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雑談➁ 初めて商売をやって感じたこと

お盆時期で、企業発のニュースが少ないので、商売についての個人的な経験を書く。

断片的に何度か書いたことはあるが、商売をやらせてもらえたのは33歳くらいだったと思う。大手GMS(マイカル)にいたので、それまでも当然小売りの基本的なことはやってきた。当時は、マイカルが量販店の業態変更を始めた時期で、関東でその1号店だった高崎店のフロア改装だった。物販では最上階の6階はDCブランドのフロアで、改装オープン時は地域特性もあり3.4番手のDCブランドしか交渉できず、その後は当然売れず退店が続いた。オープン時から催事展開のショップもあり、2.3年で半分くらいは退店した。200坪位の面積は空床だったと思う。当時は本部で開発担当のバイヤーをしており、計画を立案した。50坪位を「ポイント」(現アダストリア)に他のビルから移転してもらい、残り150坪を自主MDでの提案だった。「ポイント」にはマイカル直営からのMD変更要請があり、交渉の末、デニムはリーバイス501のみで他は「アヴィレックス」「アルファ」などブランド中心でのMD展開で出店してもらった。自主売場は、その当時はやり始めたインポートブランド中心で品揃えした。

もう詳しくは覚えてはいないが、自主売場の数字は平均在庫35000千前後、売上年間100000千弱、利益率は25%程度の悲惨な数字だったと思う。内装投資は西武シード館を真似て無理強いをして稟議を通してもらった。完全に在庫過多で月8000千の売上と考えると回転率は月度0.2回転くらいだった。当然のように、値下げ金額も大きく、なおかつインポートブランドの買取商売だったので、大きな赤字売場になった。営業会議でもあきれられていたように思う。ただ量販店なのでブランド商売には口を出しにくかったようだ。ちなみに、隣の「ポイント」は年間2億近くの売上はあったので改装効果としては大きかった。

まだまだ、インポート(ライセンス)ブランドは地方ではあまり取扱いが少なく、当時のメインブランドは後にメジャーブランドになっていく。「ポールスミス」「マーガレットハウエル」「キャサリンハムネット」など。卸での販売になるので、掛け率は厳しく65%の完全買い取りがほとんどだった。インポートデニムも揃えたので在庫は当然膨れる。その後掛け率交渉はしていき下がってはいったが、やはりブランド品揃えでは儲からなかった。高層階でインパクトを与え、商業施設のイメージアップのためと考えるしかなかった。さらに、お客様には最低限「ブランドの世界」は見せなければならないので、ある程度の在庫を抱える必要が出てくる。個人ではなかなかこういう商売はできないし、考えもしない。その後いろんなブランドから品揃えの話はもらったが、あまりブランドを広げることはしなかった。さらに、儲けるために国内のセレクトショップに卸しているMDブランドの取引先とも商売をしたが、ブランドでなければ商売にならなかった。のちに有名になるブランドも多かったが、結局は取引先との信頼関係があり、条件交渉ができなければ成功は難しいと感じた。おそらく、モデル店舗の西武シード館も収益は計上できなかったと思う。ただ、高崎店はこれをやったおかげで、新しいブランドが目を向けてくれるようになり、収益店舗になっていったと思っている。商売はうまくいかなかったが、企業として、商業ビルとしての注目度は上がった。

そしてその当時感じたことは以下の通り。

  • 自分の金では、ブランド商売は絶対にできない。
  • 大企業の社員の商売は小売だけではない。「損」が「得」になることもある。
  • 好調な専門店は、お客様と商品をよく知っている。
  • かっこよく売る。かっこいい商品を売ることは難しい。
  • 個人がやっている専門店のように、商品を大事に売っていく事も重要。

そして今一番感じることは、「資本力ある商売と、資本力ない商売は、根本的に違う。」ということ。つまり、「金(かね)」の意識が全く違う。

■今日のBGM

イオンモールは不動産業で小売業ではない

ネットを見ていると、今回のイオンモール熊本の事故で、お客様避難終了してから、イオンモール担当者がテナント担当者に「中に入っていい」と言っていたという記事が出ていた。前回も書いたが、少人数のイオンモール担当者が多くのテナント担当者と細かく対応できたとは思えない。防災管理者はおそらくイオンモールのGM(ゼネラルマネージャー)だと思うが、現実的には事故直後は多忙だったはずだ。イオンモール内での疎通ができていたかは疑問だ。

今回のことで浮き彫りになったが、以前からイオンモールのモール全体のマネジメントには疑問を持っていた。イオンモールの主な業務は、大型商業施設イオンモールのプロパティマネジメント(以下PM)になる。PMとは「不動産オーナーから委託を受けて、テナント対応や管理業務を通じて収益の最大化と資産価値向上を図る運営管理業務」ということだ。PM事業をする会社が出てきたとき、その企業の役員で現場にいたので小売業との違いはよくわかるつもりだ。

もともとPMの目的は、請け負った物件をさらに不動産価値を上げ、不動産購入時よりも価値を上げるのが仕事だ。熊本の物件も「イオンリート投資法人」が「みずほリースの子会社」へ売却している。おそらくそこで「イオンリート投資法人」は利益を計上している。現所有者もさらに価値が上がれば高く売りぬく。そういう仕組みになる。ただ現実的に価値を上げる仕事の多くは本部が担っており(改装等での賃料アップなど)、現場は細かいテナントとのやり取りや、PMレポートの作成等に時間を費やされる。つまり小売業としての仕事は多くはない。前回書いたがイオンモールのモール担当者とはモール内で会うことは非常に少なかった。さらに請負業としての仕事でもあるので、企業としては経費面で現場要員は少ないほどいい。

今回熊本の件も、想像ではあるが30名以下のイオンモール要員で、3000人近いテナント従業員を間接的にではあるが管理していることになる。施設管理の旧イオンディライトの要員を合わせても後方管理要員は非常に少ない。そこにひずみが出た。

ではどうすればいいのだろう?小売業と不動産業では絶対に相いれない壁がある。

小売業のお客様は、エンドユーザー(お客様:消費者)であり、不動産業のお客様は施設所有者になる。今までのイオンの商業施設は小売業であるイオンが所有していたのでお客様は消費者だった。不動産業であるイオンモールのお客様は厳密には消費者ではない。この視点に立たなければならない。モールが小売、販売をする場所ならば、小売業者がマネジメントするのが望ましいに決まっている。現状の不動産業のイオンモールは売場が仕事場になっているようには見えない。

そういう意味で、モールはお客様が買い物を楽しむ場所ならば、小売業がマネジメントする方が普通ではなのいか。もともと「ジャスコと100の専門店」のようなSCが大きくなってイオンモールは作られていった。その時は小売業が商業施設を運営していた。つまり、小売業たるイオンリテールが全体を管轄し、小売業としてテナントを管理する。さらにそのエリアのニーズに応じてSCを改装していく。それが本来の姿ではないか?子会社が増え、責任を複雑に絡ませてしまった弊害が今回の事故にもつながっている。

不動産流動化が進み、店舗が「小売業の現場」から「利回りを生む金融商品」に変貌してしまっている。それによって利益は最大化されてきたが、今回の事故のように一番重要な責任が宙に浮いてしまったように感じる。

小売の現場はどうあるべきかを再度考えるべきだと思う。

■今日のBGM

大型商業施設の課題と対策

熊本地震でのイオンモール熊本の被害者になられた従業員の方々には追悼の意を表します。

原因はガス配管等の構造的なものもあるらしい。そして、イオンモールとしては点検を定期的に行っていたようだ。さらに、30分ですべてのお客様の避難誘導は終えたと発表している。イオンの吉田社長は、被害はお客様の避難誘導が終わってその後の事故で発生したと記者会見で述べている。では、どこに問題があったのか?

イオンモール熊本は全従業員2700人と発表されている。その所属先を想定すると、まずGMS(イオンリテール:ジャスコ)が150人程度。メンテナンス会社(旧イオンディライト)が多くて50人。施設運営会社(イオンモール)が多くて30人。その残り約2500人が、ほぼテナントの従業員ということになる。GMSは店長中心にリスクマネジメントは強固だ。つまり、SCのPM(プロパティマネジメント)をするイオンモールが約2500人のテナントスタッフのマネジメントしている状況になっている。当日は平日でもあり、1500人程度のテナントスタッフ数だったようだ。

SC、テナントのお客様は入館客だし、事故が発生すれば、まず優先するのは入館客の安全だ。30分で避難完了したのは、その考え方がデベロッパーとテナント双方同じだったからだ。避難完了後からテナントの命令系統に当然各テナント会社も入ってくる。テナントも、第一義のお客様の誘導が終わった後、当然、所属企業に連絡はする。当然、そこからの指示もある。さらに何も持たずに避難していれば、それを取りに売場に戻りたい。つまり、お客様の安全が第一義であったなら、従業員の安全はその次にはなる。おそらく、そこにテナントマネジメントのほころびが出た。記者会見では話してないが、多くのテナントの従業員は一度店に戻ったのではないだろうか?そういう事例は耳にしている。少なくとも数人ではないはずだ。お客様の誘導が完了すれば自店の状況を確認しようというのは、担当者として当然のことだ。

今回の事故で一番の問題は、SCの管理サイドの人数が少なすぎることと、その少ない人数でのテナント管理は非常に難しく、きちんと細かくマニュアル化されていなかったのではないかということだ。

過去、小売店を経営していて、自店には必ず月1度は臨店していたが、イオンモールではあまり、担当者と会ったことはなく、売場や館内では見かけることも少なかった。よく顔を見かけるスタッフはいたが、限られていた。イオンモールにも延べ15店出店していたので、おそらく感覚的には間違ってないと思う。不動産の流動化でファンド物件になったりすると、レポーティング業務が多くなる。そうなれば当然デスクワークが多くなる。つまり、本来の営業面支援が手薄になり、テナントとのコミュニケーションも少なくなっていたのではないかと思う。そのコミュニケーション不足が、一般客の避難終了後のテナントとの指示系統の緩みにつながったのではないだろうか。

イオンモール熊本の保有者を調べてみると、現状は「みずほリース」の連結子会社が保有している。それまでは「イオンリート投資法人」だった。つまり「みずほリース」が大家で「イオンモール」が転借、運営管理している状況ということになる。イオンモールとの契約形態は細かくはわからないが、PMやFM(ファシリティマネジメント)へは大きくはコストをかけられない状況であることはわかる。そして上記したように、イオンモールの業務は小売業への取り組みより、大家さんへの報告業務が多くなっているのだと思う。さらにイオンモールの収益を上げるにはコスト(人員)は増やせない。そういう積み重ねでテナントとのコミュニケーションが希薄になっていったと思える。

今回の惨事は、当然施設の構造上の問題が一番大きいが、イオンモールの対テナントへのマネジメントの弱さも露呈している。防災組織図よりも細かいコミュニケーションが必要で、オフィスビルメンテナンスと違い商業施設としてどうあるべきかを再度見つめなおすことが大切だ。商業施設としてより活性化できることをテナントと話し合い、提案実施し、各テナントと親密なコミュニケーションをとっていく事を主要業務として運営していってほしい。そうすることで信頼関係は強固なものになっていく。

■今日のBGM

大手小売業と同じ土俵では戦えない

前回、ユニクロの店の業務を書いていて、社員はこの仕事だけで小売業を理解できるのか、売上を求めるだけで小売業を続けられるのかと感じていた。小売業の面白さや厳しさがどれだけわかるのかとも思った。小売業は商品をセレクトすること、作ること、利益をどれだけ上げていけるかということや、企画、演出など商品以外のことなど、現場で売上を上げること以外の面白さもある。そしてそれを阻む要因も多く、それを乗り越えることも大きなキャリアになる。そして、そのすべてが小売業の面白さだと思っている。

調べてみると、ユニクロの新入社員の離職率は3年で50%近く、10年では80%超のようだ。ちなみに大卒初任給は全国転勤可能社員が月度37万円、地域限定社員が28万円となっている。

小売業の面白さの半分も感じない仕事では、長続きしないのは当然だと思う。しかし、よく考えるとユニクロの仕事とその対価設定、個人判断による離職率の高さは、ユニクロとしては当然想定済みのことなのではないかと思った。世界制覇を求める企業として、方向性を同じくする社員が必要で、異を唱える人材は必要がないのかもしれない。さらに小売業の本部機能は小さくて精鋭を揃え、本部決定事項を迅速に現場に伝えることを最優先させるという考え方だ。極論かもしれないが、企業の戦略を理解してステップアップしていく人材を選び、それが無理なスタッフや意見を言うスタッフには離職してもらっていいという考えが根底にある。そしてそれが成功要因の1つなのかもしれない。

そう考えれば、ユニクロの世界的な企業への躍進は充分納得できる。「ZARA」や「H&M」も同様でほぼ単一業態と言える。単一業態であることが企業戦略や役割分担を明確にする。そして、それを迅速に現場に浸透させている。

過去、小売業を立ち上げた時、スタッフには商売の面白さや商売への興味を持ってもらおうと思った。それが中小小売業の成功要因だとも思った。そして、店の個性を出すために店長に仕入れ権限を持たせた。おそらく個人的には、「ユニクロ」や大手アパレル企業よりも面白い仕事をさせていたと思う。仕入れ経験の長い人間は、バランスよく仕入をしてきたが、やはり仕入れ歴が浅い店長は利益計画、在庫計画まで頭が回らない。結局、面白い仕事をさせていたと思っているのは企業の思い込みだったかもしれない。それが店長の働き甲斐になっていたのかもわからない。店長はこんな仕事までしたくないという思いがあったのかもしれない。そしてそれ以前に、現状では中小企業の待遇ではスタッフも集まらない状況になっている。

高齢化の波もあり、商圏人口や、ターゲット客層は大幅に減少する。そうなると商業施設の淘汰も始まる。そうなれば、中小小売業が大企業と戦える環境もなくなる。もう同じ土俵では戦えない。

■今日のBGM

売場内装には気持ちを入れる

先日、以前の会社で売場の内装を中心になってやってもらっていた友人から電話があった。昔立ち上げた店を、譲渡した会社が契約更新で内装を変更するらしい。

内装についてはこだわりを持っていた。過去、DCやインポート、セレクト、ストリートなど、いろんな個性のある内装を見てきた。売場にオブジェがあったり、高そうな石を使ったり、売場が商品をイメージさせていた。地方のオーナー達も、ローコストでイメージをどう打ち出すかを考えて売場を作っていた。商品だけでなく、売場を見ているだけで楽しい時代だった。そういう目で見ると、現状のSCのテナントは標準化された内装で標準化された商品を売っている感が強い。

経営的観点からみると、出店コストは大きい。売場内装だけでも、更地でAB工事含めると最低坪400千は必要だと思う。近年はもっと上昇しているかもしれない。つまり40坪の店で1600万の内装費ということになる。出店経費としては工事負担金などの別途経費も必要になる。さらに敷金などキャッシュアウトも多い。損益上も経費と減価償却費に分けて計上されていくが影響度は大きい。当然、経営上内装コストはできるだけ下げていきたい。

以前立ち上げた店は、ボリュームプライスの量販型品揃え店舗だった。一般的にボリュームプライスの店はセルフ要素も強いので、できるだけ商品を打ち出させる店が多い。当然スタート時から全国チェーンにできるとは考えてなかった。そういう意味もあって、売場イメージにはこだわった。ボリュームプライスの商材だからこそ、売場に個性を出すことを考えた。印象に残る店は、商品の印象もそうだが、売場の印象によるところも大きい。お客様の購買行動を表すアイドマ(AIDMA)の法則でもアテンション(興味)とメモリー(記憶)では大きな要素になる。そういう意味で売場イメージは重要だと考えていた。

退店した店も入れて30店舗近くオープンさせたが、すべて売場イメージに音楽を取り入れた。各店毎に、それぞれジャンルやミュージシャンなどを感じさせる環境を取り入れた。それは売場環境の最低限の決まりにした。売場環境と音楽を連動させようとした。当然あくまでもローコストだ。自己満足かもわからないが、売場イメージを感じてくれるお客様は一定数いたように思っている。

近年、大型モールに行っても、インパクトある内装の店はほとんどない。ユニクロに代表されるように蛍光白色で明るい清潔な店が多い。当然全国各地に出店しており、共通の商品で共通の売り方になるので必然的にそうなる。アダストリアに少し個性的な店はあるが、とがった店は全くなくなってきた。さらにモールには目新しい店舗があまり入らず、売場内装でも新鮮味のある店は少ない。ちょっと個性を感じる地元の専門店もSCから押し出されつつある。

数字が厳しくなっている現状での出店や改装は、成功が必至で、なかなか個性を打ち出せない。個性なき改装は本部主導になってしまうことが多い。本来は、売っていく人間がどうしたいかを主張するべきだと思う。せめて小さな個性でも、店の気持ちを取り入れる必要はあると思う。そして、少しはインパクトに残る「何か」も入れてほしい。

■今日のBGM

パルコが夏のバーゲンを開催中止する

パルコが「今期の夏のバーゲンの開催を中止する」と新聞発表があった。気温上昇で夏物の販売期間が延びていることや、小売り各社もAIによる需要予測で在庫を減らせるようになったことが主要因とのことだ。確かに、昔の「2月8月は売れない月」から8月は「売れる月」に変わっている。新聞の論調は好意的な見方のようだ。

言わんとすることはよくわかる。ただ、7月になってなぜ発表したのだろう。おそらくずっと前に決定され、発表が今になったということだとは思う。当然各テナントには事前に通達していたと思う。そうでなければデベロッパーの信頼度は全くなくなる。

パルコはデベロッパーであり、小売業ではない。つまり賃料をもらってその賃料でコストを支払い、収益計上する。「最低賃料+歩率」「共益費」「販促費」などが各テナントとの契約となっており、それがデベロッパーの売上になる。つまり大きく言えば、歩合賃料などは変動要素になるが、テナントの店舗売上はそのままデベロッパー売上につながるわけではない(大型売り場は売上歩率だけというケースもある)。小売業(テナント)として考えると、当然売上は実売上であり、デベロッパーに払う家賃などは経費となる。わかりやすく言えば売上1000万、家賃(共益費込み)200万、販促費20万とすると。テナントの売上は1000万だが、デベロッパーの売上は220万+α(デベロッパーに支払う経費分)ということになる。デベロッパーの売上は当然実売上によって変動要素はあるが、テナントの売上の変動よりは安定しているといえる。

何を言いたいかと言えば、小売業は前年のセール時の売上に対して当然MD計画を組んでいて、最低でも前年数字を確保しようとする。ここでデベロッパーから「館としてバーゲンをやらない」と言われれば、売り上げダウン要素になってしまう。おそらく各店舗のバーゲンは自由にやっていいのだろうが、館としての販促効果はなくなり、各店舗のマイナス要素は避けられない。逆にデベロッパーとしては、バーゲンの代替企画は当然あると思うが、バーゲンの大きな販促企画経費(グランバザールとしてのCM、演出、媒体などのプロモーション経費)のコストカットの要素も見えてくる。

小売業は夏が長期化との考えはあっても、前年の数字は絶対確保しようとする。それに向かってMDも組んでいるし、セール商材も調達している。夏が長期化する傾向はわかってはいるが、前年の数字は追いかける。他の駅ビルや全国のイオンモールもバーゲンタイトルを変え、時期は遅らせてはいるが恒例のバーゲンはするし、新宿伊勢丹も6月26日にスタートしている。日曜日にイオンモールに食品を買いに行ったが、専門店はバーゲン一色だった。ただでさえ6月の数字は良くない企業が多い。当然売り上げ確保に全力投球する。

パルコも過去には「ポーカーフェイス」や「コレクターズ」「ローズマリー」など小売企業が傘下にあった。小売企業に寄り添うデベロッパーであったはずだ。さらに、地方のヤング層にファッションを提案してきたパルコから、渋谷、心斎橋のようなラグジュアリーやインバウンド要素の高い店に変わってきており、「身近な小売りの現場に寄り添う館」のイメージが消えていっているように見える。

何度も言うが、「夏のバーゲン中止」はおそらくもっと早く決定しており、各テナントとは調整をしての発表だとは思うが、頑張っている日本の小売業には寄り添ってないような気がしてならない。

■今日のBGM

レイクタウン 今後のリーシングはきびしい

久しぶりにレイクタウンに行ってきた。以前このブログでも人造湖の周りの環境整備を指摘したが、着実に計画が進んでいてテナント誘致を始めており、環境は良くなりつつあった。平日でも多くの客数で、イオングループでは一番の商業施設であることは間違いない。北関東の観光名所的なところもあり、平日ということもあり比較的高齢者が多いようにも感じた。

客数も多く、郊外型商業施設では国内No1であることは間違いないが、この施設は今後どの方向に進むのだろう。具体的にはkazeとmoriをどういう個性にしていくのか、駅前型と郊外型に分けているように見えるが、どういう方向性なのだろうか?そしてそのリーシングは、今後うまくいくのだろうか?

近年は足元にマンションが増え人口増加も見られるが、もともとイオンの商業施設中心に開発された街である。ここで駅前型と郊外型に分けるのは無理がある。オープン時は別会社として運営しており、kazeがイオンモールでmoriがイオンリテールだった。そういう意味でモール運営として先行していたイオンモールの方が明らかに「売れる」リーシングをしていた。それが現状は、企業としてイオンリテールのモールとイオンモールは合体していて全施設ともイオンモール管轄になっている。そうなることで、差別化が難しくなってきたように見える。1つの施設としての観点と2つの別々の施設での観点では考え方が大きく変わる。さらにはアウトレットも管轄している。

おそらく、現状はkazeとmoriを2つの施設として想定している。果たしてうまく差別化はできるのだろうか?特にkazeは「食」を拡大しようとしている。「そごう西武ショップ」もカミングスーンだったし、他の食物販ショップも改装中だった。ただこの大型施設のSMは、moriがイオンのGMSの食品でkazeがグループ企業の「マルエツ」であり、差別化は全くないと言っていい。これで「食」での差別化はできていくのか?

「食」以外でも、今後出店を希望するテナントが増えてくるとは思えない。現状、レイクタウンには700を超えるテナント数がある。現在の商環境を考えれば、大企業以外のテナント開発は難しくなっている。さらに新規テナントを優遇条件でリーシングするとも思えない。実際、レイクタウンにない有名テナントは数えるほどしかなく、思いつく中では「ハンズ」「アカチャンホンポ」など近隣のららぽーと出店店舗くらいになる。数年前に高知の「ジーンズファクトリー」を誘致、宇都宮の「アーク」等とともに地方の人気店舗を導入しているが、その後他エリアの人気店舗導入の広がりは見えない。そうなると候補に挙がるのが、やはり大手企業の新規開発ショップになるが、現状の企業体力面では新規ショップは多くは出てこず、さらに高い賃料を支払うとは思えない。

お客様の流れを見ていると、デイリー的な車客はmori が中心になり、比較的若い客層はkaze中心で、その層のmoriでのニーズは2階の連絡通路からのメインフロアと飲食関連のみになっているように見える。さらにmori3階は目的型のフロアになってしまっている。そのため、moriの3階は空床や催事的なテナントが増えてきている。

レイクタウンオープン時代はモール全盛時代でkazeもmoriもリーシング面でスムーズに進めていけたとは思う。以前の会社もmoriに出店したが、非常に強気なリーシング手法だったと記憶する。ただ、現状は、上記したように国内ほとんどの企業はレイクタウンに出店しており、新規企業は賃料面の高さでなかなか手を上げられない。さらにKaze3フロア、mori 3フロア、アウトレットと非常に規模が大きくピンポイントで場所を選べない。今後、おそらくリーシングはますます厳しくなっていくと思う。

最後に、アウトレットについてだが、思い切って湖畔に内装イオン負担でラグジュアリーブランドを持ってこない限り、活性化はない。今回「シップス」が出店したが、簡易内装だし様子見で出店した感が強い。「紀ノ国屋」も出店していたがほぼ居ぬき店舗に見えた。「ユナイテッドアローズ」も「ビームス」も品揃えがアウトレットのオリジナルブランドばかりだし、もう完全に都心近郊のお客様には見抜かれている。アウトレットは特にリーシングに苦しんでいる様子がよくわかった。ただ、アウトレットが今後このSCの鍵になることは間違いない。

モール開発当初のように、出店希望企業が多くは出てこない。そして、小売企業自体の体力が落ちている。さらに「イオンモール神話」も効かなくなってきている。現状の賃料基準を考えなければ手法はあるだろうが、そうもいかない。5年後10年後はどうなっているのだろうか?マイナスを補うべく、小売以外のヒットはあるのだろうか?

■今日のBGM

今後、伸びる要素のあるSCは?

小売業の流れは本当に早い。45年位前、大学を出て就職口がなく何とか流通業に滑り込んだ。その当時はGMS絶好調時代で、どんどん店舗を拡大していった。それがもうダイエーがなくなり、イトーヨーカドーもGMSではなくなった。入社したマイカルも民事再生後イオングループとなった。さらにイオングループのGMSも体裁は整えているが、SMを除くと収益は出ていない。金融戦略のために、損益度外視で続けている現状がある。つまりGMSはなくなったと同じ状況にある。

さらに、百貨店もすでに大都市にしか成り立たなくなってきている。大都市東京都下でも、渋谷でさえ百貨店はなくなってしまう。おそらく10年後には半数ぐらいの県庁所在地でも百貨店はなくなってしまうのではないかと思う。個人的にはファッションビルも経験したが、マルイ(一応ファッションビルの分類)は金融業に転じほぼなくなり、ビブレもほぼ消滅し、パルコのみ大都市で残っている。駅ビルも同様の流れで、交通拠点の駅でしか成り立っていない。

代わりに、RSC(大型モール)がイオンモール中心に続々出店してきた。ただ、20年以上経過し、現状はもう完全に勢いは弱まってきている。新規物件は少なく、新規出店場所も地方郊外が多く、今後の地方人口減を考えると、全くプラス要素はない。完全に飽和状態になってきており、逆にイオンはCSC(コミュニティSC)やNSC(ネイバーフットSC)の開発を進めている。反面、大都市近郊に慎重に出店を続けるららぽーとは堅調に数字を確保してきている。

この50年近くの商業施設の動きを簡単にまとめると以上のようになる。

今後20年で果たしてどう変わるか?高齢者が増え続け、大都市に人口は集中し地方都市はますます高齢化が進む。20代から50代までの人口は現状の5911万人から10年後は5200万人前後に、20年後は4800万人前後にまで減少する。10年後は現状の88%になり、20年後は81%になってしまうということだ。さらに高齢者層(特に年金受給者層)は、「食」への消費は大きく減らせず、おのずと「衣」への出費は減ってくる。

国内の人口推移を見ていれば、国内の消費量は間違いなく大幅減となる。当然、大手資本の企業は海外を視野に入れるようになる。そうしないと数字はまとまってこない。国内では、郊外のRSCは、地方中核になった物件(400億規模)とららぽーとのような大都市近郊の物件以外は、マイナストレンドになってしまう。特に郊外の中核物件以外のイオンモールは淘汰が始まる。百貨店、駅ビルも大都市物件のみ存続されるが、地方はどんどん淘汰されていく。

狙い目を探すなら、おそらく大都市近郊のCSCではないかと思う。関東でのイトーヨーカドー物件がわかりやすいが、GMSの食品以外をテナントにした物件と思えばいい。衣料服飾品や住まい雑貨の大きな売場に「ユニクロ」や「無印良品」を導入する環境ができれば、その物件は間違いなく再生する。その環境づくりができるかどうかだ。同様にイオンもできそうだが、イオンは金融政策上GMSを続けそうだ。おそらく今後唯一可能性があるのは、都市型に限るがこういう物件だと思う。

唯一の狙い目に、どの企業が一番早く着手するか注目している。

■今日のBGM

2強「ユニクロ」「無印良品」に続くショップは?

前回も書いたが、今後は「中心客層の高齢化」へ加速度的に変化していく。すでに2025年度には50代以上人口構成比が51.7%となっている。逆に、トレンドリーダーだったティーンズヤング層は、大幅に減少している。その流れを理解してMDを構築しているのが「ユニクロ」「無印良品」だと思う。今後、この変化に対応して、続いていく企業はどこだろうか?企業力から考えれば「アダストリア」と「パルG」になるが・・・

「アダストリア」では筆頭に挙げられるのは“グローバルワーク”だが、過去何度か方向性を指摘したが、もう完全に既存イメージが強く、大きな変革はおそらく難しいと思う。企業としてはフラッグシップブランドにしたいのだろうが、ターゲットの客数ダウンが響いて、今後の売上大幅アップは厳しいのではないだろうか。

面白いと思うのが“スタディオクリップ”。女房がイオンモールに行くと必ずチェックするのが“ユニクロ”“無印良品”“スリーコインズ”と“スタディオクリップ”の4ショップ。“スタディオクリップ”はナチュラルテイストで素材感も感じるし、雑貨の比率も高く自然体のイメージがある。「アダストリア」合併前は店のテイストをヨーロッパっぽくしていたように記憶する。そして、できれば今のショップにメンズも加えてほしい。最低限のワードローブから始めていけばいいと思う。「アダストリア」ならできそうにも思うが・・・少しずつ大型化していけば、ちょっと違う匂いの「気の利いた」フル客層型の大型店になりそうだ。余談だが、昔高崎サティ(ビブレ)で働いている時、創業者とも会ったことがある。(前橋の会社で、アダストリアに売却前。尚メガネのJINSの田中会長も昔在職していた。)

「パルG」は“チャオパニック“がその位置に近いが、やはり少し若すぎる。“コロニー”でそこを狙おうとしたのか、少し若すぎたのか失敗しているようだ。もし可能性が少しでもあるのだとすれば“スリーコインズ”の延長線上にあるファッションを開発できないかと思う。安い服を提案するのではなく、”ダイソー“で買わず“スリーコインズ”で買う客層を見極めてのMDを考えられるかだとは思う。少しハードルは高いか・・・それに少し無印良品よりになるかもしれない。

ロープライスゾーンでは「しまむら」や「西松屋」は残りそうで、全く逆の百貨店特選客も必ず残る。あとは「ワークマン」などの目的型ウェアも残る。さらに、ネットのウエイトも上がるし、必然的に販売員も減っていく。当然、店舗数はどんどん減っていく。そうなれば、企業数も減っていくし、SCの数も減っていく。

書いているうちに、暗い結論になってしまった。

■今日のBGM

なぜ「在庫評価損」を毎年計上しているのか?

前回「在庫評価損」について書いていて、腑に落ちなかったので、少し調べてみた。前回イオングループの「ジーフット」について書いたので、同じくイオングループのカジュアルファッションで上場企業の「コックス」も調べてみた。ちなみに前期(2026年)の評価損金額は未発表で計上済とは記入されている。簡単な数字は以下のようになる。

2026年度 総利益率62.2% 回転率2.9 

2025年度 総利益率62.5% 回転率3.2 評価損6.2億

2024年度 総利益率62.7% 回転率3.6 評価損5.3億

2023年度 総利益率57.8% 回転率3.7 評価損5.5億

2025年は期末在庫金額が19.5億なので評価損の金額がいかに多いかよくわかる。

もともとカジュアルファッションの企業なので期中に自由に値段は変更できる。セールで売り切ればいい。普通の企業ならキャッシュが欲しいのですぐ商品を金に換える。次年度迄商品を繰り越すとすれば、ブランド品で割引の規制がある場合や、競合店とのバッティングで取引先との整合がある場合くらいだ。この数字は、キャッシュに心配のない企業で数字コントロールしてればいい大企業サラリーマン経営に見える。さらに付け加えると、期中に値段を下げて利益率を落とすと株価にも影響が出るので避けているとも見える。

一方、「どれだけ売れない商品を仕入れているのか?」ということになる。利益率ありきで、利益率を稼ぐために仕入れているという見え方もある。推測で書くと、「売上が大きく上がらないので利益率志向になる」→「原価率を下げた商品を大量に作る」→「売れずに残る」→「次年度に向けて評価を下げる」→「次年度セールでたたき売る」(利益も回復する)の構図を続けている。商売ではなく「数字合わせ」になっている。

利益率62%という数字だが、ファッション小売業での前期の総利益率はパルG57.5%、アダストリア54.7%、ユニクロ54.1%であり、海外生産が多い大手小売企業でも60%を超えてこない。おそらく利益率を念頭に置いて、原価率を抑えた物づくりを進めていたのではないかと思う。商売は「売れてナンボ」がわかってない。さらに商品回転率の数字もパルG5.84回転、アダストリア4.64回転、ユニクロ3.19回転に劣る。つまり商品が動いていない。

ここまで書いて、いやな気分になってきた。「売れる商品を売れる値段で売る」という簡単なストーリーが崩れてしまう。海外で安く商品を作って相場より3割くらい高く値段をつけて販売し、利益率を稼ぎ、売れ残ったら決算で評価替えをして次年度売り切る。これをずっと繰り返している。何の仕事をしているのだろうと思わないのだろうか?そして、もっと嫌な気持ちを持っていると思うのは現場(売場)だ。おそらく売場が商品の動向を一番わかるし、売れない商品を押し付けられていることも分かる。それだけで士気が下がる。こうなると数字は改善していかない。

こういう流れを見ていると、「コックス」はファッションを売る小売業ではなく、イオングループの商業施設に出店するだけの手段としての小売業にしか見えない。それはそれでイオングループには必要な会社なのかもしれない。

経営理念は何だろう?お客様を見て商売しているとは思えない。こういう商売を今後も続けていていくのだろうか?

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