月: 2026年1月

「廃墟モール」の原因は「時代の変化」

「ドルチェ&ガッバーナ」「ビブロス」「アイスバーグ」「イスタンテ」「フェラガモ」「ジェニー」「フェンディ」「バリー」「バレンシアガ」「カステルバジャック」「バジーレ28」「ルチアーノソプラニ」「エンリココーベリ」・・・

百貨店のインポートの売場ではなく、1989年にオープンしたマイカル本牧5番街のオープン当時の「ネビュラ」と呼ばれたフロアのブランドショップ名になる。暗い街並みのようなフロアに海外ブランドが30店舗以上あったと思う。他のエリアに「ビームス」もあった。その他ニューヨークの「アポロシアター」や名画座の「シネスゥイッチ」などもあった。2番街がサティで5番街の「ネビュラ」はビブレが運営していた。

先日、ネット記事で「廃墟モール」について書かれていて、「マイカル本牧」が取り上げられていた。興味を持って読んだ。ただ、事実廃墟モールなのだが、同じ筆者が書いている「ピレリ守山」や「印西ビッグホップ」と同列では語ってほしくないという気持ちも強い。

マイカル本牧オープン当時、サティの商品部にいて、微力ながら立ち上げに加わっていた。この記事の筆者が言っていることは、オープンにかかわったほとんどすべてのスタッフは当時からわかっていた。「アクセスが悪い」「横浜や元町が近い」「大きすぎる」など・・・我々の中でも一番大きな声は「商圏の半分は海」ということだった。つまり足元のデイリー客が、安定してこないことが致命的だとわかっていた。この後、マイカルは「マイカル小樽」も開業する。ここも商圏は半分海だった。「マイカル小樽」にも、晩期はビブレの営業部にいてかかわっていた。両方の施設とも買物する店ではなく観光に来る店になっており、極端に言えば「大きなスーベニア店舗」になってしまっていた。

当然、経営側ではなかったので、出店に対してどういう決定経緯かはわからないが、きれい事で言うと経営者の「夢とロマン」、「郊外型SCへの取り組み」であり、ファッション業界ではどうしても下に見られる「量販店の意地」もあったのかもしれない。オープンから数字は厳しく、いろんな手を使って売上を計上していた記憶がある。経営側の間違いに誰も進言できなかった社内事情の結果が、その後の結末に導いた。さらに、過剰投資が有利子負債を増大させていった。

ただ、計画を実行すべく動いたスタッフは、社外ブレインも含めて優秀で、商業施設として見ると、量販店のSCとしては極めてすごいものだったと思う。大きな投資金額や優秀な外部ブレインを使ったとはいえ、店舗デザインやブランドリーシングは画期的だった。冒頭に標記したブランドは、バブル期ではあったが、今でも人口100万以上の大都市にしか出店しない。決して「ららぽーと」にも「イオンモール」にも「地方百貨店」にもリーシングできない。

日本の大型モール(RSC)のスタートをどう捉えるかだが、1981年に「ららぽーと船橋」(現トーキョーベイ)がオープンしているが、本格的にスタートしたのは2000年オープンの「ダイヤモンドシティ川口」(現イオンモール川口前川)でそこから2002年「ダイヤモンドシティ伊丹」(現イオンモール伊丹)と続いている。その後、ダイヤモンドシティはイオンモールとなり郊外での大型モール事業が広がっていった。その間ららぽーとも都心近郊に出店を重ねており現状に至っている。

マイカル本牧は1989年に11番街までの大型商業施設を開業した。その後1997年に「マイカル明石」を開業し2核1モールのRSCをスタートさせ、1999年に34万㎡の「マイカル小樽」をオープンさせている。マイカルは大型モールの計画を早くから進めていった。2核を「サティ」と「ビブレ」にしようとしたことや、立地に無理があったため、成功には至らなかったが、間違いなく現状のイオンモールやららぽーとなど大型モール成功の礎にはなっている。その後、マイカルは過剰投資による有利子負債の増大で倒産したが、マイカル本牧は国内最初の「時間消費型」のSCとして大きなインパクトを残した。あの当時「ドルチェ&ガッバーナ」や「ビームス」が入っていた商業施設を量販店が作り上げたということも忘れてほしくはない。

30年以上前でも、現在同様、小売業にマーケティング理論はあり、商圏の調査や分析などは当然実施する。それでもその分析に反して出店せざるを得ないこともある。マイカル本牧の出店は「バブルの時代」という時代背景だった。現状主流のイオンモールも、地方人口の大幅減少で、近い将来「廃墟モール」になってしまうかもしれない。やはり「廃墟モール」への大きな要因は、SCオープンにおけるマーケティングや設計の不具合より、「時代の変化」に尽きるのではないかと思う。

■今日のBGM

厳しい時期だからこそ、するべきこと

寒波到来で雪の情報が増えている。2月に入れば選挙。ただでさえ、1月のバーゲン明けは商品の動きが悪くなる。さらに過去の例から、選挙は商売のプラスにならず、選挙日は売れない。ただでさえ厳しい1月中旬から2月にかけてが、さらに厳しくなる。

小売業の流れは、非常に厳しくなっており、特に中小の小売業には大変な時期になっている。以前も書いたが、知り合いの会社も倒産したり、事業譲渡したり、大幅な規模縮小をしたりしている。上場企業でも、厳しい数字が続いている会社が多く、安定企業は限られてきている。その安定企業も、現状の環境下では厳しい数字になりそうな流れになっている。

近隣の大型モールに行ってみたが、晩期商戦ということもあり、テナントごとに売場演出や対策は大きく異なっている。セレクト系などは、会社の戦略なのかブランド商品の値段はほぼ変化はなく商品をなくそうという意思も見えない。さらに大手企業店舗は、商品量は減ってはいないが、価格の切り口の変化はなく、リスクヘッジができる取引先の商品が増えているように見える。中小小売業の店舗が一番厳しい商品内容になっており、引き続き前面はセール訴求が続き、多くの冬物が前面にある。そのため、12月以来売場の見え方が変化なく「セール疲れ」の感も出てきている。売場は各企業の戦略が出ており、いよいよ、企業力が明確になってきていていると感じる。

特に、この時期は売り上げが大きく、バーゲンによる利益率の変化が年間利益を左右する大事な時期になる。商品を処理するために値段を下げれば利益が下がる。商品を仕入れると利益は回復するが、在庫は膨らむ。さらに新商品の投入で、新鮮な商品に目が行きバーゲン商品の処理がおろそかになる。中小小売業は、厳しい状況下にこそ、晩期の決め事を再度明確にし、徹底する必要がある。

まず、なくさなければいけない商品をどうするか決める。とかく、利益率を念頭に置いて処分を明確にしないことが多い。ここは絶対に無くすことを考える。全体で利益計算をして、どこまでの割引率でなくすかジャッジする。それでも売れなければ集約する店舗を決めてなくす。なくすことを前提にして、利益率の着地を考える。結局ここで商品を処理しなければ、近年の不振企業のヴィレヴァンやライトオンのようにどこかの決算で評価損が発生する。さらに残商品で在庫過多になり仕入れ枠が減ってしまう。当然売る努力はあるべきだが、守るべきは利益率より在庫高ということを周知徹底するべきだ。セール期間が続くと、新しい商品が新鮮で、その商品に目が行きがちになる。新商品を提案し、売場の季節感を変えるなら、なくすべき商品は売価を0評価にしてキャリー(次年度持越し)するべきだと思う。商売は誰でも仕入れが楽しいが、直面している商品をなくすことに全員で取り組むべきだ。

商品が入れ替わるタイミング(セール後の立ち上がり)で、今後のMDの決め事を再度明確にするべきだと思う。「誰」に、「何」を、どれくらいの「値段」で、を再度整理する。商品仕入れ担当者は、会社の方針としてのプライスラインや品種、品目を再度明確にする必要がある。そして「売りたい」商品より、「売れる」商品を必ず念頭に置く。季節が変化する時期はそれを徹底し、再認識する。当然財布の中身(仕入れ可能額)も話し合って決める必要がある。

企業力が弱い会社ほど、晩期は、売り場の作り方や、セール商品の価格訴求のタイミング、切り上げの時期、新商品の展開時期や売り場提案についてなど、きちんと決めごとを作り明確にしていく必要がある。

●余談・・・世の中甘いのか、甘くないのか?

・エアコンが壊れたので、イオンのポイント10倍の日に安いエアコンを買った。取り付けに来た人と話したが、東京では65才以上を対象に、エコ対応のエアコンを買うと1台8万円の補助が出るという。夫婦なら2台になるので買い替え需要がすごく、取り付け業者は非常に忙しいらしい。・・・東京だけ?

・前回、イオンの株について書いたが、2月以降、株主特典の改定があり、100~300株ホルダーでキャッシュバックが3%だったのが100株1%、200㈱2%、300株以降は従来通りと変更になった。これにより小口株主のメリットは下がり、配当性向は下がってしまった。・・・大企業は抜かりない!

■今日のBGM

イオンの株でも買って見る?

「イオンの株を買ったら?」と勧められた。去年の5月くらいに株価を見ていて無印良品とイオンの株価には注目していた。無印良品は8月に株価分割を実施し、イオンもその当時は株価分割後で1500円くらいだった。小売業の業績は、決算数字や会社の戦略で、ある程度は予測できる。その意味で、株価分割され、さらに上昇している無印良品株は5、6月に買おうかと考えただけに、本当に失敗した。無印良品は、その当時発表された社長方針で、「期末に向けて売上は大幅増も、在庫過多を解消するため、利益率は現状維持」との発言があり、中間決算数字を見て同じ感想を持っていたため、好意的に受け取っていた。イオンは、イオンモールを上場廃止しイオンの子会社にしたことは評価していたが、まだ将来像が読めてこないのでずっと見逃している。ただ、最近の戦略が明確になってきており、ひょっとしたら化けるかもと思っている。

イオングループは金融事業を拡大しようとしている。イオンの前期決算で総合金融事業の営業利益は611億円で前年比119.8%、グループ全体収益に占める割合は25.7%で最も大きい。ちなみにGMS事業は売上構成比35.1%だが営業収益は6.9%しかない。さらに今期第四半期までで、金融事業の営業利益は404億円でグループ全体比率は27.9%となっている。ちなみにGMS事業の営業利益は前年より改善しているものの-116億円という結果だ。つまり小売業No1の集客力を利用しての金融事業の収益拡大と、それにより基幹事業たる小売業の改善を進めていく方針が明確になっている。近頃のイオンカードの優待日の多さや、イオングループ企業へのカード優待の拡大も顕著で、金融事業を企業の柱にしようとしていることがうかがえる。

イオンの株は個人株主が多く、現状個人株主数は90万人前後、株主全体の3割以上の構成比らしい。ちなみにセブンアイでは1割強が個人株主比率ということだ。個人株主への優待強化は機関投資家からは敬遠されているが、長期保有株主になっていく株主が増えるということになる。そして個人株主は議決権を行使し、会社提案への賛成比率も高いようだ。今後も、個人株主の比率をさらに上げてくようで、近い将来個人株主の数を200万人まで伸ばしたいらしい。イオン株主優待制度はまず配当金は1株あたり40円前後。株数に応じて買上げ金額に対してのキャッシュバック、各種優待企画との並行利用などの特典がある。

少し簡単に計算してみると、100株、株価2200円で試算すると、22万の投資。日本人平均世帯の食品消費支出年間108万、住居衣料品支出22万で そのうちイオンで8割使うと約100万の支払いとなる。その計算では、3万の優待返金がある。さらに、カード割引特典日も多い。特に近頃はカード特典が多く、1月も5%オフデイとポイント10%デイが10日もある。その特典も利用すれば最低でも、配当と優待返金等で広い意味での配当利回りが20%近くはある。ちなみにイオンHPの株主優待制度を見ると、100株保有のAさんは半年で100万買物をすることになっており、年間で6万円のキャッシュバックとなっている。ただしカード優待返金特典は半年100万買物が上限のようではある。

現状のイオンは、カード優待企画が多く、さらにイオンペイの普及に力を入れている。イオングループの企業(マルエツなどSM等)も同様にイオンカードのポイント還元は非常に多い。顧客の囲い込み戦略で金融事業を拡大し、小売市場の専有化を目指している。マルイグループを見ても金融事業での収益の安定は企業の推進力になっている。

その上で、イオンの小売業の再整備は絶対に必要だと思う。売上高の金額は大きいが、もうすでにGMSは崩壊している。食品以外の売場は冷静に数字を見極め、決断していく時に来ている。GMSの食品以外を個別に運営すれば間違いなく赤字になる。各カテゴリーを会社化すればすぐに結論は出る。㈱ジーフットがそれを示している。そのジャッジができて、改善ができれば、大きな利益の出る体質に変わる。

さて、100株でも買ってみるか。

■今日のBGM

雑談・・・着なくなった服を捨てる

11月.12月ファッション衣料の流れが悪そうで、バーゲン期の状況や数値が出るまで同じようなことばかり書きそうなので、今日は私事を書く。

もう年金受給者なので、少しは家のこともしようと思って、週3.4回の早朝のゴミ出しを始めた。ついでに「着なくなった洋服も捨ててくれ」という指示もあり、古い服を整理している。途中で何度か引越しをしているので、捨てていたとは思っていたが結構すごい量になっている。もう当然合わなくなったサイズの服や、もう絶対着ないだろう洋服がある。毎週1回洋服を捨ててもいい日に少しずつ捨てに行こうと思っている。少し整理するだけで、面白い洋服が出てくる。今回は、面白いコート2点を見つけた。

まず、「バセットウォーカー」のオイルコーティングされた綿のシングルトレンチコート。このブランドは1958年スタートの「JUN」グループのブランドで、調べてみると「JUN」グループの中では、「JUN」「JUNMEN」「ROPÉ」「J&R」「DOMON」の次にできた1976年スタートの古いブランドだ。今はもう実店舗はない。「JUN」は「VAN、JUN」時代を築き「VAN」のアイビー路線と「JUN」のヨーロピアンテイストの2大トレンドを作ったブランドだった。ブームが去った「VAN」と違い、その後のDCブランドブームをも牽引した。バブル期には「LUNA MATTINO」という過激なブランドも登場させた。そして今でもファッションやアートなどで新鮮なムーブメントを起こしている。

あまりこのコートには思い出が出てこないが、渋谷パルコに、よく行っていたので、バーゲンで買ったのかもしれない。(渋谷パルコにあったような・・・)裏地が取り外しのライナー付でライナーはもうない。オイルコーティングされているので80年代後半かもしれない。もともと都会派っぽい「JUN」系のブランドは買ったことがなく、着ていた感じはあるが、詳細は記憶から消えている。この長いコート丈といい、今はあまり見ないオイルコーティングされたトレンチには、もう出番はない。

もう1点はネイビーのダッフルコート。このコートのブランドロゴは裏地にある。ブランドは「イクザンプル バイ ミッソーニ」。ニットの魔術師「ミッソーニ」のセカンドブランドでオンワード?が代理店だったのではないかと思う。当時オンワードにはICB事業部(?)たるものがあり、外国ブランドを多数取り扱っていた。あの「ドルチェ&ガッバーナ」も1989年マイカル本牧5番街にオープンしたが、オンワードの直営店だったような気がする。余談だが、あの当時のマイカル本牧の5番街には「アポロシアター」や数々のインポートブランドがあり、今あれば大きな脚光を浴びていたと思う。「リゾナーレ」もマイカル発祥だが、何にしても発想は良かったが、やることが早すぎた。そしてコストをかけすぎた。

もともとダッフルコートはあまり好きではなく、このコートは、毛布のように重かった。これは新宿マルイのバーゲンで買った思い出がある。いろんなインポートブランドのクリアランスをしている時に、迷った末に買った。インポートなのでコート丈が長く重かったが、一時イタリア物に走った時には着ていた思い出がある。

仕事でスーツを着ていた時は、ステンカラーなどのビジネスコートを着ていたが、カジュアル化が進んでノーネクタイになっていき、アウターは変化していった。小売の会社を立ち上げた以降は、全くスーツは着なくなり、ほとんどダウンやカジュアルコートに変わっていった。そしてビジネス要素のあるコートは、タンスの隅に追いやられていった。

と、いうことで、今度のゴミの日にはこの2点のコートとトラッドベースのもう着れないスーツ3着を捨てる。「捨てる」のジャッジは、着てみて「サイズが合わない」、「デザインが古臭い」で決めるが、貧乏性なのでなかなか決めけれない。そして、まだまだ捨てなければならない服は山ほどある。面白い服が出てきたら、また書くことにする。

■コート2点

数字を読む 2

厳しい数字状況で、気になる会社の四半期決算短信が発表されている。年度決算数値ではないが、今後の方向性や現状の問題点が見えてくる。チェックしている会社で1月発表されたデータを簡単に見てみる。

イオングループのジーフットが先日第三四半期決算短信を発表している。前年の決算で、イオンを引受先として第三者割当増資を実施し、さらに他の財務支援も受け債務超過を解消したが、今期第三四半期で再び債務超過の状況になっている。営業利益は第三四半期で−10.5億、経常利益は−12.2億と発表されている。売上は同期比で前年96.5%、利益率43.6%前年差-0.4、在庫前年比112.9%となっており、前年より悪化傾向は続いている。商品回転率はおそらく前年より悪化が予測され1.4回転前後になると思われる。ちなみに業界トップのABCマートの前年の利益率は50.5% 回転率は2.04回転となっている。

ジーフットはイオンGMSの靴売り場(グリーンボックス)も運営しており、純然たる専門店と言いにくい。近年「アスビー」への変更を進めており、専門店化を図っているがGMSから靴売り場はなくせない。おそらくここがネックになっている。ABCマートのように商品ターゲットを絞り込み、商品のメーキングができれば改善できるが、GMS客層の取り組みを続けると、客層の幅が広がり売場がぼやけてしまう。イオンとしてGMSの赤字をヘッジしているとも考えられるためGMSの存続も含めてイオンのジャッジが必要かもしれない。もともと靴業界はサイズが多く、それに加えて客層の幅が広ければ当然商売は厳しい。

タカキューも第三四半期決算を発表している。売上は同期比で前年90.4%、利益率63.0%前年差+1.0、営業利益32百万前年比17.0%、経常利益128(百万)前年比43.6%となっている。ただし決算期には有価証券売却益を計上するとしている。第3期末在庫では前年比135%となっており、売上前年比を考えると在庫過多であり、商品回転率も相当ダウンすると思われる。ちなみに第3四半期までの回転率は前年2.03に対して1.32まで落ち込んでいる。利益率の改善は高値入の商品を多く投入した結果と考えられる。ただ、在庫過多状況であり、回転率を考えるとそこまで商品の消化はできてないように見える。

現状主な主戦場は、元イオングループということもあり、郊外モールが多いが、売場の見せ方が整理されすぎているように感じる。ブランドビジネス出身の社長にありがちな、よく言えば「売場をきれいに見せる」、悪く言えば「気楽に入れない」店になってしまっているように見える。さらに、数値面も在庫を処分すれば利益率が急落するリスクが隠れている。やはり主な品種のスーツ業界はサイズが多く、単価も上がるため、在庫がキーポイントになる。

ライトオンの今月発表した第一四半期決算短信を簡単に見てみる。売上前年比64.7%、利益率52.8(前年+0.6)在庫前年比71.4%となっている。経常損失は続いており、今後ワールドからの資本援助で解消されるが、現状では債務超過の状況となっている。まだ今後のMDについては未知数だが、短信ではレディス商材が支持を集めたとある。レディスの比重を上げていくのであれば、ショップのゾーニングや内装にも違和感が出てくるかもしれない。サイズが細かいジーンズのウェイトをどこまで下げていけるかも含めて、「ジーンズのライトオン」としてのMDをどう変えていくかが注目される。さらに、ワールド自体が、このカテゴリーやそのMDを得意には見えず、どういう再生のスタートを切るか興味深い。

最後にヴィレヴァンの中間決算にも触れておく。売上は前中間期比で91.4%、売上総利益107.8%、総利益率45.2%前期比+6.9、営業利益167(百万)(前年同期-608)と改善数値を発表している。ただ、前期末に棚卸評価損2472(百万)、減損損失674(百万)計上しており、その評価減の戻り益が多分に含まれており、次年度以降の数字でなければ検証はできない。私見では、以前書いたが、商品管理体制を確立しなければ再浮上は難しいと思っている。

今回書いた4社はすべて在庫過多が原因で営業不振に陥ってきた。靴やスーツやジーンズのサイズの多さ、商品アイテムの広がりによる在庫の重さが、商品のジャッジやトレンドへの動きへの遅さを導いている。そこを改善しなければ再建はおぼつかない。個人的には、大手企業子会社の ジーフットやライトオンは、上場廃止の方向となるのではないかと思っている。

■今日のDVD

数字を読む

12月、1月の売上は小売業の年間売上を左右する。そういう意味で、この2カ月の各社の月度売上報告は細かくチェックしている。

12月既存店売上の数字は全体的に悪い。各社とも、前半が暖かく冬物の動向が悪く、日曜日が1日減とコメントしている。特に内容は例月のコメントと変わらない。気温変化にMDで対応できず、対策も後追いだったということらしい。既存店売上に関して、確認している数字では、TOKYO BASE111.0、マックハウス105.7、ユナイテッドアローズ103.8、ヴィレッジヴァンガード103.0など数社のみ前年をクリアしている。ごく簡単にまとめるとセレクト系と厳しい状況で回復必至の企業になる。

好調を続けていたユニクロ国内事業は、暖冬を理由に12月既存前年比は94.1、オンラインストアのシステム障害があった無印良品も94.2と既存前年を下回っている。衣料系は総じて悪く企業譲渡されたライトオンは85.7、シーズメン(チチカカ、メソッド等)から社名変更したスターシーズが86.8と最量販期に90%を割り込み回復が厳しい状況が続いている。

12月1月は、コロナ前(2019年)から既存店売上前年比を毎年掛け合わした数字を作っている。この数字は当然正確ではないが、企業状況の目安にはなると思っている。つまりコロナ前からの既存店2018年比を安易に計算している。ABCマート144.8、ワークマン134.2、しまむら123.0、西松屋115.4の順になっており、ユニクロ95.9、アダストリア98.5、無印良品は2021年比で97.2(2020年数字は未発表)で、まだコロナ前の既存店数字には未達となっている。その数字が極めて厳しい企業の多くは、コロナ後に企業譲渡されており、ライトオン42.0、タカキュー75.7、マックハウス77.7と回復できてない。厳しい状況のヴィレヴァンも79.3と80%を割り込んでいる。あくまでも流れとして見ている数字であり、当然その間に新店がありそれが既存店になっていくことは理解している。

コロナ前の決算数字と前期決算数字を比較すると、ユニクロ国内事業の売上は117.5%、アダストリア125.1と多店舗化や大型化で伸長しているが、コロナ後に大幅伸長しているUAは95.9とまだコロナ前売上をクリアできていない。比較的プライスレンジの高いTSIも88.4、百貨店志向が強いオンワードが62.5、ワールド76.8と回復に至っていない。単価が高いグループに属する企業は厳しい流れが続いているようだ。逆に値頃感が強いしまむら122.6、西松屋130.0と伸長している。さらに、上記した数字の厳しい企業は、ライトオン38.7、タカキュー47.3、ヴィレヴァン73.6、マックハウス51.4と完全に低迷している。

企業の状況の流れもあるが、やはり低価格帯への流れが顕著ではある。先日繊研新聞に「被服支出はコロナ前水準を下回るという」記事が出ていた。月当たりの洋服支出は2019年の4322円に対して2025年は3476円となっており、婦人衣料は2473円から2008円に、紳士衣料は1410円から1080円まで落ち込んでいる。特にビジネス衣料は「優先度の高い支出」から外れていると書かれている。先述した自己流での既存店コロナ前比でも「しまむら」や「西松屋」の数字が上位にいるのが納得できる。ワークマンはFCが大半で状況が具体的には読めないが、やはり大きなポイントは「価格」になっている。

今年も物価上昇を避けることはできそうにない。小売業の切り口は引き続き「価格」になるのは疑いようがない。そして円安の環境下でも「価格戦略」にシフトできるのは、迅速に商品を作れる大手企業しかない。

■今日のBGM

もうファッションに目は向けられていない

年末年始に、イオンモールやららぽーとに買物に行った。完全に流れは「食」の方に向かっている。年末はそのイメージが以前から強いが、バーゲンが始まってもファッションのパワーは感じられない。

衣料関連は例月通り「ユニクロ」「GU」が中心であり、集客が多いのはそれに加えて「無印良品」くらいに見える。郊外モール(RSC)は年代層も高いのでその傾向は強いのかもしれない。「ユニクロ」は大型売場であれだけセールムードが出ていれば集客は多くなる。売れてない商品をきちんと値段を下げて販売しているのが、お客様にもわかる。「商品は売れなくなってきたら、早くなくして金に換える」という商売の基本通りだ。それをお客様は敏感に感じている。「ZARA」も同様だ。従来の「バーゲン迄プロパーで売って、バーゲンでなくす」という売り方は、もうどの店もしていない。そして上場企業の出店が増え、利益を考えたバーゲンになってきており、「お買い得感」が少ない。昔のバーゲンは前日まで売っていた商品の値段が半額になったので、初日から並んで買いに来ていた。もうそのムードは全くない。逆に、バーゲン以外の日でも毎日全品二重価格(セール商品)の店もある。ちなみに、二重価格の「8週間ルール」は誰かチェックしているのだろうか?

ららぽーと冨士見は売上545億で、ららぽーとの中で売り上げはNo3のモールとなっている。年間300億以上が大型モールと言われているが、テナントから見れば超優良物件になる。その優良物件で大型区画のアバクロの「ホリスター」とパルグループの「コロニー2139」2区画が撤退する。「コロニー2139」は2階中央の吹き抜けの片側中央で、正面に「ZARA(メンズ)」がある。「ホリスター」は2階中央の大型区画で「GU」「ZARA(レディス)」の並びの絶好の区画になる。ららぽーと冨士見は2階をメインフロアに設定しているだろうテナントゾーニングで、ユナイテッドアローズの「ビューティ&ユース」や「グリーンレーベル」ベイクルーズの「イエナ」「417エディフィス」などセレクト系ショップも並んでいる。つまり、2つの大型区画の退店はメインフロア中央の絶好の区画の退店ということになる。この2店舗はトレンドダウンしているブランドかもしれないが、後継テナント次第ではフロアイメージが弱まってくる。そして、逆に「ヤオコー」やフードコートを核とした生活感のある1階の集客が大きくなっているように見える。今は、冬休み期間ということもあり、その印象が強い。

ファッション関連のバーゲンは、先に書いたが、値段の価値観が見えにくくなっている。昔と違って、商品の価値観が個人ごと違っているということもある。セレクトショップの品揃えの中で面白い商品もあったが、10%~30%オフでは食指は動かない。最終的には大きな割引率を避け、都心型の店に集約して売り切るのだろうと思う。現状、優良モールに出店できるのは、賃料や内装コストも高くなり、それに対応できる大企業中心になりつつある。当然、利益着地を考えたセール展開になる。「ユニクロのように売れない商品は、なくしてしまう」という意識は低い。そうなると俗にいう「掘り出し物」も少なくなり、ますますファッションへ興味を持つ客層は減ってくる。デベロッパーとして、各テナントとバーゲンの展開方法の話し合いも必要だと思う。ちょっと話の方向は変わるが、バーゲンになると突然セール商品が入荷する店や高額商品の割引率が小さい店より、昨日まで1900円で売っていたカットソーが1290円になったことが実感できる「ユニクロ」の方が信頼度は高い。衣料品はその日に売り逃してもいいが、食品売場は夕方には商品をなくすために店頭の値段をすぐに下げていく。バーゲン時期は特に、そういったわかりやすい商売の方が現実的だと思う。

ただ、実用的な商品ばかりでは大きな商業施設は成り立たない。手に届く憧れのファッションの提案も大型SCの使命だと思う。もう少し、商業施設としての問題点や意思を大手のファッション系のテナントと共有し、解決策を提案すべきではないだろうか?そして、大手ファッション系企業も大型モールでの成功なくして企業の伸長はないことを自覚すべきだとも思う。

■今日のBGM

正月営業自粛は後ろ向きな戦略ではないか?

正月営業しない小売業が増えている。大手百貨店の三越伊勢丹、高島屋など、スーパーのライフ、サミット、ヤオコーなど個店対応はあるが、基本としては正月三が日休業であり、コンビニでもローソンではFCオーナーの意向で休業店舗もあるという。大きな要因は人手不足への労働環境の対応に尽きる。「働き方改革」を進めて、従業員の満足度を高める狙いらしい。

世の中の流れだし、多くの小売企業が正月休みや休日増などに向かっているが、あえて、反論する 

小売業の稼ぎ時は、当然土日休日になる。売上比率は高く、過去経験ある量販店や専門店では、おそらく正月3が日で年間売上の2%以上の構成比はあった。では、その売上に対して休日に変更した利益減をどこでカバーするのだろうか?年間予算にそのマイナス分を入れて数字計画を作っているのか?「3が日休んだので数字は未達でした」という言い訳は通じるのか?(間違いなく通用しない)。「働き方改革」による売上減でも株式市場は受け入れるのか?

「土日休日が仕事だから、スタッフが集まらない」という理由だが、小売業以外の一般企業に人は集まっているのだろうか?競争率が高いのは上場企業などに限られてくるし、そこで仕事するには当然スキルが必要になってくる。思い通りの仕事には簡単には従事できない。数年前、総裁選で小泉進次郎氏が会社を辞めやすくして、どんどん希望の会社に転職すればいいと言っていたが、それはそんな簡単なことではない。

企業は収益を計上することで、存続するし、そのために努力する。小売業は一般人の「オフタイム」に集客して商売をすることで収益を確保している。集客できる日をわざわざ見逃して、セールスチャンスを逃すことが正しいことなのだろうか?

労働環境を変え、要員を確保することが目的のようだが、小売業として企業の「働き方改革」をしているのだろうか?昔、小売業の本部も、定休日は店と同様平日だったように思う。それがいつの間にか、「店」と「本部」の働き方が変わってきている。小さなことかもしれないが、繁忙期には「本部」が「店」の要員になるべきだし、休日体系も同じにするべきではないかと思う。「本部」の人間が「店」の現場でフォローすることでプラス要素は大きい。評論家になっている「本部」は必要ない。高そうなスーツを着ている百貨店の社長には、現場の匂いは全く出てこない。

さらに、小売業は成果主義を徹底する必要がある。勤務するセグメントが小さければ小さいほど、仕事が数値に連動してくる。その数値を上司が適切に評価し、その評価に準じて給料と連動させることによって、仕事への満足感が上がってくる。その適切なジャッジは難しいが「相対評価」より「絶対評価」をしていくべきだと思う。管理職を目指さず「絶対評価」のポジションで居続けるスタッフがいてもいい。企業が大きくなるとどうしても、評価に差が出てこなくなっているように思う。もっと小売業を前向きな職業と見せることの方が大事な気がする。

働き方改革で正月営業をやめていくという後ろ向きの戦略より、売上を上げる手段を全員で考えて、前向きに取り組もうという企業は出てこないのだろうか?個人的には、昔、正月出勤で元旦、二日各々1万円もらった時のモチベーションは上がった。

最後に、内向きなことばかり書いたが、小売業は「お客様のためになること」「お客様が喜ぶこと」を優先するということを忘れてはいけないのではないだろうか。

■今日のショット(元旦 荒川河川敷から)