マイカルが倒産し、イオンに吸収されたとき、岡田社長(現会長)がマイカル幹部社員に訓話をした。 「イオンはELP(エブリデイロ-プライス)を突き進んでいきます。」と宣言した。自分としてはそれが退社のきっかけになったのだが、すごいと思った。

量販店のオーナーは、量販店オーナーから脱皮したいのか、グレードアップを進めたがる。ニチイをマイカルに変えたし、ユニーはアピタに変わった。百貨店志向もあり、ダイエーは「プランタン」を、西友は「西友西武」を展開していたし、イオンも「ボンベルタ」、マイカルも「ダックシティ」を持っていた。

バブル期ぐらいから、商品をグレードアップ(単価アップ)させ、絶対不可能な「好感度値頃」を言い出した。イトーヨカドーでさえ伊勢丹のバイヤーを招き入れ、商品感性を上げようとした。(百貨店のバイヤーと量販店のバイヤーは全く業務内容がちがうので、成功するとは思わなかったが・・・)

そういう状況の中での「ELP」の宣言は大変重いものだと思う。

その後、イオンはどう変わったか?「イオンスタイル」と題したコーナーを作って、高級ブランド(オロビアンコなど)を品揃えし、感度アップ?をしたりして「ELP」には、ずいぶん遠ざかっていった。昔のマイカルを見るようだった。その間に衣料では「ユニクロ」「GU」など子供カテゴリーでは「西松屋」、住関連では「ニトリ」などが増大し、価格志向の面で完全にイオンの衣料、住関連は後手に回った。

「ELP」を突き進んでいれば、完全にイオンが独り勝ちだったと思う。

GMS衰退はGMSが勝手にお客様を見失ったことが、一番大きな要因だと思っている。

いろんな業種にも同じことが言える。今モールに入店している各社も想定顧客ターゲットと、モールに来ているお客様の実際のターゲットとが違っているのではないだろうか?イオンモールやららぽーとがモールを作り始めたころは、近隣の行きやすい施設にグレード感のあるショップが入っていて新鮮だったこともあり活況を呈していた。20代、30代をターゲットにしていたブランドは次々に姿を消し、ブランドも消滅している。

かつて「ナチュラルビューティベーシック」というブランドの販売代行をしていたことがあった。当時のサンエーインターナショナルの「ナチュラルビューティ」のディフュージョンバージョンで、今でもSCではメインの場所にリーシングされている。当時は20~30代だったターゲット年齢が、20年経過し、顧客も同じように年を取り、ヤングミセス~ミセスが中心顧客になっているように見える。それでも各SCではメインの場所にある。

 モールのターゲット年齢はヤングミセス~ミセス(40~60才)なのだろうか?

 モールもブランドも顧客ターゲットがずれてきている。

 自分でも店を持ったが、グレード感のある商品を仕入れたりすると、数人のトレンドリーダーは興味を持つが、最終的には売れ残る。やはり中心顧客の目線を崩すと、営業数値に現れてくる。

 顧客ターゲットを分析しよく知ることが、商売成功の要因だと思う。

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