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2件の取引先との協業について

前回のブログを書いているときに思うことがあった。イトーヨーカドーとマックハウスは売場の改善を目的にしているのに対して、アダストリアとワールドは新客層への取り組みを大きな狙いにしているのではないかということだ。

現状のアダストリアの主戦場はRSC(大型モール)であり、ワールドは百貨店、ターミナルビルのように見える。所謂、モデレート層をうまく取り組んでいる。特にアダストリアはそのターゲットでは一番のシェアを取っていると思う。

このブログでも再三書いているが、現状の客層はインバウンドを含む高級ブランド、百貨店志向と、ボリュームプライスを打ち出している専門店の客層に2極化されているように見える。中間層ターゲットの専門店の流れは悪い。ボリュームプライスの専門店はユニクロ、しまむら、ニトリ、西松屋などがあげられ、好調な数字が続いている。

アダストリア、ワールドは2極化されたボリュームプライスニーズには、現状取り組めていない。今後の戦略としてどうしてもそのゾーンにも参入が必要になってくる。つまりボリュームプライスの商売を模索しようとしているのではないか?主戦場のRSCや駅ビルでは確実につかめない客層を把握していきたいのではないだろうか?

そういう意味では100店舗以上あるイトーヨーカドーの衣料服飾売場はチャレンジするのにベストの状況になる。ワールドは少し読みにくいが、マックハウスも、従来ダイエー中心に出店していてイオンモールなどRSCに乗り遅れた経緯がある売場が多い。

さらには今回の取り組みは、いずれも厳しくなった売場を開発する目的でスタートさせるので、どちらかというとイニシアチブをとれる。優位性を持てれば商品MDだけでなく売場の内装、レイアウト、演出までリーダーシップをとれる。

アダストリアにとってイトーヨーカドーは非常にいい相手だと思う。大型の売場をコントロールできるし、安定したSMを持っているSCで取り組める。さらに、おそらくシステムやデータ分析はイトーヨーカドーに1日の長がある。その部分も取り込める。いろいろ試行錯誤ができそうだ。阿倍野キューズモールのイトーヨーカドーで商品を少し見たが、「袋入りの商品はどういう目的があるのか」など気になる事はあるが、修正を重ねていくと思われる。フルラインの衣料と雑貨までの展開で、優等生企業同士の取り組みには期待できる。唯一問題があるとすれば、元気がなくなったように見えたイトーヨーカドー側のスタッフのモチベーションが上がるかだと思う。

ワールドの取り組みは、前回のブログで書いた通りで、ワールド側が「うまくいったら儲けもの」くらいの取り組みのような気がする。思い切って両社で金をかけてどこかで成功事例を作る必要がある。お互いの出方を見ながらのスタートなら、うまくいかないし、マックハウス側に傷が残るだけになる。

専門店各社のボリュームプライスへの取り組みが、過熱しそうな気がする。

■今日のBGM

トップバリュコレクション(TVC)

「イオンは衣料品ブランドを刷新した。」というニュースが流れた。記事を読んでみるとイオンのカジュアル衣料を子会社の「トップバリューコレクション」に移管し、PB名を変え、新商品を開発していくということのようだ。

イオンはGMSをあきらめないそうだが、すでに結果が出ている。商品やシステムでは完全にイトーヨーカドーには勝てなかったと思う。何とか、イオンモールの成功で、2核1モールの1核として比較的恵まれた場所と賃料でイオンのGMSは成り立ってきたと思う。イオンを利用する者として見ても、衣料品で購入するのは下着ぐらいで、フロアにいる客層もシニア層が多いと感じる。

昨年、衣料品売場を「トップバリューコレクション」と題して改装し、「これがイオンの衣料品の売場」と方向を示したという記事があったと記憶する。その売り場を浦和美園イオンで見たことがあるが、企業人が机上で計画して、やって見せた売場に過ぎず、今までとやっていることは何も変わってない。販売区分ごとにきれいに見せただけにしか見えない。見せ方を変えた分わずかに効率は上がったかもしれないが、損益を大きく改善できるものではないと感じた。岡田会長が「GMSはやめない」と言っているためにやっている感しかない。誰も言えないのだろうな。

衣料品で戦うなら、ユニクロのように1つの大型ショップとして戦っていく気概が絶対に必要だと思う。イオンの友人と話しをすると「その計画は何度も出ては消えている。」らしい。守られ、恵まれた環境で、商売をしていても成長はしていけない。イオン直営ゾーンの外に出てアウェイでどれだけ戦っていけるかを知ったほうがいい。西友から無印良品ができ、西武からロフト、東急からハンズができたように1人歩きできる大型店をイオンも作るべきだと思う。住居関連の直営売り場もニトリのような専門店を開発したらいい。比較的恵まれた環境で仕事を続けているから、中途半端なことしかできないのではないだろうか。私自身も、GMS出身で、会社を立ち上げ大きなSCに店舗を持って、商売環境について感じることはたくさんあった。何度も書いているが、イオンのGMSは、成功したイオンモールの中にいるから何とか成り立っている。今後郊外モール(RSC)が厳しくなれば、当然もっと厳しい数字になるのは目に見えている。

近年イオンモールからユニクロなどの大型店が、別のSC、路面店に移設するケースもみられる。売場の大型化や賃料の問題などが要因だとは思うが、その対策としても大型ショップの開発は重要な要素だと思う。さらに家電など大型カテゴリーの欠落しているRSCもあり、その対策としてもGMSの売場の整理は大きなプラスになるのではないだろうか。

「井の中の蛙」でずっといると、間違いなく取り残される。イオングループから大型専門店が開発されて、「ユニクロ」や「ニトリ」「無印良品」と戦える業態が出てくることが、小手先の改装や社内の組織変更より大きな意義を持つと思う。

■今日のBGM ・・・映画「パーフェクトデイズ」は良かった。ルーリードは持ってないので。

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