先輩夫婦と恒例の旅行をしてきた。今年は四国がメインで、暑かったが雨にも打たれず好天気に恵まれた。

私自身、四国は何度か訪れている。徳島県は母方の故郷で子供時代から何度も行っている。愛媛県は道後温泉としまなみ海道の観光で訪れたことがあり、香川県はマイカル時代ビブレの店舗があったので巡回していた。高知県はPM会社在籍時、高知市内のビルの商業化リニュアル計画のコンサルで数回訪れている。

店をやっている時、四国で出店依頼を受けたことがあるのは徳島のゆめタウンオープンの時だった。遠隔地に出店する時は当然ドミナントを考えて出店する。売れる商品も似通ってくるし、そのほうがマネジメントもしやすい。それに加えて、できれば核になる店が欲しい。以前の会社でドミナントしていたのは、関東圏、関西圏、九州南部だけだった。中部圏も作ろうとしたが、核になる店ができなかったので作り切れなかった。そういう意味で中四国は、出店を考えられるのは人口の多い広島市などの県庁所在地くらいで、点だけになり地域全体がまとまらない。そうなると、どうしても中小小売業は出店をためらってしまう。さらに、地元で強い企業があり、なかなか参入できないという状況もある。

旅行期間中、全労連が「直ちに最低賃金一律1500円以上に」と発表していた。四国の最低賃金を調べてみると、徳島県980円、香川県970円、愛媛県956円、高知県952円となっている。中小規模でコツコツ商売をやっている企業は、大手小売業の参入で人不足になることは明らかだ。全労働人口の70%を抱える中小企業は、そんなに簡単にクリアできる最低賃金ではない。

そうなると、閉鎖的な商圏に新規参入するとすれば大手企業中心になり、それにより地元企業も厳しくなってくる。そしてさらに県庁所在地など都市部に企業は集中し、ますます郊外には人がいなくなる。その都市部でも、四国で言えば、徳島にはもう百貨店はなくなっている。他の百貨店も高松三越が売上224億となんとか百貨店の規模感はあるが、高知大丸84.3億、松山三越49.8億と百貨店としては非常に厳しい数字で、閉店前の厳しいゾーニングになっている。20年位前に高知大丸をリサーチしていて、神戸大丸のように本館周辺にサテライト店がいくつかあったことを思い出した。それが今や存続の危機になっている。人口も減少傾向にあり、今後の四国での小売業は、間違いなく縮小方向になってくる。

7月偽予言の風評の影響からか、観光地にも外人客が少なく、日本人観光客も多くはなかった。ただ、観光産業には宝の山のような気がした。観光スポットをさらに広げていければ観光地としての側面からは大きな期待は持てる。ただ、だれが資本投下するのだろうか。そして、外国人観光客の流れは今後も続くのだろうか。

四国四県を車で走ってみて、小売業だけでなく「地方創生」は限りなく難しいと感じた。

■今日のショット(徳島 かずら橋)