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Fukuoka on my mind 

福岡は大好きな街で、いい仲間がいる。たった1年単身勤務をした経験だけで断言できる。その後毎月のように仕事で行っていたし、店も何店舗かあったので、さらに「いい街」の度数は上がっている。久しぶりに行ってきた。飲んだだけ(立ち飲み→行きつけの居酒屋→行きつけのスナック)の滞在だったが楽しかった。 

福岡の商業事情は仲間情報で大体わかるし、少し街を歩いただけで理解できる。 

どこの街も同じだが、ティーンズヤング層のファッショントレンドがなく、元気な層の動きが弱いためヤング系の商業ビルが減少している。天神も現状はパルコ1店舗のみで、コアやビブレやイムズがなくなっている。今後の天神ビッグバンでもこのターゲットはほぼないと思う。西鉄がどういうビルを造るかだが、昔の元気な天神のイメージが消える。 

次に七隈線の博多まで延長で商圏変化が起こる。天神で止まっていたお客様が駅に流れる。百貨店は今でも博多阪急の伸びが大きいが、大丸を抜くことは間違いない。駅周辺の商業整備が必要になってくる。アミュプラザも「ハンズ」を前面に出している場合ではないし、丸井も小売りをしないなら阪急に渡して阪急メンズ館にでもしたほうがいい。逆に天神の三越はもう難しくなってくる。ついでに言うとキャナルシティも立地は数段によくなる。SM(できれば成城石井的な)が入ればさらに集客要素は増す。人の流れが多い天神地下街の賑わいも大きくダウンしそうだ。博多駅周辺と天神地区の2極化が進む。 

郊外に目を向けてみる。アウトレットで北九州にできたイオンの「ジ アウトレッツ」も厳しい状況だし、「マリノアシティ」も目の肥えた九州の人には完全に飽きられている。「ららぽーと」はいまだにぎわってはいるものの、マナーの悪い海外客が多いという。数字はつかんでいないがゆめタウンは堅調な気がする。どこも同じだがデイリー商材は郊外SCで十分賄えている。 

「商業の天神」の流れが変わってしまうだろうとは容易に想定できる。やはりティーンズヤングを引き付ける何かがなければ天神の吸引力はダウンし、他の大都市がなっていったようにターミナル駅中心の街に変わっていく。昔の「親不孝通り」や「西通り」「今泉」の活性化が必要だと思う。 

福岡は福岡の個性があった。土地の値段だけ上がっていって、大資本しか算入できなくなり、個性豊かな人たちが参画する店や街並みがなくなっていくのは非常に寂しい。 

■今日のショット(旧天神ビブレ2跡)

資本の論理

長崎ココウォークというSCには私自身大変思い入れがある。長崎自動車㈱のSCで、バスターミナルとSCを併設している。会社を立ち上げる前に在籍していた丹青社の子会社時代コンサルをしてきて、その時の長崎自動車㈱のスタッフの皆様と一緒に立ち上げた経緯がある。「いい物件を造ろう」と思う人たちが多く、地元企業らしく収益はもとより、地元への貢献を強く望んでいたように感じた。大きくない物件だけど、その後も「TSUTAYA」を導入したりして、手が入っていて地方ではいいSCだと思っている。その後立ち上げた会社の店も入店している。

長崎駅の改装に伴い、長崎の商圏は大きく変動する。今回、駅ビル(アミュプラザ)が大改装増床を実施し、11月にオープンする。それに伴って、ココウォークから「ユニクロ」と「GU」が退店しアミュプラザに移設となる。その2店舗はココウォークでも順調な売り上げだったと思う。ココウォークとしても大変な痛手になる。今回のアミュプラザへの移設で2ショップとも増床は間違いないと思う。そして大きな集客要素にはなる。

長崎駅は新幹線も開通し、観光名所も多くあり、好立地だから当然使用客も多いし大きな地の利を持っている。でも共存出来なかったのかとも思う。ココウォークにとっても大きな痛手に違いない。いろいろな交渉を繰り返したと思う。

鉄道や駅はだれが作ったのだろう。昔、JR系のSCの出店交渉で「出直してこい。まだ駅ビルのレベルではない。」的な対応をされた思い出がある。同じ鉄道系(私鉄)の好調SCは、店を視察してくれて丁重に対応してくれ、その差が大きかったことを思い出す(出店はできなかったが・・・)。イオンやららぽーとは企業自らの力で開発してSCを作り出した。JRはだれの金でできたのかを考えてほしい。一等地に商業施設を造れば普通に売れる。その優位性を持っているのはそのSC(駅ビル)の努力の結果なのだろうか。スタートの優位性を考えるともう少し、似たようなリーシングをせず「新しい事」にチャレンジしてほしい。当然資本の論理があり、その結果だとは思うが、せめて地元企業との両立はできなかったのかとつくづく思う。

長崎は平地が少なく、車のアクセスも悪い。諫早にもゆめタウンができるという。商圏も変化していく。地方の商業はいよいよ大変な時期になっていく。

久しぶりに九州に行って来た。飲むのが主目的だけど、長崎でお世話になった人にも挨拶訪問もしてきた。何か力になることがあれば、微力ながら手伝っていきたいと強く感じた。

■今日のBGM

チェーンストア理論

先日、あまり気にしてこなかったしまむらの数字を見て、まず全社の平均月度回転率が0.59だったことに大変驚いた。6000億を超える企業でユニクロより回転率は高い。しまむらをネットで調べていると、創業者は「商品回転率を基準に品揃えを考えるべき」と考えて創業したと書かれている。チェーンストア理論を学んで呉服屋からの創業だったようだ。

日本の主な小売業の経営者は、チェーンストア理論を渥美俊一氏主宰のペガサスクラブで学んでいる。ダイエーの中内氏、ジャスコの岡田氏、イトーヨカドーの伊藤氏などが最初からのメンバーで、ニトリやしまむらの社長もここで学んでおり、多くの流通業の経営者に影響を与えている。

チェーンストア理論は本部一括仕入れで本社集約型でのマネジメントを実施し多店舗展開での経営効率を上げることをモデルとした理論だ。私自身は、何度か講演を聞いたが全く興味を持てなかった。

その当時の仕事内容とは大きな相違があった。(倒産した企業だったからかもしれないが…)ファッション型のビブレにいて、「店主導」「店仕入れ」を基本としていたからだ。ただ店長時代に感じたことは「なぜ、本部がこんなに現場を理解していない?」「本部が現場の意見を聞かない。」「本部からの一方的な指示が多い。」など本部中心の動き方に疑問を持っていた。その後、本部に在籍したときは「小さな本部」を模索した。後に立ち上げた小売りの会社も基本は「店仕入れ」を中心にしており、本部はできるだけ小さくすることを念頭に置いてきた。今でも「本部絶対的主導」が正しいとは思っていない。

ただ小売業の課題は「在庫」ということは、今までの小売人生から十分理解していたので、在庫回転率を念頭に置いた経営はやってきた。25店舗前後しか店舗はなかったが回転率は月0.5回転以上の実績だった。ただその管理体制をどうしていくかが課題で、完結はできたとは思っていない。以前も書いたが「バイヤー」より「ディストリビューター」的なポジションが力を持つことが望ましいし、社長もしくはそれに準ずる人間が「在庫管理」をしていくことが絶対的に多店舗展開での基本だと思っている。

業種がクロスオーバーしていても回転率が高いしまむらや高回転を続けるユニクロが、どういう組織でどういう権限を持って仕事をしているか聞いてみたいとは思うし、そこが好調企業のポイントの気がする。

■今日のBGM

インフレ下の好調企業

例によって9月の既存店前年比を4年前から掛け合わしていると、なんと、しまむらは115.0、西松屋は103.4と概算で既存店売り上げが、コロナ前より伸長している。前回ユニクロ、アダストリアが100%を割り込んでいて、コロナ前まで回復してないと書いたが、好調企業もある。プライスレンジや客層が違って、一概には言えないが、コロナの影響やインフレの逆風下でも売り上げは伸長させている。少し客層ターゲットは違ってはいるが、GMSの平場の不振を考えると素晴らしい実績だと思う。

ファッション専門店ではなくカテゴリーキラー(西松屋はそうかも?)ではなく、服飾雑貨やグッズまで扱う衣料品チェーンストアという位置づけかもしれない。比較的値頃品を中心に品揃えしており、昔の言葉だと「良品廉価」の店といえる。SCよりも路面のイメージが強い。駐車しやすい立地が多く、わざわざ郊外の大型SC(RSC)に行かなくても、デイリー商品を簡単に値頃で買える利便性がある。コロナ禍で買い物を楽しむより、必要なものを値頃価格で買うというニーズにマッチした結果だと思う。当然MDも進化している。

去年の決算数字を しまむら(以下S)、西松屋(以下N)、ユニクロ(以下U)、アダストリア(以下A)で比較すると面白い。

  売上高 S 6161億 N 1695億 U 23011億 A 2426億

利益率 S 34.1 N 34.8 U 52.4 A 54.7

人件費率 S 10.8 N 7.3 U 13.8 A 14.3

地代家賃 S 5.3  N 9.0 U ※8.5~9.0 A14.4

     ※ユニクロは地代家賃計上基準変更前からの想定

月度回転率 S 0.59 N 0.30 U 0.53 A 0.37

      ※期末在庫から算出

当期利益率 S 6.2  N 4.5 U 11.9 A 3.1 

しまむらや西松屋はSPAというよりは「買い」の商売比率が高く利益率は低いが、人件費が低く、さらに地代家賃も低い。しまむらとアダストリアでは地代家賃の差が9.1もある。徹底的にチェーンストア理論に基づいたチェーンストアかもしれない。しまむらの回転率に基づいた商売を徹底しているところは共感する。

インフレ状態の中、やはりここ数年続いた流れが大きく変わってきている。どのターゲットの「感度」と「値頃」を目線にしていくのかで店の数字は大きく変わりそうだ。

あまり細かく見てこなかったしまむら、西松屋を一度ゆっくり見てみようと思った。

・・・先日久々に伊勢丹と高島屋をぶらぶら見たが、連休明けでもあり、閑散としていた。伊勢丹の免税場所にお客様は見られず、高島屋は地元客だけのように見えた。

■先日の昼食(京都とは違いすぐ入れる)

SCの次のステップ

上場小売業の9月の数字が発表されていて、例によって既存店ベースの前年比を2020年から4年分掛け合わせると、2019年比で9月はユニクロが94.2、アダストリアが91.2となる。この2社の数字をファッションのベーシックの数字ととらえると、ファッションはコロナ前にはまだまだ戻っていない。

9月は昔のファッションのシーズンの立ち上がり期ではなく、完全に秋の季節感はとんでしまっており、完全に9月,10月は売れない月になりつつある。10月も去年はコロナの影響が少なかった月なので今月も前年数字とは厳しい戦いになるかもしれない。

それにしても数字は戻っていない。リーダー的企業の数字がこの状況では他の中小の専門店の苦難は続いていると思う。

中小の専門店はこのコロナ禍でどれだけ傷んだのだろう。おそらく退店の数のほうが出店の数より圧倒的に多いだろうし、規模縮小に至った会社ばかりだろうと思う。以前書いたが退店費用は大きな経費も必要とする。会社は痛む。以前経営していた会社も26店あった店が、コロナ期間で8店退店、3店出店で5店減ったし、コロナで大きな借金をしたので、時価は70%近く減った。当然出店には、慎重になるし、なかなか腰が上がらない。

SCもそんな状況下ではテナントを誘致できない。新しくオープンしたRSCのショップの顔ぶれも代り映えしないし、逆に店舗数も減っている。ららぽーと門真はアウトレットがあり店舗数に変化はないが、今までのららぽーとだとテナントが集まったかどうか?ゆめタウン飯塚は面積も大きくないがテナント数は100と少ない。さらにデベロッパー側も賃料減額や退店で収益がダウンしている。収益を維持するには、テナント新規誘致するにも賃料を下げることはできない。

「早急に空床を埋めたいSC」と「出店に慎重になる専門店」、「賃料を下げられないSC」と「下げなければ出店できない専門店」の構図ができている。おそらく専門店のほうが切実なのでSC側がどうジャッジをするかになってくる。

単純に考えられる策は、ユニクロやアダストリアや無印などの既存店舗の大型化とファッション以外の分野の拡大(携帯通信、食物販など)になってくる。事実そうなっている。

「花(華)」がなくなって「実」をとるSC(特にRSC)に先はないように思うが、次のステップはあるのだろうか?

■今日のBGM

Workwear for the handsome women

日経新聞を宅配していると折り込まれている、「Ai」というファッション情報誌を知っているだろうか?

発行当初のニュースリリースをネットで見ると平成26年11月から第4日曜日に折り込みとなっている。B4 変形タブロイド 4C 中綴じ32~48ページ 部数60万で講談社が制作し日経新聞が発行するラグジュアリーなファッションマガジンというようになっている。ターゲットは日経新聞を購読する100万人の女性の中核を形成する35~49才のようだ。

これだけのクオリティの高い小冊子を作るだけで大きなコストだし(紙質もいい)、折込料だけでも非常にコストがかかる。もう9年続いているということはニーズもあるしその効果もあるということだろう。ちなみにメルカリでは1部300円~で掲出されている。

9月号は28ページで(わずかにコストカット?)広告7ページ(シャネル2ページ、ブレゲ2ページ、ブシュロン、エスト(花王)、Gアルマーニ)。他はテーマ構成で服飾(ボッテガ、ブルネロクチネリなど)、美容(ポーラ、コスメデコルテなど)。ファッションはブランド打ち出しではシャネル、フェンディ、ボッテガ、Gアルマーニが各1ページ。テーマでホワイトバック(フェラガモ、グッチ、ヴィトンなど)、ラグジュアリージャケット(ラルフ、ブルネロクチネリ、ジルサンダーなど)、デイリーウェア(トリーバーチ、ポールスチュアートなど)、ブラックシューズ(ボッテガ、ディオール、エルメスなど)が各1ページ。その他協賛でヤヌークジーンズ1ページ。小物、バック、眼鏡で1ページ。その他美容で協賛もあり7ページ(当然ブランドページもある。)ちょっとしたトピックページが2ページ(上方女性落語家 桂二葉を取り上げたのはgood choice!⇒唯一読めたところ)という構成になっている。

日経の女性読者のグレード感はこの水準なのだろうか?やはり女性のほうが圧倒的にファッション志向が強い。9年間続いているということは、ニーズもあり、購買モチベーションにもなっているのだろう。今まで何気に見て捨てていたが、この小冊子を見て購買につながっているということは、新宿伊勢丹や梅田阪急を筆頭にする都心百貨店はまだまだ大丈夫だ。ラグジュアリー系は健在だということだろう。

かえすがえすも、池袋西武はもったいない。

■Ai(アイ)

「サムシング エルス」

小売業は「お客様の満足料」で成り立っている。そう教えられたし、実際そうだと思う。多数のお客様のニーズとプライスが一致している会社が当然大きくなっていく。そう仕向けるのが企業力だと思う。企業の考えとお客様のニーズが合致して大きくなっていっている企業が、あるべき姿だとは思う。

企業が大きくなってきて、従業員の「商品や店への思い」への比重はどれぐらいあるのだろうか?「労働の対価」が上がっていくことのほうが勝ってくるのだろうか?

最近ニュースで大手銀行が転勤手当や一時金を大幅に増額する旨報道されていた。働きやすい環境整備の一環のようである。最低賃金もどんどん上がってきている。当然のように上げていける会社もあるだろうが、最低賃金が上がることによって厳しくなっている会社もあるだろう。厳しくなってくる会社は淘汰されるのが普通なのだろうか?

ニトリの社長が言っている「小売業の企業としてのレベルアップ」は理解できる。ユニクロやアダストリアのように企業偏差値が高くなってきた小売業もある。私が大学生のころ優秀な成績だと金融、損保、商社へ流れ、小売業はあまり成績に関係なかった人材が流れた。おそらく今も変わらないと思う。ただ小売業には説明しにくい「サムシング エルス」(何か文化的なもの)があった。

結局、「利益」が企業価値になってしまうのだろうか?利益を出して拡大していく「ユニクロ」や「ニトリ」や「無印」が小売業のあるべき姿なのだろうか?「トレンド」や「売りたいものを売る」小売業は淘汰されるのだろうか?「文化的なもの」を追いかけた西武百貨店は「利益、定番」を追求したセブンに追い出され、なくなっていくステップに入った。

人員不足の現況を考えると、土日も仕事で不規則な小売業はさらに厳しさが増す。スタッフを集めることさえ至難の業となっている。「人」の小売業から「システム」の小売業に移行してきている。社会的環境もそうなってきている。

「サムシング エルス」を求める小売業はもうなくなっていくのだろうか?そういう気持ちを少しでも持った人材で成り立っている小売業のほうが実は企業偏差値は高いと思うのだが・・・

・・・関係ないけど、今年の阪神は偏差値が上がったような気がする。

■今日のスペシャルギフト

売場内装について

SCをみていると近頃はインパクトある売場がなくなっているように思う。ららぽーと門真でも感じたのだが、ここ何年かで出店を始めた店も個性があまりなく、どこにでもあるこなれた売り場になっている。特に売場内装のインパクトがなくなってきている。

RSC(郊外型ショッピングセンター)が注目されてきた頃、出店交渉していて、あるデベロッパーのリーシング担当者にこう言われた。「私は配ダク(配線ダクト)使ったテナントを入店させたことがない。」つまりデザインされた照明計画、器具をきちんと使って、安易な内装はさせないという意味での発言だった。「配ダクを使うな」ということが、いい発言かどうかわからないが、まだまだ凝った内装がいいとされる時代だった。今はモールでも配ダクを使っている店が半分以上ある。それが時流ではある。

ブランド時代を経験しているので、内装のレベル感は理解できるつもりではある。床がフローリングや石を使う時代(その中でもレベル差はある)を経験してきた。当然売っている商品のグレード感によっても内装レベルは大きく変わってくる。

家を作るのと同じで、店舗を作る(内装工事)にはコストがかかる。おそらく今は坪300千では本当にチープな内装しかできないのではないだろうか。40坪の店を坪400千で作った場合内装費で1600万の金が必要になる。これがキャッシュアウトだけでなく改装費や減価償却費のコストになってくるので収益面にも大きく影響する。できるだけコストは押さえたい。

売場のイメージはお客様に大きなインパクトを与える。商品のインパクトも当然必要だが内装がお客様に訴えるものも大きい。「ああ、あの真っ白い店」「西海岸っぽい店」「古い電柱のあった店」などで印象付けることも多い。昔、個人オーナーの店はそういう店が多かった。廃材を使ったり、鉄骨や、ケーブルをむき出しにしたり商品の個性も強かったが、内装イメージの個性も強かった。ローコストでイメージを出した店も数多くあった。

商品が標準化されている現状、店のインパクトがなければお客様は足を運ばない。内装レベルも一定以上の「ユニクロ」や「アダストリア」には勝てない。それを理解する必要がある。

内装イメージをローコストでいかにインパクトを与えられるか、出店時考える必要がある。商品戦略や顧客対応力は全社ルーティンの仕事としてやっている。そこに「売場内装」の考え方も付け加えるべきだと考える。いろんなイメージテーマ戦略があると思う。

「色」「音楽」「映画」「絵画」「景色」・・・

■今日のBGM

回転率からみる在庫の信憑性 ➁

前回から引きずって、再度書く。

昔の話だが、マイカルが倒産危機にあった時、「特損セール」(社内的な呼び名かもしれない)を実施した。キャッシュインを増やすためで、特にストック在庫、倉庫在庫の一掃セールだったと記憶している。本部にいたので数店舗巡回した記憶がある。その時の商品は当然価値を下げての「自己見切り」中心での販売だった。よくこんな値段でストックしていたなと思う商品が多かった。つまりストック在庫の評価を下げてのセールだった。

売れる価格をジャッジするのは難しいが、利益を落とせないので、簡単に値段を下げられない。当然「売る努力」を求められるが、厳しい(動きが悪い)商品は2~3か月売場の動向をチェックしていたり、全店のデータを見ているとすぐにわかる。

ライトオンやマックハウスがそうだとは言わないが、厳しい状況になってくると利益重視になってくる。利益率を落とせば当然会社損益に大きな影響が出る。ただファッション業界で月0.2回転していない会社は考えにくい。資産効率が悪すぎる。まだデニムウエイトが高いのだろうか。

例えば、前期マックハウスの商品在庫は4348(百万)で利益が48.0%なら売価在庫は8362(百万)となる(単純計算)。年間売上18443(百万)とすると年間回転率2.2回転。月度回転率0.18回転。月度回転率を0.2回転にして年間2.4回転に上げるには、売価在庫を7684(百万)まで減らす必要がある。その差は678(百万)。月度0.02回転上げるだけでも(売上はそのまま)それだけ減らせねばならない。320店あるとすれば1店舗2.1(百万)、現状1店当たり在庫は26.1(百万)なので可能な数字ではある。ただ、それぐらい評価が難しい商品は現状あるのではないか。ちなみにその分の商品評価を下げれば単純計算で全体の利益率は43.4%になり4.6%ダウンする。上場企業は発表しにくい数字になる。

小売業は在庫が軽くなければ、動きが鈍くなる。商品が多すぎれば、そこから売れ筋を探すのに苦労するし、売れ筋を仕入れる枠も減る。悪循環になってしまう。動きの悪い商品を早く見つけて、できるだけ早くなくす必要がある。それをなくした金で新しい商品に変えていく。そうすることによって売場に鮮度感が出て、好循環になっていく。

経営上、なかなか手を付けるのは難しく、手を付けると損益に大きな影響が出るので在庫内容の精査は順番が後になる。ただ体質を変えるには荒療治が必要ではないかと思う。

■今日のBGM

回転率からみる在庫の信憑性

上場専門店の売上数字を、前回簡易的に計算してみたが、債務超過のタカキューは別にすると、ライトオン、マックハウスというジーンズカジュアルから派生した専門店の数字が気になったので去年の決算数値を確認してみた。

ジーンズショップは、サイズが細かく品番も多くメーカーも多いため、特にデニムの在庫が多くなり、商品が回転せず、売れていても、経営は非常に厳しい。特に現在はルーズなサイズ分類が中心になり、ライトオンでもデニムの在庫ウエイトは下がっており、売り場のボリューム感を出すために、一時は売台 にデニムの類似品が陳列されており、在庫を減らそうという苦労がうかがえた。

去年の決算を見てみると以下の数字になる。

・ライトオン 売上48229百万 利益率49.3 ※2019年対比65.2% 394店

自己資本比率44.2% 流動比率62.5% 

1店舗平均 月度売上10200千 平均在庫57300千 回転率0.18 

・マックハウス 売上18443百万 利益率48.0※2019年対比65.8% 320店

      自己資本比率35.8% 流動比率71.3%

      1店舗平均 月度売上 4800千 平均在庫26100千 回転率0.18

      (マックハウスは他の業態もある。)

非常によく似た数字になっている。

在庫が減ると自己資本比率は下がる。流動比率は上がる。経営分析は在庫高にも左右される。

きしくも、両社とも月度回転率は0.18となっている。年間定番商品が多いと回転率は低い。デニム中心になるとそうなるかもしれない。

ファッションで言うと春夏秋冬の四季がある。年4回衣替えがあり商品が変わるとして4÷12で1カ月0.33回転になる。現在は在庫勘定方法が変わったらしいがユニクロは月0.5回転だったと聞いているし、アダストリアも悪化していても前期は月度0.37回転になる。

両社の決算数字に対して異議を唱えるわけではないが、本当にこの回転率で商売をやっていけているのかとは思う。SPAであれば在庫日数が大きくても原価率を考えると許容範囲はあるが、買いの商材は支払いが半年後であっても、この回転率ならキャッシュが回らない。

この在庫評価は適正なのだろうか?販売できる値段になっているのだろうか?この在庫回転率を見るとこの商売は長く続かなそうに見えるが・・・

■今日のBGM

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