ヤフーでセレクトショップの意味を調べると、「独自のコンセプトに沿って複数のブランドの商品を仕入れ、販売する業種。」とある。ここに「個性ある複数のブランド」と入れるのが正しいのかもしれない。ここについて話すといろんな意見があり、特に癖のある意見が多いのであくまでも私見で書く。

セレクトショップと大手アパレルの大きな違いは、仕入れて直接お客様に売るか卸業を中心にするかの違いにある。昔から付き合いがあるところはビームスやユナイテッドアローズも地方ではFCをしている会社もあるが、非常に少ない。ほぼ直営店の展開である。名の知れたセレクトショップもあれば、地方で独自にブランドを仕入れているセレクトショップもある。

個人的なことでは、大学生のころ上野アメ横の店「ミウラアンドサン」でスタジャンを買った思い出がある。その後もインポート商品のバイヤーをしていたころはシード館、インターナショナルギャラリー、伊勢丹スライスオブライフは定点観測していた。トゥモローランドに「ボルジー、マカフィー」の出店交渉もしたし、完全にあしらわれたが「ビームス」の出店交渉もした。まだ千駄ヶ谷の小さい事務所だった今のベイクルーズと布帛(シャツ)の商談をしたこともあった。

その当時とは規模もMDも大きく変わっている。トレンドを追いかけてセレクト中心から完全に自主MD商品中心の店に変わっている。上場しているユナイテッドアローズの前期の売上は130135(百万)売上総利益率51.6%と完全に大手小売業としての位置づけだ。買取仕入れだけではここまで利益は出ない。「ソブリン」や「ディストリクト」などで出店していた高感度の店はほぼなくなっている。

大手セレクト店舗はアウトレットのウエイトが上がってきたのではないかと思う。アウトレットも完全に作りこんで利益を稼ぐMD商品が中心になっている。ここ数年はこのアウトレット業態で売上と利益を稼いできたように見える。このターゲット客層は少しずつアウトレット用の商品とわかってきたようで、ここからはそこまで伸ばせないように感じる。できるだけ早くフェイドアウトするべきだと思う。

先日何人かの40代前後の知り合いと話したが、あまりファッションには興味はないが「洋服はアローズやビームスで買う」と言っていた。その人たちは比較的高収入の部類だとは思う。ユナイテッドアローズの上期の前年比は107.5%で11月は118.2%まで伸びている。インポートは高い、ユニクロは皆着ている、選択肢の中では安心感があるので選んでいるようだ。そういわれると昔よりこのゾーンの敵は増えていない。ノンポリでそこそこ収入がある客層はまだ購買客のようだ。アウトレットで安易にショップ名のバリューで引き寄せて売ることは減らしていき、給与労働者30%が属する大企業社員をターゲットに品質や接客を最重点で取り組めば大きくマイナスはしないかもしれない。競合は限られてきており、きちんと囲い込めば今後も安定的なマーケットとも感じる。

関係ないが、昔出店の話も真剣に考えてもらい(断られたが・・・)、誠実なアウトレットを運営し、伊勢丹にもインポートブランドに併設してコーナーをもって、着実に商売しているように見える「トゥモローランド」をメジャーでは一番応援する。

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