先月末にチェーンストアの売上分析をして、現状の流れは単純に値上げ分の売上増で買上点数は減っていると書いた。その他の小売業も中間決算や四半期決算を発表していて、売上は増加しているが、為替の影響や、人件費高騰、物流経費の増加などの要因で利益を圧迫してきている。
順調な売上を続ける企業の中間決算の発表がいくつかあった。西松屋の上期決算は売上高については過去最高を更新したが、税引き利益は前年同期を割っている。為替差損が原因のようだ。仕入れコストの上昇もあり総利益率も前年差-0.2%となっている。ニトリの第一四半期決算も純利益は前年6.3%増だったが、賃金改定など販管費増加で通期予測は据え置かれている。アダストリアの上期決算も売上は9%増も人件費中心に経費増で純利益は2%減と発表されている。
9月の売上も発表されているが、8月に続いて曜日廻りが良く、全体的に売上数字は好調に推移している。既存昨対でユニクロが8月125.3、9月122.1と大きく伸長している。ハニーズも117、118.3と好調。この2社の好調な流れが目立つ。客層が変わるがユナイテッドアローズも107.8、115.0と好調を維持している。他の主要企業も売上の流れは悪くない。流れが悪い企業はライトオン(8月89.0、9月87.0)シーズメン(8月90.1、9月88.0)Tベース(8月94.8、9月96.1)。数字が戻ってこないジーンズカジュアルはマックハウス(8月106.3、9月115.5)の回復に比べて、ライトオンは回復基調にない。
全体的な流れを見ると、ボリューム(値頃)路線の企業は安定しており、特に短サイクルで商品を提案するユニクロやハニーズの流れが特にいい。逆に中間層で戦ってきた会社(アダストリアなど)の伸びが弱い。さらに、ある程度個性を持ったブランドが多いTSIやバロックなども少しアゲインストのような気がする。
都市部に集中してはいるが、百貨店の状況は、プレステージの高いブランドが高所得者やインバウンド需要などで好調のようだ。上場企業の中ではアッパーゾーンのユナイテッドアローズも好調な数字が続いている。ユナイテッドアローズはある程度の所得のノンポリ層が買っているのではないかと思っていて、その層が旧セレクト系の売上を作っていると思っている。そうやって数字を見るとやはり中間層が減少し、さらに2極化は進んでいると感じる。
さらに、企業力の差が今後大きくなることは想定される。このブログでずっと書いてきたが、新規企業が出てくる環境ではなくなっており、寡占化が進んでいきそうな気がする。売上規模は小さくはなったがワールドやサンヨーも好調と記事にある。ウィゴーをオンワードが傘下に入れたし、旧大手アパレルも新しいゾーンに取り組みつつある。寡占化の中でも、会社の方向性を考えるとアダストリアやパルグループなどが中心になってどんどん何か新しい風を入れないと、小売業の硬直化が進んでいきそうな気がする。それがなければ多彩なショップ揃えはできず、商業施設も硬直化する。
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