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上場企業とは何なのか?

イオンのジーフットの上場廃止について書いていて複雑な気持ちになった。株主がいて上場していたのに、親会社(イオン)の都合での他事業体との合併が要因で上場廃止になるのは如何なものなのか?当然資本の論理はわかってはいる。以下思うことを書くが、あくまでも私見に過ぎず、おそらく本当の根拠ではないだろうことを事前に断っておく。

ジーフットは、古くは合併を重ねてきて主に「アスビー」をショップ展開していた専門店「つるや靴店」だった。その後イオン傘下になり、イオンの靴売場「グリーンボックス」を運営していた「ニューステップ」と合併して現在の会社になった。2026年2月決算で売上569億、当期純利益―325千万、店舗数は約700店舗を数える。近年は債務超過状態が続いていた。

過去の経験から、靴売場の損益は厳しい数字になることは理解していた。サイズが細かいことに加え、革、ケミカルの商売体質の違いがあり、利益確保が難しい。靴専門店もどんどんなくなっている。イオンGMS(イオンリテール)の中でも一番難しい売り場だと思う。ちなみに、GMSのファッションでは収益力が大きいのはインナー関連で、アウター衣料も難しいが、取引先依存の商売ができるので対策は立案できる。靴業界では昨今「ABCマート」が好調だが、要因はカジュアルブランドの限定品と別注及びSPA化によるものだ。GMSの靴売場は客層の幅が広く中心年代層も高く、好調専門店の客層とは全く違う。同じ靴屋でもなかなか相容れるのは難しい。つまり、「アスビー」とは別業態になりシナジー効果はあまり出ない状況だった。結果的にはGMSの靴売場の赤字を背負っただけの結果になった。今回の上場廃止で、今後収益をどうやって改善していくのかはわかりづらくなってきた。

イオンではイオンモールとイオンディライトも前年上場廃止にしている。両社とも黒字企業ではあった。このブログでも少し触れたが、この上場廃止も意味合いがわかりにくい。両社とも親子上場の解消のためとは言っている。イオンの商業施設には、イオンモール㈱の物件とイオンリテール㈱の物件がある。イオンモール㈱はイオンモール物件のデベロッパー業務が主業務であり、今回の上場廃止を受けイオンリテール物件の業務も含まれていく旨の内容も発表されている。イオンディライト㈱はイオングループ物件のファシリティ管理(施設管理)をする会社となっている。ここにはイオンモール物件やイオンリテール物件も含まれる。ちなみに、イオンモールの名称であってもイオンリテール物件は多い。大型モールでも浦和美園や各務原、浜松市野などはイオンリテール物件だし、小型モールや、GMSはすべてイオンリテール物件である。両社にとってイオンモール物件はテナントも多く集客も多いので収益安定物件であり、逆にイオンリテール物件はGMS主体店舗が多く厳しい物件が多くなっている。両社のデベロッパー収益面ではイオンモール主体の方が当然安定しており、イオンモール㈱に関しては収益面でも厳しいSCを引き受けたことになる。

何が言いたいかと言えば、イオンモール㈱がイオンリテール㈱の物件管理をすることでイオンリテール㈱のデベロッパーとしての低い営業収益を引き継ぐことになる。それは赤字かもしれない。イオンディライト㈱も上場廃止になれば、グループの指示によりイオンリテール物件の経費分を下げていっても外部には分からない。つまりこの2社の上場廃止でイオンリテール㈱のプラス効果は当然想定できる。

もうGMSはすでに成り立たなくなっている。これは何度も書いているが、イトーヨーカドーがGMSをあきらめた時点で結果は出ている。イオンのGMSは決算を見ればグループへの貢献度は非常に低いがまだ若干の黒字ではある。ただ、そこにはGMSを続けなければならないグループの理由があるからではないかと思う。普通に考えれば金融事業の足固めのためだとは思うが・・・今回のジーフットの件も、去年の2社の上場廃止も、GMSを助けるという思惑もあったからなのではないだろうか。邪推かもしれない。

いろんな思いを持って企業は成り立っている。個人としても、遠かったが上場を目指していた。ただ、企業力を高めていこうという思いだけではない上場企業もあるのが現実かもしれない。

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ジーフット上場廃止とイオングループの将来

先日、イオンがジーフットの完全子会社化を発表した。これにより、ジーフットは上場廃止になる。7年連続赤字で、近年は債務超過状況が続いていた。今年1月にこのブログで上場廃止を予測しており、その通りになった。

ジーフットは靴専門店「アスビー」とイオン内の靴売場「グリーンボックス」が中心で、近年は「グリーンボックス」を「アスビー」に転換してきていた。「グリーンボックス」はイオンのGMS(イオンリテール)内でのGMS自主の靴売場だった。これをジーフットに組み入れて運営してきた。靴業種についてもこのブログで書いてきたので多くは語らないが、在庫過多に苦しむ業種ではある。昨今、企業譲渡された「ライトオン」「マックハウス」のジーンズ業界と同じでサイズが多く不良在庫が発生しやすい。今年度決算の在庫回転率も1月時ブログの予想通り年間1.42回転と低い。単純に入荷してから売れるまで9カ月近くかかっていることになる。これではキャッシュが回らない。そして「ABCマート」のようにカジュアルに重きを置き、ブランドとの別注商品を早いサイクル売っていくビジネスとは違う。ターゲット年齢は広く(特にGMS内は高齢者が多い)客層を絞り切れない商売になっている。

おそらく収益悪化の大きな要因は、GMS内の靴売場としての運営によるところが大きいと思う。ただ、会社発表では今後もGMSの売場の活性化策として投資をし、さらに雑貨などとの複合化店舗を開発していくとしている。このブログでずっと書いているが、GMSの衣料服飾品はもうすでに収益事業でなくなっている。あの効率を重視した量販店No1のイトーヨーカドーが衣料服飾品から撤退しているように、もうGMSの衣料服飾品は絶対に成功しない。

その一番大きな要因は、GMSは企業として靴やファッションなど衣料服飾品だけで儲けようとしている会社ではないからだ。「ユニクロ」は「ユニクロ」の商品や、売り方を会社全体で考えている。「無印良品」や他の専門店もそうだ。GMSはGMS全体の収益を考える。例えば、人的な課題について考えると、スタッフはその仕事がジョブローテーションの1つになってしまう。商品部や店で婦人服の担当をしていても、次のステップは営業部や店の幹部など他のポジションになることが多い。当然ずっと衣料品を考えている会社に勝てるわけがない。近年は人口減や高齢化などがあり商品傾向の変化が著しい。商圏や顧客動向の変化も大きい現状、専門性を持った仕事ができるスタッフが必要だが、育成できる環境にはない。そうなれば、当然専門各社に勝てるわけがない。システムなどの面でも、もう優位性はない。

そして、さらにGMSにおいての、衣料品や服飾品の位置づけは低くなってしまっているように感じる。カテゴリー別の損益は発表されてないが、おそらくインナーを除くファッション業種は赤字だと思う。食品を除く業種は、ほぼ儲かっていないと思う。近年の衣料品、服飾品の改装を見ていても傷を減らす改装に見える。センターレジ化を進め、要員を減らす方向で進んでいる。おそらく靴売場のジーフットへの移管もその戦略によるものだ。さらに、商品構成もあまり攻めの品揃えは見えない。大きな売場は、取引先主体のリスクヘッジしやすい売場になってきている。

イオングループ内でのGMS(イオンリテール)の位置づけも変わってきている。もうすでに基幹事業ではなくなっている。今期グループ決算では売上構成比は34.5%と高いが、営業利益構成比は7.9%しかない。このブログでも以前書いたが、イオングループとして今後中心になるのは「金融業」に変わっている。現状は「デベロッパー事業」も大きいが、人口減や都心集中を考えると郊外RSCは厳しくなり、将来的な見通しは暗い。そのためにGMSは「金融業」の顧客拡大の意味での重要な位置づけになっている。「デベロッパー事業」の中心としてのGMSと「金融業」の集客装置としてのGMSが、今後の中心事業の大きな源になる。そういう位置づけとしてのGMS事業になる。その先行きは見えないが・・・

ずいぶん大きなことのようだが、そういう視点で見るとGMSを継続させる必要性は大きく、その観点でのジーフットの完全子会社化の意味合いが一番大きいかもしれない。

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やはり郊外型大型モール(RSC)の集客力は落ちている

所要があり、その近くにあったイオンモール(AM)羽生に3年ぶりくらいに行ってきた。リーシングに苦しんでいる様子が見え、特に3階は「ユニクロ」退店の影響が大きそうで客数も大きくダウンしているように見えた。

記憶の中では、旧ダイアモンドシティのRSCを除くと群馬県のAM太田が成功したRSCの1号店のような気がする。つい最近までイオンリテールとは別会社だったためリテールのRSC(浦和美園など)もあり出店順はわからないが、当時は北関東の太田で成功したのには驚いた。その後AMは成田や水戸などで成功をおさめ急速に拡大していった。

AM羽生もその後成功したRSCの1つに挙げられていた。売上規模は発表されてないがピーク時の売上が350億ぐらいはあったように推測する(イオンモールは施設売り上げを発表してないのであくまでも個人の推測)。ただ、近隣店舗としてコストコやモラージュ菖蒲などの出店、近年ではAM太田の増床改装もあり商環境も大きく変わった。さらに前述したが「ユニクロ」の退店(近隣のビバモールへの移設)が大きな転機になっている。おそらく売上は300億を割り込んでいるように見える。そのエリアの先駆けで中心的なAM太田も後発のAM高崎やスマーク伊勢崎 、コストコに売上をとられ落ち込んできていた。数字を復活すべく増床大改装したがおそらくピーク時の売上には間違いなく届いていないと思う。300億強を何とか保っている状況ではないだろうか。

小売業に従事し、その後小売企業を経営していたので、全国の商業施設は見ているつもりだ。かつてAM泉南で販売代行をしている時、GM(モール支配人)に挨拶に行った際、自らの店舗の出店について少し話した。その時「このモールは400億超です」と相手にされなかった思い出がある。そのAM泉南もおそらくもう250億前後まで落ちているように見える。広域からの集客のうち和泉のららぽーと(コストコも近くにある)、自社競合でAM和歌山と商圏を抑えられ、狭商圏化してしまっている。和泉のららぽーとは300億と発表されているので完全に逆転されている。

各地のRSCを見ていると、AMの売上はエリアの核となるモール以外は伸びていないように思う。思い浮かべると、九州の宮崎、中四国の広島府中、関西の橿原、京都桂川、中部のmozo、各務原、関東のレイクタウン、高崎、東北の名取などが売り上げの大きそうなSCになるが、そのような中心的SC以外は少し売り上げが停滞しているようにも見える。特に、近年の入れ替え改装でテナントの新鮮さがなくなってきており、さらにテナント揃えが同質化してきている。さらに、商圏が被るテナントが増えてきており、「わざわざ性」がなくなってきている。以前書いたが高層階のラインナップは類似してきており、収入を増やすためのメイン導線上での催事(特に携帯電話)が非常に多くなっている。

ららぽーとが大都市近郊を中心に出店しているのに対して、「タヌキが出るところに出店」のイオンモールは、今後の人口減と人口集中を考えると間違いなく淘汰されていくように見える。さらに、上質化したテナントを導入し続けるららぽーとと、標準化されたテナント揃えのイオンモールでは競争力に差が出る。

出店を続けてきたAMでさえ、出店数が2024年は0に2025年が須坂(長野)1件ともう出し尽くしてきた感もある。今後は、そのエリアで中心となるRSC以外の既存SCの個性をどう打ち出していけるかが存続の鍵になりそうだ。

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ポイント20倍

もともと買物は好きだし、食品売場も好きなので、デイリーの買物にはほとんど同行している。大変失礼なことではあるが、イオンへ行くときは5%オフの日とポイント10倍の時だけに限られている。それでも、ポイント10倍の日はかなり多いので回数は多い。そんな中、今月は11日~14日までイオンペイでの買物でポイント20倍となっている。前回も8月にあった記憶があるので決算前にやるのかもしれない。

ポイント20倍だと具体的には10000円の買物に1000円のポイントが付与され、そのポイントは後日使用することができる。一時的な割引とは違うが、1000円引きとほぼ同じ感覚と捉えられる。そのポイントを使うことで再来店を促せるし、固定客化にはつながる。

少し仕組みを調べてみたが、複雑だった。10000円の商品をポイント分1000ポイント(20倍)付与で売った場合、ポイントは将来使える価値として計算する。商品の売上は10000+1000=11000となり、現状の価値10000が10000×(10000÷11000)≒9090で売上は9090円となる。7掛けで仕入れたとすれば原価は7000なので利益額は2090と減る。そして本来発生する利益額との差3000―2090が契約負債としてBS(貸借対照表)に残る。そして後日1000円(原価70%)の商品を 全額ポイント(1000pt.)で払ったときに、売上910(BSの負債の額10000-9090)でその原価700となり利益は210となる。つまり合算すると10000円の商品の原価は7700となっており、利益額は2300で当初の利益額から-700の実績となる。簡潔に言うとすれば、通常販売なら11000(10000+ポイント分)売上原価7700、総利益3300(30%)の費用を分散させることによって、売上10000、売上原価7700、売上総利益2300(23%)とさせている。これにより、一気に利益をマイナスさせなくてすむようにしている。ただ、利益は当然マイナスする。

では、その原資はどこから出ているのか?明確にはわからないが、20倍ものポイントを付与する際は、基本ポイント(1倍)はイオンリテールが負担し、イオンペイの利用促進の目的の際はイオンフィナンシャルサービスが広告宣伝費として負担すると書いてある記事もある。どこが負担してもイオングループなのだが、一番傷が浅いのは上記した経費処理ではないだろうか。ポイント分をすべて経費で計上すれば非常に大きなものになる。どちらも収益面でのマイナス要素にはなるが、おそらく、金をイオングループで落としてもらおうというグループの政策だと思う。グループの収益構造を見れば、金融事業がリーダーであり、従来の中心事業の小売りが手段になっているようにも見える。そう考えれば利益貢献が小さいイオンリテールの存在価値もある。GMS事業をやめない理由にもつながる。

こういう販促とその実態を見ると、中小小売業はもう完全に大手企業には太刀打ちできないのではないかと考えてしまう。ただ、そうなれば大手企業の中で小売業はだんだん縮小されていくのかもしれない。マルイがフィンティック事業(金融情報業)で営業利益の8割を占め、小売業がなくなりテナント収入中心になっていったのと、同じトレンドともいえる。打算的に考えると、イオンも今後のステップとしてはGMSをやめて、イオンモールでのテナント化が普通の流れになるが、そうならないのは、まだまだ金融事業の規模が目標に届いていないということかもしれない。それとも、GMS創業者の意地なのか?

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イオンの株でも買って見る?

「イオンの株を買ったら?」と勧められた。去年の5月くらいに株価を見ていて無印良品とイオンの株価には注目していた。無印良品は8月に株価分割を実施し、イオンもその当時は株価分割後で1500円くらいだった。小売業の業績は、決算数字や会社の戦略で、ある程度は予測できる。その意味で、株価分割され、さらに上昇している無印良品株は5、6月に買おうかと考えただけに、本当に失敗した。無印良品は、その当時発表された社長方針で、「期末に向けて売上は大幅増も、在庫過多を解消するため、利益率は現状維持」との発言があり、中間決算数字を見て同じ感想を持っていたため、好意的に受け取っていた。イオンは、イオンモールを上場廃止しイオンの子会社にしたことは評価していたが、まだ将来像が読めてこないのでずっと見逃している。ただ、最近の戦略が明確になってきており、ひょっとしたら化けるかもと思っている。

イオングループは金融事業を拡大しようとしている。イオンの前期決算で総合金融事業の営業利益は611億円で前年比119.8%、グループ全体収益に占める割合は25.7%で最も大きい。ちなみにGMS事業は売上構成比35.1%だが営業収益は6.9%しかない。さらに今期第四半期までで、金融事業の営業利益は404億円でグループ全体比率は27.9%となっている。ちなみにGMS事業の営業利益は前年より改善しているものの-116億円という結果だ。つまり小売業No1の集客力を利用しての金融事業の収益拡大と、それにより基幹事業たる小売業の改善を進めていく方針が明確になっている。近頃のイオンカードの優待日の多さや、イオングループ企業へのカード優待の拡大も顕著で、金融事業を企業の柱にしようとしていることがうかがえる。

イオンの株は個人株主が多く、現状個人株主数は90万人前後、株主全体の3割以上の構成比らしい。ちなみにセブンアイでは1割強が個人株主比率ということだ。個人株主への優待強化は機関投資家からは敬遠されているが、長期保有株主になっていく株主が増えるということになる。そして個人株主は議決権を行使し、会社提案への賛成比率も高いようだ。今後も、個人株主の比率をさらに上げてくようで、近い将来個人株主の数を200万人まで伸ばしたいらしい。イオン株主優待制度はまず配当金は1株あたり40円前後。株数に応じて買上げ金額に対してのキャッシュバック、各種優待企画との並行利用などの特典がある。

少し簡単に計算してみると、100株、株価2200円で試算すると、22万の投資。日本人平均世帯の食品消費支出年間108万、住居衣料品支出22万で そのうちイオンで8割使うと約100万の支払いとなる。その計算では、3万の優待返金がある。さらに、カード割引特典日も多い。特に近頃はカード特典が多く、1月も5%オフデイとポイント10%デイが10日もある。その特典も利用すれば最低でも、配当と優待返金等で広い意味での配当利回りが20%近くはある。ちなみにイオンHPの株主優待制度を見ると、100株保有のAさんは半年で100万買物をすることになっており、年間で6万円のキャッシュバックとなっている。ただしカード優待返金特典は半年100万買物が上限のようではある。

現状のイオンは、カード優待企画が多く、さらにイオンペイの普及に力を入れている。イオングループの企業(マルエツなどSM等)も同様にイオンカードのポイント還元は非常に多い。顧客の囲い込み戦略で金融事業を拡大し、小売市場の専有化を目指している。マルイグループを見ても金融事業での収益の安定は企業の推進力になっている。

その上で、イオンの小売業の再整備は絶対に必要だと思う。売上高の金額は大きいが、もうすでにGMSは崩壊している。食品以外の売場は冷静に数字を見極め、決断していく時に来ている。GMSの食品以外を個別に運営すれば間違いなく赤字になる。各カテゴリーを会社化すればすぐに結論は出る。㈱ジーフットがそれを示している。そのジャッジができて、改善ができれば、大きな利益の出る体質に変わる。

さて、100株でも買ってみるか。

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