カテゴリー: SC (8ページ目 (8ページ中))

「ミステリーショッパー」は必要か?

書類を整理していたら、昔のあるSCからのミステリーショッパーの報告書が出てきた。いつもこの報告書を見て不愉快に思っていたので、この件について書こうと思う。

ミステリーショッパーとはショップの接客度やクリンネスなどを調査する手法で、いわゆる「覆面調査」である。検査官がお客様のふりをして入店し、従業員の対応などを調査する。主に接客面の対応で各店の状況をレポートし、採点する。SCにはその得点で順位付けをして報告し、改善を促す。

常々この報告には疑問を持っていた。昔マイカルではこの点数が低いと店長には厳重注意があり、降格の1つの要素にもなった。ある店の点数が低く店長に厳重注意するように言われたこともある。その時の事例は「店内に大きな音のBGMで従業員は接客せず品出しや商品整理をしている。」という内容だった。昔のギャル系のショップで40代の調査員には接客はしないだろうし、若めの検査官?からは「働いているスタッフは楽しそうだった・・」旨の報告もあった。果たしてどちらが正しいのか?

今まで運営していたショップでは、理想はセルフで売っていくことだと言ってきた。そのためにプライス訴求や演出やレイアウトに気を使ってきた。当然のように明るく挨拶を行い、気持ち良い接客はするべきだとは思うし、それを含めた行動規範は作った。ただあくまでも仕事の優先度を考えて接客をするべきで、迷っていそうなお客様や商品を探しているお客様には声がけすることを優先事項として行動するようにも言ってきた。

言いがかりをつければ「調査だけして、買わない客」の調査員には接客せずにいることが正解だとも思う。自店を分類も「セルフ販売」にしてほしいと言っていたが、そうなったためしがない。「ブランドショップ」や「高年齢者向けのファッション店」と一緒の評価は必要ないといつも書いて報告書を返却していた。(会社確認印とコメントを入れて報告書は送付させられる。)

このごろSCの担当者を売場で見かけなくなったと書いたが、売り場を巡回していれば店の状況はわかるはずだし、経費を使ってミステリーショッパーをする必要もない。その経費はもっと使うべきことに使ったほうがいい。

SCを運営するスタッフが、もっと店内を巡回すれば必要ない経費だと思うのだが・・・報告事項が多くデスクワークが増えたのだろうな。

今日のBGM

コストコ時給1500円の反応を見て

「コストコ時給1500円」については前回書いたが、そのニュースの有識者含めての反応の大部分は「今後企業は淘汰されるべき・・・」「さらに企業の低コスト構造を目指せ・・・」「現状は最低賃金にあぐらをかいている・・・」等コストコ1500円ウエルカムムードがほとんどを占めているようだ。

この流れの中では、これから小売業を起業する人は全く出てこないなと思う。

ファッション業界で勝ち組といわれる2社の決算書を見てみる。

ユニクロ 売上総利益率52.4% 人件費率16~17%(公表なし。他文献から)家賃比率11.6%

アダストリア 売上総利益率54.7% 人件費率17.8% 家賃比率14.4%

2社ともSPA企業で、ほぼオリジナル商品の商品構成である。すべて商品を企画して商品を作っての利益率である。個店ではまずできない数字だ。商品をメーカーから買う「買い」の商売だと平均すると原価は55%前後になるのではないか。20店舗近くなって別注を作っても原価45%くらいにしかならない。そうなると頑張ってやっと利益率は43~45%くらいになる。人件費率はかつて経営していた会社で17~19%くらいだったと思う。家賃比率は大きな面積を抱えるほうが下がるので個店ならさらに比率は上がる。

上記数字からユニクロ、アダストリアの労働分配率は約32.5%となり健全な数字だが、20店舗くらいで経営していても労働分配率は40%を超えていく。さらに小さな店なら家賃比率も高い。決して最低賃金にあぐらをかいているわけでなく、経営環境が現状を作っている。

もう1つ付け加えるなら郊外RSCは郊外だから賃料は低くなく、「イオンモール」や「ららぽーと」の出店条件のハードルは高い。

差別化できる店(例えばおしゃれなセレクト)をやればいいという声もあるが、その商品を売る環境(立地)、売る人、仕入れ形態を考えると単店はあっても複数店舗は厳しい。

結論としては、人件費高騰の労働環境では、小売業ではスタートアップできる企業はないということだと思う。商品力があり、キャッシュを含めた企業力がないと、土俵にすら立てない。

ずっと言い続けているが、今後は大手の各ショップのみのテナントばかりになり、駅ビル含めたSCは陳腐化していき、衰退していくことになる。

今日のBGM

商業施設のPM(プロパティマネジメント)って何?

前回、「商業施設が金融資産になっていく」と書いたが、金融資産を守っていくためのマネジメントが必要で、それがプロパティマネジメント(PM)と呼ばれている。

何をするかというと、商業施設の運営管理全般である。メンテナンス関係は専門業者が入るとして、商業的な運営をどうしていくかがここでの問題になる。

イオンなど流通業もリートを組成して金融化しているが、こういう大企業にはメンテナンス会社も持っており、さらに当然小売流通のプロもたくさんいるので、運営管理能力は十分にある。ただ大手でも昔ほど運営に前向きさはなく、あまり担当者もSC内で見かけない。前向きに売り上げを上げていこうと協力してくれるSCは数えるほどしかなかった。

不動産、金融業が金融資産として持っている場合はどうなのかというと、短期的な収益アップを目指すためにルーチンの業務(販促、演出など売り上げアップへの施策)よりリーシング業務(空床を埋めること)を優先して、できるだけ早く賃料収入を上げることを優先させる。これはある意味当たり前のことで、そうしないと投資回収ができないからだ。

もともと商業施設のお客様は一般の来店客だ。商業施設のスタッフはお客様に満足していただくように運営し、その計画を立てていく。従来までの商業施設の持ち主は、流通系小売業の持ち主だったのが、これが金融系、不動産系に変わると一般のお客様との商売より、投資家との関係が優先される。施設運営業者はお客様が雇い主でなく、投資先が雇い主となる。お客様が喜ぶより、投資家が喜ぶことをする。

今話題の池袋西武の方向性についても、そこに乖離が出てくる。投資家は短期的に改善できればそれでいいが、百貨店としての改装はできないのか、街のイメージはどうなるのかとう問題が出てくる。金融資産としては早く収益を確定させ売却益を得たいし、百貨店はあるべき姿へ変えたい。街としてはグレード感を保ちたい。

商業施設の金融資産化を予測して、PM会社(上場子会社)を立ち上げた人から誘われてPM業に転職し6~7年役員として在籍していたが、本当にいい商業施設を作るためにオーナーと頑張ったのは1か所くらいだった(地方地元企業)。あとは商業とはかけ離れた、不動産業としての色が濃くなってきた 。

前回も書いたが、大手流通業の商業施設も含め、今後の商業施設が金融資産になるなら、いつか「ババ抜き」状態になり完璧に淘汰されていくと思う。

間違いなくPM業は流通小売業ではなく。不動産管理業になっていくと思うし、もうなりつつあると思う。

管理人より商売人のほうが好きだけどな・・・

今日のBGM

商業施設が金融資産になっていくとどうなるか?

日経新聞によると商業リートは割安感があるとのことである。

商業施設が金融資産になり、その収益をもとに売買される状況になりつつある。小売業が持っている商業施設はなかなか売買対象にはならないが、独立系のSCなどはオーナーがどんどん変わってきている。さらに短期間で収益を上げて売り抜けてしまいたいというニーズが強くなっている。

もともとSCはNSCやCSC,RSCの区分はあるもののエリアに根付いて商売をするところだ。利便性やファンを広げるためにいろんな施策を講じる。当然長期的なビジョンに基づいて大型のリニュアルも実施する。これが金融資産になると非常にやりにくくなる。

商業に従事する人間と、金融に従事する人間は全く違う人種だと思う。

例えば人気のショップを導入するには、ある程度そのショップの意見を取り入れなければならないことが多い。賃料を想定より安くするとか、内装の負担を減らす(内装費の協力をする)など、ショップを入れるためにすべきことを考えて検討していく。

商業側は、そのショップで大きく稼げなくても、導入する影響力での集客のアップやストアロイヤリティのアップを想定していく。当然金融側は見えない収益は認めない。さらにそこまでの大きな投資は、リスクを考えるとしたくない。部分的な小さな投資で短期的に収益をアップさせ、少しでも高く売り抜けたい。

運営経費も当然のように見直される。コストカットが収益アップにつながるもっとも簡単な方法だからだ。

以前在籍したPM会社では、いろんな商談をしたが、先方は「不動産+金融」のイメージが強く全く話がかみ合わなかった。話がまとまっても、主導権は当然のことながら先方にあり、完全に「請負業者」になったような気がした。実際そうなのだが。

今後は厳しいSCが多く出てくる。「ババ抜き」感覚になりそうな気もする。できるだけ小売業者に寄り添って、地元の期待に応えられる商業施設に向かっていってほしい。

難しいかな・・・

今日のBGM

ショッピングモールの方向性

今朝の日経新聞にイオンモールはコロナ前と比べて、売り上げは-9%で客数は-11%とあった。以前から指摘はしてきたのだが、完全に飽和状態にあり、使われ方はNSC(ネイバーフット型SC)に近い狭商圏型になっている。

「客層の2極化」も進んでいる。新宿伊勢丹や梅田阪急は過去最高売上のようだし、中流層と呼ぶのは難しいが、衣料大手のオンワードの売り上げはピークの55%、ワールドが76%と大きく落ち込んでいる。

必要なのは大型ショップだけでいいのではないかと思う。SMに加えて家電量販店、「ニトリ」など住居関連、雑貨では「無印」や「ABCマート」、衣料ではユニクロ系とアダストリア系、子供カテゴリー。その他フードコート。

それに加えて客層に合わせて、特色を出していけばいいと思う。富裕層がいるのなら「成城石井」や「紀伊国屋」などのSMを加えてもいいだろうし、「TSUTAYA」などを加えてもいいと思う。特にSMに関しては個性が出せるような気がする。

ただ、現状の収益を確保し、投資のリターンも考慮すると、大型リニュアルは難しい。言うのは簡単だが、今のモール自体を使ってリニュアルするだけではすまなくなってくる。スクラップ&ビルドは難しいし、証券化もされているだろうしハードルは非常に高い。

ただ、小手先のリニュアルだけでは、もう先はないのは明白だと思う。

※全くの余談だが、先輩夫婦と4泊の旅行に行ってきた。快適だったホテルは1番高かったホテルと一番安かったホテル。間のホテルは「ちょっとおしゃれな料理」だがバラエティ感がなかったのと、やはりインバウンド団体がネックになった。「高いか安いか」どちらかにすればよかったと反省した。こんなところでも「中間層」への対応は難しくなっていってるのかな?

■今日のBGM

大型テナントがどんどん減ってきている

「オーサムストア」が破産との報道があった。何を売ろうとしているのかわからなかったし、売れている気配もなかったので厳しいとは思っていた。「オフノオン」のほうがわかりやすかった。ホームページを見ると61店舗もある。

ここ数年でモールから大型テナントがどんどん減っている。ワールド、オンワード、イトキン、TSIなど大手アパレル系のブランドが改廃され大幅に少なくなった。どこにでもあった「ライトオン」も出店してないSCが出てきた。大手スーツ量販店も大幅に減った。外資系も閉店が続いている。

以前も書いたが、モールは大型店や新業態を積極的に導入する。当然リーシング面で助かるし、新業態なら「・・地方初出店」とうたえる。ただ数字が厳しくなっている店は多い。私でもいくつかテナント名を挙げられる。一般的に月坪売り上げを見ると100千前後の店が多く、それを割り込む店も多い。(それを考えると小型店の賃料は高い。⇒モールの利益は小型店(50坪まで)で賃料を稼ぐ図式)

アダストリアなど好調な企業は逆に、そこを逆に拡大しているように見える。

デベロッパーは売り上げを管理していて、会社の業績動向をつかんでいるのだろうか?

「オーサムストア」は4月にオープンしたららぽーと門真にも出店している。三井不動産らしくない失態だし、あの立地でもリーシングが相当厳しかったのだろうと思う。

大型店舗は、賃料面で優遇されるし、人的にも効率化できる。「オーサムストア」は衣料ではないのでアイテムが多く、SKU数もめちゃくちゃ多い。当然多店舗化しなければ商品も回らないし、作れない。利益を稼ぐには大きなロットで作るしかない。衣料系の大型店もそうだが、だんだん売れない商品はたまっていく。在庫をなくすと利益が落ちる。まったくの悪循環になる。縮小していった大手アパレルは体力のあるうちにやめていった。残っているショップもFC契約(契約先が商品を買う。)にして商品リスクをヘッジしている。

収益が悪化してくると、商品が仕入れられないし、作れない。売り場の不稼働在庫も処理できない。(処理すると利益率が下がる。)PL(損益計算書)中心になると利益率が下がれば、数字上の会社の価値も出せなくなる。まったくの悪循環になる。

体力のある会社は持ちこたえることができるが、体力のない会社は、悪循環が続き運営ができなくなってくる。

やばいなと思う会社も、いくつかある。

今後も、大型区画のテナントは、体力がなければどんどん消えていく。

■今日のBGM

顧客ターゲットを間違えると、絶対商売は成功しない。

マイカルが倒産し、イオンに吸収されたとき、岡田社長(現会長)がマイカル幹部社員に訓話をした。 「イオンはELP(エブリデイロ-プライス)を突き進んでいきます。」と宣言した。自分としてはそれが退社のきっかけになったのだが、すごいと思った。

量販店のオーナーは、量販店オーナーから脱皮したいのか、グレードアップを進めたがる。ニチイをマイカルに変えたし、ユニーはアピタに変わった。百貨店志向もあり、ダイエーは「プランタン」を、西友は「西友西武」を展開していたし、イオンも「ボンベルタ」、マイカルも「ダックシティ」を持っていた。

バブル期ぐらいから、商品をグレードアップ(単価アップ)させ、絶対不可能な「好感度値頃」を言い出した。イトーヨカドーでさえ伊勢丹のバイヤーを招き入れ、商品感性を上げようとした。(百貨店のバイヤーと量販店のバイヤーは全く業務内容がちがうので、成功するとは思わなかったが・・・)

そういう状況の中での「ELP」の宣言は大変重いものだと思う。

その後、イオンはどう変わったか?「イオンスタイル」と題したコーナーを作って、高級ブランド(オロビアンコなど)を品揃えし、感度アップ?をしたりして「ELP」には、ずいぶん遠ざかっていった。昔のマイカルを見るようだった。その間に衣料では「ユニクロ」「GU」など子供カテゴリーでは「西松屋」、住関連では「ニトリ」などが増大し、価格志向の面で完全にイオンの衣料、住関連は後手に回った。

「ELP」を突き進んでいれば、完全にイオンが独り勝ちだったと思う。

GMS衰退はGMSが勝手にお客様を見失ったことが、一番大きな要因だと思っている。

いろんな業種にも同じことが言える。今モールに入店している各社も想定顧客ターゲットと、モールに来ているお客様の実際のターゲットとが違っているのではないだろうか?イオンモールやららぽーとがモールを作り始めたころは、近隣の行きやすい施設にグレード感のあるショップが入っていて新鮮だったこともあり活況を呈していた。20代、30代をターゲットにしていたブランドは次々に姿を消し、ブランドも消滅している。

かつて「ナチュラルビューティベーシック」というブランドの販売代行をしていたことがあった。当時のサンエーインターナショナルの「ナチュラルビューティ」のディフュージョンバージョンで、今でもSCではメインの場所にリーシングされている。当時は20~30代だったターゲット年齢が、20年経過し、顧客も同じように年を取り、ヤングミセス~ミセスが中心顧客になっているように見える。それでも各SCではメインの場所にある。

 モールのターゲット年齢はヤングミセス~ミセス(40~60才)なのだろうか?

 モールもブランドも顧客ターゲットがずれてきている。

 自分でも店を持ったが、グレード感のある商品を仕入れたりすると、数人のトレンドリーダーは興味を持つが、最終的には売れ残る。やはり中心顧客の目線を崩すと、営業数値に現れてくる。

 顧客ターゲットを分析しよく知ることが、商売成功の要因だと思う。

 ■今日のBGM

現状のショッピングモールのテナントリーシングについて

この3年間のコロナ不況で、小売業は大きなダメージを受けた。出店投資を大幅に削減し、内向きの戦略をとらざるを得なかった。

その状況下、退店要請、賃料削減要請がありモール自体も苦境に転じている。

1.もともと高い賃料で出店していた小型区画(20~50坪)の退店が多かった。小型区画の代替えテナントの賃料相場が下がり、賃料収入がダウンしていっている。

2.モールは集客力があり、出店希望もある大型カテゴリー物件の出店を進めている。これは空床区画がカバーできる代わりに、賃料が下がり、なおかつデベロッパー負担の工事費用が大きくなる。一般的に区画が大きくなればなるほど、坪賃料は下がり、大型区画になると、歩率のみや、安い固定賃料になるケースが多い。

3.賃料収入を意識すると、高い利益率のカテゴリーの出店が増える。携帯ショップが乱立しているモールも多い。

4.一般的にアンカーテナント(大型テナント)も含めてカテゴリーでまとめてリーシングするが、カテゴリーと異なるテナントもリーシングしなければならない状況になっている。(例えばファッションの中に他業種が入るなど。)

大型カテゴリーが増えれば、店舗数が減るのでバラエティ感がなくなるし、携帯ショップが多くなると、雑多感があり、押し売り感も強くなる。つまりテナントに対する魅力がなくなってきているのが現状だと思う。

4月にオープンした、「イオンモール豊川」、「ららぽーと門真」も現状見てはないが、上記した傾向が見てとれる。「豊川」の3階の東側はカテゴリーが混在しており、携帯ショップも多い。「門真」は旧「鶴見アウトレット」をうまくはめ込めて良くはなったが、3階のリーシングに苦労の跡が見える。(賃料の問題で、ららぽーとが本来取り組まないだろうテナントが数件入店している。ただ「バーニーズ」のアウトレットがほぼ都心に出ているのは驚く。)

もう建築コストを考えても、3層のモールを作る必要はないと思うし、既存のモールについては、おそらく近い将来大きな問題が発生すると思う。

■今日のBGM

国内のショッピングモールはすでに飽和状態

ショッピングモールにはRSC(リージョナルSC)CSC(コミュニティSC)NSC(ネイバーフッドSC)があるとされ、規模、商圏で区分されている。ここで言うショッピングモールとはRSCとして理解してほしい。RSCとは定義では4万㎡以上、25㎞商圏となっている。GMS,SMを核としたモールだが、主なテナントはほとんど類似している。衣料では、ユニクロ、GU、グローバルワーク、ライトオン、雑貨の無印、ニトリ、靴のABCマート、大型家電、シネコンなど。ファミリー顧客をターゲットにしているから当然似てくる。

最寄り駅(武蔵浦和駅)15Km圏内に、8か所ある。簡単にまとめてみる。

・イオンモール北戸田   距離3.3Km規模4.4万㎡ シネコン、GU,家電なし

・イオンモール川口前川  距離6.3Km規模6.6万㎡ シネコンなし

・コクーンシティ     距離6.7Km規模4.7万㎡ 全てあり

・イオンモール与野    距離8.0Km規模5.2万㎡ シネコン、GU、ニト      リ、GWなし

・イオンモール川口    距離8.3Km規模5.9万㎡ GU,ニトリ、GWなし

・イオンモール浦和美園  距離10.7Km規模6.2万㎡ ニトリなし

・ららぽーと富士見    距離11.2Km規模8.0万㎡ 全てあり

・ステラタウン      距離11.2Km規模5.4万㎡ シネコン、ニトリ、GWなし

思いつくだけで8件、さらに規模が小さいがアリオ川口やララガーデン、イオンモール上尾なども15Km圏内にある。距離17.9Kmで越谷レイクタウンもある。

さて、どうやって差別化するのだろうか?上記SCでまずまず成功していると思えるのは、レイクタウンは別とすると、コクーンシティ、ららぽーと富士見、イオンモール浦和美園かと思われるが、イオンモール内、ららぽーと内で突出しているわけではない。

2000年イオンモール川口前川が「ダイアモンドシティキャラ」としてオープン時には上記の競合は全くなく、独占状況であり、日本で指折りのSCだったことを考えると、完全に過多状態になっている。

広域から集客することで成り立つモールが、完全に狭商圏化してきている。当然人口は増えるが今のモールが昔のGMS化しているように思える。1970年から1980年代のGMS出店ラッシュ時と似ている。

大型モールの個性もなくなってきており、わざわざ感は全くなくなっている。まして俗にいう「中流」層が経済的に厳しい状況になってくれば、もっと今後は見えてこない。「上流」層の百貨店(高級品)志向は強まるし、「中流」層も利便性を考えたNSCやSM(スーパーマーケット)に流れていくのは間違いない。現状もショッピングモールもNSCとしての機能が最も多いのではないかと思う。

今後の商業施設、特にショッピングモールの動向は注目していく必要がある。

■今日のBGM

ふかや花園アウトレットモール

 先月「アウトレットバーゲン」のCMを見て行ってきた。

 いろんな商業施設にも、アウトレットにも足を運んだことがある。このアウトレットモールはもともと「チェルシー」の流れを持つ三菱地所が開発運営しているモールで、他のアウトレット(三井やイオンなど)よりショップMDのグレード感は高い。プレミアムアウトレットとうたっている。私自身もアウトレットモールでは一番信頼性が高いと思っている。20年位前出店依頼をしに行ったときは「日本にはそんなに出店の余地はない」と言っていたが・・・

 感じたことを,以下に述べる。

1.プレミアムブランドが少なすぎる。

 女性客を呼び込むべく服飾系のプレミアムブランドが少なすぎる。

2.もう日本のセレクトショップのアウトレットには全く魅力がない。

 「UA」「ビームス」「ベイクルーズ」も商品の魅力は全くなく、お客様にもアウトレット用の商品と完全に理解されている。集客があれば当然そのお客様向けの商品を作るのは普通のことだが、あまりにも多すぎる。「ビームスハート」「アデイインザライフ」などアウトレットMD商品に魅力はなく、「ユニクロ」や「無印」で十分対応できる。昔はセレクトアウトレットに「ソブリン」や「ディストリクト」もあって探す楽しみがあった。

3.店舗数が他のアウトレットに比べて圧倒的に少ない。

 コロナで小売業が疲弊しているときのテナントリーシングであり、さらに首都圏近郊ということもあり集まりにくかったのではないか?プレミアムアウトレットでも「御殿場」は293店、「りんくう」は270店「三田」220店、近隣の「佐野」でも180店ある。それに比べて137店は完全に見劣りする。第2期、第3期を見据えての店舗数だと思うが・・・

4.打ち出しは「買い物+環境」。

 当然そうなるが、ショッピングに魅力がなければ、再来店は難しそうな気がする。

 ということで、ショッパーを持ったお客様は少なく、買い物には少し残念なモールのような気がする。個人的には30年以上好きな「ストーンアイランド」があってうれしかったが、完全に売れ筋の色欠けだらけできびしそうだった。

 少し不満だったので、足を伸ばして「佐野プレミアムアウトレット」に向かった。車で1時間ちょっとで着く。(完全に商圏がかぶっていると思うが・・・)         さすがに認知されているだけあって、お客様はふかやの倍ぐらいおり、ショッパーを持った目的客も多い。

 「グッチ」や「ボッテガ」「フェラガモ」などには女性客が多く、すごい賑わいだった。売れ筋の色は少なく、「グッチ」では値引きしないコーナーもきちんと作ってあった。それでも買う意欲のあるお客様は多く、売れているように感じた。完全にお客様の2極化は進んでいると感じる。(中流の減少)

 他のショップもぶらぶら見たが、アウトレットに来て「この値段?」という商品も多く、メーカーの思いも感じた。つまりアウトレットは「処分する場所」ではなく「売上、利益を稼ぐ場所」になっているのではないかということだ。おそらくこの時期どこのSCや地方百貨店より集客があり、「買う気」のあるお客様が集まっていれば当然そう考える。ま、祭りで、高い「たこ焼き」や「お好み焼き」が売れるのと一緒の理屈だが、今後それがいつまで通用するかも疑問だ。

 久々に強行軍だったけど、面白かった。ちなみに買ったのはインポートブランドの色、サイズ切れの残りの1着70%オフの商品1点だけ。・・・「いやな客」。

■今日のBGM                                                                

新しい 投稿 »