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やはりファッション系の出店は少ない

SCに出店する店は少なくなってくると予測してきた。コロナで傷んだ企業が、同じくコロナで傷んだ大企業がやっているSCには出店できない。利潤を追求する大企業は当然賃料を下げるわけがない。現状維持かそれ以上を言ってくる。その条件に対応できるのは利益率の高い新業態か、収益が安定している企業になる。収益が安定している企業はさらに大型化を模索し、省力化を図り、坪家賃も引き下げる。全体の坪数は変わりないので、賃料のしわ寄せは、当然他の出店テナントに来る。

実際に現場を見てないが、イオンモールのリニュアル店舗のHPをみる。(新しい順)※新改装店のみ。あくまでも公式発表でなくHPでの個人的な検索数。

■イオンモール京都 11/2オープン

新店15    飲食系7 通信(携帯等)2 その他(保険、体験型等)3       衣料1(ワークマン女子) 雑貨1(ゾフ) 催事1(イケア) 

■イオンモール幕張新都心 9/15~順次オープン

新店22     飲食6 その他(車、家、ゲーム等)9 生活雑貨2       衣料系3(古着2、オフプライス1)雑貨2(サックスバー、ABCマート)

■イオンモール広島府中 9/22~順次オープン

新店14    飲食5 その他(ゲーム、ヘアー、ペット等)3 生活雑貨2       衣料系3(ハニーズ、スタイルミキサー、ワークマン女子)雑貨1(チェルシーニューヨーク)    

やはりファッション系の出店は少ない。当然リニュアルは多いが政策的な出店と思える「ワークマン女子」(ベイシアとイオンの確執はなくなった?)とバロックの新業態「スタイルミキサー」が目立つ程度。雑貨でも数字は厳しいと思われる「チェルシー」やイオンモールではあまり望まれてないだろう「ハニーズ」の出店は、きついリーシングを物語っているし、あとは大手の「ABCマート」と「サックスバー」の大型化出店。その他、飲食や携帯、保険、ペットなどの出店が多い。ファッション関連ではリニュアルの目玉になりそうな出店は見当たらない。コロナで入れ替わりの激しい飲食やメインフロア外の改装が中心になっている。

広島府中や幕張新都心はイオンモールの中では大型SCであり、リーシングも力を入れただろう物件だ。見てもなく失礼だが、大きな目玉のないリニュアルのような気がする。

今後も、今まで改装の目玉だったファッション店舗の導入は減っていき、好調店舗の大型化と「その他業種」の導入中心のリニュアルが中心になっていくことが予測される。それによってテナントの好不調の差が広がり、大型SCの魅力がどんどん薄れていくように思う。

■今日のBGM

顧客はどんどん年をとる

ずいぶん以前に書いたと思うが、顧客管理をやればやるほど固定客の年齢は上がっていくので客層は高くなっていく。昔から中高年対象の店なら新規顧客になるかもしれないが、ヤングターゲットだった店はどんどん顧客ターゲット年齢は上がっていく。

「レイカズン倒産」と聞いて、原因はそこにあると思った。平成系ブランドと言われて、どちらかというとショップブランドというより平成系品揃えショップの主力ブランドだったと思う。もうずいぶん前のことでほとんど忘れてしまったが、DCブランドの流れが悪くなってきて光が当たったブランドだったと記憶する。当時カジュアル品揃え店舗でカットソーが売れていた「ナイスクラップ」が大ヒットし、追随していったブランド群の1つだったように記憶する。同じ流れだった「マジェスティックレゴン」も別会社の経営になっている。

今その当時のカジュアル系ブランドで残っているのは、「45RPM」「「チャイルドウーマン」「ヒステリックグラマー」などがあるが、完全にブランドのターゲットや立ち位置を変えている。

特にカジュアル品揃え系の店は近年激減している。ユニクロに代表されるSPA型専門店が増え、さらに駅前ファッションビルから郊外モールへ買い物の主戦場が変化しており、各ショップや品揃店の立ち位置が見えなくなってしまった。さらに前述したが、従来の顧客は年齢を重ね、新しいターゲットの開発ができてない。郊外モールにシフトした「ストライプインターナショナル」や「ハートマーケット」、少し意味合いは違うが「アナップ」や「イング」もどんどん店舗を減らしている。

「レイカズン」はもともとの卸先は専門店だった。その専門店がもう成り立っていない。前述したターゲット年齢もあるが、やはり値段の壁も大きい。例えば、販路が専門店であれば専門店もメーカーもともに利益を50%出すとすれば、25%で作って50%で卸す構図になる。ユニクロなどSPA企業は25%で作って60%で売っても40%分値段が安くなるし、利益も大きい。引き付ける商品がなければお客様はもう専門店には足を運ばない。

今残って成り立っている専門店は、昔のジーンズ専門店くらいしか見当たらない。ジーンズにトレンドは少ないし、値段も崩れていない。ある程度の値段は通る。重厚な内装なら、なおいい。Bshop系の「ダントン」や「オーシバル」などを組み合わせれば根強いファンもついてくる。ただ以前から述べているように、在庫の問題があり多店舗化は難しい。

昔売れていたレディス品揃えブランドは、「客層の変化」と、「卸先の減少」、「値段の壁」で大きな戦略変更がなければ、どんどんなくなっていく。

■今日のBGM

資本の論理

長崎ココウォークというSCには私自身大変思い入れがある。長崎自動車㈱のSCで、バスターミナルとSCを併設している。会社を立ち上げる前に在籍していた丹青社の子会社時代コンサルをしてきて、その時の長崎自動車㈱のスタッフの皆様と一緒に立ち上げた経緯がある。「いい物件を造ろう」と思う人たちが多く、地元企業らしく収益はもとより、地元への貢献を強く望んでいたように感じた。大きくない物件だけど、その後も「TSUTAYA」を導入したりして、手が入っていて地方ではいいSCだと思っている。その後立ち上げた会社の店も入店している。

長崎駅の改装に伴い、長崎の商圏は大きく変動する。今回、駅ビル(アミュプラザ)が大改装増床を実施し、11月にオープンする。それに伴って、ココウォークから「ユニクロ」と「GU」が退店しアミュプラザに移設となる。その2店舗はココウォークでも順調な売り上げだったと思う。ココウォークとしても大変な痛手になる。今回のアミュプラザへの移設で2ショップとも増床は間違いないと思う。そして大きな集客要素にはなる。

長崎駅は新幹線も開通し、観光名所も多くあり、好立地だから当然使用客も多いし大きな地の利を持っている。でも共存出来なかったのかとも思う。ココウォークにとっても大きな痛手に違いない。いろいろな交渉を繰り返したと思う。

鉄道や駅はだれが作ったのだろう。昔、JR系のSCの出店交渉で「出直してこい。まだ駅ビルのレベルではない。」的な対応をされた思い出がある。同じ鉄道系(私鉄)の好調SCは、店を視察してくれて丁重に対応してくれ、その差が大きかったことを思い出す(出店はできなかったが・・・)。イオンやららぽーとは企業自らの力で開発してSCを作り出した。JRはだれの金でできたのかを考えてほしい。一等地に商業施設を造れば普通に売れる。その優位性を持っているのはそのSC(駅ビル)の努力の結果なのだろうか。スタートの優位性を考えるともう少し、似たようなリーシングをせず「新しい事」にチャレンジしてほしい。当然資本の論理があり、その結果だとは思うが、せめて地元企業との両立はできなかったのかとつくづく思う。

長崎は平地が少なく、車のアクセスも悪い。諫早にもゆめタウンができるという。商圏も変化していく。地方の商業はいよいよ大変な時期になっていく。

久しぶりに九州に行って来た。飲むのが主目的だけど、長崎でお世話になった人にも挨拶訪問もしてきた。何か力になることがあれば、微力ながら手伝っていきたいと強く感じた。

■今日のBGM

SCの次のステップ

上場小売業の9月の数字が発表されていて、例によって既存店ベースの前年比を2020年から4年分掛け合わせると、2019年比で9月はユニクロが94.2、アダストリアが91.2となる。この2社の数字をファッションのベーシックの数字ととらえると、ファッションはコロナ前にはまだまだ戻っていない。

9月は昔のファッションのシーズンの立ち上がり期ではなく、完全に秋の季節感はとんでしまっており、完全に9月,10月は売れない月になりつつある。10月も去年はコロナの影響が少なかった月なので今月も前年数字とは厳しい戦いになるかもしれない。

それにしても数字は戻っていない。リーダー的企業の数字がこの状況では他の中小の専門店の苦難は続いていると思う。

中小の専門店はこのコロナ禍でどれだけ傷んだのだろう。おそらく退店の数のほうが出店の数より圧倒的に多いだろうし、規模縮小に至った会社ばかりだろうと思う。以前書いたが退店費用は大きな経費も必要とする。会社は痛む。以前経営していた会社も26店あった店が、コロナ期間で8店退店、3店出店で5店減ったし、コロナで大きな借金をしたので、時価は70%近く減った。当然出店には、慎重になるし、なかなか腰が上がらない。

SCもそんな状況下ではテナントを誘致できない。新しくオープンしたRSCのショップの顔ぶれも代り映えしないし、逆に店舗数も減っている。ららぽーと門真はアウトレットがあり店舗数に変化はないが、今までのららぽーとだとテナントが集まったかどうか?ゆめタウン飯塚は面積も大きくないがテナント数は100と少ない。さらにデベロッパー側も賃料減額や退店で収益がダウンしている。収益を維持するには、テナント新規誘致するにも賃料を下げることはできない。

「早急に空床を埋めたいSC」と「出店に慎重になる専門店」、「賃料を下げられないSC」と「下げなければ出店できない専門店」の構図ができている。おそらく専門店のほうが切実なのでSC側がどうジャッジをするかになってくる。

単純に考えられる策は、ユニクロやアダストリアや無印などの既存店舗の大型化とファッション以外の分野の拡大(携帯通信、食物販など)になってくる。事実そうなっている。

「花(華)」がなくなって「実」をとるSC(特にRSC)に先はないように思うが、次のステップはあるのだろうか?

■今日のBGM

ららぽーと門真

久しぶりに大阪に行き、新店で見たかった「ららぽーと門真」に行ってきた。

大阪は私にとってホームタウン的な場所であり、出店エリアは商業施設過密状態で厳しい場所だと思っていた。ネット等で概要は知っていたが、概況はほぼ想定通りの状況だった。

やはりテナントリーシングに苦しんでいる。2階をアウトレットにしているので、他のららぽーとより一般のテナント数は少ない。にもかかわらず、内容が薄く、大型テナントが多い。以前も書いたが、破産した「オーサムストア」を入店させていること自体、ららぽーとらしくない。その他、今までのららぽーとなら入店させるかどうかのボーダーラインのテナントが多い。尚、どこでも出店してきた「ライトオン」は出店していない。

アウトレットはもともと鶴見にあり、それを閉鎖して門真に移転させてきた。ある程度リーシングも容易だっただろうが、全くインパクトがない。このアウトレットの内容なら、アウトレット目的客はやはり神戸北や泉南のプレミアムアウトレットに行く。

ららぽーとの力を持っても、この内容かというテナント揃えだった。意識したのかどうか、スポーツ系やアウトドア系が多い気がした。ショッパーを持っているお客様が非常に少ない。(1回しか見てないので断言はできないが・・・)

飲食は非常ににぎわっていた。「黒門市場」もあり大阪グルメも打ち出し、フードコートもどこにでもある店が少なく、個性あるラインアップになっている。レストラン街も順番待ちも多く夏休み明けにしてはにぎわっていた。

食品スーパー「ライフ」は集客がなかった。昼前でレジ3台稼働はどうなのだろうか?足元客はやはり分散傾向のままだと思う。

飲食が現時点では引っ張っているが、それだけの目的で広域から集客できるかなと感じる。足元商圏を競合と食い合っており、狭商圏では優位性のあるアウトレットでどれだけ競合店に差をつけられるかという感じがする。

予想通りRSC(郊外型大型ショッピングセンター)は苦戦している。

  ・・・それはともかく、2日で15 時間の酒はきつい。

■今日のBGM

道の駅

先日,所用で群馬に行ったとき、テレビで取り上げられており新しくできた「道の駅 まえばし赤城」に立ち寄った。先輩夫婦と車で東北旅行した時には道の駅に十件以上(十駅?)も立ち寄っていて少し興味もあった。

「道の駅」はどういう目的でできたのだろう。昔のドライブインを民間と共同で公共事業の一環として作っていっているのだろうか?地元でとれた農産物や水産物を直接販売しているところが多く、地元色を出したドライブインというところだろうか?

「まえばし赤城」については少し車のアクセス(導入アクセス)が悪く、一般のSCやNSCも好立地でも出店を躊躇するかなと感じた。ただ好立地で幹線道路沿いにあり集客は十分あるところではある。足元商圏も多く、申し分ない。内容を見ると、商業施設ととらえると中途半端であまり魅力を感じない。地元名産品館と鮮魚館、フードコート館、温浴施設、広いパブリックスペース(ドッグラン、子供が遊べる。)という概要になっている。ドライブイン機能に「ファミリーで楽しんでもらう」というコンセプトを加えた道の駅となっている。7ヘクタールとあるので東京ドームの1.5倍くらいの大きさになる。小さ目なRSC(郊外型SC)に匹敵する。

お客様の利便性を考えると、広域から遊びに来る客層を考えても、なんだかのデイリー的な買い物ができたほうがいいだろうと思う。単純にSMがあれば十分商売は成り立つ。地域特産のお土産としての食品にデイリーの食品を加えたほうが来街者は喜ぶに決まっている。いくらでも儲けることは考えられるが、おそらくいろんな規制があるのだろうと思う。

「公」だから儲けてはいけないのだろうか?民間なら収益を上げるようどうするか考える。「まえばし」の例ではないが、一般的な「道の駅」は欠品だらけだし(地元の限られた商品中心なので)スタッフ(おそらく3セク)も活気が見えない。東北の「道の駅」敷地内でビール醸造所を併設したレストランがあったがそこはにぎわっていた。もう少し手を加えるだけで活性化するのではないだろうか?儲けられるのではないだろうか?

「公」の仕事について少し考えさせられた。予算は全部使う。例えば、例年年度末になれば道路の補修が増える。それを受注する企業が毎年の売上なので必死でとりに行く。所謂企業の「・・・族」ができていく。毎年その繰り返しになってくる。道路修繕が緊急でなければ先送りして、その金をほかに回せないものなのだろうか?「道の駅」(公)も儲かれば、もっと他方面に有効的に金を使えるのではないだろうか?

無駄に金(税金)を使っているように見えた・・・

■今日のBGM

出店計画について

小売業の一番の投資は出店投資になる。資金力のない企業は出店の失敗は会社の危機につながる。以前30坪の店をSCに出店するだけで2000万円以上の資金が必要と書いた。敷金は当然退店時返却されるが、撤去費として考えるとほぼそれぐらいになる。

それでも、店舗数を広げない意図があり、囲い込んだ顧客商売以外の業態であれば、店舗数の拡大によるメリットは当然大きい。

出店計画については、ここしばらく話題にしている人件費のアップや、人材不足の問題以外にも検討すべきことが多い。冷静に分析する必要がある。

自分のことを振り返ると、経営していた会社で出店数は全部で31、退店は8.退店理由で見ると3店舗は営業不振による退店。後はSCの都合と契約満了。営業不振の3店舗はMDのミス(新業態の失敗)と出店場所のミス。契約満了での退店理由は人員問題(販売員が慢性的に不足)が3店舗。デベロッパー側の会社都合はマスターリースしていたSCが出店場所を返却したためが1店とゾーニング変更に伴う代替区画の交渉決裂が1件。振り返ると失敗店舗は営業不振による退店の3店舗かなと思う。

出店時に考えることは当たり前のことだが、収益が出る物件かどうかということに尽きる。出店検討で必ず作成していたのは契約期間での収益予測。ここで考える必要があるのは普通の店のPLに加えて、投資の経費と償却を加味するということになる。

投資経費で大きいのは内装投資になる。経営していた会社ではまず経費計上分(10万以下の備品、30万以下の什器(※年間出店店舗数による))を内装投資の20%で想定し初年度に経費計上、年間減価償却は計算上(投資額-経費計上額)×30%で想定し試算していた。(当然実処理は会計基準に準ずる。)想定店PLから出店コストまで考えて検討はしていた。これで2年目からは単年度黒字を出店のハードルにしていた。ある意味高いハードルで出店計画をクリアしても退店はあった。

今は、出店のまず一番目のハードルは「人」(販売スタッフ)がいるかどうかになってくる。

さらに高くなった損益分岐点売上をどれだけ下げることができるかの賃料交渉になる。デベロッパーの認識が従来と変わらず、従来と変わらない条件提示だと、健全な会社は絶対出店していかないと思う。逆にデベロッパーは条件を下げてでも売り上げは上げてくるテナント、例えば歩率は下げても売り上げが上がることによってデベロッパー収益は減少しないだろうテナントを導入する必要が出てくる。

果たして今後デベロッパーは妥協してくるのだろうか?

■今日のBGM

テナントリーシングについて望むこと

売場ゾーニングプランはSC開発する上で最も重要なものであり、そのプランでSCの命運を左右される。SCのコンセプトに基づいてテナントを配置する。そのプランに基づいてテナントを誘致する。

そのSC(駅ビルも含める)がどの客層を集めるかによって、テナント構成は変わってくる。20年以上前はどれだけプレステージの高いテナントを導入するかが戦略の1つだったと思う。今でも優先度の高い戦略だとは思うが、客層ターゲットによっては大きな変化が出てきているように感じる。

RSC(リージョナルSC)スタート期は、まずSCイメージを出すため、百貨店ボリューム客層を集客することに加えてトレンド客層も取り組むことを狙ったと思う。オンワード、ワールド、イトキンとの開発で百貨店ブランドディフュージョンショップを多く取り入れた。RSCのグレード感を確定できたことは、その後のSC開発には大きく役立った。「SM+専門店」のイメージから、ある程度従来のSCよりボトムアップし年齢層も若くしたRSCが確立されていった。

それから20年以上経過し、ファッションの流れも変わり、お客様のニーズも大きく変化してきている。プライス志向が強まり、それに伴いテナントの大型化が進んできている。以前にも書いたが、「テナントの大型化」=「SC収益のダウン」という流れは否めない。

SCの出店ラッシュのつけがきて、SCの差別化がなくなってきており、今後は淘汰の時代を迎える。現状もそうだが間違いなく空床スペースは増えていく。退店後に入店するテナントは明らかに「通信系(携帯ショップ)」「美容系」「食品関連」などが多く、他は「ユニクロ」「ABCマート」など好調大型テナントの増床が目立つ。空きスペースは携帯ショップの催事も多く、おそらくお客様からのクレームも多いと思うが、賃料カバーのためやらざるを得ない状況となっている。おそらくこのままではどんどんSCの魅力がなくなっていってしまう。

イオンモールスタート期に、今後伸びるだろうテナントを積極的に導入したように、新しいテナントや出店したいテナントをどんどん開発してほしい。投資やSCの収益のことよりも面白いテナントを開発してほしい。それが差別化にもつながるし、それがSCの存続にもつながる。これも以前書いたが、内装は個性的なものを作るのと引き換えに催事契約でいいと思う。テナント、SC双方がリスクヘッジする契約よりも、お互い少しはリスクを持ってスタートする契約を話し合っていけばいいと思う。

流通系SCにはそれぐらいの度量が欲しい。

今日のBGM

今後の出店について思うこと

お盆商戦は大きく前年売り上げをクリアして好調という声が多い。ただ、去年はコロナがまた増えてきて集客に陰りがあった時期で、コロナ前と比べるとまだまだそこまでは戻ってないような数字のようだ。

コロナ3年間の傷は大きく、今年の春夏で退店が目立ったようだ。以前書いた自宅の最寄り駅15Km圏の安定的な商業施設を確認すると、さいたま新都心コクーンでワンズテラスなど衣料雑貨系で4店舗、飲食で4店舗の退店、イオンモール浦和美園でもスピンズなど衣料雑貨系で5店、飲食で2店舗の退店が確認される。

小売業の利益は売上から単純に仕入れ原価との差益を計算したのが売上利益額になり、そこから営業費を差し引いた金額が営業利益になる。SCに置き換えると各テナントの売上計はSCの売上高(管理売上というべき?)とすれば、売上総利益高は家賃収入(共益費なども含める)となる。

ということは、SCは退店が増えると総利益高が減るということになる。いろんな営業費(もちろん人件費も入る。)や資本費(償却など)などで収益は調整できるが、SCで一番大事なのは総利益高を減らさないこと、つまり賃料収入を減らさないことだ。退店が増えるということは賃料収入が減ることは誰でもわかる。そのために新しいテナントを探して出店してもらう。その時に、今までの賃料より少ない賃料でテナントを導入すると、総利益高は減るということになる。新テナントを探すがその時のジャッジの基準が問題になる。テナントリーシングについてはまた改めて書くが、まず大前提は賃料最低現状維持となる。

つまりよほどSCにとってメリットがあるテナントでない限り、賃料は大きく下げてこないということになる。売れているSCなら当然賃料が第一基準になる。逆に空床が目立つ厳しいSCなら条件の交渉がしやすくなる。

従来の出退店は賃料交渉や売場ゾーニングが一番大きなポイントになったが、ここにきて大きな問題が出てきた。「スタッフが集まらない。」「給与基準のアップ」という「人」の問題だ。最低賃金が時給1000円になればフル勤務で月160時間(1日8時間×週休2日)働いて給与は最低1人16万となる。交通費や会社負担の社会保険料などを考えて会社負担を25%とすると、人件費として最低1人20万が経費計上される。4人体制でその他の社員経費を考えると最低1200千/月は必要になる。とすると人件費率20%として(高いが・・・)月度売上は30~50坪の店でも最低6000千以上は必要になる。さらに先に書いたが「スタッフは集まらない。」。

どう考えても、普通の小売屋はよほど数字が想定できて、場所が良く、さらに人の手配がスムーズに対応できそうな店しか、出店はできない。出店投資が大きなリスクになる。

やはりどんどんSCは淘汰される。

■今日のBGM

退店撤去費に思うこと

先日、友人からSC内で場所移動の話があり、移動は了解したようだが撤去工事の費用について電話があった。撤去は初めてでその経費の大きさに驚いたようだ。

撤去工事(原状復帰)については、おそらくいろんなところで不平不満がたまっていると思う。特にこの厳しい状況の中そこまでする必要はあるかということが多い。

まず、契約書で原状復帰工事の項目がどうなっているかだが、不動産系のSCは契約書でデべロッパー(以下デベ)指定の業者で撤去工事をやることになっているケースが多く見られる。(流通系はそういう指定はほぼなかったように思う。)まず、その見積もりが高い。おそらく流通系SCと不動産系SCのテナントへの考え方が全く違うことが起因していると思う。いろいろ書くことはあるが、不動産系SCと契約する時は、指定業者以外の業者(いつも内装関係をやってもらっている業者)でできるかどうかの交渉はする必要はある。契約文面はなんだかの形で変更してもらったほうがいい。

次に、現状は使えるものは使って出店するケースが多い。退店時に次のテナントの意向を聞いてもらって撤去範囲を確定してもらうことが必要だと思う。そこをきちんとつないでもらうように交渉する必要がある。

さらにできるかどうか可能性は低いが、使えるものは使って出店する場合、契約時に引き渡された状態を「現状」としてもらえればコストはさらに低くなる。「入店してもらいたい」、「入店したい」気持ちが、デべと出店者のどちらが大きいかだ。デべがどうしても入店してほしい時はその話し合いも必要だと思う。嫌がるとは思うが催事契約もありだと思う。

退店時の原状復帰での交渉が難航したことは数多くある。デべからの要望で多いのが、「撤去工事はデべでやるので、その経費をデべに払ってくれないか。」というもの。

撤去工事は例えば天井はスケルトンにして返却する(契約書上)。スプリンクラーもあるので脱着にコストがかかる。ただ現状大きく天井の仕様を変える後継テナントはない。ほぼそのままの状態で使える。後継テナントも使える什器や照明は再利用したいのでそのまま使うケースも多い。天井以外のことも加えると、おそらくデべの見積もり額と実際の撤去工事費では大きく差異が出る。その差異分テナントが多く払うことになる。その差異額はどう会計処理をするのか知れないが、そういう要求は普通にある。その時は「金は払うから、撤去した写真を、送付してほしい。」と頼めばいい。実際は使えるものは使うので、「再度細かく詰めていきましょう。」という流れになる。

本来の撤去工事は全くのスケルトンにして返す工事だ。昔のようにブランド、ショップの個性を打ち出した店であれば、デザインや仕様の変更をして出店するので、スケルトン状況が望ましかったと思う。ただ現状は天井や床や造作を大きく変えるケースは少なく、残せる部分はあり、それを利用したほうが出店コストが下がるなら、利用するものは利用する。

退店時の打ち合わせは一番いやな仕事だ。後ろ向きの交渉だし、なんだかの理由があって退店する。この件は契約書の問題にもなってくるが、今までの経験から、お互い話し合って納得して退店したほうが今後のためにも間違いなく望ましいと思う。

今日のBGM

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