改装した大型モールを見に行ったり、遠距離でなかなか行けないモールのフロアマップを見ていると、今まで衣料品の店が大型化していると感じていたが、生活雑貨の店も確実に大型化している。

従来から大型だった家電は超大型化している。100円均一、300円均一も大型化し、ダイソーやキャンドゥも大型パターンがあるし、スリーコインズもスリーコインズプラスとして大型化を図っている。住居品でもニトリとニトリデコホームと規模分けしているし、ファッションのアダストリアもラコレで大型化を図っている。従来からの無印良品、ハンズ、プラザ、フランフランワンズも大型化しているし、リビングハウスやアクタスなど家具&雑貨も出店が多い。服飾雑貨ととらえると、ABCマートも、インナーのチュチュアンナもグランデとして大型化している。

お客様にとって、商品量が多く選びやすくなっており、メリットもありそうだが、明らかにモールの店舗数が減ることで、いろんな店を見て回る楽しみがなくなってきており、大味なモールになっている感が強い。

このゾーンはイオンモールにとってはキーテナントのイオン(GMS)の受け持ちゾーンであり、ここまで大型テナントを導入するのであれば、GMSの食品以外のフロアは全く必要性がなくなってくる。昔イオンのリーシング担当者に「イオンでできないことをやってください。できないなら出店できません。」と言われたことを思い出す。イオンでできることをテナントがレベルアップしている。

このテナントの大型化はデベロッパー側のリーシングの難しさにつながっており、それにより以前に書いたように、デベロッパーとしての賃料収入は間違いなくダウンしてくる。小型店舗(50坪以下)での坪当たり賃料(固定)が、大型化されることで歩率になり、坪当たり単価は大幅に下がり、共益費も徴収できても坪単価は大幅に減る。共用部負担金なども徴収できないし、販促費も想定以下の契約になる。つまりデベロッパーの収益率は低くなる。逆に、大型化したテナントの坪当たりコストは相当に減る。

やはり「わざわざ」買いに行くべきテナントと、できるだけ多く選べる「単品量(SKU)」を持ったテナントが混在するのが大型SCの魅力であり、テナントの大型化だけでは魅力が増すとはいえない。そして、いよいよGMSはいらなくなっている。

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