ディストリビューター(以下DB)を調べると、「MD、バイヤーが発注調達してきた商品を「適正に」「効率よく」配分すること 店頭在庫を整えることが主な業務になる。」とある。自社商品、別注商品が作れるだけの規模になると非常に必要なポジションだ。

昔、イトーヨーカドーのDBは権限が強く、バイヤーが発注しても在庫が多ければ仕入れを許可しなかったらしい。当然商品部内の組織ではなかった。これは大きなポイントになる。商品部内にいるとバイヤーやMDと机を並べているので、強い指摘ができない。以前在籍したビブレも商品部にDBを在籍させていた。ともすればバイヤーの部下、同僚としての扱いになる。仲良く同席していると当然在庫や商品動向への提言機能は弱まる。

店舗数が増えてくるとオリジナル商品の比率が高まり、その商品の管理をDBがする。オリジナル商品の店別動向や在庫管理データをつかみ、情報を開示する。当然動きが悪い商品をどうするかもジャッジする。売れている店に移動させたり、値段を下げてなくす指示もする。つまり商品の司令塔になる。

在庫管理も当然DBの主要業務になる。各店の売上予算、在庫予算を把握し、仕入金額を把握する。売上の予測と仕入金額で在庫予算との乖離は当然わかる。仕入原価も分かるので月末在庫と月末の利益着地も想定できる。在庫が多くなりそうなら、仕入れをストップさせるし、商品が売れてなければ利益予測をして値段を下げる指示もする。

単品情報もデータでわかる。以前の会社では1カ月0.2回転以下の商品(10点仕入れて2点売れると0.2回転)は売れている店へ移動させるか、値段を下げるかのジャッジをしていた。楽なボーダーラインだが早め早めのジャッジは必要だ。ジャッジラインは会社が政策的に決めればよい。小型店は早めに不振商品を他店に移動させて、商品を入れ替えたい。さらに、売れている店があるのならその店の売り方や演出など成功事例として共有させたい。

商品仕入担当は、当然自分で仕入れた商品はかわいい。売れると思って仕入れたのだから、売れないのは売場の責任と思っている。売場は逆に売場の欲しい商品がわかってないと思っている。これはいつも見られる様相だ。どちらかの意見に偏らないため、DBを管理するポジションには、営業系でなく数字で冷静に判断できる管理系の責任者を置くべきだと思う。そしてその責任者は営業の責任者と対等である必要がある。

小売業の数値は「売上」「利益」「在庫」で評価される。とかく「売上」「利益」のみ語られ「在庫」を見落としがちになる。「在庫を整えることがDB」という定義を再認識するべきだと思う。

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