以前立ち上げた会社での従業員教育のファイルがある。「仕事の基本とは」「販売について」、「基本的数値の教材」、「受講した社員からのフィードバック」の書類などが入っている。

「仕事の基本とは」は①仕事の姿勢、➁仕事の進め方、③前もって備える、④仕事の質を上げる、の4項目で仕事の基本的な心構えについて整理されている。

「販売について」は、①店に立つ前のちょっとしたアクション、➁お客様にアプローチするときのちょっとしたアクション、③ニーズをつかむには、④商品説明のコツ、⑤クロージングテクニック、⑥店内にお客様がいない時、⑦店のおすすめは何?⑧さらに生かすには?の項目で、販売に必要なことをまとめてある。

「基本的数値の教材」は、①売価・原価と値入率、②粗利益高と粗利益率、③値入額と粗利益高、④仕入・売価と在庫、⑤仕入、売上、在庫と値入、荒利、⑥仕入、売上、在庫と売価変更、ロス、⑦回転日数と回転率の7項目で基本的数字をわかりやすく説明している。尚、コメントとして「①~③までで1時間かかる。2.3回は必要。」と付箋が貼ってあった。

その他、受講者の事前アンケートや事後の感想などがファイルされていた。2日間の研修プログラムで、特に数値については、もう何度か研修の場が必要のようだった。

こういうことが必要だなとは改めて思う。賃金が上がり、従業員確保が大命題になっている小売業で、現状スタッフ教育には手が回ってない状況ではないだろうか?そんな中で、各店舗で差がつくのはちょっとした販売の仕方だったり、スタッフの力量に左右されていると思う。スタッフ教育は組織力のある大手企業が先んじているのかもしれないが、個店でもやるべきことは多い。店長がスタッフとのコミュニケーションをとって、売場の販売体制ができているだけで売上は大きく上がってくる。

「基本的数値」についての教材は、マイカル時代の教育教材だった。新入社員には少し難しく、売場に慣れてきた段階で随時行っていくほうがいいかもしれない。ただこれが商売の基本でもある。昔売場の部門責任者は、この数値は完全に頭に入っていたと思う。その上で、仕入れ活動もしてきた。今の小売業でどれくらいの店長が理解しているのだろうか?セントラルバイイングになったり、店長の職務ではなくなったりしているかもしれないが、この「基本的数値」を理解して商売をしているようには思えない企業は多い。これが理解できて、売上と結びついてくれば小売業が楽しくなってくる。

「仕入」「販売」「営業」「管理」と分業になっていても、販売現場からいろんなことは発信される。従業員全員が同じ方向を向いて、同じ言葉で話せなければ数値は上がってこない。

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