ライトオンやマックハウス、アナップなどの営業不振に伴う株主変更や、タカキューのファンド支援などいろんなスキームで企業の再興が急激に増えてきている。企業がもともと描いていたゴール(通過点?)と違う形にどんどん変わっていくのだろうと思う。金融資産としての取り組みになり、お客様(顧客)不在の企業になってしまうことを危惧する。
企業は何を目的にスタートしたのだろうか?ユニクロの企業理念は「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」とあるが、それはその理念に手が届くだろう時期に来た時に作られたものであり、最初のミッションは「・・良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」とある。アダストリアも今の理念とは別に「お客様の生活にワクワクを提供する事」とあり、ニトリも、理念とは別にロマン(志)として「住まいの豊かさを人々に提供する」とある。小売業はやはり「お客様の満足感」を与えることがすべて根底にあると思っている。
「お客様の満足感」からスタートし、しばらく経過すると企業の存続を考える時が必ず来る。その時にそこからの企業の方向性と可能性を考える。
崩壊したジーンズカジュアル業界を考えると、ライトオンがピークの売上が2007年1067億で今期が389億、マックハウスが2009年567億で今期予測が135億となっている。どこかの段階で成長余力がないことを確認できなかったのだろうか。それともまだ成長業界だと認識していたのだろうか?上場しているので企業の成長戦略が必要だが、過去の成功体験から抜け出せなかったということになる。業界自体を細かく分析し、会社の存続を考えるならば、いつまでも過去の成功体験を引きずらず、他の業態(商売)をいち早く開発して、マイナス分をカバーするべきだったのではないかと思う。(やってはきたのだろうが・・・)
ただ、上記2社は上場企業で成長が義務付けされているが、ジーンズ業界を生き延びている企業もたくさんある。企業が大きくならなくても固定客のライフスタイルを提案して品揃えしている専門店は、各地域に根付いて安定した売上を確保している。企業は大きくなって成長し続けることも大事だが、立ち止まって、現状の顧客のニーズを考えて、満足度を上げていくことも必要なことではないかと思う。
ファッション業界でも同様のことがいえる。まずティーンズヤングのトレンドを打ち出す企業は存続していない。将来の成長戦略がなく、目先の事業で終わっている。片方である一定の規模で内部充実を図り、既存顧客の満足度を高めることで存続している企業はある。さらに生き残るために業態を分析して、方向性を明確にし、細かく戦略の方向性を変えていく企業は成長している。
立ち止まって、お客様を理解し、業態を分析し、明確な方向性を考えることが、生き残るために必要なことだが、どうしても過去の成功体験を引きずる。そしてその成功体験を作った人間が経営層にいると道は開かない。
もう「勘」と「汗」の時代ではない。
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