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イトーヨーカドーのエンディング

イトーヨーカドー(以下IYと記述)の退店ラッシュとの記事がTV、新聞やネット上に多く出てきている。セブンアイの政策通りの動きではあるが、少し寂しい。数字を見てもGMSとしてのIYがどうだったのかが比較するものがなくできないので、今までの私自身の経験や感想のみで書かせてもらう。あくまでも感想ということを前もって書いておく。

IYのGMS事業の収益は低くなっているが、イオンのGMSと比較すると間違いなく利益率は高いと思う。少し数字を調べたがイオンは㈱イオンリテールの総利益率は発表していない。IYは2021年25.1%で、イオンリテールとして2018年は26.4%と公表はしている。ただしイオンはモール事業を㈱イオンモール以外でもやっており、SC名はイオンモールではあるが運営母体が㈱イオンリテールという物件も多い。越谷レイクタウンのmoriはイオンリテール物件だし、もともとイオン物件をモール化した物件はイオンリテール物件が多い。そういう意味でモールとしての賃借料収入で利益率は変化するので、IYとは比較できない。ただ間違いなく過去の経験上IYの利益率が高いと思う。食品の利益率は2%以上の差があるのではないかと思う。

IYは関東の企業で、小売業というより「企業」「組織」というイメージが強い。従業員も関西系GMSの社員とは違う「きちんとした」イメージがある。アリオのコンサルで四谷の本社を何度も訪れたが、スタッフの机は全員入口に向いており、企業体質も「ちゃんとした企業」というイメージを受けた。「やったらええがな!」的なマイカルにいたので余計に痛感した

ただ、きちんとした企業だから数字で理論づけされて思い切ったことができなかったのではないかと思う。陳台を決めて効率を追求するコンビニ「セブンイレブン」はIYの風土から育っていった。余談だがイオンの「ミニストップ」はもっと個性を出せばいいのにと思う。さらにIYの効率経営を考えれば、イオンのように「たぬきの出る」場所に出店はしない。エリアマーケティングを徹底し、数字上効率が合わない郊外の大きな面積でのSCは開発しない。郊外RSC事業では開発型の思い切った戦略のイオンに完敗だった。イズミとの紳士協定(商社がらみ)で西日本への出店ができず、関西系GMSのお膝元には出店ができなかったことでナショナルチェーンになれなかったことも大きい。

GMSの精度ははるかにイオンより上だと思う。ただRSC主流の現在、買い物以外のエニシングエルスがない。従来通り効率追求のGMSに見える。さらにそもそもGMS自体がもうオワコンのような気がする。イオンも当然わかっている。IYの売り上げ構成比で衣料雑貨、住関連の商材は20%程度まで落ち込んでいる。イオンも食品以外は完全に縮小傾向だ。

IYも「食品+テナント」の構造へ変化していくと発表しているが、テナントリーシングに苦しむと思う。どこまでテナントに賃料を譲歩できるかが課題にはなる。企業体質として赤字になる事は、許されないので固定賃料か「固定+歩合」でのリーシングになる。出店する人気大型カテゴリーの賃料にはなかなか譲歩できないのではないか。

SM事業も今後は利益を出しにくくなっていくのではないだろうか?「ロピア」や「OK」など価格戦略に対抗するのは、企業風土、戦略を大幅に変更するしかない。

大学時代、有名なマーケティングの先生が流通業ではIYを一押しだった。まさかこんな時代が来るとは思わなかった。理詰めでの経営だったはずだが世の中の流れに乗れなかった。IYの歴史が「セブンイレブン」を作り上げたことは事実だ。小売業の流れも大幅に変わった。百貨店もほぼなくなっていくだろうし、今後RSCも淘汰が始まる。客層の2極化が進んでいく中、中流のGMSはいらなくなった。

IYの解体でGMSの歴史は終わる。つくづく実感する。

■今日のBGM

流れが悪い上場小売業

日経新聞には信用残高が発表される銘柄の売残と買残が公表されている。株をやらないので詳細は説明できないが、株価の変動が激しくなりそうな、リスク管理が必要な銘柄のようだ。小売業では、パレモ、シーズメン、ジーフット、アナップ、ライトオン、タカキュー、マックハウス、バロックなどが記載されている。株価が大幅にダウンしたワークマンも公表されている。タカキューとともにイオン系で債務超過のジーフットや厳しい決算が続くマックハウス、ライトオンなどが含まれており、厳しそうな会社が多い。

前回年末年始の数字を記したが、厳しそうな小売業の売上状況を見てみたい。

1月の数字はライトオン前年比97.6%、パレモ93,8%、タカキュー93.6%、マックハウス92.3%、シーズメン89.8%と前年割れの流れが続いている。全体的には好調な流れに見えた中で12月同様の前年割れの流れは続いている。

これをコロナ前2019年実績と比較する。(例によって既存前年比を毎年掛け合わせてみる。)数字をまとめた小売業で1月2019年比80%以下の会社は4社。ライトオン69.0%、シーズメン69.5%、タカキュー73.2%、パレモ78.3%。ライトオンの悪い流れは止められてない。ジーンズカジュアル系の悪化についてはよく書いているが、シーズメンも今はブランドが増えているが、もともとは店名「メソッド」でジーンズカジュアル系のショップだった。

ビレッジバンガードの流れも回復してこない。2019年比で12月は77.6%、1月が81.0%と一番ターゲット客層が動きそうな時期に上がってきていない。

数字の流れはなかなか止められない。企業のビジネスモデルを再度検証する必要がある。検証を重ねてビジネスモデルが間違ってないなら、現状の在庫を整理して、一度思い切った損失を計上し、再出発する決意が必要だと思う。

■今日のBGM

上場小売業の年末年始の数字

12月の数字については先月書いたので、1月の数字とあわせて最大量販期である年末年始の数字を見てみる。

1月の売上状況は、アダストリアが前年比114.7%、ABCマートが110.3%、ニトリ110%と2桁伸長しており、さらに主だった企業はほぼ前年はクリアしており堅調な流れだったようだ。12月84.6%と落としたユニクロも100.4%まで戻してきた。少し気になるのは12月91.0%、1月92.7%と2カ月大きく落とした無印良品。要因は冬物在庫の在庫不足とのコメントだった。

1月もコロナ前の数字と比較するために、2019年1月から既存店前年比を毎年掛け合わせてみた。(これが正しい数字ではないが、流れはつかめる。)その数字(コロナ前比)での伸長はABCマート113.7%、西松屋112.2%、ハニーズ111.2%が2桁増。しまむら109.6%、ニトリ108.2%アダストリア101.3%と続く。他はおおよそ90%台。まだまだコロナ前までの数字に戻っていない。ユニクロで97.2%。12月の動向とほぼ変わらないラインナップとなっている。

ABCマート、西松屋、ハニーズ、しまむら、ニトリと価格志向の強い会社が好調に推移しており、2極化を物語っているように感じる。まだまだ物価の上昇に所得が追い付いていないように感じる。

ちなみに価格志向と対極にいるだろうユナイテッドアローズは既存前年比が12月97.8%、1月102.8%と変化なく、コロナ前2019年比はそれぞれ86.9%、85.1%と全くコロナ前に追い付いていない。余談だがユナイテッドアローズのコメントに「マザーニーズが活性化した」というコメントがあり、時代の流れを感じた。

また別途取り上げたいが、厳しい企業の数字は改善していない。ライトオンはコロナ前比では69.0%、イオングループでなくなったタカキューは73.2%と大きく落ち込んでいる。

最後に出退店情報を見ていて、季節的に入れ替わりの時期ではあるが、退店の多さに驚いた。退店数はアダストリア14店、ユニクロ8店、ライトオン、チヨダ9店など。その分2.3月の出店は多いのだろうが少し気になった。

■今日のBGM

厳しい会社ほど在庫回転率は低い

タカキューが債務超過に陥り、イオングループが手を引きファンドの下で再建することになったことで少し思うことがある。債務超過とは会社の負債が資産総額を上回っている状態のことをいう。そうすると商品は資産になるので減らすことはできにくくなる。

タカキューの2023年決算の売上総利益率は59.9%であり、2024年度第3四半期まで売上総利益率は62.0%となっている。商品内容によって利益率は変わってくるが、ファッション事業として比べてみると、2023年度でアダストリア54.7%、ユニクロ51.9%であり、高い水準のように見える。

値段を下げて売上を上げたいが、値段を下げると利益も下がる。利益率も落としたくない。

さらに値段を下げて売ると当然のように在庫も減る。流動資産が減少する。その流れで回転率が下がっていくのではないか?タカキューの2023年の在庫回転率は年間2.46回転(月度0.21回転)となる。ちなみにアダストリアは年間5.00回転(月度0.42回転)となる。

(※棚卸資産の年度期首と年度期末を2で割って在庫を算出した。)

債務超過になっている上場アパレルにアナップがある。アナップの売上総利益率は53.2%で在庫回転率は3.39回転となる。トレンド性の強いヤングレディスターゲットしては低い。

厳しい流れが続く、共にジーンズ系上場企業のライトオンは利益率48.1%、回転率年間2.22回転(月度0.18回転)、マックハウスは利益率48.0%、回転率年間2.34回転(月度0.20回転)となっている。

商品の値段を下げると貸借対照表での資産が減少し、損益計算書上では利益が減少する。利益の減少が表面上は一番チェックされうる項目にはなる。タカキューもライトオンもマックハウスも月度回転率は0.2回転前後となっている。つまり約半年後に現金化できるということになる。商品支払いが手形ならいいが、現金支払いが主流になりつつある中で考えるとキャッシュインより支払いのほうが先になってしまう。つまりキャッシュがうまく回らない状況になる。

売れる商品は回転率も高いので、原価率の低い商品であれば利益率を上げることにつながる。逆に動きの悪い商品は値段を据え置けば利益率は変わらないがその分在庫負担になる。値段を下げれば当然利益率は下がる。

タカキューの60%近い利益は、原価率の低いスーツ業界にしても、売上げ低下を考えると高すぎる。さらに回転率も悪い。ジーンズ系2社も原価率は高い業種だが、あまりにも回転率が悪すぎる。

適正な在庫評価がどういう基準なのかそれぞれの会社が決めることなのだが、回転率を見れば市場評価との間に乖離があると思われる。市場評価での在庫額にすれば、大きな利益のマイナスが出てくるのではないかと疑ってしまうのだが・・・

■今日のBGM

もうナショナルチェーンはできないのではないか?

小売業界、ファッション業界に新しい風は今後吹くのだろうか?ローカルチェーンはナショナルチェーンになれるのだろうか。ユニクロは山口県宇部市、アダストリアは茨城県水戸市、ハニーズは福島県いわき市からスタートしている。

地方で成功している店はある。その店が全国にはなかなか波及できない。ブランドを販売してそれを軸にMDを組んでいる店が多く、エリア間のバッティングがあり、エリアを超えると思ったようなMDができないことが要因になる。ジーンズ老舗専門店発祥のセレクト店にこの傾向は強い。DCブランドブームの時も、大都市以外はFC店が主流でエリアごとにFCのオーナーがいた。アダストリアはジーンズ専門店がスタートだったし、ユニクロはVANショップをやっていたと聞く。

ナショナルチェーンへの転換の最大の要因はブランドMDから自主MDに方向転換することだと言える。

次のステップはナショナルチェーンとしてのビジネスモデルを確立できるかだと思う。ローカルチェーンはブランドMDが多いため接客重視で、プロパー販売をすることが基本になる。必然的に顧客管理をして、顧客の顔を見据えた仕入れが必要になる。ナショナルチェーンは当然客層の幅を広げ、組織を作り、管理面、商品面とも本部機能を充実する必要がある。商品は当然自主MDでセントラルバイングのウエイトが上がるし、それに伴い管理機能も万全を期す必要が出てくる。そして何よりもそれを推進する資金調達が必要になってくる。

商品原価を下げるためには、商品を作りこむ必要があり、利益率を上げるにはそのMD商品を売り込むことが必須になってくる。原価を下げるためには取引先との別注が必要で、その最低ロットは最低1型200~300は必要になってくる。さらに自社で作りこむにはそれ以上の数量で作りこまねばならない。ということはそれを売るべき場所、さらにはきちんと消化できる店が最低30店ちかくは必要になる。円安の影響で海外生産でも商品原価を下げにくい状況にもある。

さらに、SCも成熟期から衰退期の過渡期で、コロナ以降は特に賃料収入は維持していきたい方向にあり、将来を見越しての賃料優遇も考えにくい。スタッフの人件費も高騰が続いている。

株式上場を目指した岡山から出たストライプインターナショナルも赤字決算が続いているし、タカキューやライトオンなど上場企業でさえ厳しい数字になっている。ナショナルチェーンを目指すより、安定したローカルチェーンのほうが居心地いいかもしれない。

■今日のBGM

世間が思っている以上に中小小売業は厳しい

岸田首相が「賃金を上げる」、サントリーの新浪社長(経済同友会代表)が「給料は上げられる」という記事を見るたびに、そんなに簡単なことかと思うし、逆に今までやってきた商売がいかに儲からないのか、努力不足だったのかと考えさせられる。ただ会社数で99%を占める中小企業社長は「じゃお前がやってみろ」と思っているのではないだろうか?内部留保など中小企業ではほんの一部の企業しかないと思うし、仕組みも作っている途上の企業は、なかなかの難問題だと思う。

特に中小小売業の厳しい環境は続く。労働環境の問題や給与課題で人材不足は続くし、国外生産の比率が高い業界は円安では商品原価が上がり続ける。そういう環境下で価格は上げられない。まだまだインフレについていける社会ではない。

私事でいうと、以前やっていた会社でコロナになって政策投資銀行から数億円、取引銀行3行からあわせて数億円の借り入れをした。7年返済で銀行は即返済、政策投資銀行は2年目からの返却の契約だった。過去赤字決算はなく順調な会社だったし、何年かは決算賞与も出した。ただコロナで数億円の負債を負うことになった。「ゼロゼロ融資」とは言っているが、借金に変わりない。返さなければならない。経営の失敗で負った借金ではない。その借金で数年間(返済期間)は前を向いた経営はできなくなる。コロナ期間は当然苦しく、すぐには立て直せない。コロナ後も背負うものが多く、昔のように簡単に前を向いた投資もできない。

能登地震の被害を見ていても、いろんな会社、商店や飲食、美容院などが大きな被害にあっている。ここから立ち直るには大きな力がいるし、当然金もいる。能登の人の責任など何もない。ここでも「融資する」になれば、もうやる気力もなくなると思う。国が資金援助しなければ、再興はできない。報道によると国からの補助金は最大300万円とのことだ。東北地震の前例からこの金額になっている。何度も言うが、東北も能登も被災者の責任は何もない。余裕があるらしい経団連や同友会への参加企業は、返済なしの資金援助でもしたらどうだろうか?国もその資金援助分は非課税にするとか策はある。

厳しい環境の中、必死になって収益の改善努力をしている中小企業は。全会社の99%を占めることを再認識すべきだと思うし、国やリーディングカンパニーたる大企業はそこへの投資、資金援助を積極的に行うべきだと思う。

せめて過去10年で収めた納税額ぐらいの金額を国は援助金として出せないのだろうか?

少し愚痴も入った・・・。

■今日のBGM

タカキュー再建

イオングループのタカキューがイオンと提携を解消して、ファンド傘下で再建するという記事が日経にあった。2022年に債務超過になり今回は銀行が15億の債権放棄と第3者割当増資(ファンドとどこ?)で再生とのことだ。イオンは資本業務提携を解消したとある。

債務超過になり、店舗数を大幅に減らしている印象はあった。

過去10年の決算書を簡単に見てみる。売り上げピークは2018年の261.3億、2023年が119.8億なので45.8%まで落ち込んでいる。店舗数は2018年が311店に対して2023年は130店に減少。当期利益は2014年4.7億に対して2021年-31.4億と大きくダウンしている。数字推移を見ているとコロナが大きく影響していると思われ、2019年以降の利益は合算すると-63.4億になる。一番大きなきっかけはコロナだろうが、利益も2014年以降は1億前後で店舗規模の割には小さく、アゲインストの中コロナでやられたというところだろう。

近年の数字を見ると平均的な大きさは50~80坪くらいで、数字を店舗数で割ると平均的には売り上げは7000千/月、利益率は58%、在庫は回転率0.21回転/月、平均在庫3300万くらいの営業数値のようだ。この営業数値で利益率58%は相当高い。在庫評価次第ではもう少し利益率は低くなると思われる。

もともと新宿の「三峰」「タカキュー」の流れもあり、私は「アレクサンダージュリアン」のインパクトが強い。極端に量販イメージはなく、かといってその後出てくる大型スーツ量販店とも違い、ポジション的に中途半端になったと思う。一時はモードっぽい「セマンティック」がブームになったが近年はスーツのイメージが強くなってきたように感じる。アオキの「オリヒカ」と競合する感じになっているのではないか。売り場坪数もスーツ専門店よりも小さく、スーツ以外はインパクトなくカジュアル系もスーツ客に売っているイメージが強い。メンズの中途半端な位置づけのような気がする。以前触れたが「中途半端なブランド」は「どっちつかず」で「どっちつかず」はどの層も支持しない。客層の2分化の時期には最も厳しい業態だと感じる。

では今後はどうなるのだろうか?コア事業は不採算店をやめていったので大きなマイナス要素もないが、大きくプラスに転じることもない。出店場所はやはりイオン中心に続けられるのだろうか?イオンも退店されるほうが大変かもしれないが・・・

じゃどうするか?他人事なので何でも言えるが、ファッション事業を続けるならイオン系郊外RSCでやっていけるのは少しにおいが違うものだと思う。イオン系で何店かある、ちょっとにおいのある洋服の品揃え店ができないかと思う。関西のイオンモールに入っている「ジェオグラフィー」や「ワークス」のような品揃えで、さらにその店よりデニムウェイトを下げた店はどうだろうか?たまたまタカキューのHPを見ていると「on the day」というネットのカテゴリーがあった。昔店をやっていたみたいで、今はなさそうだけど、この流れの店を展開すればイオンモールなどは飛びついてくると思う。ただ利益率は取れないと思う。多店舗化は難しいかな・・・

前途は大変厳しいと思うけど、何かチャレンジしてほしいし、復活してほしい。

■今日のBGM

ティーンズの市場は難しいが・・・

ハニーズが最高益と日経記事にあった。ハニーズの売場にはあまり興味がなかったが、2~3年前、店を巡回しているとき、少し驚いたことがある。季節の変わり目(2/末か8/末?)だったと思うが、各ショップが商品残の処理に苦しんで売り場が乱れていたのだが、ハニーズだけがきちんと商品が入れ替わっていて新しい季節の売場になっていた。ティーンズのボリュームゾーンの店は売場内通路が明確でなく、売場に手が入りにくいのだが整然としていたので印象に残った。社内会議でも言った記憶がある。

ティーンズヤングのボリュームゾーンの品揃えは大変難しい。そのターゲットの専門店は、鈴屋、三愛、鈴丹(現パレモ)、リオチェーンなどが大手でティーンズ系は名古屋の鈴丹、リオチェーンが引っ張っていたと思う。ナショナルチェーンティーンズ系大手は、その他にハニーズやエルメなどがあった。一時は一番元気な市場だったと思う。鈴丹は一時年商1000億を超えたこともあった。

店で婦人衣料を管轄していた時、ティーンズ平場は非常に難しかった。流れがすぐ変化し、売れ筋の見極めと確保が難しい。なお、ブランド志向やテイスト志向、値段志向と求めるターゲットもばらばらで、当たれば大きいが、切り上げるタイミングが難しかった。

ハニーズの記事によるとミャンマーの自社工場がうまく稼働して、オリジナル商品がうまく回っているようだ。利益率も61,4%と非常に高い。在庫回転率も第2四半期末で計算すると月度0.47回転とまずまずの数字だ。(ただし前年より-0.06回転)

市場環境も後押ししているように感じる。一時のティーンズ専門店は規模を縮小してきており競合が減ってきている。新しい競合になりうるのはユニクロやGUだが、両ブランドともノンエイジでベーシックの流れで個性は強くない。

ただ一番感じるのは価格戦略だと思う。好調な流れの「しまむら」や「西松屋」の好調さと同様の動きとも感じる。「しまむら」や「西松屋」とも客層はかぶるところもあり、お客様の買い分けもあるのではないか。値段志向のお客様をつかんでいるように感じる。出店しているのはフル感性のお客様が多いSCだと思うし、必ずしもティーンズヤングだけの買い上げ客ではないと思う。

高い利益率を続けるか、客層の幅を広げてフル感性ターゲットの店に変えるかが今後の企業戦略になっていく。現状の売場ではイオンモールやららぽーとではいい場所での出店の機会は厳しいと思う。新業態を考えて大型化していくか、RSCよりNSCへの出店を加速させるかが出店戦略の課題にもなる。さらに商品量と価格戦略も大きな成功のポイントだと思うが、今後この利益率が継続できるかどうか、MDのかじ取り(価格と利益のバランス)も非常に重要になってくる。

今後の動き方に注目したい。

■今日のBGM

アウトレットは完全に飽和状態

千歳アウトレットモール「レラ」が終了する方針とのニュースがあった。昨年末には福岡の「マリノアシティ」も建て替えの検討に入ったとのニュースがあり、昨年6月には「八ヶ岳リゾートアウトレット」が閉鎖された。三菱地所の「プレミアムアウトレット」、三井不動産の「アウトレットパーク」に続いて大手イオンが「ジアウトレット」として参入した北広島、北九州も空床が目立ち、厳しい状況が伝えられている。

以前も書いたと思うが、PM会社にいた時、当時のチェルシージャパン(現三菱地所・サイモン株式会社)に開発の話をしたとき(千歳レラだったような気もする)「日本にはアウトレットが成功する場所はそれほど多くない。」と言われた。現在アウトレットは「プレミアムアウトレット」が10か所、「アウトレットパーク」が13か所「ジアウトレット」3か所と大手だけでも26か所もある。

そもそもアウトレットは各小売業、各ブランドの在庫過多商品を売り切る場所で、掘り出し物的商品や売り切ってしまいたい商品の値段を下げてなくしていく場所だった。

小売業は当然利益を追求する。商品をだぶつかせて、その商品の値段を下げれば利益率が下がっていく。利益を追求するには、売れる商品を売れる量作るのが基本になってくる。つまりアウトレットに回す売れない商品が多ければ、会社の利益は下がっていくし、当然プロパー店(一般店?)の売上も下がっているということになる。だが、売れ残り商品が多くないとアウトレットの商売は成り立たない。売り上げが悪いと言われている会社もある。ただアウトレットに商品を移して売ることによって、利益率が下がるリスクも出てくる。近年は利益率を優先する会社が増えてきている。

一般的には好調企業は、アウトレットに流れる商品は少なく、不振企業はアウトレットに移して値段を大きく下げるには、利益が下がるリスクを伴う。

その一方でアウトレットモールは増えてくる。そうなれば当然商品の魅力度が下がってくる。大手セレクトではアウトレット用のブランドを作って売り上げを上げ、さらに利益率の低下も防いでいる。ただ、もうすでにそれをお客様は見抜いている。さらにプレミアムブランドは出店しないか立地を選ぶ。つまり魅力的なショップが減ってきている。アウトレットモールの乱立は魅力をどんどん下げている。

今後は、間違いなく淘汰が始まる。もしくは門真のららぽーとで応急的に始めたRSCへのフロア単位での出店が出てくるのではないか。(門真は鶴見アウトレットの受け皿としてのリーシングがもたらした。)さらに最低限SMは併設しなければSCとして成り立たなくなるかもしれない。

ますますアウトレットモールのショップMDやアウトレット商品に魅力はなくなっていくと思う。

■今日のBGM

「これでいい」より「これがいい」

「潮目が変わった。」とパルグループ井上会長の第3四半期について語ったようだ。その中で標記の言葉を述べている。この言葉は無印良品の概念である「これがいいよりこれでいい」を念頭にした言葉のようでもある。

このブログではあまりパルグループのことは書いてこなかったが、多種にわたったファッションを個性を尊重しつつまとめている企業で、非常に好感を持っている。もともとはジーンズショップからのスタートで、アダストリアと生い立ちは似ているようだが、個性的な店が多い。残念ながら接点はなかったが、よく店は見ていた。セレクトショップブームの時も、それ以前から「ギャラルダギャランテ」や「ルイス」をしっかりやっていたし、「チャオパニック」も大きく成長した。「アレグロビバーチェ」もパルだったと思う。現状では「スリーコインズ」がただの均一ショップでない商品構成で引っ張ってきている。おそらく「チャオパニック」と「スリーコインズ」で会社を引っ張っていると思うが個々のブランドの状況は見えてこないのが実情だ。去年の決算数字を見ても「スリーコインズ」中心の雑貨事業が大きく伸びていて、商品回転率も前期末数字では年5.9回転と雑貨事業に引っ張られて高回転になっている。

無印良品を指していったと思われる標記の言葉は「スリーコインズ」についての言葉ではないかと思う。均一ショップの中では、ただ安いだけでなく個性が際立っているように思える。多発する均一ショップの中では「これがいい」店だとは思う。

ネットでパルグループのショップブランドを見ると中心になっているのは「スリーコインズ」とSC向けの「チャオパニックTYPY」「ナイスクラップ」くらいのような気がする。

ファッション分野ではまだ流れはつかめてそうにない。ショップブランド別の数字がないので詳しく把握はできないが・・・あまりとんがっていないアダストリアと比べると角がある感じのラインナップだ。この会社の個性だとは思うが・・・

そこがいいところでもあり、ウィークポイントにもなる。

「スリーコインズ」に関して言えば競合と比べると「これでいい」より「ここがいい」だが大きな意味で現状の客層はまだまだ「ここがいい」より「これでいい」だと思う。

次の日の新聞に「無印良品も過去最高収益」の記事があった・・・

■今日のBGM(名曲が多い)

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