イトーヨーカドーが「衣料品からの撤退とテナント導入」との記事が出て、ちょっと納得はできないのだが、「GMSの終焉」ということを感じた。イトーヨカドーの衣料品を詳しく見てないのでジャッジしにくいが、昔からの流れだと、おそらく「ちゃんとした」商品を「ちゃんと」展開していたのだと思う。ただ駅前のGMSは郊外のモール(RSC)に」完全にお客様を取られてしまい、SC自体の戦略のミスが大きいのではないかと感じる。

30年くらい前のGMS出店競争で、しのぎを競った各社はもうイオンくらいしか残っていない。「ダイエー」「マイカル」はイオン傘下になり、「ユニー」はドンキ傘下、「西友」もウォルマート傘下から外資ファンドの傘下になっており、イトーヨーカドーの今回の政策でほぼGMS業態は終焉になる。

私にとってイトーヨーカドーは、「優等生」で、感情より「数字」で判断する会社というイメージだ。セブンイレブンの成功もそこから来ていると思う。イオンが大型SCを始めたとき、おそらくここまで成功するとは想定していなかったのではないか。当然研究はしていただろうが数字上は収益に合わないと判断したのだと感じる。そこにはきちんとした理論武装はあったと思う。数字に表れてこない「何か」が説明しずらい風土だったのだと思う。

イオンのSC戦略は「無駄をプラス」に変えたことだと思っている。例えばその規模だ。5万㎡必要なのかということ。例えば、テナントリーシングでの妥協。どうしてもイメージを上げるためのテナントに対して、どれだけいろんなコスト面で妥協ができるかになる。そういうことがたくさんある。イトーヨーカドーの「アリオ」開発時手伝ったことがあるが、そのファジーな感覚が、数字では説明できず、やはり固い戦略になっていたように思う。そういう意味で「アリオ」は開発が遅れ大型化ができず、出店加速がなかったのだろうと感じる。逆に「セブンイレブン」はきちんと計算ができ「成功の公式」をいち早く作れたため、ここまで大きくなったのだろうと思う。

今後のイトーヨーカドーは衣料関連のテナントを導入すると発表されていたが、そんなに簡単ではないと思う。得意な緻密な収益計算にかなうテナントがどれだけあるのか、どれだけ出店してくれるのか疑問だ。

こうなるとをイオンが勝ち組のようだが、実は国内では「モール戦略(RSC)」はもう過渡期を迎えていて、モールの時代も終焉に向かっていると感じている。少なくとも国内のこれからの商環境は、大きく変化していくと思う。

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