カテゴリー: 経営管理 (3ページ目 (5ページ中))

厳しさが増しそうな年

年明けから能登地震や空港事故もあり、あまり明るい年明けではないが、年末年始の商戦はどんな流れなのだろうか?年末にいくつかのSCに足を運んだが、バーゲンに入ったという印象はあまり感じなかった。年末に悲観的なことを書いたのでこの流れで小売業はどうすればいいか考えたい。もし会社を続けていたらどうしていただろうか?

一番大きなことは人事面をどう変えていくかだと思う。

小売業や飲食業は所謂労働集約型産業で、世の中の「働き方改革」の流れになかなか乗り切れずにいる。つまり働く人が集まらなければ成り立たない産業で、さらに立ち仕事で土日は休みづらい。ちょっと逸れるが、国が推奨することは、「働き方改革」だけでなく日本中に1%しかない大企業に向けたもののような気がする。それをすべての企業で取り組むことは無理がある。パブリシティ効果による「働き方」については世間の注目度は高く、ますます小売業に働く人が集まらないようになっている。小売業の中では「品出し」「検品」「レジ業務」など、まだ作業計画がわかりやすい仕事はそれでも給与を上げることによって集まるが、「接客」「演出」などなかなか具体的作業が見えにくい仕事には集まりにくい。

まず、どうやったら小売業に人(販売員)は集めることができるか?集まらない原因は何だろうか?大きな原因は土日の休みづらさにある。お盆や年末年始も同様のことがいえる。私たちが入社した時はそれを十分に理解していた。ただ今の労働環境からみると大きな障壁になっている。

まず、給与規定を変更して日曜は月2日休むことを恒常化し、さらに「日曜手当」として日祭日は出勤日数に応じて手当をつければどうだろう。日祭日に働くことがマイナスではなくプラスに感じる労働条件に変えてみる。それによって結果的に少しでも給与を上げていくことができる。

次に必要なのは、社員の視野を広げることだと思う。小売業の社員は「売ること」が使命で、「売ること」により会社がどう変わっていくかがあまり見えてない。「売ること」の楽しさ以外に会社としての仕組みや、商売のやり方についての理論が理解できていない。これが理解できないから先が見えてこない。

社員教育を重点項目にする。「会社が目指すもの」を意識させる。さらに商業理論を簡単に教える。そして問題解決への手順も全員で話し合う。会社が目指すものとは会社の理念のことだ。この会社はどういう目的で作られたかを理解させる。これは全員で意思統一すべきことだと思う。

さらに商売の仕組みを考えさせる。金の流れや、利益の仕組み、一般的に言われている商売のポイントを理解させる。「売り上げ」や「利益率」だけでない商売の仕組みをわからせる。私自身もイオンの「経営者研修?」で漠然としていたものがはっきりした。損益計算書だけでなく貸借対照表にも目が行くようになった。

最後に評価基準をわかりやすく全員に示すことだと思う。業績評価でいいと思うが、その評価基準の再設定と、個人計画の提出とそのフィードバックを明確にする。

厳しくなりそうな時期だから、一度徹底すべきこともある。モチベーションを上げることも必要だ。こういう時期だからこそ人事面の見直しが最も必要だと思う。

■今日のBGM(自分にとっての音楽の原点)

ブランドの持続力

ヤフーニュースで「サマンサタバサ」の記事が出ていた。状況は非常に悪いといろんなところで書かれているが、そもそもティーンズヤング対応のブランドは長持ちしない。何度も書いてきたが、お客様は年をとり、ファッションの流れも変わるからだ。

ファッション業界でブランドはどれくらい持続するのか?30~40年前のDCブランドで残っているブランドはほんとに少ない。ビギもニコルももう会社自体が別のものになっているし、あれだけ売れたコムサも今は見かけない。残っているのはクリエイター系でノンエイジ志向が強かったブランドくらいだと思う。ギャルソンやそこから続くデザイナーブランドや一度は倒産したがヨウジヤマモトやケンゾーなど。あとは年代層を広げたブランドが百貨店中心にシフトして続いている。

ティーンズ寄りのブランドの賞味期間はさらに短い。あっという間に落ち込んだストライプインターナショナルの各ブランドもそうだし(もうティーンズ系ではない?)サマンサタバサもその部類に入る。多感な時期で流れがすぐ変わる。それを前提に会社はどう動いていくことが必要だと思う。

もう一つ記事で指摘していた「中流層中心のMDの失敗」はまさにその通りだと思う。完全に2極化が進んでいると思うし、中流層ターゲットにすれば逆に2極化の流れでは「どの層も支持しない。」が正論だ。

ブランドビジネスは難しい。生き残っているブランドには何か「成功の鍵」(KFS)がある。クリエイター系だけでなく百貨店客層をターゲットにシフトしたブランドは続いている。さらに量販店でも販売員付きコーナーブランドは、周りのスタッフの少なさの中、接客面で優位に立ち数字を維持しているとも聞く。企業としては客層の幅を広げるべくブランド数やショップ名を増やして維持していっていくか、深く掘り下げていってコアの客層に向けていくしかない。

サマンサタバサはある意味予測されていた事態で、前オーナーはうまく手放したし、コナカのM&Aの失敗ということになる。なぜ買収したのだろう?最近ではマッシュグループもM&Aされたが、複数のブランドがあり、持っている他のブランドの客層の幅も広いが牽引してきた「ジェラードピケ」はおそらく失速すると思う。今後の動向は要チェックかもしれない。

ティーンズはすぐにヤングに、ヤングはすぐにヤングミセスに、ヤングミセスはすぐにミセスになる。ターゲットを固定していれば当然新しい客を取り組まなければならない。ティーンズヤングは感性が時代ごとに変化しさらに細分化していく。当たれば大きいが、その分消えるのも早い。

ブランドは「誰に売るのか?」「その顧客の特性は?」「ブランドにとってメリットのある市場の定義は?(例えば機能性なのか、ファッション性なのか?デイリーなのかビジネスなのかなど)」「その市場規模は?」を十分に吟味することが必要で、さらに途中での顧客動向の変化を素早く見極めることが必要だ。

■今日のBGM

商品の値段はだれが決める?

商品の値段の下げるタイミングが変わってきたような気がする。季節感も変わってきているので春、夏、秋、冬での値下げもしにくくなってきた。この頃は「全品20%オフ」とか雑な値段の下げ方が多いような気がする。

量販店にいた時は、本部からの指示があり値段を下げていた。主に販促(周年祭、創業祭、感謝祭など)によるセールスチャンスのタイミングでの値下げだった。今はできなくなったが消し札によるセール商材も入荷していた。(取引先の不稼働をまとめて買ったもの。)その当時でもイトーヨーカドーはデータ管理をしていて、ディストリビューター(DB)が商品の売価変更の指示を出していたと聞く。

ブランドビジネスをやっていた時は、完全に年2回しかセールをしなかった。たとえ買取契約であってもその時期以外のセールはできなかった。数年はセールで完売してうまく商品が入れ替わった。その時はブランドへのこだわりが強く、ブームとしての成功だった。

専門店ブランド(ナショナルブランド)は取引先が値段を下げる時期を指定していたように思う。特にメインブランドが百貨店中心の販路の商品は特に、バーゲンのフライングには厳しい。取引先がジャッジするブランドは委託や消化契約が多いが、取引上の契約で買い取りの場合もある。(完全に力関係。)

年2回のバーゲンのインパクトが全くなくなってきているし、かといって細かく値段を下げているように見えない。一時はストライプインターナショナルの各ショップやアナップなどのタイムサービスが目立ち、その流れで現状も細かい販促時においても「全品~%オフ」が目立つ。専門店ではやはりユニクロが細かく管理しているように見えるし、アダストリアはどちらかというとバーゲン期間に比重を置いているように見える。

ほとんどの専門店がデータ管理をしている。当然商品動向がわかる。このデータで不稼働商材の管理をどれだけやっているか。どのタイミングで値段を下げるか?このジャッジが一番必要だと思う。キャッシュフローから考えると「買い」の商材は最長3か月、「メイキング」商材でも4か月くらいで売れないと成功とはいえない。月度0.3回転くらいが値段を下げるポイントのような気がする。

小売業全体に言えることだが、後ろ向きの発言(売れないなどのネガティブ発言)は嫌われるし、上司からよく思われない。ただ数字で話をすることが一番大事だと思う。どうしても会社は利益を追求するが、価格変更ジャッジが遅れることで利益を大きく失うことが多い。商品の値段は、社内発言力のある人間が数字で判断して決定すべき事項だと思う。

季節変動で夏のバーゲンのインパクトが弱まっているので、特に冬のバーゲンでの各社の取り組みで将来性が見えるような気がする。

■今日のBGM

12月の商売

12月の商売は昔と大きく変わった。11月末にブラックフライデーが始まって、ボーナスサンデーの流れが弱まり、ギフトニーズも減ってきた。さらに元旦営業が普通になり、年末の必需品の駆け込みもなくなった。ブランド時代はギフトとプレセール等でにぎわったが、年を開けてのバーゲンもなくなり20日過ぎからバーゲンが立ち上がる。

商売の妙があるのが12月の商売だった。12月最量販期、1月バーゲンでそのための商品を仕入れなければならない。取引先もここで在庫をなくさないとデッドストックになってしまう。商談で原価交渉をして「半値7掛け、半値6掛け」(原価35%,30%)での仕入れをしてバーゲンでダウンする利益の補填をする月だった。

そういう商売を今もしているのだろうか?秋冬売れなかった商品をなくすための利益計画を策定してプライスダウンする準備をしているのだろうか?12月バーゲンに向けて売れなかった商品の処理計画をしているのだろうか?

買い物に行って売り場を見ると、そういう気配はあまり感じず、例えば「全品10%オフ」とか「20%オフ」とか計画的に処理をしているようには見えない店が多い。細かい商品アイテムごとの処理計画はないのだろうか?例月と12月商戦はそんなに変わっていない。売り場を見る限り12月の特別さを感じない。

この頃、しまむらが気になっているので、しまむらのチラシを見る。「総力祭」という打ち出しで均一訴求となっている。300円、500円、700円、900円、1500円、2000円、3000円でのくくりでカットソーは1000円以下均一、コート1500円、掛布団2000円、ダウン3000円が目玉商品。問屋や名古屋、岐阜の取引先から安く仕入れて、自店の不稼働商材も併せてマークダウンしてプライスのくくりで売っているのだろうと思う。昔からの商売をやっている。お客様も12月を感じる。

しまむらの利益率は過去3年33.9%,34.1%,34.1%と大きく変化はない。当然企業としては利益率の改善は取り組んではいるだろうが、回転率を重視している経営なので大きな改善は難しいのかもしれない。ただ買取商材はきちんと販売期間内でなくすという姿勢は正しい商売だと思う。売っていた商品は違うが、商売の考え方はしまむらのほうが好きだ。

ブラックフライデーの時も大きくプライスダウンコーナーを取っていたのはユニクロだけだった。セールスチャンスに不稼働商材をマークダウンするのはごく普通だと思う。利益率重視はいいが、商品の鮮度はお客様にはすぐばれる。自発的に不稼働商品をプライスダウンし売り込んでなくしていくというより、セールに協賛しているだけのような取り組みの店が多すぎる。

12月の商売も例年盛り上がらないようになってきている。

■今日のBGM

もう一度ビジネスモデルを見直す

少し寒くなってきたので防寒が売れだし、少しは数字が上向いてきているようだ。ただやはり資本力のある企業中心の流れで、体力のない専門店に流れは戻ってきていない。少し戻しては来ても、コロナ融資の返済や人件費の高騰などがあり収益改善は進んでこない。

先月の売上を見ていると無印が既存昨対122.6%と大幅伸長している。前年は厳しかったが伸長率は高い。内訳を見ると衣料服飾108.4、食品114.0、生活雑貨138.0とあり、生活雑貨の伸びが大きい。無印のスタートコンセプト通り「これがいい」より「これでいい」という流れがお客様にあってきているからだと思う。

大きく伸長できず行き詰ったときは、小手先で対策を立てて実行していってもなかなか変化が現れない。もう一度会社の原点に立ち戻る必要がある。会社のスタートしたコンセプトやそのビジネスモデルを再度確認し、現状とのギャップを整理する時期だと思う。私自身もコロナ禍で数字を冷静に見直すべくやってみた。今まで学んできたことを自己流にアレンジして分析した。

会社はそれぞれ、市場、競合を分析してKFS(成功する鍵)を見つけ出しており、そのKFSと現状のギャップを明確にする必要がある。つまりこのターゲットを狙って、こういうゾーンを中心にこのプライスラインで打ち出せば成功するというコンセプトが、現状どうなっているかを分析するということだ。さらにそこに自社独自のKFS(成功の鍵)はぶれてないか再度確認する。

何度か書いたが、昔好調だった店が厳しくなる。昔10代~20代のお客様が中心で売れていたのだが20年たってお客様はその分年を取った。年を重ねればファッションに向かう気持ちも変わるし、かける金も変わる。KFSが変化しており、それがなくなっているのかもしれない。今後どうするかを明確にしないと成長がなくなる。

3C分析という言葉がある。3Cは、カスタマー、カンパニー、コンペチターを指す。カスタマー(お客様)の分析をしてカンパニー(会社)の戦略と合致しているのか、コンペチター(競合)はどう動いているのかを分析し再度KFSを確認する。そのKFSが脆弱になっていればそこに対する対策が必要になってくる。カスタマー、コンペチターが変化ないのに厳しい結果になっているのであればカンパニーの戦略ミスということになる。

厳しい時期は現状の会社の置かれた環境を分析し、ここまで成長してきたKFS(成功の鍵)がぶれてないかどうかを冷静に確認する時期だと思う。

■今日のBGM

会社の人間関係

賞与の時期なので・・・

先日、イチローとユニクロの柳井社長(当時)の対談をYouTubeで見た。2人とも自信満々で主張していて、途中で見るのをやめた。柳井社長は強すぎて、仮に自分が正義であってもユニクロではおそらくのし上がれないなと感じた。

会社は人間関係があり、大きくなればなるほど権力を持ちたがり、権力を持った人間の周りに人が集まる。うまく立ち回った人間が階段を上っていく。そうなると結果に対する評価ではなくなり、忠誠心への評価になっていく。

大手流通業(マイカル)にいたとき、そんな場面をいやというほど見てきた。自分としては数字だけは実績として残そうと頑張ってはいたが、結果的には数字よりも大きいものが人の人生に影響を与えてきた。そういうことが多かった結果、倒産する。

おそらくユニクロにいたとしたら、やはりがむしゃらに結果を出そうとすると思う。禁じ手(何を指すかわからないが)ぎりぎりでも数字を残す。そうしないと言われっぱなしのような気がする。その結果、もしそこが(会社)居心地がいいのなら残るだろうし、そのためには数字しか自分を認識させることはできない。誰かは見てくれている。

やはり人事評価は業績評価の比率を高めるべきだと思う。役職が上がればその比率は100%に近づけるべきだ。使いやすい部下でも数字については冷静にジャッジすべきだと思う。使いやすさと実績が違うと会社の求めるものがわからなくなってくる。そこが狂うと会社のモラルが落ちていく。結果を出し、出す努力を続けていれば周りの見方も変わってくるし、本人も間違いなく成長する。

ただ数字を上げても、強い上司と戦うと疲れる。仕事へのモチベーションがどこまで続くか?現状の小売業を見て、そういう状況の中で戦っていける企業は多くないのではないか?そういう企業風土を作れる会社しか残っていけないと思う。

あの社長がいる限り、ユニクロはまちがいなく残っていくだろうな・・・

■今日のBGM

ワークマンのフランチャイズチェーン

「ワークマン」の売上の伸びが止まったという記事を見て、何気なくそうだろうなと思ったのだが、あまり詳細を知らずにいた。以前やっていた店と同じSCに入店していて、すごい集客があったので少し驚いて観察したことがあった。その時は「ブームだし、この商品をみんなが着る?」と懐疑的でさらにFCだと聞いて驚いた記憶がある。

DCブランド全盛時代、大都市は直営店、地方都市はFC店という構図があった。FC契約の構図はFC先が内装を作って、商品を仕入れそのブランドの服を売るというもので、ブランド側はその商圏内にはそのブランドを卸さないことが前提で、取引形態は委託販売(年2回セール値引きあり、残商品は返品)が多かったように思う。

「ワークマン」のFC条件を調べてみた。少しわかりにくく、きちんと確認が必要だとは思うが2タイプある。わかりやすいのはBタイプで従来の俗にいう販売代行と言われていた契約内容だ。昔、サンエーインターナショナル(現TSI)と代行契約をして10数店舗やっていたので内容は理解できる。月度売上3500千までは500千の収入。それを超えれば超えた分の3%分が上乗せされる契約内容で、月度売上月10000千であれば500+(10000-3500)×0.03=695千の収入になる。一般的な販売代行手数料率は13~15%(※その前後はある)で、この契約なら10000千売上で手数料率が約7%になり契約自体は全く魅力がない。おそらくこの契約を選ぶことは少ないのではないか?

Aタイプは細かい経費は別として、オープン時商品原価分2240万を負担するということ。その在庫はオーナーの資産になるということらしい。さらに利益は月間の荒利額の40%が収入のようだ。つまり月度売上が1000万で荒利率が36%だと利益額は(1000千×0.36)×0.4=1440千が月度収入になる。その他営業経費が300千くらい引かれる。つまり月間収入は1140千となる。報奨金制度もあり上乗せはあるらしいが、オープン時の商品原価分の負担は大きい。その返済は分割でもいいようで立ち上がりの資金は少なくても済むようだ。

想定面積が100坪ということだが、夫婦でやるとして、店をやっていた経験上要員数は最低5名(これでも厳しい)で、そのうちフル勤務(1日8時間×20日)3名(当然オーナー夫婦も込み)短期バイト(月80時間前後)2名は必要となる。夫婦以外に月度給与は交通費や社保を入れると400千は必要になる。そうすると、夫婦の収入は月740千になる。これをどう考えるかだが、おそらく夫婦そろっての休みは取れない。さらに給与計算や経費処理等の会社としての仕事もあり、ほぼ休みなしの状況は予測される。最近の採用難を考えると募集も難しい。販売員が確保できて何とかやっていけるとすれば上記した最低月売上1000万は必要だと思う。

さらに、品揃えは「ワークマン」側に任せるのだろうか?発注責任はどこにあるのだろうか?「ワークマン」側に優秀なSV(スーパーバイザー)が必要で、そうでなければ売場の維持管理ができない。原価在庫が22400千はあるので不稼働な在庫をどう処理していくかも指示がないとできない。

詳細は分からないところが多いが、「ワークマン」のFCになかなか魅力は感じない。オリジナル商品をどんどん作って荒利益を上げることでFCに収入が増えなければ続かないのではないだろうか?直営店もありそうなので、儲かりそうな店は直営で賄うのではないか?

今後の「ワークマン」の伸長がFCにかかっているのであれば、ブーム的なものはあるにしろ、大きく伸長していかないのではないだろうか。

■今日のショット(山中湖)

チェーンストア理論➁

品種・・・商品部門より小さな概念で(商品)ラインより大きな範囲を指す。ライン…特定の価格ゾーンの商品品種をいう。 品目・・・アイテム。お客様が識別できる商品の最小分類。 単品・・・「SKU」生産者や流通業者にとって考えられる限りの商品の最小分類を指し、POSが扱うのは単品で、いくつかの単品をグループ化したものが品目。

「単品」「品目」「品種」の説明である。

「何が売れている?」漠然とした質問だが、品種なのか、品目なのか、単品なのかわからない。何を指すのかちゃんとした言葉が必要で、話が通じなくなる。さらに各社独自の言葉もあり何を言っているかわからないことがある。マイカルがイオン傘下に入ったとき、旧マイカルの従業員は、言葉の違いで悩んでストレスを感じたと多くの人が言っていた。

この言葉を統一しようとしたのがチェーンストア理論の渥美先生で、上記の説明は手元にある2002年度版の「チェーンストアのための必須単語1001」での説明を記入した。

前回しまむらについて書いたが、しまむらの業態はVS(variety store)と記したが、これも「必須単語」の業態の類型で、以下の通りの内容となっている。VS・・・価格レンジ「ロワーP」 商品特色「廉価短期消耗実用品 衣料4~6割」                                「必須単語」説明では以下の通り。・・・商品頻度の高い非食品を幅広くそろえた、便利総合品、売価の上限が低く抑えられている。実用衣料が主力で、売り場面積150~500坪でセルフサービスである。NSC,CSCの第2、第3の核店となる。1人売り場60坪以上でやりくりし、売場販売効率が低く、低商品回転率でも高収益なのが特徴。(抜粋)

しまむらについては業態の説明とおおむね一致する。20年以上も前の必須単語だが「SPA(speciality retailer of private label apparel)」の説明もあるし、主要経営効率計算公式もまとめてある。   

チェーンストア理論の在り方は理解できるし、各社ともそれを基本にしてフォーマットを作って戦ってきたと思う。私自身はチェーンストア理論とは考え方は違う店をやってきたが、言葉の統一は必要なものだと思っている。その中で「必須単語1001」は絶対必要なもので、標準語として続けてほしい。

各社、言葉が通じないのは小売業界としておかしい。標準語は絶対必要だと思う。

■再度画像アップ ※祝阪神優勝 岡田監督とは同じ年。学部は違うが同窓。六大学で江川を打てるのは岡田しかいなかった記憶がある。

しまむら ➁

いろいろ考えてみた。

なぜ、この業態で好調を続けられるのか?同じようにチェーンストアの成功を目標にして、GMSに向かわずにVS(バラエティストア)に向かったのか?それをぶれずに60年以上もやり続けることができたのか?なぜ好調を維持できるのか?

GMSがなくなっていく理由がわかったような気がする。非食品は完全にお客様から「No!」のジャッジをもらっている。高度成長期に充実させようとした「中流意識層」への対応売場が現状は全く必要とされてない。大きな売り場を埋めるために、不要な商品を集めすぎている。シーン別の売り場などは完ぺきに自己満足だし、儲かる売場(必要とされる売場)だけでもういいのではないか?作ってきた売り場を進化させているつもりでいるだけで、実は進化させていなかった。無駄なことばかりやってきた。売れない商品でも仕入れたし、欠落アイテムも補完した。でもそれは必要なかった。

特に時代の変化は大きい。円安不況の中、中流層の崩壊が顕著で、購買動向も大きく変わってきた。特に20代~40代の変化は大きい。そこを百貨店やGMSは拾えていない。ユニクロやABCマートのような一種のカテゴリーキラーやしまむらや西松屋のようなVSに流れている。

そこまでは整理できるが、あの雑然とした売り場でいいのだろうか?GMS時代のストアメイキングマニュアルは不要なのだろうか?商品はペラハン(入荷時のペラペラのハンガー)のまま陳列していてもいいのだろうか?陳列量はあれでいいのだろうか?演出もレイアウトもあれでいいのだろうか?

おそらく要員数や経費と関係していると思う。新しいハンガーに変える手間と購入経費より、人件費や商品動向(POS)経費を優先した結果かもしれない。おそらくぎりぎりのオペレーションコストなのかもしれない。レジ要員と品出し要員を中心に回していると、細かなところまで手を回せないというのが現状かもしれない。

さらに、割引商品の比重も高い。在庫と利益のバランスはあるが、どういう指標で割引対象にしているか興味深い。今まで言って来たが「利益率」より「回転率」を重視する会社のほうが小売業では正解だと思っている。(利益率を優先する会社は将来的には成り立たない。)間違いなくしまむらは「回転率」重視で動いている。プライスダウンする決定プロセスを知りたい。今の回転率で今後どのように利益を改善していくかを知りたい。

もう何店舗か見ないと、いろんな仕組みややり方が想定できないが、どういうマネジメントをしているか聞いてみたい。

近いうちにまた違う店を見に行こうと思った。

■今日のBGM

チェーンストア理論

先日、あまり気にしてこなかったしまむらの数字を見て、まず全社の平均月度回転率が0.59だったことに大変驚いた。6000億を超える企業でユニクロより回転率は高い。しまむらをネットで調べていると、創業者は「商品回転率を基準に品揃えを考えるべき」と考えて創業したと書かれている。チェーンストア理論を学んで呉服屋からの創業だったようだ。

日本の主な小売業の経営者は、チェーンストア理論を渥美俊一氏主宰のペガサスクラブで学んでいる。ダイエーの中内氏、ジャスコの岡田氏、イトーヨカドーの伊藤氏などが最初からのメンバーで、ニトリやしまむらの社長もここで学んでおり、多くの流通業の経営者に影響を与えている。

チェーンストア理論は本部一括仕入れで本社集約型でのマネジメントを実施し多店舗展開での経営効率を上げることをモデルとした理論だ。私自身は、何度か講演を聞いたが全く興味を持てなかった。

その当時の仕事内容とは大きな相違があった。(倒産した企業だったからかもしれないが…)ファッション型のビブレにいて、「店主導」「店仕入れ」を基本としていたからだ。ただ店長時代に感じたことは「なぜ、本部がこんなに現場を理解していない?」「本部が現場の意見を聞かない。」「本部からの一方的な指示が多い。」など本部中心の動き方に疑問を持っていた。その後、本部に在籍したときは「小さな本部」を模索した。後に立ち上げた小売りの会社も基本は「店仕入れ」を中心にしており、本部はできるだけ小さくすることを念頭に置いてきた。今でも「本部絶対的主導」が正しいとは思っていない。

ただ小売業の課題は「在庫」ということは、今までの小売人生から十分理解していたので、在庫回転率を念頭に置いた経営はやってきた。25店舗前後しか店舗はなかったが回転率は月0.5回転以上の実績だった。ただその管理体制をどうしていくかが課題で、完結はできたとは思っていない。以前も書いたが「バイヤー」より「ディストリビューター」的なポジションが力を持つことが望ましいし、社長もしくはそれに準ずる人間が「在庫管理」をしていくことが絶対的に多店舗展開での基本だと思っている。

業種がクロスオーバーしていても回転率が高いしまむらや高回転を続けるユニクロが、どういう組織でどういう権限を持って仕事をしているか聞いてみたいとは思うし、そこが好調企業のポイントの気がする。

■今日のBGM

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