前回、ライトオンの状況を書いたのだが、あまりに傍観者的な内容だったかなと感じていた。「どうするべきか?」「立て直すには?」が欠けているとは思っていた。ただ現状では非常に難しい問題になっているのではと思う。
もう、所謂全国チェーンのジーンズ専門店(?)はライトオンとマックハウスぐらいだが年々ダウントレンドで、現状のMDも昔のジーンズ専門店ではない。アダストリアもアーバンリサーチも、もともとはジーンズ専門店からのスタートだが、方向転換して今があるのは、「先を見る力」があったと言わざるを得ない。ジーンズメイトも一時株主変更時、攻勢をかけたが失敗した。いろいろ考えても、いろんなハードルが高すぎて難しいという結論になる。
まだまだ地方では頑張っているジーンズ専門店もあるが、どうしてもブランドのエリア分断があり、ナショナルチェーンにはなれない。高知の「ジーンズファクトリー」や岡山、徳島の「ビックアメリカンショップ」、旧三信衣料系のジーンズショップなどエリアに根付いて頑張ってはいる。多くはデニムラインと「ダントン」「オーシバル」などBshop系の品揃え、SCなどのインショップでは「ノースフェイス」や「チャムス」などわかりやすいブランドのミックスで確実に運営されている。ブランドを卸している会社が、エリアを考えて専門店を選んでおり、なかなか全国チェーンには品揃えの壁がある。
厳しくなった会社が抜け出すには、管理主導で動くしかない。おそらく過去営業主導で動いて内容が悪化してきたと思う。そういう意味では、各数値の適正化を急ぐ必要がある。ライトオンの前年度実績では1店舗あたり年間売上は1.26億、月度売上約10.5百万、売価在庫は平均54百万となっている。今の売上を維持して回転率を年間3回転まで上げるとして売価在庫は42百万となる。その在庫で運営するとすれば、坪在庫を最大500千として80~100坪を適正坪数にするべきだと思う。現状の坪数は決算書でもわからないのだが、明らかに大型化が進んでいる。大型化により売り上げ効率が悪化し、さらに販売員の守備範囲が広くなっている。ジーニングカジュアルを続けるなら、接客の要素を上げるためにも販売員の密度は高いほうがいい。坪数の削減はデベロッパーとの交渉が難しいし、再度売場投資も発生するのでハードルは高いが、間違いなく最優先で整理すべき事項だと思う。
MDについては、頑張っている地方の専門店と同じMDは全国チェーンではできないだろうし、どうすればいいか言及できないが、テイストをジーニングカジュアルで進めるなら、もう一度デニムの品揃えや集積可能なトレンドとなるブランドを整理して、そのコーナーを確立させるべきだと思う。20~30坪で例えば重厚なウッディベースの内装でショップインショップ化を図ればどうだろう。その他の面積でキッズ含めた衣料品を買いやすい値段で品揃えする。坪数縮小でボリュームも出るし、イメージも固まる。売場内にインパクトある1角を作ることで売り場も締まってくる。
他人事で書いたが、言うだけならだれでもできる。金をかけて軌道修正するにはリスクも大きい。ただ現状の数字を見ていると、小売りとしての商売の基本と大きく乖離しているように思う。繰り返すようだが、営業面から対策を考えずに、管理面(数値面)からあるべき売場を考えたほうがいい。営業面から考えると失敗を重ねるだけのような気がする。売上計画より在庫計画、利益計画を重視して対策を立ててみてほしい。
今後も数字の流れは厳しいと思う。変革に注目している。
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