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流れが悪い上場小売業

日経新聞には信用残高が発表される銘柄の売残と買残が公表されている。株をやらないので詳細は説明できないが、株価の変動が激しくなりそうな、リスク管理が必要な銘柄のようだ。小売業では、パレモ、シーズメン、ジーフット、アナップ、ライトオン、タカキュー、マックハウス、バロックなどが記載されている。株価が大幅にダウンしたワークマンも公表されている。タカキューとともにイオン系で債務超過のジーフットや厳しい決算が続くマックハウス、ライトオンなどが含まれており、厳しそうな会社が多い。

前回年末年始の数字を記したが、厳しそうな小売業の売上状況を見てみたい。

1月の数字はライトオン前年比97.6%、パレモ93,8%、タカキュー93.6%、マックハウス92.3%、シーズメン89.8%と前年割れの流れが続いている。全体的には好調な流れに見えた中で12月同様の前年割れの流れは続いている。

これをコロナ前2019年実績と比較する。(例によって既存前年比を毎年掛け合わせてみる。)数字をまとめた小売業で1月2019年比80%以下の会社は4社。ライトオン69.0%、シーズメン69.5%、タカキュー73.2%、パレモ78.3%。ライトオンの悪い流れは止められてない。ジーンズカジュアル系の悪化についてはよく書いているが、シーズメンも今はブランドが増えているが、もともとは店名「メソッド」でジーンズカジュアル系のショップだった。

ビレッジバンガードの流れも回復してこない。2019年比で12月は77.6%、1月が81.0%と一番ターゲット客層が動きそうな時期に上がってきていない。

数字の流れはなかなか止められない。企業のビジネスモデルを再度検証する必要がある。検証を重ねてビジネスモデルが間違ってないなら、現状の在庫を整理して、一度思い切った損失を計上し、再出発する決意が必要だと思う。

■今日のBGM

上場小売業の年末年始の数字

12月の数字については先月書いたので、1月の数字とあわせて最大量販期である年末年始の数字を見てみる。

1月の売上状況は、アダストリアが前年比114.7%、ABCマートが110.3%、ニトリ110%と2桁伸長しており、さらに主だった企業はほぼ前年はクリアしており堅調な流れだったようだ。12月84.6%と落としたユニクロも100.4%まで戻してきた。少し気になるのは12月91.0%、1月92.7%と2カ月大きく落とした無印良品。要因は冬物在庫の在庫不足とのコメントだった。

1月もコロナ前の数字と比較するために、2019年1月から既存店前年比を毎年掛け合わせてみた。(これが正しい数字ではないが、流れはつかめる。)その数字(コロナ前比)での伸長はABCマート113.7%、西松屋112.2%、ハニーズ111.2%が2桁増。しまむら109.6%、ニトリ108.2%アダストリア101.3%と続く。他はおおよそ90%台。まだまだコロナ前までの数字に戻っていない。ユニクロで97.2%。12月の動向とほぼ変わらないラインナップとなっている。

ABCマート、西松屋、ハニーズ、しまむら、ニトリと価格志向の強い会社が好調に推移しており、2極化を物語っているように感じる。まだまだ物価の上昇に所得が追い付いていないように感じる。

ちなみに価格志向と対極にいるだろうユナイテッドアローズは既存前年比が12月97.8%、1月102.8%と変化なく、コロナ前2019年比はそれぞれ86.9%、85.1%と全くコロナ前に追い付いていない。余談だがユナイテッドアローズのコメントに「マザーニーズが活性化した」というコメントがあり、時代の流れを感じた。

また別途取り上げたいが、厳しい企業の数字は改善していない。ライトオンはコロナ前比では69.0%、イオングループでなくなったタカキューは73.2%と大きく落ち込んでいる。

最後に出退店情報を見ていて、季節的に入れ替わりの時期ではあるが、退店の多さに驚いた。退店数はアダストリア14店、ユニクロ8店、ライトオン、チヨダ9店など。その分2.3月の出店は多いのだろうが少し気になった。

■今日のBGM

厳しい会社ほど在庫回転率は低い

タカキューが債務超過に陥り、イオングループが手を引きファンドの下で再建することになったことで少し思うことがある。債務超過とは会社の負債が資産総額を上回っている状態のことをいう。そうすると商品は資産になるので減らすことはできにくくなる。

タカキューの2023年決算の売上総利益率は59.9%であり、2024年度第3四半期まで売上総利益率は62.0%となっている。商品内容によって利益率は変わってくるが、ファッション事業として比べてみると、2023年度でアダストリア54.7%、ユニクロ51.9%であり、高い水準のように見える。

値段を下げて売上を上げたいが、値段を下げると利益も下がる。利益率も落としたくない。

さらに値段を下げて売ると当然のように在庫も減る。流動資産が減少する。その流れで回転率が下がっていくのではないか?タカキューの2023年の在庫回転率は年間2.46回転(月度0.21回転)となる。ちなみにアダストリアは年間5.00回転(月度0.42回転)となる。

(※棚卸資産の年度期首と年度期末を2で割って在庫を算出した。)

債務超過になっている上場アパレルにアナップがある。アナップの売上総利益率は53.2%で在庫回転率は3.39回転となる。トレンド性の強いヤングレディスターゲットしては低い。

厳しい流れが続く、共にジーンズ系上場企業のライトオンは利益率48.1%、回転率年間2.22回転(月度0.18回転)、マックハウスは利益率48.0%、回転率年間2.34回転(月度0.20回転)となっている。

商品の値段を下げると貸借対照表での資産が減少し、損益計算書上では利益が減少する。利益の減少が表面上は一番チェックされうる項目にはなる。タカキューもライトオンもマックハウスも月度回転率は0.2回転前後となっている。つまり約半年後に現金化できるということになる。商品支払いが手形ならいいが、現金支払いが主流になりつつある中で考えるとキャッシュインより支払いのほうが先になってしまう。つまりキャッシュがうまく回らない状況になる。

売れる商品は回転率も高いので、原価率の低い商品であれば利益率を上げることにつながる。逆に動きの悪い商品は値段を据え置けば利益率は変わらないがその分在庫負担になる。値段を下げれば当然利益率は下がる。

タカキューの60%近い利益は、原価率の低いスーツ業界にしても、売上げ低下を考えると高すぎる。さらに回転率も悪い。ジーンズ系2社も原価率は高い業種だが、あまりにも回転率が悪すぎる。

適正な在庫評価がどういう基準なのかそれぞれの会社が決めることなのだが、回転率を見れば市場評価との間に乖離があると思われる。市場評価での在庫額にすれば、大きな利益のマイナスが出てくるのではないかと疑ってしまうのだが・・・

■今日のBGM

世間が思っている以上に中小小売業は厳しい

岸田首相が「賃金を上げる」、サントリーの新浪社長(経済同友会代表)が「給料は上げられる」という記事を見るたびに、そんなに簡単なことかと思うし、逆に今までやってきた商売がいかに儲からないのか、努力不足だったのかと考えさせられる。ただ会社数で99%を占める中小企業社長は「じゃお前がやってみろ」と思っているのではないだろうか?内部留保など中小企業ではほんの一部の企業しかないと思うし、仕組みも作っている途上の企業は、なかなかの難問題だと思う。

特に中小小売業の厳しい環境は続く。労働環境の問題や給与課題で人材不足は続くし、国外生産の比率が高い業界は円安では商品原価が上がり続ける。そういう環境下で価格は上げられない。まだまだインフレについていける社会ではない。

私事でいうと、以前やっていた会社でコロナになって政策投資銀行から数億円、取引銀行3行からあわせて数億円の借り入れをした。7年返済で銀行は即返済、政策投資銀行は2年目からの返却の契約だった。過去赤字決算はなく順調な会社だったし、何年かは決算賞与も出した。ただコロナで数億円の負債を負うことになった。「ゼロゼロ融資」とは言っているが、借金に変わりない。返さなければならない。経営の失敗で負った借金ではない。その借金で数年間(返済期間)は前を向いた経営はできなくなる。コロナ期間は当然苦しく、すぐには立て直せない。コロナ後も背負うものが多く、昔のように簡単に前を向いた投資もできない。

能登地震の被害を見ていても、いろんな会社、商店や飲食、美容院などが大きな被害にあっている。ここから立ち直るには大きな力がいるし、当然金もいる。能登の人の責任など何もない。ここでも「融資する」になれば、もうやる気力もなくなると思う。国が資金援助しなければ、再興はできない。報道によると国からの補助金は最大300万円とのことだ。東北地震の前例からこの金額になっている。何度も言うが、東北も能登も被災者の責任は何もない。余裕があるらしい経団連や同友会への参加企業は、返済なしの資金援助でもしたらどうだろうか?国もその資金援助分は非課税にするとか策はある。

厳しい環境の中、必死になって収益の改善努力をしている中小企業は。全会社の99%を占めることを再認識すべきだと思うし、国やリーディングカンパニーたる大企業はそこへの投資、資金援助を積極的に行うべきだと思う。

せめて過去10年で収めた納税額ぐらいの金額を国は援助金として出せないのだろうか?

少し愚痴も入った・・・。

■今日のBGM

「これでいい」より「これがいい」

「潮目が変わった。」とパルグループ井上会長の第3四半期について語ったようだ。その中で標記の言葉を述べている。この言葉は無印良品の概念である「これがいいよりこれでいい」を念頭にした言葉のようでもある。

このブログではあまりパルグループのことは書いてこなかったが、多種にわたったファッションを個性を尊重しつつまとめている企業で、非常に好感を持っている。もともとはジーンズショップからのスタートで、アダストリアと生い立ちは似ているようだが、個性的な店が多い。残念ながら接点はなかったが、よく店は見ていた。セレクトショップブームの時も、それ以前から「ギャラルダギャランテ」や「ルイス」をしっかりやっていたし、「チャオパニック」も大きく成長した。「アレグロビバーチェ」もパルだったと思う。現状では「スリーコインズ」がただの均一ショップでない商品構成で引っ張ってきている。おそらく「チャオパニック」と「スリーコインズ」で会社を引っ張っていると思うが個々のブランドの状況は見えてこないのが実情だ。去年の決算数字を見ても「スリーコインズ」中心の雑貨事業が大きく伸びていて、商品回転率も前期末数字では年5.9回転と雑貨事業に引っ張られて高回転になっている。

無印良品を指していったと思われる標記の言葉は「スリーコインズ」についての言葉ではないかと思う。均一ショップの中では、ただ安いだけでなく個性が際立っているように思える。多発する均一ショップの中では「これがいい」店だとは思う。

ネットでパルグループのショップブランドを見ると中心になっているのは「スリーコインズ」とSC向けの「チャオパニックTYPY」「ナイスクラップ」くらいのような気がする。

ファッション分野ではまだ流れはつかめてそうにない。ショップブランド別の数字がないので詳しく把握はできないが・・・あまりとんがっていないアダストリアと比べると角がある感じのラインナップだ。この会社の個性だとは思うが・・・

そこがいいところでもあり、ウィークポイントにもなる。

「スリーコインズ」に関して言えば競合と比べると「これでいい」より「ここがいい」だが大きな意味で現状の客層はまだまだ「ここがいい」より「これでいい」だと思う。

次の日の新聞に「無印良品も過去最高収益」の記事があった・・・

■今日のBGM(名曲が多い)

コロナ明けの12月商戦は?

年末年始は商売では大きな売上を確保する時期になる。流れの変化は当然あるがコロナ明けの12月、1月の数字は気になる。

小売上場企業の開示された12月売上速報を見たが、既存売上数値でいうとABCマートが昨対110.3%、アオキが105%と+5%越えは2社。ユニクロは84.6%と大きくダウンしている。ユニクロは少し値段が高めに感じたのだが、ワールドワイドで考えている会社なので問題は大きくないかもしれない。ただ90%割れは厳しい数字。他ではアダストリア101%、しまむら102.4%、ニトリ98.4%と前年並みくらいが流れのようだ。厳しい流れは上記ユニクロ以外ではライトオン83.7%マックハウス81.4%と、くしくも指摘してきた商品回転率の悪い会社。

根拠はないけどコロナ前からの既存店売上前年比を掛け合わして、2018年を100として12月はどうだったかを計算してみた。(当然、その間のイレギュラーがあって信頼できる数字ではないが、傾向はわかる。)コロナ前から105%以上の企業はABCマート131.1%、アオキ112.9%、ハニーズ110.0%、しまむら109.5%、西松屋109,2%の5社。調べた中のワースト5はライトオン57.9%、マックハウス71.9%、タカキュー76.6%、ビレッジバンガード77.6%、チヨダ84.2%。

靴業界はそこまで詳しくはないが、ABCマートはビジネス離れやスニーカー好調の流れでスポーツの強みを生かして、ブランド戦略とプライス戦略で好調を推移していると思う。そもそもサイズが細かく在庫過多になりがちな業界で、このプライス戦略をとれて利益を確保し続けているのは大変なことだと思う。大きなロットの商品MD戦略が当たっていると思う。アオキはカジュアル路線が好調のようだ。しまむら、西松屋、ハニーズはこのブログでも分析しているようにチェーンストア理論に基づいたMDがインフレの流れの中、ニーズとマッチしていることが要因だと思う。

逆に指摘してきた、ライトオン、マックハウスは非常に厳しい数字になっている。特にライトオンは相当厳しいのではないか?ニュースリリースを見てもシンジケートローンの対応や内部統制システムの改定など少しあわただしい。マックハウスは親会社のチヨダも厳しいので大きな変革が考えられる。タカキューは大胆に店舗を閉めたのでここからどう動くのかが注目だが、イオンGでもありフォローもあるかもしれない。ビレバンは全く想定になかったが、ドン・キホーテとかぶってきており、個性化と顧客の低年齢化が課題かもしれない。

年明けは、元旦が幸運日で日が良かったが、能登地震も重なり、不安な正月を迎えた。

今年も変動の年になりそうな気がする。

■今日のBGM

商売は数字

常々、バイヤーよりディストリビュータが大事だと言っている。管理職は数字で話をしろとも言って来た。小売業は感性のウエイトが高いが、やはり商売は数字に行きつく。

●利益率 利益高/売上高×100

売上高―売上原価=利益高 

売上原価=期首原価在庫+仕入原価―原価在庫

原価在庫=売価在庫×原価率 

原価率=(期首原価在庫+仕入原価)/(期首売価在庫+仕入売価―売価変更額)

・・・利益率の簡単な計算式になる。この計算式で会社から与えられた予算利益率との比較で数字をコントロールする。さらにこの計算式で仕入れ管理(仕入額、仕入原価も逆算できる)もできる。

●限界利益率 限界利益率=限界利益高/売上高×100

限界利益高=売上高-変動費(売上原価+変動経費)=利益高―変動経費

●損益分岐点 固定費/ 限界利益=固定費/(粗利益-変動経費)

・・・与えられた部門の損益が0になるときの売上高

●労働分配率  人件費/荒利益

・・・40%前後が妥当 50% 以上は赤字

●商品回転率  月度 月度売上/平均在庫

●在庫日数   月度 30日/月度商品回転率

●仕入れ債務回転期間 仕入れ債務/1カ月当たりの売上原価

・・・一般的には40日以下だが小売業は60日以下くらいまで

・・・在庫日数と債務回転期間で資金繰りの状況がわかる

簡単に小売業で必要な数字の計算式をいくつか記したが、管轄している店や部門の数字はどうなっているだろうか?期間単位で数字のチェックは必ずするべきで、そこで営業の方向性を決定させる必要がある。

さらに、経営数字と同様に、商品データの数字も一定の基準があるべきだと思う。それによって商品の売り方(レイアウト、演出)や、集約、処分(プライスダウン)のジャッジが必要で、そこには感性(感覚)を加味することは必要ない。

経営的観点での数字については各社の基準があるので、その基準を明確にして店長以上の管理職には徹底させる必要がある。仕入れるだけならだれでもできるし、商品を作るのもそんなに難しくない。何を基準にして作るか、どの数字に合わせて仕入れるか、それを理解していなければバイヤーはできない。

感性だけでは商売はできない。

■正月の酒(最高にうまい麦焼酎 是非!)

厳しさが増しそうな年

年明けから能登地震や空港事故もあり、あまり明るい年明けではないが、年末年始の商戦はどんな流れなのだろうか?年末にいくつかのSCに足を運んだが、バーゲンに入ったという印象はあまり感じなかった。年末に悲観的なことを書いたのでこの流れで小売業はどうすればいいか考えたい。もし会社を続けていたらどうしていただろうか?

一番大きなことは人事面をどう変えていくかだと思う。

小売業や飲食業は所謂労働集約型産業で、世の中の「働き方改革」の流れになかなか乗り切れずにいる。つまり働く人が集まらなければ成り立たない産業で、さらに立ち仕事で土日は休みづらい。ちょっと逸れるが、国が推奨することは、「働き方改革」だけでなく日本中に1%しかない大企業に向けたもののような気がする。それをすべての企業で取り組むことは無理がある。パブリシティ効果による「働き方」については世間の注目度は高く、ますます小売業に働く人が集まらないようになっている。小売業の中では「品出し」「検品」「レジ業務」など、まだ作業計画がわかりやすい仕事はそれでも給与を上げることによって集まるが、「接客」「演出」などなかなか具体的作業が見えにくい仕事には集まりにくい。

まず、どうやったら小売業に人(販売員)は集めることができるか?集まらない原因は何だろうか?大きな原因は土日の休みづらさにある。お盆や年末年始も同様のことがいえる。私たちが入社した時はそれを十分に理解していた。ただ今の労働環境からみると大きな障壁になっている。

まず、給与規定を変更して日曜は月2日休むことを恒常化し、さらに「日曜手当」として日祭日は出勤日数に応じて手当をつければどうだろう。日祭日に働くことがマイナスではなくプラスに感じる労働条件に変えてみる。それによって結果的に少しでも給与を上げていくことができる。

次に必要なのは、社員の視野を広げることだと思う。小売業の社員は「売ること」が使命で、「売ること」により会社がどう変わっていくかがあまり見えてない。「売ること」の楽しさ以外に会社としての仕組みや、商売のやり方についての理論が理解できていない。これが理解できないから先が見えてこない。

社員教育を重点項目にする。「会社が目指すもの」を意識させる。さらに商業理論を簡単に教える。そして問題解決への手順も全員で話し合う。会社が目指すものとは会社の理念のことだ。この会社はどういう目的で作られたかを理解させる。これは全員で意思統一すべきことだと思う。

さらに商売の仕組みを考えさせる。金の流れや、利益の仕組み、一般的に言われている商売のポイントを理解させる。「売り上げ」や「利益率」だけでない商売の仕組みをわからせる。私自身もイオンの「経営者研修?」で漠然としていたものがはっきりした。損益計算書だけでなく貸借対照表にも目が行くようになった。

最後に評価基準をわかりやすく全員に示すことだと思う。業績評価でいいと思うが、その評価基準の再設定と、個人計画の提出とそのフィードバックを明確にする。

厳しくなりそうな時期だから、一度徹底すべきこともある。モチベーションを上げることも必要だ。こういう時期だからこそ人事面の見直しが最も必要だと思う。

■今日のBGM(自分にとっての音楽の原点)

ブランドの持続力

ヤフーニュースで「サマンサタバサ」の記事が出ていた。状況は非常に悪いといろんなところで書かれているが、そもそもティーンズヤング対応のブランドは長持ちしない。何度も書いてきたが、お客様は年をとり、ファッションの流れも変わるからだ。

ファッション業界でブランドはどれくらい持続するのか?30~40年前のDCブランドで残っているブランドはほんとに少ない。ビギもニコルももう会社自体が別のものになっているし、あれだけ売れたコムサも今は見かけない。残っているのはクリエイター系でノンエイジ志向が強かったブランドくらいだと思う。ギャルソンやそこから続くデザイナーブランドや一度は倒産したがヨウジヤマモトやケンゾーなど。あとは年代層を広げたブランドが百貨店中心にシフトして続いている。

ティーンズ寄りのブランドの賞味期間はさらに短い。あっという間に落ち込んだストライプインターナショナルの各ブランドもそうだし(もうティーンズ系ではない?)サマンサタバサもその部類に入る。多感な時期で流れがすぐ変わる。それを前提に会社はどう動いていくことが必要だと思う。

もう一つ記事で指摘していた「中流層中心のMDの失敗」はまさにその通りだと思う。完全に2極化が進んでいると思うし、中流層ターゲットにすれば逆に2極化の流れでは「どの層も支持しない。」が正論だ。

ブランドビジネスは難しい。生き残っているブランドには何か「成功の鍵」(KFS)がある。クリエイター系だけでなく百貨店客層をターゲットにシフトしたブランドは続いている。さらに量販店でも販売員付きコーナーブランドは、周りのスタッフの少なさの中、接客面で優位に立ち数字を維持しているとも聞く。企業としては客層の幅を広げるべくブランド数やショップ名を増やして維持していっていくか、深く掘り下げていってコアの客層に向けていくしかない。

サマンサタバサはある意味予測されていた事態で、前オーナーはうまく手放したし、コナカのM&Aの失敗ということになる。なぜ買収したのだろう?最近ではマッシュグループもM&Aされたが、複数のブランドがあり、持っている他のブランドの客層の幅も広いが牽引してきた「ジェラードピケ」はおそらく失速すると思う。今後の動向は要チェックかもしれない。

ティーンズはすぐにヤングに、ヤングはすぐにヤングミセスに、ヤングミセスはすぐにミセスになる。ターゲットを固定していれば当然新しい客を取り組まなければならない。ティーンズヤングは感性が時代ごとに変化しさらに細分化していく。当たれば大きいが、その分消えるのも早い。

ブランドは「誰に売るのか?」「その顧客の特性は?」「ブランドにとってメリットのある市場の定義は?(例えば機能性なのか、ファッション性なのか?デイリーなのかビジネスなのかなど)」「その市場規模は?」を十分に吟味することが必要で、さらに途中での顧客動向の変化を素早く見極めることが必要だ。

■今日のBGM

商品の値段はだれが決める?

商品の値段の下げるタイミングが変わってきたような気がする。季節感も変わってきているので春、夏、秋、冬での値下げもしにくくなってきた。この頃は「全品20%オフ」とか雑な値段の下げ方が多いような気がする。

量販店にいた時は、本部からの指示があり値段を下げていた。主に販促(周年祭、創業祭、感謝祭など)によるセールスチャンスのタイミングでの値下げだった。今はできなくなったが消し札によるセール商材も入荷していた。(取引先の不稼働をまとめて買ったもの。)その当時でもイトーヨーカドーはデータ管理をしていて、ディストリビューター(DB)が商品の売価変更の指示を出していたと聞く。

ブランドビジネスをやっていた時は、完全に年2回しかセールをしなかった。たとえ買取契約であってもその時期以外のセールはできなかった。数年はセールで完売してうまく商品が入れ替わった。その時はブランドへのこだわりが強く、ブームとしての成功だった。

専門店ブランド(ナショナルブランド)は取引先が値段を下げる時期を指定していたように思う。特にメインブランドが百貨店中心の販路の商品は特に、バーゲンのフライングには厳しい。取引先がジャッジするブランドは委託や消化契約が多いが、取引上の契約で買い取りの場合もある。(完全に力関係。)

年2回のバーゲンのインパクトが全くなくなってきているし、かといって細かく値段を下げているように見えない。一時はストライプインターナショナルの各ショップやアナップなどのタイムサービスが目立ち、その流れで現状も細かい販促時においても「全品~%オフ」が目立つ。専門店ではやはりユニクロが細かく管理しているように見えるし、アダストリアはどちらかというとバーゲン期間に比重を置いているように見える。

ほとんどの専門店がデータ管理をしている。当然商品動向がわかる。このデータで不稼働商材の管理をどれだけやっているか。どのタイミングで値段を下げるか?このジャッジが一番必要だと思う。キャッシュフローから考えると「買い」の商材は最長3か月、「メイキング」商材でも4か月くらいで売れないと成功とはいえない。月度0.3回転くらいが値段を下げるポイントのような気がする。

小売業全体に言えることだが、後ろ向きの発言(売れないなどのネガティブ発言)は嫌われるし、上司からよく思われない。ただ数字で話をすることが一番大事だと思う。どうしても会社は利益を追求するが、価格変更ジャッジが遅れることで利益を大きく失うことが多い。商品の値段は、社内発言力のある人間が数字で判断して決定すべき事項だと思う。

季節変動で夏のバーゲンのインパクトが弱まっているので、特に冬のバーゲンでの各社の取り組みで将来性が見えるような気がする。

■今日のBGM

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