私用で大阪に行って来た。毎回行くたびに思うのだが、どんどん観光客の数が増えているように感じる。東京近郊にも観光客は多いのだが、大阪は京都が近く、観光スポットが限られているせいか、なぜか多く感じる。特に東南アジア系が多い気がする。通天閣近辺は日本人のほうが間違いなく少ない。どぎつく、はでなサインが喜ばれているのだろうか?
インバウンドの数字を調べると、平成23年度は売上が5.3兆円で1人当たり21.3万円の消費となっている。そのうち買い物は1.4兆となっており、消費の比率は34.7%から26.4%に落ちてきている。さらに24年は1~9月ですでに5.8兆円超ですでに前年を上回っている。ただここでも買物ウエイトは下がってきているようだ。観光客の「モノ消費」から「コト消費」へ移行が顕著になってきている。
「モノ消費」の中心の百貨店の売上はコロナ前くらいまで盛り返してきているようだ。明確な数字は未発表だが、新宿伊勢丹の免税売上は1000億超とのことだ。西の雄、梅田阪急は今年1~7月で559億と発表されている。大阪ミナミに集まる外国客のニーズをうまく引き受けているのが心斎橋大丸で、今期の全館売上予測を1000億超としており、インバウンド売上は45%にも達するようだ。(本当に心斎橋筋は日本人のほうが少ないのでは?)
景気のいい話を書いたが、百貨店の売上のうち国内需要のシェアは87.4%まで落ち込んでいるとも発表している。そしてインバウンド需要は大都市に限られている。百貨店以外の大手小売業ではセブンアイホールディングスが上期中間決算で純利益34.9%減と発表されているし、イオンも中間決算で純利益76.5%減でGMSは82億の赤字と発表している。堅調なイズミも上期は経常損益21.9%減となっている。
他の小売業の状況を見るとユニクロは2024年8月期決算で国内売上前年比104.7%営業利益132.2%、アダストリアは2025年上期既存売上前年比103.4%、営業利益前年比100.9%、無印も2024年8月期決算で既存店売上前年比112,8%、営業利益前年比169.4%と伸長している。ニトリ、しまむら、西松屋も2025年上期は既存店で売上、経常利益とも前年をクリアしており比較的好調な数字を発表している。
数字を見ていると、都市部の百貨店を除く大型商業施設の流れはあまり良くなく、比較的値段志向の専門店の流れは悪くない。インバウンドで潤っているのは大都市の百貨店で、国内での需要は値段志向になっているように見える。インバウンドの需要が「モノ」から「コト」へ変わってくると、小売業界は大変な時期になっていくようにも見える。円安の追い風でインバウンド客が増えているのであれば、また円が強くなったらそのプラス分が消えてしまうが、逆に日本自体の景気が上向いていくのだろうか?その要素はないようにも思えるが・・・外国人のための街のような大阪ミナミを見て、今後どうなっていくのかますます読めなくなってきた。
しかし、契約残年数が少ないからだとは思うが、一等地になった「なんばマルイ」はやる気は見えず、もったいない。
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