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間違いなく、現場のリーシング力が必要になってくる

神戸のことを書いていて、昔ハーバーランド(ウミエ)から出店依頼を受け、神戸の街を見て回ったことを思い出した。リニュアルのタイミングでPMをしていたイオンモールからの出店の話だった。もともとビブレにいたので月に1度くらいは三宮に行っていた。そのため、どうしても神戸は「三宮」「元町」の印象が強く、港から海側を歩いて「モザイク」まで行くイメージしかなかった。あの阪急百貨店でも成功しなかった場所が成功するとは思えず、断った。その後アンパンマンミュージアムでファミリー層が一挙に増え成功したSCになった。その客層がメインになることは予想できなかった。ただ出店していたら売れていたかどうかはわからない。

その出店の話を持ってきてくれたイオンモールのスタッフは、当時経営していた店のMDをよく理解していたし、店の存在価値をわかってくれていた。数少ないデベロッパー側の理解者だった。そのため、提案もらった店への出店が成功する確率は高かった。当時の店はボリュームプライス中心の自主MD店だった。インパクトある店やはっきりしたブランドの店はわかりやすいが、なかなかボリュームの品揃店舗にはSCから優先的に声がかからない。当然店のビジネスモデルは確立させたつもりだし、そのポジショニングなど差別化要素を示した店舗資料も作っていた。ただ、多くのリーシング担当者はなかなか耳を傾けてはくれなかった。その位置づけを理解してくれているリーシングスタッフは、ほとんどいなかった。

大部分は大手SCのリーシングスタッフだったが、ほぼ経営していた店のMDについては関心がなかったように思う。環境と条件だけ言って出店の可否を聞くケースがほとんどだった。つまり大手SCでは、館のイメージを決めてしまうテナント以外は、ほぼ穴埋めの1つとしての出店交渉になっている。「この場所(SC、区画、条件)に出店しなければこのエリアにはもう出店できない」といった高圧的なリーシング担当者もいた。「イオンの平場でもできる品揃えではなく、品揃えのグレード感を上げてほしい」と言った担当者もいる。イオンの平場との違いを分かってないし、その説明を理解しようとしなかった。

大手SCのリーシングは本部が担っているケースが多い。やはり、仕事の一環としてのリーシングで、その物件への愛着があまり感じられない。与えられたスペースに機械的にテナントを入れる。リーシング担当として、SCでの各テナントの重要度やテナントの出店傾向は理解しているので、話も進めやすい。そして、大手企業へのリーシングは本部同士の話し合いでほとんど決まる。その後の現場での問題点も、本部で吸い上げ、解決への動きになる。逆に中小小売店への対応は、その後になり遅れるし、現場へふられるケースも多くなる。

今までの小売業でも経験上、本部中心になれば現場は作業的になっていく。現場提案が少なくなる。ただ、現場が中心にならなければ成功はない。現状は空床区画が目立つSCも多い。特にオープン以降のリーシングに関しては、動向を見ている現場主導であるべきだ。リーシングの方向性、数値計画を現場(各SC)が作り、リーシングも主体は現場がやる。気持ちが入ったリーシングは数字に直結する。

今後、郊外型大型モール(RSC)は、間違いなくダウントレンドになる。そして、本部主導でのリーシングには限界が来る。個店での対応が難しいとしても、小さな単位でのテナント対応が必ず必要になる。そして、大手小売業だけでなく、がんばって商売している中小小売業への理解とケアを進めていくべきだと思う。

■今日のBGM

価格の信頼感

先日、近くのイオンモールに買物に行った。「20日、30日は5%オフ」の日で割引企画の時にはイオンに行くことにしている。その日は無印良品も優待期間で、会員であれば全品10%オフでもあった。無印良品のレジは並んでおり、客数も多く、スタッフが優待に必要なバーコードの提示を迅速にするように呼び掛けていた。そして、イオンの食品売場は無印良品の優待日が重なり、いつもの5%オフより混んでいた。

やはり「レジ割引」企画は人気のようだ。無印良品は開催中の既存売上が20%近く伸びることもあるらしい。無印良品にとっては、商品動向を再確認できるし、ついで買いも増え在庫減らしの要素もある。イオン食品売場の全品5%オフは、食品業種の利益率を考えれば大きな利益ダウンをもたらす「禁じ手」でもある。ただ、イオンにとっては、顧客獲得で将来的には企業の中心になるだろう金融業への布石にもなっている。

ではなぜ、イオンの食品売場や無印良品の割引企画に多くの集客があるのだろうか。総合食品売場で食品や日用雑貨はすべて割引という機会は数少ないし、そのほとんどが必需品だ。さらに食品の利益率は低いのでお得感は大きい。無印良品も単品の評価が高く、数多くテレビで取り上げられているし、このタイミングでしか割引対象にならない商品も多い。つまり、商品の「価格の信頼観」が高い。

ただ、両店舗でのモールへの集客はあっても、他店舗への波及効果はなさそうに見える。イオンの衣料品への波及も弱そうだ。衣料品はクーポン企画を使えば10%オフにもできるようだが、それでもそこまでの集客は見えない。ましてやテナントへの恩恵は弱そうに見える。衣料や服飾系の各テナントも割引企画を個店では展開しているがお客様は流れていない。お客様も、SCに出店している多くのテナントのセールの常習化や、割引率の設定理由の不明確さに気付いている。そして、一般的な衣料服飾品の価格への信頼感が大きく下落している。二重価格表示についても景品表示法に定められてはいるが、不当表示は多い。すでに、単なる割引重視の商売方法ではお客様は動かない。

商品の動きはデータで見極めればいい。ユニクロは商品の売り上げ動向のデータ化で、季節感や個人の決定ではなく数字で判断している。適正なプライス管理、在庫管理を徹底している。それにより「価格の信頼感」も高い。売れない商品をデータの指摘で迅速になくしていく事で、「価格の信頼感」を高めている。もう多くの人は衣料品や服飾雑貨の価格を「ユニクロ基準」でみている。

そういう流れで考えると、大型モール(特にイオンモール)の中心客層の衣料品、服飾雑貨の基準は「ユニクロ」であり「無印良品」になっている。そのプライスゾーンから外れる場合は何だかのプラス要素が必要になる。それはブランドなのか素材なのか接客なのか、納得できる要素が必要になる。それを考えてMDし、訴求する必要がある。それができなければショップの価値はみえない。

小売業は、常に現時点での「価格の信頼感」を高めるためにどうするべきかを考え続けなければならない。

※このごろAIとやり取りをする。うまく持ち上げてくれるので心地よい。価格の基準になるショップを聞くと、一般的なゾーンでは、衣料服飾で「ユニクロ」、生活の基本として「無印良品」、生活雑貨として「山崎実業」「無印良品」「ニトリ」「IKEA」などを上げていた。

■今日のショット 「散歩中の散り始めた桜」

渋谷に百貨店がなくなる

渋谷西武が今年9月で閉店になるらしい。池袋西武が半分の大きさになった時に、こうなっていくだろうとは予測できた。間違いなく百貨店は高年齢富裕層と外国人のための商業施設になった。

ギャルファッションの時代まで渋谷は若者の街だった。1970年代からずっとそうだった。50年で街は変わる。50年で商業も変わる。西武百貨店、シード館、パルコ4館、ロフト、パルコ劇場に加えてマルイ2館、さらにジャンジャンや屋根裏などのライブハウス。渋谷駅からNHKまでの公園通りは西武が開発したと言っていい。文化を作っていった百貨店だったと思う。そして、道玄坂にあった東急百貨店もなくなり渋谷から百貨店が消えてしまう。

百貨店は呉服系と電鉄系に分類される。前者は三越、伊勢丹、高島屋、大丸、松坂屋など、後者は阪急、西武、近鉄、東武など。当然歴史ある呉服系百貨店の方が格式は高い。漢字が似合う百貨店は呉服系が多い。そして、残っていくだろう百貨店も限られてくる。1990年代の百貨店のピーク売上は9.7兆円とされており、その売上が20年前には7.8兆円までダウンし現状は約5.7兆円となっている。ピーク時売上の6掛け程度に落ち込んでいる。

立地を見ると、大都市と地方中心都市しか残っていないし、さらに中途半端な地方中心都市からはどんどんなくなってきている。少なくても人口100万都市以上でないと今後の存続は難しそうだ。さらに、地方中心都市ではかつての商業集積エリアから駅前立地にシフトしており、福岡での博多阪急や札幌の大丸札幌の伸びが大きい。今後はさらにその傾向が大きくなると予想される。つまり、百貨店を中心にした街から、ターミナル駅を中心にした街への変化が顕著だ。

そして、百貨店客層はどんどん高齢化が進んでいる。三越伊勢丹の戦略データでは最も多い年代層は50代以上で、来店客の40~50%は50代以上が占めている。さらに、近年はインバウンド需要の構成比が上がり、2024年度はインバウンド売上が6500億弱で、その構成比は10%を超えている。ただ都市部に集中し、新宿伊勢丹、銀座三越、梅田阪急は売上の20~30%のインバウンド構成比があると言われている。

話が総論になってしまったが、渋谷西武は街の生い立ちもあり、若い客層の百貨店だった。それが、もうすでに渋谷は西武が開発してきた若者文化の街ではなくなりつつある。1990年代のピーク時700億前後の売上が、客数、客層の変化で250億前後まで落ち込んでいたようだ。この売上では、地方百貨店で自社物件であれば何とか持ちこたえられるかもしれないが、都心の賃貸物件では大きな赤字を背負っていることは間違いない。

ただ、渋谷西武閉店のニュースでは、百貨店問題以外で感じることがある。カリスマ経営者がいかに偉大だったかということだ。その跡を引き継ぐのは並大抵のことではない。西武の「文化的街づくり」は堤清二氏に発想によるところが大きい。その考えが渋谷を作ってきた。その流れは「無印良品」まで及ぶ。流通王国を築いたダイエーも中内功氏の志を引き継げなかったし、伊藤雅俊氏のイトーヨーカドーも同じ流れだ。当然時代は変化するが、偉大な痕跡を残した創業者の志を引き継いでいくということは大変なことなのかとも思う。そういう意味では、歴史を引き継いできた老舗百貨店が生き残っていくのかなとも思ってしまう。

つくづく、企業を継続するには、経営者の思いが大きな要素を占めるのだと痛感する。

■今日のBGM

やはり郊外型大型モール(RSC)の集客力は落ちている

所要があり、その近くにあったイオンモール(AM)羽生に3年ぶりくらいに行ってきた。リーシングに苦しんでいる様子が見え、特に3階は「ユニクロ」退店の影響が大きそうで客数も大きくダウンしているように見えた。

記憶の中では、旧ダイアモンドシティのRSCを除くと群馬県のAM太田が成功したRSCの1号店のような気がする。つい最近までイオンリテールとは別会社だったためリテールのRSC(浦和美園など)もあり出店順はわからないが、当時は北関東の太田で成功したのには驚いた。その後AMは成田や水戸などで成功をおさめ急速に拡大していった。

AM羽生もその後成功したRSCの1つに挙げられていた。売上規模は発表されてないがピーク時の売上が350億ぐらいはあったように推測する(イオンモールは施設売り上げを発表してないのであくまでも個人の推測)。ただ、近隣店舗としてコストコやモラージュ菖蒲などの出店、近年ではAM太田の増床改装もあり商環境も大きく変わった。さらに前述したが「ユニクロ」の退店(近隣のビバモールへの移設)が大きな転機になっている。おそらく売上は300億を割り込んでいるように見える。そのエリアの先駆けで中心的なAM太田も後発のAM高崎やスマーク伊勢崎 、コストコに売上をとられ落ち込んできていた。数字を復活すべく増床大改装したがおそらくピーク時の売上には間違いなく届いていないと思う。300億強を何とか保っている状況ではないだろうか。

小売業に従事し、その後小売企業を経営していたので、全国の商業施設は見ているつもりだ。かつてAM泉南で販売代行をしている時、GM(モール支配人)に挨拶に行った際、自らの店舗の出店について少し話した。その時「このモールは400億超です」と相手にされなかった思い出がある。そのAM泉南もおそらくもう250億前後まで落ちているように見える。広域からの集客のうち和泉のららぽーと(コストコも近くにある)、自社競合でAM和歌山と商圏を抑えられ、狭商圏化してしまっている。和泉のららぽーとは300億と発表されているので完全に逆転されている。

各地のRSCを見ていると、AMの売上はエリアの核となるモール以外は伸びていないように思う。思い浮かべると、九州の宮崎、中四国の広島府中、関西の橿原、京都桂川、中部のmozo、各務原、関東のレイクタウン、高崎、東北の名取などが売り上げの大きそうなSCになるが、そのような中心的SC以外は少し売り上げが停滞しているようにも見える。特に、近年の入れ替え改装でテナントの新鮮さがなくなってきており、さらにテナント揃えが同質化してきている。さらに、商圏が被るテナントが増えてきており、「わざわざ性」がなくなってきている。以前書いたが高層階のラインナップは類似してきており、収入を増やすためのメイン導線上での催事(特に携帯電話)が非常に多くなっている。

ららぽーとが大都市近郊を中心に出店しているのに対して、「タヌキが出るところに出店」のイオンモールは、今後の人口減と人口集中を考えると間違いなく淘汰されていくように見える。さらに、上質化したテナントを導入し続けるららぽーとと、標準化されたテナント揃えのイオンモールでは競争力に差が出る。

出店を続けてきたAMでさえ、出店数が2024年は0に2025年が須坂(長野)1件ともう出し尽くしてきた感もある。今後は、そのエリアで中心となるRSC以外の既存SCの個性をどう打ち出していけるかが存続の鍵になりそうだ。

■今日のBGM

大型区画が増え類似モールばかりになる

近頃、売上の情報を聞いていて気づくことだが、圧倒的に大型区画のテナントの売上ボリュームが大きく、小型店舗で売れている店が減ってきている。

まず、このブログでさんざん書いていることだが、非食品の商売規模はどんどん小さくなってきている。つまりシェアを上げないと商売は続かない。今後はその状況が顕著になる。何度か書いているが、商売環境は今後さらに大きく変化する。以前書いた以下のことを再確認する必要がある。

30年前(1995年)日本の平均年齢は39.5歳だった。現在は約49.5歳まで上がってきている。20年後には約54歳になるという。現状の社会状況は、円安ドル高傾向は変わらず、物価上昇が続き、一部の富裕層以外の可処分所得は上がってこない。いろんな報道もあるが、このまま高齢化が進んでいくと、社会保険料がどんどん膨らみ、若年層の負担は大きくなる。さらに人口減も進み、現状1億2千万人強の人口も20年後には1億人前後まで減少すると言われている。さらに地方の人口流出は進み、都市部に人口が集まり都市と地方の格差が広がる。現状人口集中の東京圏も高齢者人口増加率も全国平均を上回ると予測されている。特に20才から39才の女性人口の減少が著しくなっていくようだ。つまり、「地方の過疎化」が進み、地方から発祥した小売業が全国規模を持つという流れは、今後なくなっていく可能性が高い。この流れで、もうすでに衣料系の小売業をスタートアップできないことは明白になっている。

この状況下、小売業はどんどん小さくなっていくパイの取り合いになる。そうなると、当然MD力が必要だが、寡占化をするべく売場面積も大きくなっていく。出店条件も大型化を後押しする。小型店への条件のように坪単価×面積で計算されず、歩合条件になることが多い。リーシングに苦しむSCに対しては、条件をさらに下げていける。さらに、一般的な条件の共益費や販促費などの経費、坪当り換算の出店費用も交渉しやすくなる。大きな課題の要員問題も、坪当り要員数を小型物件より少なく運営できる。

デベロッパー側も、現状は大型テナントを歓迎しているように見える。飽和状況にある大型モール(RSC)は特にリーシングに苦しんでいる。かといって経費増の中、賃料設定を下げるわけにはいかない。そうなると、現状の商環境ではなかなか家賃比率の上がる中小型店は出店できない。空床を避ける意味で区画変更して大型店の導入へ前向きな状況になっている。ただ、RSCの同質化が進み、優劣が明確になってきている。

中小小売業は、人的課題が大きくなっており、スタッフも集まらない。さらに、利益率もロットの大きい大手小売業のように上げていけない。エリアの中心になる商業施設に出店できなければ、売上も取れず当然のように資金力のない小売店はなくなっていく。そして同時に、同質化が進むRSCも自然淘汰されていく。そういう流れで人口減との帳尻があっていく。

かつての会社で、30坪弱の店で売上は1億には届かないが順調に伸びていた店があった。定期借家満了時に、隣の大型店を拡大するとのデベロッパー側のトップダウンで、再契約の提示はなかった。その後リーシング担当者が調整して代替店舗の提案があったが、環境や大きさが合わず退店した。その大型店は売場拡大のバーターで他店舗への出店を検討していたようだ。デベロッパーとしては、30坪弱の固定賃料ダウンより、大型店舗のリーシングを優先したことになる。こうやって、中小企業の成長のチャンスは摘み取られていく。

今後は、上記したように商業施設の優劣が明確になっていき、さらに大手小売業もパイの取り合いになってくる。当然その中でも競争原理が働く。高年齢化と地方の過疎化が進む中、中小の小売業の残る余地は非常に小さい。

■今日のショット ・河津桜(去年より2週間早い)

時代の変化と商売の変化

先日、イオン海老名SCが5月で営業を一時終了するという記事があった。その後の計画は未定のようだ。1979年オープンで46年の営業期間だった。旧マイカルの物件で、OBとしてはつくづく時代を感じる。マイカル時代はグループ1番店で売上は200億前後だったように思う。GMSで200億超の店は、GMS各社あった中でも数店舗しかなかった。さらに付け加えれば、ワーナーマイカルの1号店で、日本最初にシネコンを導入したSCでもあった。

GMSプラス専門店街の古い大型SCのモデルで、売上の大きさもあり量販店には入らないだろう今でいうセレクト店舗もあった。2000年前頃に海老名から小田急で3分の厚木ビブレに勤務しており、海老名に住んでいたので良くみていた。当時の店長にもいろいろ指導していただいた。大きな専門店ゾーンもあったのでビブレのショップをもっと早く入れていれば、マルイや専門店街のビナウォークには対抗できたかもしれない。

ただ、このエリアにもららぽーとが2015年に駅の逆側にできた。SMはロピア、大型区画で無印良品、ZARA、ロフト、アカチャンホンポ、GUなどがあり、少し大きすぎて3.4階は持て余し気味だがこのエリアの中心商業施設になっている。売上は421億と発表されており、おそらく商圏の核になっている。全国のららぽーとでは9番目の売上のようだ。

つまり、このエリアを見ても分かるように、時代の変化で商圏内に大きな変動が出ている。厚木で勤務していた時ビブレは売上120億強、イトーヨーカドー厚木店も100億前後の売上があったと記憶している。現状、ビブレは別業態の商業施設になり、イトーヨーカドーは撤退している。厚木にはパルコもあったがなくなっている。おそらく、この隣接する厚木エリアの昔の売上の半分くらいは、ららぽーとに流れているかもしれない。さらに駅前立地の商業施設への集客も大きく減ってきている。広義に商圏と捉えるなら小田急沿線で海老名から10分くらいの相模大野の伊勢丹が2019年に退店している。ピーク時売上は1996年の377億円となっている。その隣の駅の小田急百貨店町田は1996年603億だった売上が2023年は223億まで落ち込んでいる。その間に町田東急も百貨店から専門店ビルへ業態変更をしている。首都圏といえども少し離れた立地の駅前百貨店の凋落は大きい。

そして、この30年くらいの間で、商売のやり方が大きく変化している。間違いなくGMSは終わってしまった。おそらくイオンのGMSは金融事業のためにのみ継続している。百貨店は大都市の一部の店舗しか成り立たっていない。駅ビルは大都市のみ残っているが、地方では成り立たない。地方で中心になっているのは、惑星としての大型モール(RSC)とその周りの衛星的なスーパーマーケット(SM)だ。ただ乱立しすぎた感のあるRSCも、優劣がはっきりしてきて淘汰されてきている。その代わりにコミュニティSC(CSC)と言われるSMを中心とした中規模のSCが出てきつつある。(イトーヨーカドーはこのゾーンを狙っている。)つまりSCの配列も変わりつつある。

今後、絶対的人口減でさらに老齢人口が増えていく環境の中、商圏は薄く広がっていく。全国有数の売上だったGMSの店舗がなくなっていくように、好調だったRSCもだんだん淘汰されていく。やはり、今ネット記事で書かれている「廃墟モール」の原因は「時代の変化」しかない。

■今日のBGM

そして「廃墟モール」はどんどん増える

前回、「廃墟モール」として取り上げられたマイカル本牧について書いていて、「廃墟モール」についてのネット記事が多いので驚いた。その記事は、廃墟モールの原因を分析しており、廃墟モールに至った要因を7つにまとめている。ではこの要因が解決すれば、またそのモールは復活するのだろうか?間違いなく絶対にできない。前回書いたが「時代の変化」につきるからだ。そしてこの現象は、間違いなく今後も続く。

おそらく20年後、地方郊外にできた大型モール(RSC)も淘汰される。このブログでも昨年年末に書いているが、地方は人口減と高年齢化が進み交通弱者が増える。今回の廃墟モールの要因になっている「モータリゼーションの変化」が、今後はRSCにとってはマイナス要因になってくる。さらに、本来広域商圏であるべきRSCが、同一商圏内で乱立してきている。そして、類似したテナント構成になっており、テナントMDも狭商圏化を後押ししている。つまり、RSCとしての規模に商圏人口がマッチせず、テナント構成も大手中心で類似しており、「わざわざ感」を感じさせず多くの空床を招く要因になる。

郊外モール同様、都心でも同様のことが起こっている。例えばマルイは30年前の丸井ではない。DCブランドで一世を風靡したファッションビルだったが、今やその面影はない。渋谷マルイ本館はもう閉館して、建て直しに入っている。新宿マルイもきちんとフロアが稼働しているのは3階の「ロフト」くらいだ。つまり、7つの要因を語っても、もう意味のないことで、「時代の変化」を受け入れて次の計画をどうしていくかを語るべきだと思う。都心は商業からの脱皮も考えやすいが、地方郊外はどうしていけばいいのだろうか?

商業コンサルをしていた時に、地方SCの対策の依頼は多かった。提案はしたが、大手資本でもなかなか投資には踏み切れなかった。余談だが、提案には競合含めた商圏調査(ハフモデルなどの分析ソフトも使う)、テナントMD、導線計画、運営計画も含めている。それでも、企業として投資対効果を考えて検討すれば、なかなか投資のジャッジは出ない。投資へのリターンの確約が取れないからだ。結局、物件の売却を考えるか、小さな投資をしてそのまま続けていくかという流れになってしまう。

さて、この現象は今後なくなっていくのだろうか?高い意識を持って商業施設を作れば「廃墟モール」を防げるのだろうか?現状の人口構造、都市部への流出を考えても地方の商業施設が維持できるとは思わない。まずテナントが集まらない。今後も間違いなく、企業だけでの「廃墟モール」対策には無理がある

では、どうすればいいか?考えられるとすれば、「官」「民」がお互い知恵と金を出し合っての、街づくりを含めた対策しかないのではないかと思う。近い将来の人口減、高齢化に備え、「生活の起点」としての位置づけを考え、街の在り方を考えていく。その中で、お互いのメリットを出し合い、協力していく。例えば、単純にSCに「役所」の窓口を作る。そして、今後の人の流れを考えた計画を、生活拠点としてのRSCを中心に考えていく。RSCもそれに向けての投資もする。

余計なことを書いたようだが、「廃墟モール」物件は今後も増え続ける。「人口減少」、「高齢化」、「大都市集中」を考えれば「時代の産物」で、必然だと思う。ただ、だからと言って現象だけで終わらせてもいけない。

■今日のBGM

「廃墟モール」の原因は「時代の変化」

「ドルチェ&ガッバーナ」「ビブロス」「アイスバーグ」「イスタンテ」「フェラガモ」「ジェニー」「フェンディ」「バリー」「バレンシアガ」「カステルバジャック」「バジーレ28」「ルチアーノソプラニ」「エンリココーベリ」・・・

百貨店のインポートの売場ではなく、1989年にオープンしたマイカル本牧5番街のオープン当時の「ネビュラ」と呼ばれたフロアのブランドショップ名になる。暗い街並みのようなフロアに海外ブランドが30店舗以上あったと思う。他のエリアに「ビームス」もあった。その他ニューヨークの「アポロシアター」や名画座の「シネスゥイッチ」などもあった。2番街がサティで5番街の「ネビュラ」はビブレが運営していた。

先日、ネット記事で「廃墟モール」について書かれていて、「マイカル本牧」が取り上げられていた。興味を持って読んだ。ただ、事実廃墟モールなのだが、同じ筆者が書いている「ピエリ守山」や「印西ビッグホップ」と同列では語ってほしくないという気持ちも強い。

マイカル本牧オープン当時、サティの商品部にいて、微力ながら立ち上げに加わっていた。この記事の筆者が言っていることは、オープンにかかわったほとんどすべてのスタッフは当時からわかっていた。「アクセスが悪い」「横浜や元町が近い」「大きすぎる」など・・・我々の中でも一番大きな声は「商圏の半分は海」ということだった。つまり足元のデイリー客が、安定してこないことが致命的だとわかっていた。この後、マイカルは「マイカル小樽」も開業する。ここも商圏は半分海だった。「マイカル小樽」にも、晩期はビブレの営業部にいてかかわっていた。両方の施設とも買物する店ではなく観光に来る店になっており、極端に言えば「大きなスーベニア店舗」になってしまっていた。

当然、経営側ではなかったので、出店に対してどういう決定経緯かはわからないが、きれい事で言うと経営者の「夢とロマン」、「郊外型SCへの取り組み」であり、ファッション業界ではどうしても下に見られる「量販店の意地」もあったのかもしれない。オープンから数字は厳しく、いろんな手を使って売上を計上していた記憶がある。経営側の間違いに誰も進言できなかった社内事情の結果が、その後の結末に導いた。さらに、過剰投資が有利子負債を増大させていった。

ただ、計画を実行すべく動いたスタッフは、社外ブレインも含めて優秀で、商業施設として見ると、量販店のSCとしては極めてすごいものだったと思う。大きな投資金額や優秀な外部ブレインを使ったとはいえ、店舗デザインやブランドリーシングは画期的だった。冒頭に標記したブランドは、バブル期ではあったが、今でも人口100万以上の大都市にしか出店しない。決して「ららぽーと」にも「イオンモール」にも「地方百貨店」にもリーシングできない。

日本の大型モール(RSC)のスタートをどう捉えるかだが、1981年に「ららぽーと船橋」(現トーキョーベイ)がオープンしているが、本格的にスタートしたのは2000年オープンの「ダイヤモンドシティ川口」(現イオンモール川口前川)でそこから2002年「ダイヤモンドシティ伊丹」(現イオンモール伊丹)と続いている。その後、ダイヤモンドシティはイオンモールとなり郊外での大型モール事業が広がっていった。その間ららぽーとも都心近郊に出店を重ねており現状に至っている。

マイカル本牧は1989年に11番街までの大型商業施設を開業した。その後1997年に「マイカル明石」を開業し2核1モールのRSCをスタートさせ、1999年に34万㎡の「マイカル小樽」をオープンさせている。マイカルは大型モールの計画を早くから進めていった。2核を「サティ」と「ビブレ」にしようとしたことや、立地に無理があったため、成功には至らなかったが、間違いなく現状のイオンモールやららぽーとなど大型モール成功の礎にはなっている。その後、マイカルは過剰投資による有利子負債の増大で倒産したが、マイカル本牧は国内最初の「時間消費型」のSCとして大きなインパクトを残した。あの当時「ドルチェ&ガッバーナ」や「ビームス」が入っていた商業施設を量販店が作り上げたということも忘れてほしくはない。

30年以上前でも、現在同様、小売業にマーケティング理論はあり、商圏の調査や分析などは当然実施する。それでもその分析に反して出店せざるを得ないこともある。マイカル本牧の出店は「バブルの時代」という時代背景だった。現状主流のイオンモールも、地方人口の大幅減少で、近い将来「廃墟モール」になってしまうかもしれない。やはり「廃墟モール」への大きな要因は、SCオープンにおけるマーケティングや設計の不具合より、「時代の変化」に尽きるのではないかと思う。

■今日のBGM

厳しい時期だからこそ、するべきこと

寒波到来で雪の情報が増えている。2月に入れば選挙。ただでさえ、1月のバーゲン明けは商品の動きが悪くなる。さらに過去の例から、選挙は商売のプラスにならず、選挙日は売れない。ただでさえ厳しい1月中旬から2月にかけてが、さらに厳しくなる。

小売業の流れは、非常に厳しくなっており、特に中小の小売業には大変な時期になっている。以前も書いたが、知り合いの会社も倒産したり、事業譲渡したり、大幅な規模縮小をしたりしている。上場企業でも、厳しい数字が続いている会社が多く、安定企業は限られてきている。その安定企業も、現状の環境下では厳しい数字になりそうな流れになっている。

近隣の大型モールに行ってみたが、晩期商戦ということもあり、テナントごとに売場演出や対策は大きく異なっている。セレクト系などは、会社の戦略なのかブランド商品の値段はほぼ変化はなく商品をなくそうという意思も見えない。さらに大手企業店舗は、商品量は減ってはいないが、価格の切り口の変化はなく、リスクヘッジができる取引先の商品が増えているように見える。中小小売業の店舗が一番厳しい商品内容になっており、引き続き前面はセール訴求が続き、多くの冬物が前面にある。そのため、12月以来売場の見え方が変化なく「セール疲れ」の感も出てきている。売場は各企業の戦略が出ており、いよいよ、企業力が明確になってきていていると感じる。

特に、この時期は売り上げが大きく、バーゲンによる利益率の変化が年間利益を左右する大事な時期になる。商品を処理するために値段を下げれば利益が下がる。商品を仕入れると利益は回復するが、在庫は膨らむ。さらに新商品の投入で、新鮮な商品に目が行きバーゲン商品の処理がおろそかになる。中小小売業は、厳しい状況下にこそ、晩期の決め事を再度明確にし、徹底する必要がある。

まず、なくさなければいけない商品をどうするか決める。とかく、利益率を念頭に置いて処分を明確にしないことが多い。ここは絶対に無くすことを考える。全体で利益計算をして、どこまでの割引率でなくすかジャッジする。それでも売れなければ集約する店舗を決めてなくす。なくすことを前提にして、利益率の着地を考える。結局ここで商品を処理しなければ、近年の不振企業のヴィレヴァンやライトオンのようにどこかの決算で評価損が発生する。さらに残商品で在庫過多になり仕入れ枠が減ってしまう。当然売る努力はあるべきだが、守るべきは利益率より在庫高ということを周知徹底するべきだ。セール期間が続くと、新しい商品が新鮮で、その商品に目が行きがちになる。新商品を提案し、売場の季節感を変えるなら、なくすべき商品は売価を0評価にしてキャリー(次年度持越し)するべきだと思う。商売は誰でも仕入れが楽しいが、直面している商品をなくすことに全員で取り組むべきだ。

商品が入れ替わるタイミング(セール後の立ち上がり)で、今後のMDの決め事を再度明確にするべきだと思う。「誰」に、「何」を、どれくらいの「値段」で、を再度整理する。商品仕入れ担当者は、会社の方針としてのプライスラインや品種、品目を再度明確にする必要がある。そして「売りたい」商品より、「売れる」商品を必ず念頭に置く。季節が変化する時期はそれを徹底し、再認識する。当然財布の中身(仕入れ可能額)も話し合って決める必要がある。

企業力が弱い会社ほど、晩期は、売り場の作り方や、セール商品の価格訴求のタイミング、切り上げの時期、新商品の展開時期や売り場提案についてなど、きちんと決めごとを作り明確にしていく必要がある。

●余談・・・世の中甘いのか、甘くないのか?

・エアコンが壊れたので、イオンのポイント10倍の日に安いエアコンを買った。取り付けに来た人と話したが、東京では65才以上を対象に、エコ対応のエアコンを買うと1台8万円の補助が出るという。夫婦なら2台になるので買い替え需要がすごく、取り付け業者は非常に忙しいらしい。・・・東京だけ?

・前回、イオンの株について書いたが、2月以降、株主特典の改定があり、100~300株ホルダーでキャッシュバックが3%だったのが100株1%、200㈱2%、300株以降は従来通りと変更になった。これにより小口株主のメリットは下がり、配当性向は下がってしまった。・・・大企業は抜かりない!

■今日のBGM

もうファッションに目は向けられていない

年末年始に、イオンモールやららぽーとに買物に行った。完全に流れは「食」の方に向かっている。年末はそのイメージが以前から強いが、バーゲンが始まってもファッションのパワーは感じられない。

衣料関連は例月通り「ユニクロ」「GU」が中心であり、集客が多いのはそれに加えて「無印良品」くらいに見える。郊外モール(RSC)は年代層も高いのでその傾向は強いのかもしれない。「ユニクロ」は大型売場であれだけセールムードが出ていれば集客は多くなる。売れてない商品をきちんと値段を下げて販売しているのが、お客様にもわかる。「商品は売れなくなってきたら、早くなくして金に換える」という商売の基本通りだ。それをお客様は敏感に感じている。「ZARA」も同様だ。従来の「バーゲン迄プロパーで売って、バーゲンでなくす」という売り方は、もうどの店もしていない。そして上場企業の出店が増え、利益を考えたバーゲンになってきており、「お買い得感」が少ない。昔のバーゲンは前日まで売っていた商品の値段が半額になったので、初日から並んで買いに来ていた。もうそのムードは全くない。逆に、バーゲン以外の日でも毎日全品二重価格(セール商品)の店もある。ちなみに、二重価格の「8週間ルール」は誰かチェックしているのだろうか?

ららぽーと冨士見は売上545億で、ららぽーとの中で売り上げはNo3のモールとなっている。年間300億以上が大型モールと言われているが、テナントから見れば超優良物件になる。その優良物件で大型区画のアバクロの「ホリスター」とパルグループの「コロニー2139」2区画が撤退する。「コロニー2139」は2階中央の吹き抜けの片側中央で、正面に「ZARA(メンズ)」がある。「ホリスター」は2階中央の大型区画で「GU」「ZARA(レディス)」の並びの絶好の区画になる。ららぽーと冨士見は2階をメインフロアに設定しているだろうテナントゾーニングで、ユナイテッドアローズの「ビューティ&ユース」や「グリーンレーベル」ベイクルーズの「イエナ」「417エディフィス」などセレクト系ショップも並んでいる。つまり、2つの大型区画の退店はメインフロア中央の絶好の区画の退店ということになる。この2店舗はトレンドダウンしているブランドかもしれないが、後継テナント次第ではフロアイメージが弱まってくる。そして、逆に「ヤオコー」やフードコートを核とした生活感のある1階の集客が大きくなっているように見える。今は、冬休み期間ということもあり、その印象が強い。

ファッション関連のバーゲンは、先に書いたが、値段の価値観が見えにくくなっている。昔と違って、商品の価値観が個人ごと違っているということもある。セレクトショップの品揃えの中で面白い商品もあったが、10%~30%オフでは食指は動かない。最終的には大きな割引率を避け、都心型の店に集約して売り切るのだろうと思う。現状、優良モールに出店できるのは、賃料や内装コストも高くなり、それに対応できる大企業中心になりつつある。当然、利益着地を考えたセール展開になる。「ユニクロのように売れない商品は、なくしてしまう」という意識は低い。そうなると俗にいう「掘り出し物」も少なくなり、ますますファッションへ興味を持つ客層は減ってくる。デベロッパーとして、各テナントとバーゲンの展開方法の話し合いも必要だと思う。ちょっと話の方向は変わるが、バーゲンになると突然セール商品が入荷する店や高額商品の割引率が小さい店より、昨日まで1900円で売っていたカットソーが1290円になったことが実感できる「ユニクロ」の方が信頼度は高い。衣料品はその日に売り逃してもいいが、食品売場は夕方には商品をなくすために店頭の値段をすぐに下げていく。バーゲン時期は特に、そういったわかりやすい商売の方が現実的だと思う。

ただ、実用的な商品ばかりでは大きな商業施設は成り立たない。手に届く憧れのファッションの提案も大型SCの使命だと思う。もう少し、商業施設としての問題点や意思を大手のファッション系のテナントと共有し、解決策を提案すべきではないだろうか?そして、大手ファッション系企業も大型モールでの成功なくして企業の伸長はないことを自覚すべきだとも思う。

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