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雑談・・・着なくなった服を捨てる

11月.12月ファッション衣料の流れが悪そうで、バーゲン期の状況や数値が出るまで同じようなことばかり書きそうなので、今日は私事を書く。

もう年金受給者なので、少しは家のこともしようと思って、週3.4回の早朝のゴミ出しを始めた。ついでに「着なくなった洋服も捨ててくれ」という指示もあり、古い服を整理している。途中で何度か引越しをしているので、捨てていたとは思っていたが結構すごい量になっている。もう当然合わなくなったサイズの服や、もう絶対着ないだろう洋服がある。毎週1回洋服を捨ててもいい日に少しずつ捨てに行こうと思っている。少し整理するだけで、面白い洋服が出てくる。今回は、面白いコート2点を見つけた。

まず、「バセットウォーカー」のオイルコーティングされた綿のシングルトレンチコート。このブランドは1958年スタートの「JUN」グループのブランドで、調べてみると「JUN」グループの中では、「JUN」「JUNMEN」「ROPÉ」「J&R」「DOMON」の次にできた1976年スタートの古いブランドだ。今はもう実店舗はない。「JUN」は「VAN、JUN」時代を築き「VAN」のアイビー路線と「JUN」のヨーロピアンテイストの2大トレンドを作ったブランドだった。ブームが去った「VAN」と違い、その後のDCブランドブームをも牽引した。バブル期には「LUNA MATTINO」という過激なブランドも登場させた。そして今でもファッションやアートなどで新鮮なムーブメントを起こしている。

あまりこのコートには思い出が出てこないが、渋谷パルコに、よく行っていたので、バーゲンで買ったのかもしれない。(渋谷パルコにあったような・・・)裏地が取り外しのライナー付でライナーはもうない。オイルコーティングされているので80年代後半かもしれない。もともと都会派っぽい「JUN」系のブランドは買ったことがなく、着ていた感じはあるが、詳細は記憶から消えている。この長いコート丈といい、今はあまり見ないオイルコーティングされたトレンチには、もう出番はない。

もう1点はネイビーのダッフルコート。このコートのブランドロゴは裏地にある。ブランドは「イクザンプル バイ ミッソーニ」。ニットの魔術師「ミッソーニ」のセカンドブランドでオンワード?が代理店だったのではないかと思う。当時オンワードにはICB事業部(?)たるものがあり、外国ブランドを多数取り扱っていた。あの「ドルチェ&ガッバーナ」も1989年マイカル本牧5番街にオープンしたが、オンワードの直営店だったような気がする。余談だが、あの当時のマイカル本牧の5番街には「アポロシアター」や数々のインポートブランドがあり、今あれば大きな脚光を浴びていたと思う。「リゾナーレ」もマイカル発祥だが、何にしても発想は良かったが、やることが早すぎた。そしてコストをかけすぎた。

もともとダッフルコートはあまり好きではなく、このコートは、毛布のように重かった。これは新宿マルイのバーゲンで買った思い出がある。いろんなインポートブランドのクリアランスをしている時に、迷った末に買った。インポートなのでコート丈が長く重かったが、一時イタリア物に走った時には着ていた思い出がある。

仕事でスーツを着ていた時は、ステンカラーなどのビジネスコートを着ていたが、カジュアル化が進んでノーネクタイになっていき、アウターは変化していった。小売の会社を立ち上げた以降は、全くスーツは着なくなり、ほとんどダウンやカジュアルコートに変わっていった。そしてビジネス要素のあるコートは、タンスの隅に追いやられていった。

と、いうことで、今度のゴミの日にはこの2点のコートとトラッドベースのもう着れないスーツ3着を捨てる。「捨てる」のジャッジは、着てみて「サイズが合わない」、「デザインが古臭い」で決めるが、貧乏性なのでなかなか決めけれない。そして、まだまだ捨てなければならない服は山ほどある。面白い服が出てきたら、また書くことにする。

■コート2点

数字を読む

12月、1月の売上は小売業の年間売上を左右する。そういう意味で、この2カ月の各社の月度売上報告は細かくチェックしている。

12月既存店売上の数字は全体的に悪い。各社とも、前半が暖かく冬物の動向が悪く、日曜日が1日減とコメントしている。特に内容は例月のコメントと変わらない。気温変化にMDで対応できず、対策も後追いだったということらしい。既存店売上に関して、確認している数字では、TOKYO BASE111.0、マックハウス105.7、ユナイテッドアローズ103.8、ヴィレッジヴァンガード103.0など数社のみ前年をクリアしている。ごく簡単にまとめるとセレクト系と厳しい状況で回復必至の企業になる。

好調を続けていたユニクロ国内事業は、暖冬を理由に12月既存前年比は94.1、オンラインストアのシステム障害があった無印良品も94.2と既存前年を下回っている。衣料系は総じて悪く企業譲渡されたライトオンは85.7、シーズメン(チチカカ、メソッド等)から社名変更したスターシーズが86.8と最量販期に90%を割り込み回復が厳しい状況が続いている。

12月1月は、コロナ前(2019年)から既存店売上前年比を毎年掛け合わした数字を作っている。この数字は当然正確ではないが、企業状況の目安にはなると思っている。つまりコロナ前からの既存店2018年比を安易に計算している。ABCマート144.8、ワークマン134.2、しまむら123.0、西松屋115.4の順になっており、ユニクロ95.9、アダストリア98.5、無印良品は2021年比で97.2(2020年数字は未発表)で、まだコロナ前の既存店数字には未達となっている。その数字が極めて厳しい企業の多くは、コロナ後に企業譲渡されており、ライトオン42.0、タカキュー75.7、マックハウス77.7と回復できてない。厳しい状況のヴィレヴァンも79.3と80%を割り込んでいる。あくまでも流れとして見ている数字であり、当然その間に新店がありそれが既存店になっていくことは理解している。

コロナ前の決算数字と前期決算数字を比較すると、ユニクロ国内事業の売上は117.5%、アダストリア125.1と多店舗化や大型化で伸長しているが、コロナ後に大幅伸長しているUAは95.9とまだコロナ前売上をクリアできていない。比較的プライスレンジの高いTSIも88.4、百貨店志向が強いオンワードが62.5、ワールド76.8と回復に至っていない。単価が高いグループに属する企業は厳しい流れが続いているようだ。逆に値頃感が強いしまむら122.6、西松屋130.0と伸長している。さらに、上記した数字の厳しい企業は、ライトオン38.7、タカキュー47.3、ヴィレヴァン73.6、マックハウス51.4と完全に低迷している。

企業の状況の流れもあるが、やはり低価格帯への流れが顕著ではある。先日繊研新聞に「被服支出はコロナ前水準を下回るという」記事が出ていた。月当たりの洋服支出は2019年の4322円に対して2025年は3476円となっており、婦人衣料は2473円から2008円に、紳士衣料は1410円から1080円まで落ち込んでいる。特にビジネス衣料は「優先度の高い支出」から外れていると書かれている。先述した自己流での既存店コロナ前比でも「しまむら」や「西松屋」の数字が上位にいるのが納得できる。ワークマンはFCが大半で状況が具体的には読めないが、やはり大きなポイントは「価格」になっている。

今年も物価上昇を避けることはできそうにない。小売業の切り口は引き続き「価格」になるのは疑いようがない。そして円安の環境下でも「価格戦略」にシフトできるのは、迅速に商品を作れる大手企業しかない。

■今日のBGM

利益率は簡単に上げられるし、簡単に落とせる

ヴィレッジヴァンガードの退店ラッシュと、セールのことがネットの声に出ている。捨て値で売っているらしい。評価損商品の売り方はわからないが、前期末に評価損2472(百万)を計上しているので捨て値にして販売していることは想像できる。これだけの金額の評価損があると誰がジャッジしたのだろう。そして毎年どういう棚卸をしていたのだろう。毎年の不稼働商品が積もり積もっての結果だと思う。さらに2013年にも4692(百万)の評価損を計上している。そして他の小売業ではライトオンが2023年に1564(百万)の評価損を計上している。

つまり、利益は「簡単に上げられるし簡単に落とせる」ということになる。売れていない商品をなくすには取引先に返品するか、値段を下げて売ってしまうしかない。取引条件はわからないが、取引先からの依頼で「売れるだけ売って返してくれればいい」という所謂委託条件でなければ、ほぼ買い取り条件になる。値段を下げるときに、原価を下げる値引を取引先が負担することもあるが、多くは小売り側のリスクで値段を下げてなくしていく。値段を下げれば当然利益は落ちる。このヴィレヴァンの評価損の大きさから、毎年の利益率の低下を避けるため、例年適正な在庫評価をしていなかった結果と言わざるを得ない。

このブログでは何度か書いているが、商品代金の支払いは、一般的には仕入れてから2か月~3か月後の支払いになる。3か月間で売れれば商品代金も払えるし、利益も確保できる。3か月で売れない商品が多くなれば、資金はショートしていくし、キャッシュが少なければ次の仕入れもできない。ヴィレヴァンの決算数字を見ると商品回転率は年1回転前後なので、単純に商品は1年後に金に代わることになる。商品代金は支払い済みなので当然キャシュは減っていく。それを防ぐために、値段を下げて売ればキャシュは入ってくるが、利益率は落ちる。利益率が落ちれば利益額も減るので営業数字は悪化する。過去10年値段を下げずに何とか決算数字は取り繕ってきたが、いよいよキャッシュも減ってきた。在庫も多くて身動きが取れない。そこで、やっと多額の商品の評価損で再整理をしたということになる。これでもまだまだ不十分に見えるが・・・

当然、上場企業でもあるし商品のPOS管理はしていると思う。そのPOSデータをどう活用していくかが今後の大きな課題になる。ヴィレヴァンについて書いている専門家?の中にも「POSがヴィレヴァンをダメにした」という記事もあった。POSがあるから個性ある商品がなくなったとの意見だ。ただ、それは違う。POSを使いこなせなかったということが正しい。販売期間が長くなった商品はまず売れない商品であり、その商品をなくして新しい商品を入れるために指示が出せなかったということだ。

昔、イトーヨーカドーはディストリビューター(DB)の力が強いと言われていた。バイヤーより権限があったと聞いていた。商品の動きを単純に数字で把握して、ジャッジをするスタッフだ。DBが商品の売り上げ動向や消化率、単品の在庫日数(何日在庫が寝ているか)を確認し、その商品の対策を指示する。当然在庫金額の把握もしていて、商品回転率や、予算との乖離も指摘する。その分析結果で在庫予算がオーバーする場合、仕入れは当然ストップの指示が出る。そして、値引きをもらって値段を下げるか、単純に値下げするか、売れている店に集積させるか、もしくは返品するかなどの指示をする。

ヴィレッジヴァンガードは商品データでの決め事を作る必要がある。売上と在庫のバランスを設定し、売上、在庫を念頭に置いた数値計画を作成する必要がある。それを品種、品群ごとに作る。そしてその期間を超えたときはどうすべきかも明確にしなければならない。仕入れは楽しいものでなく、仕入れた責任が付いてくることを認識させる必要がある。

あれだけ嗜好品のイメージのある店で、年間在庫回転率1回転前後なら、絶対商品の山になるし、間違いなく利益は出せない。今期は前期の評価損商品の売上も見込めるので、若干の利益は回復するが、今後も商品回転率が改善しなければ、企業存続は間違いなく難しくなる。

■今日のBGM

どんどん厳しくなるシニア市場

「この店は、売れているし、これからも売れるよ。」1990年前後だと思うが、いつも鋭い指摘をしてくれた商品部の先輩が、マーケットリサーチをしている時に教えてくれた。そして「ちなみに店名はイタリア語で一方通行の意味だ」。そういうことがあり「センソユニコ」は非常に印象に残っている。当時は、レディスシニア層(ミセス)の専門店も仕事の範疇であったが、「センソユニコ」とは仕事では絡んだことはない。

「センソユニコ」を展開していたマツオインターナショナル㈱が会社更生法の適用の申請をし、㈱バルコスの支援を受けるべく基本合意書を締結している。

ミセス市場は大きく変化している。そのターゲットが大きい売上を占める企業の売上数値は大きくダウンしている。「ルイシャンタン」「コルディア」などを展開していた(株)ワールドは2012年3299億の売上が2025年には2257億と68.1%になり、「ルイジョネ」などを展開していたイトキン(株)は2015年952億の売上が2025年には318億になっている。さらに「ピノーレ」などを展開していた㈱キングも2012年137億の売上が2025年は82億まで減少している。専門店でも2009年伊藤忠の傘下に入った㈱レリアンも564億の売上が2025年には251億まで落ちてきている。一世代を築いたミセスマーケットは、この20年で半分くらいまで小さくなっている。

ミセスマーケットの落ち込みは、顧客管理手法の変化も大きな要因だと思っている。従来は、細かな固定客管理で安定した売上を確保していた。やり手の店長がいなくなると売上は大きく落ち込むと言われていた。それが2003年の個人情報保護法以来、顧客管理が厳しくなり、従来のミセスブランドやミセスショップのマネジメント手法が崩れていった。

高齢化が進んでいる中、その市場は過去と大きく変化している。いろんなファッションの流れを経験した世代がミセス層に突入し、多様化が顕著になっている。そして、その層はまだまだトレンドを意識したエイジレスなファッションへのニーズも強い。さらにカジュアル化の流れも大きい。百貨店のゾーニングも昔のようなミセスブランドのゾーニングはなくなってきている。「センソユニコ」が出店している日本橋三越別館4階の競合ブランドも「45RPM」「ワイズ」「シビラ」「プランテーション」「タオ(ギャルソン)「ケイハヤマ(ハッカデザイナー)」など昔のゾーニングの面影はない。つまり「ニーズの多様化」が進んでいる。そんな中、地方百貨店は消えていき、地方での従来のミセス層もどんどん減ってきている。

最近のデータで、60歳以上の女性の約38%、70歳以上は約20%が月1度はネットで衣料品を買っていると発表されている。今回の㈱バルコスのマツオインターナショナル㈱の支援もネット客へのアプローチを強化する狙いが大きい。さらに、変わったデータでは、2022年の日経クロストレンド調査で、可処分所得の高い「リッチシニア層」の好むブランドの1位はユニクロとなっている。つまり値頃感、カジュアル化がミセス市場に浸透し、ファッションのボーダーレス化も進んでいる。

「年金」と「金融資産」のみで生活するシニア層が増加し、人口比率も高まるが、そのファッションのマーケット規模は縮小し複雑になっていく。ただ、この層を拾わないと企業の存続もなくなる。

■今日のBGM

ヤングターゲットの商業ビルは成り立たない

マイカル在籍時、最後はビブレで仕事をしていた。ビブレは、DCブランド全盛期の大型商業施設では、マルイ、パルコと並んでヤングターゲットのファッションビルとしての位置づけにあった。ビブレの営業を統括している時、店舗数は23あったと記憶する。その当時は試行錯誤を続けていて食品併設で百貨店志向の店もあった。その後イオンに吸収され、現存するのは横浜と明石の2店だけになっている。明石は食品併設型で「無印良品」と「ユニクロ」がある成功パターンのデベロッパーで横浜は広い意味でのヤングターゲットのビルではある。

マルイはモディ含めて現在は27店舗ある。食品併設のフルライン型店舗や、都心のネット型?店舗もあり、従来のファッションビル型店舗は有楽町くらいとなっている。北千住や他2.3店舗での百貨店型店舗があるが、基幹店だった新宿店も含めて催事面積が増えており、失礼ながら小売デベロッパーとしては、力を入れていないように見える。企業として、小売業よりエポスカードやムービングなど他事業へ力点が変化しているのではないだろうか。

先日、静岡パルコが来年1月閉店すると発表された。それを除くとパルコは14店舗となる。見たことがない店舗はひばりが丘くらいだが、パルコは全店舗ほぼきちんとテナントリーシングできている。浦和や調布のように食品ニーズ顧客へのリーシングもあるが、大都市では従来のファッション提案中心の商業ビルとなっている。おそらく昔からのファッションビルとしての流れを守っているのはパルコのみのように見える。

もうすでに、地方ではファッションビルは完全に成り立たなくなっている。東京都下と100万都市以外で成り立っているファッションビルは、静岡パルコ閉店で、あとは金沢フォーラスくらいになった。

ヤングターゲットを取り巻く商環境は、どんどん厳しくなっている、ターゲット年齢を15才~35才と捉えると、ターゲット人口は1990年に34058(千人)、2010年28430、2024年24631と減少しており、2024年は1990年比で72.3%となっている。さらにその年代の人口構成比も27.6%から19.9%と大きくダウンしている。そして15才~39才の都道府県の転入出では東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)、愛知、大阪、福岡を除き全国的に転出超過となっている。つまり俗にいうヤング層はどんどん人口が減ってきており、さらにその人口減に加えて東京、大阪、名古屋、福岡の大都市圏に移動している。それにより、その他の地域のヤングターゲット客層は大幅に減っているということになる。

さらに、大都市圏であってもファッションのみの提案では当然成り立たっていない。飲食はもとより、バラエティ雑貨やキャラクターグッズ関連、古着などターゲットを幅広くしている。好調な業績の心斎橋パルコではインターナショナルなブランドからポップカルチャー、「無印良品」や「ハンズ」、さらにはシネマや大阪らしい食堂街までうまくまとめて構成されている。ただ、御堂筋をはさんだ「心斎橋オーパ」は来春閉店と発表されており、好立地になった「なんばマルイ」は空床が目立ち催事店舗も多い。つまり大都市圏でも細かく手を加えないと完全に淘汰されていっている。

なぜだか、静岡パルコの撤退報道は、心に響いた。昔の商売が終わりを告げられたような気がした。うまく書けないが、地方都市ではファッションは根付かないのか?ファッションの商売も郊外モールで戦うしかないのか?・・・

もう、今の時代では個人でファッション関連の商売はできない環境になっている。

■今日のBGM

もう店を出す環境にはない・・・

「もう一度店をやるなら」とよく考える。先日も「洋服ダンスを片付けて」と言われて、着なくなった服を見て、ブランド古着の店を考えたが、ネットを見たらそういう店は山ほどあった。真剣に考えると、「店を出す」ハードルは非常に高い。

帝国データバンクが「雇用過不足」に関してのアンケート結果を公表した。正社員不足の企業は51.6%と半数を超えている。小売業では非正社員の不足割合が54.2%となっており、増加傾向に歯止めがかかっていない。人手不足倒産も過去最多となる見通しのようだ。小売業にとってみれば、人手不足は大きなアゲインストになる。特に衣料品や服飾品の店はコンビニのようにレジの無人化は難しいし、ロボットで接客もできない。

商品調達に関しても再び円安傾向に戻り、海外生産商品のコストも上がっていく。メーカーも小売現場の状況が厳しくなってくれば、リスクを持って商品を作りづらい。小売り主導になっていくだろうが、小さな資本では難しい。

商品だけでなく、売場を作るコストも同様に上がってきている。工事業者も人件費や資材の高騰もあり、予算と工事費が合わず、受注を控えざるを得なくなっている。

さらに、出店する商業施設にも同様のコストアップの流れがある。集客を図るために家電などの大型カテゴリー店舗や、ユニクロや無印良品のような大型店舗を導入せざるを得なくなっている。その結果、商業施設で大型店舗のウェイトはどんどん大きくなっている。その賃料はそこまで高くできないため、他のテナント賃料にしわ寄せがくる。つまり中小型店の出店条件は、おのずと上昇してくる。

小売業としては、もっと根本的な問題の「何を」「どのターゲット」に売っていくかも見えてこない。数字が読めない。トレンド商品を狙うにはその土壌が必要で、今後さらに減少するであろう客層への商売は難しい。ニッチゾーンでは、長続きしそうにないしリスクが大きい。おそらく、狙いはロープライスメガネなどの「ノンエイジ、ボリュームプライス」で大手があまり手を出しにくいゾーンだが、20年位前には見つけられたが、今はもうないに等しい。

つまり、現状では、隙間も見えず、さらに資本力のない企業が新規参入するのは非常に難しくなっている。

となると、戦えるMDプランがある企業や小売業へ参画したい企業が考えるのは、不振企業へのM&Aになる。とりあえず、売場と内装と人はいる。さらにローコストで手に入る。近年、流れの悪い上場小売業にその流れが顕著になっている。さらに近年は、表面的には見えにくいが、投資ファンドが株主参入している企業も増加している。

ただ、現状ダウントレンドの事業を、そんな簡単に再構築できるとは思えない。そして、特にファッション事業はもうすでにオーバーストア化している状況にある。つまり、小売業に参入しても簡単には成功はできないし、大きなメリットは望めない。

やはり、いくら考えても、個人では何もできない。

■今日のBGM

高齢者こそ極端な2極化が進んでいる

日経新聞をずっと宅配してもらっている。チラシがほとんどなかったのが購読の1つの要因だった。近年、今まで折り込まれてなかったチラシが少しずつ増えてきて、近隣のSM(スーパーマーケット)のチラシは毎日のように折り込まれるようになった。ユニクロやドラッグストアのチラシも多い。近隣にはSMが4~5店舗あり週末には大量に折り込まれる。

SMのチラシの内容は、従来の特売的なものに加えて、ポイント戦略が増えてきている。イオンのポイント戦略と同様の5%オフ日やポイント〇倍が並ぶ。プリペイド機能に対象日に入金すればポイント分金額が加算される日もある。当然銀行の利子よりも大きいので、変な魅力がある。チラシの内容は、昔の商売していた時の卵や上白糖などの特売商品は少なくなっている。均一セールの打ち出しや、仕入れ時期によって値段が変わる生鮮商品の割引、アイテムごとの「値段から%オフ」の企画が多い。

以前、このブログでも何回か日経新聞の全紙(1面分)2連(2面分)の掲載広告を紹介した。数日前にブログ掲載時に添付したが、全紙広告は「アルパチーノ+デ・ニーロ=モンクレール」で2連は「本=ブルネロクチネリ」の広告だった。11月に入り1日に日経新聞本紙を包む形で2連の表裏(4面分)の新聞広告があった。「カルティエ」が1面と最終面とその裏面、計4面を占めており、それに包まれて日経新聞の記事がある。日経新聞は「日経マガジン」や「Ai」等のグレード感の高い商品を掲載する折込小冊子 もあり、その掲載ブランドの購買客層は非常に限られる。

新聞発行部数は、2000年に1世帯部数1.13と全世帯で購読していたが、2024年には1世帯当り0.45と半分以下になっている。さらに新聞購読者は40代までが20%前後で60代以上が50%以上になっている。特に日経新聞では2020年の60代以上比率が48.2%から2023年には63.4%と高齢化が急速に進んでいる。デジタル化が進む中、宅配新聞購読者の半数以上は高齢者ということになる。

つまり、日経新聞の高級ブランドの広告もSMのチラシも高齢者に向けたものになる。そして、この年代が一番2極化されている。日銀は、家計が保有する金融資産は60才以上が6割前後を保有していると9月に発表している。そして、70才以上で金融資産が3000万以上世帯は約20%で、逆に100万未満は25%にも上る。

話は変わるが、車が好きなので、ここ数カ月車の買い替えをずっと考えている。高齢者として、これが最後の乗り換えになるかもしれないし、今の車も次の車検で満7年になる。数台候補はあり、そのうちの1つを販売する所謂国産高級車の販売店に行った。以前行ったときは受付の女性との話(買わないと思ったらしい)で終わったのだが、今回は、担当者と興味を持っているモデルチェンジする車種について話すことができた。おそらく不人気車種(若い層にはうけない)にもかかわらず、今月末納車される試乗車の予約もいっぱいで、「乗り換え時期に納車は絶対無理です」という回答だった。あっさりした商談だったが、販売予定台数以上の購入希望者がいるということのようだ。客層は高齢者中心ということだった。

日本の人口は30年前と比べると98.1%と微減だが、60才以上は181.5%と大幅に増加している。人口構成比は19.3%から35.4%となっており、その人口は男性19457千人、女性24346千人、合計43803千人になっている。高齢者の比率がどんどん高くなっている中、その層の2極化も顕著になっている。

間違いなく高齢者層の今後の消費行動が、商売の在り方を大きく左右する。

■11月1日 日経4面分の新聞広告

先を見据えた企業戦略

この頃、商売のキャパを考える。人口が減少していき、労働人口は減少し、どんどん高齢化は進んでいる。商売は想定需要のシェアをどれだけ確保していくかにかかっている。例えば食品スーパー(SM)なら商圏人口×食品支出である程度の想定の需要額はでる。衣料や雑貨も結局そのパイの取り合いになってくる。そして全体のキャパはどんどん減少していく。

駅にあったマツキヨが退店していた。近辺に新しくスギ薬局ができて、サンドラッグ、ウェルシア、セイムスと完全にオーバーストアになり、立地面では良かったが規模で劣ったマツキヨが駅前商圏から消えていった。ドラッグの商圏規模からはじき出された結果かもしれない。SMでは、ヤオコーが去年駅前にオープンした。企業として1km圏のシェアは25%が目標で、実績としては18%ということだ。近隣駅の1km圏の人口は54000人で2.5万世帯であり、食品支出額は2人家庭で1070千と発表されている。家族の人数を考慮し、外食を除いて計算して食品支出額1世帯800千と想定すると、商圏内の食品支出額は約200億円の規模になる。駅前にオープンしたヤオコーの初年度売上目標が26億円と発表されており、シェアは13%ということになる。数字から分析すればまだ成長余地はあるということかもしれない。

衣料品の消費支出についての総務省統計局の家計調査データがある。2021年のデータだが1世帯当たりの消費支出のうち「被服、履物」への支出は全体の4.4%しかなく、昭和50年代くらいまで続いていた10%前後から大きく低下している。購入単価も単価指数で見ると平成17年を100として婦人服は55、紳士服は87などすべての品目で消費者物価指数を下回っている。さらにデータを見ると可処分所得は10年前と変わらないのに「衣服、履物」への支出は2割位減っていることがわかる。他のデータを見ても衣料品購買額は2024年平均月額3336円でバブル期から約50%減という数字もある。

つまり、データは調べれば山ほどあり、ある程度データを分析すれば、その企業の方向性や成長性は読めてくるのではないかと思う。企業の拡大を目指すなら、現在のポジションを理解して、客層の幅を広げるかシェアを上げるかなどの対策を立てる必要がある。

2024年の国内人口が1.23億で2040年には1.1億になるという。そのうち65才以上の人口は29.3%から35%になり、15才~65才の人口は現状の7372万人から6300万人前後に落ち込み、約1100万人減少するとされている。労働人口は省力化を進めていけば何とかカバーできるかもしれないが、小売業は両面で明らかに厳しくなる。特に客層の幅を狭くしている業種は厳しくなる。例えばユニクロは客層の幅を広げており、65才以上へも訴求できている。そうなればいかにシェアを上げていくかが企業課題になる。すでにグローバル企業で、国内のマイナスをヘッジすることもできている。逆に客層の幅が狭いセレクトショップの戦略はどうあるべきか?単純に65才以上をターゲットから外すと、2040年にはターゲット人口は85%前後になる。そうなれば、戦略はボリューム層に食い込むか、資産を持つ高齢層を取り組むかしかない。現状の客層のシェア率を上げても分母のマイナスは補えない。企業の維持拡大を考えるなら、M&Aしかないのではないか。

高年齢化、人口減少で小売業はアゲインストが多い。特に必需品でないファッション企業は厳しい道が待っている。いち早く、将来的な事業の立ち位置を考え、どうやってシェア率を上げていくかを早急に検討する必要がある。

■今日のBGM

自民党総裁選挙・・・

新聞、テレビでは総裁選挙の露出がずいぶん増えてきた。過半数割れとは言え、そのまま総理大臣を選ぶ選挙になる。誰も、賛否で盛り上がる公約もなく、おそらく誰がやっても変わらないし、国内の動きにプラスの影響はなさそうな気がする。

国民全体のことではないが、小さな小売の会社を経営してきた経験から、国が中小企業に手を伸ばして欲しいことを少し書いてみる。

このブログでもよく書いているが、国内の企業数の99%は中小企業で、従業員数も70%を占める。売上高を見ると中小企業は全体の59.2%で、全体の経常利益に占める割合は22.7%というデータがある。このデータから見ると国としては「稼ぐ力」が強い大企業中心の政策にならざるをえない。中小企業は国から見て投資対効果は低い。経済同友会や経団連のニュースは多いが、中小企業庁の露出はほとんどない。当然重要度から見れば、大企業中心にならざるを得ない。ただ、小売業で言うとコンビニオーナーも会社化しているところも多く、大手コンビニも中小企業で成り立っている。ローソンの社長だった新浪氏は「時給1500円にできない企業は退出」と言っていたが・・・

まず、政策への訴求を強めてもらいたい。もう少し中小企業に行き渡るようにしてもらいたい。大企業には人がいる。いろんな制度や補助金については担当者がいて対応できる。さらに外部ブレーンを持っている会社も多い。中小企業はそれさえ知らないということが多くある。いろんな投資への補助制度や、賃上げ促進税制などの詳細をいち早く浸透させてほしい。メールでも郵便でもいい、必ず手に届くように対応してほしい。そういう制度があるということを知らなければ、対応さえ取れない。

さらに申請はできるだけ簡潔にできないだろうか?当然各企業の決算書は行き渡っていると思うので、決算書を見れば、会社の状況や姿勢はある程度読み取れるのではないだろうか。各企業の状況を把握して、歩み寄れないものだろうか?税務署と連動すれば会社の状況はすぐわかる。過去、助成金をもらうのに資料が多すぎて大変な労力だったことを思い出す。企業体質によって、提出資料の数を多少変動できないものだろうか?どうも補助金や補償金は「出したくない」が前提になっているように感じる。

最後に、大本命の小泉農林相の「5年後賃金100万増」についてだが、あくまでも国の補助があっての政策だと思う。前回出馬時も「給与が安い企業をやめて高い会社へ」という意見を主張したが、どうも現場感がなさすぎる。民間企業で働いたことのない人の政策だ。具体的な数字は公表できないが、以前経営していた会社に置き換えると、コロナ前で、月給社員に年間200千の給与アップをすることによって約40%の営業利益ダウンになった。そして毎年給与アップを続けることで、3年で赤字の危機がやってくる。赤字になれば補助金やいろんな制度は使えないことが多い。そして、よほどの改善がなければ収益は上がっていかない。仕入先があり、賃料を払って出店するビジネスでは、どうやって経費構造を変えればいいのだろうか?出店経費の削減はデベロッパーがあって難しいし、店舗人件費を減らすわけにはいかない。むしろ増える。出店しなければ店舗数が増えず、店舗が増えなければ、商品の原価も下げにくい。

ますます中小小売業の数は減っていく。それは国の思惑通りかもしれない。

■今日のBGM

専門店の「店」と「商品部」

店でずっと販売の仕事をしてきて、小売業に慣れてくると、商品を売るだけでなく、こういう商品を売ればいいのに、こういう商品を仕入れたい、という気持ちになってくる。それは当然のことで、「売りたい商品を売る」ことが理想の姿ではある。思い入れのある商品は商品をよく理解しているために売りやすい。やはり、個店で「仕入れる人=売る人」のケースはうまくいくケースが多い。ただ、本部でバイヤーとして「仕入れる人」は売場との連動がなかなかうまくいかない。

過去の経験から、本部バイヤーと店の売場責任者との温度差は大きかった。当然のように仕入れて売るので、売ることと仕入れることはリンクしてなければならない。つまりその役割を複数人で実行するならば、同じ気持ち、同じ考えでなければ成功しないし売れない。店はそれぞれ商環境が違う。具体的には、立地環境も違うし、売場面積も違う。さらに客層も違ってくる。それを理解していたとしても、絶対に商品の動きは違ってくる。

売場にいると当然商品の動き方を肌で感じる。売れている商品は商品量を確保するし、演出も強化する。バイヤーが本部にいると、そういう情報を集めるのが遅れる。バイヤーとしての本部での仕事もある。各店の単品状況の確認や、店別の動向確認、さらに受け持ち数値の確認もしなければならない。店は個店の数値確認になるが、本部はトータルでの数値対策が必要になる。細かくは商品の店舗間移動の指示や、利益を考えての不稼働商材のプライスダウン、さらには利益や在庫数値への取り組みもしなければならない。さらに本部にいると当然幹部職と話すことになり、指摘事項も多くなる。違う部署との連携ができるというプラス要素もある。商品を売るための販促や演出への取り組みも可能になる。ただ、私見ではあるが、商品部の本部機能は経営側が確認しやすいように本部に置いているとしか思えない。

商品政策はあくまでも店とリンクする必要がある。それが当然、専門店の一番大事なことになる。そこで商品部バイヤーを店長が兼務することが最も望ましい。その下に店を仕切る若手をサブでつけておけばいい。これは以前も書いたと思う。バイヤーは現場感がなければならない。素直に商品の流れを実感する必要がある。売り方も提案できる。現場感があるほうが、仕入れや売場作りへの提案もしやすい。それができないなら、本部でのバイヤーは思い切って若手を登用する。そうすれば、他店店長が自由に意見を言えるようになる。そして若手バイヤーには徹底的に数値教育やストアメイキング手法などを教育する。特に「売上と仕入と在庫のバランス」は徹底教育する。さらにバイヤー期間は短くして、次の世代との交代を頻繁に行う。

「本部=えらい」の構造はないほうがいい。上記したどちらの提案も現場志向で、「小売は売場」の認識を強く持ち、後方要員(本部要員)を減らすことが一番の企業戦略になる。企業の仕組みが整ってくれば、本部や店の役割は明確になってくる。このブログでは何度も書いているが「イトーヨーカドー、セブンイレブンの組織図」は、当たり前のことだけどそれを一番気づかされる。

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