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商売の在り方を考えさせられたこと

以前に書いたが30年以上も前、高崎SATYの6階を全面改装した。苦戦していた駅前立地の6階だった。DCブランド全盛期で主なブランドは百貨店2店舗と路面店で出尽くされており、高層フロアは特に厳しかった。丸井、ビブレ全盛の時代だった。なかなかいい手はなく、売れるショップを何とか導入することが基本構想だった。近隣のビルにあった人気のジーンズショップ「ポイント」とカジュアルブランド「45RPM」を何とか口説き落として出店をしてもらった。

それでも埋まらず、当時のポイントの専務が「インポートの流れがくるから自主でできない?」との提案を受けた。ちなみにそのポイントの常務は現在のアダストリアの福田会長である。

それからいろんな店を見て回って取引先も開発し、品揃え構想はできた。一番チェックしたのは渋谷のシード館で、内装もできるだけ真似た。

MDはレディスがGCOが引っ張ってきたばかりの「キャサリンハムネット」、和商Gだったアングローバルの「マーガレットハウエル」中心。メンズは三幸衣料のアメリカンジャケットがやっていた「ポールスミス」(全然メジャーじゃなかった。)、前述した「マーガレットハウエル」中心。カジュアルはインポートジーンズ(アルマーニジーンズ、ベルサーチ、ベントゥーリ、トラサルディ、クローズドなど)、「ストーンアイランド」「CPカンパニー」などのイタリア系。売り場面積は100坪くらいだったと思う。ブランド品揃えのMDだった。

投資も大きかったし、どこのものかわからないブランド品揃えショップをよくOKがもらえたなと思う。それも基本条件は買取の品揃えである。業界紙にも取り上げられたし、取引先も興味を持って受け入れてくれた。

結論から言うと、インポートショップの数値面は全くの失敗だった。ただ館全体のロイヤリティアップにはつながったし、同時オープンした「45RPM」や「ポイント」が好調で俗にいう「シャワー効果」もあり、それを契機に館全体の数値は大きく上がっていった。

サラリーマンとしてその窓口(バイヤー、リーシング)をずっとやっていけるわけでもなく、その品揃えショップは最終的には1階の裏側の入り口近くに移設し続けていたが、MDの担当窓口がいなくなりメンズは「ポールスミス」のオンリーショップに、レディスはなくなった。

おそらく6階の時は100坪で月度売上7000千くらい、利益は30%前後、在庫は40000千くらいだったと思う。今考えると全く商売ベースでなく、利益は低いし、在庫は多いしでよく続けてこれたと思う。

大手でしかできないMDだった。シード館も長く続かなかったし、販促面の効果はあってもやるべきショップではなかったと思う。特に在庫回転率が低すぎて、利益も圧迫してしまったこともあり、前回書いた「在庫過多=悪」の流れだった。

館側から見れば館全体のイメージアップにはなったと思う。ただ当時はデベロッパーが直営でやっていたので継続できたが、もしテナントで出ていれば会社は倒産していたと確実に言える。

一方、前述したように人のつながりは後で大いに役立った。ポイントの福田専務以外でも、取引していたルックのブティック事業部(イルビゾンテ、プリュックなど、のちにドリスバンノテンやジョーケイスリーヘイフォードなど)の泉課長は有名セレクトショップ「デスペラード」の社長だし、担当だった多田氏はルックの社長になっている。いろんな影響を受けたし、いい時代でもあったのかもしれない。

今日のBGM

売り上げが厳しくなったら、まず在庫を減らす。

40年以上小売業界にいて、間違いなく断言できることは「過剰在庫を持たないこと」が健全な経営につながるということだ。唯一断言できる小売りの鉄則だ。最初に書くべきことだった。

不振店対策をするときも、まず在庫を減らすことから始める。在庫が多いと売れ筋が見えない。よく言われることだと、川を渡るとき水が少なければ、けがをする大きな石などがわかるが、水が多ければ危険なものが見えてこない。つまりリスクのある商品がわかりにくいということだ。さらに品種内でいろんなアイテムがあればどれが売れているかはっきりしないが、極端に言えば2点しかなければどちらが売れているか明確になる。つまり在庫が多いと売れ筋が見えにくくなってきている。売れ筋が見えてくればその流れを広げていける。

おそらく厳しい商品を返品したり、値段を下げて処分すると、利益率がダウンするので、なかなかできないのが現実でもある。上司がどれだけ数値計画を確認して、許容していけるかが課題でもある。ただ、在庫が減ることにより利益率の回復は早まる。これをどう会社がジャッジするかがその会社の裁量だと思う。

在庫が多いと、体重が重いのと一緒で動きが遅くなる。商品回転率も低くなるので、売り場の鮮度感もなくなる。売れなければキャッシュインが減るのでキャッシュアウトとなる仕入れがしにくい。全くの悪循環となる。

在庫を持って商売するジーンズカジュアルやスーツ中心の業態は当然厳しくなってきている。トレンドから外れると一気に落ち込む。ジーンズはメンズでは27~34インチまで揃えなければならないし、スーツに至ってはY体からB体まで揃えなければならないしサイズもさらに増える。厳しい流れの中、細かいサイズはなくなってきたが、それによるアゲインストもある。ライトオンなどのジーンズ専門店やスーツ専門店が厳しくなっているのはサイズによる在庫過多が要因の1つでもある。

DCブームの時、レディスサイズはほぼ9号のみだった。他のサイズに広げると在庫が増え、効率が下がってしまう。サイズの数だけ在庫が増えるからだ。

子供ブランドもDCブームの時、一気に広がったが、トドラーサイズは細かく、なおかつ着る時期が短いので、現在はトドラー中心のブランドは一気に減った。これも在庫リスクによるものが一因だと思われる。

総論を書いたが、いろんな事例も経験してきた。これからも在庫を抱えるリスクについてはどんどん述べていきたい。

今日のBGM

数字を冷静に分析する

少しデータをまとめる用があり、営業面の数字を拾ってみた。対象となる売場は見てないのだが、売り場の状況が見えてきたような気がする。

小売業は「感性」によるところが大きい。特にファッション要素が高くなればなるほどその傾向は強い。思い入れを持って仕入れて、思い入れを持って売っていくからだ。ただその思い入れが強ければ、冷静に商品の流れが見えない。思い入れの強い商品は当然売るために努力する。前面に出したり、演出を強化したりする。ただそれよりも確実に売れている商品があることが多い。

管理系のスタッフが時にデータを拾い指摘することがある。そのデータに冷静に向き合っていけてはいないのが現実だ。

財務会計と管理会計という言葉がある。財務会計は利害関係者に企業活動報告をするためのもので、前向きな経営に関する手段としての会計を管理会計というようだ。会社は営業と管理に分かれているケースが多く、その橋渡しをする部署は少ない。

営業面のデータを見て、感想と原因を羅列していくと、現状が必ず浮かび上がってくる。例えば毎日の売上前年比の流れだけでもトレンドはわかる。

小売業は毎日が勝負で、毎日の仕事は売り場で終始する。月に1度くらいはいろんなデータを集めて、数字を見ていると、見えないものが見えてくる。そしてそれは絶対売り場の問題点の解決につながる。

■今日のBGM

地方専門店は残っていけるのか。

昔の形で残っている専門店はまずないのではないか?

まず思いつくのはトラッド系の専門店。「VAN」から始まって「Jプレス」「ニューヨーカー」「エイボンハウス」などと、ちょっとそこからヨーロピアン「JUN」に流れた専門店。トラッド系は「ポールスミス」や「マーガレットハウエル」の品ぞろえに変わり、DC全盛時にオンリーショップになり、専門店としてはもうほとんど見ることはない。

DCブランドは大都市中心にオンリーショップを直営で展開したが、地方ではトラッド系の専門店が「ビギ」「ニコル」中心にFCとして広がっていく。現在はブランド衰退と同時になくなっている。大手のFCであった企業ももうなくなったか規模が小さくなった。

次にジーンズ系。ジーンズの人気に相まって広がりを見せた。が、おそらく在庫の問題や掛け率の件もあり、インポートデニムブームをピークに減少していく。「三信衣料」から「アーバンリサーチ」を立ち上げ脱ジーンズを図ったアーバンリサーチ、「ポイント」から見事に転身したアダストリアが大手専門店に変化を遂げた。地方にはまだジーンズ専門店からジーンズのにおいがするセレクトに変わっていった店は多い。「Bshop」系のセレクトを加えて生き残っている専門店もある。ただエリアでのバッティングや在庫の重さで大きくはなっていけない。

1970年代後半くらいからじわじわ大きくなってきたセレクトショップも、今は完全に「自主MD+買い」に変化して大手専門店チェーンのようになってきている。(「トゥモローランド」だけ別路線に見えるが・・・)地方のセレクト系はファッションに興味を示す客数がダウンしてきたこともあり、大幅に減ってきた。昔は「ファッションは熊本から」と言われていたが、九州も、もうその面影はなくなった。

いろいろ思うところはあるが、規模を拡大せず、売っていきたい商品を、好きになってくれた顧客に売っていくしかないのかと思う。チェーン化を目指しても相当の分析努力がなければできない。ストライプインターナショナルの例を見ても流れだけでは成功はしない。

山口からのユニクロや水戸からのアダストリアのような企業はもうできないのだろうか?

余談ではあるが、私がいろいろお世話になった人が群馬県の桐生市でセレクトショップをやっている。工場をリノベする大きな投資をして「思い」がわかる店を作った。チェーン化しなくても「会社スタッフ」と「お客様」が満足してくれるならそれだけでいいのかもしれない。

今日のBGM

低価格衣料品店

イオンが低価格衣料品店を30年までに240店舗出店するとの報道があった。「ユニクロ型店舗」ということである。

イオンの友人に「トップバリュ」でショップを作らないのかと聞いたことがあり、その時はその意見はずっと構想に出ているが、トップが変わるたびに浮かんだり消えたりしているとのことだった。大きな組織にありがちで、トップが変わると決定が先延ばしになる典型のようだった。

イトーヨーカドーと同様に、イオンのファッションは間違いなく売れてない。イオンモールもイオンで必要なのは「食品」であり、衣料や生活雑貨は大型専門店にしてゾーニングしたほうがずっと買いやすいし、イオン側も効率が上がると思う。

「ユニクロ」型と「無印」型ができると思うが、絶対に優秀で力があり、なおかつ量販店を理解している外部ブレーンを入れなければならない。全体をコーディネイトできる人間が必要だ。

おそらくイオンの商品担当者は衣料では「婦人」「紳士」「子供」、住関連では「リビング」「ハウジング」などに分かれていて、さらにそこから品種ごとに細かく分かれている。それをすべてまとめてマネジメントしていくのは大変な力がいる。しがらみがある人間がマネジメントすると絶対品ぞろえに偏りがでる。

さらに以前イトーヨーカドーで伊勢丹のカリスマバイヤーに商品改革を託したが失敗したように、違うチャネルからのブレーンは危険だと思う。百貨店のバイヤーと量販店のバイヤーは全く仕事内容が違う。アイテム単位の商品の知識はおそらく量販店のバイヤーのほうがレベルは高い。ただファッション全体に対しての視野は狭い。

売り場づくりも、ローコストですると失敗する。ユニクロの売り場はローコストに見えて金はかかっている。売場内装を乃村工芸社や丹青社が担ってきたことでもわかる。ビジュアル面に気を使っている。ある程度マニュアルができればコストダウンができるが、そこまでイオンが我慢できるか?

店名も「トップバリュ」では厳しいと思われるし、イオン臭さを消す必要はある。

どんな店ができるのか楽しみではある。

今日のBGM

もう営業力だけでは戦えない

会社の浮き沈みを見ていると、好調期は営業力が引っ張るが、流れが悪くなると管理面の発言力が強くなってくる。

その傾向は当たり前のことだけど、小売業はあまり管理面が表に出てこない。倒産したマイカルも、ずっと無謀な営業力で拡大していった。ただその時代はそれを受け止める時代でもあった。倒産後、いろんな数字を算出し、検討していったときイオンからの管財人が「…マイカルにはBSはないのか?PLだけか?」ときつく指摘した。

このことはよく覚えている。すごく印象に残った。

書いていいのかどうかわからないが、今までの研修で一番内容が濃かった研修はイオンの「管理職研修」だった。1年以上続く研修で、私はマイカル倒産後1年で辞めたので、その研修は「中退」だが、管理面の研修では「有価証券報告書を読めるようにすること」が研修課題だった。今考えると、そこに他社にない「強さ」があった。

今、流れが悪い会社はおそらく「管理、財務」側が強くなってきているだろうし、流れが悪くない会社もそういう傾向が強いと思う。ファンド系が入ってくれば、数字での話だけでそれ以外は受け付けないだろうと思う。

マイカルも営業系の社長から管理系の社長に変わってから、一気に倒産に向かっていった。どちらかというと営業での損失をカバーできる体力はなく、管理側の発言が強くなったときは「時すでに遅し。」の状況だったのだろうと思う。

経営者は冷静に数字を確認できないといけないと思う。銀行は人事畑を経験することが出世の階段だという。小売業も流れは営業力だけではなく、数字を冷静に判断できる管理能力が必要になっている。

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ショッピングモールの方向性

今朝の日経新聞にイオンモールはコロナ前と比べて、売り上げは-9%で客数は-11%とあった。以前から指摘はしてきたのだが、完全に飽和状態にあり、使われ方はNSC(ネイバーフット型SC)に近い狭商圏型になっている。

「客層の2極化」も進んでいる。新宿伊勢丹や梅田阪急は過去最高売上のようだし、中流層と呼ぶのは難しいが、衣料大手のオンワードの売り上げはピークの55%、ワールドが76%と大きく落ち込んでいる。

必要なのは大型ショップだけでいいのではないかと思う。SMに加えて家電量販店、「ニトリ」など住居関連、雑貨では「無印」や「ABCマート」、衣料ではユニクロ系とアダストリア系、子供カテゴリー。その他フードコート。

それに加えて客層に合わせて、特色を出していけばいいと思う。富裕層がいるのなら「成城石井」や「紀伊国屋」などのSMを加えてもいいだろうし、「TSUTAYA」などを加えてもいいと思う。特にSMに関しては個性が出せるような気がする。

ただ、現状の収益を確保し、投資のリターンも考慮すると、大型リニュアルは難しい。言うのは簡単だが、今のモール自体を使ってリニュアルするだけではすまなくなってくる。スクラップ&ビルドは難しいし、証券化もされているだろうしハードルは非常に高い。

ただ、小手先のリニュアルだけでは、もう先はないのは明白だと思う。

※全くの余談だが、先輩夫婦と4泊の旅行に行ってきた。快適だったホテルは1番高かったホテルと一番安かったホテル。間のホテルは「ちょっとおしゃれな料理」だがバラエティ感がなかったのと、やはりインバウンド団体がネックになった。「高いか安いか」どちらかにすればよかったと反省した。こんなところでも「中間層」への対応は難しくなっていってるのかな?

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大型テナントがどんどん減ってきている

「オーサムストア」が破産との報道があった。何を売ろうとしているのかわからなかったし、売れている気配もなかったので厳しいとは思っていた。「オフノオン」のほうがわかりやすかった。ホームページを見ると61店舗もある。

ここ数年でモールから大型テナントがどんどん減っている。ワールド、オンワード、イトキン、TSIなど大手アパレル系のブランドが改廃され大幅に少なくなった。どこにでもあった「ライトオン」も出店してないSCが出てきた。大手スーツ量販店も大幅に減った。外資系も閉店が続いている。

以前も書いたが、モールは大型店や新業態を積極的に導入する。当然リーシング面で助かるし、新業態なら「・・地方初出店」とうたえる。ただ数字が厳しくなっている店は多い。私でもいくつかテナント名を挙げられる。一般的に月坪売り上げを見ると100千前後の店が多く、それを割り込む店も多い。(それを考えると小型店の賃料は高い。⇒モールの利益は小型店(50坪まで)で賃料を稼ぐ図式)

アダストリアなど好調な企業は逆に、そこを逆に拡大しているように見える。

デベロッパーは売り上げを管理していて、会社の業績動向をつかんでいるのだろうか?

「オーサムストア」は4月にオープンしたららぽーと門真にも出店している。三井不動産らしくない失態だし、あの立地でもリーシングが相当厳しかったのだろうと思う。

大型店舗は、賃料面で優遇されるし、人的にも効率化できる。「オーサムストア」は衣料ではないのでアイテムが多く、SKU数もめちゃくちゃ多い。当然多店舗化しなければ商品も回らないし、作れない。利益を稼ぐには大きなロットで作るしかない。衣料系の大型店もそうだが、だんだん売れない商品はたまっていく。在庫をなくすと利益が落ちる。まったくの悪循環になる。縮小していった大手アパレルは体力のあるうちにやめていった。残っているショップもFC契約(契約先が商品を買う。)にして商品リスクをヘッジしている。

収益が悪化してくると、商品が仕入れられないし、作れない。売り場の不稼働在庫も処理できない。(処理すると利益率が下がる。)PL(損益計算書)中心になると利益率が下がれば、数字上の会社の価値も出せなくなる。まったくの悪循環になる。

体力のある会社は持ちこたえることができるが、体力のない会社は、悪循環が続き運営ができなくなってくる。

やばいなと思う会社も、いくつかある。

今後も、大型区画のテナントは、体力がなければどんどん消えていく。

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イトーヨーカドーに不動産業ができるか?

現状のイオンモールやららぽーとは流通業ではなく不動産業だと思う。

流通業出身者が多いが、設備管理の業務の比重が高い。もともとは会社が所有する物件を、売り上げを上げ、それに伴う賃料収入を増やすことが大きな業務だったが、現状はその仕事より、管理業務のウエイトが高いのではないかと思う。今までは、イオンモールや三井不動産の直営物件だったのが、現状はほぼリート物件やファンド物件になっている。そうなると業務内容が変わってくる。賃料収入を増やすための仕事ではあるが、当然不動産物件として、リートやファンドに報告義務が多く発生する。今までは流通業に通じる人たちとの整合で進めていたことが、金融業、証券業の人たちへの説明に変わる。投資や経費に関しても非常に細かい提案、報告が必要になってくる。当然デスクワークが増える。土日のお客様より、平日のオーナーへの書類対応が増えてくる。

最近では、各テナントとの交流が少なくなり、テナントのスタッフとの話し合いも激減しているし、何より店内(モール内)でモールスタッフを見かけない。販促もありきたりの合同販促が多く、新しい企画は全く見えない。

ということを、書こうと思っていたが、イトーヨーカドーの投資ファンドとの対立が、急浮上してきたようで、少し矛先を変える。

イトーヨーカドーは、小売業ではシステム導入が一番早く、利益に対する取り組みを最優先してやってきた企業で、他の小売業が「根性と努力」で拡大していったのとは違い、理詰めで大きくして言った企業のイメージが強い。だからこそ大型モール(RSC)への取り組みが遅れ、乗り遅れてしまった感がある。

「衣料品からの撤退とテナント化」を戦略に挙げているが、当然、今のままテナントを導入するのは難しく、魅力あるテナントの導入は容易ではない。イオンモールでさえ「ユニクロ」は撤退するし、いい場所いい条件を提示しなければ出店は難しい。売り場環境や、リーシング力も必要で、イトーヨーカドー本体でのノウハウがあるとは思えない。「アリオ」が成功していないのはイトーヨーカドーの「理詰め戦略」によるところは大きい。改装による投資コストとテナント出店による賃料収入が、今までの「衣料品」の収益を簡単には改善できないと思う。

投資ファンドは、株式や債券を長く持たないと思うので、即効性を求めてくると思う。収益を短期的に改善して「高く」売り抜けたいと思っている。 おそらく短期的には結果も見えないし、今後も対立は続くと思うので、現状の「テナント導入」くらいのプランでは決裂すると思う。

以前、現状のモール戦略は飽和状態で、今後はダウントレンドになっていくと書いたが、流通業がもう流通業でなく、不動産、金融業になってしまっているのが現状である。

総合スーパー「イトーヨーカドー」はなくなってしまうかもしれない。

■今日のBGM

ユニクロはしばらく小売業を引っ張る。

なんとなく「ホリエモンのyoutube」を見ていたら、「ユニクロ、GUは値段のたたきあいだから厳しい」と評していた。「モンクレール」や「グッチ」のブランディングを目の当たりにしての意見のようだった。

話の中でも、「お客様は完全に2極化されてきている」と冒頭に述べているが、そもそも戦うチャネルが違うので、まったく話にはならないと思う。

私自身ブランド好きだし、別のチャネルのことは否定しないが、現状の2極化の「他の1極」においては確固たる位置づけにあることは間違いないと思う。

細かく言うといくらでもあるが、

商品的には値段を考えると品質面が非常に優れているということは明白だ。「H&M」「フォ-レバ-24」などとの大きな違いは、4シーズンを考えて作っているということが大きいと思うし、そこで行き着いたのが「トレンド」より「クオリティ」だと感じる。当然「ユニクロ」がベーシックで「GU」がトレンドという位置づけかもしれない。

それ以上に感じるのは、企業の考え方が明白であるということ。

前にも書いたが、企業が大きくなると「かっこいいもの」にあこがれ、いろんなことに手を広げていこうとする。現状はそれを全く感じられない。「ユニクロ」をどう作り上げていくか、どう展開していくかに注力しているように見える。

ファーストリテイリングには、他に「プラステ」や「セオリー」などのブランドもある。そのブランドの展開も足元を見て自然に広げているように思える。私自身、SCを見るとき「プラステ」があるかどうかを、ある意味の基準にしている。決して晩期以外はセールをしないし、自ブランドの売り方に合わない店は毅然と退店している。出店はSCに偏ってはいないし、ターミナルでの店舗も多い。

つまり、企業の考え方が「ぶれていない」ということ感じる。

「他の1極」のキャパはまだまだ大きい。当然ワールドワイドに考えているはず。企業の考え方がぶれなければ、優位性はしばらく崩れないと思う。

■今日のBGM

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