株価最高値ということだが、どうも好景気という雰囲気は感じない。国民の約3割位しか株取引をしてない中で、その恩恵はどれくらいあるのだろうか?当然円安で輸出企業は高収益予測となっている。トヨタは今年の見通し営業利益は4.9兆円と発表されている。熊本の半導体工場の大卒初任給は28万ということで好景気のニュースが流れている。

就業者の70%は中小企業で働いている。中小企業がどれくらい恩恵を受けているのだろうか?給与は物価高騰率よりアップするのだろうか?現人口の3割位いる年金受給者に恩恵はあるのか?さらには2010年くらいから国としては輸入超過が続いている。現状は値上げに収入が追い付いてない状況で厳しい生活感しか感じていないのではないか?今後の金利上昇にどれだけ収入が追い付いていけるのか。

景気は小売業に大きな影響を及ぼす。バブル期はボディコンやブランドファッションが好調で幅広い層にも好景気が伝わった。さて今回はどういう流れになるのだろうか?

現状の小売業の流れは、衣食住とも低価格路線になっている。ファションでは「ユニクロ」「しまむら」「西松屋」など、食では「ロピア」や「OK」など、住では「ニトリ」など比較的価格志向の強い企業が強い。モデレートなポジションだったイトーヨーカドーに代表されるGMSはほぼ終焉を迎えたし、そのゾーンで堅実なのは「アダストリア」くらいしか思いつかない。その「アダストリア」もIYやイズミと低価格帯を模索している。

ブランド人気は当然あり、インバウンド中心と言われているが、当然日本の金持ちはさらに含み益が増えているので、そのゾーンは絶好調と聞く。百貨店の外商は比率を上げているし、高級車も売れ続けている。大都市の百貨店はインバウンドもあり大きく数字を伸ばしている。

ファッションに関しては昔ほどこだわりを感じず、ブランド意識も下がっているように感じる。高給与と言われている会社の会社員も、とりあえずセレクトショップのオリジナル商品を買っているという流れで固執している感じはない。上場している「ユナイテッドアローズ」や「TSI」も伸びてはいない。気に入ったものがあれば買うという自然な買い方のようだ。

この2極化はここ数年続くと思う。低価格志向は同質化に向かう。そこからの差別化する方法を模索しなければいけない。商品なのかシステムなのか、売場などのハードなのか、売り方なのか、ここから差別化の糸口を見つけなければならない。

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