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イオンモールの完全子会社化

先月末、イオンはイオンモールの完全子会社化を発表した。これによりイオンモールは上場廃止となる。イオンは「建設資材の調達などでグループ規模を効率的かつ効果的に活かす」と発表している。さらに子会社の収益をイオン以外の株主に流出することを防ぐとも説明している。 

このブログでもイオンモールの個性化がどんどん薄れていき、当初大型ショッピングモールとして出店した時のインパクトがだんだん弱くなり、魅力がなくなりつつあると書いている。さて今後はどういう方向になっていくのだろうか?以下、私の今までの経験から個人的な見解として記してみたい。

イオンにはイオンの礎でもある、イオンリテールという会社がある。主にはGMSを運営している祖業である小売業の会社である。しかし、イオンリテールはイオングループの中核企業だが上場はしていない。多数あるイオンモールにはイオンモールのモールとイオンリテールのモールがある。何度か書いているが、自宅近隣のイオンモールでも、イオンモールのモールは川口、川口前川、レイクタウン「kaze」があり、リテールのモールは戸田、与野、浦和美園、レイクタウン「mori」がある。一般のお客様にはわかりにくいが、テナントのグレード感やモールスタッフの対応は違っており、ここではダイアモンドシティの歴史も併せ持つイオンモールのほうがやはり安定感はある。イオンリテールのモールもPM(運営管理)はイオンモールがしているが、決定権はなくスムーズな運営ができていると思わなかった。過去、15店舗以上イオン系のモールに出店したが、イオンリテールのモールはすべて退店した経緯がある。

さて今後考えられることは何か?おそらくイオンリテールのモールはすべてイオンモールが管轄していくと思う。これで、イオンリテールの仕事が明確になり、モールへの投資等もイオンモール主体となり、旧イオンリテールのモールの改善は進む。そしてイオンリテールも投資は主たる業務の小売業に向けられる。これが一番の改善ポイントになる。さらに今後、CSC(コミュニティSC)やNSC(ネイバーフッドSC)は間違いなく注目される。従来のGMSを作り出したように、新しいSCの開発に目を向けていける。古いSCに新しいテナントなどの導入で活性化できるし、特に前述した小型物件の開発も他の子会社と連動できる。

ただ、ここからのイオンモールのモール事業はどうなっていくのか?まず、RSC(郊外大型モール)の理想形からはどんどん離れていくような気がする。現状のイオンモールは間違いなく伸び悩んでいる。2024年2月期の営業利益ではコロナ前の2割強ダウンしている。RSCとしての評価も、明らかに「ららぽーと」に負けている。その最たる理由はGMSのイオンをキーテナントにしていることに起因している。もう大きな面積でGMSをゾーニングする必要はない。すべてカテゴリーキラーで賄える。そしてそのほうが集客もできる。SMでさえイオンリテールでは勝てないかもしれない。つまりイオンリテールの売場(特にGMS)を切り捨てていくことができるかどうかが成功の鍵にはなるが、イオンの方向性を考えると、おそらくそれはできない。つまりRSCとしての進化は、まちがいなくなくなる。

今回のイオンモールの子会社化は「脱RSC」へ進むような気がする。そしてGMS事業は今後も続けていくという意思表示なのかもしれない。

■今日のBGM

専門店の出店場所 ②

今の商業施設を別の角度で分類してみる。嗜好品の比重によって分けてみたい。

最も比重が高いのは、都心部にある百貨店になる。従来の百貨店はもう都心部にしかなく、地方百貨店はこのくくりには入らない。次に都心の専門店中心のビルで駅ビルもこの中に含まれる。ファッションビルがなくなりそのターゲットも取り込むが、ここも都心部に限られてくる。都心以外の地方百貨店で上位ランクのお客様はもう地方では買わず、都心百貨店を利用する。つまり嗜好品を購入する層は大幅に減っている。

RSC(大型モール)は明らかに「ららぽーと」のテナントリーシングが他のモールより上回っている。「ららぽーと」がなく競合が少ない(所謂タヌキが出るような)エリアでは、大型モールの「イオンモール」などが昔の地方百貨店に近い立ち位置になっている。

その他のRSCは従来のGMSやSMと同様、食品と日用品など買い廻り品のニーズが高い客層になっている。RSCのSMの内容次第では強い個性を持つSMより集客力がなく、RSCの吸引力も弱まってきている。RSC内のGMS(例えばイオンモールのイオン)は差別化の要素もすでになくなっているように感じる。

つまり、嗜好品を求める客層は大幅に減り、デイリーユースの客層が大幅に増えている状況にある。

衣料品や生活雑貨の専門店の中には、近年SCの集客に頼らず自社のMDだけで売上を確保できる自信を持った専門店が多く出てきている。つまり、「ルミネ」でなくてもいいし「ららぽーと」でなくてもいい。その商業施設のターゲットでなくても、自社の商品が好きで来店してくれる顧客だけで商売できる、マイペースで出店を考える専門店が増えてきている。

「ユニクロ」は駅ビルの高層階の出店にメリットを感じなければ、駅周辺の路面店に出していくし、「無印」も近年はRSCの一角で規模感が合わなければ、自分の世界観が出せる場所で出店する。特に近年は両社とも「生活感のある顧客層」へもアプローチしている。もともとターゲットがフル客層だし、嗜好品の比重もない。そしてお客様を選ばない。そうなれば、来店頻度が高くデイリー性の高い商材が多いSMなどと共存することも、立地条件の高い都心部への出店と同様のメリットも出てくる。

RSCは一部の施設を除いては、狭商圏化している。駐車規模などのメリットは当然大きいが、利便性は低い。RSC出現まで中心だったGMSなどは、立地と大きさで再注目されるように感じる。リニュアルコストを抑えて、さらに前述してきたような生活感あるテナントミキシングができれば(必ずしもSCでなくてもいい。フリースタンディングでもいい。)十分に活性化できるように思う。そしてそうなれば、そこは、従来のいろんなSCへの出店より、魅力があるように感じる。

「ユニクロ」や「無印」さらに「ニトリ」などがRSCから消えれば、さらにRSCの魅力は弱くなる。そういった客層の幅が広いデイリーユースのテナントを呼び込めれば、RSCよりCSCのほうが魅力的になる。

専門店の出店場所は変化してくる。専門店は現状の既存店の動向に加えて、新規出店の状況を慎重に見定める必要がある。

■今日のBGM

専門店の出店場所 ①

「小売業はお客様を見て品揃えするのか、コンセプトを貫いて品揃えするのか」という内容でブログを書いていたのだが、出店する場所によってやはりMDも経費率も変わってくるので文章が止まってしまった。少し出店する商業施設の変化についてまとめてみたい。

まず、駅ビルか郊外の商業施設か路面店に分けて考える。

駅ビルは大都市か地方の中心都市しか売上は望めないだろう。2023年の売上データでは梅田ルクア883億、相鉄ジョイナス643億、JR博多598億、ルミネ新宿473億、エスト472億など大都市の駅ビルが上位を占めている。当然乗降客が多く、中心地にあるので賃料は高い。通勤客が多いのでキャリア層狙いとなる。そうなると出店するショップは大手アパレル系の直営出店や大手専門店が中心になる。出店コストも高いのでなかなか中小の専門店の出店は厳しく、出店ができても郊外都市の駅ビルしか想定できない。

路面店は大都市の都市部ではお客様が流れるが、郊外に行けばフリー客は少なくなる。わざわざ来店してもらえるような商品の品揃えでなければ、間違いなく成り立たない。さらに店舗イメージを上げなければならないので、内装や什器には金がかかる。近年は幹線道路沿いに、ユーズド系の大型店舗も見られる。

郊外の商業施設は敷地面積5万坪以上のRSC(リージョナルSC)と1.5万坪~5万坪までのCSC(コミュニティSC)、それ以下のNSC(ネイバーフッドSC)に分類される。近年出店が多いイオンモールやららぽーとがRSCに分類され、昔のGMSがCSC、スーパーマーケットを中心にしたSCをNSCと考えればわかりやすい。イオンモールは公式に売上を発表してないが、ららぽーとの2023年度売上では、ラゾーナ川崎883億、東京ベイ628億、エキスポシティ519億、富士見514億、豊洲488億と大きな売上になっている。イオンモールはレイクタウンを別として近年500億以上の施設はほぼないか、少なくなってきていると思う。現状専門店の主な出店場所はここになる。ただ食品以外のイオンのGMSに魅力がなくなっており、さらにモール出店過多エリアでは2階、3階の空床が多くなっている。ターゲットが合えば出店交渉も進みやすいのではないだろうか?それでもあるレベルの出店費用は必要になる。

現状、イトーヨーカドーや西友の売却などがあるGMSはもう成り立ってはいない。建物も老朽化している。逆にSMは生活必需品であり各社しのぎを削っている。出店も多くなっている。つまり、CSCの衰退とNSCの活性化が現状では進んでいる。ただ数多くのCSCは既存のGMSで残っており、今後どんどん改廃が進んでいくと思われる。

このブログでも書いているが、近年、RSCは出店過多で本来の商圏(車30分圏)内に競合SCが乱立しており、各モールのショップMDも大きな変化がないため、完全に狭商圏化している。所謂RSCのCSC化を感じている。逆に現状のCSCの改廃を進めれば、中途半端なRSC並みの売上は十分可能なのではないかと感じる。さらに活性化してきているNSCはその近辺に大型専門店を呼び込むことで大きな商業集積にもなっていく。

近年少しずつ商業施設の変化が出てきており、今後の小売専門店の出店場所も変わっていきそうな気がする。

■今日のDVD

大型モール(RSC)の寿命 2

前回、標題について少し納得いかない気持ちで書いていた。大型モール(RSC)が多すぎるということが大前提ではあるが、理想のテナントゾーニングも大きく変化があるのかもしれない。「ファッションビルがなくなりつつある」のブログの中で年齢別人口について書いているが、その構造は大きく変化しており、客層の変化がRSCの寿命にも影響があるのではないかと考えられる。

RSCの開発が進みだした2000年と一昨年2023年の年齢別人口を見てみる。(単位:万)

0~14才 2000年 1850 構成比14.6   2023年 1417 構成比11.4:

15~29才 2000年 2575 構成比20.3   2023年 1821 構成比14.6

30~49才 2000年 3366 構成比26.5   2023年 3031 構成比24.4

50~64才 2000年 2696 構成比21.2   2023年 2544 構成比20.5

65才以上 2000年 2204 構成比17.4   2023年 3623 構成比29.1

まず顕著なところでは65才以上(所謂年金世代)の人口を見ると、2023年は2000年の人口が164.4%と増加し、人口構成比も大きく上昇している。ちなみに2023年最も多い年代層は65才以上で、2000年に最も多い年代層は30~49才となっている。人口構成比も2000年はRSCでのメインターゲットの30~49才を中心にきれいに分布されているが、2023年は高年齢層に引っ張られている。つまり、2000年は本来の「お母さんと子供たち」だったのが「おばあちゃんとお母さん」に変わったというイメージがある。

29才までのヤング層は総人口も73.2%まで落ち込み、特にRSCでの購買動向も弱いのでティーンズヤングターゲットの店舗は当然厳しくなる。そうなると高年齢層が大幅に増えている現状、可処分所得は間違いなく減ってきており、値段を打ち出していく商売は当然のように増えるし、そこが集客のポイントになる。食品以外では高年齢者でも違和感ないファッションで値段志向も強い店舗が賑わう。今売れているRSC内の大型店はすべて当てはまる。

高年齢層が増えると、車での来店手段も減っていく。つまり、商圏は当然狭くなり、買い上げ点数も減ってくる。さらに所得も減るので実需品へ流れが強くなる。本来RSCが求める広域商圏で時間消費型ではなくなってくる。

では今後SCの流れはどうなるのだろうか?所得が減っていく高年齢層も取り込めるSCに流れていくような気がする。当然商圏は小さくなる。従来のGMSなどの立地でMDを変えていったコミュニティSC(CSC)や食品SM中心のネイバーフットSC(NSC)が再度活性化する気がする。消え行くGMSは画一的なレイアウトで効率を考えた売場に魅力を感じなくなっただけだと思う。価格志向のSMは媒体でも多く取り上げられている。衣料品でも「ユニクロ」「GU」は人気だし「しまむら」や「西松屋」などの大型店も好調を続けている。「ニトリ」や「無印良品」などの生活関連の大型店も業績はいい。そういったテナントをうまくミックスすれば高年齢化にも対応できるように思う。

大型モールはあまりにも乱立しすぎている。RSCの周りにCSCやNSCがあることが、本来のあるべき姿だと思う。各大手小売業も収益構造が変化している。多すぎるRSCをどう変えていくかが企業としても大きな問題になってくると感じる。

■今日のBGM

大型モール(RSC)の寿命

近隣でもあり、営業状況が厳しそうな「イオンモール川口前川」の退店店舗が非常に多い。HPを確認すると大型店舗の「GAP」や「須原屋書店」をはじめ「バナナリパブリック」「ロデオクラウン」「アクシーズファム」「ヨギボー」など17店舗となっている。各テナントとの契約満了時期とも考えられるので2月度もさらに増えそうな気配はある。

日本のRSC(大型モール)は1981年に三井不動産が「ららぽーと船橋」を開業したのがスタートだと言われている。ただ、その後のららぽーとは2004年の「ららぽーと甲子園」までRSCを作っていない。私は、その後イオン(ジャスコ)と三菱商事とで設立されたデベロッパーの「ダイヤモンドシティ」が日本の大型モール(RSC)の基礎を築いたと思っている。今はイオングループでイオンモール(AM)となっているが、その最初のRSCがダイヤモンドシティ「キャラ」(現AM川口前川)である。イオンも単体で1999年にAM倉敷,2000年にAM成田、岡崎、高知をオープンさせているが、RSCとしての考え方は、その当時いろんな打ち合わせをした経験から、「ダイヤモンドシティ」があるべき姿を追求していたと思っている。

AM川口前川もすでにオープンから25年を経過しようとしており、建物自体の老朽化が感じられ、さらに増床を重ねてきた売場の使いにくさも顕著になってきている。そして従来想定された商圏にいろんな商業施設が出てきており、競合が激化している。致命的だったのは1.5Km圏に売り場面積5.9万㎡のAM川口がオープンしたことだと思う。もともとあった小型SCを増床させ2500台の駐車台数、150店舗でさらにAM川口前川にないシネマもある。AM川口は必ずしも成功しているとは思えないがAM川口前川には大きなダメージはあったと思う。さらに5Km圏にはアリオ川口、AM北戸田、10Km圏にAM浦和美園、新都心コクーン、15Km圏にAM与野などの大型競合施設があり、20Kmまで広げると越谷レイクタウンやららぽーと富士見など国内最大級の商業施設がある。すべてAM川口前川の後発であり、商圏がどんどん狭められている。さらにテナントMDも苦しんでおり、狭商圏化と老朽化で、新しく買いやすくなった他のRSCに流れてしまっている。そのため厳しくなったRSCの特徴の「その他、サービス」業種のテナントがどんどん増えていっている。

RSCの創成期から見ているが、RSCの寿命は30年くらいのような気がする。特に日本では中心になるイオンモールの劣化が目に付く。2000年代前半にオープンし好調だったイオンモールは、もうピークの7掛け以下の売上になっていると思う。近年は、規模に走っているのか出店数が多く、AM同士のバッティングも多くみられる。上記したAM川口前川の20km圏でもAMでの競合が4SCもある。2核1モールでほぼ似たような構造であり、MDも大きな変化はない。変化のないMDには安定感はあるが、新鮮なイメージは見えない。「ららぽーと」が新鮮に見えるのは、SCの環境コストも高く、MDも新鮮味があるからだ。そのため、商圏内にあるAMとの差別化が明確になっている。(出店計画は意図的にかどうかわからないがAMより少ない。)つまりAMは、MDも標準化されており、環境レベルも同様で面白みがなくなっている。前述した「ダイヤモンドシティ」にはMDや環境にも冒険的なことや面白さがあったような気がする。デベロッパーという意識が強く、小売業とは違う感性が見えたということかもしれない。「ららぽーと」もやはり同じ匂いはする。

GMSもそうだが「利益」に走るあまり、面白みがなくなっていく。冒険にはリスクが伴う。リスクを持つ反面、鮮度はあがる。余談になるが、以前絶好調だった関西のあるAMのGM(支配人)に出店依頼した時に「このAMは梅田のルクアと同じくらいの売上ですよ。」と全く相手にされなかったことを思い出す。その同時期に西宮ガーデンズの部長は店を見に来てくれた。出店はかなわなかったが姿勢の違いは感じた。

RSCは間違いなく衰退期に入っている。もう一度新しいものを作り出していく気持ち、今あるべき理想の商業施設を作り出す熱意を持たないと、どんどん寿命は縮まる。

イオンモールからイオンのGMSを追い出すくらいの気概は欲しい。

■今日のBGM

GMSが勝てない理由を今頃気づいた

イオンの第3四半期の決算が発表された。連結決算では第3四半期までの累計で最終損益が156億の赤字で、前年同期の183億の黒字から大きく下回っている。営業利益に関しては主力事業ではGMS事業のみ192億の赤字であり、さらに前年よりも-177億と厳しい数字になっている。

やはり課題はGMS事業だが、一般的な目で見ている記者のコメントで「GMSの食品以外はユニクロやニトリなどの専門店で十分まかなえる」とあった。常にそれを指摘して、「GMSはなくなる」と言っているのだが、今更だけど専門店に勝てない理由がやっとわかった。社員のモチベーションと社内環境の違いだ。

GMSに入社してサラリーマンとしての目標は何だろうか?私自身もそうだったがある程度経験を積めば、まず店長職をめざす。当然売場責任者で数字を上げていくことが最初の仕事だが、そのまま商品のプロに進んでいく人は非常に少ない。食品は特に生鮮においては技術も必要で、その分野でプロになっていくこともあるが、衣料品や生活関連品の担当はずっとその仕事を続けることは非常に少ない。衣料品であれば売場責任者で数店舗勤務し、次のステップでバイヤーとして商品部に配属されるか、店での複数売場をマネジメントするポジションになる。バイヤーになっても商品部長を次のステップにはできない。商品部長へのステップとしても、やはり店長職の経験が必要で、店長を経験しなければ部長職にはなれなかったと記憶する。私の経験上、GMSでは店長を経験して営業関連、商品関連、人事管理関連へ異動していったと思う。つまり商品が好きで、商品一筋の人はほぼ皆無だと言える。

私自身も売場を5店舗6年経験し、その後商品部に5年在籍した。商品は楽しかったし、いろんな経験もした。ある専門店のオーナーに、小さな店だったが「違うことするから、店をあげる。」と言われたこともあった。(その後そこで売っていたブランドが大人気になって数億の売上の店になった。)だが、その後営業企画のポジションに異動になり商品とは離れていった。

つまり、商品を売りたくて、そして商品を作りたいという気持ちで入社してくる専門店の社員とは、まず立ち位置が違っている。会社のジョブローテーションも違ってくる。専門店の社員はどの商品が売れるか、どうやって売るか、レイアウトはどうするか等、売るために何が必要かを考えて仕事をし続ける。ステップとして仕事をするGMSの社員では絶対勝てない。

イオンなどGMSも商品供給の別会社を作ってはいるが、あくまでも形式的なものが多く、単なるモチベーションを変えるだけのものが多い。そしてその会社の従業員も形式的に組織に組み込まれるケースが多く、商品に対して前向きなモチベーションを持って仕事に従事してはいないと思う。さらに、取引先はまだまだ従来のGMSへの卸取引先が多く(衣料関係は名古屋、岐阜)その流れでMDを組み立てており、SPA型の専門店の商品量とコスト、販売力に完全に負けている。つまりモチベーションと取り組み方に大きな差が出ている。

今まで量販店が、なぜ本気で「ユニクロ」や「無印」(もともとはGMSの西友が開発したが・・・)を作れなかったのかと思っていたが、従業員のモチベーションと企業風土が違うからだった。今頃気づいたのかと言われそうだが、この立ち位置の差は大きい。

やっぱり、GMSは専門店に絶対に勝てない。

■今日のBGM

2025年に小売業で起こりそうなこと

この2年間、小売業を外から見てきて痛感することは、「消費者の完全2極化」ということになる。そして、おそらく中間層は完全に値頃感に流れていると感じる。そして、中間層はアッパーには向いていない。SMは値段の切り口で売上が上下しており、値頃感が一番の切り口になっている。衣料雑貨に関しても「ユニクロ」や「ニトリ」の値段が標準にされている。一方、百貨店は今年1月~7月で、インバウンド売上は前年比150.4%と大幅増にもかかわらず、トータルでは98.7%と前年数字を割り込んでいる。百貨店の国内需要は大きく落ち込んできており、アッパー層自体も大幅に減少していると感じる。

通貨の価値を見ても、円安傾向は続いており、将来的にも流れの変化は見えない。現状の流れはしばらく変わらないと見るのが普通の見方だと思う。つまり中間層のボリューム志向の流れは続いていく。

その流れもあり、2024年度はイトーヨーカドーのGMSの解体につながったが、25年度はGMS業態の存続がジャッジされる年になる。量販店業界でイトーヨーカドーと双璧であるイオンの2024年度中間決算を見ると、営業利益トータル986億のうち、金融Gで274億、デベロッパーGで273億、ヘルス事業で184億、専門店事業で141億となっており、その4Gで営業利益の88.4%を占めている。主要事業に中ではGMS事業が-82億で唯一の赤字でさらに前年より-117億という状況になっている。

創業者一族がまだトップにおり、さらに「物言う株主」も多くなさそうな状況では、なかなか祖業であるGMSをなくすことは難しいかもしれないが、外部から見ていてもGMS事業の厳しさはわかる。GMSでの食品事業を好調なSM事業グループと合流すれば、多く改善効果が出ると思う。おそらく赤字の衣料G,住居Gを解体し、GMS事業を見直すことでグループの収益は大きく改善する。そして今後苦戦が予想される国内デベロッパー事業(郊外モール事業)でも、GMSをなくすことでプラス要素での改善ができる。冷静に見れば、もう大型モールにGMSの存在価値はない。

それに絡んで、ヨーカドーの跡地の活用についても話題になっているが、GMSの跡地問題が活性化する。現状話題が多いSMの流れに合わせて、「SM+大規模専門店」中心のCSC(コミュニティSC)、NSC(ネイバーフッドSC)の開発が進んでいくと予測する。イオンモールが先行する大型モール(RSC)が標準化されており、テナントMDも新鮮さがなくなってきている状況下、価格競争が活発で話題の多いSMを主人公とした環境づくりが注目される。GMS跡地を活用しての「SM+マグネット要素の強い専門店」などのSCの開発が進んでいくと思われる。もうすでに「ユニクロ」や「無印」はRSC以外にも目を向けており、「アダストリア」もヨーカドーとブランド開発をしている。特にGMS撤退跡地の活用にはコスト的にもハードルは高くなく、現状のRSCの「いいとこどり」をすれば高効率なSCに変わることも可能だと思う。

百貨店については、その存続はもう大都市だけになり、地方都市にあった百貨店は百貨店でなくなっている。百貨店の定義自体がもう見えなくなっており、地方百貨店の「高級GMS化」が進んでいる。百貨店が高級ブランドのある店と定義するのであれば、どのブランドがあれば百貨店なのだろう?まだ「ヴィトン」のある店は多いが「エルメス」などは調べてみれば11都道府県にしかない。おそらく地方都市の中心市街地の百貨店への求心力は弱まり、地方は郊外モールが地域一番店になっている。

消費者の2極化はどんどん進み、ボリュームゾーンへ志向はどんどん増える。それに合わせて業態の勢力図は大きく変わる。

■今日のBGM

大型モール(RSC)にGMSは必要ない

昔は「洋服好き」だったけど、現役を離れると、おじさんが着てはいけない「無印」で買ったパーカーに、昔の「Lee」や「リーバイス」のデニム、寒いときは何年も前の「バブアー」のキルティングや、いつの時代かわからない「モンクレール」のダウンを着て買い物に行っている。毎週のように出張していた時に着ていた服はタンスの中に眠っている。そうなってくるとSCに行っても立ち寄る店は決まってくる。あるデータ会社によればSCの客層は50代以上がほぼ半数を占め、30代以上がほぼメインの客層になっている。仕事真っ盛り世代から外れてくると同じようなワードローブになるし、見に行く店も決まってくる。ましてやGMSの洋服は全く見ない。

イトーヨーカドーの売却の話題もあり、このブログでもGMS不要と言ってきている。ただSCがなくなればよいとは言っていない。RSC(大型モールイオンモール、ららぽーとなど)、CSC(旧GMS型SC)、NSC(SMを中心とした小型版)は形を変えながら残っていくとは思う。

昨年からイトーヨーカドーの衣料服飾の売場とコラボしているアダストリアの「ファウンドグッド」をたまに見ている。おそらく各店舗の立地と客層の差が大きくて戸惑っているのではないかと思う。立地を選んで出店してきた企業(アダストリア)だけに、アリオ型店舗とGMS型店舗のギャップに対応できていないようだ。アダストリアのブランドなら出店しない立地にも展開せざるを得ない。ユニクロのニーズが強そうな客層の店と、しまむらに近い客層の店のギャップに苦しんでいそうだ。どちらかというとミセスシフトになってきているように見える。GMSが苦労している衣料品の難しさに直面しているようだ。現状の取引条件がわからないが、商品リスクが今後の課題になりそうな気がする。

近隣のイオンの2階衣料の改装は、モールの弱いところをイオン直営で補おうという改装に見えた。本来はGMSの売場は確立されていて、GMSで満足できないところをテナントで補い、客層の幅を広げ、広域からの集客を図るのがモールの考え方だと思う。おそらくそのイオンの売場が本来狙うべきターゲットは「ユニクロ」や「無印」に奪われてしまっており、テナントで補えていない「子供」や「高年齢層」に売場をシフトしてしまっている。GMSの標準的な売場でなく、イレギュラーな売場に変化している。雑貨関連も同様でGMSの売場は「ニトリ」や「無印」、「ABCマート」「100均,300均」で代替えできそうな気がする。

食品は、売場の大きさから品ぞろえの幅が広く、定期的な「全品%オフ」の販促で一定の評価はあるが、近年のSMのパワーは強く、逆に大きすぎることが買いにくさにつながっているようにも見える。

イオンのGMSは、過去のGMSの出店計画とモール(RSC)の出店計画にギャップが出てきており、標準化されたつもりのGMSが標準化されていない現実がある。つまり従来ならGMSで出店しなかった場所に出店していくのでMDにずれが生まれている。さらに得意とするボリュームゾーンも大型化されたテナントに顧客を取られてしまっているのが現実だ。一方、成功したGMSの定義を踏襲していたヨーカドーは、モールの出現でコアターゲットのお客様を奪われ、モールに行きにくい客層(高齢者など)が多くなり、今までのGMS成功の定義が通用しなくなりGMS業態から退いていった。

ららぽーとのようにGMSをキーテナントにせず、個性あるテナントミックスをしたRSCのほうが買いやすいのかもしれない。ただ、イオンモール先行の中、現状では成功する場所は限られているとも思う。

■今日のBGM

イトーヨーカドーを売却する?

セブン&アイホールディングスがヨーカドーを売却するというニュースが出ている。これはコンビニ事業にとって、いい事なのだろうか?詳しく読むと、コンビニ事業以外を分離したヨークホールディングスの株式売却のようで、このヨークホールディングスにはヨーカドーやロフト、赤ちゃん本舗など31社が含まれている。各社切り売りするのか、すべてなのかの詳細は見えていない。いずれにしても外資の買収案に対抗するため、低収益の他事業を切り離して株価を上げていくというのが今回の対応になっているということだ。

もうコンビニ事業単体で、数字を伸ばせる体制になったのだろうか?もともとはPOS管理が進んでいたGMS事業やSM事業との情報共有で、大きくなっていったのだと思う。今でも数字が伸び悩んでいるとはいえ、日販売り上げを調べてみると、セブンが67万、ファミマが56万、ローソンが55万となっていて、圧倒的な販売力を持っている。

日本人的な発想で言えば、なかなか育ててくれた親会社は切りにくい。セブン&アイの井坂社長はセブンイレブンの出身で、ヨーカドーの出身ではない。それでもここまで大きくなった経緯は十分に理解している。ヨーカドーの衣料品をなくしGMSから撤退させていった「親を否定する」ジャッジは大きな判断だったが、果たしてヨーカドーを売却できるだろうか?イオンGがまだ赤字のGMS事業を続けているのは、創業家への無駄な配慮だと思っている。コンビニ事業単体で十分成果は出せると考えれば、ジャッジできると思う。

昔、イオン内の研修で「コンビニ業態について」という課題で、グループで研究し半年近く打ち合わせをしたことがあった。その時、「イートイン」や「おでんと酒」の提供などそのあとコンビニで実行された企画もあり、面白い経験だった。ちなみにイオングループの「ミニストップ」はスイーツなどが人気で企画力は素晴らしいが、いまだに日販42万となっていて後塵を拝している。その時、今後コンビニはインフラとして絶対必要になってくるとは感じていた。人口減少が進み、過疎化が進む今、買い物をする場所や集まる場がなくなってきている。そのエリアの中心にいろんな機能を持ったコンビニがあれば本当に便利なものになると思う。そういう意味でセブンイレブンの店舗網は将来も魅力的なものだと思う。課題はFC制が続くかということ、さらに過疎地の生活拠点としてのコンビニに「公」が介入できるかということだと考える。

もうヨーカドーやヨークマートからの情報やシステムから学ぶことがないなら、打算的に動いたほうがいいように感じる。人情や過去の成功体験に引っ張られている「西」の企業体質と違う動き方のほうが、「東」のイトーヨーカドーグループらしく見える。

■今日のBGM

CSC(コミュニティショッピングセンター)にはGMSは必要?

ずいぶん前のブログに「自宅近く15km圏には8つの大型モール(RSC)がある」と書いている。RSCとは、定義から規模が4万㎡以上の規模のSCを指している。ただ本来の意味のRSCはおそらくもう2~3SCしかない。他のSCはイオンでいうと「(ジャスコ・・・)と(80?)の専門店」という昔のGMSの大型版にしかなっていない。分類で分けると中規模SC(敷地面積2000坪~5000坪)をCSC(コミュニティショッピングセンター)と分類されており、その定義ぐらいの価値しかないように感じる。

15km圏でNo1のRSCは「ららぽーと富士見」であり、それに続くのは「コクーンさいたま新都心」だと思う。ちなみに富士見は8万㎡、約290店舗で売上は486億、コクーンは7.8万㎡、約270店、売上は430億となっている。2つのモールに共通しているのは、GMSは入居していないということだ。(コクーンのヨーカドーはSM)テナント数も多くテナントのバラエティも豊富だ。ファッション系テナントでは富士見にはセレクト系でUAは「ビューティ&ユース」「グリーンレーベル」、ジャーナルで「レニューム」、ライセンスでは「ヒューゴボス」「ラルフローレン」、コクーンにはビームスの「ビーミング」、「グリーンレーベル」「アルマーニエクスチェンジ」「ラルフローレン」などがある。両モールともテナント数も多く、幅広いラインナップになっている。

前述した8つの大型モールのうち5つはイオンモールだ。いずれもテナント数は多いが、類似しているテナントが多く、テナントにあまりわざわざ感はない。となると必然的にGMSのニーズも出てくる。さらに3つはイオンモールの物件でなくイオンリテールのモールになる。そうなればどうしてもGMS強化に動き、テナントリーシング力は弱くなってくる。

そのうちの1つである、イオンモール北戸田でGMSの2階部分を全面改装していた。この改装で遠隔地からお客様を呼ぼうとしているのかというと、大きな疑問符が付く。売場半分はキッズリパブリックとして子供関連を終結。その他の衣料の改装は、おそらくテナント揃えで弱いところを広い面積をとって引きこもうとしている。つまり、スーツやフォーマル、ミセス、アダルトの打ち出し強化が主で、量販店ブランド(ジュンコシマダパート2、ポロ、ケントなど)も固めて、在庫リスクもヘッジしている。トップバリュコレクションはショップとしての見え方は弱く、完全にユニクロには太刀打ちできず、アダルトカジュアルの店になっている。飯の種のアンダーウェアを奥に持っていき、利益構造がどうなるかわからない。商圏的には子供は増えている珍しい地域だけれど、足元商圏の強化が主目的で、おそらく大きな効率改善はできないと思う。そもそも、高所得者層などの新しい客層(ブランドニーズ等)を呼べているとは思えない子供ゾーンの拡大で、成功している事例はあるのだろうか?

あくまでもテナントの弱いところを、GMSで補うという改装のように見えた。つまり、足元のお客様のための改装であって、広域からの新しいお客様を引き込むものではない。狭商圏でのSCになってしまっている。狭商圏で4.4万㎡の売場面積は大きすぎる。テナントの欠落から見れば、大型家電の導入や、ニトリや100均の大型化、GUの導入などのほうが喜ばれたのではないだろうか?当然賃料との兼ね合いもあるが、今回の投資対効果には疑問符が付く。

以前に書いたが、サラリーマンの発想する改装はいらない。こういう改装で満足し続けるのなら大きな面積のモールは必要ないのではないかと思う。

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