タカキューが債務超過に陥り、イオングループが手を引きファンドの下で再建することになったことで少し思うことがある。債務超過とは会社の負債が資産総額を上回っている状態のことをいう。そうすると商品は資産になるので減らすことはできにくくなる。

タカキューの2023年決算の売上総利益率は59.9%であり、2024年度第3四半期まで売上総利益率は62.0%となっている。商品内容によって利益率は変わってくるが、ファッション事業として比べてみると、2023年度でアダストリア54.7%、ユニクロ51.9%であり、高い水準のように見える。

値段を下げて売上を上げたいが、値段を下げると利益も下がる。利益率も落としたくない。

さらに値段を下げて売ると当然のように在庫も減る。流動資産が減少する。その流れで回転率が下がっていくのではないか?タカキューの2023年の在庫回転率は年間2.46回転(月度0.21回転)となる。ちなみにアダストリアは年間5.00回転(月度0.42回転)となる。

(※棚卸資産の年度期首と年度期末を2で割って在庫を算出した。)

債務超過になっている上場アパレルにアナップがある。アナップの売上総利益率は53.2%で在庫回転率は3.39回転となる。トレンド性の強いヤングレディスターゲットしては低い。

厳しい流れが続く、共にジーンズ系上場企業のライトオンは利益率48.1%、回転率年間2.22回転(月度0.18回転)、マックハウスは利益率48.0%、回転率年間2.34回転(月度0.20回転)となっている。

商品の値段を下げると貸借対照表での資産が減少し、損益計算書上では利益が減少する。利益の減少が表面上は一番チェックされうる項目にはなる。タカキューもライトオンもマックハウスも月度回転率は0.2回転前後となっている。つまり約半年後に現金化できるということになる。商品支払いが手形ならいいが、現金支払いが主流になりつつある中で考えるとキャッシュインより支払いのほうが先になってしまう。つまりキャッシュがうまく回らない状況になる。

売れる商品は回転率も高いので、原価率の低い商品であれば利益率を上げることにつながる。逆に動きの悪い商品は値段を据え置けば利益率は変わらないがその分在庫負担になる。値段を下げれば当然利益率は下がる。

タカキューの60%近い利益は、原価率の低いスーツ業界にしても、売上げ低下を考えると高すぎる。さらに回転率も悪い。ジーンズ系2社も原価率は高い業種だが、あまりにも回転率が悪すぎる。

適正な在庫評価がどういう基準なのかそれぞれの会社が決めることなのだが、回転率を見れば市場評価との間に乖離があると思われる。市場評価での在庫額にすれば、大きな利益のマイナスが出てくるのではないかと疑ってしまうのだが・・・

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