は第1の手法になる。特に小売、飲食業は規模を大きくすることで、いろんなコストを引き下げる手法は出てくる。上記した拡大戦略への弊害は、経営上大きな痛手になる。そして、中小の企業は、人材難やコスト上昇で現状数字の確保も難しくなってきており、当然経営は厳しくなってくる。さらに経営コストを削減するための多店化もできなくなっている。そういう社会環境の下で「M&A」が増えてくるのは当然の状況だと思う。

「M&A」がどういう結果をもたらすのかは、経営数字だけでなく多方面で検討する必要はある。私も「M&A」で会社を譲渡した。当然いろいろ思うことはある。いまだにそれが正解だったかはわからない。知人には一度手放して、また買い戻した社長もいる。その人は非常に優秀で立派な人だけど、今はそれで納得しているかはわからない。全く違う社風になってなじめないスタッフもいるかもしれない。昔在籍していたマイカルも会社更生法でイオン傘下となったが、社風の違いで精神的に厳しくなった社員も多かったと聞いた。

今後も「M&A」は急激に増えていくと思う。小売業や飲食業の現状の環境下では避けられない。ただ逆に、新しく出てくる企業を成長させていく環境づくりは、それ以上に必要になる。

・・・「M&A」経験者としての感想は、またいつか書きます。

■今日のBGM

大型モール(RSC)の寿命 2

前回、標題について少し納得いかない気持ちで書いていた。大型モール(RSC)が多すぎるということが大前提ではあるが、理想のテナントゾーニングも大きく変化があるのかもしれない。「ファッションビルがなくなりつつある」のブログの中で年齢別人口について書いているが、その構造は大きく変化しており、客層の変化がRSCの寿命にも影響があるのではないかと考えられる。

RSCの開発が進みだした2000年と一昨年2023年の年齢別人口を見てみる。(単位:万)

0~14才 2000年 1850 構成比14.6   2023年 1417 構成比11.4:

15~29才 2000年 2575 構成比20.3   2023年 1821 構成比14.6

30~49才 2000年 3366 構成比26.5   2023年 3031 構成比24.4

50~64才 2000年 2696 構成比21.2   2023年 2544 構成比20.5

65才以上 2000年 2204 構成比17.4   2023年 3623 構成比29.1

まず顕著なところでは65才以上(所謂年金世代)の人口を見ると、2023年は2000年の人口が164.4%と増加し、人口構成比も大きく上昇している。ちなみに2023年最も多い年代層は65才以上で、2000年に最も多い年代層は30~49才となっている。人口構成比も2000年はRSCでのメインターゲットの30~49才を中心にきれいに分布されているが、2023年は高年齢層に引っ張られている。つまり、2000年は本来の「お母さんと子供たち」だったのが「おばあちゃんとお母さん」に変わったというイメージがある。

29才までのヤング層は総人口も73.2%まで落ち込み、特にRSCでの購買動向も弱いのでティーンズヤングターゲットの店舗は当然厳しくなる。そうなると高年齢層が大幅に増えている現状、可処分所得は間違いなく減ってきており、値段を打ち出していく商売は当然のように増えるし、そこが集客のポイントになる。食品以外では高年齢者でも違和感ないファッションで値段志向も強い店舗が賑わう。今売れているRSC内の大型店はすべて当てはまる。

高年齢層が増えると、車での来店手段も減っていく。つまり、商圏は当然狭くなり、買い上げ点数も減ってくる。さらに所得も減るので実需品へ流れが強くなる。本来RSCが求める広域商圏で時間消費型ではなくなってくる。

では今後SCの流れはどうなるのだろうか?所得が減っていく高年齢層も取り込めるSCに流れていくような気がする。当然商圏は小さくなる。従来のGMSなどの立地でMDを変えていったコミュニティSC(CSC)や食品SM中心のネイバーフットSC(NSC)が再度活性化する気がする。消え行くGMSは画一的なレイアウトで効率を考えた売場に魅力を感じなくなっただけだと思う。価格志向のSMは媒体でも多く取り上げられている。衣料品でも「ユニクロ」「GU」は人気だし「しまむら」や「西松屋」などの大型店も好調を続けている。「ニトリ」や「無印良品」などの生活関連の大型店も業績はいい。そういったテナントをうまくミックスすれば高年齢化にも対応できるように思う。

大型モールはあまりにも乱立しすぎている。RSCの周りにCSCやNSCがあることが、本来のあるべき姿だと思う。各大手小売業も収益構造が変化している。多すぎるRSCをどう変えていくかが企業としても大きな問題になってくると感じる。

■今日のBGM

大型モール(RSC)の寿命

近隣でもあり、営業状況が厳しそうな「イオンモール川口前川」の退店店舗が非常に多い。HPを確認すると大型店舗の「GAP」や「須原屋書店」をはじめ「バナナリパブリック」「ロデオクラウン」「アクシーズファム」「ヨギボー」など17店舗となっている。各テナントとの契約満了時期とも考えられるので2月度もさらに増えそうな気配はある。

日本のRSC(大型モール)は1981年に三井不動産が「ららぽーと船橋」を開業したのがスタートだと言われている。ただ、その後のららぽーとは2004年の「ららぽーと甲子園」までRSCを作っていない。私は、その後イオン(ジャスコ)と三菱商事とで設立されたデベロッパーの「ダイヤモンドシティ」が日本の大型モール(RSC)の基礎を築いたと思っている。今はイオングループでイオンモール(AM)となっているが、その最初のRSCがダイヤモンドシティ「キャラ」(現AM川口前川)である。イオンも単体で1999年にAM倉敷,2000年にAM成田、岡崎、高知をオープンさせているが、RSCとしての考え方は、その当時いろんな打ち合わせをした経験から、「ダイヤモンドシティ」があるべき姿を追求していたと思っている。

AM川口前川もすでにオープンから25年を経過しようとしており、建物自体の老朽化が感じられ、さらに増床を重ねてきた売場の使いにくさも顕著になってきている。そして従来想定された商圏にいろんな商業施設が出てきており、競合が激化している。致命的だったのは1.5Km圏に売り場面積5.9万㎡のAM川口がオープンしたことだと思う。もともとあった小型SCを増床させ2500台の駐車台数、150店舗でさらにAM川口前川にないシネマもある。AM川口は必ずしも成功しているとは思えないがAM川口前川には大きなダメージはあったと思う。さらに5Km圏にはアリオ川口、AM北戸田、10Km圏にAM浦和美園、新都心コクーン、15Km圏にAM与野などの大型競合施設があり、20Kmまで広げると越谷レイクタウンやららぽーと富士見など国内最大級の商業施設がある。すべてAM川口前川の後発であり、商圏がどんどん狭められている。さらにテナントMDも苦しんでおり、狭商圏化と老朽化で、新しく買いやすくなった他のRSCに流れてしまっている。そのため厳しくなったRSCの特徴の「その他、サービス」業種のテナントがどんどん増えていっている。

RSCの創成期から見ているが、RSCの寿命は30年くらいのような気がする。特に日本では中心になるイオンモールの劣化が目に付く。2000年代前半にオープンし好調だったイオンモールは、もうピークの7掛け以下の売上になっていると思う。近年は、規模に走っているのか出店数が多く、AM同士のバッティングも多くみられる。上記したAM川口前川の20km圏でもAMでの競合が4SCもある。2核1モールでほぼ似たような構造であり、MDも大きな変化はない。変化のないMDには安定感はあるが、新鮮なイメージは見えない。「ららぽーと」が新鮮に見えるのは、SCの環境コストも高く、MDも新鮮味があるからだ。そのため、商圏内にあるAMとの差別化が明確になっている。(出店計画は意図的にかどうかわからないがAMより少ない。)つまりAMは、MDも標準化されており、環境レベルも同様で面白みがなくなっている。前述した「ダイヤモンドシティ」にはMDや環境にも冒険的なことや面白さがあったような気がする。デベロッパーという意識が強く、小売業とは違う感性が見えたということかもしれない。「ららぽーと」もやはり同じ匂いはする。

GMSもそうだが「利益」に走るあまり、面白みがなくなっていく。冒険にはリスクが伴う。リスクを持つ反面、鮮度はあがる。余談になるが、以前絶好調だった関西のあるAMのGM(支配人)に出店依頼した時に「このAMは梅田のルクアと同じくらいの売上ですよ。」と全く相手にされなかったことを思い出す。その同時期に西宮ガーデンズの部長は店を見に来てくれた。出店はかなわなかったが姿勢の違いは感じた。

RSCは間違いなく衰退期に入っている。もう一度新しいものを作り出していく気持ち、今あるべき理想の商業施設を作り出す熱意を持たないと、どんどん寿命は縮まる。

イオンモールからイオンのGMSを追い出すくらいの気概は欲しい。

■今日のBGM

なくなりつつあるファッションビル

「心斎橋オーパが閉店」との記事があった。「心斎橋オーパ」は大阪御堂筋沿いにあり「オーパ」のフラッグシップ店舗だと思う。ファッションビルと呼ばれる10~20代をメインターゲットにしてきた商業施設はどんどん姿を消している。

ファッションビルを調べてみると、「衣類や雑貨などファッション関連を取り扱う専門店を主なテナントとするショッピングセンターの一種」とある。近年はターミナル駅にある駅ビルもそのカテゴリーに入っている。諸説あるがファッションビルは西武グループが池袋でスタートさせたと言われている。特に渋谷カルチャーを作った、パルコパート1、2,3、クワトロの4館体制は、街づくりや、ファッショントレンド、若者文化を発信していった。1980年代には「デザイナー&キャラクターブランド」(俗にいうDCブランド)ブームが起こり「ラフォーレ」や「マルイ」を中心に広がっていった。1990年代からは「ギャルブーム」が始まり「渋谷109」は聖地になっていった。

グループでいうと前述した「パルコ」が現在でも一番存在感はある。ネットで見ると現状16店舗(松本が閉店で15になる)となっている。それでも閉店した店も多く、上述した渋谷も3店なくなり、宇都宮や千葉など10店舗程なくなっている。イオン系では「オーパ」が14店舗(心斎橋が閉店で13になる)。オーパもネット上では8店舗程閉店している。同じくイオン系では「フォーラス」は金沢1店舗になっており、好調だった仙台を中心に「オーパ」への業態変更もあり6店舗なくなっている。「ビブレ」は23店舗あったが(東北の別会社を含めると31店)イオングループ下でフォーラス同様「オーパ」への業態変更もあり現状2店舗となっている。かつては各主要都市に必ず1つはファッションビルが存在していた。

20代中心にファッション動向が変化したのだろうか?まずターゲット年令層が大きく減っている。年代層別人口を調べると1995年は15才~29才までの人口が27241(千人)で全体構成比では21.6%を占めていた。それが2023年には人口は18209(千人)で構成比は14.6%まで大きく減ってきている。対象の人口は66.8%まで下がっている。単純にその世代でファッションに興味を持つ比率が同じだとしても、おそらく購買客数は70%以下になっている。

さらにZ世代(2000年前後生まれ)の調査では「ブランドを意識しない」割合が70%超というデータもある。そしてファッションについてはデザイナーブランドのチェックも欠かさないが、購入店舗の上位は「ザラ」「ユニクロ」「GU」「セカンドストリート」となっており、さらに通販のウェイトも上がっている。少し古いが2014年の消費者庁の若者の消費動向調査では、30才未満の1カ月当たりの洋服の平均支出額は1999年度男性5338円女性9345円が、2014年男性2201円女性5081円とほぼ半減するほど大きく下落している。

ターゲット人数が大きく減少し、さらにファッションへの購入金額が減っていく流れの中では当然ファッションビルは成り立ってはいかない。

何とか現状も数字を確保しているファッションビルもある。百貨店と連動してインバウンド客に向けたブランドも展開している「心斎橋パルコ」や大都市ターミナルの駅ビルの「ルミネ」や「アトレ」などは順調な流れのようだ。つまり大きな商圏を持っていることとその立地環境に左右されており、MDそのものよりそれ以外の集客環境のウェイトが高くなっているように感じる。

もう間違いなく、大都市圏以外ではファッションだけで集客できる商業施設は成り立っていない。

■今日のBGM

好調続ける専門店とその変化

昨年12月の各社数値が発表されている。全体的にはまずまずの数字で量販期を乗り切っている。引き続き各社好不調ははっきりしているが、カテゴリーは違うが「ユニクロ」「無印良品」(以下無印)、「ABCマート」(以下ABC)「ユナイテッドアローズ」(以下UA)が常に安定して大きく伸ばしてきている。その中でも「ユニクロ」と「無印」は少しずつ立ち位置が変わってきているように感じる。

セレクト業態の「UA」を除くと、ここ20年の流れに乗って郊外大型モール(RSC)に出店を重ね、その成長と共に大きく数字を伸ばしてきた。「UA」もRSCへの業態も作り、環境が合いそうなSCへは参入している。ただ近年「ユニクロ」と「無印」は出店についての動きが変わってきているように見える。

最も変化が見られるのは「無印」で、出店場所は全くRSCにはこだわらなくなってきている。昨年11月の出店は14店舗で大型RSCと思える出店は0、10月の出店は5店舗で同じく0、9月の出店は9店舗で同じく0と、CSCやNSCには出店はあるがRSCには出店していない。逆に路面店への出店も多い。展開アイテムも多く日用雑貨の観点で600坪前後の路面店も含めて出店を進めているようだ。

「ユニクロ」の出退店の国内データを見ると、2023年8月度決算では出店34、退店43、2024年8月度決算では出店37、退店40、今年度は4か月で出店15、退店10となっている。国内ユニクロ事業は全体の売上の30%に過ぎず、現状の800店舗近い店を飽和状況とみているのかもしれない。店舗の増床含めた場所移動は多く見られる。

「ユニクロ」「無印」ともに、モールでのテナントゾーニングによる出店環境や、他テナントとの相乗効果をあまり意識しないようになっている。つまり他店舗からのプラス効果より自社独自での立ち位置を優先しているように見える。当然大きな集客要素を持つRSCに関しては前向きに取り組んではいる。ただ、モールとの契約では高くなりがちな賃料(それでも低歩率)、基準面積より小さな区画提案、短い契約年数などがあり、それ以上の好条件の場所へ出店するメリットを十分意識し始めているようだ。現実にRSCの大型物件から退店して、近隣に出店する「ユニクロ」は多数ある。そういう意味で、出店条件のハードルが低いCSCやNSCへの出店や、契約年数をあまり意識せず「根を張る」商売をしていける路面大型店への取り組みが増えていっている。

モール側のテナントリーシングとしては、メインフロアにできるだけプレステージの高いテナントを出店させたい。そして上層フロアの核に集客要素の高い大型店を誘致したいと考える。つまり低層階にモデレートな大きい売場をリーシングすると上層階へのリーシングに苦しむ。さらにSCのグレード感を出しづらい。そして現状、それを許容していることがRSCの不振の原因にもなっている。さらにRSCの出店過多もあり、テナント側もよりいい立地への出店を望むようになっている。そういう環境下での好調2社の動きがある。

「ユニクロ」「無印」の決算数字を見ると、海外事業の数字が大きく、さらに数字の計上方法の変化もありそうで一概には判断できないが、大型化によって在庫回転率は低くなっている。特に「無印」は業種が混在しているせいか、年間2.1回転位の数字で、「利益率に走っている」感はある。ただ会社の、「根を張る商売」への方向性は明確になっている。

上記した好調4社はSCの集客を担う上で、重要なテナントになる。「ABC」も売り場拡大を続けており、以前経営していた会社のショップも「ABC」拡大のあおりで店舗移動の依頼を受け、好調店だったが退店した経緯もある(おそらくデベロッパーは賃料ダウンになったと思うが・・・)。「UA」も主戦場は違うが、RSCでの売り上げも小さくはない。「UA」でのミッドトレンドマーケット(グリーンレーベルなど)の2024年の売上構成比は、単体売上高の28%と大きな数字になっている。

この好調小売各社の出店動向は、今後の大型モール(RSC)の流れに大きな影響を及ぼすと思う。

■今日のBGM

GMSが勝てない理由を今頃気づいた

イオンの第3四半期の決算が発表された。連結決算では第3四半期までの累計で最終損益が156億の赤字で、前年同期の183億の黒字から大きく下回っている。営業利益に関しては主力事業ではGMS事業のみ192億の赤字であり、さらに前年よりも-177億と厳しい数字になっている。

やはり課題はGMS事業だが、一般的な目で見ている記者のコメントで「GMSの食品以外はユニクロやニトリなどの専門店で十分まかなえる」とあった。常にそれを指摘して、「GMSはなくなる」と言っているのだが、今更だけど専門店に勝てない理由がやっとわかった。社員のモチベーションと社内環境の違いだ。

GMSに入社してサラリーマンとしての目標は何だろうか?私自身もそうだったがある程度経験を積めば、まず店長職をめざす。当然売場責任者で数字を上げていくことが最初の仕事だが、そのまま商品のプロに進んでいく人は非常に少ない。食品は特に生鮮においては技術も必要で、その分野でプロになっていくこともあるが、衣料品や生活関連品の担当はずっとその仕事を続けることは非常に少ない。衣料品であれば売場責任者で数店舗勤務し、次のステップでバイヤーとして商品部に配属されるか、店での複数売場をマネジメントするポジションになる。バイヤーになっても商品部長を次のステップにはできない。商品部長へのステップとしても、やはり店長職の経験が必要で、店長を経験しなければ部長職にはなれなかったと記憶する。私の経験上、GMSでは店長を経験して営業関連、商品関連、人事管理関連へ異動していったと思う。つまり商品が好きで、商品一筋の人はほぼ皆無だと言える。

私自身も売場を5店舗6年経験し、その後商品部に5年在籍した。商品は楽しかったし、いろんな経験もした。ある専門店のオーナーに、小さな店だったが「違うことするから、店をあげる。」と言われたこともあった。(その後そこで売っていたブランドが大人気になって数億の売上の店になった。)だが、その後営業企画のポジションに異動になり商品とは離れていった。

つまり、商品を売りたくて、そして商品を作りたいという気持ちで入社してくる専門店の社員とは、まず立ち位置が違っている。会社のジョブローテーションも違ってくる。専門店の社員はどの商品が売れるか、どうやって売るか、レイアウトはどうするか等、売るために何が必要かを考えて仕事をし続ける。ステップとして仕事をするGMSの社員では絶対勝てない。

イオンなどGMSも商品供給の別会社を作ってはいるが、あくまでも形式的なものが多く、単なるモチベーションを変えるだけのものが多い。そしてその会社の従業員も形式的に組織に組み込まれるケースが多く、商品に対して前向きなモチベーションを持って仕事に従事してはいないと思う。さらに、取引先はまだまだ従来のGMSへの卸取引先が多く(衣料関係は名古屋、岐阜)その流れでMDを組み立てており、SPA型の専門店の商品量とコスト、販売力に完全に負けている。つまりモチベーションと取り組み方に大きな差が出ている。

今まで量販店が、なぜ本気で「ユニクロ」や「無印」(もともとはGMSの西友が開発したが・・・)を作れなかったのかと思っていたが、従業員のモチベーションと企業風土が違うからだった。今頃気づいたのかと言われそうだが、この立ち位置の差は大きい。

やっぱり、GMSは専門店に絶対に勝てない。

■今日のBGM

感覚よりも数字

「消費者の2極化」「中間層の減少」などと軽々しく書いているけど、現実的にはどうなのだろうか?小売業の現状のデータ以外にどんなデータがあるのだろうか?どうも感覚で言っているようで、現実的にはなかなかはっきりしない。ちょっと、いろいろ思いついたことを調べてみた。

以下羅列する。

・レクサスの2023年の国内販売台数は前年229%で2024年度も増加傾向で10万台を超える。

・大手企業の2024年の定期昇給+ベースアップは5.58%で33年ぶりの高水準、中小企業も4.42%で32年ぶりの高水準。

・JTBによると、今年の年末年始海外旅行渡航人数は前年113%、費用は106.6%、旅行消費額は120.6%。

・世帯所得は2013年528.9万、2020年564.3万、2022年524.2万。高齢者以外の世帯所得は2013年615.2万、2022年651.1万。

・人口構成比65才以上1950年4.9%、2023年29.1%。65才以上:15~64歳、1950年12.1:1,2022年2:1。

・Z世代(15~24才)のブランド志向データ:ブランド意識しない70%。

ちょっと意図的な方向で調べたのだが、結論は人口構造の変化に尽きるということだと思う。年金中心の高齢者が増えたことで、2極化のイメージが強くなっているということだ。現役世代は、高齢者が少なかった時と同様かそれ以上の生活水準になっている。ただし購買ニーズには変化がある。テレビで、物価が高いとか生活が厳しいと言っているのはほとんどが高齢者で、現役時より収入が減っているので当然のことだ。しかし、その高齢者層が増えていることが大きな変化で、全体の流れが大きく変わってしまっている。そこに若年層のブランド離れも併せて、価格志向になっているということだと感じる。

話は突然変わるが、ヤオコーの社長が年末記者会見の記事で、以下のように述べている。

・現状1Km商圏シェアは17~18%。商圏シェアを分析して低い店より高い店をどうするかが課題。

・都心20Kmに出店したが、通常店の6割位の面積でも通常MDを凝縮すれば十分戦える。

・都心20Km以内には大きな商圏があり、さらに売場を小さくしたときに自社の強みを出せるかが課題。

・品揃えの強みは現状19のセグメント、特に10の主要セグメントを細かくチェックして品揃えを決めていること。

等々・・・

うまくまとめきれないが、数値データをもとに方向性を語っている。

企業は大きくなると、トップや上層部は、現実的なことは語らず、言っていることが抽象的になる。なかなか身近な数字で語らない。それを理解して指示するのが中間管理職かもしれないが、そうなると受け取り方で内容が変わることが多い。ヤオコーの社長のように数字で話せば、理解しやすい。実はこの記者会見の記事を見てこのブログを書こうと思った。

小売業は、とかく「感性」や「ロマン」を語りがちになる。スタートアップ時はそれでいいが、企業が動き始めると、仕事への取り組みや、結果には常に「数字」が付いて回る。数字で語れる経営者がいる会社は数字意識が高いはずで、間違いなく成長し続けることができると思う。

■今日のBGM

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