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標準化されると成長は止まる

小売専門店を経営していると、SCに店舗を出していこうとする。わざわざ感を持つ店でない限り、それは当然のことになる。施設数の多さから、RSCではやはりイオンモールへの出店が、企業としての拡大策としては不可欠になる。ただ、それが企業の成長を止めているようにも感じる。

以前経営していた会社は多い時には27店舗あったが、売上ベスト5店舗にイオンモール内の店舗は1店もなかった。その5店舗のうち3店舗はもうない。SCがなくなった店が2店舗、あと1店舗は交渉決裂して退店した。そこには、癖があり粗削りだけれど魅力のあるSCが消えていき、イオンモールやららぽーとなど標準化されたSCばかりになってきたという背景があると思う。売上上位だったSCは、「やれるのならどうぞ」的なリーシングで、比較的賃料も高かったが坪数も大きく、売場をいろんな角度から見せることができたように感じる。

特に、国内ではRSCとして最も施設数が多いイオンモールが標準化され魅力がなくなってきている。これだけモールの出店数が増え、当然収益面でのシミュレーションも現実的になってくるとあまり冒険を冒しづらくなってくる。つまり標準化は進む。大体どこでも同じラインナップで店の規模も変わってこない。SCの個性が出なくなってくる。3層あれば、ほぼフロアのテナント構成は大きくぶれない。出店の際も、商談でだいたいどのフロアでどれくらいの大きさを提案されるかわかってくる。想定外の時は他テナントのキャンセルがあった時くらいだった。(そういう時はいい場所が来る。)つまり大崩れはしないが大化けもしない区画の提案が多かった。

従来のRSCとしての広商圏での出店はそれでよかったが、近年は商圏内に複数のRSCがあることも多い。モールとしての差別化がわからない。結局GMSがなくなっていったのと同じ道を歩んでいるように見える。そして、当然テナントリーシングも標準化されてくる。モールの収益は各テナントの数字の合算なので固い数値が必要になる。より効率を上げるため、リスクあるリーシングもしにくくなる。

一方、出店側もデベロッパーの要請に合わせて店が標準化されていく。それによって店が小さくまとまっていく。出店側からの意見や提案が通りにくくなっている背景もある。

後に、出店側として冷静に考えれば、それは正解でなかったように思う。前述したようにイオンモールでの出店で標準化の流れに乗ってしまった感はある。ただ、店も成長していくし、チャレンジしていきたい方向もある。小さく標準化していけば、小さな安定感しかなくなる。店としての次のステップが見えてこない。規模が大きかった店は、賃料もかさむが、そのプラス分の面積で違う主張もできていた。そこがスタッフのモチベーションアップにつながり、売上も上がっていったようにも感じる。

近年、RSCに多く出店していた会社の規模が小さくなっていくケースも多い。特にイオンモールには新鮮なテナントは現れていない。標準型のRSCが増えるだけの状況化の中、無印良品のRSCへの出店が減って、独自路線の出店になってきているのはそういう背景があるからかもしれない。

■今日のBGM

イオンモールの完全子会社化

先月末、イオンはイオンモールの完全子会社化を発表した。これによりイオンモールは上場廃止となる。イオンは「建設資材の調達などでグループ規模を効率的かつ効果的に活かす」と発表している。さらに子会社の収益をイオン以外の株主に流出することを防ぐとも説明している。 

このブログでもイオンモールの個性化がどんどん薄れていき、当初大型ショッピングモールとして出店した時のインパクトがだんだん弱くなり、魅力がなくなりつつあると書いている。さて今後はどういう方向になっていくのだろうか?以下、私の今までの経験から個人的な見解として記してみたい。

イオンにはイオンの礎でもある、イオンリテールという会社がある。主にはGMSを運営している祖業である小売業の会社である。しかし、イオンリテールはイオングループの中核企業だが上場はしていない。多数あるイオンモールにはイオンモールのモールとイオンリテールのモールがある。何度か書いているが、自宅近隣のイオンモールでも、イオンモールのモールは川口、川口前川、レイクタウン「kaze」があり、リテールのモールは戸田、与野、浦和美園、レイクタウン「mori」がある。一般のお客様にはわかりにくいが、テナントのグレード感やモールスタッフの対応は違っており、ここではダイアモンドシティの歴史も併せ持つイオンモールのほうがやはり安定感はある。イオンリテールのモールもPM(運営管理)はイオンモールがしているが、決定権はなくスムーズな運営ができていると思わなかった。過去、15店舗以上イオン系のモールに出店したが、イオンリテールのモールはすべて退店した経緯がある。

さて今後考えられることは何か?おそらくイオンリテールのモールはすべてイオンモールが管轄していくと思う。これで、イオンリテールの仕事が明確になり、モールへの投資等もイオンモール主体となり、旧イオンリテールのモールの改善は進む。そしてイオンリテールも投資は主たる業務の小売業に向けられる。これが一番の改善ポイントになる。さらに今後、CSC(コミュニティSC)やNSC(ネイバーフッドSC)は間違いなく注目される。従来のGMSを作り出したように、新しいSCの開発に目を向けていける。古いSCに新しいテナントなどの導入で活性化できるし、特に前述した小型物件の開発も他の子会社と連動できる。

ただ、ここからのイオンモールのモール事業はどうなっていくのか?まず、RSC(郊外大型モール)の理想形からはどんどん離れていくような気がする。現状のイオンモールは間違いなく伸び悩んでいる。2024年2月期の営業利益ではコロナ前の2割強ダウンしている。RSCとしての評価も、明らかに「ららぽーと」に負けている。その最たる理由はGMSのイオンをキーテナントにしていることに起因している。もう大きな面積でGMSをゾーニングする必要はない。すべてカテゴリーキラーで賄える。そしてそのほうが集客もできる。SMでさえイオンリテールでは勝てないかもしれない。つまりイオンリテールの売場(特にGMS)を切り捨てていくことができるかどうかが成功の鍵にはなるが、イオンの方向性を考えると、おそらくそれはできない。つまりRSCとしての進化は、まちがいなくなくなる。

今回のイオンモールの子会社化は「脱RSC」へ進むような気がする。そしてGMS事業は今後も続けていくという意思表示なのかもしれない。

■今日のBGM

客層を選ぶのか、客層に合わせるのか?

各社の1月の売上速報を見て、ブログを書き始めて途中でやめた文章が残っていた。それを読んでいて、まとめきれなかったのだが、少し修正をしてみようと、再度書いてみることにした。

タカキューの数字を拾っていて、間違って第3四半期決算資料を開いてしまい、それを見ていた時に感じたことだ。数字に関しては改善を示しており、今期決算でどういう着地になるのかというところだとは思う。ただ、決算概要の中に「再成長に向けた課題解決」という項目があり、理路整然と示されているのだが、現実としてどうなのかと少し引っかかった。きれいな言葉で書かれてはいるが、現場はそう動くかなと思った。ターゲットを明確にしてMDを再設計するということだが、いかにも書類上のことのようにしか思えなかった。

タカキューはイオングループの会社だったし、まだ現在でもイオンは大株主ではある。イオンという会社は、やはり大企業であり、明らかに昔の小売業ではない。短期間だが、仕事をしてきてそれは痛切に感じた。特に従業員教育に関しては驚くほどの内容があり、小売の勉強をしないとついて行けない厳しさもあった。タカキューが、その環境下にいたということは、おそらく政策論は十分やりつくしているのではないかと思う。小さな変化は当然あるが、再成長に向けた今回の実施施策が、どれだけ従業員に響いたのかはわからない。外部から新しい風を入れて変革しようというのはわかるが、従業員はもう疲れているのではないだろうか?

私自身も明確にわからないので、文章がまとまらなかったのだが、一番気になるのは「ブランドを再定義する(ポジショニングを変える)」ことは正しいのかどうかということだ。このブログの標題の「お客様を選ぶのか、お客様に合わせるか?」が明確でなく、そこが一番すっきりしない。長年商売をしてきて、お客様が離れていった。その結果、数字が悪化している。離れていったお客様を再度呼び込むためにお客様に合わせるのか、きちんとした戦略を立てて、再度お客様像を変えるのかということだ。しかし出店場所は大きくは変わらない。従来のお客様がターゲットになる。新しいお客様を引き込めるかどうかのリスクは高い。

そして、再定義したポジショニングが得意な販売チャネルはどこなのか?どこにするのかも明確にする必要がある。ショップ運営で大事なポイントだと思う。ただ、今はもう自社のブランドポリシーを推し続けていくより、お客様に合わせていくしかないような気がする。もし「お客様を選ぶ」方向なら、今の出店政策を根本的に変える必要があるように思う。

この「再成長に向けた課題解決」を見ると、今まで繰り返されてきたことの焼き直しで、きれいごとにしか見えない。現場感が見えてこないこと、具体的な戦略の変化が見えないことを、従業員がどう捉えるのだろうか?そこが、変革のポイントになるだろうと思う。

やっぱり、書き直しても、うまくまとまらなかった。

■今日のBGM

店舗大型化への壁

先日、「グローバルワーク」が増床改装で売上を上げていき、アダストリアのコアブランドにしていくという記事についてコメントした。売場を大きくするということを、簡単に政策に上げるが実は非常に難しい。大型化したためになくなっていったショップは数多くある。

RSC(大型モール)を主な出店場所とするなら、売場は50坪以上で組み立てたほうがいいと思う。40坪くらいまでの小型店と、それ以上の中型店では条件面で差が出てくる。おそらく近年はその傾向が強いのではないだろうか?特にリーシングに苦労しているSCにとっては、空床期間は短くさせたい。さらにある程度の大きさのテナントを導入させたい。そのためには若干の条件面での優遇はある。例えば坪当たりの最低保証の金額を低くしたり、最低保証をなくしたりして歩率のみにする交渉も可能になる。

例えば、40坪が適正だったボリュームゾーンのメンズカジュアルの店で、売場を広げるには何をするか?まずプライスラインの幅を広げる。ブランド商材を投入したり、高感度商材を導入したりする。値段の幅を下に下げるのはなかなか厳しいので、ボリュームゾーンを厚くすることも当然考える。メリットはグレード感が出ることだが、デメリットは「値段が上がる」ということになる。さらに、カジュアルからドレスへの幅を広げることも考えられる。それにより、客層の幅は広がるが、ここでのデメリットは「客層の変化」「商品回転率の悪化」があげられる。雑貨類の拡大もある。ここまでになると、「商品品揃えの得意、不得手」というポイントも出てくる。アウター、カジュアル、雑貨とも仕入れの視点が変わってくる。それだけに品揃えの偏差値は上がる。つまり、現状の店に絶対プラスすべき商材やブランドなど必然性がなければ、大きく売場は広げにくい。

最も安易に考えれば、レディス衣料を加えて世界観を広げることだが、これは一番危険な取り組みだ。まず商品サイクルも違うし、見せ方も違う。同じ目線で品揃えできる人間は数少ない。MD型のショップでは全体のまとめ役が必要になり、その責務は大きい。このやり方で売場を広げて成功した例はブランドショップぐらいで、MD型のショップではあまり見たことがない。

商品だけの問題点も上げたが、当然「人」「金」の問題も出てくる。売場が大きくなってセルフ販売に変えるのならいいが、従来の販売方法を続けるなら、当然人員を増やす必要がある。つまり人件費は増える。さらに拡大することによる内装費や経費負担も増える。それを吸収できるだけの売上増は当然必要にはなる。

さてどうすればいいか?もう一度ゼロベースから店のコンセプトを作り直していく必要がある。例えば、ユニクロのように「シーン」は強調せずに、「商品」「値段」だけを大きな切り口にしたり、無印良品のように「世界観」を決めて、その「世界観」を共有してあらゆる商品群を品揃えしたりする。両者とも目線を揃えるべき「決まり」が必要で、そこをジャッジすべきマーチャンダイザーがいる。つまり最初からショップのブランドを作っていくしかない。

単純に売場を広げたり、客層の幅を広げたりするには、多くの検証が必要で、安易に決定すべきではない。今まで築いてきた店のMDテーマがぼやけていくことが一番の致命傷になることが多い。

売場の大型化には、最初からブランドを作りかえるほどの労力が必要になる。

■今日のBGM

専門店の出店場所 ②

今の商業施設を別の角度で分類してみる。嗜好品の比重によって分けてみたい。

最も比重が高いのは、都心部にある百貨店になる。従来の百貨店はもう都心部にしかなく、地方百貨店はこのくくりには入らない。次に都心の専門店中心のビルで駅ビルもこの中に含まれる。ファッションビルがなくなりそのターゲットも取り込むが、ここも都心部に限られてくる。都心以外の地方百貨店で上位ランクのお客様はもう地方では買わず、都心百貨店を利用する。つまり嗜好品を購入する層は大幅に減っている。

RSC(大型モール)は明らかに「ららぽーと」のテナントリーシングが他のモールより上回っている。「ららぽーと」がなく競合が少ない(所謂タヌキが出るような)エリアでは、大型モールの「イオンモール」などが昔の地方百貨店に近い立ち位置になっている。

その他のRSCは従来のGMSやSMと同様、食品と日用品など買い廻り品のニーズが高い客層になっている。RSCのSMの内容次第では強い個性を持つSMより集客力がなく、RSCの吸引力も弱まってきている。RSC内のGMS(例えばイオンモールのイオン)は差別化の要素もすでになくなっているように感じる。

つまり、嗜好品を求める客層は大幅に減り、デイリーユースの客層が大幅に増えている状況にある。

衣料品や生活雑貨の専門店の中には、近年SCの集客に頼らず自社のMDだけで売上を確保できる自信を持った専門店が多く出てきている。つまり、「ルミネ」でなくてもいいし「ららぽーと」でなくてもいい。その商業施設のターゲットでなくても、自社の商品が好きで来店してくれる顧客だけで商売できる、マイペースで出店を考える専門店が増えてきている。

「ユニクロ」は駅ビルの高層階の出店にメリットを感じなければ、駅周辺の路面店に出していくし、「無印」も近年はRSCの一角で規模感が合わなければ、自分の世界観が出せる場所で出店する。特に近年は両社とも「生活感のある顧客層」へもアプローチしている。もともとターゲットがフル客層だし、嗜好品の比重もない。そしてお客様を選ばない。そうなれば、来店頻度が高くデイリー性の高い商材が多いSMなどと共存することも、立地条件の高い都心部への出店と同様のメリットも出てくる。

RSCは一部の施設を除いては、狭商圏化している。駐車規模などのメリットは当然大きいが、利便性は低い。RSC出現まで中心だったGMSなどは、立地と大きさで再注目されるように感じる。リニュアルコストを抑えて、さらに前述してきたような生活感あるテナントミキシングができれば(必ずしもSCでなくてもいい。フリースタンディングでもいい。)十分に活性化できるように思う。そしてそうなれば、そこは、従来のいろんなSCへの出店より、魅力があるように感じる。

「ユニクロ」や「無印」さらに「ニトリ」などがRSCから消えれば、さらにRSCの魅力は弱くなる。そういった客層の幅が広いデイリーユースのテナントを呼び込めれば、RSCよりCSCのほうが魅力的になる。

専門店の出店場所は変化してくる。専門店は現状の既存店の動向に加えて、新規出店の状況を慎重に見定める必要がある。

■今日のBGM

専門店の出店場所 ①

「小売業はお客様を見て品揃えするのか、コンセプトを貫いて品揃えするのか」という内容でブログを書いていたのだが、出店する場所によってやはりMDも経費率も変わってくるので文章が止まってしまった。少し出店する商業施設の変化についてまとめてみたい。

まず、駅ビルか郊外の商業施設か路面店に分けて考える。

駅ビルは大都市か地方の中心都市しか売上は望めないだろう。2023年の売上データでは梅田ルクア883億、相鉄ジョイナス643億、JR博多598億、ルミネ新宿473億、エスト472億など大都市の駅ビルが上位を占めている。当然乗降客が多く、中心地にあるので賃料は高い。通勤客が多いのでキャリア層狙いとなる。そうなると出店するショップは大手アパレル系の直営出店や大手専門店が中心になる。出店コストも高いのでなかなか中小の専門店の出店は厳しく、出店ができても郊外都市の駅ビルしか想定できない。

路面店は大都市の都市部ではお客様が流れるが、郊外に行けばフリー客は少なくなる。わざわざ来店してもらえるような商品の品揃えでなければ、間違いなく成り立たない。さらに店舗イメージを上げなければならないので、内装や什器には金がかかる。近年は幹線道路沿いに、ユーズド系の大型店舗も見られる。

郊外の商業施設は敷地面積5万坪以上のRSC(リージョナルSC)と1.5万坪~5万坪までのCSC(コミュニティSC)、それ以下のNSC(ネイバーフッドSC)に分類される。近年出店が多いイオンモールやららぽーとがRSCに分類され、昔のGMSがCSC、スーパーマーケットを中心にしたSCをNSCと考えればわかりやすい。イオンモールは公式に売上を発表してないが、ららぽーとの2023年度売上では、ラゾーナ川崎883億、東京ベイ628億、エキスポシティ519億、富士見514億、豊洲488億と大きな売上になっている。イオンモールはレイクタウンを別として近年500億以上の施設はほぼないか、少なくなってきていると思う。現状専門店の主な出店場所はここになる。ただ食品以外のイオンのGMSに魅力がなくなっており、さらにモール出店過多エリアでは2階、3階の空床が多くなっている。ターゲットが合えば出店交渉も進みやすいのではないだろうか?それでもあるレベルの出店費用は必要になる。

現状、イトーヨーカドーや西友の売却などがあるGMSはもう成り立ってはいない。建物も老朽化している。逆にSMは生活必需品であり各社しのぎを削っている。出店も多くなっている。つまり、CSCの衰退とNSCの活性化が現状では進んでいる。ただ数多くのCSCは既存のGMSで残っており、今後どんどん改廃が進んでいくと思われる。

このブログでも書いているが、近年、RSCは出店過多で本来の商圏(車30分圏)内に競合SCが乱立しており、各モールのショップMDも大きな変化がないため、完全に狭商圏化している。所謂RSCのCSC化を感じている。逆に現状のCSCの改廃を進めれば、中途半端なRSC並みの売上は十分可能なのではないかと感じる。さらに活性化してきているNSCはその近辺に大型専門店を呼び込むことで大きな商業集積にもなっていく。

近年少しずつ商業施設の変化が出てきており、今後の小売専門店の出店場所も変わっていきそうな気がする。

■今日のDVD

大型モール(RSC)の寿命 2

前回、標題について少し納得いかない気持ちで書いていた。大型モール(RSC)が多すぎるということが大前提ではあるが、理想のテナントゾーニングも大きく変化があるのかもしれない。「ファッションビルがなくなりつつある」のブログの中で年齢別人口について書いているが、その構造は大きく変化しており、客層の変化がRSCの寿命にも影響があるのではないかと考えられる。

RSCの開発が進みだした2000年と一昨年2023年の年齢別人口を見てみる。(単位:万)

0~14才 2000年 1850 構成比14.6   2023年 1417 構成比11.4:

15~29才 2000年 2575 構成比20.3   2023年 1821 構成比14.6

30~49才 2000年 3366 構成比26.5   2023年 3031 構成比24.4

50~64才 2000年 2696 構成比21.2   2023年 2544 構成比20.5

65才以上 2000年 2204 構成比17.4   2023年 3623 構成比29.1

まず顕著なところでは65才以上(所謂年金世代)の人口を見ると、2023年は2000年の人口が164.4%と増加し、人口構成比も大きく上昇している。ちなみに2023年最も多い年代層は65才以上で、2000年に最も多い年代層は30~49才となっている。人口構成比も2000年はRSCでのメインターゲットの30~49才を中心にきれいに分布されているが、2023年は高年齢層に引っ張られている。つまり、2000年は本来の「お母さんと子供たち」だったのが「おばあちゃんとお母さん」に変わったというイメージがある。

29才までのヤング層は総人口も73.2%まで落ち込み、特にRSCでの購買動向も弱いのでティーンズヤングターゲットの店舗は当然厳しくなる。そうなると高年齢層が大幅に増えている現状、可処分所得は間違いなく減ってきており、値段を打ち出していく商売は当然のように増えるし、そこが集客のポイントになる。食品以外では高年齢者でも違和感ないファッションで値段志向も強い店舗が賑わう。今売れているRSC内の大型店はすべて当てはまる。

高年齢層が増えると、車での来店手段も減っていく。つまり、商圏は当然狭くなり、買い上げ点数も減ってくる。さらに所得も減るので実需品へ流れが強くなる。本来RSCが求める広域商圏で時間消費型ではなくなってくる。

では今後SCの流れはどうなるのだろうか?所得が減っていく高年齢層も取り込めるSCに流れていくような気がする。当然商圏は小さくなる。従来のGMSなどの立地でMDを変えていったコミュニティSC(CSC)や食品SM中心のネイバーフットSC(NSC)が再度活性化する気がする。消え行くGMSは画一的なレイアウトで効率を考えた売場に魅力を感じなくなっただけだと思う。価格志向のSMは媒体でも多く取り上げられている。衣料品でも「ユニクロ」「GU」は人気だし「しまむら」や「西松屋」などの大型店も好調を続けている。「ニトリ」や「無印良品」などの生活関連の大型店も業績はいい。そういったテナントをうまくミックスすれば高年齢化にも対応できるように思う。

大型モールはあまりにも乱立しすぎている。RSCの周りにCSCやNSCがあることが、本来のあるべき姿だと思う。各大手小売業も収益構造が変化している。多すぎるRSCをどう変えていくかが企業としても大きな問題になってくると感じる。

■今日のBGM

大型モール(RSC)の寿命

近隣でもあり、営業状況が厳しそうな「イオンモール川口前川」の退店店舗が非常に多い。HPを確認すると大型店舗の「GAP」や「須原屋書店」をはじめ「バナナリパブリック」「ロデオクラウン」「アクシーズファム」「ヨギボー」など17店舗となっている。各テナントとの契約満了時期とも考えられるので2月度もさらに増えそうな気配はある。

日本のRSC(大型モール)は1981年に三井不動産が「ららぽーと船橋」を開業したのがスタートだと言われている。ただ、その後のららぽーとは2004年の「ららぽーと甲子園」までRSCを作っていない。私は、その後イオン(ジャスコ)と三菱商事とで設立されたデベロッパーの「ダイヤモンドシティ」が日本の大型モール(RSC)の基礎を築いたと思っている。今はイオングループでイオンモール(AM)となっているが、その最初のRSCがダイヤモンドシティ「キャラ」(現AM川口前川)である。イオンも単体で1999年にAM倉敷,2000年にAM成田、岡崎、高知をオープンさせているが、RSCとしての考え方は、その当時いろんな打ち合わせをした経験から、「ダイヤモンドシティ」があるべき姿を追求していたと思っている。

AM川口前川もすでにオープンから25年を経過しようとしており、建物自体の老朽化が感じられ、さらに増床を重ねてきた売場の使いにくさも顕著になってきている。そして従来想定された商圏にいろんな商業施設が出てきており、競合が激化している。致命的だったのは1.5Km圏に売り場面積5.9万㎡のAM川口がオープンしたことだと思う。もともとあった小型SCを増床させ2500台の駐車台数、150店舗でさらにAM川口前川にないシネマもある。AM川口は必ずしも成功しているとは思えないがAM川口前川には大きなダメージはあったと思う。さらに5Km圏にはアリオ川口、AM北戸田、10Km圏にAM浦和美園、新都心コクーン、15Km圏にAM与野などの大型競合施設があり、20Kmまで広げると越谷レイクタウンやららぽーと富士見など国内最大級の商業施設がある。すべてAM川口前川の後発であり、商圏がどんどん狭められている。さらにテナントMDも苦しんでおり、狭商圏化と老朽化で、新しく買いやすくなった他のRSCに流れてしまっている。そのため厳しくなったRSCの特徴の「その他、サービス」業種のテナントがどんどん増えていっている。

RSCの創成期から見ているが、RSCの寿命は30年くらいのような気がする。特に日本では中心になるイオンモールの劣化が目に付く。2000年代前半にオープンし好調だったイオンモールは、もうピークの7掛け以下の売上になっていると思う。近年は、規模に走っているのか出店数が多く、AM同士のバッティングも多くみられる。上記したAM川口前川の20km圏でもAMでの競合が4SCもある。2核1モールでほぼ似たような構造であり、MDも大きな変化はない。変化のないMDには安定感はあるが、新鮮なイメージは見えない。「ららぽーと」が新鮮に見えるのは、SCの環境コストも高く、MDも新鮮味があるからだ。そのため、商圏内にあるAMとの差別化が明確になっている。(出店計画は意図的にかどうかわからないがAMより少ない。)つまりAMは、MDも標準化されており、環境レベルも同様で面白みがなくなっている。前述した「ダイヤモンドシティ」にはMDや環境にも冒険的なことや面白さがあったような気がする。デベロッパーという意識が強く、小売業とは違う感性が見えたということかもしれない。「ららぽーと」もやはり同じ匂いはする。

GMSもそうだが「利益」に走るあまり、面白みがなくなっていく。冒険にはリスクが伴う。リスクを持つ反面、鮮度はあがる。余談になるが、以前絶好調だった関西のあるAMのGM(支配人)に出店依頼した時に「このAMは梅田のルクアと同じくらいの売上ですよ。」と全く相手にされなかったことを思い出す。その同時期に西宮ガーデンズの部長は店を見に来てくれた。出店はかなわなかったが姿勢の違いは感じた。

RSCは間違いなく衰退期に入っている。もう一度新しいものを作り出していく気持ち、今あるべき理想の商業施設を作り出す熱意を持たないと、どんどん寿命は縮まる。

イオンモールからイオンのGMSを追い出すくらいの気概は欲しい。

■今日のBGM

なくなりつつあるファッションビル

「心斎橋オーパが閉店」との記事があった。「心斎橋オーパ」は大阪御堂筋沿いにあり「オーパ」のフラッグシップ店舗だと思う。ファッションビルと呼ばれる10~20代をメインターゲットにしてきた商業施設はどんどん姿を消している。

ファッションビルを調べてみると、「衣類や雑貨などファッション関連を取り扱う専門店を主なテナントとするショッピングセンターの一種」とある。近年はターミナル駅にある駅ビルもそのカテゴリーに入っている。諸説あるがファッションビルは西武グループが池袋でスタートさせたと言われている。特に渋谷カルチャーを作った、パルコパート1、2,3、クワトロの4館体制は、街づくりや、ファッショントレンド、若者文化を発信していった。1980年代には「デザイナー&キャラクターブランド」(俗にいうDCブランド)ブームが起こり「ラフォーレ」や「マルイ」を中心に広がっていった。1990年代からは「ギャルブーム」が始まり「渋谷109」は聖地になっていった。

グループでいうと前述した「パルコ」が現在でも一番存在感はある。ネットで見ると現状16店舗(松本が閉店で15になる)となっている。それでも閉店した店も多く、上述した渋谷も3店なくなり、宇都宮や千葉など10店舗程なくなっている。イオン系では「オーパ」が14店舗(心斎橋が閉店で13になる)。オーパもネット上では8店舗程閉店している。同じくイオン系では「フォーラス」は金沢1店舗になっており、好調だった仙台を中心に「オーパ」への業態変更もあり6店舗なくなっている。「ビブレ」は23店舗あったが(東北の別会社を含めると31店)イオングループ下でフォーラス同様「オーパ」への業態変更もあり現状2店舗となっている。かつては各主要都市に必ず1つはファッションビルが存在していた。

20代中心にファッション動向が変化したのだろうか?まずターゲット年令層が大きく減っている。年代層別人口を調べると1995年は15才~29才までの人口が27241(千人)で全体構成比では21.6%を占めていた。それが2023年には人口は18209(千人)で構成比は14.6%まで大きく減ってきている。対象の人口は66.8%まで下がっている。単純にその世代でファッションに興味を持つ比率が同じだとしても、おそらく購買客数は70%以下になっている。

さらにZ世代(2000年前後生まれ)の調査では「ブランドを意識しない」割合が70%超というデータもある。そしてファッションについてはデザイナーブランドのチェックも欠かさないが、購入店舗の上位は「ザラ」「ユニクロ」「GU」「セカンドストリート」となっており、さらに通販のウェイトも上がっている。少し古いが2014年の消費者庁の若者の消費動向調査では、30才未満の1カ月当たりの洋服の平均支出額は1999年度男性5338円女性9345円が、2014年男性2201円女性5081円とほぼ半減するほど大きく下落している。

ターゲット人数が大きく減少し、さらにファッションへの購入金額が減っていく流れの中では当然ファッションビルは成り立ってはいかない。

何とか現状も数字を確保しているファッションビルもある。百貨店と連動してインバウンド客に向けたブランドも展開している「心斎橋パルコ」や大都市ターミナルの駅ビルの「ルミネ」や「アトレ」などは順調な流れのようだ。つまり大きな商圏を持っていることとその立地環境に左右されており、MDそのものよりそれ以外の集客環境のウェイトが高くなっているように感じる。

もう間違いなく、大都市圏以外ではファッションだけで集客できる商業施設は成り立っていない。

■今日のBGM

好調続ける専門店とその変化

昨年12月の各社数値が発表されている。全体的にはまずまずの数字で量販期を乗り切っている。引き続き各社好不調ははっきりしているが、カテゴリーは違うが「ユニクロ」「無印良品」(以下無印)、「ABCマート」(以下ABC)「ユナイテッドアローズ」(以下UA)が常に安定して大きく伸ばしてきている。その中でも「ユニクロ」と「無印」は少しずつ立ち位置が変わってきているように感じる。

セレクト業態の「UA」を除くと、ここ20年の流れに乗って郊外大型モール(RSC)に出店を重ね、その成長と共に大きく数字を伸ばしてきた。「UA」もRSCへの業態も作り、環境が合いそうなSCへは参入している。ただ近年「ユニクロ」と「無印」は出店についての動きが変わってきているように見える。

最も変化が見られるのは「無印」で、出店場所は全くRSCにはこだわらなくなってきている。昨年11月の出店は14店舗で大型RSCと思える出店は0、10月の出店は5店舗で同じく0、9月の出店は9店舗で同じく0と、CSCやNSCには出店はあるがRSCには出店していない。逆に路面店への出店も多い。展開アイテムも多く日用雑貨の観点で600坪前後の路面店も含めて出店を進めているようだ。

「ユニクロ」の出退店の国内データを見ると、2023年8月度決算では出店34、退店43、2024年8月度決算では出店37、退店40、今年度は4か月で出店15、退店10となっている。国内ユニクロ事業は全体の売上の30%に過ぎず、現状の800店舗近い店を飽和状況とみているのかもしれない。店舗の増床含めた場所移動は多く見られる。

「ユニクロ」「無印」ともに、モールでのテナントゾーニングによる出店環境や、他テナントとの相乗効果をあまり意識しないようになっている。つまり他店舗からのプラス効果より自社独自での立ち位置を優先しているように見える。当然大きな集客要素を持つRSCに関しては前向きに取り組んではいる。ただ、モールとの契約では高くなりがちな賃料(それでも低歩率)、基準面積より小さな区画提案、短い契約年数などがあり、それ以上の好条件の場所へ出店するメリットを十分意識し始めているようだ。現実にRSCの大型物件から退店して、近隣に出店する「ユニクロ」は多数ある。そういう意味で、出店条件のハードルが低いCSCやNSCへの出店や、契約年数をあまり意識せず「根を張る」商売をしていける路面大型店への取り組みが増えていっている。

モール側のテナントリーシングとしては、メインフロアにできるだけプレステージの高いテナントを出店させたい。そして上層フロアの核に集客要素の高い大型店を誘致したいと考える。つまり低層階にモデレートな大きい売場をリーシングすると上層階へのリーシングに苦しむ。さらにSCのグレード感を出しづらい。そして現状、それを許容していることがRSCの不振の原因にもなっている。さらにRSCの出店過多もあり、テナント側もよりいい立地への出店を望むようになっている。そういう環境下での好調2社の動きがある。

「ユニクロ」「無印」の決算数字を見ると、海外事業の数字が大きく、さらに数字の計上方法の変化もありそうで一概には判断できないが、大型化によって在庫回転率は低くなっている。特に「無印」は業種が混在しているせいか、年間2.1回転位の数字で、「利益率に走っている」感はある。ただ会社の、「根を張る商売」への方向性は明確になっている。

上記した好調4社はSCの集客を担う上で、重要なテナントになる。「ABC」も売り場拡大を続けており、以前経営していた会社のショップも「ABC」拡大のあおりで店舗移動の依頼を受け、好調店だったが退店した経緯もある(おそらくデベロッパーは賃料ダウンになったと思うが・・・)。「UA」も主戦場は違うが、RSCでの売り上げも小さくはない。「UA」でのミッドトレンドマーケット(グリーンレーベルなど)の2024年の売上構成比は、単体売上高の28%と大きな数字になっている。

この好調小売各社の出店動向は、今後の大型モール(RSC)の流れに大きな影響を及ぼすと思う。

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