見た第一印象は「大丈夫?」だった。
売場区画を作りにくい地形、食品売り場に「?」、テナントのターゲットに「?」。駅前の1等地物件が、空いたままだった理由がよくわかった。
川口市は人口約60万人。隣接駅は東京都赤羽駅。通勤に便利で、駅周辺には大型マンションが多い。クルド人問題で取り上げられ、外国人も多い。昔は駅前にそごうだけでなくマルイもあった。さらに郊外にも大型RSCのイオンモール川口前川、イオンモール川口もある。JR川口駅の1日乗降客は149千人で埼玉県では5番目の多さとなっている。
「ららテラス」の他施設を調べてみると、地域密着型で比較的買いやすいテナントが多く、わざわざ感より、利便性を重視しているように見える。ただ、旧川口そごうの物件であり、デッキで駅と直結しており、何よりも11階建てで3万㎡近い売場面積がある。そごうの売場面積は32621㎡となっていた。床はおそらくそごう時代のままで、「からくり時計」も復活している。所謂、百貨店のハコのままになっている。
沿線の大宮には、百貨店が2つあり、ルミネ、丸井がある。浦和には伊勢丹とパルコがある。百貨店は川口にはもういらないことは実証済み。駅ビルスタイルにするのか、従来の「ららテラス」ターゲットのするのか非常に難しかったのではないだろうか。結局は両方取り組んだという結果のように見える。近隣の浦和パルコがそのモデルになりそうだが、決定的に課題になるのは、各フロアの地形が悪く、各フロアの大きさが小さい事だと思う。
B1Fに食品SMの入店は難しかったのだろう。それでも、フードコートをやめてB1F全部を提案しても導入できなかったのかと感じる。駅近ならマルエツくらいしかないし、なんとか地元の「ヤオコー」か、流行りの「ロピア」など賃料を度外視しても優先的に入れたほうが良かったのではないだろうか?「対面テナント」と「成城石井」は客層とアンマッチのような気がする。メインフロアではない1階の半分を銘店や「西武そごうショップ」にして1Fを食物販にしてもよかった。全部を提案してもSMの導入は無理だったのだろうか。三井不動産の企業力をしても難しかったのだろう。
デッキとつながったメインフロアの3階は何とかして「館の顔」のフロアにしたかったことはよくわかる。ただおそらくあまり食指が動かない物件だったのか、3.4階のテナント揃えは「何とか」のイメージが強い。セレクトも「UAグリーンレーベル」「アーバンリサーチストア」をメインフロアに導入しているものの、都心近郊の駅ビルより厳しいテナント揃えに見える。5階以上はカテゴリー大型区画になり、実需と利便性を考えたフロアになっている。5階は「ユニクロ」「GU」の1フロア構成で、6階はボリューム路線の「パシオス」と「ムラサキスポーツ」「ウィゴー」「コカ」、7階は「ダイソー」「ノジマ」、8階は「西松屋」とアミューズ・カルチャーのフロアとなっている。
全体を見ると、引き継いだ百貨店のグレード感ある内装が、逆にマイナスになっているようにも見える。まだオープンしてから日が浅いからかもしれないが、来店客層は駅ビルの客層に見えた。対面の食品テナントと「成城石井」が「パシオス」「西松屋」と共存して正解なのか?各フロアの客層が違いすぎているようにも思うが、今後回遊性はあるのだろうか?賃料設定も厳しそうに見えるが、SCの採算は取れるのだろうか?
好立地なのに、なかなか借り手がつかなかった理由はわかる。簡単ではない物件だろう。ひょっとしたら賃貸条件も破格なのかもしれない。またしばらくしたら、見に行ってみる。
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