伊勢丹新宿店や銀座三越、梅田阪急はコロナ前の数字を超えたという記事を読んだが、知り合いたちと話すと、全然売れてないとの答えばかりだ。世の中は「夏のバーゲン」中でもいい話は全く聞こえてこない。SCを見て回っても食品以外の活気は伝わらず、売れていそうな店は今まで書いてきた企業の店だけのような気がする。
新しく、面白みのある店が全く出てこず、逆に不振店を整理する企業が多く、全く面白くない売場になってきているように感じる。
「こんな店をやってみたい。」「絶対成功する店を作れる。」と思っている人たちはいるのだろうか?「スタートアップ企業応援」と掛け声は大きいが、だれでもできる小売業に飛びつかないのはなぜだろうか?
現状では資金力のある大手企業の中からしか生まれてはこないと思う。路面店を作ってコツコツと商売をするならまだしも(それでもリスクは大きいが)、SCや駅ビルに出店するにはハードルが高すぎる。
デベロッパー側も現状の売り上げダウンと、テナントの退店や賃料のとれない大型化テナント導入で収益は上がっておらず、逆に悪化傾向にある。そこに数字が読めない新しい店を入れる度量もないし、大企業の上司がそういう店を入れるのに承認印を押すとは思えない。
例えば30坪の店を出店するのに敷金(最低でも坪200千)、共通部の内装負担金(500千前後)、オープン販促費(坪5千以上)、内装管理費(坪5千前後)、現場協力金(坪30千~50千)などの経費がかかる。おそらく敷金以外で最低2000千は必要だし、預け金だけど撤去代替わりの敷金を加えると8000千くらいは必要になる。そこに内装費(安くても今だと350千くらい)、諸経費が必要で20000千くらいの金が必要になる。そこにオープン時の商品代が加わる。
頑張ろうにも頑張れない。大手しかやれないというのは金の問題が一番大きい。
そこで提案がある。
内装はきちんとしたうえで、半年間(できれば1年)の催事契約をして、その後契約条件をお互い詰めるというやり方だ。ここでポイントになるのが内装と商品で、今の催事は俗にいう「居抜き」出店が多く、商品も「委託」商品が多い。とりあえず埋める型の催事テナントが多い。真剣にやりたいとなると、商品、内装にはこだわりを持つ。そこをきっちり詰めると前向きの度合いがわかる。内装をやるからには簡単には引き下がれない。
オープンの経費(商品以外)が7000千くらいなら、出店もしやすくなる。国民金融公庫や政策投資銀行から借りやすくなってくる。
いずれにしても意気込みやMDだけでは出店できないので、出店のハードルを下げるよう見直すべきだと思う。
大手デベロッパーが新しい芽を探さないと、今後の商業施設はますます鈍化していく。「小売業のスタートアップ」に手を差し伸べてもらいたい。
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