何故、モール(RSC)から小型店舗が減ると収益基盤が弱くなるのか?
SCの賃貸条件は固定賃料、歩合賃料、共益費、販促費、駐車場負担金が主な条件でその他ポイント負担金などが加わる。さらにオープン時に共通部分の内装負担金、内装監理費、現場協力金、オープン販促費などが必要になる。
衣料品店舗で想定してどれくらいの支払いになるか推測する。30坪を定期建物賃貸借契約で借りる。売上は月4500千とする。以下想定で計算する。賃料は月坪売上150千10%超10%=450千、共益費月坪50千=150千、販促費1.5%=67千、駐車場負担金坪2千=60千。支払額は最低月727千となる。(条件はSCの売上状況によって当然上下する。)
1000坪に店舗を張り付けると、共用部を想定して20店舗(30坪)導入したとする。SCの月度受取金額は727×20=14540千となる。年間賃料は174(百万)くらいになる。例えば大手家電に1000坪(小さい?)貸したとする。ケーズデンキの去年の決算から計算すると1店舗あたり売上は年間13.4億、賃料は57百万となり、家賃比率は4.2%となる。※ケーズデンキは売り場面積3700㎡(1100坪強)が基準のようだ。
衣料品店舗の賃料を月600千に変えても年間賃料は140(百万)、家電導入時賃料5%にしても年間賃料は67(百万)となる。さらに入店時の負担金も非常に大きい金額になるが、大型区画では入店時の負担金も大幅に減る可能性が大きい。入店時の負担金に関して言えば共通部分の内装負担金の内容が明確でないうえに、その共通内装の全体の金額も分からない。その負担割合が店舗によって違うのも気になるところだが・・・
衣料品でも100坪近くなれば固定賃料ではなくなり歩率契約が多くなっている。売上が大きければ賃料収入に貢献するが、近年の大型店の坪売上はどんどん下がってきている。さらに、売れている大型店舗は歩率ではなく坪賃料固定での契約も多くなっていると聞く。つまり大型区画が増えれば増えるほど、その大型区画が想定売上より落ち込むと、賃料収入は減っていくことになる。
大型区画が増えるとRSCの強みである「店舗数の多さ」「バラエティ感」「わざわざ行くべき店がある」などの要素がどんどんなくなってくる。大きなNSC(ネイバーフッド型SC)になっていきつつある。つまり小さくて成り立つSCが大きい規模で運営されているということで、それは絶対に儲かる図式ではないということだ。
現状のRSCは「売上が上がらない」=「収益が上がらない」の負のスパイラルに向かっている。
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